以下に本発明を、必要に応じて、添付の図面を参照して例示の実施形態により説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(定義)
本明細書中で、「リハビリテーション」とは、負荷装置によって患者に負荷をかけることによる、疾患または傷害に起因する心身の機能改善のための任意のアプローチを意味する。
本明細書中で、「心疾患」とは、心筋梗塞、弁膜症、心筋症、心臓外傷などあらゆる心臓に関連する疾患および障害を含む。
本明細書中で、「心不全」とは、健常な状態の心臓と比べて、疾患や外傷などによって心臓のポンプ機能が低下した状態をいう。
本明細書中で、「患者」とは、リハビリテーションを実施する任意の個人をいう。
本明細書中で、「リハビリテーション管理者」とは、患者に対してリハビリテーションの計画および/または指導を行う者(例えば、理学療法士、看護師、医師など)をいう。
本明細書中で、「第1の場所」および「第2の場所」という場合、それらの場所は異なる場所であり、それらの場所の関係を「遠隔」とも表現する。2つの場所が「遠隔」であるとは、それらの場所にそれぞれ存在する二者が、通信機能を用いない限り、目で見る、または会話するという直接的なコミュニケーションができない関係にあることを意味する。
本明細書中で、負荷装置の「制御」とは、リハビリテーションが開始されないように負荷装置を制御すること、リハビリテーション中の負荷装置の負荷を減少すること、またはリハビリテーション中の負荷装置の負荷を停止する(すなわち、無負荷にする)ことをいう。
本明細書中で、「安静時」とは、心臓に負荷がかかっていない任意の時点をいう。
本明細書中で、「負荷運動の開始前」とは、負荷運動の開始前30分以内をいう。
本明細書中で、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
次に、実施の形態におけるリハビリ支援システムの概要について説明する。
本実施の形態におけるリハビリ支援システムは、リハビリテーションを支援するリハビリ支援システムであって、ネットワークに接続され、医療関係者用の情報端末装置と、前記ネットワークに接続され、リハビリテーションの対象者に負荷を提供し、前記対象者の心電図データを測定するユーザ機器と、を備え、前記ユーザ機器は、前記対象者の状況を示す状況データを表示する表示パネルを備え、前記状況データは、前記情報端末装置を操作する前記医療関係者の指示に基づいて前記ユーザ機器を利用する前記対象者がリハビリテーションとしての運動を行っているときの前記対象者の状況を示すデータであり、前記ユーザ機器は、前記心電図データ、前記対象者の心拍数、前記ユーザ機器が提供している負荷の大きさ、前記負荷に対する前記対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている前記対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データのうちの1つ以上を前記状況データとして前記表示パネルに表示する。
これによれば、対象者の状況を示す状況データの表示を視認できるので、対象者の負担感および不安感をやわらげ、長期のリハビリの継続を容易にすることができる。
また、実施の形態におけるユーザ機器は、医療関係者用の情報端末装置からの指示に基づいてリハビリテーションを支援するユーザ機器であって、対象者の心電図データを測定する心電計と、前記対象者に負荷を提供する負荷装置と、前記対象者の操作を受け付ける操作部と、前記対象者の状況を示す状況データを表示する表示部と、ネットワークを介して前記情報端末装置と通信する通信部と、前記心電計、前記負荷装置、前記通信部、前記操作部および前記表示部を制御する制御部と、を有し、前記状況データは、前記心電図データ、心拍数、前記負荷装置が提供している負荷の大きさ、前記負荷に対する前記対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている前記対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データのうちの1つ以上を含む。
これによれば、対象者の状況を示す状況データの表示を視認できるので、対象者の負担感および不安感をやわらげ、長期のリハビリの継続性を改善することができる。
また、実施の形態における情報端末装置は、リハビリテーションを支援する情報端末装置であって、前記情報端末装置は、リハビリテーションの対象者に運動の負荷を提供しかつ前記対象者の心電図データを測定するユーザ機器置から、前記心電図データを取得し、前記情報端末装置は、前記対象者に関する状態データを表示する表示部を備え、前記状態データは、前記情報端末装置を操作する前記医療関係者の指示に基づいて前記ユーザ機器を利用する前記対象者がリハビリテーションとしての運動を行っているときの前記対象者の状態を示すデータであり、前記表示部は、前記心電図データに基づく心電図波形を前記状態データの一部として表示し、さらに、心拍数、前記ユーザ機器が前記対象者に提供している運動の負荷の大きさ、前記運動の負荷に対する前記対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている前記対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データのうちの1つ以上を前記状態データの他の一部として表示する。
これによれば、長期のリハビリの継続を容易にすることができる。
(具体的な実施形態)
以下の具体的な実施形態では、リハビリ支援システムとして、患者のリハビリテーション用のシステムを一例として示す。図1は、本発明の具体的な実施形態によるリハビリテーション用システムの概要を示す図である。
本発明の具体的な実施形態によるリハビリテーション用システム1000は、ネットワーク10上に設けられたシステム管理サーバ100と、病院20に設置された情報端末装置200と、個々の患者が患者宅30でリハビリテーションのための運動(以下、リハビリ運動と略記する)に用いるユーザ機器300とを含む。なお、本実施形態では、1つの情報端末装置200に2つのユーザ機器300が接続されているが、ユーザ機器は3つ以上であってもよいことが理解される。
ここで、システム管理サーバ100と情報端末装置200とはそれぞれ、上述した管理システムを構成する複数の管理端末の1つであり、システム管理サーバ100は、上述した受信部、パターン認識部、および制御部を含む。ユーザ機器300は、上述したリハビリテーション用の機器であり、負荷装置と、心電図測定装置と、ユーザ端末とを含む。図示される実施形態においては、負荷装置が座席部とは別個に提供される。ユーザ端末は上述した送信部を含む。
(システム管理サーバ100)
以下、システム管理サーバ100について具体的に説明する。
システム管理サーバ100は、主な処理として、ユーザ機器300から提供される心電図波形データに基づいてそのパターン認識を行い、パターン認識により得られたパターンに基づいてユーザ機器300を用いた患者のリハビリ運動が可能か否かを判定する処理(認識判定処理)と、リハビリ運動開始前後の心電図波形のパターンの変化に応じてユーザ機器300の負荷制御処理(例えば、ユーザ機器300を無負荷状態にする処理)とを行う。システム管理サーバ100は、パーソナルコンピュータや携帯端末(タブレット端末、スマートフォン、携帯電話など)など任意のタイプのコンピュータであり得る。
図2は、図1に示すシステム管理サーバの具体的構成を示す図である。
システム管理サーバ100は、インターネット10を介して、情報端末装置200および複数のユーザ機器300と接続されることが可能なように構成されている。さらに、システム管理サーバ100は、データベース部110に接続され、データベース部110に対してデータのアクセスが可能なように構成されている。
具体的には、システム管理サーバ100は、プロセッサ部101と、メモリ部102と、通信制御部103と、インターフェース部104とを含む。プロセッサ部101と、メモリ部102と、通信制御部103と、インターフェース部104とは、バス部105を介して相互に接続されている。
通信制御部103は、システム管理サーバ100と情報端末装置200および複数のユーザ機器300の各々との通信を制御する。
インターフェース部104は、システム管理サーバ100とデータベース部110との間でのデータのアクセスを制御する。
メモリ部102には、システム管理サーバ100で処理の実行に必要とされるプログラムやそのプログラムの実行に必要とされるデータなどが格納されている。例えば、メモリ部102には、上述した判定認識処理および負荷制御処理を少なくとも実行するためのプログラムが格納されている。なお、メモリ部102にプログラムを格納する方法は、プリインストール、ネットワーク上のサイトからのダウンロード、記録媒体(例えば、光ディスクやUSBメモリ)からの読み出しなどどのような方法でもよい。
プロセッサ部101は、システム管理サーバ100全体の動作を制御する。プロセッサ部101は、メモリ部102に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、システム管理サーバ100は、上述した判定認識処理および負荷制御処理を少なくとも実行することとなる。
ここで、データベース部110は、波形データベース部110aと、計画データベース部110bと、実績データベース部110cとを含む。波形データベース部110aには、心電図波形データとして、上述した11種類のパターン、すなわち、ノーマルパターン(洞調律)とそれ以外の10種類のパターン1〜10の心電図波形データが少なくとも格納されている。これらの心電図波形のパターンは、ユーザ機器300から送信された心電図波形データが示すパターンとパターン認識により比較され、ユーザ機器300から送信された心電図波形データのパターンが、ノーマルパターンおよびそれ以外の10種類のパターンのいずれに該当するかを判定するためのパターンである。計画データベース部110bには、個々の患者のために作成されたリハビリテーション計画を示すデータが格納されている。このリハビリテーション計画を示すデータは、このリハビリテーション用システム1000に登録されている患者を特定するための識別情報(すなわち、患者ID)に対応付けられている。実績データベース部110cには、個々の患者がリハビリテーションを行って得られた結果を示す実績データが格納されている。ここで、実績データは、例えば、脈拍、走行距離、時間、消費カロリー、さらには、リハビリテーションを行うたびに付与されるポイントの蓄積量などである。実績データも、リハビリテーション計画を示すデータと同様に患者IDに対応付けられている。また、患者IDは、このリハビリテーション用システム1000に患者が登録されたときに患者に付与される。患者IDは、患者の氏名、年齢、生年月日、住所、電話番号などの情報と関連付けられ、データベース部110にて管理されている。ただし、患者IDの管理は、患者IDをデータベース部110で管理する場合に限定されるものではない。例えば、患者IDは、病院20に設置されている情報端末装置200で管理されてもよいし、ネットワーク上に接続された患者ID専用のサーバで管理されてもよい。
(情報端末装置200)
次に、情報端末装置200について具体的に説明する。
情報端末装置200は、主な処理として、システム管理サーバ100で管理している情報を更新する処理(情報更新処理)、およびユーザ機器300とのデータ通信およびテレビ電話通信のための処理(通信処理)を行う。
システム管理サーバ100で管理している情報は、システム管理サーバ100に接続されているデータベース部110に格納されている情報であり、情報端末装置200は、このデータベース部110に格納されている情報に対する新たなデータの登録、既存のデータに対する変更削除などを行うものである。
図3は、図1に示す情報端末装置200の具体的構成を示す図である。
情報端末装置200の主要部は、図3に示すようにコンピュータシステム200aである。このコンピュータシステム200aは、パーソナルコンピュータや携帯端末(タブレット端末、スマートフォン、携帯電話など)など任意のタイプのコンピュータであり得る。コンピュータシステム200aは、インターネット10を介して、システム管理サーバ100および複数のユーザ機器300と接続されることが可能なように構成されている。
具体的には、コンピュータシステム200aは、プロセッサ部201と、メモリ部202と、通信制御部203と、インターフェース部204とを含む。プロセッサ部201と、メモリ部202と、通信制御部203と、インターフェース部204とは、バス部205を介して相互に接続されている。
通信制御部203は、システム管理サーバ100および複数のユーザ機器300の各々との通信を制御する。
インターフェース部204には、キーボード、マウス、タッチパネル、スキャナなどの入力装置204aが接続され得る。さらに、インターフェース部204には、液晶ディスプレイなどの表示装置204bが接続され得る。なお、入力装置204aおよび表示装置204bの少なくとも一方は、コンピュータシステム200aの外部に設けられた構成としてもよいし、コンピュータシステム200aの内部に組み込まれた構成としてもよい。
メモリ部202には、情報端末装置200での処理の実行に必要とされるプログラムやそのプログラムの実行に必要とされるデータ等が格納されている。例えば、メモリ部202には、コンピュータシステム200a内のプロセッサ部201において、上述した情報更新処理および通信処理を少なくとも実行するためのプログラムが格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部202に格納するかは問わない。
プロセッサ部201は、コンピュータシステム200a全体の動作を制御する。プロセッサ部201は、メモリ部202に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、情報端末装置200は、上述した情報更新処理および通信処理を少なくとも実行することとなる。
(ユーザ機器300)
続いて、ユーザ機器300について具体的に説明する。
ユーザ機器300は、患者の心電図波形データを測定してシステム管理サーバ100に送信する機能(測定送信機能)と、患者に運動負荷を与える機能(負荷付与機能)と、患者に与える運動負荷を調整する機能(負荷調整機能)とを有し、システム管理サーバ100での患者の心電図波形データに対するパターン認識の結果に応じて、ユーザ機器300により患者が受ける運動負荷を制御され得るように構成されている。これにより、このユーザ機器300を利用する患者は、自宅でリハビリ運動を安全かつ効果的に行うことができる。
図4は、図1に示すユーザ機器を具体的に説明するための図であり、図4(a)は、ユーザ機器の外観を示し、図4(b)は、ユーザ機器の内部構造を模式的に示している。
ユーザ機器300は、コンピュータシステム300aと、バイク形式の負荷装置310と、心電図波形データの測定装置320とを有する。負荷装置310と心電図波形データの測定装置320とはコンピュータシステム300aに接続されている。
負荷装置310は、負荷装置本体310aと、負荷装置本体310aに回転可能に取り付けられた回転軸314と、回転軸314に取り付けられた回転円板315と、回転軸314の両端に取り付けられ、回転円板315を回転させるためのペダル313と、回転円板314の回転負荷を調整する回転負荷調整機316と、ペダル313の回転を検出する回転検出器317とを有している。負荷装置本体310aの部品装着孔311aには、表示装置(モニタ装置)311が取り外し可能に取り付けられ、負荷装置本体310aの部品収納スペース312aには、病院の理学療法士とのコミュニケーションのための通信端末(例えば、スマートフォン)312が収納されている。表示装置(患者モニター)311はタッチパネル形式の表示パネルであり、画面上でのタッチ操作により情報の入力が可能である。
心電図波形データの測定装置320は、測定装置本体321と、測定装置本体321に接続された複数の測定電極322とを有する。測定装置本体321の接続ケーブル321aは負荷装置本体310aの接続ソケット310bに接続されている。測定装置本体321は、患者に取り付けられた複数の測定電極322で検出した測定電位に基づいて心電図波形を表すデータを作成し、作成したデータをコンピュータシステム300aに送信するようにするように構成されている。ここで、測定装置320は、心電図波形データだけでなく、血圧、脈拍、体重などを測定できるものでもよい。あるいは、患者の心電図を測定する測定装置と、血圧、脈拍、体重などを測定する装置は別個に設けられてもよい。さらに、ユーザ機器300は、負荷装置310のペダル313を漕いだ走行距離、所要時間、平均負荷の大きさをコンピュータシステム300aのメモリ部302に記録し、記録したこれらのデータをシステム管理サーバ100に提供して実績データベース部110cに格納するように構成されていてもよい。負荷装置本体310aの背面下端部には、メジャー部材310cが負荷装置本体310aから外側に向けて延びるように取り付けられている。
図5は、図4に示すユーザ機器300に搭載されているコンピュータシステム300aを示す図である。
コンピュータシステム300aは、インターネット10を介して、システム管理サーバ100および情報端末装置200と接続されることが可能なように構成されている。
具体的には、コンピュータシステム300aは、プロセッサ部301と、メモリ部302と、通信制御部303と、インターフェース部304と、負荷制御部305とを含む。プロセッサ部301と、メモリ部302と、通信制御部303と、インターフェース部304と、負荷制御部305とは、バス部306を介して相互に接続されている。
通信制御部303は、システム管理サーバ100および情報端末装置200との通信を制御する。
インターフェース部304には、負荷装置310の回転検出器317、心電図波形データの測定装置320、回転検出器317、表示装置311および通信端末312が接続されている。
メモリ部302には、ユーザ機器300の機能の実現に必要とされるプログラムやそのプログラムの実行に必要とされるデータ等が格納されている。例えば、メモリ部302には、コンピュータシステム300a内のプロセッサ部301において、上述した測定送信機能、負荷付与機能および負荷調整機能を少なくとも実現するためのプログラムが格納されている。ここで、プログラムは任意の手段によってメモリ部302に格納することができる。また、個々のユーザ機器300にはこれを利用する患者を特定するための患者IDが設定されており、個々の患者IDは、個々のユーザ機器300のメモリ部302に格納されている。なお、患者IDは、個々の患者が、タッチパネル形式の表示パネル上でタッチ操作を行うことにより設定可能である。ただし、患者IDの設定方法はこれに限定されるものではない。
プロセッサ部301は、コンピュータシステム300a全体の動作を制御する。プロセッサ部301は、メモリ部302に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、ユーザ機器300は、上述した測定送信機能、負荷付与機能および負荷調整機能を少なくとも有するものとなる。
なお、心電図波形データの測定装置320、表示装置311および通信端末312の少なくとも一つは、負荷装置本体310aの外部に設けられた構成としてもよいし、負荷装置本体310aの内部に組み込まれた構成としてもよい。
なお、上述したシステム管理サーバ100、情報端末装置200およびユーザ機器300におけるインターフェース部、メモリ部、プロセッサ部、通信制御部のそれぞれの構成要素は、単一のハードウェア部品で構成されていてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されていてもよい。システム管理サーバ100、情報端末装置200のコンピュータシステム200a、およびユーザ機器300のコンピュータシステム300aの構成は、特定のハードウェア構成には限定されない。ユーザ機器300における負荷制御部305についても、単一のハードウェア部品で構成されていてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されていてもよいし、特定のハードウェア構成には限定されるものではない。
また、図1に示される実施形態では、システム管理サーバ100と、情報端末装置200と、ユーザ機器300とは、インターネット10を介して相互に接続されることが可能であるとしたが、本発明はこれに限定されない。インターネット10の代わりに任意のタイプのネットワークを用いることも可能である。なお、インターネット10およびその代わりの任意のネットワークを介することなく、システム管理サーバ100と、情報端末装置200と、ユーザ機器300とを相互に電気的に結合した構成もまた本発明の範囲内である。
さらに、システム管理サーバ100の機能をユーザ機器300の機能に一体的に組み込んだユーザ機器(すなわち、スタンドアロン型のユーザ機器)を、上述した実施形態のリハビリテーション用システム1000を構成するユーザ機器として構築してもよい。このようなスタンドアロン型のユーザ機器もまた本発明の範囲内である。スタンドアロン型のユーザ機器は、このユーザ機器を利用する患者のリハビリテーションに必要なデータ(心電図波形データ、リハビリテーション計画データ、リハビリテーション実績データ)を格納するように構成されたデータベース部を搭載していてもよい。この場合、患者IDの管理は情報端末装置200で行われる。さらに、上述したスタンドアロン型のユーザ機器300は、データベース部を持たず、インターネット10上に設けられているデータベース部110を適宜利用するようにしたものでもよい。
次に、本実施形態のリハビリテーション用システムの動作を説明する。
まず、リハビリテーション用システムに設けられているユーザ機器300の使用方法を説明する。
図6Aは、ユーザ機器300へのモニタ装置311及び通信端末312の装着方法を示す説明図であり。図6Bは、ユーザ機器300の使用状態を示す説明図である。
まず、図6Aに示すように、負荷装置本体310aの部品装着孔311aに表示装置(モニタ装置)311を取付け、さらに、負荷装置本体310aの部品収納スペース312aには、病院の理学療法士とのコミュニケーションのための通信端末(例えば、スマートフォン)312を収容しておく。測定装置320の接続ケーブル321aを負荷装置本体310aの接続ソケット300bに接続する。
次に、図6Bに示すように、患者30aはユーザ機器300のペダル313を漕ぎやすい位置に椅子31を配置し、患者30aは、椅子31に腰かけた状態で、測定装置320の測定電極322を心電図波形の測定が可能となるように胸部の所定位置に取り付ける。
このようにユーザ機器300によるリハビリ運動を心電図波形のモニターによる監視下で実行するための準備が完了すると、患者30aはユーザ機器300の起動ボタンを操作してユーザ機器300を起動する。すると、リハビリテーション用システム1000では、患者の心電図波形が管理システム側でモニターされた状態で患者がリハビリ運動を行うことができる状態となる。また、ユーザ機器300は、心電図データ、対象者の心拍数、ユーザ機器30が提供している負荷の大きさ、負荷に対する対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データのうちの一部または全部を表示パネル(表示装置311)に表示する。患者が表示項目を見ることで、患者の負担感および不安感をやわらげることができる。
以下、詳しく説明する。
図7は、実施形態によるリハビリテーション用システムの動作をフローチャートで示す図である。同図は、患者がユーザ機器を用いてリハビリテーションを行う際にこのシステムで行われるリハビリ運動のための処理の流れを示す。図8Aは、図7に示す動作(ステップS1〜S3)における、ユーザ機器、システム管理サーバ、及び情報端末装置の連携動作を示すシーケンス図である。図8Bは、図8AのステップS101(ユーザ機器の起動に伴う確認処理)の具体例をフローチャートで示す図である。図9は、図7に示すステップS5〜S10における、ユーザ機器、システム管理サーバ、及び情報端末装置の連携動作を示すシーケンス図である。
〔図7のステップS1〕
患者によるユーザ機器300の起動ボタンの操作によりユーザ機器300が起動したことを検出すると、リハビリテーション用システム1000では、機器の起動に伴う確認処理が実行される。
このステップS1の処理を実行するために、リハビリテーション用システムの各部では以下の具体的な処理が行われる。
ユーザ操作によりユーザ機器300が起動したことをユーザ機器300のプロセッサ部301が検出する(ステップS101)。
ユーザ機器300のプロセッサ部301は、システム管理サーバ100及び病院20の情報端末装置200に、リハビリ運動開始の承認要求を送信する(ステップS102)。
ユーザ機器300のプロセッサ部301は、モニタ装置311にリハビリ運動の準備確認のための質問メッセージ(例えば、「測定装置320を装着しましたか。」、「まだ運動は初めないでください。OKですか。」といった文字メッセージを表示させる(ステップS103)。このメッセージは音声メッセージでも、文字メッセージと音声メッセージの両方であってもよい。
システム管理サーバ100および病院20の情報端末装置200は、患者がリハビリ運動を開始することに問題がなければ、リハビリ運動開始の承認応答をユーザ機器300に送信する(ステップS103a、S103b)。なお、患者がリハビリ運動を開始することに問題があれば、リハビリ運動開始の承認応答を送信しないか、あるいはリハビリ運動開始の非承認応答を送信する。その場合は、ユーザ機器300では心電図波形の測定は行われず、リハビリ運動のための処理は終了する。
その後、ユーザ機器300のプロセッサ部301は、患者の準備OKを示す意思表示(モニター装置の画面上でのタッチ操作)を検出すると(ステップS104)、ユーザ機器300のプロセッサ部301の処理は、心電図波形の測定処理に移行する。
次に、図8AのステップS101に示した、ユーザ機器の起動に伴う確認処理の具体例について、図8Bを用いて説明する。
図8Bにおいて、まず、ユーザ機器300はログイン処理を行う(S001)。ログイン処理は、ユーザ機器300の患者がユーザ機器300を介して情報端末装置200(またはシステム管理サーバ100)にログインするための処理である。ログイン処理は、ユーザ機器300の起動時に開始してもよいし、ユーザ機器300への患者による特定の操作を受けて開始してもよい。ここでいう特定の操作は、例えば、遠隔心臓リハビリテーション用のソフトウェアである専用アプリ(以下リハビリアプリと呼ぶ)の起動操作でもよい。
ログイン後に、ユーザ機器300は、予約確認するか、または、リハビリ開始するかを患者に問合せ(S002)、予約確認する場合は予約状況を表示する(S003)。
リハビリを開始する場合は、ユーザ機器300は、体重、血圧等のデータ入力を受け(S004)、患者の準備運動の完了を待ち(S005)、問診票への回答入力を受け(S006)、これらの入力項目を情報端末装置200またはシステム管理サーバ100に送信する(S007)。なお、患者の準備運動は、リハビリ直前に患者が行う軽いレジスタンストレーニング、ストレッチ等である。
次に、上記のステップS001〜S007での、ユーザ機器300における具体的な表示画面の例について図12〜図15Bを用いて説明する。
図12は、ユーザ機器300の表示装置311におけるログイン画面の表示例を示す図である。同図は、図8BのステップS001における表示例を示す。また、表示装置311は、タッチパネル機能を有する表示画面を示しているものとする。
図12の表示例は、表示項目として項目d101〜項目d106を含む。項目d101は、「遠隔心臓リハビリテーション」の文字列を含むタイトルバーである。項目d102は、「リハビリを開始するユーザを選択してください」という患者へのメッセージ文である。項目d103は、「登録ユーザ」を選択するユーザ操作を受け付けるボタン画像である。項目d104は、「新規ユーザ」の登録操作を受け付けるボタン画像である。項目d105は、リハビリアプリを「終了」させるユーザ操作を受け付けるボタン画像である。項目d106は、リハビリアプリの表示等を「設定」または変更するためのボタン画像である。
例えば、図12においてユーザが、項目d103の「登録ユーザ」ボタン画像をタッチしたとき、ユーザ名およびログインパスワード確認画面が表示され、ログインすることになる。また、例えば、図12においてユーザは、項目d104の「新規ユーザ」ボタン画像をタッチしたとき、さらに、ユーザ登録画面が表示され、ユーザ名およびログインパスワードを新たに登録することになる。
図12では、患者の操作対象となるボタン画像の数が4個に制限されている。しかも、主要なボタン画像は、大きな面積を持ち、大きな文字を含む。これにより、高年齢の患者にとっても視認性を向上し、かつ、操作性を簡単にしている。
図13は、ユーザ機器300の表示装置311における予約確認およびリハビリ開始用画面の表示例を示す図である。同図は、図8BのステップS002における表示例を示す。図13の表示例は、表示項目としてd201〜項目d205を含む。項目d201は、「遠隔心臓リハビリテーション」の文字列を含むタイトルバーである。このタイトルバーは、「対象者:Aさん」というログインユーザ名を示す表示を含む。項目d202は、「予約状況の確認またはリハビリを開始します」という患者へのメッセージ文である。項目203は、「予約の確認」を受け付けるボタン画像である。項目d204は、「リハビリ開始」を受け付けるボタン画像である。項目d205は、前画面へ「戻る」を指示するユーザ操作を受け付けるボタン画像である。
例えば、図13においてユーザが、項目d203の「予約の確認」ボタン画像をタッチしたとき、予約状況を表示する画面に表示が切り替わる。また、例えば、図13においてユーザは、項目d204の「リハビリ開始」ボタン画像をタッチしたとき、リハビリ開始用の画面(例えば図14)に表示が切り替わる。
図13では、患者の操作対象となるボタン画像の数が3個に制限されている。しかも、主要なボタン画像は、大きな面積を持ち、大きな文字を含む。これにより、高年齢の患者にとっても視認性が良く、かつ、操作性を簡単にしている。
図14は、ユーザ機器の300表示装置311における体重および血圧入力用画面の表示例を示す図である。同図は、図8BのステップS004における表示例を示し、患者が「リハビリ開始」を選択した直後の表示例である。図14の表示例は、表示項目として項目d301〜項目d308を含む。項目d301は、図13の項目d201と同様のタイトルバーである。項目d302は、ユーザーによる数値入力用のテンキーボタン画像であり、「0」〜「9」の10個の数字ボタン画像と、「一字消す」ボタン画像とを含む。項目d303は、体重の入力欄であり、項目d302からの入力値を表示する。同図の項目d303は、既に「60.0」kgの数値が入力済である。項目d304は、血圧の上の値の入力欄であり、項目d302からの入力値を表示する。同図の項目d304は、既に「120」mmHgが入力済である。項目d305は、血圧の下の値の入力欄であり、項目d302からの入力値を表示する。同図の項目d305は、既に「80」mmHgが入力済である。項目d306は、「完了を押してください」というメッセージ文である。項目d306は、ユーザによる段階的な入力を促すために、「体重を入力してください」、「血圧(上の値)を入力してください」、「血圧(下の値)を入力してください」等のメッセージ文に適宜変更される。項目d307は、前画面へ「戻る」を指示するユーザ操作を受け付けるボタン画像である。項目d308は、入力の「完了」を通知するユーザ操作を受け付けるボタン画像である。項目d308は、全入力欄が入力済でなければ通常表示され、全入力欄が入力済になった時点でハイライト表示に変更される。
図14では、メッセージ文の適宜の変更、およびボタン画像のハイライト表示により、ユーザ入力を促し、操作性を向上させる。
図15Aは、ユーザ機器の表示装置における未入力の問診用画面の表示例を示す図である。同図は、図8BのステップS006における表示例を示し、患者が体重および血圧値を入力し、かつ、準備運動(例えば軽いレジスタンストレーニング)を完了した直後の表示例である。図15の表示例は、表示項目として項目d401〜項目d403、項目d41q〜項目d47q、項目d41y〜項目d47y、項目d41n〜項目d47nを含む。項目d401は、図13の項目d201と同様のタイトルバーである。項目d402は、前画面へ「戻る」を指示するユーザ操作を受け付けるボタン画像である。項目d403は、回答が完了し、画面表示を「次へ」進めるためのユーザ操作を受け付けるボタン画像である。項目d408は、全ての問診項目が回答済でなければ通常表示され、全ての問診項目が回答済になった時点でハイライト表示に変更される。項目d41q〜項目d47qは、それぞれ問診項目の質問文である。項目d41y〜項目d47yは、項目d41q〜項目d47qに対応し、「はい」を示す回答用のボタン画像である。項目d41n〜項目d47nは、項目d41q〜項目d47qに対応し、「いいえ」を示す回答用のボタン画像である。対応する「はい」ボタン画像および「いいえ」ボタン画像は、一方を選択可能な、いわゆるラジオボタンになっている。選択された「はい」ボタン画像または「いいえ」ボタン画像は、選択状態が視認できるように表示態様が変更される。
図15Aでは、問診用画面の表示直後であって、いずれの回答用ボタン画像も選択されていない状態を示している。
なお、図15Aの項目d41qは「本日の体調は普段と変わらない」かどうかを問う質問文である。項目d42qは「いつもと同じ食欲がある」かどうかを問う質問文である。項目d43qは「いつもと同じように眠れている」かどうかを問う質問文である。項目d44qは「薬をきちんと内服している」かどうかを問う質問文である。項目d45qは「咳や息切れがない」かどうかを問う質問文である。項目d46qは「むくみがない」かどうかを問う質問文である。項目d47qは「レジスタンストレーニング済」かどうかを問う質問文である。レジスタンストレーニングは、リハビリ前の軽い準備運動の意味である。
図15Bは、ユーザ機器の表示装置における入力済の問診用画面の表示例を示す図である。同図は、図15Aにおいて回答が入力済の表示例を示す。選択された「はい」ボタン画像または「いいえ」ボタン画像は、選択状態が視認できるように、丸印に黒丸が追加され、ボタン画像字体もハイライト表示される。このハイライト表示により、入力結果が一目瞭然となる。図15Bでは、図15Aになかった項目d404が追加されている。項目d404は、全ての問診項目への回答入力(つまり選択)が完了した時点で表示されるメッセージ文であり、ここでは「次へを押してください」と表示している。また、項目d404の表示開始と同時に、「次へ」ボタン画像である項目d403がハイライト表示されている。
図15Aおよび図15Bでは、問診項目の一覧表示および「はい」と「いいえ」の選択状態が一目瞭然なので、高年齢の患者にとっても視認性を向上し、かつ、操作性を簡単にしている。
〔図7のステップS2の処理〕
リハビリテーション用システム1000では、患者の運動前の心電図波形が測定され、測定された心電図波形のパターン認識が行われる。
このステップS2の処理を実行するために、リハビリテーション用システムの各部では以下の具体的な処理が行われる。
ユーザ機器300にてリハビリ運動の準備OKであることが検出されると、ユーザ機器300のコンピュータシステム300aのプロセッサ部301は、測定装置320に対して心電図波形データの測定を行い、測定結果を送信するよう指令する。この命令により測定装置320は心電図波形の測定を行い、測定結果である心電図波形データをプロセッサ部301に送信する。プロセッサ部301は、通信制御部303によりインターネット10を介してシステム管理サーバ100および病院20の情報端末装置200に心電図波形データを送信する(ステップS201)。
システム管理サーバ100では、通信制御部103はユーザ機器300からの心電図波形データを受信し、データバス部105を介してプロセッサ部101に送信する。プロセッサ部101は、データベース部110の波形データベース部110aに格納されている同調律及びパターン1〜10を、インターフェース部104を介して読み出し、読み出したパターンに基づいて、受信した心電図波形のパターンを認識する(ステップS202)。
〔図7のステップS3の処理〕
リハビリテーション用システム1000では、測定された心電図波形のパターン認識の結果に応じてリハビリ運動可能か否かの判定が行われる。
具体的には、システム管理サーバ100のプロセッサ部101は、認識したパターンに基づいてリハビリ運動の開始が可能であるか否かの判定を行い(ステップS301)、さらに、その判定結果に応じた指示(リハビリ運動の中止指示あるいはリハビリ運動の開始指示)を通信制御部103により情報端末装置200及びユーザ機器300に送信する(ステップS302)。
〔図7のステップS4aの処理〕
リハビリテーション用システム1000では、測定された心電図波形のパターン認識の結果がリハビリ運動開始不可である場合は、リハビリ運動が開始されないように患者に対する誘導が行われ、処理が終了する。この場合、具体的には、ユーザ機器300のプロセッサ部301は、リハビリ運動開始不可の判定結果が通知されたときは、リハビリ運動中止指示として、モニタ装置に赤ランプを点灯させて「リハビリ運動を開始しないでください」といったメッセージを表示させる。なお、図8Aでは、リハビリ運動が開始不可である場合、ユーザ機器300が停止することとなるので、そのプロセッサ部301の動作は省略している。
〔図7のステップS5aの処理〕
リハビリテーション用システム1000では、測定された心電図波形のパターン認識の結果がリハビリ運動開始不可である場合は、リハビリ運動中止指示に続いて、理学療法士の指示に従うようにアナウンスする処理が行われる。具体的には、この処理はユーザ機器300のプロセッサ部301により実行される。
〔図7のステップS4の処理〕
リハビリテーション用システム1000では、測定された心電図波形のパターン認識の結果がリハビリ運動開始可である場合は、患者がリハビリ運動を開始するように患者に対する指示が行われる。
具体的には、リハビリテーション用システム1000では、リハビリ運動の開始可の判定結果が得られたときは、リハビリテーション用システム1000のユーザ機器300とシステム管理サーバ100との間では以下の処理が行われる。
ユーザ機器300のプロセッサ部301は、患者IDをメモリ部302から読み出し、読み出した患者IDに対応するリハビリテーション計画を示すデータをシステム管理サーバ100に対して要求する(ステップS401)。システム管理サーバ100のプロセッサ部101は、要求されたリハビリテーション計画を示すデータをデータベース部110bから読み出してユーザ機器300に送信する(ステップS402)。ユーザ機器300のプロセッサ部301は、リハビリテーション計画に基づいて回転負荷調整機構316を、所望の運動負荷が患者にかかるように調整する(ステップS403)。その後、ユーザ機器300のプロセッサ部301は、リハビリ運動開始指示として、モニタ装置311に対して緑ランプを点灯させるように指示する(ステップS404)。
〔図7のステップS5の処理〕
さらに、リハビリテーション用システム1000では、患者がリハビリ運動を開始するようにメッセージを表示する。
具体的には、ユーザ機器300のプロセッサ部301は、モニタ装置311に「リハビリ運動を開始してください」といったメッセージを表示するように指示する(ステップS501)。
〔図7のステップS6の処理〕
その後、リハビリテーション用システム1000では、患者がリハビリ運動状態であるか否かの判定が行われる。
具体的には、ユーザ機器300では、プロセッサ部301が回転検出器317の出力に基づいてペダル313が回転しているか否かを判定する(ステップS601)。
〔図7のステップS7の処理〕
リハビリテーション用システム1000では、患者がリハビリ運動中であることが検出されると、患者の運動中の心電図波形が測定され、測定された心電図波形のパターン認識が行われる。
具体的には、ユーザ機器300のプロセッサ部301は、測定装置320に対して心電図波形データの測定を行い、測定結果を送信するよう指令する。この命令により測定装置320は心電図波形の測定を行い、測定結果である心電図波形データをプロセッサ部301に送信する。プロセッサ部301は、通信制御部303によりインターネット10を介してシステム管理サーバ100および病院20の情報端末装置200に心電図波形データを送信する(ステップS701)。
システム管理サーバ100では、通信制御部103はユーザ機器300からの心電図波形データを受信し、データバス部105を介してプロセッサ部101に送信する。プロセッサ部101は、インターフェース部104によりデータベース部110の波形データベース部110aに格納されている同調律及びパターン1〜10を読み出し、読み出したパターンに基づいて、受信した心電図波形のパターンを認識する(ステップS702)。
また、ユーザ機器300では、ステップS601、ステップS701の結果に基づいて、対象者の状況を示す状況データを表示する表示処理を行う(ステップS703)。ここで、状況データは、情報端末装置200を操作する医療関係者の指示に基づいてユーザ機器300を利用する対象者がリハビリテーションとしての運動を行っているときの対象者の状況を示すデータである。状況データは、心電図データ、対象者の心拍数、ユーザ機器300が提供している負荷の大きさ、負荷に対する対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データのうちの一部または全部を含む。なお、図9におけるS703の表示処理は、ステップS601およびステップS701の結果を繰り返し受信してリアルタイムに表示する処理であって、ステップS601、ステップS701、スッテプS703は、繰り返し実行されるループ処理でよい。
また、情報端末装置200では、対象者の状態を示す状態データを表示する表示処理を行う(ステップS704)。ここで、状態データは、情報端末装置200を操作する医療関係者の指示に基づいてユーザ機器300を利用する対象者がリハビリテーションとしての運動を行っているときの対象者の状態を示すデータである。状態データは、心電図データを含み、さらに、心拍数、ユーザ機器が提供している負荷の大きさ、負荷に対する対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている前記対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データのうちの一部または全部を含む。なお、図9におけるS704の表示処理は、ステップS601およびステップS701の結果を繰り返し受信してリアルタイムに表示する処理であって、ステップS601、ステップS701、スッテプS704は、繰り返し実行されるループ処理でよい。
次に、図9のステップS703の表示処理およびステップS704の表示処理による表示画面の具体例について、図16および図17を用いて説明する。
図16は、ユーザ機器300の表示装置311におけるリハビリ中の画面の表示例を示す図である。同図は、図9のスッテプS703の表示処理による表示例を示している。図16の表示例は、項目d501〜項目d513、項目d54i、項目d54d、項目d56i、項目d56d、項目d57i、項目d57dを含む。
項目d501は、図13の項目d201と同様のタイトルバーである。項目d502は、リハビリ開始からの経過時間を表示する表示欄である。項目d503は、負荷装置310におけるペダル313の回転速度(例えば、1分当たりの回転数rpm)を示し、負荷装置310に対する対象者の客観的な運動量を示す。項目d504は、負荷装置310が提供している負荷の大きさを示す。同図では負荷の大きさが10Wと表示されている。この負荷の大きさは、項目d54iおよび項目d54dへの操作により対象者によっても増減可能である。すなわち、項目d54iは負荷の大きさを増加させるインクリメントボタン画像である。項目d54dは負荷の大きさを減少させるデクリメントボタン画像である。項目d505は、心電図データによる心電図波形を示す。
項目d506は、対象者に随時入力してもらう主観データであって、運動のきつさを示す。運動のきつさは、例えば、自覚的運動強度または主観的運動強度(RPE:Ratings of Perceived Exertion)とも呼ばれ、6〜20までの整数値で程度を示すボルグ指数(Borg Scale)が用いられる。例えば、ボルグ指数の7は「非常に楽である」、11は「楽である」、19は「非常にきつい」を意味する。同図では運動のきつさが「11」(楽である)を表示している。この「運動のきつさ」は、項目d56iおよび項目d56dへの操作により対象者によっても入力可能である。すなわち、項目d56iは運動のきつさ(ここではボルグ指数)を増加させるインクリメントボタン画像である。項目d56dは運動のきつさ(ボルグ指数)を減少させるデクリメントボタン画像である。項目d507は、対象者に随時入力してもらう主観データであって、呼吸のきつさを示す。呼吸のきつさもボルグ指数が用いられる。この「呼吸のきつさ」も、項目d57iおよび項目d57dへの操作により対象者によっても入力可能である。項目d508は、メッセージ文であり、同図では「準備中」を示している。項目d508は、例えば、「残り10分」、「残り3分」等の残り時間を表示してもよいし、「リハビリ中」、「リハビリ中(前半)」、「リハビリ中(後半)」と表示してもよいし、「回転速度が遅くなっています」、「回転速度が速くなっています」と表示してもよい。
項目d509は、ビデオ通話用のビデオ表示枠であり、情報端末装置200のカメラで撮像された医療関係者のリアルタイム映像を表示する。なお、ビデオ通話を可能な状態を維持したまま、項目d509を表示するかしないかを患者の操作により切り替え可能にしてもよい。例えば、項目d509をタッチする毎に表示と非表示とを切り替えてもよい。非表示は、例えば、グレーやブルーなどの単色の塗りつぶし表示でもよい。項目d510は、ビデオ通話用のビデオ表示枠であり、ユーザ機器300のカメラで撮像された患者のモニター用映像を表示する。項目d510は、自身の撮像状態のチェック用である。なお、ビデオ通話を可能な状態を維持したまま、項目d510を表示するかしないかを患者の操作により切り替え可能にしてもよい。項目d510は、例えば、項目d510をタッチする毎に表示と非表示とを切り替えてもよい。非表示は、例えば、グレーやブルーなどの単色の塗りつぶし表示でもよい。
項目d511は、情報端末装置200の医療関係者をビデオ通話または音声通話に呼び出すための呼出ボタン画像である。対象者が呼出ボタン画像にタッチすることにより、ビデオ通話または音声通話が可能な状態になる。項目d512は、情報端末装置200の医療関係者に緊急対応を要求するための緊急ボタン画像である。対象者が緊急ボタン画像を探知することにより、ビデオ通話または音声通話が可能な状態になるとともに、医療関係者との対話により適切な処置が可能になり、救急車の手配も可能になる。項目d513は、リハビリ完了後に現在の表示または専用アプリを終了させるためのボタン画像である。
図16のように表示によれば、対象者である患者の負担感および不安感をやわらげることができ、長期に渡るリハビリの継続性を改善させることができる。
図17は、情報端末装置200の表示装置204bにおけるリハビリ中の画面の表示例を示す図である。同図は、図9のステップS704の表示処理による表示例を示している。図17の表示例は、項目d601、項目d610の他に、5人の対象者に対応する5つの分割領域に対象者の状態データを表示する例を示している。5人の対象者はAからからEさんまでの5人である。各対象者の表示項目は同じでよいので、以下では、Eさんの表示項目を代表的に説明する。対象者Eさんに対応する表示項目は、項目d602〜項目d611と、項目d69a〜項目d69eとを含む。
項目d602は、図13の項目d201と同様のタイトルバーである。項目d602は、心電図データによる心電図波形を示す。項目d602は、現在のリアルタイムの心電図波形の他に、過去の心電図波形を参照波形として表示してもよい。項目d603は、対象者の心拍数を示す。項目d604は、負荷装置310におけるペダル313の回転速度を示し、負荷装置310に対する対象者の客観的な運動量を示す。項目d605は、対象者に随時入力してもらう主観データであって、運動のきつさを示すボルグ指数である。項目d606は、負荷装置310が対象者に提供している負荷の大きさを示す。同図では負荷の大きさが10Wと表示されている。この負荷の大きさは、情報端末装置200から遠隔で制御可能である。同図では「10W」の表示の右側に一覧表示からの選択メニューを表示し、変更可能である。項目d607は、ビデオ通話の相手方映像(ここでは項目d610)の表示と非表示とを切り替えるボタン画像である。項目d608は、リハビリの「開始」を指示するボタン画像であり、リハビリ開始後にリハビリの「停止」または「完了」を指示するボタン画像に変化する。
項目d610は、ビデオ通話の対象者を撮像したビデオを表示する枠であり、同図では、項目d602(心電図波形の表示枠)の上にポップアップ表示される。非表示の場合は、項目d610が表示されない。ただし、非表示の場合でもビデオ通話は可能な状態である。項目d610は、ユーザ機器300において、図16に示した項目d511(指出しボタン画像)がタッチされたとき、また、項目d512(緊急ボタン画像)がタッチされたときに強制的にポップアップ表示される。項目d611は、情報端末装置200のカメラにより撮像された医療関係者のビデオ表示枠であり、撮像状態のチェック用である。項目d69aは、心電図の縦軸である心電位のスケールを−500〜500μVに変更するためのボタン画像である。項目d69b、項目d69c、項目d69dは、このスケールの最小値・最大値をそれぞれ±1000μV、±1500μV、±2000μVに変更するためのボタン画像である。項目d69eは、時間経過とともに表示範囲から外れた過去のデータを、別画面を開いてそこにグラフ表示することにより、すでに経過した履歴データを閲覧するためのボタン画像である。
また、図17の表示例において、5人の対象者に対応する5つの分割領域の表示色(背景色や文字色)は、対象者毎に異なるように色分けをしてもよい。また、対象者の状態データの一部が更新された場合に、更新あった旨を通知するポップアップウィンドウを表示してもよい。このとき、ポップアップウィンドウの表示色(背景色または表示色)は、対応する対象者の分割領域と同じ表示色(背景色または文字色)としてもよい。
〔図7のステップS8の処理〕
リハビリテーション用システム1000では、測定された心電図波形のパターン認識の結果に応じてリハビリ運動続行か否かの判定が行われる。
具体的には、システム管理サーバ100のプロセッサ部101は、上述した表に示される判断基準に従って、認識したパターンに基づいてリハビリ運動の続行が可能であるか否かの判定を行い、その判定結果に基づいて、通信制御部103によりユーザ機器300の負荷停止を行う(ステップS801)。同時に、その判定結果は、通信制御部103により情報端末装置200に送信される。
なお、リハビリ運動続行可能である場合は、システム管理サーバ100のプロセッサ部101は、ステップS7の処理とステップS8の処理とを繰り返し実行する。
一方、リハビリ運動続行不可である場合は、システム管理サーバ100のプロセッサ部101は、ステップS9の処理を実行する。
〔図7のステップS9の処理〕
リハビリテーション用システム1000では、ユーザ機器300での負荷運動が無負荷運動となるようにユーザ機器300がシステム管理サーバ100により制御される。
具体的には、ユーザ機器300では、システム管理サーバ100のプロセッサ部101の制御によって、患者の負荷運動が無負荷運動となるように、ユーザ機器300の回転負荷調整器316が無負荷にされる(ステップS901)。
〔図7のステップS10の処理〕
リハビリテーション用システム1000では、測定された心電図波形のパターン認識の結果がリハビリ続行不可である場合は、リハビリ運動が継続して行われないように患者に対する中断指示が行われる。
具体的には、ユーザ機器300は、リハビリ運動の続行不可の判定結果が通知されたときは、リハビリ運動停止指示として、モニタ装置311の表示画面上に赤ランプを点灯させ(ステップS1001)、「リハビリ運動を中断してください」といったメッセージが表示されるように(ステップS1002)、プロセッサ部301がモニタ装置311を制御する。
その後、患者がユーザ機器300の動作を停止したことを検出すると(ステップS1003)、ユーザ機器300は、システム管理サーバ100及び情報端末装置200に対してユーザ機器300の動作が停止したことを通知する(ステップS1004)。
システム管理サーバ100及び情報端末装置200では、ユーザ機器300からの動作停止の通知を受けると、それぞれユーザ機器300との交信を終了する(ステップS1014a、1014b)。
ここで、ユーザ機器300がシステム管理サーバ100及び情報端末装置200に対して動作停止の通知を通知する際には、リハビリ運動の実績データとして、今回のリハビリ運動の時間、ベダルを漕いだ距離、運動中の脈拍、血圧、正常にリハビリ運動が行われたか、リハビリ運動が中断されたかといった情報も、ユーザ機器300からシステム管理サーバ100及び情報端末装置200に提供される。システム管理サーバ100では、提供された情報は、実績データとして実績データベース部110cに格納される。また、情報端末装置200では、提供された実績データに基づいてリハビリテーションの計画が更新された場合は、更新されたリハビリテーション計画を示すデータが情報端末装置200からシステム管理サーバ100に送信される。システム管理サーバ100では、更新されたリハビリテーション計画を示すデータが計画データベース部110bに格納される。
なお、図4に示すユーザ機器300は、患者が測定時に使用する椅子を含むものではないが、ユーザ機器300は、患者の座る椅子を機器本体310aと一体に構成したものでもよい。
図10Aは、このような構造のユーザ機器350を説明するための図である。
ユーザ機器350は、ペダル351が取り付けられた装置本体350aを有し、装置本体310aの後端側には座席部351が設けられている。装置本体310aの前端側にはハンドル352が取り付けられており、ハンドル352の上方にはモニタ装置354が設けられている。このユーザ機器350では、病院の理学療法士とのコミュニケーションは、通信端末ではなく、モニタ装置354を用いたテレビ電話により行うことができるようになっている。その他の構成は、図4に示す具体的な実施形態のユーザ機器300と同一の構成である。
また、負荷装置310、表示装置311および測定装置320は、一体構成ではなく、無線接続による通信可能な別体で構成したものでもよい。図10Bから図10Cはこのような構成例を示す図である。
図10Bは、負荷装置310の他の構成例を説明するための斜視図である。図10Cは、表示装置の他の構成例を説明するための斜視図である。図10Dは、測定装置の他の構成例を説明するための斜視図である。図4、図10Aの負荷装置310と比べて、図10Bの3310は、小型化に適している。
図10Bの負荷装置310は、図4の負荷装置310本体と同じ機能を有し、さらに、図10Cに示す表示装置311と無線接続される。無線接続は、例えばブルートゥース(登録商標)でもよく、WiFi(登録商標)でもよい。負荷装置310が対象者に提供する負荷の大きさは、表示装置311から制御される。
図10Cの表示装置311は、タブレット端末またはスマートフォンでよく、図10Bに示す負荷装置310および図10Dに示す測定装置320と無線接続され、負荷装置310および測定装置320を制御する。図10Cの表示装置311は、専用アプリを実行可能であれば、市販のタブレット端末またはスマートフォンでよいので、低コスト化可能である。
図10Dの測定装置320は外形寸法が数センチメートルのウェアラブルな心電計であり、裏面に複数の測定用電極(図では4つの破線丸印)を有し、人体に直接貼り付けて、バッテリー駆動可能であり、無線接続により表示装置311に測定データを送信する。測定装置320は、図6Bのような電極ケーブルがないので、対象者が測定用電極の貼り付け位置、配置順を考慮する必要もなく、貼り付ける手間もかからず、また、電極貼り付け位置および順番の間違いが生じないので、測定装置320を体に装着する負担を大きく低減することがきる。なお、心電図データを測定するためには、裏面の測定用電極は2つ以上であればよい。
以上説明してきたように、本実施の形態におけるリハビリ支援システムは、リハビリテーションを支援するリハビリ支援システムであって、ネットワークに接続され、医療関係者用の情報端末装置と、前記ネットワークに接続され、リハビリテーションの対象者に負荷を提供し、前記対象者の心電図データを測定するユーザ機器と、を備え、前記ユーザ機器は、前記対象者の状況を示す状況データを表示する表示パネルを備え、前記状況データは、前記情報端末装置を操作する前記医療関係者の指示に基づいて前記ユーザ機器を利用する前記対象者がリハビリテーションとしての運動を行っているときの前記対象者の状況を示すデータであり、前記ユーザ機器は、前記心電図データ、前記対象者の心拍数、前記ユーザ機器が提供している負荷の大きさ、前記負荷に対する前記対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている前記対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データのうちの1つ以上を前記状況データとして前記表示パネルに表示する。
これによれば、対象者の状況を示す状況データの表示を視認できるので、対象者の負担感および不安感をやわらげ、長期のリハビリの継続を容易にすることができる。
ここで、前記表示パネルは、少なくとも、前記ユーザ機器が提供している負荷の大きさ、前記負荷に対する前記対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている前記対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データを表示し、さらに、前記医療関係者をビデオ通話または音声通話に呼び出すための呼出ボタンを表示してもよい。
これによれば、呼出ボタンの表示により、対象者の不安感をやわらげることができる。
ここで、前記表示パネルは、前記医療関係者に緊急対応を要求するための緊急ボタンを表示してもよい。
これによれば、緊急ボタンの表示により、対象者の不安感をやわらげることができる。
ここで、前記情報端末装置は、前記対象者の状態を示す状態データを表示する表示部を備え、前記状態データは、前記情報端末装置を操作する前記医療関係者の指示に基づいて前記ユーザ機器を利用する前記対象者がリハビリテーションとしての運動を行っているときの前記対象者の状態を示すデータであり、前記表示部は、前記心電図データに基づく心電図波形を前記状態データの一部として表示し、さらに、心拍数、前記ユーザ機器が提供している負荷の大きさ、前記負荷に対する前記対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている前記対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データのうちの1つ以上を前記状態データの他の一部として表示してもよい。
これによれば、医療関係者が対象者の状態データをモニターできるので、リハビリの安全性をより向上させ、リハビリの負荷をより適切に設定することができる。
ここで、前記リハビリ支援システムは、N(Nは2以上の整数)台の前記ユーザ機器を含み、前記表示部は、表示領域をN個に分割し、N個の分割領域にN個の前記ユーザ機器に対応する前記状態データをそれぞれ表示してもよい。
これによれば、リハビリ中の複数の対象者を効率よくモニターすることができる。
ここで、前記表示部は、前記N個の分割領域の背景色または文字色を、異なるN色で表示してもよい。
これによれば、N色をN人の対象者およびN個の分割領域に対応させるので、医療関係者のモニター動作の正確さ迅速さを向上させることができる。
ここで、前記表示部は、対象者の状態データの一部が更新された場合に、更新あった旨を通知するポップアップウィンドウを表示し、当該ポップアップウィンドウの表示色を、対象者に対応する分割領域の背景色または文字色と同じにしてもよい。
これによれば、医療関係者のモニター動作の正確さおよび迅速さをより向上させることができる。
ここで、前記Nは8以下であり、前記情報端末装置は、前記N台の前記ユーザ機器それぞれの前記対象者がリハビリテーションを並行して実施するよう支援してもよい。
これによれば、複数の対象者のリハビリが平行していても、安全性の向上と、適切な負荷とを両立させることができる。
ここで、前記表示部は、前記心電図波形を表示する第1表示枠と、前記心拍数を表示する第2表示枠と、前記運動の負荷に対する前記対象者の客観的な運動量を表示する第3表示枠と、を表示し、前記情報端末装置は、前記第1表示枠、第2表示枠および第3表示枠部の表示をリアルタイムに更新してもよい。
これによれば、心電図波形等をリアルタイムに更新するので、安全性をより向上し、より適切な負荷を設定することができる。
ここで、前記表示部は、前記主観データを表示する第4表示枠を表示し、前記情報端末装置は、前記第4表示枠の表示を間欠的に更新してもよい。
これによれば、主観データを随時更新するので、安全性をより向上し、より適切な負荷を設定することができる。
ここで、前記情報端末装置は、カメラおよびマイクを備え、前記ユーザ機器の前記対象者との間でビデオ通話を制御し、前記ユーザ機器は、カメラおよびマイクを備え、前記情報端末装置の前記医療関係者との間でビデオ通話を制御してもよい。
これによれば、ビデオ通話により対象者の負担感または不安感をやわれげることができる。例えば、患者の状況やリハビリの意義を適切に説明すれば、患者自身が病状を客観的に理解でき不安感を低減することができる。また、会話好きな患者であれば雑談を通して不安感を和らげることができる。
ここで、前記情報端末装置は、前記ビデオ通話におけるビデオ表示をするかしないかを選択可能であり、前記情ユーザ機器は、前記ビデオ通話におけるビデオ表示をするかしないかを選択可能としてもよい。
これによれば、ビデオ通話におけるビデオ表示の有無を必要に応じて選択可能であり、対象者の利便性を向上させることができる。
ここで、前記ユーザ機器は、前記対象者が前記リハビリテーションの開始前に、複数の問診項目と、前記問診項目に対応する回答用ボタン画像とを表示する問診表示枠を前記表示パネルに表示し、前記対象者による前記回答用ボタン画像に対する回答を前記情報端末装置に送信してもよい。
これによれば、リハビリ前の問診を効率よく、容易にすることができる。
ここで、前記回答用ボタン画像は、「はい」を示すボタン画像と、「いいえ」を示すボタン画像とを含んでもよい。
これによれば、問診に回答する対象者の負担を軽減することができる。
ここで、前記問診項目の1つは、前記対象者が準備運動を終えたか否かを問う質問としてもよい。
これによれば、リハビリ前の準備運動の確認を容易にすることができる。
ここで、前記ユーザ機器は、前記対象者が前記リハビリテーションの運動を開始する前に、現在の体重、現在の血圧値の入力を受け付ける入力表示枠を前記表示パネルに表示し、入力された値を前記情報端末装置に送信してもよい。
これによれば、対象者は、体重および血圧値を容易に入力することができる。
ここで、前記ユーザ機器は、前記情報端末装置と通信することにより前記リハビリテーションの予約日付および予約時刻を取得し、当該予約日付および予約時刻を表示する予約確認表示枠を表してもよい。
これによれば、予約を簡単に確認できるので、長期のリハビリの継続を容易にすることができる。
ここで、前記リハビリ支援システムは、さらに、前記複数のユーザ機器から心電図データを受信し、当該心電図データから複数の心電図波形を示す波形画像をリアルタイムに生成し、前記波形画像を前記情報端末装置に送信するサーバ装置を備えてもよい。
これによれば、情報端末装置におけるリアルタイム性を向上させるので、安全性をより向上させることができる。
ここで、前記情報端末装置は、前記ネットワークを介して前記ユーザ機器と通信する第1通信部と、前記医療関係者の操作を受け付ける第1操作部と、前記状態データを表示する表示部と、前記第1通信部、前記第1操作部および前記表示部を制御する第1マイコンと、を有し、前記ユーザ機器は、対象者の心電図データを測定する心電計と、対象者に運動負荷を提供する負荷装置と、対象者の操作を受け付ける第2操作部と、前記状況データを表示する表示パネルと、ネットワークを介して前記情報端末装置と通信する第2通信部と、前記心電計、前記負荷装置、前記第2通信部、前記第2操作部および前記表示パネルを制御する第2マイコンと、を有してもよい。
これによれば、情報端末装置は、一般的なパソコンなどのハードウェアを利用可能であり、ユーザ機器のうちの第2操作部および表示パネルは、一般的なタブレット端末またウマーとフォンのハードウェアを利用可能であり、低コスト化が容易である。
また、実施の形態におけるユーザ機器は、医療関係者用の情報端末装置からの指示に基づいてリハビリテーションを支援するユーザ機器であって、対象者の心電図データを測定する心電計と、前記対象者に負荷を提供する負荷装置と、前記対象者の操作を受け付ける操作部と、前記対象者の状況を示す状況データを表示する表示部と、ネットワークを介して前記情報端末装置と通信する通信部と、前記心電計、前記負荷装置、前記通信部、前記操作部および前記表示部を制御する制御部と、を有し、前記状況データは、前記心電図データ、心拍数、前記負荷装置が提供している負荷の大きさ、前記負荷に対する前記対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている前記対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データのうちの1つ以上を含む。
これによれば、対象者の状況を示す状況データの表示を視認できるので、対象者の負担感および不安感をやわらげ、長期のリハビリの継続性を改善することができる。
また、実施の形態における情報端末装置は、リハビリテーションを支援する情報端末装置であって、前記情報端末装置は、リハビリテーションの対象者に運動の負荷を提供しかつ前記対象者の心電図データを測定するユーザ機器置から、前記心電図データを取得し、前記情報端末装置は、前記対象者に関する状態データを表示する表示部を備え、前記状態データは、前記情報端末装置を操作する前記医療関係者の指示に基づいて前記ユーザ機器を利用する前記対象者がリハビリテーションとしての運動を行っているときの前記対象者の状態を示すデータであり、前記表示部は、前記心電図データに基づく心電図波形を前記状態データの一部として表示し、さらに、心拍数、前記ユーザ機器が前記対象者に提供している運動の負荷の大きさ、前記運動の負荷に対する前記対象者の客観的な運動量、および、運動を行っている前記対象者の主観的な運動のきつさを示す主観データのうちの1つ以上を前記状態データの他の一部として表示する。
これによれば、長期のリハビリの継続を容易にすることができる。 なお、本実施の形態にリハビリ支援システムの変形または具体化について、さらに説明をする。
(リハビリテーション)
リハビリ支援システムは、対象の運動中の心電図波形データをパターン認識し、所定のパターンが認識された場合に、対象に負荷を提供する負荷装置の負荷を自動的に減少または停止する運動用管理システムを提供する。
リハビリ支援システムはまた、対象の心電図を測定する測定装置と、対象に負荷を提供する負荷装置とを含む運動用の機器と、管理システムとの組み合わせを含む運動用システムも提供する。本明細書において、「システム」とは、リハビリ支援システムであって、上記管理システムと運動用システムとを包括的に指す。
好ましい実施形態において、対象者は患者であり、運動用システムは、負荷装置によって当該患者に負荷をかけることによって実施される任意のリハビリテーション用であり得る。
好ましい実施形態において、本システムは、心臓リハビリテーション用であり得る。心臓リハビリテーションを効果的に実施するためには、安全性と適切な負荷とを両立しなければならないが、本システムはまさに、心電図波形データのパターン認識によって負荷装置を自動的に制御することによって、脈拍や心拍数からは検知できなかった患者の状態に基づいて即時にリハビリテーションの中止または継続を判断することを可能にし、結果的に安全性と適切な負荷との両立を可能にするからである。
別の好ましい実施形態において、本システムは、遠隔心臓リハビリテーション用であり得る。安全性への配慮から、心臓リハビリテーションを遠隔で行うことには、特にリハビリテーション管理者側に懸念があり、現在では一般的には患者とリハビリテーション管理者とが同じ場所で直接コミュニケーションをとりながらリハビリテーション(通院リハビリテーションまたは訪問リハビリテーション)を実施している。他方で、通院リハビリテーションは、日々の仕事や通院距離・手段の問題などから、患者への負担が大きいし、訪問リハビリテーションを十分に行うためにはリハビリテーション管理者が不足しているという現状がある。そのため、それゆえ心疾患患者の退院後リハビリテーション継続率は低い。これに対して、本システムは、遠隔での心臓リハビリテーションを可能にする。本システムは、安全性と適切な負荷とを同時に達成し得るため、遠隔でも効果的で安全な心臓リハビリテーションを実現し得るからである。それによって、リハビリテーションのための通院/訪問の必要性がなくなり、退院後心臓リハビリテーションの継続率が上昇することが予想される。
本リハビリ支援システムの遠隔リハビリテーションは、患者が第1の場所に存在し、リハビリテーション管理者が第2の場所に存在する限り、それぞれがどのような場所に存在していてもよい。この場合、患者とリハビリテーション管理者とはモニタや電話などの通信機能を用いて、会話や視認などのコミュニケーションが可能であり得る。遠隔リハビリテーションにおける通信は、有線であっても無線であってもよい。代表的な実施形態においては、患者は自身の居住空間に存在し、リハビリテーション管理者は専門施設(リハビリテーション施設、病院など)に存在し得る。
代表的な実施形態において、本システムは、心不全のリハビリテーション用であり得る。
(パターン認識)
本システムは、患者の心電図を測定する測定装置によって測定された、心電図の波形を示す心電図波形データをパターン認識するパターン認識部を備える。
本システムにおいて、パターン認識部による心電図波形データのパターン認識は、当該分野で一般的に使用されるパターン認識機構を用いて達成され得る。このようなパターン認識機構は医療の現場では一般的に使用されており、当業者は、以下に挙げるパターンの1または複数を認識することができるパターン認識機構を適切に選択して使用することができる。
本システムのパターン認識部によって認識するパターンは、代表的には以下のノーマルパターン(洞調律)およびパターン1〜パターン10の計11パターンである。一般的には、少なくとも10秒の心電図を測定することによって、これらのパターンの認識が可能である。
・ノーマルパターン(洞調律)
洞調律とは、心臓全体の収縮が正常な一定のリズムに保たれ、図11Aに示すような、心電図のP波、QRS波、T波が正常に現れる波形パターンをいう。
・パターン1(心室性期外収縮)
本システムにおいて、パターン1(心室性期外収縮)とは、例えば図11Bに示すような、洞調律に比べて幅広のQRS波が、本来より早いタイミングで二連発以下で出現する波形パターンをいう。なお、第1の時点でのある時間長において早いタイミングで幅広のQRS波が出現する頻度と、第2の時点での同じ時間長において早いタイミングで幅広のQRS波が出現する頻度とを比較して、当該第2の時点での頻度が第1の時点での頻度より約30%以上増加した場合、「頻度の増加した」パターン1という。別の実施形態においては、1分間のパターン1の出現頻度が、約40%以上増加した場合、頻度の増加したパターン1ということができる。さらに別の実施形態においては、1分間のパターン1の出現頻度が、約50%以上増加した場合、頻度の増加したパターン1ということができる。
なお、このパターン1からは、後述するR on Tの心室性期外収縮(パターン11)は除く。
・パターン2(頻発する上室性期外収縮)
本システムおいて、パターン2(頻発する上室性期外収縮)とは、例えば図11Cに示すような、P波が洞調律よりも早いタイミングで出現するパターンであって、その頻度が30%以上のものをいう。
・パターン3(II度房室ブロック(MobitzII型))
本システムにおいて、パターン3(II度房室ブロック(MobitzII型))とは、例えば図11Dに示すような、P波の後に現れるはずのQRS波が脱落するパターンをいう。
・パターン4(III度房室ブロック)
本システムにおいて、パターン4(III度房室ブロック)とは、例えば図11Eに示すような、P波とQRS波とが無関係に現れるパターンをいう。
・パターン5(心室頻拍)
本システムにおいて、パターン5(心室頻拍)とは、例えば図11Fに示すような、パターン1と同様の幅広のQRS波が、三連発以上で出現する波形パターンをいう。
・パターン6(心室細動)
本システムにおいて、パターン6(心室細動)とは、例えば図11Gに示すような、P波が認められず、かつ幅広のQRS波が不規則に出現する波形パターンをいう。
・パターン7(心房細動)
本システムにおいて、パターン7(心房細動)とは、例えば図11Hに示すような、R波とR波との間の間隔が不規則であり、P波が認められない波形パターンをいう。
・パターン8(洞性頻脈)
本システムにおいて、パターン8(洞性頻脈)とは、例えば図11Iに示すような、波形は洞調律と変わらないが心拍数が毎分約100回以上である波形パターンをいう。
・パターン9(洞性徐脈)
本システムにおいて、パターン9(洞性徐脈)とは、例えば図11Jに示すような、波形は洞調律と変わらないが心拍数が毎分約40回以下である波形パターンをいう。
・パターン10(ST変化)
本システムにおいて、パターン10(ST変化)とは、例えば図11Kに示すような、ST部分(下向きのS波が水平に変わる部分)が基線よりも下がる(ST降下)、または基線よりも上がる(ST上昇)波形パターンをいう。
・パターン11
本システムにおいて、パターン11(R on Tの心室性期外収縮)は、例えば図11Lに示すような、次の心室性期外収縮のR波が前のT波にオーバーラップすることをいう。
典型的には、運動(例えば、リハビリテーション)開始前の安静時に、パターン2、パターン3、パターン4、パターン5、パターン6、パターン8、パターン9、パターン10、パターン11、またはこれらの組み合わせが認識された場合、運動(例えば、リハビリテーション)は開始されずに中止される。この中止は、リハビリテーション管理者によって行われてもよいし、これらのパターンの検出によって負荷装置を自動的に制御することによって行われてもよい。これらの波形パターンは心臓に疾患が生じていることを示している可能性があり、医師による診察および/または検査が好ましいからである。安静時に、パターン2、パターン3、パターン4、パターン5、パターン6、パターン8、パターン9、パターン10、パターン11、またはこれらの組み合わせが認識された場合、上記の負荷装置の制御に加えて、リハビリテーション管理者にそれらのパターンの認識を通知してもよい。具体的な通知の手段は当該分野で周知であるが、例えばアラームを鳴らす、ランプを点灯させるなどが挙げられる。
1つの実施形態において、リハビリテーション開始前の安静時に、パターン2、パターン3、パターン4、パターン5、パターン6、パターン8、パターン9、パターン10、パターン11、またはこれらの組み合わせが認識されない場合、本システムは、リハビリテーションを開始し、リハビリテーション計画に従って、負荷装置に負荷をかけるように自動的に制御する。
本システムにおけるパターン認識部は、リアルタイムで対象の心電図データをパターン認識する。パターン認識部は、対象の心電図データを継続的にパターン認識してもよいし、特定のタイミングで断続的にパターン認識してもよいが、好ましくは運動の全体にわたって継続的にパターン認識を行う。特に、リハビリテーション全体にわたって継続的にパターン認識を行う実施形態のシステムは、リハビリテーション中に重篤な症状を引き起こす可能性がある心臓リハビリテーションに特に有利であり得る。
運動開始前の安静時にノーマルパターン(洞調律)が認識された場合、運動を開始する。本システムでは、パターン認識部が、負荷中の心電図パターンをさらに認識する。本システムの好ましい実施形態において、負荷中の心電図波形において、パターン1〜11の1つまたは複数が認識された場合、制御部が負荷装置の負荷を低減し、より好ましい実施形態においては制御部が負荷装置の負荷を停止する(すなわち、無負荷にする)。例えば、医療機関では心疾患入院患者の心電図波形にパターン7が出現しても、緊急対応を要さないため、アラームを鳴らさないことが多い。しかしながら、実施形態、および以下に記載する負荷中にパターン7の出現によって負荷を低減または停止する実施形態においては、安全性の観点から、安静時に出現しなかったパターン7の負荷中の出現により、制御部が負荷装置の負荷を低減または停止する。
運動開始前の安静時にパターン1が認識された場合、運動を開始する。本システムの好ましい実施形態において、負荷中の心電図波形において、安静時に認識されたパターン1と比較して頻度の増加したパターン1が認識された場合、および/またはパターン2〜11の1つまたは複数が認識された場合、制御部が負荷装置の負荷を低減し、より好ましい実施形態においては制御部が負荷装置の負荷を停止する。パターン1の心室性期外収縮において、幅広のQRS波が出現する頻度が増加することは、パターン5の心室頻拍につながるリスクを示唆しているからである。安全性に配慮すると、負荷中にパターン1が認識された場合にはアラームを鳴らしたり、負荷を低減または停止しようと考えるのが一般的であり、当該分野の常識である。しかしながら、それでは適切な負荷をかけることができず、結局のところ効果的な運動(例えば、リハビリテーション)を実施することができなくなってしまう。本実施形態では、負荷中にパターン1が認識されたとしても、安静時にもパターン1が認識されている場合には負荷を継続し、それによって過度に負荷を低減または停止することがない点に留意されたい。
運動開始前の安静時にパターン7が認識された場合、運動を開始する。本システムの好ましい実施形態において、負荷中の心電図波形において、パターン1〜6、パターン8〜11の1つまたは複数が認識された場合、制御部が負荷装置の負荷を低減し、より好ましい実施形態においては制御部が負荷装置の負荷を停止する。
以下に、心電図波形パターンのパターン認識と制御部による負荷の制御との関係を表に示す。各数字は波形パターンの種類を示す。なお、本システムは、以下の表1に示されるパターンに基づく負荷調整の全てを備えている必要はない。好ましい実施形態において、本システムは、以下の表1に示されるパターンに基づく負荷調整の1つまたは任意の組み合わせを含む。特に好ましい実施形態においては、本システムは、以下の表1に示されるパターンに基づく負荷調整の全てを制御部が行う。
表1における「安静時」とは、心臓に負荷がかかっていない任意の時点をいうが、運動(例えば、リハビリテーション)における負荷運動の開始前の安静時であることが好ましい。好ましい実施形態においては、表1の「安静時」は、負荷運動の開始前(例えば、負荷運動の開始前約20分以内、負荷運動の開始前約10分以内、または負荷運動の開始前約5分以内)であり得る。負荷運動の開始前の安静時心電図データを使用することによって、リハビリテーション開始前ではない時点(例えば、1日以上前)での安静時心電図データを安静時心電図データとして使用する場合と比較して、リハビリテーションでの負荷の心臓への影響をより直接的に検出し、それに基づいて負荷の制御を行うことができる。このことは、本システムの目的である安全性の向上と効果的な負荷の両立にさらに有利であり得る。好ましい実施形態において、「安静時」は、運動開始前約20分以内であり、より好ましくは運動開始前約10分以内であり、さらに好ましくは運動開始前約5分以内である。
(運動用システム)
運動用システムは、リハビリ支援システムの一部または全部であって、対象が使用する運動用の機器と、この機器を管理するための管理システムとを含む。
運動用の機器は、少なくとも、対象の心電図を測定する測定装置と、対象に対して負荷を提供するように構成されている負荷装置とを含む。
上記運動用の機器を管理するための管理システムは、この機器における測定装置によって測定された患者の心電図の波形を示す心電図波形データを上記のようにパターン認識するパターン認識部と、パターン認識部が認識したパターンに応じて、この機器における負荷装置の負荷を制御する制御部とを含む。
以下に、運動用の機器と、管理システムとを個別に説明する。
(運動用の機器)
本システムの運動用の機器は、対象の心電図を測定するための測定装置と、運動用の負荷を患者の心臓に与えるための負荷装置とを含む。
代表的な実施形態において、負荷装置は、対象に運動させることによって対象の心臓に負荷を与えるものであり得る。具体的には、負荷装置としては、自転車エルゴメータおよびトレッドミル負荷装置が挙げられるが、これらに限定されず、他の公知の任意の負荷装置が使用され得る。
運動用の機器は、負荷装置と座席部とを一体で含んでもよいし、負荷装置と座席部とを別個に含んでもよい。
好ましい実施形態において、運動用の機器は、患者のリハビリテーション用の機器であり得る。特に遠隔リハビリテーションのためには、負荷装置と座席部とが別個であることが好ましい。そのようにすることによって、負荷装置が小型、軽量、安価なものになり、遠隔リハビリテーションを行う場所(例えば、患者の自宅)に負荷装置を導入することが容易になるからである。この場合、座席部としては一般的に家庭などで使用されている椅子を用いることができる。負荷装置と座席部とが別個に提供される実施形態においては、負荷装置に座席部との距離を測定するための距離測定手段を設けてもよい。この距離測定手段によって、座席部と負荷装置とを別個に提供したとしても、リハビリテーションごとに座席部と負荷装置との間の距離を一定にすることができ、それによってリハビリテーションごとの負荷の変動をなくすことができる。この距離測定手段としては、負荷装置から水平に延びる目盛りなどが挙げられるが、これに限定されない。
負荷装置は、管理システムにおける制御部からの制御に応じて、リハビリテーション管理者の管理によって、および/または患者の操作によって、負荷を変更することができる。負荷装置がエルゴメーターである実施形態において、負荷装置の負荷は、0〜約100W(ワット)で変更することができ、より好ましい実施形態においては負荷は0〜約80Wで変更することができ、さらに好ましい実施形態においては負荷は0〜約70Wで変更することができる。例えば、負荷装置の負荷は、5Wごとに変更し得る。
本システムは、負荷心電図検査とは異なる点に留意されたい。負荷心電図検査における負荷は、通常、患者の最大能力に達するまでかけられる。なぜなら、負荷心電図試験における運動は、患者の限界に近い負荷運動中に生ずる心臓の動きの異常から、安静時には見つけられない心臓疾患を見つけるためであるからである。このように異常を生じさせるという点で、異常を生じさせないように制御するリハビリテーションとは対照的である。一般的には、心臓リハビリテーションのためには、最大能力の約40〜約60%で運動を行うことが適切である。加えて/あるいは、心臓リハビリテーションのためには、ボルグ指数(Borg scale)11〜14の運動を行うことが適切である。当業者は、心臓リハビリテーションのための負荷の上限を適切に決定することができる。なお、このような理由から、負荷心電図試験を患者と検査管理者(代表的には、医師)とが遠隔で行うことはない。あまりに危険だからである。これに対して、本システムはリハビリテーション用であるため、上記のとおり、負荷装置の負荷の上限は典型的には約100Wであり、ある実施形態では約80Wであり、また別の実施形態においては約70Wであり得る。
代表的な実施形態において、リハビリテーション用の機器における心電図の測定装置は、患者の体表に配された複数の電極間の電位差を、電圧または電流の電気信号として計測する。測定装置としては任意の公知の心電計を使用することができ、複数の電極、差動増幅器、フィルタなどを含み得る。
好ましい実施形態において、リハビリテーション用の機器は、脈拍測定器具や血圧測定器具などに任意の生体情報測定器具をさらに備えてもよい。
リハビリテーション用の機器は、ユーザー端末を備えてもよい。特に遠隔リハビリテーションのためには、このユーザー端末を備えることが好ましい。ユーザー端末は、患者IDの認識、各種項目の入力、リハビリテーション計画の問い合わせやリハビリテーション実行・終了などの機能を備え得る。ユーザー端末は、リハビリテーション管理者および/または患者の家族との緊急連絡機能を備えてもよい。
好ましい実施形態において、上記ユーザー端末は、モニターを含む。このリハビリテーション用の機器におけるユーザー端末に設けられるモニターを、本明細書中では「患者モニター」という。患者モニターには、例えば、脈拍、運動量(例えば、走行距離)、リハビリテーション時間、負荷量、消費カロリー、緊急呼び出し部などを表示することができる。さらに、患者モニターには、リハビリテーション管理者(例えば、理学療法士)の映像を表示してもよい。患者モニターはまた、運動についての注意メッセージを表示したり、音声を流したり、運動が止まっていたらアラームを鳴らしてもよい。患者は、患者モニターで、例えば次回以降のリハビリテーションの予定を確認することができるようにしてもよい。また、患者モニターには、リハビリテーション中に鑑賞するための娯楽コンテンツ(例えば、映画など)を表示してもよい。
1つの実施形態において、リハビリテーションシステムは、患者のリハビリテーションの継続を支援する機能を有していてもよい。この支援機能は、例えば、リハビリテーションに応じてポイントを患者に与えるものであり得る。この場合、患者モニターには、リハビリテーション終了時にポイントを表示してもよい。
(管理システム)
管理システムは、運動用の機器における測定装置によって測定された患者の心電図の心電図波形パターンを認識するパターン認識部と、認識されたパターンに応じて上記機器における負荷装置の負荷を制御することように構成されている制御部とを含む。
運動用の機器と管理システムとの間の心電図波形データの受け渡しは、任意の手段で行うことができ、例えば、任意の送受信の手段で行うことができる。その場合には、運動用の機器が送信部を有し、管理システムが受信部を有することになる。この送受信の形態は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
管理システムは、運動用の機器に備え付けられたものであってもよいし、運動用の機器とは異なる場所に備えられるものであってもよい。
パターン認識部は、心電図波形データにおいて、ノーマルパターン(洞調律)と、パターン1〜10のうちの少なくとも1つの波形パターンを認識することができる。好ましい実施形態において、パターン認識部は、心電図波形データにおいて、ノーマルパターン(洞調律)およびパターン1〜10の全てのパターンを認識することができる。
管理システムは管理端末を含み、これに上記受信部および/またはパターン認識部が含まれてもよい。1つの実施形態において、管理システムは、モニターを含む。この管理システム側のモニターを、本明細書中では「管理モニター」という。管理モニターには、心電図の波形、患者呼び出しボタン、リハビリテーションの計画の入力および/または変更、負荷調整、緊急アラームなどを表示してもよい。好ましい実施形態において、管理モニターには、複数の患者の心電図の波形などが並列で表示され得る。これによって、1人のリハビリテーション管理者が複数の患者のリハビリテーションを同時に管理することが可能になり、リハビリテーション管理者の不足という現状の課題が解決され得る。重篤な影響が生じ得る心臓リハビリテーションでありながら、このような1対多のリハビリテーション管理、特に1対多の遠隔リハビリテーション管理が実現したのは、パターン認識部による心電図波形パターン認識によって、安全性の向上と適切な負荷とが両立できたためである。
管理モニターに表示される心電図の波形は、安静時心電図の波形の固定画像と、運動中の波形のリアルタイムでの変化している画像とを含み得る。このことによって、心電図波形パターン認識部だけでなく、リハビリテーション管理者が直接、安静時心電図波形パターンと運動中の心電図波形パターンとを比較することができる。
好ましい実施形態において、管理モニターには、患者の様子(例えば、顔)や、呼気の二酸化炭素濃度などを表示してもよい。また、好ましい実施形態では、管理端末は患者の表情認識機能を備えてもよい。
管理端末は、リハビリテーション中にユーザー端末から送信された患者の心電図などの任意の患者の生体情報データを保存することができる。リハビリテーション管理者は、保存された生体情報データに基づいて、今後のリハビリテーション計画を立案または変更することができる。
以上のように、好ましい実施形態を用いてリハビリ支援システムを例示してきたが、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、実施形態の記載から、本明細書の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。