JP2020057472A - 封止体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程並びに封止後の加工及び搬送等の過程において、ガスバリアフィルムに傷や割れが生じるのをプロテクトフィルムによって防止しながらも、プロテクトフィルムを剥離する際に被封止物と接着剤層との間で隙間を生じさせることなく、しかも被封止物の耐久性を良好なものとできる、封止体の製造方法を提供する。【解決手段】下記工程(1)〜(3)をこの順で有する、封止体の製造方法とした。・工程(1):硬化性の接着剤層と、ガスバリアフィルムと、プロテクトフィルムとが、この順で配置された積層構造を有するガスバリア性積層体を、前記硬化性の接着剤層を貼り合せ面として被封止物に貼付する工程・工程(2):前記硬化性の接着剤層を硬化させる工程・工程(3):前記プロテクトフィルムを前記ガスバリア性積層体から剥離する工程【選択図】なし

Description

本発明は、封止体の製造方法に関する。
近年、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として、有機EL素子が注目されている。
しかし、有機EL素子は、発光特性が経時的に低下しやすい問題がある。この問題は、酸素や水分等が有機EL素子の内部に浸入し、電極や有機層を劣化させることにより生じると考えられている。そこで、この問題への対策として、有機EL素子を封止材で封止し、酸素や水分等の浸入を防ぐことが行われている。
具体的には、層構成を有するガスバリア性の封止材で、有機EL素子等の被封止物を封止する方法が提案されている。特許文献1には、接着性フィルム上にガスバリアフィルムを積層した封止フィルムを用いて、有機EL素子を封止する技術について記載されている。
特開2007−197517号公報
有機EL素子等の電子デバイスのように、酸素や水分等による劣化を防止する必要のある被封止物は、特許文献1に記載の層構成を有する封止フィルムのように、接着剤層とガスバリアフィルムとを積層した積層構造を有するガスバリア性積層体によって封止されることがある。
ところで、被封止物をガスバリア性積層体で封止する際、ガスバリアフィルムは最表面に配置される。そのため、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程、さらには封止後の加工及び搬送等の過程で、ガスバリアフィルムに傷や割れが生じ、ガスバリアフィルムのガスバリア性が低下してしまう恐れがある。また、被封止物を有機EL素子等の発光素子とし、ディスプレイ等の用途で利用する場合、ガスバリアフィルムに傷や割れが生じると、当該傷や割れが欠陥となり、輝点等が発生する要因となる。
そこで、本発明者らは、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程並びに封止後の加工及び搬送等の過程において、ガスバリアフィルムに傷や割れが生じるのを防止するために、ガスバリアフィルムの表面全体をプロテクトフィルムで保護し、所望のタイミングでプロテクトフィルムを剥離することを考えた。所望のタイミングとは、例えば、ガスバリアフィルムの保護が不要になったタイミングやガスバリアフィルムを露出させる必要が生じたタイミング等を意味する。
ところが、プロテクトフィルムを剥離すると、被封止物と接着剤層との間で、隙間が発生する場合があることが明らかになった。被封止物と接着剤層との間で隙間が発生すると、当該隙間から酸素や水分等が浸入して被封止物の劣化が生じる恐れがある。また、外観も不良となる。一方で、ガスバリア性積層体によって封止された封止体において、被封止物と接着剤層との間に隙間が発生しなくとも、種々の要因によって、酸素や水分等が浸入して被封止物の劣化が生じる恐れがある。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程並びに封止後の加工及び搬送等の過程において、ガスバリアフィルムに傷や割れが生じるのをプロテクトフィルムによって防止しながらも、プロテクトフィルムを剥離する際に被封止物と接着剤層との間で隙間を生じさせることなく、しかも被封止物の耐久性を良好なものとできる、封止体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ガスバリアフィルムをプロテクトフィルムにより保護するという上記着想に基づき、鋭意検討を行った。その結果、硬化性の接着剤層と、ガスバリアフィルムと、プロテクトフィルムとが、この順で配置された積層構造を有するガスバリア性積層体を用いて被封止物を被覆し、前記硬化性の接着剤層を硬化させた後に、前記プロテクトフィルムを前記ガスバリア性積層体から剥離することによって、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[13]に関する。
[1] 下記工程(1)〜(3)をこの順で有する、封止体の製造方法。
・工程(1):硬化性の接着剤層と、ガスバリアフィルムと、プロテクトフィルムとが、この順で配置された積層構造を有するガスバリア性積層体を、前記硬化性の接着剤層を貼り合せ面として被封止物に貼付する工程
・工程(2):前記硬化性の接着剤層を硬化させる工程
・工程(3):前記プロテクトフィルムを前記ガスバリア性積層体から剥離する工程
[2] 前記ガスバリア性積層体が有する前記硬化性の接着剤層が、ポリオレフィン系樹脂(A)を含む接着剤組成物から形成された層である、[1]に記載の封止体の製造方法。
[3] 前記ポリオレフィン系樹脂(A)が、変性ポリオレフィン系樹脂(A1)を含む、[2]に記載の封止体の製造方法。
[4] 前記ガスバリア性積層体が有する前記硬化性の接着剤層が、硬化性成分(B)を含む接着剤組成物から形成された層である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の封止体の製造方法。
[5] 前記ガスバリア性積層体が有する前記硬化性の接着剤層が、エネルギー線硬化性の接着剤層である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の封止体の製造方法。
[6] 前記ガスバリア性積層体が有する前記ガスバリアフィルムが、基材層とガスバリア層とを有する、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の封止体の製造方法。
[7] 前記基材層が、樹脂成分として、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、及びシクロオレフィンコポリマーから選択される1種以上を含む樹脂フィルムを有する、[6]に記載の封止体の製造方法。
[8] 前記基材層の厚さが、30μm以下である、[6]又は[7]に記載の封止体の製造方法。
[9] 前記ガスバリア層が、高分子化合物を含み、改質処理が施された高分子層である、[6]〜[8]のいずれか1つに記載の封止体の製造方法。
[10] 前記ガスバリア層と前記硬化性の接着剤層とが、直接積層されている、[6]〜[9]のいずれか1つに記載の封止体の製造方法。
[11] 前記ガスバリア性積層体が有する前記プロテクトフィルムが、プロテクト層と粘着剤層とを有し、前記粘着剤層が前記ガスバリアフィルムに貼付されている、[1]〜[10]のいずれか1つに記載の封止体の製造方法。
[12] 前記ガスバリア性積層体を、前記硬化性の接着剤層を貼り合せ面として、下記条件(α)でガラス板にローラーで押し当てて、ガスバリア性積層体とガラス板とを貼付した後、下記条件(β)で剥離し、その他の条件はJIS Z0237:2000に準拠して測定される、前記ガラス板と前記硬化性の接着剤層との間の粘着力aと、前記ガスバリアフィルムと前記プロテクトフィルムとの間の粘着力bとが、下記式(1)を満たす、[1]〜[11]のいずれか1つに記載の封止体の製造方法。
a≦b・・・(1)
条件(α):温度23℃、圧力0.2MPa、及び速度0.2m/min
条件(β):貼付後、23℃で相対湿度50%の環境下で24時間静置して剥離、剥離速度300mm/min及び剥離角度180°
[13] 前記ガスバリア性積層体を、前記硬化性の接着剤層を貼り合せ面として、下記条件(α)でガラス板にローラーで押し当てて、ガスバリア性積層体とガラス板とを貼付した後、下記条件(β)で剥離し、その他の条件はJIS Z0237:2000に準拠して測定される、前記ガスバリアフィルムと前記プロテクトフィルムとの間の粘着力bが、1.3N/50mm以上である、[1]〜[12]のいずれか1つに記載の封止体の製造方法。
本発明によれば、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程並びに封止後の加工及び搬送等の過程において、ガスバリアフィルムに傷や割れが生じるのをプロテクトフィルムによって防止しながらも、プロテクトフィルムを剥離する際に被封止物と接着剤層との間で隙間を生じさせることなく、しかも被封止物の耐久性を良好なものとできる。
以降の説明において、「ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力a」及び「ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力b」は、本発明の封止体の製造方法において用いられるガスバリア性積層体を、硬化性の接着剤層を貼り合せ面として、下記条件(α)でガラス板にローラーで押し当てて、ガスバリア性積層体とガラス板とを貼付した後、下記条件(β)で剥離し、その他の条件はJIS Z0237:2000に準拠して測定される、ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力、及びガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力をそれぞれ意味する。
条件(α):温度23℃、圧力0.2MPa、及び速度0.2m/min
条件(β):貼付後、23℃で相対湿度50%の環境下で24時間静置して剥離、剥離速度300mm/min
なお、ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aは、ガラス板に貼付したガスバリア性積層体を剥離して測定される。ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bは、ガラス板に貼付したガスバリア性積層体からプロテクトフィルムを剥離して測定される。
また、本発明において、「硬化性の接着剤層」とは、未硬化の接着剤層を意味している。
また、本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒として用いた、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
[本発明の封止体の製造方法]
本発明の封止体の製造方法は、下記工程(1)〜(3)をこの順で有する。
・工程(1):硬化性の接着剤層と、ガスバリアフィルムと、プロテクトフィルムとが、この順で配置された積層構造を有するガスバリア性積層体を、前記硬化性の接着剤層を貼り合せ面として被封止物に貼付する工程
・工程(2):前記硬化性の接着剤層を硬化させる工程
・工程(3):前記プロテクトフィルムを前記ガスバリア性積層体から剥離する工程
以下、本発明の封止体の製造方法に用いられるガスバリア性積層体について説明した後、工程(1)〜(3)を含む各製造工程について説明する。
[ガスバリア性積層体]
ガスバリア性積層体は、硬化性の接着剤層と、ガスバリアフィルムと、プロテクトフィルムとが、この順で配置された積層構造を有する。
なお、本明細書において、「ガスバリア」とは、酸素や水蒸気等の気体の透過を防止する機能を意味する。
以下、ガスバリア性積層体を構成する各層について、詳細に説明する。
[硬化性の接着剤層]
本発明の製造方法に用いられるガスバリア性積層体は、硬化性の接着剤層を有する。接着剤層が硬化性であることで、貼付時には接着剤層は未硬化の状態であり、容易に被封止物に貼付することができると共に、被封止物の凹凸に対する追従性も良好なものとできる。そして、硬化性の接着剤層を被封止物に貼付した後に硬化することにより、被封止物と接着剤層とが強固に接着される。その結果、ガスバリア性積層体は、酸素や水蒸気等が浸入することに起因した被封止物の劣化を防止する性能に優れる。また、プロテクトフィルムを剥離する際に、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じることがなく、当該隙間に酸素や水分が浸入することによる被封止物の劣化が防止されると共に、外観不良も起こらない。
硬化性の接着剤層は、熱又はエネルギー線により硬化し得る熱硬化性の接着剤又はエネルギー線硬化性の接着剤から形成される。
なお、エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、電子線等が挙げられ、好ましくは紫外線である。
ここで、本発明の一態様において、封止性能をより向上させる観点から、硬化性の接着剤層は、ポリオレフィン系樹脂(A)及び硬化性成分(B)のいずれか一方を含む接着剤組成物により形成されることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂(A)及び硬化性成分(B)の両方を含む接着剤組成物により形成されることがより好ましい。
また、本発明の一態様において、硬化性の接着剤層を形成するための接着剤組成物は、ポリオレフィン系樹脂(A)及び硬化性成分(B)以外の他の成分を含有してもよい。
当該他の成分としては、シランカップリング剤(C)、硬化触媒(D)、粘着付与剤(E)、及びエネルギー線重合開始剤(F)から選ばれる1種以上が挙げられる。なお、エネルギー線重合開始剤は、一般的には、「光重合開始剤」ともいうため、以降の説明では、単に「光重合開始剤(F)」というが、重合反応を開始させるためのエネルギー線は、光には限定されず、上記のエネルギー線全般を用いることができる。
また、以降の説明では、「ポリオレフィン系樹脂(A)」、「硬化性成分(B)」、「シランカップリング剤(C)」、「硬化触媒(D)」、「粘着付与剤(E)」、及び「光重合開始剤(F)」を、それぞれ「成分(A)」、「成分(B)」、「成分(C)」、「成分(D)」、「成分(E)」、及び「成分(F)」ともいう。
本発明の一態様において、ポリオレフィン系樹脂(A)及び硬化性成分(B)の両方を含む接着剤組成物中の成分(A)及び(B)の合計含有量は、当該接着剤組成物の 有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、更になお好ましくは99質量%以上であり、また、通常100質量%以下である。
また、接着剤組成物が成分(C)、(D)、(E)、及び(F)から選択される1種以上を含む場合、接着剤組成物中の成分(A)及び(B)と、成分(C)、(D)、(E)、及び(F)から選択される1種以上の成分との合計含有量は、当該接着剤組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは85〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%である。
なお、本明細書において、「接着剤組成物の有効成分」とは、接着剤組成物中に含まれる希釈溶媒を除いた成分(固形分)を意味する。
硬化性の接着剤層の厚みは、被封止物に対する優れた封止性を確保する観点から、好ましくは0.5〜300μm、より好ましくは3〜200μm、更に好ましくは5〜150μm、より更に好ましくは5〜80μmである。
また、硬化性の接着剤層を硬化した後の水蒸気透過率は、良好なガスバリア性を確保する観点から、好ましくは100g/m・day以下、より好ましくは85g/m・day以下、更に好ましくは70g/m・day以下である。
なお、本明細書において、「硬化性の接着剤層を硬化した後の水蒸気透過率」は、ガス透過率測定装置(mocon社製、製品名「PERMATRAN」)を用いて測定した値を意味するが、他の汎用的な水蒸気透過率測定装置を用いた測定値も同様の値を示す。
以下、接着剤組成物中の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)について、詳細に説明する。
<ポリオレフィン系樹脂(A)>
本発明の一態様において、接着剤組成物は、ポリオレフィン系樹脂(A)を含有することが好ましい。
本明細書において、「ポリオレフィン系樹脂」とは、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位を有する重合体を意味する。
接着剤組成物がポリオレフィン系樹脂(A)を含有することで、硬化後の接着剤層の水蒸気透過率を低下させやすい。したがって、硬化後の接着剤層の水蒸気遮断性を向上させやすい。
その一方で、接着剤組成物がポリオレフィン系樹脂(A)を含有することで、ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aが低くなりやすい。そのため、硬化性の接着剤層が未硬化の状態である場合、プロテクトフィルムを剥離する際に被封止物と接着剤層との間に隙間が生じやすい。しかし、本発明では、硬化性の接着剤層を硬化させて、接着剤層と被封止物とを強固に接着してからプロテクトフィルムを剥離するため、被封止物と接着剤層との間に隙間が生じるのを防止することができる。したがって、本発明の一態様では、接着剤組成物がポリオレフィン系樹脂(A)を含有することで、硬化後の接着剤層の水蒸気遮断性の向上を図りつつ、プロテクトフィルムを剥離した後も、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じることがなく、酸素や水分の浸入を防止して被封止物の劣化を防ぐことができると共に、外観も良好なものとできる。
接着剤組成物中のポリオレフィン系樹脂(A)の含有量は、接着剤組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは40〜90質量%、更に好ましくは50〜80質量%である。
上記ポリオレフィン系樹脂(A)の含有量が、上記範囲にあることで、硬化後の接着剤層の水蒸気透過率をより低下させやすい。一方で、ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aは、ポリオレフィン系樹脂(A)の含有量が増えるほどより低くなりやすく、硬化性の接着剤層が未硬化の状態である場合、プロテクトフィルムを剥離する際に被封止物と接着剤層との間に隙間が生じやすい。しかし、本発明では、硬化性の接着剤層を硬化させて、接着剤層と被封止物とを強固に接着してからプロテクトフィルムを剥離するため、被封止物と接着剤層との間に隙間が生じるのを防止することができる。したがって、本発明の一態様では、接着剤組成物中のポリオレフィン系樹脂(A)の含有量を上記範囲として硬化後の接着剤層の水蒸気遮断性の向上を図りつつ、プロテクトフィルムを剥離した後も、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じることがなく、酸素や水分の浸入を防止して被封止物の劣化を防ぐことができると共に、外観も良好なものとできる。
ポリオレフィン系樹脂(A)が有するオレフィン系単量体としては、炭素数2〜8のα−オレフィンが好ましく、中でも、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンが好ましい。
なお、ポリオレフィン系樹脂(A)は、2種以上のα−オレフィン由来の単位を有していてもよい。また、ポリオレフィン系樹脂(A)は、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位のみからなる重合体であってもよいし、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位と、オレフィン系単量体と共重合可能な単量体由来の繰り返し単位とからなる共重合体であってもよい。オレフィン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、及びスチレン等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を意味し、他の類似用語も同様である。
ポリオレフィン系樹脂(A)の具体例としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、オレフィン系エラストマー(TPO)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリイソブチレン、ポリイソプレン等が挙げられる。
ここで、本発明の一態様において、硬化後の接着剤層の封止性能を更に向上させる観点から、ポリオレフィン系樹脂(A)は、変性ポリオレフィン系樹脂(A1)を含むことが好ましい。
本明細書において、「変性ポリオレフィン系樹脂(A1)」とは、前駆体となるポリオレフィン系樹脂(A)が変性剤と反応し、主鎖となるポリオレフィン系樹脂(A)に変性剤が有する官能基が側鎖として導入された重合体を意味する。
なお、変性剤は、分子内に2種以上の官能基を有していてもよい。
変性剤が有する官能基であって、主鎖となるポリオレフィン系樹脂(A)に側鎖として導入することができる官能基としては、例えば、カルボキシル基、カルボン酸無水物に由来の基、カルボン酸エステル基、水酸基、エポキシ基、アミド基、アンモニウム基、ニトリル基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基、アセチル基、チオール基、エーテル基、チオエーテル基、スルホン基、ホスホン基、ニトロ基、ウレタン基、ハロゲン原子、アルコキシシリル等が挙げられる。
これらの官能基の中でも、カルボキシル基、カルボン酸無水物に由来の基、カルボン酸エステル基、水酸基、アンモニウム基、アミノ基、イミド基、イソシアネート、アルコキシシリル基が好ましく、中でも、カルボン酸無水物に由来の基が好ましい。
ここで、変性ポリオレフィン系樹脂(A1)は、硬化性成分(B)との反応性を高める観点から、酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
本明細書において、「酸変性ポリオレフィン系樹脂」とは、前駆体となるポリオレフィン系樹脂(A)が酸基を有する化合物と反応し、主鎖となるポリオレフィン系樹脂(A)に酸基が側鎖として導入された重合体を意味する。
なお、主鎖となるポリオレフィン系樹脂(A)に、酸基を有する化合物の酸基を側鎖として導入する方法及び条件は、特に限定されず、公知の側鎖の導入手法を採用することができる。
酸基を有する化合物としては、主鎖となるポリオレフィン系樹脂(A)に側鎖として導入することができるものであれば、特に限定されないが、好ましくは不飽和カルボン酸及びその無水物が挙げられる。
不飽和カルボン酸及びその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、アコニット酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸及びその無水物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの不飽和カルボン酸及びその無水物の中でも、硬化後の接着剤層の封止性能をより更に向上させる観点から、無水マレイン酸が好ましい。
なお、酸変性ポリオレフィン系樹脂は、市販品であってもよい。
市販品の酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、アドマー(登録商標)(三井化学社製)、ユニストール(登録商標)(三井化学社製)、BondyRam(Polyram社製)、orevac(登録商標)(ARKEMA社製)、モディック(登録商標)(三菱化学社製)等が挙げられる。
前駆体となるポリオレフィン系樹脂(A)と反応させる、酸基を有する化合物の配合量は、前駆体となるポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜3質量部、更に好ましくは0.2〜1.0質量部である。
酸基を有する化合物の配合量が、上記範囲にあることで、硬化後の接着剤層の封止性能を向上させやすい。
ポリオレフィン系樹脂(A)及び変性ポリオレフィン系樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜2,000,000、より好ましくは20,000〜1,500,000、更に好ましくは25,000〜250,000、より更に好ましくは30,000〜150,000である。
ポリオレフィン系樹脂(A)及び変性ポリオレフィン系樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)が、上記範囲にあることで、接着剤組成物から形成される接着剤層をシート形状に維持しやすい。
なお、本発明の一態様において、ポリオレフィン系樹脂(A)は、変性ポリオレフィン系樹脂(A1)のみから構成されてもよいし、変性ポリオレフィン系樹脂(A1)と非変性のポリオレフィン系樹脂とから構成されてもよい。
変性ポリオレフィン系樹脂(A1)の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(A)の全量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは65〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
変性ポリオレフィン系樹脂(A1)の含有量が、上記範囲にあることで、硬化後の接着剤層の封止性能をより向上させやすい。
<硬化性成分(B)>
本発明の一態様において、接着剤組成物は、硬化性成分(B)を含有することが好ましい。
接着剤組成物が硬化性成分(B)を含有することで、硬化後の接着剤層の封止性能を向上させやすい。
接着剤組成物中の硬化性成分(B)の含有量は、接着剤組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。硬化性成分(B)の含有量が、上記範囲にあることで、硬化後の接着剤層の封止性能をより向上させやすい。
また、接着剤組成物がポリオレフィン系樹脂(A)を含む場合、接着剤組成物中における、ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対する硬化性成分(B)の含有量は、好ましくは5〜110質量部、より好ましくは10〜100質量部である。硬化性成分(B)の含有量がこの範囲内にある接着剤組成物から形成された接着剤層を硬化させると、当該硬化後の接着剤層は水蒸気遮断性により優れる。
ここで、硬化性成分(B)は、熱硬化性成分(B1)及びエネルギー線硬化性成分(B2)のいずれであってもよいが、本発明の製造方法の工程(2)において、接着剤層の硬化を行う際に、プロテクトフィルムの特性の変化や変形を抑える観点から、硬化性成分(B)は、エネルギー線硬化性成分(B2)であることが好ましく、工程(2)ではエネルギー線硬化を行うことが好ましい。
なお、本明細書において、「熱硬化性成分(B1)」とは、加熱により硬化反応が開始され、硬化物に変化する樹脂成分を意味する。
また、「エネルギー線硬化性成分(B2)」とは、エネルギー線の照射により硬化反応が開始され、硬化物に変化する樹脂成分を意味する。
熱硬化性成分(B1)としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、マレイミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂(BE)を含むことが好ましい。
これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、熱硬化性成分(B1)として挙げた化合物のうち、カチオン硬化性を有する化合物(以下、「カチオン硬化性化合物」ともいう)は、エネルギー線カチオン重合開始剤との併用によって、エネルギー線硬化性成分(B2)として機能する。例えば、エポキシ樹脂(BE)は、熱硬化性成分としても機能するし、エネルギー線カチオン重合開始剤との併用によってエネルギー線硬化性成分(B2)としても機能する。したがって、後述する光重合開始剤(F)のうちエネルギー線カチオン重合開始剤を、カチオン硬化性化合物であるエポキシ樹脂(BE)等と併用することで、熱硬化性成分(B1)をエネルギー線硬化性成分(B2)として用いるようにしてもよい。
なお、エネルギー線カチオン重合開始剤は、一般的には、「光カチオン重合開始剤」ともいうため、以降の説明では、単に「光カチオン重合開始剤」というが、カチオン重合を開始させるためのエネルギー線は、光には限定されず、上記のエネルギー線全般を用いることができる。
また、以降の説明において、「硬化性のエポキシ樹脂(BE)」は、熱硬化性成分とエネルギー線硬化性成分のいずれの意味も有する。
エネルギー線硬化性成分(B2)としては、例えば、エネルギー線重合性官能基を有する化合物が挙げられる。当該エネルギー線重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。
エネルギー線重合性官能基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート誘導体が挙げられ、(メタ)アクリレート誘導体の具体例としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。
(メタ)アクリレート誘導体の重量平均分子量は、通常3000以下、好ましくは200〜2000、より好ましくは200〜1000である。
ここで、硬化性のエポキシ樹脂(BE)は、多官能エポキシ樹脂(BME)を含むことが好ましい。
本明細書において、「多官能エポキシ樹脂(BME)」とは、分子内に少なくともエポキシ基を2つ以上有する化合物を意味する。多官能エポキシ樹脂(BME)は、熱硬化性成分(B1)としても機能するし、光カチオン重合開始剤との併用によりエネルギー線硬化性成分(B2)としても機能する。
多官能エポキシ樹脂(BME)としては、硬化後の接着剤層の封止性能を更に向上させる観点から、分子内にエポキシ基を2つ有する2官能エポキシ樹脂が好ましい。
2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂(例えばフェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂)等の芳香族エポキシ化合物;水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル等の脂環式エポキシ化合物;ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、2,2−ビス(3−グリシジル−4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、ジメチロールトリシクロデカンジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物;等が挙げられる。これらの2官能エポキシ樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで接着剤組成物は、成分(B)として、25℃において液体である多官能エポキシ化合物(BL)を含有することが好ましい。
以降の説明では、25℃において液体である多官能エポキシ化合物(BL)を「成分(BL)」ともいう。
成分(BL)は、熱硬化性成分(B1)としても機能するし、光カチオン重合開始剤との併用によりエネルギー線硬化性成分(B2)としても機能する。
成分(BL)は、接着剤組成物が高温になったときに、接着剤組成物の貯蔵弾性率を低下させる効果(以下、「貯蔵弾性率低下効果」ともいう。)を有する。このため、接着剤組成物が成分(BL)を含有することで、凹凸追従性に優れる硬化性の接着剤層を効率よく形成することができる。
成分(BL)の重量平均分子量(Mw)としては、成分(BL)に起因したアウトガスの発生を抑制する観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,200以上、更に好ましくは1,500以上、より更に好ましくは1,800以上、更になお好ましくは2,100以上である。
また、貯蔵弾性率低下効果がより向上した硬化性の接着剤層とする観点から、成分(BL)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5,000以下、より好ましくは4,500以下である。
成分(BL)の重量平均分子量(Mw)の大きさにより、ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aは変化する。接着剤組成物中の成分(BL)の重量平均分子量(Mw)が大きいほど、粘着力aが低下する傾向にあり、硬化性の接着剤層が未硬化の状態である場合、プロテクトフィルムを剥離する際に被封止物と接着剤層との間に隙間が生じやすい。しかし、本発明では、硬化性の接着剤層を硬化させて、接着剤層と被封止物とを強固に接着してからプロテクトフィルムを剥離している。したがって、本発明の一態様では、成分(BL)の重量平均分子量(Mw)を上記範囲として、硬化性の接着剤層のアウトガス発生の抑制及び貯蔵弾性率低下効果の向上を図りつつ、プロテクトフィルムを剥離した後も、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じることがなく、酸素や水分の浸入を防止して被封止物の劣化を防ぐことができると共に、外観も良好なものとできる。
成分(BL)のエポキシ当量は、好ましくは100〜1,500g/eq、より好ましくは240〜1,300g/eqである。
本明細書において、「エポキシ当量」とは、1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物のグラム数(g/eq)を意味し、JIS K 7236:2009に準拠して測定される値である。
接着剤組成物中の、成分(BL)の含有量は、接着剤組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜34質量%である。
成分(BL)の含有量が上記範囲にあることで、貯蔵弾性率低下効果を得つつ、成分(BL)に起因したアウトガスの発生も抑制される。成分(BL)の含有量の増減により、ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aは変化する。接着剤組成物中の成分(BL)が少ない場合には、粘着力aが低下する傾向にあり、硬化性の接着剤層が未硬化の状態である場合、プロテクトフィルムを剥離する際に被封止物と接着剤層との間に隙間が生じやすい。しかし、本発明では、硬化性の接着剤層を硬化させて、接着剤層と被封止物とを強固に接着してからプロテクトフィルムを剥離している。したがって、本発明の一態様では、成分(BL)含有量を上記範囲として、硬化性の接着剤層のアウトガス発生の抑制及び貯蔵弾性率低下効果の向上を図りつつ、プロテクトフィルムを剥離した後も、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じることがなく、酸素や水分の浸入を防止して被封止物の劣化を防ぐことができると共に、外観も良好なものとできる。
<シランカップリング剤(C)>
本発明の一態様において、接着剤組成物は、更に、シランカップリング剤(C)を含有することが好ましい。
本明細書において、「シランカップリング剤(C)」とは、分子内に2種以上の異なる反応基を有する有機ケイ素化合物を意味する。
接着剤組成物が更にシランカップリング剤(C)を含有することで、常温及び高温環境下のいずれにおいても、硬化後の接着剤層の封止性能を良好に確保しやすい。
接着剤組成物中のシランカップリング剤の含有量は、接着剤組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.0001〜0.001質量%、より好ましくは0.0002〜0.0009質量%である。
また、接着剤組成物がポリオレフィン系樹脂(A)を含む場合、接着剤組成物中における、シランカップリング剤(C)の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜5.0質量部、より好ましくは0.05〜1.0質量部である。
シランカップリング剤(C)の含有量が、上記範囲にあることで、高温高湿の環境下に長時間暴露された場合でも、硬化後の接着剤層の封止性能を良好に確保しやすい。
シランカップリング剤(C)としては、常温及び高温環境下のいずれにおいても、硬化後の接着剤層の封止性能をより良好に確保しやすくする観点から、分子内に少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物が好ましい。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;3−クロロプロピルトリメトキシシラン;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン;等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<硬化触媒(D)>
本発明の一態様において、接着剤組成物は、硬化性成分(B)として熱硬化性成分(B1)を含む場合には、更に、硬化触媒(D)を含有することが好ましい。
本明細書において、「硬化触媒(D)」とは、熱硬化性成分(B1)を熱硬化させる触媒を意味する。
接着剤組成物が更に硬化触媒(D)を含有することで、硬化後の接着剤層の高温時における封止性能を向上させやすい。
接着剤組成物に含有させる硬化触媒(D)の含有量は、熱硬化性成分(B1)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。
上記硬化触媒(D)の含有量が、上記範囲にあることで、硬化後の接着剤層の高温時における封止性能をより向上させやすい。
硬化触媒(D)としては、熱硬化性成分(B1)の熱硬化を好適に進行させる観点から、イミダゾール系硬化触媒が好ましい。
イミダゾール系硬化触媒としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。これらのイミダゾール系硬化触媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのイミダゾール系硬化触媒の中でも、2−エチル−4−メチルイミダゾールが好ましい。
<粘着付与剤(E)>
本発明の一態様において、接着剤組成物は、さらに粘着付与剤(E)を含有してもよい。
本発明の一態様で用いる粘着付与剤(E)は、硬化性の接着剤層が有する粘着特性を補助的に向上させる成分であって、重量平均分子量(Mw)が通常1万未満のオリゴマーを指し、後述する粘着剤組成物に含まれる樹脂(X)とは区別されるものである。
粘着付与剤(E)の重量平均分子量(Mw)は、通常1万未満であるが、好ましくは400〜8000、より好ましくは500〜5000、より好ましくは800〜3500である。
接着剤組成物中の粘着付与剤(E)の含有量は、粘着付与剤(E)に起因したアウトガスの発生を抑制する観点から、低減することが好ましく、接着剤組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは0質量%超30質量%以下、より好ましくは0質量%超15質量%以下、更に好ましくは1〜10質量%である。また、アウトガスの発生を可能な限り抑制したい場合には、接着剤組成物が粘着付与剤(E)を含まないことも好ましい。
また、接着剤組成物に含有させる粘着付与剤(E)の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0質量部超〜80質量部、より好ましくは0質量部超〜30質量部、更に好ましくは1〜20質量部である。また、アウトガスの発生を可能な限り抑制したい場合には、粘着付与剤(E)の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、できるだけ少ないことが好ましく、0質量部であることがより好ましい。
一方で、接着剤組成物が含有する粘着付与剤(E)の量が少ないと、ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aが低下する傾向にあり、硬化性の接着剤層が未硬化の状態である場合、プロテクトフィルムを剥離する際に被封止物と接着剤層との間に隙間が生じやすい。しかし、本発明では、硬化性の接着剤層を硬化させて、接着剤層と被封止物とを強固に接着してからプロテクトフィルムを剥離している。したがって、本発明の一態様では、粘着付与剤(E)の含有量を上記範囲としつつ、プロテクトフィルムを剥離した後も、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じることがなく、酸素や水分の浸入を防止して被封止物の劣化を防ぐことができると共に、外観も良好なものとできる。
粘着付与剤(E)としては、例えば、重合ロジン、重合ロジンエステル、ロジン誘導体等のロジン系樹脂;ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びその水素化物、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂;クマロン・インデン樹脂;脂肪族石油系樹脂、芳香族系石油樹脂及びその水素化物、脂肪族/芳香族共重合体石油樹脂等の石油樹脂;スチレン又は置換スチレン重合体;α−メチルスチレン単一重合系樹脂、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体、スチレン系モノマーとα−メチルスチレンと脂肪族系モノマーとの共重合体、スチレン系モノマーからなる単独重合体、スチレン系モノマーと芳香族系モノマーとの共重合体等のスチレン系樹脂;等が挙げられる。これらの粘着付与剤(E)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、粘着付与剤(E)としては、スチレン系樹脂が好ましく、スチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体がより好ましい。
粘着付与剤(E)の軟化点は、形成される接着剤層の形状維持性をより向上させると共に、硬化後の接着剤層が高温環境下でも優れた接着性を発現し得るようにする観点から、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは85〜170℃、更に好ましくは90〜150℃である。
なお、本明細書において、軟化点は、JIS K 5902に準拠して測定した値を意味する。
2種以上の複数の粘着付与剤(E)を用いる場合、それら複数の粘着付与剤の軟化点の加重平均が、上記範囲に属することが好ましい。
<光重合開始剤(F)>
本発明の一態様において、接着剤組成物は、硬化性成分(B)としてエネルギー線硬化性成分(B2)を含む場合には、更に、光重合開始剤(F)を含有することが好ましい。光重合開始剤(F)を含有することで、エネルギー線硬化性成分(B2)を含む接着剤組成物のエネルギー線硬化を促進することができる。
光重合開始剤(F)としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、リン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
これらは、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(F)の含有量は、エネルギー線硬化性成分(B2)100質量部に対して、好ましくは0.5〜6.5質量部、より好ましくは0.5〜5.5質量部、更に好ましくは0.5〜4.5質量部である。
ここで、上述したように、熱硬化性成分(B1)として挙げた化合物のうち、カチオン硬化性化合物は、本発明の製造方法の工程(2)において、接着剤層の硬化を行う際に、プロテクトフィルムの特性の変化や変形を抑える観点から、光カチオン重合開始剤と併用し、エネルギー線硬化成分(B2)として用いることが好ましい。勿論、熱硬化性成分(B1)として挙げた化合物以外のカチオン硬化性化合物をエネルギー線硬化成分(B2)として用いてもよい。つまり、光カチオン重合開始剤を用いることで、カチオン硬化性化合物を硬化性成分(B)として含む接着剤組成物にエネルギー線硬化性を付与することができる。
光カチオン重合開始剤は、エネルギー線の照射によってカチオン種を発生してカチオン硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、エネルギー線を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。これにより、カチオン硬化性化合物を含む接着剤組成物にエネルギー線硬化性を付与することができる。例えば、熱硬化性成分(B1)として挙げた化合物のうちエポキシ樹脂(BE)等のカチオン硬化性化合物を、エネルギー線硬化性成分(B2)として用い、接着剤組成物にエネルギー線硬化性を付与することができる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、スルホニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、アンチモン酸塩系化合物、ジアゾニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等が挙げられる。これらの中でも、(B)成分との相溶性に優れ、得られる接着剤組成物の保存安定性に優れるという観点から、スルホニウム塩系化合物が好ましく、芳香族基を有する芳香族スルホニウム塩系化合物がより好ましい。
光カチオン重合開始剤の含有量は、接着剤組成物にエネルギー線硬化性を付与する観点から、硬化性成分(B)としてのカチオン硬化性化合物100質量部に対して、好ましくは0.5〜6.5質量部、より好ましくは0.5〜5.5質量部、更に好ましくは0.5〜4.5質量部である。
<その他の添加剤>
本発明の一態様において、接着剤組成物は、硬化後の接着剤層の封止性能を大きく損なうことのない範囲で、上述の成分(A)〜(F)以外のその他の添加剤を含有してもよい。
その他の添加剤としては、用途に応じて適宜選択されるが、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、酸化防止剤、樹脂安定剤、充填剤、顔料、増量剤、軟化剤等の添加剤が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<希釈溶媒>
本発明の一態様において、接着剤組成物は、接着剤層の成形性を良好とする観点から、さらに希釈溶媒を含有してもよい。
希釈溶媒としては、有機溶媒の中から適宜選択することができるが、具体的には、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、溶媒の含有量は、塗布性等を考慮して適宜設定される。
<硬化性の接着剤層の形成方法>
本発明のガスバリア性積層体を構成する硬化性の接着剤層の形成方法は、特に限定されず、公知の手法等を採用して適宜形成することができる。
ここで、本発明の一態様において、接着剤層は、上述の接着剤組成物から形成されることが好ましい。例えば、上述した剥離シートの剥離処理面上に、上述の接着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させて硬化性の接着剤層を形成する方法が挙げられる。
なお、本明細書において、硬化性の接着剤層を形成する過程において、塗膜を乾燥する際にかかる熱による加熱処理は、硬化性の接着剤層の硬化処理には含まれない。
接着剤組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
また、塗布性を良好とする観点から、接着剤組成物に上述の希釈溶媒を加えて、溶液の形態とすることが好ましい。
塗膜を乾燥させるときの乾燥条件としては、例えば、通常80〜130℃、好ましくは90〜110℃で、30秒〜5分間の乾燥処理を施すことが好ましい。
[ガスバリアフィルム]
本発明の製造方法に用いられるガスバリア性積層体は、ガスバリアフィルムを有する。ガスバリアフィルムは、硬化性の接着剤層上に積層される。本発明のガスバリア性積層体がガスバリアフィルムを有することで、酸素や水蒸気等の気体の透過を防止する効果が高い優れたガスバリア性を発揮させることができる。
また、本発明のガスバリア性積層体は、ガスバリアフィルム上にプロテクトフィルムが積層されており、ガスバリアフィルムがプロテクトフィルムで保護される。そのため、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程並びに封止後の加工及び搬送等の過程において、ガスバリアフィルムに傷や割れが発生するのを防止することができる。
本発明の一態様において、ガスバリア性積層体が有するガスバリアフィルムは、少なくとも基材層を有し、ガスバリア機能を有するフィルムであることが好ましい。当該ガスバリアフィルムの一態様としては、基材層及びガスバリア層を有するものが挙げられる。例えば、以下の層構成を有する態様が挙げられる。
・基材層/ガスバリア層
また、上記の「基材層/ガスバリア層」の態様において、基材層とガスバリア層との密着性を上げるために、下記の態様のように、基材層とガスバリア層との間にアンカーコート層を有していてもよい。
・基材層/アンカーコート層/ガスバリア層
本発明の一態様において、ガスバリア性積層体が有するガスバリアフィルムは、基材層それ自体がガスバリア機能を有し、基材層がガスバリア層としての機能も兼ね備えた単層の樹脂フィルム等であってもよい。
本発明の一態様において、ガスバリア性積層体は、例えば、下記の態様の様に、ガスバリア層が基材層よりも硬化性の接着剤層に近い位置に配置されていることが好ましい。
・基材層/ガスバリア層/硬化性の接着剤層
これにより、ガスバリア層と硬化性の接着剤層との間に基材層が介在しないため、ガスバリア性積層体が水蒸気を遮断する性能がより向上する。
なお、ガスバリア層が基材層よりも硬化性の接着剤層に近い位置に配置された構成である場合、プロテクトフィルムはガスバリアフィルムの基材層上に積層される。基材層は、後述するように樹脂フィルムが用いられるため、プロテクトフィルムと基材層との接着性が高まりやすい。また、プロテクトフィルムが基材層に直接積層されない場合であっても、基材層上に設けられた何らかの有機物層を介してプロテクトフィルムが積層されると、プロテクトフィルムと基材層との接着性が高まりやすい。したがって、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bが高まりやすい。そのため、硬化性の接着剤層が未硬化の状態である場合、プロテクトフィルムを剥離する際に被封止物と接着剤層との間に隙間が生じやすい。しかし、本発明では、硬化性の接着剤層を硬化させて、接着剤層と被封止物とを強固に接着してからプロテクトフィルムを剥離している。したがって、プロテクトフィルムを剥離する際に、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じることがなく、当該隙間に酸素や水分が浸入することによる被封止物の劣化が防止されると共に、外観不良も起こらない。
本発明の一態様において、ガスバリア性積層体が有するガスバリアフィルムについての、温度40℃、90%RH(相対湿度)の環境下における水蒸気透過率は、好ましくは0.1g/m/day以下、より好ましくは0.05g/m/day以下、更に好ましくは0.005g/m/day以下である。
ガスバリアフィルムの水蒸気透過率が0.1g/m/day以下であることにより、ガスバリア性積層体を用いることで、被封止物の劣化を効果的に抑制しやすい。例えば、透明基板上に形成された有機EL素子等の素子内部に酸素や水蒸気等が浸入するのを抑え、電極や有機層が劣化することを効果的に抑制しやすい。
また、ガスバリアフィルムと接着剤層とを有するガスバリア性積層体についても、温度40℃、90%RH(相対湿度)の環境下における水蒸気透過率は、上記と同様の値であることが好ましい。
なお、本明細書において、「ガスバリアフィルムの水蒸気透過率」は、ガス透過率測定装置(mocon社製、製品名「AQUATRAN 2」)を用いて測定した値を意味するが、他の汎用的な水蒸気透過率測定装置を用いた測定値も同様の値を示す。
本発明の一態様において、ガスバリア性積層体が有するガスバリアフィルムは、光学透明性を有することが好ましい。具体的には、JISK7136:2000に準拠して測定される全光線透過率が、80%で以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。また、JISK7136:2000に準拠して測定される、L表示色系におけるb*値が、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.5以下であり、更に好ましくは1以下である。
以下、ガスバリア性積層体に用いられるガスバリアフィルムとして、基材層とガスバリア層とが積層された積層構造を有するガスバリアフィルムを例に挙げて詳細に説明する。
<基材層>
ガスバリアフィルムが有する基材層としては、樹脂成分を含む樹脂フィルムが好ましい。
当該樹脂成分としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、シクロオレフィン系コポリマー、芳香族系重合体、及びポリウレタン系ポリマー等が挙げられる。
これらの中でも、透明性が高く、光学的に等方性であるガスバリアフィルムとする観点から、ポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマー、シクロオレフィン系コポリマーが好ましい。
なお、これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、基材層は2種以上の樹脂フィルムを積層したものであってもよい。
光学等方性を有する樹脂フィルムは、有機EL素子等の発光素子をディスプレイ用途で利用する際のガスバリアフィルムの構成材料としてより好ましい樹脂フィルムである一方、屈曲性に劣り、脆いためハンドリング時に傷や割れが生じやすい欠点がある。
本発明の一態様において、ガスバリア性積層体は、ガスバリアフィルムの構成材料として、ポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマー及びシクロオレフィン系コポリマー等のように屈曲性に劣る脆い樹脂フィルムを用いる場合であっても、ガスバリアフィルムがプロテクトフィルムで保護されるので、ハンドリング時にガスバリアフィルムに傷や割れが発生するのを防止することができ、当該傷や割れに起因する輝点等の欠陥がディスプレイに発生するのを抑止できる。したがって、有機EL素子等の発光素子を利用したディスプレイ製造工程等において、歩留まりを向上させ得る。
また、樹脂成分を含む樹脂フィルムを用いる場合、樹脂フィルムのガスバリア層が積層される表面に対して、酸化法や凹凸化法等による易接着処理を施すことが好ましい。酸化法や凹凸化法等の具体例は上記のとおりである。
ガスバリアフィルムが有する基材層の厚さは、特に制限はなく、好ましくは0.5〜500μm、より好ましくは1〜200μm、さらに好ましくは5〜100μmである。
ここで、ガスバリア性積層体は、ガスバリアフィルム上にプロテクトフィルムが積層される。そのため、基材層が薄い場合であっても、プロテクトフィルムによってガスバリア性積層体の厚みを確保することができるため、ガスバリア性積層体のハンドリング性は十分に確保することができる。したがって、基材層の厚さは、一般的にハンドリング性が確保し難くなる30μm以下であってもよい。したがって、本発明の一態様のガスバリア性積層体が有する基材層の厚さは、1〜30μmであってもよく、1〜25μmであってもよく、1〜20μmであってもよい。
<ガスバリア層>
ガスバリアフィルムが有するガスバリア層は、ガスバリアフィルムの厚みを薄くすることができ、優れたガスバリア性を有するとの観点から、無機膜、及び、高分子化合物を含み、改質処理を施された高分子層が好ましく、当該高分子層であることがより好ましい。当該高分子層がガスバリア層であることによって、ガスバリア層を柔軟性に富むものとして、ガスバリアフィルムの屈曲への耐久性を優れたものとできる。
高分子層に含まれる高分子化合物としては、例えば、ポリオルガノシロキサン、ポリシラザン系化合物等のケイ素含有高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体等が挙げられる。
これらの高分子化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成できるとの観点から、高分子層に含まれる高分子化合物としては、ケイ素含有高分子化合物が好ましく、ポリシラザン系化合物がより好ましい。
ポリシラザン系化合物の数平均分子量としては、好ましくは100〜50,000である。
ポリシラザン系化合物は、分子内に−Si−N−結合(シラザン結合)を含む繰り返し単位を有する重合体であり、具体的には、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
上記一般式(I)中、nは、繰り返し単位数を示し、1以上の整数を表す。
Rx、Ry、Rzは、それぞれ独立して、水素原子、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、無置換若しくは置換基を有するシクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換若しくは置換基を有するアリール基又はアルキルシリル基を表す。
これらの中でも、Rx、Ry、Rzとしては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
なお、ガスバリア層に含まれる高分子化合物としては、前記一般式(I)中のRx、Ry、Rzが全て水素原子である無機ポリシラザンであってもよく、Rx、Ry、Rzの少なくとも1つが水素原子以外の基である有機ポリシラザンであってもよい。
ポリシラザン系化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ポリシラザン系化合物として、ポリシラザン変性物を用いることもでき、また、市販品を用いることもできる。
前記高分子層は、上述した高分子化合物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに他の成分を含有してもよい。
他の成分としては、例えば、硬化剤、他の高分子、老化防止剤、光安定剤、難燃剤等が挙げられる。
前記高分子層中の高分子化合物の含有量は、より優れたガスバリア性を有するガスバリア層とする観点から、高分子層中の成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。
また、ガスバリアフィルムが有する高分子層の厚さは、好ましくは50〜300nm、より好ましくは50〜200nmである。
本発明においては、高分子層の厚みがナノオーダーであっても、十分なガスバリア性を有するガスバリア性積層体を得ることができる。
高分子層を形成する方法としては、例えば、高分子化合物の少なくとも1種、所望により他の成分、及び溶剤等を含有する高分子層形成用溶液を、スピンコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等の公知の装置を用いて塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥して形成する方法が挙げられる。
高分子層の改質処理としては、イオン注入処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、及び熱処理等が挙げられる。これらの処理は、1種類を単独で行うこともできるが、2種類以上を組み合わせて行うこともできる。
イオン注入処理は、後述するように、高分子層にイオンを注入して、高分子層を改質する方法である。
プラズマ処理は、高分子層をプラズマ中に晒して、高分子層を改質する方法である。例えば、特開2012−106421号公報に記載の方法に従って、プラズマ処理を行うことができる。
紫外線照射処理は、高分子層に紫外線を照射して高分子層を改質する方法である。例えば、特開2013−226757号公報に記載の方法に従って、紫外線改質処理を行うことができる。
これらの中でも、高分子層の表面を荒らすことなく、その内部まで効率よく改質し、よりガスバリア性に優れるガスバリア層を形成できるとの観点から、高分子層の改質処理としては、イオン注入処理が好ましい。
イオン注入処理の際に、高分子層に注入されるイオンとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオン;フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;メタン、エタン等のアルカン系ガス類のイオン;エチレン、プロピレン等のアルケン系ガス類のイオン;ペンタジエン、ブタジエン等のアルカジエン系ガス類のイオン;アセチレン等のアルキン系ガス類のイオン;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系ガス類のイオン;シクロプロパン等のシクロアルカン系ガス類のイオン;シクロペンテン等のシクロアルケン系ガス類のイオン;金属イオン;有機ケイ素化合物のイオン;等が挙げられる。
これらのイオンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、より簡便にイオンを注入することができ、特に優れたガスバリア性を有するガスバリア層が得られるとの観点から、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオンが好ましく、アルゴンイオンがより好ましい。
イオンを注入する方法としては、特に限定されない。例えば、電界により加速されたイオン(イオンビーム)を照射する方法、プラズマ中のイオン(プラズマ生成ガスのイオン)を注入する方法等が挙げられ、簡便にガスバリア層が得られることから、プラズマ中のイオンを注入する方法が好ましい。
プラズマ中のイオンの注入法は、例えば、プラズマ生成ガスを含む雰囲気下でプラズマを発生させ、イオンを注入する層に負の高電圧パルスを印加することにより、該プラズマ中のイオン(陽イオン)を、イオンを注入する層の表面部に注入して行うことができる。
ガスバリア層として用いられる無機膜としては、無機化合物や金属の気相成膜による膜が挙げられる。無機化合物の膜の原料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;酸化窒化ケイ素等の無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物等が挙げられる。
金属の膜の原料としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及びスズ等が挙げられる。
これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、ガスバリア性の観点から、無機酸化物、無機窒化物又は金属を原料とする無機膜が好ましく、さらに、透明性の観点から、無機酸化物又は無機窒化物を原料とする無機膜が好ましい。また、無機膜は、単層でもよく、多層でもよい。
無機膜の厚みは、ガスバリア性と取り扱い性の観点から、好ましくは10〜2000nm、より好ましくは20〜1000nm、より好ましくは30〜500nm、さらに好ましくは40〜200nmの範囲である。
無機膜を形成する気相成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理的蒸着)法や、熱CVD法、プラズマCVD法、及び光CVD法等のCVD法(化学的蒸着法)挙げられる。
<アンカーコート層>
本発明の一態様において、基材層とガスバリア層との密着性をより向上させる観点から、基材層とガスバリア層との間にアンカーコート層を設けてもよい。
アンカーコート層としては、例えば、紫外線硬化性化合物を含む組成物を硬化した層が挙げられる。当該紫外線硬化性化合物を含む組成物は、シリカ粒子等の無機充填材を含有していてもよい。
アンカーコート層の厚さは、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。
[プロテクトフィルム]
本発明の製造方法に用いられるガスバリア性積層体は、プロテクトフィルムを有する。プロテクトフィルムは、ガスバリアフィルム上に積層され、ガスバリアフィルムを保護する。
本発明では、硬化性の接着剤層を硬化させて、接着剤層と被封止物とを強固に接着してからプロテクトフィルムを剥離するため、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程並びに封止後の加工及び搬送等の過程において、ガスバリアフィルムに傷や割れが生じるのを防止しながらも、プロテクトフィルムを剥離する際に被封止物と接着剤層との間で隙間が生じることがなく、酸素や水分等の浸入が防止される。また、外観が不良となることも防止される。
本発明の一態様において、ガスバリア性積層体が有するプロテクトフィルムは、少なくともプロテクト層を有する。プロテクトフィルムの態様としては、プロテクト層単層であってもよいが、プロテクト層と粘着剤層との積層構造であることが好ましい。プロテクト層と粘着剤層との積層構造とすることで、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bを一定値以上に調整して、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程並びに封止後の加工及び搬送等の過程において、プロテクトフィルムが意図せず剥離する不具合を回避しやすいものとできる。
ここで、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bは、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程並びに封止後の加工及び搬送等の過程において、プロテクトフィルムが意図せず剥離する不具合をより回避しやすくする観点から、好ましくは、0.05N/50mm以上、より好ましくは0.25N/50mm以上、更に好ましくは1.3N/50mm以上である。また、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bは、通常8N/50mm以下であり、5N/50mm以下であることが好ましい。
なお、本発明のガスバリア性積層体は、プロテクトフィルムを有することによって、ガスバリアフィルムの基材層を薄膜化しつつもガスバリア性積層体のハンドリング性を良好なものとできる。
本発明の一態様において、プロテクトフィルムとガスバリアフィルムの基材層との合計厚さは、好ましくは40〜500μm、より好ましくは40〜200μm、更に好ましくは50〜150μmである。
以下、本発明の一態様のガスバリア性積層体に用いられるプロテクトフィルムとして、プロテクト層と粘着剤層とが積層された積層構造を有するプロテクトフィルムを例に挙げて詳細に説明する。
<プロテクト層>
プロテクトフィルムが有するプロテクト層としては、樹脂成分を含む樹脂フィルムが好ましい。
当該樹脂成分としては、ガスバリアフィルムの基材層として挙げた樹脂成分のうち、屈曲性の高いものが挙げられる。このような樹脂成分としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、芳香族系重合体、及びポリウレタン系ポリマー等が挙げられる。
なお、これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、プロテクト層は、これらの樹脂を2種以上積層した積層構造であってもよい。
また、これらの樹脂を着色したフィルムも用いてもよい。着色を施すことによって、プロテクトフィルムの有無を容易に判断できると共に、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムの界面を認識し易くできるのでプロテクトフィルムを剥離する際に便利である。
プロテクトフィルムが有するプロテクト層の厚さは、ガスバリアフィルムの保護に十分な厚さを有していればよく、好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜200μm、更に好ましくは10〜100μmである。
プロテクトフィルムが有するプロテクト層の厚さとガスバリアフィルムが有する基材層の厚さの比(プロテクト層の厚さ/基材層の厚さ)は、基材層を薄膜化しつつもガスバリア性積層体のハンドリング性を良好なものとする観点から、好ましくは1〜5、より好ましくは1.2〜4.5、更に好ましくは1.5〜4である。
<粘着剤層>
プロテクトフィルムが有する粘着剤層は、プロテクト層の一方の面に積層され、プロテクト層とガスバリアフィルムとを貼り合せるために利用される層である。
ここで、本発明の一態様では、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bは、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程並びに封止後の加工及び搬送等の過程において、プロテクトフィルムが意図せず剥離する不具合をより回避しやすくする観点から、上記範囲に調整されることが好ましい。
ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bを上記範囲に調整する方法としては、例えば、粘着剤層の厚さを十分に確保すること、粘着剤層の種類を変更することが挙げられる。
粘着剤層の厚さは、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bを上記範囲に調整する観点から、好ましくは0.1μm〜50μm、より好ましくは0.5μm〜40μmμm、更に好ましくは1μm〜25μmである。
粘着剤層の種類は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物に含まれる重合体である樹脂の選択によって変更することができる。以下、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物について説明する。
<粘着剤組成物>
本発明の一態様において、粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物は、重合体である樹脂(X)を含む。
樹脂(X)は、それ自体が粘着性を有していてもよいし、粘着性を有していなくともよい。樹脂(X)が粘着性を有しない場合には、後述する粘着付与剤を粘着剤組成物に添加することで、粘着剤組成物から形成される粘着剤層が粘着性を発揮するようにしてもよい。
なお、本発明の一態様において、粘着剤組成物に含まれる樹脂(X)以外の成分は、必要に応じて適宜調整可能である。
例えば、本発明の一態様において、粘着力を所望の範囲に調整する観点から、粘着剤組成物は、更に粘着付与剤及び架橋剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよく、これら以外にも、希釈溶媒及び一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよい。
(樹脂(X))
樹脂(X)の重量平均分子量(Mw)は好ましくは1万以上、より好ましくは1万〜200万、更に好ましくは2万〜150万である。
粘着剤組成物に含まれる樹脂(X)としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂(X)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの樹脂(X)が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
ここで、粘着剤組成物により形成される粘着剤層の粘着性を適切に調整して、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bを上記範囲に調整する観点から、樹脂(X)は、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。
粘着剤組成物中の樹脂(X)の含有量は、粘着剤組成物の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは30〜99.99質量%、より好ましくは40〜99.95質量%、より好ましくは50〜99.90質量%、更に好ましくは55〜99.80質量%、より更に好ましくは60〜99.50質量%である。
以下、本発明の一態様において、樹脂(X)として好ましいアクリル系樹脂樹脂、オレフィン系樹脂について説明する。
(アクリル系樹脂)
本発明の一態様において、粘着剤組成物により形成される粘着剤層の粘着性を適切に調整して、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bを上記範囲に調整する観点から、粘着剤組成物に含まれる樹脂(X)が、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
樹脂(X)中のアクリル系樹脂の含有割合としては、粘着剤組成物に含まれる樹脂(X)の全量(100質量%)中、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%、より更に好ましくは85〜100質量%である。
樹脂(X)として使用し得るアクリル系樹脂としては、例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、好ましくは10万〜150万、より好ましくは13万〜130万である。
アクリル系樹脂としては、アルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「モノマー(a1’)」ともいう。)に由来する構成単位(a1)を有するアクリル系重合体(A0)が好ましく、構成単位(a1)と共に、官能基含有モノマー(a2’)(以下、「モノマー(a2’)」ともいう。)に由来する構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A1)がより好ましい。
モノマー(a1’)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着剤層の薄膜化に伴って、粘着力を低く調整し易くする観点から、好ましくは1〜24、より好ましくは1〜12である。
なお、モノマー(a1’)が有するアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
モノマー(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(a1’)としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましい。
これらのモノマー(a1’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、モノマー(a1’)は、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを組み合わせて用いることが好ましい。
構成単位(a1)の含有量は、アクリル系重合体(A0)又はアクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜99.9質量%、更に好ましくは70〜99.5質量%、より更に好ましくは80〜99.0質量%である。
モノマー(a2’)が有する官能基は、後述の粘着剤組成物が含有してもよい架橋剤と反応し、架橋起点となり得る官能基又は架橋促進効果を有する官能基を指し、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
つまり、モノマー(a2’)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
これらのモノマー(a2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノマー(a2’)としては、水酸基含有モノマー及びカルボキシ基含有モノマーが好ましい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類等が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその無水物;2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(a2’)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
これらのモノマー(a2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.3〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%、より更に好ましくは0.7〜10質量%である。架橋起点となる構成単位(a2)の含有量が少ないほど、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bが高くなる傾向がある。逆に、架橋起点となる構成単位(a2)の含有量が多いほど、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bが低くなる傾向がある。これらの傾向を利用することで、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bが上記範囲に調整される。
アクリル系共重合体(A1)は、更にモノマー(a1’)及び(a2’)以外の他のモノマー(a3’)に由来の構成単位(a3)を有していてもよい。
なお、アクリル系共重合体(A1)において、構成単位(a1)及び(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
モノマー(a3’)としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
モノマー(a3’)としては、酢酸ビニルが好ましい。
(オレフィン系樹脂)
樹脂(X)として使用し得るオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物に由来する構成単位を有する重合体であれば、特に限定されない。
当該オレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的なオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと他のエチレン性不飽和単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体等)等が挙げられる。
なお、前記のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。
前記のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等が挙げられる。
オレフィン系樹脂は、ゴム系樹脂であってもよい。樹脂(X)として使用し得る、ゴム系樹脂としては、例えば、ポリイソブチレン系樹脂が挙げられる。ポリイソブチレン系樹脂(以下、「PIB系樹脂」ともいう。)は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリイソブチレン骨格を有する樹脂であれば、特に限定されない。
PIB系樹脂の数平均分子量(Mn)としては、好ましくは2万以上、より好ましくは3万〜100万、更に好ましくは5万〜80万、より更に好ましくは7万〜60万である。
PIB系樹脂としては、例えば、イソブチレンの単独重合体であるポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンの共重合体、イソブチレンとn−ブテンの共重合体、イソブチレンとブタジエンの共重合体、及びこれら共重合体を臭素化又は塩素化等したハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。これらの中でも、イソブチレンとイソプレンの共重合体が好ましい。
なお、PIB系樹脂が共重合体である場合、イソブチレンからなる構成単位が、全構成単位の中で一番多く含まれているものとする。
イソブチレンからなる構成単位の含有量は、PIB系樹脂の全構成単位(100モル%)中、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%、更に好ましくは95〜100モル%である。
これらのPIB系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、PIB系樹脂を用いる場合、カルボン酸系官能基を有するポリイソプレンゴム等の、架橋反応可能なゴム系樹脂を併用することが好ましい。
(架橋剤)
本発明の一態様において、粘着剤組成物は、前述の構成単位(a1)及び(a2)を有するアクリル系共重合体、架橋反応可能なゴム系樹脂等の前述の官能基を有する樹脂(X)と共に、更に架橋剤を含有することが好ましい。
当該架橋剤は、当該樹脂(X)が有する官能基と反応して、樹脂同士を架橋するものである。樹脂同士の架橋の程度により、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bを調整することができる。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等、及びそれらのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤;エチレングリコールグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジル−アミノメチル)シクロヘキサン等のエポキシ系架橋剤;ヘキサ〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤;アルミニウムキレート等のキレート系架橋剤;等が挙げられる。
これらの架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの架橋剤の中でも、粘着力を適切に調整しやすい観点、及び入手し易さ等の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
架橋剤の含有量は、樹脂(X)が有する官能基の数により適宜調整されるものであるが、例えば、前記アクリル系共重合体等の前述の官能基を有する樹脂(X)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.03〜7質量部、更に好ましくは0.05〜4質量部である。架橋剤の含有量が少なく、粘着剤層中の架橋密度が低くなることにより、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bが高くなる傾向がある。逆に、架橋剤の含有量が多く、粘着剤層中の架橋密度が高くなることにより、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bが低くなる傾向がある。これらの傾向を利用することで、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bが上記範囲に調整される。
(粘着付与剤)
本発明の一態様において、粘着剤組成物は、樹脂(X)と共に、更に粘着付与剤を含有してもよい。
粘着付与剤は、上述した粘着付与剤(E)と同様のものを用いることができる。
粘着付与剤の含有量は、粘着剤組成物の全量基準で、好ましくは0.01〜65質量%、より好ましくは0.05〜55質量%、更に好ましくは0.1〜50質量%、より更に好ましくは0.5〜45質量%、更になお好ましくは1.0〜40質量%である。
(粘着剤用添加剤)
本発明の一態様において、粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、粘着付与剤及び架橋剤以外の一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤を含有していてもよい。
当該粘着剤用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、遅延剤、触媒、紫外線吸収剤、反応促進剤、反応抑制剤等が挙げられる。
なお、これらの粘着剤用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの粘着剤用添加剤を含有する場合、各粘着剤用添加剤の含有量は、それぞれ独立に、樹脂(X)100質量部に対して、好ましくは0.0001〜20質量部、より好ましくは0.001〜10質量部である。
(希釈溶媒)
本発明の一態様において、粘着剤組成物は、前述の各種有効成分と共に、希釈溶媒として、水や有機溶媒を含有し、溶液の形態としてもよい。
有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、s−ブタノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらの希釈溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤組成物が希釈溶媒を含有して溶液の形態である場合、粘着剤組成物の有効成分濃度としては、好ましくは1〜65質量%、より好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは10〜50質量%、より更に好ましくは25〜45質量%、より更に好ましくは30〜45質量%である。
[剥離シート]
剥離シートとしては、従来公知のものを利用することができる。例えば、剥離シート用基材上に、剥離剤により剥離処理された剥離層を有するものが挙げられる。
剥離シート用基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等から形成したプラスチックフィルム;等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
[ガスバリア性積層体の製造方法]
ガスバリア性積層体の製造方法は特に限定されない。
例えば、先に説明した硬化性の接着剤層の形成方法において、剥離シートが設けられていない硬化性の接着剤層の面にガスバリアフィルムを貼付し、プロテクトフィルムの粘着剤層とガスバリアフィルムとを貼り合せることによって、ガスバリア性積層体を製造することができる。
プロテクトフィルムがプロテクト層単層である場合には、プロテクト層とガスバリアフィルムとを貼り合せることにより、ガスバリア性積層体を製造することができる。例えば、プロテクトフィルムの自己粘着性によりガスバリアフィルム上にプロテクト層を積層することができる。
[本発明の封止体の製造方法にかかる各工程]
本発明の封止体の製造方法は、下記工程(1)〜(3)をこの順で有する。
・工程(1):硬化性の接着剤層と、ガスバリアフィルムと、プロテクトフィルムとが、この順で配置された積層構造を有するガスバリア性積層体を、前記硬化性の接着剤層を貼り合せ面として被封止物に貼付する工程
・工程(2):前記硬化性の接着剤層を硬化させる工程
・工程(3):前記プロテクトフィルムを前記ガスバリア性積層体から剥離する工程
<工程(1)>
工程(1)では、硬化性の接着剤層と、ガスバリアフィルムと、プロテクトフィルムとが、この順で配置された積層構造を有するガスバリア性積層体を、前記硬化性の接着剤層を貼り合せ面として被封止物に貼付する。
本発明の製造方法に用いられるガスバリア性積層体は、上述した硬化性の接着剤層、ガスバリアフィルム、及びプロテクトフィルムをこの順で積層した積層構造を有していれば、特に限定されない。
ガスバリア性積層体が有する層構成としては、例えば、硬化性の接着剤層に任意に積層される剥離シートを有する、以下の態様が挙げられる。
・剥離シート/硬化性の接着剤層/ガスバリアフィルム/プロテクトフィルム
剥離シートを有する当該層構成の態様は、ガスバリア性積層体を封止材として使用する前の状態を表したものである。封止材として使用する際には、剥離シートを剥離して除去し、露出した硬化性の接着剤層の面と被封止物とを貼り合せて被封止物を覆う。
被封止物としては、例えば、有機EL素子、有機ELディスプレイ素子、液晶ディスプレイ素子、太陽電池素子等の電子デバイスが挙げられる。
ここで、被封止物は、透明基板等の基板上に搭載されていてもよい。
被封止物が、透明基板等の基板上に搭載されている場合、ガスバリア性積層体が有する硬化性の接着剤層は、被封止物の表面及び被封止物の周辺の基板表面を覆うように貼付される。
透明基板は、特に限定されるものではなく、種々の基板材料を用いることができる。特に可視光の透過率が高い基板材料を用いることが好ましい。また、素子外部から浸入しようとする水蒸気やガスを阻止する遮断性能が高く、耐溶剤性や耐候性に優れている材料が好ましい。
具体的には、石英やガラスなどの透明無機材料;ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルホン類、ポリオレフィン類などの透明プラスチック;等が挙げられる。
透明基板の厚さは特に制限されず、光の透過率や、素子内外を遮断する性能を勘案して、適宜選択することができる。
ガスバリア性積層体の接着剤層を被封止物に貼り合せる際の貼付条件は特に限定されない。貼付時の温度は、例えば10〜60℃、好ましくは20〜45℃である。この貼り合せ処理は、加圧しながら行ってもよい。
<工程(2)>
工程(2)では、前記硬化性の接着剤層を硬化させる。
前記硬化性の接着剤層の硬化条件は特に限定されず、硬化性の接着剤層の種類に応じて、熱又はエネルギー線の種類が選択される。硬化性の接着剤層が熱硬化性の接着剤層である場合には、熱硬化性の接着剤層の種類に応じて、硬化温度及び硬化時間が設定される。硬化性の接着剤層がエネルギー線硬化性の接着剤層である場合には、エネルギー線硬化性の接着剤層の種類に応じて、エネルギー線の種類及び強度並びにエネルギー線照射時間が設定される。
例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)と多官能性エポキシ樹脂(BME)とを含む熱硬化性の接着剤層の場合、加熱温度は、通常80〜200℃(好ましくは90〜150℃)であり、加熱時間は、通常30分〜12時間(好ましくは1〜6時間)である。
硬化性の接着剤層をエネルギー線により硬化させる場合には、紫外線、可視光線、X線、電子線のような活性エネルギー線を照射することによって接着剤層を硬化させることができる。
本発明においては、無色透明性に優れる封止シートを得ることができる観点から、紫外線照射による光硬化が好ましい。
紫外線を照射する紫外線源の具体例としては、例えば超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源が挙げられる。また、照射する紫外線の波長としては、例えば190〜380nmの波長域を使用することができる。
紫外線の照射量は、照度50〜1,000mW/cm、光量50〜1,000mJ/cm程度が好ましい。
紫外線の照射時間は、通常0.1〜1,000秒、好ましくは1〜500秒程度である。
エネルギー線硬化性の接着剤層を用いることで、本発明の製造方法の工程(2)における接着剤層の硬化処理において、プロテクトフィルムの特性の変化や変形を抑えやすいため、プロテクトフィルムによってガスバリアフィルムをより良好に保護しやすい。
工程(2)を実施することで、被封止物と接着剤層とが強固に接着される。
<工程(3)>
工程(3)では、前記プロテクトフィルムを前記ガスバリア性積層体から剥離する。
工程(2)を実施することで、被封止物と接着剤層とが強固に接着される。そのため、工程(3)においてプロテクトフィルムをガスバリア性積層体から剥離しても、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じることなく、当該隙間に酸素や水分が浸入することによる被封止物の劣化が防止されると共に、外観不良も起こらない。
また、ガスバリア性積層体が有するガスバリアフィルムは、プロテクトフィルムが剥離されるまでの間、プロテクトフィルムにより保護され、ガスバリアフィルムにおける傷や割れの発生が防止される。
ここで、ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aが、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bと等しいか、あるいは、粘着力aよりも粘着力bの方が大きい場合、すなわち、a≦bである場合、硬化性の接着剤層の硬化前にプロテクトフィルムを剥離すると、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じやすい。そのため、当該隙間に酸素や水分が浸入することによる被封止物の劣化が生じる恐れがあると共に、外観も不良となりやすい。しかし、本発明では、工程(2)を実施して硬化性の接着剤層を硬化し、被封止物と接着剤層とを強固に接着した後に、プロテクトフィルムを剥離する工程(3)を実施している。そのため、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じることなく、当該隙間に酸素や水分が浸入することによる被封止物の劣化が防止されると共に、外観不良も起こらない。したがって、本発明の封止体の製造方法では、ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aの値を考慮せずとも、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bを、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程、さらには封止後の加工及び搬送等の過程で、プロテクトフィルムが意図せず剥離されてしまうことのない適切な範囲に調整すればよい。
ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aが1.3N/50mm以下である場合、硬化性の接着剤層の硬化前にプロテクトフィルムを剥離する際に、被封止物と接着剤層との間で隙間が生じにくい条件であるa>bとするためには、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bを1.3N/50mm未満とする必要がある。この場合、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程、さらには封止後の加工及び搬送等の過程で、プロテクトフィルムが意図せず剥離されやすい。しかし、本発明の製造方法では、a≦bであっても、プロテクトフィルムを剥離する際に封止物と接着剤層との間で隙間が生じることがない。したがって、ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aが1.3N/50mm以下であっても、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bを1.3N/50mm以上とすることができ、被封止物をガスバリア性積層体で封止する過程、さらには封止後の加工及び搬送等の過程で、プロテクトフィルムが意図せず剥離される不具合を回避しやすい。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[膜厚]
(1)アンカーコート層の厚さ
膜厚測定装置(フィルメトリクス株式会社製、製品名「F20」)を用いて測定した。
(2)ガスバリア層の厚さ
分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社製、製品名「M−2000」)を用いて測定した。
(3)アンカーコート層及びガスバリア層以外の各層の厚さの測定
株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG−02J」、標準規格:JIS K6783、Z1702、Z1709に準拠)を用いて測定した。
[重量平均分子量(Mw)]
ポリオレフィン系樹脂(A)として用いた変性ポリオレフィン系樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)、硬化性成分(B)として用いた多官能エポキシ化合物(BME)の重量平均分子量(Mw)は、以下の方法により測定した値である。
(1)変性ポリオレフィン系樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)
変性ポリオレフィン系樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8320」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレンの重量平均分子量に換算した値を用いた。
(測定条件)
・測定試料:サンプル濃度1質量%のテトラヒドロフラン溶液
・カラム:「TSK gel Super HM−H」を2本、「TSK gel Super H2000」を1本(いずれも東ソー株式会社製)、順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:0.60mL/min
(2)多官能エポキシ化合物(BME)の重量平均分子量(Mw)
多官能エポキシ化合物(BME)の重量平均分子量(Mw)は、上記のゲル浸透クロマトグラフ(GPC)装置を用いて、上記の条件下で測定し、複数観察されるピークのうち、面積が最大であるピークのピークトップの保持時間に対応する標準ポリスチレンの重量平均分子量に換算した値とした。
[ガスバリア性積層体の作製]
以下に説明するガスバリアフィルム、硬化性の接着剤層、及びプロテクトフィルムを準備し、これらを積層して3種のガスバリア性積層体1〜3を作製した。
(1)ガスバリアフィルムの作製
ポリエチレンテレフタレート(東レ株式会社製、PET50A4100、厚さ:50μm)を基材層とし、当該基材層の片面(易接着処理されていない平滑面)に、紫外線(UV)硬化性樹脂及び反応性シリカを含む組成物(JSR株式会社製、製品名「オプスターZ7530」)をマイヤーバーで塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を70℃で1分間乾燥させた。そして、コンベア型UV光照射装置(フュージョン社製、製品名「F600V」)を用いて、下記条件にて、当該塗膜にUVを照射して、当該塗膜を硬化させ、厚さ1μmのアンカーコート層を形成した。
(UV照射条件)
・UVランプ:高圧水銀灯
・ライン速度:20m/分
・積算光量:120mJ/cm
・照度:200mW/cm
・ランプ高さ:104mm
次いで、ペルヒドロポリシラザンを主成分とするコーティング材(クラリアントジャパン株式会社製、商品名「アクアミカNL110−20」)をアンカーコート層表面にスピンコート法により塗布し、120℃で1分間加熱して、ペルヒドロポリシラザンを含むポリシラザン層を形成した。ポリシラザン層の厚さは200nmであった。
次に、プラズマイオン注入装置を用いてポリシラザン層の表面に、アルゴン(Ar)をプラズマイオン注入してガスバリア層を形成し、以下の積層構造を有するガスバリアフィルムを作製した。
(ガスバリアフィルムの積層構造)
・基材層/アンカーコート層/ガスバリア層
(2)硬化性の接着剤層の形成
以下に説明する3種の硬化性の接着剤層1〜3を形成した。
(2−1)硬化性の接着剤層1の形成
ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部、熱硬化性成分(B1)27質量部、シランカップリング剤(C)0.1質量部、硬化触媒(D)0.6質量部をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度20質量%の接着剤組成物1を調製した。
接着剤組成物1の調製に用いた、ポリオレフィン系樹脂(A)、熱硬化性成分(B1)、シランカップリング剤(C)、及び硬化触媒(D)を以下に示す。
・ポリオレフィン系樹脂(A):三井化学株式会社製、製品名「ユニストール H−200」、酸変性α−オレフィン重合体、25℃において固体、重量平均分子量(Mw)=52,000、変性ポリオレフィン系樹脂(A1)に該当する樹脂である。
・熱硬化性成分(B1−1):三菱化学株式会社製、製品名「YX8034」、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、25℃において液体、エポキシ当量=270g/eq、重量平均分子量(Mw)=3,200、25℃において液体である多官能エポキシ化合物(BL)に該当する化合物である。
・シランカップリング剤(C):グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製、製品名「KBM−4803」。
・硬化触媒(D):2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業株式会社製、製品名「キュアゾール2E4MZ」。
調製した接着剤組成物1を剥離シート(リンテック株式会社製、商品名「SP−PET381031」)の剥離処理面上に塗布し、得られた塗膜を100℃で2分間加熱して、厚さが10μmの硬化性の接着剤層1を形成した。
(2−2)硬化性の接着剤層2の形成
上記の「(2−1)硬化性の接着剤層1の形成」において、熱硬化性成分(B1−1)を、以下に示す熱硬化性成分(B1−2)に変更して接着剤組成物2を調製し、硬化性の接着剤層2を形成した。
・熱硬化性成分(B1−2):三菱化学株式会社製、製品名「YX8000」、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、25℃において液体、エポキシ当量=205g/eq、重量平均分子量(Mw)=1,400、25℃において液体である多官能エポキシ化合物(BL)に該当する化合物である。
(2−3)硬化性の接着剤層3の形成
ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部、熱硬化性成分(B1)90質量部、シランカップリング剤(C)0.1質量部、硬化触媒(D)1.2質量部、粘着付与剤(E)50質量部をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度28質量%の接着剤組成物3を調製した。
ポリオレフィン系樹脂(A)、シランカップリング剤(C)、及び硬化触媒(D)は上記の「(2−1)硬化性の接着剤層1の形成」で用いたものと同様とした。
熱硬化性成分(B1)は、上記の「(2−2)硬化性の接着剤層2の形成」で用いたものと同様とした。
粘着付与剤(E)は、以下のとおりとした。
・粘着付与剤(E):スチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体、三井化学株式会社製、製品名「FTR6100」、軟化点=95℃。
その他は、上記の「(2−1)硬化性の接着剤層1の形成」と同様の方法で、硬化性の接着剤層3を形成した。
(3)プロテクトフィルムの準備
弱粘着性粘着シート(リンテック株式会社製、製品名「PF−PET38C」)をプロテクトフィルムとして用いた。
(プロテクトフィルムの構成)
・粘着剤層(アクリル系樹脂)/プロテクト層(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
(4)ガスバリア性積層体の作製
上記の「(1)ガスバリアフィルムの作製」において作製したガスバリアフィルムのガスバリア層と上記の「(2−1)硬化性の接着剤層1の形成」において形成した硬化性の接着剤層1とを貼り合せた。そして、バリアフィルム側(基材層表面)に、温度23℃、圧力0.2MPa、速度0.2m/minの条件で、プロテクトフィルムを、粘着剤層を貼り合せ面にしてラミネートし、ガスバリア性積層体1を作製した。
また、硬化性の接着剤層1を、「(2−2)硬化性の接着剤層2の形成」において形成した硬化性の接着剤層2に変更したこと以外は、上記と同様の手順で、ガスバリア性積層体2を作製した。
さらに、硬化性の接着剤層1を、「(2−3)硬化性の接着剤層3の形成」において形成した硬化性の接着剤層3に変更したこと以外は、上記と同様の手順で、ガスバリア性積層体3を作製した。
以下に、ガスバリア性積層体1〜3の積層構造を示す。
(ガスバリア性積層体1の積層構造)
・剥離フィルム/硬化性の接着剤層1/ガスバリア層/アンカーコート層/基材層/プロテクトフィルム
(ガスバリア性積層体2の積層構造)
・剥離フィルム/硬化性の接着剤層2/ガスバリア層/アンカーコート層/基材層/プロテクトフィルム
(ガスバリア性積層体3の積層構造)
・剥離フィルム/硬化性の接着剤層3/ガスバリア層/アンカーコート層/基材層/プロテクトフィルム
[実施例1〜2、比較例1、及び参考例1〜2]
(1)実施例1
幅50mm、長さ20mmにカットしたガスバリア性積層体1の剥離シートを剥がし、硬化性の接着剤層を貼り合せ面として、ソーダライムガラス板にガスバリア性積層体1をラミネートした。ラミネートには、ローラーを備えるラミネート装置(日本オフィスラミネーター社製、ロール式マルチラミネーター)を用い、ラミネート条件は、温度23℃、圧力0.2MPa、速度2.0m/minとした。そして、ソーダライムガラス板にラミネートしたガスバリア性積層体1を、100℃で2時間加熱し、硬化性の接着剤層1を熱硬化させた。
上記手順で作製したサンプルを、23℃で50%R.H.(相対湿度)の環境下に24時間静置し、後述する粘着力評価及び外観評価を行った。
(2)実施例2
ガスバリア性積層体1をガスバリア性積層体2に変更したこと以外は、実施例1と同様とした。
(3)比較例1
幅50mm、長さ20mmにカットしたガスバリア性積層体1の剥離シートを剥がし、硬化性の接着剤層を貼り合せ面として、ソーダライムガラス板にガスバリア性積層体1をラミネートした。ラミネートには、ローラーを備えるラミネート装置(日本オフィスラミネーター社製、ロール式マルチラミネーター)を用い、ラミネート条件は、温度23℃、圧力0.2MPa、速度2.0m/minとした。そして、ソーダライムガラス板にラミネートしたガスバリア性積層体1を加熱することなく未硬化の状態のまま、23℃で50%R.H.(相対湿度)の環境下に24時間静置し、後述する粘着力評価及び外観評価を行った。
(4)参考例1
ガスバリア性積層体1をガスバリア性積層体2に変更したこと以外は、比較例1と同様とした。
(5)参考例2
ガスバリア性積層体1をガスバリア性積層体3に変更したこと以外は、比較例1と同様とした。
[評価]
<粘着力評価>
(1)ガスバリアフィルムに対するプロテクトフィルムの粘着力bの測定
実施例1〜2、比較例1、及び参考例1〜2で準備したサンプルを、23℃で50%R.H.(相対湿度)の環境下にて、剥離角度180°で、プロテクトフィルムをガスバリアフィルムから引き剥がして、180°引きはがし粘着力測定試験(N/50mm、剥離速度:300mm/min)を実施し、ガスバリアフィルムとプロテクトフィルムとの間の粘着力bを測定した。なお、後述する外観評価において、浮きが発生したものについては、両面テープを介してガスバリア性積層体の硬化性の接着剤層をソーダライムガラス板に貼り付けて再度測定し、粘着力bを測定した。
(2)ガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aの測定
実施例1〜2、比較例1、及び参考例1〜2で準備したサンプルを、23℃で50%R.H.(相対湿度)の環境下にて、剥離角度180°で、ガスバリア性積層体をソーダライムガラス板から引き剥がして、180°引きはがし粘着力測定試験(N/50mm、剥離速度:300mm/min)を実施し、ソーダライムガラス板と硬化性の接着剤層との間の粘着力aを測定した。
<外観評価>
「(1)ガスバリアフィルムに対するプロテクトフィルムの粘着力bの測定」の際に、被着体であるソーダライムガラス板と硬化性の接着剤層との間に浮きがみられないか目視で確認した。浮きがみられない場合を「A」、浮きが発生した場合を「F」とした。
結果を表1に示す。
表1より、以下のことがわかる。
実施例1〜2のように、硬化性の接着剤層を硬化した後は、プロテクトフィルムを剥がしても浮きが見られず、外観が良好であることがわかる。
一方、硬化性の接着剤層を熱硬化する前に、プロテクトフィルムを剥がすと、比較例1のように外観不良となる場合と、参考例1〜2のように外観良好である場合とに分かれることがわかる。
以上のことから、実施例1〜2のように、先に硬化性の接着剤層を硬化させた場合、プロテクトフィルムを剥がしても浮きが見られず、一律に外観良好にできることがわかる。

Claims (13)

  1. 下記工程(1)〜(3)をこの順で有する、封止体の製造方法。
    ・工程(1):硬化性の接着剤層と、ガスバリアフィルムと、プロテクトフィルムとが、この順で配置された積層構造を有するガスバリア性積層体を、前記硬化性の接着剤層を貼り合せ面として被封止物に貼付する工程
    ・工程(2):前記硬化性の接着剤層を硬化させる工程
    ・工程(3):前記プロテクトフィルムを前記ガスバリア性積層体から剥離する工程
  2. 前記ガスバリア性積層体が有する前記硬化性の接着剤層が、ポリオレフィン系樹脂(A)を含む接着剤組成物から形成された層である、請求項1に記載の封止体の製造方法。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂(A)が、変性ポリオレフィン系樹脂(A1)を含む、請求項2に記載の封止体の製造方法。
  4. 前記ガスバリア性積層体が有する前記硬化性の接着剤層が、硬化性成分(B)を含む接着剤組成物から形成された層である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の封止体の製造方法。
  5. 前記ガスバリア性積層体が有する前記硬化性の接着剤層が、エネルギー線硬化性の接着剤層である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の封止体の製造方法。
  6. 前記ガスバリア性積層体が有する前記ガスバリアフィルムが、基材層とガスバリア層とを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の封止体の製造方法。
  7. 前記基材層が、樹脂成分として、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、及びシクロオレフィンコポリマーから選択される1種以上を含む樹脂フィルムを有する、請求項6に記載の封止体の製造方法。
  8. 前記基材層の厚さが、30μm以下である、請求項6又は7に記載の封止体の製造方法。
  9. 前記ガスバリア層が、高分子化合物を含み、改質処理が施された高分子層である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の封止体の製造方法。
  10. 前記ガスバリア層と前記硬化性の接着剤層とが、直接積層されている、請求項6〜9のいずれか1項に記載の封止体の製造方法。
  11. 前記ガスバリア性積層体が有する前記プロテクトフィルムが、プロテクト層と粘着剤層とを有し、前記粘着剤層が前記ガスバリアフィルムに貼付されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の封止体の製造方法。
  12. 前記ガスバリア性積層体を、前記硬化性の接着剤層を貼り合せ面として、下記条件(α)でガラス板にローラーで押し当てて、ガスバリア性積層体とガラス板とを貼付した後、下記条件(β)で剥離し、その他の条件はJIS Z0237:2000に準拠して測定される、前記ガラス板と前記硬化性の接着剤層との間の粘着力aと、前記ガスバリアフィルムと前記プロテクトフィルムとの間の粘着力bとが、下記式(1)を満たす、請求項1〜11のいずれか1項に記載の封止体の製造方法。
    a≦b・・・(1)
    条件(α):温度23℃、圧力0.2MPa、及び速度0.2m/min
    条件(β):貼付後、23℃で相対湿度50%の環境下で24時間静置して剥離、剥離速度300mm/min及び剥離角度180°
  13. 前記ガスバリア性積層体を、前記硬化性の接着剤層を貼り合せ面として、下記条件(α)でガラス板にローラーで押し当てて、ガスバリア性積層体とガラス板とを貼付した後、下記条件(β)で剥離し、その他の条件はJIS Z0237:2000に準拠して測定される、前記ガスバリアフィルムと前記プロテクトフィルムとの間の粘着力bが、1.3N/50mm以上である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の封止体の製造方法。
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