JP7126705B2 - 通気層を有する密着型外断熱に用いられる火災対応型外壁構造 - Google Patents
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Description
(1)通気層型(図10(A))
外壁(躯体)に断熱層を張設し、その外側に空間(通気層)を空けて外装材を配置した構造である。室内の湿気(水蒸気)が断熱層を透過して通気層から排出される。通気層の上下に隙間があるため、断熱層としてプラスチック系断熱材を用いる場合には、防火について十分な検討が必要である。外装材として、PC版、金属パネル等が使用されるため、一般的には高コストである。
(2)密着型(図10(B))
外壁(躯体)に断熱層を張設し、断熱層に外装材を張設した構造であり、通気層は設けられない。透湿抵抗が小さいものを外装材として用いないと、内部結露が発生するおそれがある。また、外装材の温度変化が大きいため、伸縮、反り、目地切れなどが発生する場合がある。
(3)密閉空気層型(図10(C))
外壁(躯体)と断熱層との間、又は外装材と断熱層との間に、密閉された空気層を設けた構造である。適切な施工が行われた場合は、空気層が断熱層として機能するが、空気の出入りがあると無断熱状態となる。また、密着型同様、外装材によっては内部結露が発生するおそれがある。
(4)二重壁型(図10(d))
躯体に断熱層を張設し、その外側に空間を空けて肉厚のレンガ、コンクリートブロック、コンクリート板などの保護壁を配置した構造である。断熱層と保護壁との間の空間が通気層となる。保護壁として重量のある材料が用いられる場合は、重量を受けるための基礎の設置や、躯体の強度の増大を要する。
通気層の空気の流れに関して、本出願の出願人は、すでに特許文献1に開示される断熱パネルを開発している。このパネルは、内面に複数の区画通気層(条溝)を備えた成形セメント板と断熱層とを、区画通気層が断熱層に対向するとともに区画通気層の間の部分が断熱層と接する状態で層着させたものであり、成形セメント板と断熱材とを部分的に密着させることによって通気層を形成した、いわゆる密着通気層型の断熱パネルである。このパネルは、すでに火災時に断熱材への延焼が生じにくい構造を有している。すなわち、このパネルでは、このパネル以前のパネルの通気層と比較して小幅の区画通気層が複数条設けられているため、火災の初期燃焼時にはそれぞれの区画通気層の内部が酸素欠乏状態となり、断熱材に引火したとしても炎が拡散しにくい。また、区画通気層の間の部分が断熱層と接しているため空気と断熱層とが接する面積が少なく(すなわち、断熱層の露出面積が小さい)、火災時に炎が区画通気層に入り込んでも断熱層に触れる炎が少ない。さらに、区画通気層が狭いため区画通気層内の空気の流速が早く、空気による冷却効果により、火災時に断熱層自身の発火温度まで達しにくい。
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による火災対応型外壁構造G(以下、構造Gという)を示す断面斜視図である。図2は、構造Gの一部を拡大して示す拡大縦断面図であり、窓部8は描かれていない。以下においては、外装材2の外面に沿って地面に平行な方向を幅方向、外装材2の外面に沿って幅方向と直交する方向を高さ方向、幅方向及び高さ方向と直交する方向を厚み方向という。
図3は、1つの断熱複合パネル1の斜視図である。また、図4(A)は、外装材2が設けられた断熱複合パネル1の一部の横断面図であり、図4(B)は成形板11の一部の横断面図である。断熱複合パネル1は、断熱層15の外側に成形板11が接する構造を有する。成形板11の外側には、外装材2(外装下地材21又は外装仕上材23)が接する。1つの断熱層15は、例えば厚さ75mm、幅500mm、高さ2700mmのサイズとすることができるが、これに限定されるものではない。断熱層として用いられる断熱材の材質は、限定されるものではないが、成形板11より透湿抵抗が大きなものであることが好ましく、典型的には、発泡プラスチック断熱材(JIS A9511)が用いられる。
構造Gは、図2に示されるように、コンクリート外壁30の上面、断熱層15の上面及び成形板11の一部の上面に接するように配置される防水層40をさらに備える。本発明にかかる構造Gにおいては、上述のように、成形板11は、条溝14がある面11cとは反対側の面11aが断熱層15に接するため、防水層40の先端を、成形板11の薄肉部12と条溝14との境界11b又はその近くに位置するように、配置することができる。このように防水層40を配置することによって、成形板11と断熱層15との接合面が防水層40で覆われるため、その接合面に雨水などが浸入することを防止する効果がある。
構造Gは、防水層40の少なくとも一部に接し、断熱複合パネル1の上面の上方を覆うように配置される笠木5を備える。笠木5は、図1に示されるように、幅方向に連続して配置される複数の笠木本体50によって構成される。図7は、笠木5の斜視図であり、図7(A)は笠木5の一部の斜視図、図5(B)は隣接する笠木本体50の接続部に配置されるジョイント部材55の斜視図、図7(C)は笠木5の下の空間に配置される支持部材6の斜視図を示す。
上述のように、笠木5は、断熱複合パネル1の上方において、成形板11の複数の条溝14との間に空間を保持した状態で取り付けられている。また、防水層40の先端は、成形板11の複数の薄肉部12と複数の条溝14との境界11b又はその近くに位置する。そのため、複数の条溝14からなる区画通気層7の内部を上昇する空気70は、区画通気層7の上端から排出された後、笠木5と成形板11との間の空間を滞りなく通り、笠木5の立下り部5cと外装材2の外面との間を下降し、屋外に排出される。したがって、本発明に係る外壁構造においては、区画通気層7から排出された空気は、笠木5の下部に溜まることなく屋外に排出されるため、特許文献2に開示された笠木を用いた場合とは異なり、通気層からの空気の排出が溜まった空気によって阻害されるということがない。
次に、構造Gが備える窓部8について説明する。図8は、構造Gの窓部8及びその周辺部を示す縦断面図である。図8においては、中間部分(窓の開口部分)の一部が省略して示されている。窓部8は、窓枠80と、窓枠80の外側に設けられた見切枠81a、81bと、窓枠80の内側に設けられた木製枠82とを有するものとすることができる。窓枠80及び見切枠81a、81bは、耐火性の高いものであることが好ましく、典型的にはアルミニウムで作製される。窓枠80及び木製枠82と、断熱層15及びコンクリート外壁30との間の空間には、見切枠81の側から順に、モルタル801と発泡ウレタン802とが充填されている。この構造は、特許文献3の構造とは逆に、燃焼しづらいモルタル801が外側に配置され、燃焼しやすい発泡ウレタン802が内側に配置されているため、屋外での火災時に断熱層15に延焼する可能性を低減させることができる。
11 成形板
12 薄肉部
13 厚肉部
14、14G 条溝
15 断熱層
152 断熱層の突起
153 ファイヤーストップ
16 切り欠き部
2、24 外装材
21 外装下地材
22 仕上材
23 外装仕上材
3 躯体
30 コンクリート外壁
30a コンクリート材
31 基礎
311 下部断熱層
40 防水層
5 笠木
5a 基部
5b 張出部
5c 立下り部
5d 斜片
50 笠木本体
51 水平板
54 突起部
55 ジョイント部材
56 固定具
6 支持部材
61 水平片
62 立下り片
64 固定具挿入孔
7 区画通気層
70 上昇空気流
8 窓部
80 窓枠
801 モルタル
802 発泡ウレタン
803 支持棒鋼
81a、81b 見切枠
811a、811b 空気孔
82 木製枠
821 捨材
Claims (8)
- 通気層を有する密着型外断熱に用いられる外壁構造であって、
コンクリート外壁と、前記コンクリート外壁に接する断熱層と、前記断熱層に接する成形板と、前記成形板に接する外装材と、前記コンクリート外壁、前記断熱層及び前記成形板の上面に接する防水層と、窓部とを備え、
前記成形板は、厚み方向途中までの深さを持つ複数の条溝を有し、該複数の条溝が設けられた側とは反対側の面が、前記断熱層に接しており、
前記窓部は、窓枠と、該窓枠の内側に設けられた木製枠とを有し、
前記窓枠及び前記木製枠と、前記断熱層及び前記コンクリート外壁との間の空間は、前記成形板の側から順にモルタルと発泡ウレタンとを用いて充填されている、
外壁構造。 - 前記成形板は、前記複数の条溝の厚み方向に配置された複数の薄肉部と、前記複数の条溝及び前記複数の薄肉部の間に配置された複数の厚肉部とを含む、請求項1に記載の外壁構造。
- 前記防水層は、その先端が前記成形板の前記複数の薄肉部と前記複数の条溝との境界又はその近くに位置するように配置される、請求項2に記載の外壁構造。
- 前記防水層の少なくとも一部の上面に接し、前記成形板の上面を覆う笠木をさらに備えており、
前記笠木が、
前記防水層の前記少なくとも一部の上面に接する基部と、
前記成形板の上方において、前記成形板に接することなく前記基部から延びる張出部と、
前記張出部の縁部から下方に延びる立下り部と、
前記張出部と前記成形板との間に配置された、張出部を支持する複数の支持部材と
を有する、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の外壁構造。 - 前記断熱層の前記防水層に近い部分が前記断熱層の他の部分より薄く形成されることによって、前記断熱層に切り欠き部が設けられており、
前記切り欠き部にはコンクリート材が充填され、
前記笠木は、前記基部が、充填された前記コンクリート材に固定されている
請求項4に記載の外壁構造。 - 前記断熱層の下面の前記成形板側に、下方に突出する突起が設けられており、前記成形板の下端と前記突起の下端とは同じ高さに位置する、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の外壁構造。
- 少なくとも前記窓枠の上方の前記断熱層の下面全体に接するようにファイヤーストップが設けられた、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の外壁構造。
- 前記窓部は、外部と前記複数の条溝とを連通する複数の空気孔を有する見切枠を前記窓枠の外側に備え、
前記複数の空気孔は、前記複数の条溝の並び方向における前記複数の空気孔の単位長さ当たり面積が、前記並び方向における前記複数の条溝の単位長さあたりの断面積より小さくなるように設けられている、
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の外壁構造。
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