JP4743908B2 - 木造建物の通気性外断熱の外壁構造 - Google Patents

木造建物の通気性外断熱の外壁構造 Download PDF

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Description

本発明は、木造建物の外壁を通気性外壁複合パネルを用いて外断熱に構築した外壁構造であって、より詳しくは、通気用条溝群を備えた断熱層に、表裏両面が輻射熱反射機能を有する遮熱反射シートを層着した外壁複合パネルを内側外壁として張設し、更に外壁複合パネル表面に通気層を保持した形態で外装材を外側外壁として張設した外壁構造であって、木造建築の技術分野に属するものである。
木造建築物に断熱材を外張りして外断熱建物とすることは、従来より常用されている。
従来例1として挙げる図7は、外張り木造建物であって、非特許文献1に示すものであり、図7(A)に示す如く、柱、間柱などの外壁躯体に構造用面材を介して断熱材を張着し、更に、断熱材の外側に、上下方向の通気胴縁を配置し、胴縁上から断熱材を貫通する固定釘によって通気胴縁を躯体に固定し、該通気胴縁上に外装下地材を固定釘で張設して、断熱材によって木造建物を外断熱被覆すると共に、断熱材外面の通気胴縁間に形成した断熱材と外装下地材間の間隔を通気層とし、空気流を外壁下端の腰水切金具から流入上昇させて、外壁上端から軒天井換気口を介して外方に流出させるものである。
そして、基礎部にあっては、図7(B)に示す如く、コンクリート基礎立上り部の外面を断熱層で被覆し、該断熱層の外面を樹脂モルタルで保護し、基礎立上り部の天端には気密パッキンを介して土台を固定し、土台、及び土台上に立設固定した柱、間柱の前面に構造用面材を固定するものである。
また、従来例2として挙げる図8は、特許文献1に開示された木造建物の外張り断熱工法であって、鋼板製の基材とクラフト紙の被覆材とを、中間層の合成樹脂の発泡凝固接着力で一体化層着した断熱パネルを、柱、間柱に固定具で張着するもので、密着型の断熱パネルを採用した外張り外壁構造である。
また、従来例3として挙げる図9は、特許文献2に開示されたものであり、本願発明者が開発し、本願出願人が鉄筋コンクリートの外断熱建物の構築に実施している密着型の通気性断熱複合パネルであって、図9(A)に示す如く、通気用の条溝群を内面に備えた、板厚25mmの押出成形セメント板を、板厚75mm の板状断熱材と層着一体化したものであり、セメント板幅が490mmで、断熱材幅が500mm で、セメント板は、一側端縁が小段差(10mm)突出し、他側端縁が大段差(20mm)入り込んでおり、条溝は、深さ13mm、幅30mm のものである。
また、従来例3の図9(B)は、図9(A)に示した通気性断熱複合パネルの変形例であって、条溝の通気機能を改善したものである。
即ち、断熱材のセメント板と層着する面上にも、セメント板の条溝と同幅で、深さ10mm の断熱材条溝を対向配置しておき、セメント板条溝と断熱材条溝とを整合して、セメント板と断熱材とを層着し、層着一体化した複合パネルの内部の通気用条溝の深さを、セメント板条溝深さ13mm+断熱材条溝深さ10mm の23mm深さとし、図9(A)の複合パネルと同一厚さの複合パネルでありながら、セメント板厚を増大することなく、通気用条溝の深さを増大し、空気の条溝内貫流機能を向上させたものである。
また、従来例4として挙げる図10は、特許文献3に開示された板状複合断熱材であり、発泡プラスチック系断熱材の表面に座屈形成した通気溝群を有し、室内の湿気を外部へ排出し、屋外からの雨水を室内に浸入させないためのポリオレフィン系不織布を面材として、断熱材の上下面及び通気溝底面に張着し、通気溝形成面側にサイディング材などの外装材を接着積層したものである。
財団法人、建築環境・省エネルギー機構、平成14年6月1日発行「住宅の省エネルギー基準の解説」第1版、199〜206頁、「6.4外張断熱工法」 特開平11−159032号公報 実用新案登録第3084180号公報(平成14年3月8日発行) 特開平10−71659号公報
〔従来例1(図7)の課題〕
非特許文献1に開示された外張断熱壁工法にあっては、図7に示す如く、通気層の形成は、通気胴縁を断熱材上に配置して、通気胴縁固定釘により断熱材、及び構造用面材を貫通して柱に固定し、外装下地材(面材)を通気胴縁に、外装下地材固定釘によって固定するため、及び基礎立上り部の断熱材と外壁断熱材との間の断熱欠損(気密欠損)を阻止するための、基礎立上り部と土台との間の気密パッキン等での空密処理をするため、所望断熱機能を備えた通気構造の構築は、工数が多く、煩雑な作業である。
しかも、長期耐用中に、釘がクリープ変形し、外装下地材が垂れ下りを生じ、外壁仕上材にひび割れ、剥離を生じ、外壁の損傷を生じる。
また、タイル等の、自重の大な外装仕上材を外装下地材上に配置する場合は、外装下地材の垂れ下りを防止するために、断熱材と同厚の横桟を適宜間隔で断熱材内に配置するか、或いは、断熱材厚+通気層厚の通気胴縁を採用して、通気胴縁を柱に釘固定する必要があり、断熱材中への、横桟の配置、或いは通気胴縁の配置、及び、固定作業は、熟練を要し、工数が多く、外張り断熱壁の施工性が悪い。
しかも、プラスチック系断熱材は、紫外線の影響で表面が劣化剥離するため、断熱材の表面を透湿防水シート等で被覆して、紫外線劣化を抑制することも必要である。
そして、夏季の通気層内の高熱は、断熱層に付加蓄熱するため、室内の冷房エネルギーも大となる。
〔従来例2(図8)の課題〕
従来例2の外張り断熱工法は、図8に示す如く、鋼製の基材とクラフト紙等の被覆材とを、合成樹脂の発泡断熱層の凝固接着力で一体化層着した工場生産品の断熱パネルを、木造躯体に外張りするため、断熱層の外張りのみは合理的に施工出来るが、被覆材の外側には、外装下地材、及び/又は、外装仕上材の張着が必須であり、断熱パネルの外側に通気層を形成する場合は、パネルの外側への外装下地材、及び/又は、外装仕上材の配置は、従来例1同様の、胴縁を介在した施工となり、従来例2も、通気性外張り断熱外壁の施工は、工数が多く、作業性が悪い。
そして、従来例1同様に、断熱層は屋外から加熱・蓄熱するため、夏季の室内の冷房エネルギーは大となる。
〔従来例3(図9)の課題〕
従来例3の通気性複合パネルは、本願発明者が、鉄筋コンクリート外断熱建物の構築に、外壁の捨型枠として採用するために開発したものであって、外装下地材の押出成形セメント板は、セメント、硅酸質原料、繊維系原料を主原料とし、通気用条溝を一面に備えた板状に、押出成形してオートクレーブ養生したものであって、断熱材と一体化層着した複合パネルは、乾式密着型の複合パネルでありながら、パネル内面に条溝群による通気層を備えたものである。
従って、図9(A)に示すパネルは、コンクリート外壁の捨型枠としての十分な強度を備えてはいるが、セメント板は、通気機能発揮に必要な深さ13mmの条溝群を備えているため、セメント板厚が25mmとなり、しかも、製造過程で反りが発生し易く、断熱材との一体化層着時のプレス加工時でのひび割れを避けるために、セメント板幅は広幅に形成出来なくて、490mm幅で実施している。
また、コンクリート捨型枠としての必要剛性を備えたセメント板は、比重が1.8〜2.0であるため、セメント板自体が35kg/mとなって重く、標準サイズの複合パネルは、セメント板が、高さ2840mm、幅490mm であって、重量約1.5kgで75mm厚の平板状断熱材と層着したパネルは、重量が約50kgとなる。
そのため、該パネルは、重くて取扱い難く、その上、小幅であるため、外壁への、パネル相互の接続張着の作業性も悪く、木造建物の外張り外壁用には採用し難い。
しかも、通気用条溝がセメント板に存在すること、パネルの上下接続はセメント板の上下端辺間に目地間隔を設けることが必須であること、により、パネル相互の上下接続部での条溝群による通気構造確保は、本願発明者が開発した特別な通気バッカーを採用する必要がある。
そして、従来例1,2同様、夏季にあっては、高温化した条溝内の空気が断熱材に付加蓄熱されるため、室内の冷房エネルギーが大となる。
また、図9(B)に示すパネルは、図9(A)のパネルの変形例として提案したものであって、パネル内の条溝を深くして通気機能の増大を図ったものであり、セメント板厚を25mmのままで、75mmの断熱材に断熱欠損を生ずる10mm深さの条溝を付設し、条溝深さを、セメント板側13mm+断熱材側10mmの、合計23mmとしたものであるが、セメント板と断熱板との層着時の、型成形のセメント板側条溝と、切欠加工した断熱板側条溝との整合形態での一体化層着作業は、煩雑、且つ心労の伴う精緻な作業となる。
しかも、夏季に於ける高温化した断熱材条溝からの断熱材への加熱・蓄熱は避けられず、冷房エネルギーの増大を招く。
従って、図9(B)に提示したパネルは、図9(A)のパネルの条溝深さ(13mm)より深く(23mm)出来て、通気機能の若干の向上が得られるものの、断熱材(75mm厚)が10mm厚の条溝のための断熱欠損を生じて、外断熱機能が低下すること、及び層着作業性が悪いことより、実施効果が期待出来ないため、従来例3のパネルは、図9(A)のタイプで実施している。
〔従来例4(図10)の課題〕
従来例4の通気性複合パネルは、木造躯体に外張りするもので、合理的に外断熱外壁が構築出来るが、複合パネルの外装材に小幅の板状材や外装材を張設する場合には、接着剤張着となり、外壁の仕上げ作業が煩雑である。
また、発泡プラスチック層には断熱欠損となる通気溝群が存在するため、夏季には、日射熱による輻射熱で通気溝内が高温化して断熱層(発泡プラスチック層)に加熱・蓄熱し、従来例1〜3同様に、室内冷房のエネルギー増大を招き、冬季には、室内からの熱が通気溝内に侵入して輻射熱として通気放出されて、断熱欠損による室内暖房エネルギーの増大を招く。
本発明は、これら従来例の問題点を解決、又は改善して木造建物での新規な外張り工法を提供するものであり、木造外張り用に開発した軽量、且つ、広幅の新規な通気性外断熱複合パネルを採用して、従来の木造外張り断熱工法より遥かに構築容易、且つ、夏季も冬季も、冷暖房の省エネルギー化を可能とする、高機能な外張り断熱構造を提供するものである。
本発明の通気性外断熱の外壁構造は、例えば図1に示す如く、木造建物の外壁躯体WFに、通気性外壁複合パネル1を張設して内側外壁を構築し、内側外壁の外側に、通気層G´を介して外装材12を配置した外壁構造であって、外壁複合パネル1は、例えば図2に示す如く、発泡プラスチック断熱層1Bの層着面1Sに、通気用条溝Gと、層着用の肉厚部1T,1T´とを、縦方向に、交互に配置し、表裏両面が輻射熱反射層を備えた非透湿性の遮熱反射シート1Cを層着面1Sに層着一体化したものであり、図4に示す如く、外壁複合パネル1を、遮熱反射シート1Cを外面として外壁躯体WFに張設し、遮熱反射シート1Cの外面に通気胴縁12Aを縦方向に配置し、通気胴縁12Aを介して外装材12を、外壁複合パネル1の遮熱反射シート1Cとの間に通気層G´を保持した形態で、釘打ち等で張設したものである。
この場合、外壁複合パネル1の遮熱反射シート1Cは、非透湿性のシートの表裏両面にアルミ箔を層着した、シート1C自体は断熱機能の無いものでも良く、典型的には、自体が断熱機能をも有するラミパックSD−W(酒井化学工業(株)、商品名)を採用する。
また、外壁複合パネル1の断熱層1Bは、通気用条溝Gが切欠形成出来、且つ、遮熱反射シート1Cを一体化層着出来る発泡プラスチック断熱板であれば良く、典型的には、厚さ75mm、熱伝導率0.024kcal/mh℃(0.028W/mk)以下のJISA9511の押出法ポリスチレンフォーム板である。
また、外壁複合パネル1の通気用条溝G群は、ドラフト空気流aの最低限の貫流を保証し、且つ断熱層1Bの断熱欠損を最小限に抑えるように、条溝Gの深さGd、幅a1、肉厚部1Tと、条溝Gの配置面積は、空気貫流機能(放湿機能)、断熱欠損の面から勘案して、カッターで切欠すれば良く、典型的には、条溝Gは、深さGdが15mm、幅a1が45.5mmであり、条溝幅a1と肉厚部1T幅a1とは等幅(45.5mm)である。
また、外壁複合パネル1の固定は、図4に示す如く、各パネル1相互の垂直当接面Vf、及びパネル1の幅方向中央を、柱21A、間柱21Bに整合して構造用面材13に当接し、木製で、幅45mm、厚さGd´(標準:20mm)の通気胴縁12Aを、上下方向に、柱21A、間柱21Bに整合配置して、長ねじ11Aを、通気胴縁12Aからパネル1、構造用面材13を貫通して、柱21A、間柱21Bに打設すれば、通気胴縁12Aの厚さGd´に相当する外側通気層G´が形成出来ると共に、各パネル1相互の横方向接続部、即ち垂直当接面Vfが通気胴縁12Aで閉止されるため、垂直当接面Vfへの気密テープ処理も不要となり、作業性が向上する。
この場合、長ねじ11Aは、径5.3mm、長さ160mmの、サンコーテクノ(株)製のコーススレッド(商品名)を採用すれば、JISA5508の木工事用鉄丸くぎ(許容剪断力:70kgf/本)の5倍の強度を有するので、長ねじ11Aの打込み間隔も広く出来、ねじ山間隔が広いため、作業性も良く、外壁複合パネル1の、浮き、の阻止出来る固定が、間柱21Bのひび割れを抑制して施工出来る。
また、各パネル1の上下接続は、断熱層1Bを上下衝合形態で、且つ、各条溝G群を上下整合当接形態で実施するものであって、外壁構造のパネル条溝G群(内側通気層)及び通気層G´(外側通気層)に対する通気機能保証は、完成した外壁の下端と上端で、条溝G群及び通気層G´を外部へ解放形態とすれば良い。
従って、本発明の内外2層の通気層を備えた通気性外断熱外壁構造は、外壁複合パネル1を、外壁躯体WFの構造用面材13に当接止着するだけで、内側外壁としての、内側通気層Gを備えたパネル外壁が形成出来、パネル外壁の外側に、通気胴縁を介して、慣用の外装材12を張設するだけで、外側通気層G´を備えた外側外壁が構築出来、外壁複合パネル1自体が、工場生産品で、軽量で取扱い易いことと相俟って、通気性外張り外壁の構築が、作業性良く、品質に斑無く施工出来る。
そして、外壁複合パネル1の外側に形成された通気層G´(外側通気層)は、日射熱による外装材12の高温化を貫流空気流a´で冷却し、外壁外表面の過加熱による損傷を抑制する。
そして、外側通気層G´の内側面、即ち外壁複合パネル外表面、は輻射熱反射シート1Cであるため、通気層G´内に侵入した高温熱を反射輻射熱として空気流a´で上昇排除し、通気層G´からのパネル断熱層1Bへの熱付加、及び蓄熱作用を抑制し、夏季の冷房の省エネルギー化に寄与する。
また、遮熱反射シート1Cは非透湿性であるため、断熱層1Bに対して、防水層、防湿層として機能し、断熱層1Bに断熱機能低下をもたらす外部からの、即ち通気層G´からの、断熱層1Bへの水蒸気供給作用を抑制し、パネル内部の、即ち断熱層1Bの、湿気(水蒸気)の、条溝G群からの放出を許容する。
そして、パネル1内の内側通気層としての条溝G群は、輻射熱反射層で天井面が保護されているため、冬季の暖房時には、断熱層1B外面、即ち条溝Gの底面から放出される放熱量の大半は、条溝天井面の輻射熱反射層で反射されて断熱層面、即ち条溝Gの底面、で熱変換されて、再度断熱層1Bへ還元付加される作用を奏し、断熱層1Bの、条溝G群を欠損したための断熱欠損を補償する作用を奏する。
そのため、本発明の外壁構造は、非透湿性で表裏面に輻射熱反射層1Kを備えた遮熱反射シート1Cで、内側通気層G(条溝G)と外側通気層G´とを仕切っているため、断熱層1Bの、外部からの吸湿を阻止し、内部からの放湿作用を促進して、断熱層1Bの断熱機能維持を保証すると共に、夏季の、外側通気層G´からの断熱層1Bへの加熱・蓄熱を抑制し、冬季の、断熱層1Bからの放熱を抑制し、冷暖房の省エネルギー化を達成する、高品質の通気性外断熱外壁構造を提供する。
また、本発明の外壁複合パネル1の断熱層1Bは、図2(B)に示す如く、条溝Gの幅a1と、肉厚部1Tの幅a1とが等幅であり、両側縁が半幅a2(1/2a1)の肉厚部1T´であるのが好ましい。
この場合、典型的には、断熱層幅AWは910mmであり、条溝幅も肉厚部幅も、共に45.5mm(a1)であり、両側縁の肉厚部1T´は22.75mm(1/2a1)であり、断熱層1Bの層着面1Sは、条溝Gと肉厚部1Tとが等幅で、交互均等配分となる。
従って、該パネル1を、上下左右に衝合張設した外壁では、各パネル1相互の横方向接続部、即ち垂直当接面Vfでは、半幅(22.75mm)の肉厚部1T´の2本が一体となって肉厚部幅a1(45.5mm)と同幅の肉厚部となるため、条溝G群を介した断熱層1Bの放湿作用は、外壁全面での均一作用となり、断熱層1Bの放湿による断熱機能が外壁全面に亘って均等に維持出来る。
その上、深さGd(標準:15mm)の条溝G群も、パネル面積の1/2に亘って全面均等配分であるため、断熱層1Bの条溝Gの切欠による断熱欠損も、条溝深さGdの1/2(標準:7.5mm欠損)のパネル全面での平準化欠損となり、条溝Gの天井面を覆う輻射熱反射層(アルミ箔)1Kでの条溝Gからの放射輻射熱の、条溝G底面への熱変換再還元付加作用と相俟って、条溝G群による、最低限の放湿機能発揮と、条溝G群切欠による熱損失最小限化とが、外壁面全面に亘って、平準化状態で支障無く、達成出来る。
また、本発明の外壁複合パネル1の遮熱反射シート1Cは、図3(D),(E)に示す如く、プラスチック樹脂シート1E上に突起1F群を付設した芯材1Dの2枚を、突起1F群面を対向して層着し、表裏のシート1E外面にアルミ箔1Kを層着したものが好ましい。
この場合、遮熱反射シート1Cは、内部が空気を封入した各突起1F群面の対向当接形態であるため、空気層が突起1F内、突起1F間に介在して、遮熱反射シート1C自体が断熱材機能を発揮するものであり、典型的には、酒井化学工業(株)製のラミパックSD−W(商品名)の採用が可能であり、ラミパックSD−W(商品名)は、軽量(335g/m)、高遮熱性(2〜18μmの赤外線の93〜99%を反射)、高強度(引張強度3.9N/mm)で、輻射熱の侵入を阻止し、耐久性に優れ、カッターや鋏で容易に切断出来る。
従って、遮熱反射シート1Cは、表裏面のアルミ箔1Kが輻射熱反射作用を発揮すると共に、それ自体も断熱機能を奏するため、夏季は、通気層G´内に入り込んだ高熱を輻射熱として外部に排除すると共に、断熱層1Bへの熱伝導蓄熱を阻止し、冬季では、断熱層1Bを断熱保護すると共に、断熱層1Bの条溝G底面からの放射熱の一部を反射輻射熱として断熱層1B側に還元再付加することにより、断熱層1Bの放熱冷却作用を減少し、断熱層1Bへの条溝G群の切欠による断熱欠損の補償作用を奏する。
そのため、遮熱反射シート1Cを層着した外壁パネル1は、寒冷地方でも、温暖地方でも、省エネルギー化に有効な外断熱外壁の提供が可能となる。
また、外壁複合パネル1の断熱層1Bは、図2(C)に示す如く、厚さT3が75mm厚の押出法ポリスチレンフォーム断熱板1Bで、肉厚部1Tと等幅で深さGdが15mmの条溝G群を備え、遮熱反射シート1Cは、厚さT2が8mmで、押出法ポリスチレンフォーム断熱板1Bの5〜7mm厚に相当する断熱効果を奏するものであるであるのが好ましい。
この場合、遮熱反射シート1Cとして、典型的なラミパックSD−W(商品面)の厚さ8mmのものは、熱伝導率が0.032kcal/mh℃(0.038W/mk)なので、熱伝導率が0.024kcal/mh℃(0.028W/mk)の押出法ポリスチレンフォーム断熱板に換算すると、厚さT2が8mmの遮熱反射シート1Cは、押出法ポリスチレンフォーム断熱板の6mm厚板に相当するものとなる。
また、条溝Gは肉厚部1Tと等幅であるため、断熱層1Bに配置する条溝G群は、断熱層上面(層着面1S)の実質上、1/2の面積を占めることとなり、条溝Gの深さGdが15mmであるため、厚さT3が75mmの断熱層1Bの断熱欠損は、1/2Gd、即ち7.5mmであって、断熱層1Bは、厚さ67.5mm(75mm−7.5mm)の断熱材となる。
また、平成11年告示の次世代省エネ基準に於ける断熱基準(北海道地区)では、木造気密住宅は、熱抵抗値が2.4mk/w(2.06mh℃/kcal)、断熱材厚は70mmとなっている。
従って、本発明の外壁複合パネル1は、75mm厚の断熱層1Bが、条溝G群による7.5mm厚の断熱欠損を生じて、実質上67.5mmとなっているが、断熱層1Bの機能換算で6mmの遮熱反射シート1Cを付加したことにより、断熱層1Bの厚さは、実質上73.5mm厚に評価され、省エネ基準の70mm厚を満たし、且つ、断熱層1Bの断熱機能低下の要因である水蒸気(湿気)を、十分なドラフト空気貫流機能を備えた条溝G群から放散排除出来るものとなる。
しかも、遮熱反射シート1Cは、熱伝達の50〜70%を占める輻射熱を、高いカット率(2〜18μmの赤外線を93〜99%カット)で遮熱するため、本発明の外壁構造は、日本でも、最も厳しい断熱基準(北海道地区基準)を満たし、且つ、断熱機能低下の生じない、高性能な省エネルギー外壁となる。
また、1階用外壁複合パネル1は、図5に示す如く、条溝G群の下端を連通する横断条溝G1を備え、コンクリート基礎立上り部5に固定されたアングル形態の外壁受金具6によって外壁複合パネル1の下端を、外壁受金具の水平辺6Fの空気孔H6と横断条溝G1とを整合形態で支承するのが好ましい。
この場合、横断条溝G1は縦方向の通気条溝Gと同幅、同深さ、で切欠すれば良いが、横断条溝G1のカッターでの切欠は、遮熱反射シート1Cの下端、即ち横断条溝G1の配置部位での、接着保持の観点から、図3(C)に示す如く、断熱層1Bの中央の肉厚部1T及び両側の肉厚部1T´を、遮熱反射シート1C接着面として残した形態に切欠するのが好ましい。
従って、図5(A)に示す如く、外壁受金具6の水平辺6Fの空気孔H6から、上昇空気流aが横断条溝G1内に流入し、横断条溝G1と下端が連通する各条溝G群内を空気流aが貫流上昇するため、水平辺6Fへの空気孔H6の配置は、各条溝Gの配置間隔(45.5mm)とは関係なく、適当間隔(標準:150mm間隔)に、適当な孔径(標準:15mm径)で配置出来、長尺物の外壁受金具6は、強度低下が生じないように、空気孔H6を広間隔で配置出来る。
そして、各パネル1の外壁受金具6への整合配置も、パネル1の、長寸(標準:中央肉厚部1Tと側縁肉厚部1T´との間隔(409.5mm))の横断条溝G1と、外壁受金具6の空気孔H6との、前後位置整合のみで、簡便に実施出来、パネル1の載置作業も容易となる。
また、本発明の外壁複合パネル1の外壁受金具6への配置は、図5(A)に示す如く、外壁受金具6の水平辺先端e6が、外装材12より入り込んだ位置であって、且つ、水平辺6Fと外装材下端縁B12との間に空気流入用間隔adを配置するのが好ましい。
この場合、間隔adは、パネル1の外面の遮熱反射シート1Cと外装材12の内面とで構成する通気層G´(外側通気層)への上昇空気流a´の流入を保証し、且つ通気層G´内へ浸入した雨水が排除出来れば良く、間隔adは、標準15mm確保すれば良い。
従って、コンクリート基礎立上り部5に、強固に固定された外壁受金具6は、内側外壁としての外壁複合パネル1、及び外側外壁(通気胴縁12A+外装材12)の強固な支持を保証し、経年によるパネル1(内側外壁)及び外側外壁の垂れ下りを阻止し、内側通気層としてのパネル内条溝G群と、外側通気層としての外装材12内面の通気層G´への、ドラフト上昇空気流a,a´の導入を保証し、且つ、外側外壁の外面を流下する雨水を、内側外壁側へ導入することなく流下させると共に、外側通気層G´内へ浸入した雨水も、空気流入用間隔adから排除する外壁構造の提供を可能とする。
また、本発明の外壁構造にあっては、外壁複合パネル1の上下接続は、図3(A),(B)に示す如く、断熱層1Bの厚さT3(標準:75mm)の中間までの端面段差d1(標準:20mm)で相欠け接合し、上端では、図6に示す如く、傾斜勾配面Fuで屋根断熱層2Bと整合面当接すると共に、断熱層条溝G群の条溝上端部Guを遮熱反射シート上端(Cu)から露出d2(標準:57.5mm)して実施するのが好ましい。
この場合、パネル1の上下端での端面段差d1は、外壁複合パネル1の張設が、外壁躯体WFに配置した構造用面材13に当接施工すること、及び断熱層1B相互を衝合当接することより、断熱層1Bの厚さT3に対して、パネル下端での切欠厚さT4及び高さd1と、パネル上端での切欠厚さT4及び高さd1とが同寸であれば良く、典型的には、厚さT4が断熱層厚T3(75mm)の1/2であり、高さd1が20mmである。
また、屋根面に当接するパネル1の断熱層1B上端の傾斜勾配面Fuは、屋根面に配置する屋根断熱層2Bの傾斜角度に整合して形成すれば良い。
従って、パネル1相互の上下接続は、十分な肉厚を備えた段差d1での相欠け接続となり、上下パネルの断熱層1B相互の衝合当接作業が簡単に実施出来、各条溝G群の上下整合接続が保証される。
そして、外壁複合パネル1の上端での条溝上端部Guの露出は、パネル1を構造用面材13に張設するだけで、条溝G群の上端からのドラフト上昇空気流aの排出を保証する。
しかも、上下パネル1相互の接続で生ずる水平当接面hfは、断熱層1B相互の相欠け接続であるため、気密性が保証出来、水平当接面hfへの気密テープ処理が不要となる。
本発明の外壁構造は、木造建物の外壁躯体WFに外壁複合パネル1を張設し、パネル張設面上に通気胴縁12Aを介して外装材12を張設するだけで、内側外壁としてのパネル面内の通気用条溝G群による内側通気層と、外側外壁としての外装材12の内側面の通気層G´による外側通気層とを備えた、新規な外張り断熱外壁構造が、外壁複合パネル1自体が軽量で、取扱い易いことと相俟って、簡単、且つ、単純な作業で施工性良く構築出来る。
また、内側通気層としての通気用条溝G群は、パネル製作過程で、断熱層1Bのみに配置したため、断熱層1Bの厚さに対する断熱欠損の支障を許容範囲内に抑え、且つ、ドラフト上昇空気流aの必要流通を生起する条件の下に、例えば、断熱欠損を最小に抑えて通気機能も低いものとするか、断熱欠損を許容限界値として通気機能の優れたものとするか、所望に応じて、カッターで自在に切欠出来、施工地域、及び需要者の希望に応じた木造外張り断熱住宅が構築出来る。
そして、外壁複合パネル1の通気用条溝G群は、断熱層1Bのみに存在するため、2階建、3階建等、外壁複合パネル1を上下接続する際にも、パネル1の断熱層1B相互の上下衝合当接によって、通気用条溝G群の連通構造確保が容易である。
また、外側外壁としての外装材12は、建築時に通気胴縁12Aを介して張設するため、需要者の希望に応じて自由に選択実施出来、外壁構造は、機能面、デザイン面、コスト面から、需要者の好みに自在に対応出来る。
しかも、内側外壁としての外壁複合パネル1の外面の遮熱反射シート1Cは、非透湿で、内側通気層(条溝G群)と、外側通気層G´を仕切っているため、外側通気層G´内に浸入する雨水の防水層となって、雨水を外装材12の下端の隙間(間隔)adより排水して外側通気層G´側からの断熱層1Bへの加湿を阻止し、室内からの水蒸気(湿気)を内側通気層(条溝G群)からドラフト上昇空気流aで排出し、断熱層1Bの吸湿による断熱機能低下を阻止する。
そして、遮熱反射シート1Cを備えた外側通気層G´の存在により、日射作用で外壁面から侵入する輻射熱を反射して、通気層G´から排除するため、外装材12の過熱損傷を抑制すると共に、断熱層1Bへの加熱・蓄熱も抑制する。
そして、遮熱反射シート1Cは、断熱層1Bから条溝G内へ放散する輻射熱の一部を断熱層1B内へ還元再付加するため、断熱層1Bの条溝G群配置による断熱欠損を低減する。
〔外壁複合パネル1(図2、図3)〕
外壁根複合パネル1は、外壁躯体WFに配置した構造用面材に内側外壁として張設するものであって、図2(A)は1階用パネル1の斜視図であり、図2(B)は、屋根下面に衝合当接する2階用パネル1の斜視図であり、図2(C)はパネル1の断面図であり、図3(A)は1階用パネルの一部切欠縦断面図、図3(B)は2階用パネルの一部切欠縦断面図、図3(C)は1階用パネルの下部の一部切欠斜視図である。
即ち、標準パネルにあっては、1階用パネル1と2階用パネル1とは、断面形状は同一であり、上端及び下端で異なるだけであり、共に、パネル厚T1が83mm(T3+T2)で、パネル幅AWが910mm、断熱層1Bの高さBhが2910mmのものである。
外壁複合パネル1の製作は、図2(C)に示す如く、断熱層1Bとして、厚さT3が75mmの押出法ポリスチレンフォーム断熱板1Bを採用し、断熱板1Bの層着面1Sに、幅が45.5mm(a1)で深さGdが15mmの条溝Gを、条溝幅a1と同幅の肉厚部1Tが条溝Gと交互配置となるように、且つ、両側縁では、肉厚部1Tの幅a1(45.5mm)の1/2幅(a2)の肉厚部1T´を残す形態に、断熱板1Bの長さ方向にカッターで切欠し、1階用パネルの断熱層1Bに対しては、図3(C)の如く、各肉厚部1Tの下端を、中央の肉厚部1Tと両側の半幅(a2)の肉厚部1T´を残して、カッターで条溝幅a1(45.5mm)、深さGd(15mm)で切欠して、中央の肉厚部1Tと両側の半幅肉厚部1T´間に横断条溝G1を形成する。
また、1階用断熱層1Bにあっては、図3(A)の如く、上端面に、断熱層1Bの厚さT3(75mm)の1/2厚さに亘って、前面側(条溝G側)を高さd1(20mm)切欠して、後面側に、高さd1(20mm)、厚さ1/2T3、即ち厚さT4(37.5mm)の突出部BPを形成しておく。
また、2階用断熱層1Bに対しては、図3(B)に示す如く、下端面Dには、後面側に、高さd1(20mm)、厚さT4(37.5mm)の切欠BCを形成し、上端面を、断熱層の裏面側から層着面1S側に、高さd3(22.5mm)に亘って傾斜切除し、上端面を傾斜勾配面Fuとしておく。
次いで、図3(D),(E)に示す如く、遮熱反射シート1Cとして、プラスチック樹脂シート1Eに、径10mmの突起1F群を備えた芯材1Dの2枚を、突起1F群面を当接面として層着し、表裏面のプラスチック樹脂シート1Eにアルミ箔1Kを熱融着した、厚さ(T2)が8mmの、ラミパックSD−W(酒井化学工業(株)製:商品名)を採用し、ウレタン樹脂系接着剤を介して、断熱層1Bと等幅(AW)のラミパックSD−W(商品名)を断熱層1Bの層着面1S上に、図2の如く層着し、1階用パネル、及び2階用パネルを準備する。
この場合、1階用パネルにあっては、図3(A)に示す如く、遮熱反射シート1Cを、上端部Cu及び下端部Cdが断熱層1Bの層着面1Sの上下端と面一とし、2階用パネルにあっては、図3(B)に示す如く、遮熱反射シート1Cを、上端Cuは、断熱層1Bの層着面1S上端よりd2(標準:35mm)下方位置として条溝上端部Guを露出形態とし、下端部Cdは、断熱層下端面Dと面一とする。
〔基礎施工(図1、図5)〕
基礎立上り部5のコンクリート打設に際しては、図5(A)に示す如く、外壁複合パネル1の断熱層1Bと同質で、厚さT30が50mmの断熱層3Bに、厚さ12mmのマグネシウムセメント板3Aを、上端ではd5(10mm)入り込み、左右側端では、相欠け用に、一側で突出し、他側で入り込んだ形態に層着した基礎断熱複合パネル3を、基礎立上り部5の下方に並列相欠け接続して、固定ボルト18Bを備えた落下防止アンカー18Aを配置して捨型枠とし、基礎断熱複合パネル3の上部に慣用の型枠板を連設してコンクリート外型枠を構築し、コンクリート打設する。
そして、基礎立上り部5の天端5uに均しモルタル18Eを充填して、天端5uの不陸を調整する。
次いで、図5(B)に示す、肉厚4mmで、水平辺6Fの幅Whが115mm、垂直辺6Wの幅Wvが75mmで、水平辺6Fには15mm径の空気孔H6を150mm間隔で備え、垂直辺6Wにはボルト挿入用孔H6´(標準:径12mm)を1200mm間隔で備えた、長尺物のアングル鋼材外壁受金具6を配置するように、基礎断熱複合パネル3上方のコンクリート露出部前面の、均しモルタル18Eの上面よりCd1(標準:60mm)下方位置に、外壁受金具6の水平辺6F位置をパネル割付図に基づき墨出しし、ドリルでコンクリート穴H5を配置し、コンクリート穴H5と外壁受金具6のボルト挿入用孔H6´とを整合して、座金を介して外径10mm、長さ50mmの後打ちアンカーボルト5Bを螺入打込む。
この場合、必要に応じて、鋼製パッキンPKでコンクリート基礎立上り部前面と、外壁受金具垂直辺6Wとの不陸を調整する。
尚、1200mm間隔で配置する後打ちアンカーボルト5Bは、1本当り、引張り最大荷重が918kgf、剪断最大荷重が1122kgfの支持力を発揮する。
次いで、基礎コンクリート立上り部5の前面への外壁受金具6の取付けが完了した後、図5(A)に示す如く、後貼り基礎断熱複合パネル4を、外壁受金具6の水平辺6F下面と、基礎断熱複合パネル3上面との間に配置する。
後貼り基礎断熱複合パネル4は、図5(A)に示す如く、外壁受金具6の垂直辺6W及び後打ちアンカーボルト5Bを隠蔽するパネルであって、基礎断熱複合パネル3のセメント板3A、断熱層3Bと同材質の、セメント板4A及び断熱層4Bを採用し、断熱層4Bは、厚さT40が40mmとし、セメント板4Aに対して、上端では10mm突出し、下端では10mm入り込んだ形態であって、断熱層4Bとセメント板4Aとは、同幅で、左右に10mmずらして層着一体化したパネルである。
そして、後貼り基礎断熱複合パネル4は、コンクリート基礎立上り部5の露出前面に団子状の接着剤18Dを散在添着して、コンクリート基礎立上り部5の前面に断熱層4B面を押し付け、パネル4相互を左右相欠け接合で、基礎断熱複合パネル3に対しては上下相欠け接合して、下方の基礎断熱複合パネル3と面一に張設する。
この場合、後貼り基礎断熱複合パネル4の断熱層4Bの後面に、後打ちアンカーボルト5Bの頭部収納用の切欠C4を、予め配置しておく。
そして、各後貼り基礎断熱複合パネル4の両側端部の表面から、径6mm、長さ90mmの、長ねじの後打ちアンカー18Cを、コンクリート基礎立上り部5に打込む。
後打ちアンカー18Cとしては、サンコーテクノ(株)製のPレスアンカー(商品名)を用いれば、1本当り、550kgfの引張り最大応力を発揮する。
次いで、外壁受金具6の水平辺6F下面と、後貼り基礎断熱複合パネル4のセメント板上端euとの間隔suには、慣用の平板状のバックアップ材15Bを介してシーリング15Aを充填する。
そして、後貼り基礎断熱複合パネル4と基礎断熱複合パネル3との各セメント板4A,3Aの接続部には、慣用の、樹脂モルタル塗布+ガラスネット張着+樹脂モルタル塗布、の手段で空密仕上る。
〔木造躯体の構築(図1、図4)〕
コンクリート基礎立上り部5の均しモルタル18E上に、前面を揃えて断面正方形の木材の土台21Cを配置し、図5(A)に示す如く、座金19C、ナット19Bを介したアンカーボルト19Aの締着によって、土台21Cを基礎立上り部5上に固定する。
そして、慣用の手法で、土台21C上に、1階の柱21Aを立設し、柱21A上に胴差21Dを配置し、胴差21D上に2階の柱21Aを立設し、2階柱21A上に軒桁21Eを配置し、次いで、土台21Cと胴差21D間、胴差21Dと軒桁21E間に、間柱21Bを配置して外壁躯体WFを構築する。
次いで、慣用の手法で対面する柱21A間に梁22Dを配置し、梁22D上に小屋束22Cを立設し、小屋束22C上に、棟木22A、母屋(図示せず)を、棟木、母屋、軒桁上に屋根用複合パネル2を配置して屋根Rを形成する。
そして、外壁受金具6の垂直辺6Wの上面から屋根用複合パネル2の下面までの、柱21A及び間柱21Bなどの外壁躯体WFに、図4の如く、12mm厚の構造用面材13を、36mm長のねじで張着し、構造用面材13の接合部J13には、慣用の気密テープ14Aを貼着する。
〔外壁の構築(図4、図5、図6)〕
外壁Wは、木造躯体の外壁躯体WFに、内側外壁として外壁複合パネル1を張設し、内側外壁の外面に、通気胴縁12Aを介して、外側外壁としての外装材12を張設するものであり、図4(A)は、外壁の一部切欠斜視図、図4(B)は外壁の横断面図、図5(A)は外壁の下部縦断面図、図6は外壁の上部縦断面図である。
外壁複合パネル(外壁パネル)1の構造用面材13への張設は、図5(A)に示す如く、1階用パネル1の下面を外壁受金具6の水平辺6F上に、下端の横断条溝G1を外壁受金具の空気孔H6に整合して載置し、2階用パネル1を1階用パネル1上に、上下各断熱層1Bを突出部BPと切欠BCの相欠け接合で、各通気用条溝G群を上下連通させて衝合接続し、2階用パネル1の上端の傾斜勾配面Fuを、図6の如く、屋根用複合パネル2の断熱層下面Fdと当接衝合する。
そして、図4に示す如く、各外壁複合パネル1相互の垂直当接面Vf及び中央の肉厚部1Tに厚さ20mm、幅45mmの木製の通気胴縁12Aを上下方向に配置し、長ねじ11Aを、通気胴縁12A上からパネル1及び構造用面材13を貫通して、土台21C、柱21A、及び間柱21Bに打込み、深さGd´が20mmの外側通気層G´を備えた外側外壁とする。
この場合、長ねじ11Aとしては、径5.3mm、長さ160mmの、サンコーテクノ(株)製のコーススレッド(商品名)を採用すれば、該長ねじ11Aは、JISA5508の木工事用鉄丸くぎ(許容剪断耐力:70kgf/本)の5倍の強度を有するので、長ねじ11Aの使用間隔が広く出来、柱、間柱を長ねじ11Aで割ることも抑制出来て、作業性も向上する。
次いで、通気胴縁12Aの外面には、外装材12として、慣用の、14mm厚のサイディング(セメント、火力発電所から出るフライアッシュ(石炭灰)などの無機質材料を主原料として繊維類を配合したセメント板)を採用し、最下端B12では、図5(A)の如く、外壁受金具6の水平辺6F上面と空気流入用間隔ad(標準:15mm)を確保し、最上端では、図6の如く、通気層G´からの空気流a´の流出間隔を確保して、通気胴縁12Aに釘打ち固定し、外壁複合パネル1の外面に、通気胴縁12Aの厚さの外側通気層G´を形成する。
そのため、得られる2階建木造建物の、新規な外壁構造は、図1に示す如く、外壁複合パネル1の断熱層1Bが、外壁受金具6の水平辺6F上面から屋根面までの構造用面材13の外面を断熱被覆し、表裏面が輻射熱反射層であり、且つ非透湿である遮熱反射シート1Cの、内側の条溝G群(内側通気層)は、外壁受金具6の水平辺6Fの空気孔H6から横断条溝G1に流入する空気流aを、条溝上端部Guから放出することにより、断熱層1Bからの水蒸気を放出して、断熱層1Bの吸湿による断熱機能低下が抑制出来ると共に、断熱層1Bからの放出輻射熱の一部を断熱層1Bに再還元して、条溝G形成による断熱機能低下も抑制出来るものとなる。
そして、遮熱反射シート1Cの外側の通気層G´(外側通気層)は、外壁受金具6の水平辺6F上面の空気流入用間隔adから屋根下面へのドラフト上昇空気流a´により、日射作用で高熱化する通気層G´内の輻射熱を反射放出して、外壁面の過加熱による損傷が防止出来ると共に、遮熱反射シート1C自体の断熱機能と相俟って、断熱層1B側への熱伝達も抑制出来て、断熱層1Bへの通気層G´からの加熱・蓄熱も阻止出来、例え、外側外壁(外装材)の上端から雨水が外側通気層G´内に浸入しても、外壁下端の空気流入用間隔adから下方に排出して、断熱層1Bの吸湿も阻止出来るものとなる。
従って、外壁構造は、従来の外張り断熱工法での断熱層と同程度の厚さの断熱層を採用しても、従来の断熱機能より、遥かに優れた断熱機能を、常時、且つ長期間発揮し、木造建物の省エネルギー化に有効な、高品質、高性能な外張り断熱外壁となる。
そして、内側外壁としての外壁複合パネル1は、工場生産品であって均質部材として準備出来、外側外壁(外装材)の張設も、単純で、品質の斑の生じない施工であるため、構築した通気性外壁は、品質の保証されたものとなる。
しかも、外側外壁としての外装材は、需要者の希望に応えることも出来る。
本発明を実施した木造建物の一部切欠縦断面図である。 外壁複合パネルの説明図であって、(A)は1階用パネルの一部切欠斜視図、(B)は2階用パネルの一部切欠斜視図、(C)は(A)のC−C線縦断面図である。 外壁複合パネルの説明図であって、(A)は1階用パネルの一部切欠縦断面図、(B)は2階用パネルの一部切欠縦断面図、(C)は1階用パネルの下部の一部切欠斜視図、(D)は遮熱反射シートの断面図、(E)は(D)のE−E線横断平面図である。 本発明外壁の説明図であって、(A)は一部切欠斜視図、(B)は横断面図である。 外壁複合パネルの支承説明図であって、(A)は縦断面図、(B)は外壁受金具の斜視図である。 外壁構造の上部縦断面図である。 従来例1の説明図であって、(A)は一部切欠縦断面図、(B)は(A)の部分拡大図である。 従来例2の説明図であって、(A)はパネル斜視図、(B)は構築方法説明図、(C)は外壁斜視図、(D)は(C)の要部縦断面図である。 従来例3の説明図であって、(A)はパネルの横断面図、(B)は変形例の横断面図である。 従来例4の複合パネルの斜視説明図である。
符号の説明
1 外壁複合パネル(外壁パネル、複合パネル、パネル)
1B,2B,3B,4B 断熱層(断熱板)
1C 遮熱反射シート
1D 芯材
1E プラスチック樹脂シート(シート)
1F 突起
1K アルミ箔(輻射熱反射層)
1S 層着面
1T,1T´ 肉厚部
2 屋根複合パネル
3 基礎断熱複合パネル(基礎パネル)
3A,4A セメント板
4 後貼り基礎断熱複合パネル(後貼り基礎パネル)
5 コンクリート基礎立上り部(基礎立上り部)
5B 後打ちアンカーボルト
6 外壁受金具
6F 水平辺
6W 垂直辺
11A 長ねじ
12 外装材
12A 通気胴縁
13 構造用面材
14A 気密テープ
15A シーリング
15B バックアップ材
18A 落下防止アンカー
18B 固定ボルト
18C 後打ちアンカー
18D 接着剤
18E 均しモルタル
19A アンカーボルト
19B ナット
19C 座金
21A 柱
21B 間柱
21C 土台
21D 胴差
21E 軒桁
22A 棟木
22C 小屋束
22D 梁
a,a´ 空気流(空気)
ad 空気流入用間隔(間隔)
BC,C4 切欠
BP 突出部
B12 外装材下端縁
Cd 遮熱反射シート下端部
Cu 遮熱反射シート上端部
e6 水平辺先端
Fu 傾斜勾配面
G 条溝(内側通気層)
G´ 通気層(外側通気層)
G1 横断条溝
Gu 条溝上端部
H5 コンクリート穴
H6 空気孔
H6´ ボルト挿入用孔
hf 水平当接面
J13 接合部
PK 鋼製パッキン
R 屋根
Vf 垂直当接面
W 外壁
WF 外壁躯体

Claims (7)

  1. 木造建物の外壁躯体(WF)に、通気性外壁複合パネル(1)を張設して内側外壁を構築し、内側外壁の外側に、通気層(G´)を介して外装材(12)を配置した外壁構造であって、外壁複合パネル(1)は、発泡プラスチック断熱層(1B)の層着面(1S)に、通気用条溝(G)と、層着用の肉厚部(1T,1T´)とを、縦方向に、交互に配置し、表裏両面が輻射熱反射層を備えた非透湿性の遮熱反射シート(1C)を層着面(1S)に層着一体化したものであり、外壁複合パネル(1)を、遮熱反射シート(1C)を外面として外壁躯体(WF)に張設し、遮熱反射シート(1C)の外面に通気胴縁(12A)を縦方向に配置し、通気胴縁(12A)を介して外装材(12)を、外壁複合パネル(1)の遮熱反射シート(1C)との間に通気層(G´)を保持した形態で張設した、木造建物の通気性外断熱の外壁構造。
  2. 外壁複合パネル(1)の断熱層(1B)は、条溝(G)の幅(a1)と、肉厚部(1T)の幅(a1)とが等幅であり、両側縁が半幅(a2)の肉厚部(1T´)である、請求項1に記載の外壁構造。
  3. 遮熱反射シート(1C)は、プラスチック樹脂シート(1E)上に突起(1F)群を付設した芯材(1D)の2枚を、突起(1F)群面を対向して層着し、表裏のシート(1E)外面にアルミ箔(1K)を層着した遮熱反射シートである、請求項1、又は2に記載の外壁構造。
  4. 断熱層(1B)は、厚さ(T3)が75mm厚の押出法ポリスチレンフォーム断熱板(1B)で、肉厚部(1T)と等幅で深さ(Gd)が15mmの条溝(G)群を備え、遮熱反射シート(1C)は、厚さ(T2)が8mmで、押出法ポリスチレンフォーム断熱板(1B)の5〜7mm厚に相当する断熱効果を奏するものである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の外壁構造。
  5. 1階用外壁複合パネル(1)は、条溝(G)群の下端を連通する横断条溝(G1)を備え、コンクリート基礎立上り部(5)に固定されたアングル形態の外壁受金具(6)によって外壁複合パネル(1)の下端を、外壁受金具の水平辺(6F)の空気孔(H6)と横断条溝(G1)とを整合形態で支承した、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の外壁構造。
  6. 外壁受金具(6)の水平辺先端(e6)が、外装材(12)より入り込んだ位置であって、且つ、水平辺(6F)と外装材下端縁(B12)との間に空気流入用間隔(ad)を配置した、請求項5に記載の外壁構造。
  7. 外壁複合パネル(1)の上下接続は、断熱層(1B)の厚さ(T3)中間までの端面段差(d1)で相欠け接合し、上端では、傾斜勾配面(Fu)で屋根断熱層(2B)と整合面当接すると共に、断熱層条溝(G)群の条溝上端部(Gu)を遮熱反射シート上端(Cu)から露出した、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の外壁構造。
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