JP2016032527A - 身体機能評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便に筋有酸素能を評価できる身体機能評価装置を提供する。
【解決手段】身体機能評価装置は、客観的運動強度の推定値に基づく運動強度の目標値又は主観的運動強度に関する目標値を設定する目標値設定部12と、目標値を目標として運動負荷を調整する負荷調整部13と、筋内酸素濃度に応じた測定信号を出力する光電センサ30とを備える。また、身体機能評価装置は、運動負荷が付与されているときに光電センサ30から出力された測定信号に基づき、有酸素運動能力に関する情報である有酸素運動能力情報を生成する運動能力情報生成部14と、有酸素運動能力情報を出力するタッチパネルディスプレイ24とを備える。
【選択図】図5
【解決手段】身体機能評価装置は、客観的運動強度の推定値に基づく運動強度の目標値又は主観的運動強度に関する目標値を設定する目標値設定部12と、目標値を目標として運動負荷を調整する負荷調整部13と、筋内酸素濃度に応じた測定信号を出力する光電センサ30とを備える。また、身体機能評価装置は、運動負荷が付与されているときに光電センサ30から出力された測定信号に基づき、有酸素運動能力に関する情報である有酸素運動能力情報を生成する運動能力情報生成部14と、有酸素運動能力情報を出力するタッチパネルディスプレイ24とを備える。
【選択図】図5
Description
本発明は、筋有酸素能を評価する身体機能評価装置に関する。
従来より、運動負荷に耐えるために必要な身体能力に関する運動耐容能を評価するために、運動中に体内に取り込まれる酸素の最大量を示す最大酸素摂取量(VO2max)を測定する方法や、有酸素運動から無酸素運動に変わる転換点の運動強度を示す無酸素性作業閾値(AT:Anaerobic Threshold)を測定する方法等が用いられている。
最近では、近赤外領域における酸素化ヘモグロビン等の光吸収特性を利用して、骨格筋の酸素の動態を示す筋有酸素能を評価する方法も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法では、プローブである光電センサを被測定者の皮膚に接触させて、運動中又は運動後の骨格筋内の酸素動態を測定する。光電センサは、近赤外領域の波長の光を出射する発光部と、被測定者の組織内を透過した光を受ける受光部とを有している。この方法は、酸素化ヘモグロビンの濃度、脱酸素化ヘモグロビンの濃度等をリアルタイム且つ長時間に亘って測定可能であり、被測定者に対して非侵襲的である等のメリットを有する。また、局所的に筋内の酸素動態を測定できるため、この方法は、リハビリテーション等での利用が検討されている。
上述したような光電センサを用いた筋有酸素能の評価においては、まず被測定者の最大運動負荷を測定することが一般的である。最大運動負荷は、被測定者の身体能力に応じて変化するため、被測定者毎に測定される。例えば自転車型エルゴメータを用いて運動負荷を付与する場合、最大運動負荷を測定する方法の一例として、一定時間毎に所定の負荷量ずつ負荷を高め、被測定者が所定の条件でペダルを回転できなくなった時点を最大運動負荷とする方法が挙げられる。なお、運動負荷の算出方法は運動の種類によって異なり、例えば、自転車型エルゴメータの場合、運動負荷は、ペダルを回転させるトルクと回転速度とに基づく仕事率(W)で求められる。
最大運動負荷を測定した後、その最大運動負荷における所定の割合(例えば60%)の運動負荷を算出し、算出された一定の運動負荷を被測定者に付与した状態で、光電センサによる筋内酸素濃度等の測定が行われる。
番場泰司(他5名)、「近赤外分光法を用いた変形性膝関節症および関節リウマチ患者における局所骨格筋有酸素能力の評価について」、東京医科大学雑誌、2007年4月、第65巻、第2号、p.144‐150
しかし、被測定者毎に最大運動負荷を測定するには、被測定者が限界まで運動する必要があるため、被測定者にかかる身体的な負担が大きくなる。このため、より簡便に筋酸素能を評価できる方法が求められている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡便に筋有酸素能を評価できる身体機能評価装置を提供することにある。
本身体機能評価装置の独立した一形態によれば、運動強度に関する目標値を、最大運動強度に対する予め設定された割合の運動強度に設定する目標値設定部と、前記目標値を目標として運動負荷を調整する負荷調整部と、筋内酸素濃度に応じた測定信号を出力する酸素濃度測定部と、前記運動負荷が付与されているときに前記酸素濃度測定部から出力された測定信号に基づき、有酸素運動能力に関する情報である有酸素運動能力情報を生成する運動能力情報生成部と、前記有酸素運動能力情報を出力する報知部とを備える。
身体機能評価装置によれば、簡便に筋有酸素能を評価できる。
(本身体機能評価装置が取り得る形態の一例)
〔1〕本身体機能評価装置の独立した一形態によれば、客観的運動強度の推定値に基づく運動強度の目標値又は主観的運動強度に関する目標値を設定する目標値設定部と、前記目標値を目標として運動負荷を調整する負荷調整部と、筋内酸素濃度に応じた測定信号を出力する酸素濃度測定部と、前記運動負荷が付与されているときに前記酸素濃度測定部から出力された測定信号に基づき、有酸素運動能力に関する情報である有酸素運動能力情報を生成する運動能力情報生成部と、前記有酸素運動能力情報を出力する報知部とを備える。
〔1〕本身体機能評価装置の独立した一形態によれば、客観的運動強度の推定値に基づく運動強度の目標値又は主観的運動強度に関する目標値を設定する目標値設定部と、前記目標値を目標として運動負荷を調整する負荷調整部と、筋内酸素濃度に応じた測定信号を出力する酸素濃度測定部と、前記運動負荷が付与されているときに前記酸素濃度測定部から出力された測定信号に基づき、有酸素運動能力に関する情報である有酸素運動能力情報を生成する運動能力情報生成部と、前記有酸素運動能力情報を出力する報知部とを備える。
本身体機能評価装置によれば、最大運動強度に対する予め設定された割合の運動強度が目標値として設定され、その目標値に基づき運動負荷が調整される。このため、有酸素運動能力情報を生成するために、被測定者が最大運動強度に至るまで運動する必要がない。このため、簡便に筋有酸素能を評価できる。
〔2〕前記身体機能評価装置に従属する一形態によれば、前記客観的運動強度に応じた測定信号を出力する客観的運動強度測定部を備え、前記目標値は、前記客観的運動強度に関する目標値であって、前記負荷調整部は、前記客観的運動強度測定部から出力される測定信号に基づいて運動強度を算出し、算出した運動強度と前記目標値とに基づいて前記運動負荷を調整する。
本身体機能評価装置によれば、心拍数等の客観的運動強度が、客観的運動強度に関する目標値に一致するように運動負荷が調整されるので、身体機能評価装置の信頼性を向上することができる。
〔3〕前記身体機能評価装置に従属する一形態によれば、前記主観的運動強度を入力するための操作部を備え、前記目標値は、前記主観的運動強度に関する目標値であって、前記負荷調整部は、前記操作部からの測定信号に基づいて運動強度を算出し、算出した運動強度と前記目標値とに基づいて前記運動負荷を調整する。
本身体機能評価装置によれば、主観的な運動強度に基づいて運動負荷が調整されるようになる。
〔4〕前記身体機能評価装置に従属する一形態によれば、前記負荷調整部は、算出した運動強度と前記目標値とに基づいて、前記運動負荷を付与する運動機器を制御する。
〔4〕前記身体機能評価装置に従属する一形態によれば、前記負荷調整部は、算出した運動強度と前記目標値とに基づいて、前記運動負荷を付与する運動機器を制御する。
本身体機能評価装置によれば、負荷調整部によって運動機器が制御されるので、運動機器を操作する手間が省かれる。このため、簡便に筋有酸素能を評価できる。
〔5〕前記身体機能評価装置に従属する一形態によれば、前記運動能力情報生成部は、前記運動負荷の減少又は前記運動負荷の付与の停止によって前記筋内酸素濃度が所定の濃度まで増大する時間である回復時間に基づいて前記有酸素運動能力情報を生成する。
〔5〕前記身体機能評価装置に従属する一形態によれば、前記運動能力情報生成部は、前記運動負荷の減少又は前記運動負荷の付与の停止によって前記筋内酸素濃度が所定の濃度まで増大する時間である回復時間に基づいて前記有酸素運動能力情報を生成する。
筋内酸素濃度は、運動開始後に低下し、定常状態となり、運動負荷の減少又は運動負荷の停止によって増大する。本身体機能評価装置によれば、筋内酸素濃度の変動が少ない定常状態後の指標である回復時間に基づいて有酸素能力情報が生成されるので、有酸素能力情報の有意性が確保される。
〔6〕前記身体機能評価装置に従属する一形態によれば、前記運動能力情報生成部は、前記運動負荷の付与によって低下し定常状態となった前記筋内酸素濃度に関する変化量に基づいて前記有酸素運動能力情報を生成する。
筋内酸素濃度は、運動開始後に低下し、定常状態となり、運動負荷の減少又は運動負荷の停止によって増大する。本身体機能評価装置によれば、筋内酸素濃度の変動が少ない定常状態後の指標である筋内酸素濃度に関する変化量に基づいて有酸素能力情報が生成されるので、有酸素能力情報の有意性が確保される。
(実施の形態1)
以下、身体機能評価装置を具体化した実施の形態1を説明する。
図1に示すように、身体機能評価装置は、コントローラ10、及びコントローラ10に電気的に接続された酸素濃度測定部としての光電センサ30を備えている。この身体機能評価装置は、運動耐容能の一つの因子として、酸素消費能力と酸素供給能力とを含む筋有酸素能を評価するものである。
以下、身体機能評価装置を具体化した実施の形態1を説明する。
図1に示すように、身体機能評価装置は、コントローラ10、及びコントローラ10に電気的に接続された酸素濃度測定部としての光電センサ30を備えている。この身体機能評価装置は、運動耐容能の一つの因子として、酸素消費能力と酸素供給能力とを含む筋有酸素能を評価するものである。
光電センサ30は、人体100の装着可能なサポータ40の内側に取り付けられている。光電センサ30は、サポータ40が人体100のうち予め決められた部位に装着されることにより、運動を行う際の主動筋となる部位に配置される。サポータ40は大腿部に装着され、光電センサ30は大腿四頭筋に向かい合う位置に配置される。
図2及び図3を参照して、この光電センサ30の構成について説明する。
光電センサ30は、血液中のヘモグロビン及び筋肉中のミオグロビンの吸収波長域が、近赤外光領域の所定の波長域であることを利用するものである。即ち、光電センサ30は、近赤外光領域における吸光度に基づき、筋有酸素能を評価するための運動中又は運動終了後の筋内酸素濃度の変化を検出する。
光電センサ30は、血液中のヘモグロビン及び筋肉中のミオグロビンの吸収波長域が、近赤外光領域の所定の波長域であることを利用するものである。即ち、光電センサ30は、近赤外光領域における吸光度に基づき、筋有酸素能を評価するための運動中又は運動終了後の筋内酸素濃度の変化を検出する。
図2に示すように、光電センサ30は、基材33、発光部31及び受光部32を備えている。発光部31及び受光部32は、板状の基材33の正面に設けられている。
発光部31は、第1〜第3発光部31a〜31cを有している(図5参照)。第1〜第3発光部31a〜31cは、LED素子から構成され、図示しない電源から電力が供給されることにより発光する。第1〜第3発光部31a〜31cは、近赤外領域であって、互いに異なる波長の光をそれぞれ出射する。
発光部31は、第1〜第3発光部31a〜31cを有している(図5参照)。第1〜第3発光部31a〜31cは、LED素子から構成され、図示しない電源から電力が供給されることにより発光する。第1〜第3発光部31a〜31cは、近赤外領域であって、互いに異なる波長の光をそれぞれ出射する。
受光部32は、第1〜第3受光部32a〜32cを有している(図5参照)。第1〜第3受光部32a〜32cは、近赤外領域に感度を有するフォトダイオード等から構成されている。
測定が開始されると、第1発光部31aは、760nmの波長を有する光を出射する。第1発光部31aから出射された光は、第1受光部32aで受光される。760mは、脱酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ミオグロビンの吸収波長である。
第2発光部31bは、840nmの波長を有する光を出射する。第2発光部31bから出射された光は、第2受光部32bで受光される。840nmは、酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ミオグロビンの吸収波長である。
第3発光部31cは、805nmの波長を有する光を出射する。第3発光部31cから出射された光は、第3受光部32cで受光される。805nmは、酸素化ヘモグロビン及び脱酸素ヘモグロビンの等吸収波長である。なお、第1発光部31aから第1受光部32aまでの光路、第2発光部31bから第2受光部32bまでの光路、第3発光部31cから第3受光部32cまでの光路は同一とされている。
図3に示すように、発光部31から出射した光110は、人体100の皮膚を透過し、散乱しながら筋組織に到達する。筋組織に到達した光110の一部は、血液中のヘモグロビンと筋内のミオグロビンに吸収された後、受光部32によって受光される。なお、発光部31と受光部32との間隔の1/2の距離が生体組織の透過深度となることが知られている。このため、皮膚、皮下組織及び筋肉の一部まで光110が到達するように、発光部31及び受光部32の間の距離である幅Wを30mmとすることが好ましい。光110が到達する深度Dを変更する場合には、発光部31及び受光部32の間の幅Wを変更すればよい。
図4に示すように、第1〜第3発光部31a〜31cは、所定の順番で(図4ではA,B,Cの順番で)一定の時間間隔毎に発光する。第1〜第3発光部31a〜31cの発光強度は、それぞれ一定の強度とされている。第1〜第3受光部32a〜32cは、受光強度(受光量)に応じた検出信号をコントローラ10に出力する。
次に図5を参照して、コントローラ10の構成について説明する。コントローラ10は、酸素濃度算出部11、目標値設定部12、負荷調整部13、及び運動能力情報生成部14を備える。
酸素濃度算出部11は、第1〜第3受光部32a〜32cから入力した検出信号に基づき、所定の推定式によって酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度、及び両者の和である血流量を、筋内酸素濃度として算出する。推定式は、装置の状態等、条件によって異なるが、各波長の吸光度の線形結合で表される。例えば、酸素化ヘモグロビン濃度は、760nmにおける吸光度及び840nmにおける吸光度の差に相関性があることが知られている。また、算出した酸素化ヘモグロビン濃度及び760nmの吸光度から、脱酸素化ヘモグロビン濃度を求めることができる。酸素濃度算出部11は、運動開始時の酸素化ヘモグロビン濃度を基準とし、その基準点からの酸素ヘモグロビン濃度の変化量ΔOxyHbを時系列データとして得る。
また、酸素濃度算出部11は、酸素化ヘモグロビン濃度と、脱酸素化ヘモグロビン濃度又は血流量とから、筋酸素飽和度(%)を算出する。筋酸素飽和度は、「酸素化ヘモグロビン濃度+脱酸素化ヘモグロビン濃度(血流量)」に対する「酸素化ヘモグロビン濃度」の百分率である。上述したように、筋有酸素能には、酸素消費能力と酸素供給能力の2つがあり、筋酸素飽和度は、酸素消費量と酸素供給量のバランスにより増減する。
酸素濃度算出部11は、算出した酸素化ヘモグロビン濃度の変化量ΔOxyHb、筋酸素飽和度等を、運動能力情報生成部14に出力する。
目標値設定部12は、筋内酸素濃度を測定する際の被測定者の運動強度の目標値を設定する。運動強度は、被測定者の身体能力を基準として運動の強度を数値化したものであり、有酸素運動に関しては、最大酸素摂取量、心拍数、及び脈拍数等が用いられる。酸素摂取量と心拍数との間には相関関係があるため、目標値を、運動強度である心拍数に関する値(以下、目標運動強度T1)とし、被測定者の最大心拍数HRmaxの推定値の所定の割合に設定する。なお、所定の割合は「0%」超「100%」未満の割合とする。
目標値設定部12は、筋内酸素濃度を測定する際の被測定者の運動強度の目標値を設定する。運動強度は、被測定者の身体能力を基準として運動の強度を数値化したものであり、有酸素運動に関しては、最大酸素摂取量、心拍数、及び脈拍数等が用いられる。酸素摂取量と心拍数との間には相関関係があるため、目標値を、運動強度である心拍数に関する値(以下、目標運動強度T1)とし、被測定者の最大心拍数HRmaxの推定値の所定の割合に設定する。なお、所定の割合は「0%」超「100%」未満の割合とする。
被測定者の最大心拍数HRmaxは、被測定者の身体能力に応じた近似式や、身体能力と心拍数とを関連付けた相関データ等を用いて推定することができる。例えば、被測定者の最大心拍数HRmaxは、被測定者の年齢を用いた下記の式(1)で推定できる。なお、被測定者の年齢は、コントローラ10に電気的に接続された報知部としてのタッチパネルディスプレイ24で入力することができる。即ち、目標値は、被測定者の身体能力を考慮した相対的運動強度に関するものであって、被測定者の属性情報に基づく理論値を用いて設定されるため、最大運動強度の測定を必要としない。
HRmax=220−年齢 …(1)
例えば、30歳の場合、推定される最大心拍数HRmaxは190となる。
目標運動強度T1を算出するための最大心拍数HRmaxに対する割合は、この評価方法による筋有酸素能の評価と他の評価方法による筋有酸素能とを比較する実験等を通じて、有意性が認められる割合に設定されている。
また、目標運動強度T1を、最大運動強度の所定の割合とする理由は、身体能力が異なる複数の被測定者を対象として、運動中又は運動後の筋内酸素濃度に基づき筋有酸素能を評価するためには、相対的に同一の運動強度を与えることが必要となるためである。例えば、複数の被測定者に同一条件の運動負荷を付与すると、身体能力が高い被測定者が「楽である」と主観的に感じる一方、身体能力が低い被測定者は「きつい」と主観的に感じる場合がある。このような状況下で同一部位における筋有酸素能を評価しても、両者の筋有酸素能の差が過小に評価される等、筋有酸素能を正確に比較することができない。このため、被測定者の身体能力を考慮しない絶対的運動強度ではなく、複数の被測定者の間の相対的運動強度を同一にするようにしている。
酸素濃度を測定する対象となる運動強度を最大心拍数「190拍」の60%とする場合(60%HRmax)、目標運動強度T1として「114拍」が設定される。目標値設定部12は、設定した目標運動強度T1を負荷調整部13に出力する。
負荷調整部13は、目標値設定部12から目標運動強度T1を入力するとともに、客観的運動強度を測定する運動強度測定部20から、被測定者の運動強度をリアルタイムで入力する。運動強度測定部20は、心拍数計であって、被測定者の手首等に装着されている。なお、心拍数の測定方法は、手首に心拍数計を装着する方法以外の方法であってもよく、特に限定されない。例えば、胸部に心拍数計が設けられたバンドを装着する方法、耳に心拍数計を設ける方法でもよい。
また、負荷調整部13は、運動機器21の負荷制御部22を制御する。本実施形態において運動機器21は、自転車型エルゴメータであって、ペダル、ペダルを回転させるための回転機構、ペダルの単位時間当たりの回転数を検出する回転速度センサ等を備えている。負荷制御部22は、回転機構を制御して、ペダルを回転させる回転トルクを調節する。また運動機器21は、被測定者等によって入力操作される入力操作部23を備えている。入力操作部23における入力操作によって、単位時間当たりのペダルの回転数(例えば60回/分等)を設定することができる。
負荷調整部13は、運動強度測定部20により測定された心拍数HR及び目標運動強度T1を比較し、実際の心拍数HRが目標運動強度T1に近づくように、運動機器21によって付与される運動負荷を調整する。負荷調整部13は、新たな回転トルクを算出し、負荷制御部22に対してその回転トルクで回転機構を駆動するように指令を出力する。この際、ペダルを漕ぐ回転速度は一定に保たれており、目標運動強度T1を基準とした運動負荷の調整を繰り返すことにより、心拍数HRが目標運動強度T1に漸近する。
なお、心拍数HRには揺らぎがあるため、負荷調整部13は、実際の心拍数HRが、「目標運動強度T1−ΔT1」から「目標運動強度T1+ΔT1」の目標運動強度範囲に含まれた状態が所定時間保たれるように運動負荷を調整する。「ΔT1」は、例えば「10拍」等、所定の心拍数に設定されているが、「ΔT1」は心拍数の割合であってもよい。
運動能力情報生成部14は、運動中及び運動後の酸素化ヘモグロビン濃度の変化量ΔOxyHb、筋酸素飽和度等を酸素濃度算出部11から入力し、有酸素運動能力に関する情報である有酸素運動能力情報を生成する。生成した有酸素運動能力情報は、タッチパネルディスプレイ24に出力され、被測定者又は測定者等に報知される。
運動能力情報生成部14は、有酸素運動能力情報の一つとして、運動終了後の筋内酸素濃度が回復する回復期における回復時間を求める。なお、回復期における筋酸素濃度の測定時間も予め定められている。回復期の測定時間は、筋酸素濃度が運動開始前の値又はその付近まで復帰するのに要する時間に設定されている。回復期の測定時間は、測定条件に応じて適宜変更可能であるが、測定時間の一例としては「3分」が挙げられる。
図6に、運動が開始された時点から回復期を含む期間の酸素化ヘモグロビン濃度の変化量ΔOxyHbの例を示す。運動を開始すると酸素化ヘモグロビン濃度が低下し、酸素化ヘモグロビン濃度の変化量が小さい定常状態になる。運動を終了した回復期では、酸素化ヘモグロビン濃度が急激に増大し、運動開始時点の筋内酸素濃度を超えた後、運動開始時点の筋内酸素濃度に徐々に戻る。なお、「回復期」は、運動終了時点から運動開始時点の筋内酸素濃度に戻るまでの期間である。
運動能力情報生成部14は、回復期における筋内酸素濃度の最高値ΔOxyHb‐maxを算出する。さらに、運動能力情報生成部14は、運動終了後から最高値ΔOxyHb‐maxの半値ΔOxyHb‐1/2に到達するまでの時間である回復時間t1を、筋有酸素能の指標として算出する。この回復時間t1は、筋内毛細血管密度や酸素運搬能力等の酸素供給能力を総合的に反映する。骨格筋の有酸素能に優れる被測定者は、この回復時間t1が短くなることが知られている。
なお、運動終了後から最高値ΔOxyHb−maxに到達するまでの時間である回復時間t2も、局所骨格筋の有酸素能を反映するものであるため、この回復時間t2を筋有酸素能の指標としてもよい。回復時間t1,t2を筋有酸素能の指標とする場合、筋内酸素濃度のキャリブレーションを行う必要がない。筋内酸素濃度のキャリブレーションでは、例えばウォーミングアップ等が行われたときや運動開始前の筋内酸素濃度を100%とし、血圧計カフ等により動脈血流を遮断したときの最低値を0%とする。このキャリブレーションが省略されることによっても、被測定者の負担を減らすことができる。
また、運動能力情報生成部14は、有酸素運動能力情報の一つとして、運動中の定常状態における筋酸素飽和度を求める。
図7は、運動が開始された時点から回復期を含む期間の筋酸素飽和度の変化の例を示す。運動能力情報生成部14は、初期値である運動開始時点の筋酸素飽和度から、心拍数HRが目標運動強度範囲に含まれる定常状態になったときの筋酸素飽和度の変化量ΔSを算出する。このとき、運動開始時点の筋酸素飽和度と定常状態の筋酸素飽和度との絶対値を算出してもよい。定常状態の筋酸素飽和度は、定常状態のときの平均であってもよいし、最大値又は最小値であってもよい。運動中には酸素の消費が供給を上回り、酸素消費能力が高いほど筋酸素飽和度の変化量ΔSが大きくなる。このため、筋酸素飽和度の変化量ΔSが大きいほど、筋有酸素能が高いといえる。
図7は、運動が開始された時点から回復期を含む期間の筋酸素飽和度の変化の例を示す。運動能力情報生成部14は、初期値である運動開始時点の筋酸素飽和度から、心拍数HRが目標運動強度範囲に含まれる定常状態になったときの筋酸素飽和度の変化量ΔSを算出する。このとき、運動開始時点の筋酸素飽和度と定常状態の筋酸素飽和度との絶対値を算出してもよい。定常状態の筋酸素飽和度は、定常状態のときの平均であってもよいし、最大値又は最小値であってもよい。運動中には酸素の消費が供給を上回り、酸素消費能力が高いほど筋酸素飽和度の変化量ΔSが大きくなる。このため、筋酸素飽和度の変化量ΔSが大きいほど、筋有酸素能が高いといえる。
なお、回復時間t1、t2や筋酸素飽和度等の有酸素運動能力情報として、筋内酸素濃度が定常状態に到達してからの状態を示す指標を算出する理由は、以下の理由による。即ち、定常状態であるときは、心拍数の変動が小さく、有酸素運動能力情報の抽出の有意性が確保され、有酸素運動能力情報の信頼性が高くなり好ましいためである。
次に、身体機能評価装置の動作について、筋内酸素濃度の測定の手順とともに説明する。測定の準備段階では、被測定者にサポータ40を装着する。自転車型エルゴメータを運動機器21とする場合、主動筋は大腿四頭筋であるため、大腿部にサポータ40を装着する。また、入力操作部23の操作によって、運動機器21のペダルの回転速度を、例えば60回/分等、一定になるように調整する。
図8に示すように、ステップS1において、所定の操作により測定が開始されると、コントローラ10の目標値設定部12は、被測定者情報を入力する。被測定者情報は、タッチパネルディスプレイ24の入力操作によって入力される。
次に、ステップS2において、目標値設定部12は、被測定者に対応する最大心拍数HRmaxを取得する。このとき目標値設定部12は、被測定者の年齢に基づき、上述した式1を用いて最大心拍数HRmaxを算出する。例えば、年齢が「30歳」のとき最大心拍数HRmaxは「190拍」である。
ステップS3において、目標値設定部12は、最大心拍数HRmaxを用いて目標運動強度T1を設定する。例えば、目標値設定部12は、目標運動強度T1を最大心拍数HRmaxの60%とする。最大心拍数HRmaxが「190拍」のとき、目標運動強度T1は「114拍」である。
ステップS4において、目標運動強度T1を設定すると、コントローラ10は、運動機器21を用いた運動の開始を待機する。例えば、運動機器21の回転速度センサから出力された信号に基づき運動が開始されたか否かが判断される。
ステップS4において運動が開始されたと判断すると、ステップS5に進み、負荷調整部13は、運動強度測定部20によって測定された心拍数HRを取得する。また、ステップS6において、酸素濃度算出部11は、光電センサ30から入力した筋内酸素濃度に応じた信号に基づき、筋酸素濃度を算出する。
次に、ステップS7において、負荷調整部13は、心拍数HRが目標運動強度範囲に含まれるか否かを判断する。例えば、目標運動強度T1が「114拍」であるとき、目標運動強度範囲は「104拍〜124拍」である。
ステップS7において、負荷調整部13が、心拍数HRが目標運動強度範囲に含まれていないと判断すると、ステップS8において、心拍数HRが目標運動強度範囲に含まれるように運動負荷を調整し、ステップS5に戻る。この際、運動開始直後においては心拍数HRが目標運動強度T1よりも低いことが当然であるため、例えば、2分間等の所定時間毎に所定の負荷だけ増加させる漸増負荷法により調整してもよい。
心拍数HRが目標運動強度範囲外となる間、ステップS5〜ステップS8を繰り返すことにより、心拍数HRが目標運動強度範囲を下回るときは運動負荷が増大され、心拍数HRが目標運動強度範囲を上回るときは運動負荷が減少される。その結果、心拍数HRは目標運動強度T1に漸近していく。
そして、ステップS7において、負荷調整部13が、心拍数HRが目標運動強度範囲に含まれると判断すると、ステップS9に進み、心拍数HRが目標運動強度範囲に含まれてからの経過時間Tm1を計測する。また、ステップS10において、負荷調整部13は、計測中の経過時間Tm1が、予め設定された持続時間TmA以上であるか否かを判断する。持続時間TmAは、例えば1分間等、定常状態の筋酸素濃度を測定するのに必要な時間と、心拍数HRが目標運動強度範囲に含まれてから定常状態に到達するのに要する最小限の時間とが含まれる長さとする。
ステップS10において、負荷調整部13が、経過時間Tm1が予め設定された持続時間TmA未満であると判断すると、ステップS5に戻り、心拍数HR及び目標運動強度T1の比較を通じた運動負荷の調整を継続する。ここで心拍数HRが目標運動強度範囲内である場合には、ステップS9において経過時間Tm1を継続して計測し、心拍数HRが目標運動強度範囲外となった場合には、ステップS9において経過時間Tm1を初期値から計測しなおす。
ステップS10において、負荷調整部13が、経過時間Tm1が持続時間TmA以上であると判断すると、ステップS11に進み、タッチパネルディスプレイ24に運動終了を指示する画面を出力する等して、被測定者に運動終了を指示する。
ステップS11において被測定者に運動終了を指示した後、ステップS12において、運動能力情報生成部14が、運動終了時点から回復期の経過時間Tm2を計測する。経過時間Tm2が計測される間、被測定者は運動を終了した状態である。そして、ステップS13において、運動能力情報生成部14が、運動終了時点からの経過時間Tm2が回復期持続時間TmB以上であるか否かを判断し、経過時間Tm2が回復期持続時間TmB未満である間、ステップS14で筋内酸素濃度を取得し続ける。なお、回復期持続時間TmBは、筋酸素濃度が運動開始前の値に復帰するために最小限必要な時間以上の時間であり、例えば「3分」等に設定されてある。
ステップS13において、運動能力情報生成部14が、回復期の経過時間Tm2が回復期持続時間TmB以上であると判断すると、ステップS15に進み、有酸素運動能力情報を生成してタッチパネルディスプレイ24に出力する。上述したように、有酸素運動能力情報は、回復時間t1及び筋酸素飽和度の変化量ΔSである。有酸素運動能力情報を出力すると、コントローラ10は、筋酸素濃度の測定を終了する。
このように、筋有酸素能の評価にあたり、理論的に最大運動強度を求めるので、最大運動負荷を測定する従来の方法に比べ被測定者にかかる負荷が軽減される。このため、運動機器21による運動が可能である等の一定の条件を満たせば、リハビリテーション中の患者等、健常者に比べ運動が困難な測定者に対しても評価が可能である。また、光電センサ30を用いて筋内酸素濃度を測定するので、局所的な筋有酸素能の評価が可能である。さらに、コントローラ10によって運動中の運動機器21の調整を自動的に行うことができ、測定者等による目標運動負荷の算出も不要であるため、最大運動負荷量の測定が必要とされる従来の方法に比べ、筋有酸素能の評価を簡便に行うことができる。このため、リハビリテーションのプログラムや、治療後又は治療中の筋組織の回復状態を評価する方法等、上述した身体機能評価装置を多方面において活用可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)最大運動強度に対する予め設定された割合の運動強度が目標運動強度として設定され、その目標運動強度に基づき運動機器21によって付与される運動負荷が調整される。このため、回復時間t1等の有酸素運動能力情報を生成するために、被測定者が、自身の最大運動強度に至るまで運動する必要がなく、被測定者又は測定者等が、被測定者の身体能力に合わせた目標運動負荷又は目標運動強度を算出する必要もない。このため、簡便に筋有酸素能力を評価できる。
(1)最大運動強度に対する予め設定された割合の運動強度が目標運動強度として設定され、その目標運動強度に基づき運動機器21によって付与される運動負荷が調整される。このため、回復時間t1等の有酸素運動能力情報を生成するために、被測定者が、自身の最大運動強度に至るまで運動する必要がなく、被測定者又は測定者等が、被測定者の身体能力に合わせた目標運動負荷又は目標運動強度を算出する必要もない。このため、簡便に筋有酸素能力を評価できる。
(2)運動強度測定部20により測定された心拍数HRが、心拍数HRに関する目標運動強度T1に一致するように運動負荷が調整される。このため、例えば測定者が被測定者の身体能力に応じて運動負荷を調整するよりも、身体機能評価装置の信頼性を向上することができる。
(3)負荷調整部13は、運動強度測定部20により測定された心拍数HRと目標運動強度T1とが一致するように、運動機器21の負荷制御部22を制御する。従って、被測定者や測定者等が、筋内酸素濃度の測定中に運動機器21を操作する必要がないため、簡便に筋有酸素能を評価できる。また、負荷調整部13は、運動機器21によって付与される運動負荷を、心拍数HRと目標運動強度T1とが一致するように自動的に制御する。このため、人が操作する場合に比べ、揺らぎがある心拍数HRを目標運動強度T1を基準とする目標運動強度範囲内に収束させやすい。
(4)筋内酸素濃度は、運動開始後に低下して定常状態となり、運動負荷の停止によって増大する。運動能力情報生成部14は、筋内酸素濃度の変動が少ない定常状態後の指標である回復時間t1に基づいて有酸素運動能力情報を生成するので、有酸素能力情報の有意性が確保される。また回復時間t1の測定においては筋内酸素濃度のキャリブレーションが不要となるため、簡便に筋有酸素能を評価できる。
(5)運動能力情報生成部14は、筋内酸素濃度の変動が少ない定常状態後の指標である筋酸素飽和度に基づいて有酸素運動能力情報を生成するので、有酸素能力情報の有意性が確保される。
(実施の形態2)
本実施形態の身体機能評価装置は、実施の形態1の客観的に運動強度を測定する運動強度測定部の代わりに、主観的に運動強度を測定する運動強度測定部を備える。なお、実施の形態2の身体機能評価装置の説明では、実施の形態1の身体機能評価装置と共通する構成に対して、実施の形態1の身体機能評価装置と同一の符号を付している。
本実施形態の身体機能評価装置は、実施の形態1の客観的に運動強度を測定する運動強度測定部の代わりに、主観的に運動強度を測定する運動強度測定部を備える。なお、実施の形態2の身体機能評価装置の説明では、実施の形態1の身体機能評価装置と共通する構成に対して、実施の形態1の身体機能評価装置と同一の符号を付している。
有酸素濃度に関する運動強度は、最大酸素摂取量、心拍数等の客観的運動強度の他に、被測定者が感じる運動のきつさの度合いを示す主観的運動強度も用いられる。ここでの運動強度測定部は、その主観的運動強度を測定するものである。
図9に示すように、運動強度測定部は、運動機器21に設けられたタッチパネルディスプレイ25である。タッチパネルディスプレイ25は、主観的運動強度を入力する操作部、有酸素運動能力情報を報知する報知部に相当する。タッチパネルディスプレイ25には、運動機器21に設けられた出力制御部27によって各種画面が出力される。
出力制御部27は、主観的運動強度を段階的に示した主観的運動強度データ28を図示しない記憶部に格納している。出力制御部27は、この主観的運動強度データ28に基づき、被測定者による主観的な運動強度を入力するための入力画面をタッチパネルディスプレイ25に出力する。また、運動機器21のタッチパネルディスプレイ25は、有酸素運動能力情報を出力するディスプレイを兼ねている。
被測定者によって、入力画面を通じて主観的運動強度が入力操作されると、出力制御部27は、主観的運動強度を負荷調整部13に出力する。負荷調整部13は、この主観的運動強度を、主観的運動強度に関する目標運動強度に近づけるように運動負荷を調整する。
図10に示すように、主観的運動強度データ28に、ボルグスケールを用いている。ボルグスケールは、自覚的運動強度(RPE:Rate of Perceived Exertion)ともいい、被測定者が感じる運動のきつさの度合いを例えば15段階の数値で示したものである。目標値設定部12は、最大運動強度に対する「0%」超「100%」未満の所定の割合である運動のきつさの度合いを、目標運動強度T2とする。これにより、複数の被測定者に対して相対的な運動強度を同一にすることができる。例えば、目標値設定部12は、「RPE=13」等を目標運動強度T2とする。即ち、目標運動強度T2は、最大運動強度未満であって最大運動強度の所定の割合の運動強度であり、最大運動強度の測定を必要としないものである。
図11に示すように、本実施形態の運動機器21は、自転車型エルゴメータである。タッチパネルディスプレイ25は、運動機器21のうち、被測定者101が、サドル21bに着座してペダル21aを漕ぎながら入力操作できる位置に設けられている。
図12に示すように、タッチパネルディスプレイ25には、主観的運動強度を入力するための入力画面26が表示される。例えば入力画面26には、ボルグスケールの複数の段階を表示する段階表示部26aが表示され、被測定者により一つの段階を選択操作することが可能になっている。また、入力画面26には、段階表示部26aに表示される段階を運動のきつさの度合いが増大する方向に変更する変更操作部26bと、きつさの度合いが減少する方向に変更する変更操作部26cとが表示されている。被測定者は、変更操作部26b、26c及び段階表示部26aを操作することによって自身が感じるきつさの度合いを容易に選択できる。
負荷調整部13は、入力画面26を通じて入力された主観的運動強度が、目標運動強度T2を基準とする目標運動強度範囲に含まれるように、運動機器21によって付与される運動負荷を調整する。なお、主観的運動強度も、被測定者の主観によって揺らぐことがあるため、目標運動強度範囲は、「目標運動強度T2−1段階」から「目標運動強度T2+1段階」までの範囲とする。
次に、本実施形態の身体機能評価装置の動作について、筋内酸素濃度の測定の手順とともに説明する。測定の準備段階では、運動機器21のペダルの回転速度が一定になるように調整される。
図13に示すように、測定が開始されると、ステップS20において目標値設定部12は、目標運動強度T2を設定する。例えば、目標値設定部12は、目標運動強度T2を、運動のきつさの度合いが「ややきつい」に相当する「RPE=13」の段階とする。
ステップS20において目標運動強度T2を設定すると、ステップS21において、コントローラ10は、運動機器21を用いた運動の開始を待機する。ステップS21において運動が開始されたと判断すると、ステップS22において酸素濃度算出部11は、光電センサ30から入力した検出信号に基づき、筋酸素濃度を取得する。
次に、ステップS23において負荷調整部13は、ボルグスケールの複数の段階のうち一つである主観的運動強度Xの入力を待機する。ステップS23において主観的運動強度Xが入力されたと判断すると、ステップS24において、負荷調整部13は、主観的運動強度Xが、目標運動強度T2を基準とした目標運動強度範囲である「T2−1」から「T2+1」に含まれるか否かを判断する。
ステップS24において、負荷調整部13が、主観的運動強度Xが目標運動強度範囲に含まれないと判断すると、ステップS25において、主観的運動強度Xが目標運動強度範囲に含まれるように運動負荷を調整する。この際、運動開始直後は主観的運動強度Xが目標運動強度T2よりも低いことが当然であるため、例えば、2分間等の所定時間毎に所定の負荷だけ増加させる漸増負荷法により調整してもよい。
主観的運動強度Xが目標運動強度範囲外となる間、被測定者は、主観的な運動のきつさの度合いに対応する段階を入力画面26で選択する。負荷調整部13は、ステップS22〜ステップS24を繰り返すことにより、主観的運動強度Xが目標運動強度範囲を下回るときは運動負荷が増大され、主観的運動強度Xが目標運動強度範囲を上回るときは運動負荷が減少される。その結果、主観的運動強度Xは目標運動強度T2に漸近していく。
そして、ステップS24において、負荷調整部13が、主観的運動強度Xが目標運動強度範囲に含まれると判断すると、実施の形態1と同様にステップS9〜ステップS15を実行する。即ち、負荷調整部13は、ステップS9において主観的運動強度Xが目標運動強度範囲に含まれてからの経過時間Tm1を計測し、経過時間Tm1が持続時間TmA以上となると、ステップS11において運動停止を指示する。また、ステップS12において、運動能力情報生成部14は、筋内酸素濃度の測定を継続しながら回復時間の経過時間Tm2を計測する。そして、経過時間Tm2が回復期持続時間TmB以上となると、測定を終了して、ステップS15において有酸素運動能力情報を生成及び出力する。
以上説明したように、本実施の形態にかかる身体機能評価装置によれば、(1),(3)〜(5)の効果が得られるとともに、さらに以下の効果が得られるようになる。
(6)ボルグスケールを用いた主観的運動強度が、ボルグスケールの一つの段階である目標運動強度T2に一致するように運動負荷が調整される。このため、心拍計や脈拍計等の運動強度測定部が不要となり、それらを使う場合に比べ、簡易的に筋有酸素能を評価できる。
(6)ボルグスケールを用いた主観的運動強度が、ボルグスケールの一つの段階である目標運動強度T2に一致するように運動負荷が調整される。このため、心拍計や脈拍計等の運動強度測定部が不要となり、それらを使う場合に比べ、簡易的に筋有酸素能を評価できる。
(変形例)
各実施の形態に関する説明は、本身体機能評価装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本身体機能評価装置は、各実施の形態以外に例えば以下に示される各実施の形態の変形例を取り得る。
各実施の形態に関する説明は、本身体機能評価装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本身体機能評価装置は、各実施の形態以外に例えば以下に示される各実施の形態の変形例を取り得る。
・上記各実施形態では、心拍数HR又は被測定者によって入力されたボルグスケールの段階等の運動強度が、目標運動強度範囲に含まれてからの経過時間Tm1を計測し、この経過時間Tm1が持続時間TmA以上となった時点で、運動終了を指示した。これ以外に、酸素濃度算出部11により、酸素化ヘモグロビン濃度の変化をモニタし、酸素化ヘモグロビン濃度の変化量が小さい定常状態となったときからの経過時間を計測してもよい。そしてこの経過時間が、例えば1分等の所定の時間以上になった時点で、運動終了を指示してもよい。又は、目標運動強度T1,T2を基準とした運動を継続する時間は、測定者等により指示してもよい。
・有酸素運動能力情報は、例えば音声を出力する音声出力装置等、タッチパネルディスプレイ24,25以外の出力装置に出力してもよい。
・上記実施形態では、運動負荷の付与を停止した後の回復時間t1、t2を測定したが、運動負荷を減少させた後、酸素化ヘモグロビン濃度が所定の値まで増大する際の時間を測定してもよい。
・上記実施形態では、運動負荷の付与を停止した後の回復時間t1、t2を測定したが、運動負荷を減少させた後、酸素化ヘモグロビン濃度が所定の値まで増大する際の時間を測定してもよい。
・上記実施形態では、有酸素運動能力情報を、回復時間及び筋酸素飽和度の変化量としたが、いずれか一方でもよい。また、有酸素運動能力情報は、例えば血流変化量等、回復時間及び筋酸素飽和度以外の指標に関する情報としてもよい。
・上記実施形態では、自転車型エルゴメータを用いた運動において、テンポである回転速度を一定としてペダルの回転トルクを調整することによって運動負荷を調整した。これ以外に、回転トルクを一定として、ペダルの回転速度を調整することにより、運動負荷を調整してもよい。
・「回復期」は、運動終了時点から運動開始時点の筋内酸素濃度に戻るまでの期間であるとしたが、筋酸素濃度にも揺らぎがあるため、運動開始時点の筋酸素濃度付近まで戻る期間であってもよい。また、運動終了時点から筋酸素濃度が最高値に到達するまでの時間を回復期としてもよい。
・実施の形態1では、客観的な運動強度の目標値である目標運動強度T1を、最大心拍数HRmaxの所定の割合の心拍数に設定した。これ以外に、最大運動強度及び目標運動強度を、心拍数以外の指標としてもよい。例えば、最大運動強度を最大脈拍数に設定し、目標運動強度を、最大脈拍数の所定の割合の脈拍数に設定してもよい。
・上記実施形態では、3波長式の光電センサ30に、3つの発光素子(第1発光部31a〜第3発光部31c)と3つの受光素子(第1受光部32a〜第3受光部32c)とを設けた。発光素子及び受光素子の個数はこれに限らず、変更可能である。例えば1つの受光素子により受光部32を構成してもよい。
・上記実施形態では、3波長式の光電センサ30を用いたが、2波長式の光電センサを用いてもよい。2波長式の場合、発光部31から出射される光は、760nmの波長を有する光、及び840nmの波長を有する光であることが好ましい。
・図14に示すように、酸素濃度測定部は、1つの発光素子に対し、受光素子を2つ用いて、光拡散方程式を用いた空間分解分光法により、筋酸素飽和度等を求めるものであってもよい。この光電センサ30は、例えば、1つの発光部31と、2つの受光部32とを有する。2つの受光部32は、発光部31からの距離W1,W2が互いに異なる位置に配置される。この光電センサ30によれば、例えば筋内酸素濃度に関してより定量的に計測が行えるようになる。
・上記実施形態では、運動機器として自転車型エルゴメータを用いたが、運動負荷を付与できるものであれば、トレッドミル等、これ以外のものであってもよい。トレッドミルを用いた運動では、傾斜角度や、歩行速度及び走行速度の少なくとも一つを変更して運動負荷を調整する。
・光電センサ30は、運動の種類に応じて、筋有酸素能を測定する対象の部位に装着される。例えば、トレッドミルを用いた運動では主動筋は下腿筋であるため、下腿部にサポータ40を装着する。また、光電センサ30は、テープ等の貼着部材や、人体の所定の部位に締結するバンドにより、人体に装着されてもよい。
・図15に示すように、運動負荷を付与する方法として、踏み台昇降を用いてもよい。この場合、例えば、コントローラ10に、スピーカ等からなるテンポ調整部50を接続してもよい。テンポ調整部50は、例えば「ポン、ポン」等といった踏み台51を昇降する速さを調整するための音を、コントローラ10からの指示に基づく間隔で出力する。又は、踏み台51の高さを自動的に調整する調整機構を設けてもよい。客観的運動強度を用いて運動負荷を調整する場合においては、コントローラ10は、運動強度測定部20によって測定された心拍数HR及び目標運動強度T1を比較する。そして、コントローラ10は、心拍数HRが目標運動強度範囲を下回るときは、音の出力間隔であるテンポを速め、心拍数HRが目標運動強度範囲を上回るときは、音の出力間隔であるテンポを遅くする。踏み台51の高さにより運動負荷を調整する場合には、心拍数HRが目標運動強度範囲を下回るときは踏み台51を高くし、心拍数HRが目標運動強度範囲を上回るときは、踏み台51を低くする。テンポにより運動負荷を調整する方法では、踏み台昇降の他、反復横跳び、スクワット等の運動により運動負荷を調整してもよい。この場合には、手軽な運動が行えることから、より簡便に筋有酸素能を評価できる。
・実施の形態1では、身体機能評価装置は、コントローラ10に報知部としてのタッチパネルディスプレイ25が接続されている構成としたが、タッチパネルディスプレイ25等の報知部は、運動機器21に設けられていてもよい。また、コントローラ10自体が、運動機器21に設けられていてもよい。
・実施の形態2では、運動機器21のタッチパネルディスプレイ25によって有酸素運動能力情報を出力したが、運動機器21とは別に設けられた報知部に有酸素運動能力情報を出力してもよい。
10:コントローラ
11:酸素濃度算出部
12:目標値設定部
13:負荷調整部
14:運動能力情報生成部
20:客観的運動強度測定部としての運動強度測定部
21:運動機器
24:報知部としてのタッチパネルディスプレイ
25:操作部及び報知部としてのタッチパネルディスプレイ
30:酸素濃度測定部としての光電センサ
11:酸素濃度算出部
12:目標値設定部
13:負荷調整部
14:運動能力情報生成部
20:客観的運動強度測定部としての運動強度測定部
21:運動機器
24:報知部としてのタッチパネルディスプレイ
25:操作部及び報知部としてのタッチパネルディスプレイ
30:酸素濃度測定部としての光電センサ
Claims (6)
- 客観的運動強度の推定値に基づく運動強度の目標値又は主観的運動強度に関する目標値を設定する目標値設定部と、
前記目標値を目標として運動負荷を調整する負荷調整部と、
筋内酸素濃度に応じた測定信号を出力する酸素濃度測定部と、
前記運動負荷が付与されているときに前記酸素濃度測定部から出力された測定信号に基づき、有酸素運動能力に関する情報である有酸素運動能力情報を生成する運動能力情報生成部と、
前記有酸素運動能力情報を出力する報知部と
を備える身体機能評価装置。 - 前記客観的運動強度に応じた測定信号を出力する客観的運動強度測定部を備え、
前記目標値は、前記客観的運動強度に関する目標値であって、
前記負荷調整部は、前記客観的運動強度測定部から出力される測定信号に基づいて運動強度を算出し、算出した運動強度と前記目標値とに基づいて前記運動負荷を調整する
請求項1に記載の身体機能評価装置。 - 前記主観的運動強度を入力するための操作部を備え、
前記目標値は、前記主観的運動強度に関する目標値であって、
前記負荷調整部は、前記操作部からの測定信号に基づいて運動強度を算出し、算出した運動強度と前記目標値とに基づいて前記運動負荷を調整する
請求項1に記載の身体機能評価装置。 - 前記負荷調整部は、算出した運動強度と前記目標値とに基づいて、前記運動負荷を付与する運動機器を制御する
請求項2又は3に記載の身体機能評価装置。 - 前記運動能力情報生成部は、前記運動負荷の減少又は前記運動負荷の付与の停止によって前記筋内酸素濃度が所定の濃度まで増大する時間である回復時間に基づいて前記有酸素運動能力情報を生成する
請求項1〜4のいずれか1項に記載の身体機能評価装置。 - 前記運動能力情報生成部は、前記運動負荷の付与によって低下し定常状態となった前記筋内酸素濃度に関する変化量に基づいて前記有酸素運動能力情報を生成する
請求項1〜5のいずれか1項に記載の身体機能評価装置。
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2014
- 2014-07-31 JP JP2014156010A patent/JP2016032527A/ja active Pending
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