JP2009254788A - 筋肉評価装置、筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筋肉評価装置としては、筋力に関する情報と所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報とを取得する情報取得手段1と、前記情報取得手段1により得られる情報から筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを判定する判定手段4とを備える。また、筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法としては、前記筋力に関する情報と、
所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報とを指標とする。
【選択図】図2
Description
また、本発明は、筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを判定する方法に関する。
本発明は、特に下肢筋肉を対象とする場合に好適な評価装置又は判定方法に関する。
また高齢者の場合、血圧上昇による脳血管・循環器障害などの危険性があるために適正なトレーニング設定が必要である。
このような観点から、従来、筋力、筋肉量、体脂肪率などに関する情報を指標とした評価装置、評価方法が提案されているが(例えば、特許文献1〜5)、十分なものとはいえない。
そのため、筋力、筋肉量だけを指標とするだけではなく、神経協調性、神経筋伝達等を考慮したこのような筋動員力にも着目して、筋の評価やトレーニングメニューの判定をすることが望ましい。特に高齢者における筋力トレーニングアップ効果は、初期段階では神経協調性による効果が大きく、筋肥大による効果はその後に起きると考えられている。
そこで、このような高齢者を対象とした筋力トレーニングは、まず筋動員力を上げ、次に筋力を高めるトレーニングをおこなった方が効率的であると考えられる。
そのため筋肉の性能やトレーニングメニューを判定する指標として、筋力、筋肉量以外の要素も考慮し、これらを融合させて判断することが、高齢者等の特質に合わせたトレーニングには必要である。
この実施態様によれば、本体部は、体重測定機能とインピーダンス測定機能を備えることが好ましく、これにより少なくとも体重、筋肉量(又は筋肉率)、体脂肪量(又は体脂肪率)に関する生体情報を取得することができる。
また、筋力訓練部は、本体部に着脱自在に固定し得ることが好ましく、筋力訓練部を本体部に取り付けた状態と取り外した状態の双方の状態で、筋力に関する情報とその筋力を発揮するのに要する時間に関する情報とを取得し得るようにすることが好ましい。
なお、この実施態様においても、前記最初の観点の筋肉評価装置における「筋力に関する情報」、「所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報」、「加工手段」、「記憶手段」、「補正手段」、「表示手段」等の各態様を採用することができ、下肢筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを判定するためのものとすることが好ましい。
このような本発明の方法によれば、医師などの専門家が行う医療行為を伴わなくとも、筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを的確に判定することができる。
筋力に関する情報と、所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報とから得られる一次関数の傾きを筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定指標とする。この場合、一次関数の直線は、筋力発揮開始時から最大筋力発揮時までの範囲から得ることが好ましく、最大筋力の20〜80%の筋力が発揮された範囲から得ることが更に好ましい。
なお、「筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定」のことを、以下「筋肉の性能等の判定」と省略する場合がある。
筋評価装置100は、公知の体重計に公知の生体電気インピーダンスの測定機能を付加したもので、本体部10と、操作部20とからなり、本体部と操作部はケーブル11により接続されている。
本体部10は、使用者の体重を測定するために載る載台面12に左右の足の底面に接する電極部30を設けてある。この電極部30は、足のつま先側を載せる電極部30a、30bと、足の踵側を載せる電極部30c、30dとから構成される。また、凸状に湾曲した筋力訓練部40が本体載台面12のほぼ中央に設置されている。本実施形態における筋力訓練部40は、特に下肢筋力トレーニングに好適な形態を備えており、使用時には着座状態で膝裏を筋力訓練部40の上に載せ、膝裏を押し当てることで大腿四頭筋をトレーニングできる。筋力訓練部40にかかる荷重は、本体部10に内蔵されているロードセル等の荷重センサー(図示せず)で読み取ることができるようになっており、筋力訓練部40を押すときに発揮される力、すなわち筋力に関する様々な情報を筋力訓練部40から取得することができる。なお、本体載台面12に設置される筋力訓練部40の形態としては、トレーニングする部位、目的などによって適宜変更可能で、直方体、凹状に湾曲したもの等を用いてもよい。筋力訓練部40は、本体部10に着脱自在に固定し得る構造とし、筋力訓練部40を本体部10に取り付けた状態と取り外した状態の双方の状態で、筋力に関する情報とその筋力を発揮するのに要する時間に関する情報とを取得し得るようにすることが好ましい。判定する筋肉やトレーニングの種類等により、筋力訓練部40を本体部10に取り付けたり、取り外したり、又は異なる種類の筋力訓練部40に付け替えたりすることで、判定する筋肉やトレーニングに即した適当な姿勢で判定等できるからである。例えば、大腿四頭筋を評価等する場合は、前述したように凸状に湾曲した筋力訓練部40を本体載台面12に取り付け、座位で筋力訓練部40に荷重をかけて、筋肉の性能等の判定をすることができる。
また、地面を蹴りだす筋肉等の性能等を判定する場合は、筋力訓練部40を本体載台面12から取り外し、平坦な状態になった本体載台面12を立位で踏みつけるようにして、下肢筋肉の性能等の判定をすることができる。なお、このように、筋力訓練部40を本体載台面12から取り外して使用する場合には、本体載台面12に滑り止め(図示せず)を設ける等、判定する姿勢に即した特定の構造にすれば良い。
さらに、その他の公知のトレーニング装置の構造を用いて、本発明の筋肉評価装置を構成してもよく、例えば、大腿四頭筋用のレッグプレスやレッグエクステンション又は大腿二頭筋用のレッグカールの構造を用いることができる。この場合には、足部や下腿部等を接触させて下肢の荷重をかける部材を筋力訓練部40とすることができ、座位や腹臥位で筋力訓練部40に荷重をかけるようにして、下肢筋肉の性能等の判定をすることができる。なお、この場合の筋力訓練部40にかかる荷重を読み取る荷重センサー等は、各トレーニング装置の構造にあわせて適宜配置等することができる。
操作部20は、電極部30と、表示部50と、操作ボタン60とを備える。電極部30は、操作部20の左右側辺に設けられ、手で握って接触させる2つの電極部30e、30fを有する。表示部50は、筋力、体重、体脂肪などの測定値、筋肉の性能やトレーニングメニューの判定結果、その他操作に関わる情報を表示する。
図1では操作部20は、本体部10から分離した状態で示したが、本体部10に取り付け(収納)可能であり、測定時など必要に応じて取り外せる構成となっている。また、本体10と操作部20とのデータ通信は、ケーブル11を用いず、無線で行っても良い。
13は通信ポートで、筋力、筋肉量など本発明の評価装置以外の測定装置で測定したデータや、新たなトレーニングメニューに関する情報を外部から入力したり、本発明の筋評価装置100に記憶されているデータを外部に出力したりすることがきる。
筋評価装置100は、主として、入力部110、演算部120からなり、入力部110及び演算部120には以下に示す各種構成が包含される。
入力部110には、筋力に関する情報、所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報、その他必要な情報を取得する情報取得手段1と、前記情報取得手段にインプットされる筋力等に関する情報の発生源ともなる筋力訓練手段7が包含される。
演算部120には、前記情報取得手段から得られた情報を加工する加工手段2、筋力-筋力発揮の所要時間関係や過去の測定履歴等が記憶されている記憶手段3、前記情報取得手段1又は加工手段2により得られる情報と記憶手段3に記憶されている基準情報とに基づき筋肉の性能やトレーニングメニューを判定する判定手段4、前記判定手段4の判定前後又は判定と同時に判定手段と協同して筋肉の性能やトレーニングメニューを補正する補正手段5、が包含される。さらに筋評価装置100には、筋肉の性能、トレーニングメニュー、その他必要な情報を表示する表示手段6が含まれる。
また、加工手段2、筋力訓練手段7を情報取得手段1の一部として構成するようにしてもかまわない。その他、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜これらの各構成要素を統合、分離することができる。
情報取得手段1は、少なくとも筋力に関する情報とその筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が得られればよく、その取得経路は、本発明の筋評価装置に備えられた測定機器によって取得しても、本発明の筋評価装置以外の機器で測定した情報を入力することで取得してもよい。
ここで、図3に、図2に示した実施形態と異なる取得経路で筋力に関する情報とその筋力を発揮するのに要する時間に関する情報を取得する場合の態様をブロック図で示す。
図3の態様では、筋力に関する情報等が本発明の筋評価装置以外の外部測定装置200により測定される点が図2の態様と異なる。このような外部測定装置200により得られた筋力等の外部データ210は、筋評価装置100に設置した通信ポートを情報取得手段1として使用する事により取得することが可能である。また、このような態様では、本発明の筋評価装置100の演算部120で処理した情報を、本発明の通信ポートを通じて外部測定装置200に出力することもでき、より多くの生体情報を相互に活用することができ、より適正な筋肉性能の評価、トレーニングメニューの判定が可能となる。
具体的には、図1に示した筋評価装置100の態様では、筋力訓練部40にかかる力を、本体部10内蔵のロードセルを利用し、下肢筋力とその筋力を発揮するのに要する時間との関係として経時的な波形データで取得できる。図4は、このような方法で取得した筋力と筋力発揮の所要時間の経時的な波形データで、約1,800人のデータを年代別に平均化したものである。
ここで注目すべき点は、年代ごとに波形に差が認められることである。本発明者らは、筋力と筋力を発揮するのに要する時間との間にこのような所定の関係が存在することを見出し、これらの情報を指標とすることで、筋肉の性能をより的確に判定し得ると考えている。
また、情報取得手段1により取得される所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報の形式は、例えば、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までの経過時間、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から所定部分を取り出した時間、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から所定範囲を取り出した時間、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から最大筋力の所定割合の筋力が発揮された範囲を取り出した時間、等の情報が利用できる。
情報取得手段1で取得するこれらの情報は、情報を取得する段階でこれらの形式を有していても良いし、次に説明する加工手段2によって適宜変換、再構成してもよい。
このときの筋力又は時間に関する情報の形式は、上記のような種々の形式を用いることができるが、例えば、最大筋力発揮までの筋力の立ち上がり部分においては、筋力発揮の所要時間(x)と筋力(y)との関係から得た一次関数y=ax+bの傾きaを筋肉の性能等の判定指標とすることが好ましい。筋力の立ち上がりが早いほど、筋動員力や瞬発力が優れていると判定することができるが、筋力発揮が早いほど傾きも大きくなるため、傾きを指標として判定することで、筋肉の性能を迅速かつ直感的に理解することが可能となる。
また、筋力発揮開始時又は最大筋力発揮時から筋力発揮終了時までの経過部分においては、上記のような傾きの他に、例えば、各時間に発揮された筋力を全時間で平均した平均筋力や、各時間に発揮された筋力を合計した合計値や積分値を用いて、筋持久力等の判定指標とすることができる。詳細は後述する。
図1に示した筋評価装置100では、体重計と生体電気インピーダンスの測定機能により、少なくとも体重、筋肉量(又は筋肉率)、体脂肪量(又は体脂肪率)に関する生体情報を取得することができる。
加工手段2は、情報取得手段1から得られた情報を、別の形式のデータに変換、再構成等する手段である。この加工手段は、筋肉に関する情報を補正して評価の精度を上げたり、トレーニングメニューの判定指標として利用し易くするために行うものである。
図5は、図4に示すような筋力と筋力発揮の所要時間の経時的な波形データを加工したもので、縦軸のデータ形式を筋力から最大筋力に対する割合に変換したものである。筋肉の性能等の判定指標に用いる筋力に関する情報の形式は、このような最大筋力に対する所定の割合として表示したものが特に好ましい。割合算出することにより、使用者固有の筋力差の影響を取り除くことができる。
図6は、WBIおよび最大筋力の20〜80%の筋力が発揮された区間時間を年代別に平均化し、その信頼区間内に該当するデータをプロットしたもので、各年代別の標準的な値を示したものである。
図7は図6と同様にして変形性膝関節症(OA)の重症度の指標であるOAgrade別にプロットしたものであり、OAgrade別の標準的な値を示したものである。
また、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から、所定範囲を取り出す場合には、所定筋力が発揮された範囲を取り出すことが好ましく、相関が高い最大筋力の20〜80%の筋力が発揮された区間時間を使用することが特に好ましい。この範囲であれば測定初期や最大筋力発揮時に起こり易いデータのぶれの影響を取り除くことができる。なお、この範囲内であれば、例えば最大筋力の30〜70%の筋力が発揮された区間時間を使用してもよい。
具体的な判定方法を次に説明する。
判定手段4は、前記情報取得手段1又は加工手段2により得られる情報から筋肉の性能やトレーニングメニューを判定する。
例えば、判定手段は、筋肉の性能を評価する基準データを記憶手段3に記憶させておき、前記情報取得手段1又は加工手段2により得られる情報と、記憶手段3に記憶されている基準情報とを対比することで筋肉の性能やトレーニングメニューを判定することができる。
記憶手段3に記憶させる基準データとしては、筋力に関する情報と所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報との関係である筋力-筋力発揮の所要時間関係が好ましい。
ここで、「筋力-筋力発揮の所要時間関係」における、「筋力」と「筋力発揮の所要時間」のそれぞれの情報形式は、前記の情報取得手段の項目で説明した情報形式と同様の様々な形式が利用できる。特に、「筋力」に関する情報は、最大筋力に対する所定の割合として表示したものや体重あたりの筋力及び/又は筋肉量あたりの筋力として表示した形式が好ましい。「筋力発揮の所要時間」に関する情報は、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から、所定筋力(好ましくは、最大筋力の20〜80%の筋力)が発揮された範囲を取り出した時間であることが好ましい。
図8のA〜Dの4象限は、次に示す観点で区分したものであり、各象限に該当した対象者が実施すべきトレーニングメニューは、例えば図9のように判定することができる。
A象限:筋力が高く、筋力発揮の時間が速い人。筋力も、筋動員力も優れているので、高負荷トレーニングを実行する。
B象限:筋力が高く、筋力発揮の時間が遅い人。筋力があるのにもかかわらず、筋動員力が不十分であるため、動員力を上げるトレーニングを実施する。これは、低負荷高回数のトレーニングが想定される。
C象限:筋力が低く、筋力発揮の時間が速い人。筋力は少ないが、筋動員力が優れているので高負荷トレーニングを実行する。
D象限:筋力が低く、筋力発揮の時間が遅い人。筋力、筋動員力ともに不十分であるため、最初のステップである動員力を上げる低負荷高回数トレーニングから実施する。
図10および図11は、WBIと最大筋力の20〜80%の筋力が発揮された区間時間との関係を、年代別の偏差値が45〜55に該当する値でプロットした図である。
例えば、図10のように、筋力-筋力発揮の所要時間相関図に該当しうる領域に沿って判定基準を区分することもできる。また、図11に示すように、筋肉の性能に合わせて判定基準をより細かく分類することも可能である。図10および図11において実際の判定をする場合には、筋力の個人情報P2(x2,y2)を上記の筋力-筋力発揮の所要時間相関図に当てはめて、該当する象限の図示しないトレーニングメニューを設定することができる。
図12および図13は、筋力/筋量(筋肉量あたりの筋力)と最大筋力の20〜80%の筋力が発揮された区間時間との関係を、年代別の偏差値が45〜55に該当する値でプロットした図である。図12は、筋力/筋量-筋力発揮所要時間相関図に該当しうる領域に沿って判定基準を区分したもので、図13は、筋肉の性能に合わせてさらに細かく判定基準を区分したものである。
なお、この判定基準と、前述のWBI-筋力発揮の区間時間関係に基づく判定基準とを併用して、筋肉の性能やトレーニングメニューの判定をすることもできる。つまり、使用する筋力に関する情報として、体重あたりの筋力と、筋肉量あたりの筋力との2つを用いる。
具体的には、次のような方法でトレーニングメニューを判定することができる。図8で示した関係図においてP1a(x1,y1a)に位置した場合、トレーニングメニューの「負荷」についてはD象限に該当する値を採用し、図13で示した関係図においてP1b(x1,y1b)に位置した場合、トレーニングメニューの「回数、セット時間」についてはC象限に該当する値を採用する。
このように、筋力に関する複数の指標を判定基準として同時に用いることで、筋肉の性能をより的確に判定することができ、効率的なトレーニングメニューの提供が可能となる。
例えば、前記図8に示したような4象限の基準のみで判定を行う場合、性別や年齢等の特徴が全く異なる複数の個人間で、トレーニングメニューが同一になることがある。このような場合、トレーニングメニューが適当といえない場合もあるので、筋力以外の生体情報、又は過去の測定履歴等の情報に基づいて判定結果を補正し、その個人に最適なトレーニングメニューを再構成することが好ましい。補正するための筋力以外の生体情報としては、例えば、年齢、性別、体重、身長、筋肉量、筋肉率、体脂肪量、体脂肪率、重心動揺、脈拍、呼吸、血圧、体温等を使用することができる。
補正手段5は、前記判定手段4と協同して筋肉の性能やトレーニングメニューを補正するものであればよく、その構成は判定手段4に包含されるようなものであっても、判定手段4とは分離した構成を有するものであっても良い。
表示手段6は、上記判定方法によって得られた筋肉の性能やトレーニングメニューに関する情報、その他必要な情報を視覚的、聴覚的に表示するものである。
また、表示手段6には、前記情報取得手段1又は加工手段2により得られる情報を用いた重回帰式による判定結果を表示することもできる。
例えば、下肢の推定年齢Apを、最大筋力M、最大筋力の20〜80%の筋力が発揮された区間時間T、変数R1〜R3、係数a〜fで表した下記(1)の重回帰式により算出することができる。変数R1〜R3には体重、身長、性別、下肢筋肉量のいずれかが入る。(1)式に左右筋力差、OAgrade、重心動揺軌跡長または面積、等を加えて算出してもよい。
Ap =a−b×M+c×T+d×R1+e×R2+f×R3・・・(1)
また、同様に前記情報取得手段1又は加工手段2により得られる情報を用いて推定最大筋力を重回帰式により算出することも可能である。
このように下肢の推定年齢、推定最大筋力等を表示することによって、実年齢と自分の下肢年齢等を比較し、自分の状態を客観的に把握することができるので、適切な目標を定めることが可能となる。さらに、このことにより、トレーニングの継続性、モチベーションの維持を促すことができる。
本発明は、筋力と筋力を発揮するのに要する時間とを指標とすることを特徴とする筋肉評価装置及び筋肉の性能等の判定方法に関するものであるが、この「筋力」と「筋力発揮の所要時間」のそれぞれの情報を特定の組合せにすることで、上述のような筋肉の性能等の判定に有効な情報を提供することができる。以下にその他の判定方法の態様を示す。
図4又は図5に示すように、縦軸に筋力に関する情報、横軸に筋力発揮の所要時間に関する情報をプロットし、経時的な波形ラインを描いた場合、最大筋力発揮までの筋力の立ち上がり部分において、筋力発揮の所要時間(x)と筋力(y)との関係から一次関数y=ax+bの直線を引くことができる。この筋力に関する情報(y)と、所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報(x)とから得られる一次関数の傾きaを筋肉の性能等の判定指標とすることが好ましい。一次関数の傾きを指標として判定することで、筋動員力や瞬発力等の筋肉の性能を迅速かつ簡便に理解することが可能となる。
この「筋力」及び「筋力発揮の所要時間」に関する情報から求める一次関数の直線は、筋力発揮開始時から最大筋力発揮時までの範囲から得ることが好ましく、最大筋力の20〜80%の筋力が発揮された範囲から得ることが更に好ましい。
傾きを求める具体的な方法としては、例えば、最大筋力の20〜80%の筋力が発揮された範囲の「筋力」及び「筋力発揮の所要時間」の波形ラインに基づき最小二乗法により傾きを求める方法、波形ラインの所定の2点(例えば、最大筋力の20%発揮点と、最大筋力の80%発揮点)を結ぶ直線から傾きを求める方法、波形ラインの所定の1点における曲線の接線から傾きを求める方法等が挙げられる。
図15は、最大筋力の20%発揮点と、最大筋力の80%発揮点との2点を結ぶ一次関数の直線を引き、その一次直線の傾きを求めた図である。
また、この傾きは、1つの波形ラインから複数の一次関数の傾きを算出し、その複数の傾きを対比する等して筋肉の性能等を判定してもよい。例えば、最大筋力の20%発揮点付近の傾きと、最大筋力の80%発揮点付近の傾きの2つの傾きをそれぞれ算出し、それら2つの傾きから筋肉の性能等を判定してもよい。
なお、ここでは、最大筋力発揮までの範囲における一次関数の傾きについて説明したが、この範囲に限られず、例えば、最大筋力発揮時以降から筋力発揮終了時までの波形ラインの適当な範囲において一次関数を引き、その一次関数の傾きを筋肉の性能等の判定指標としてもよい。最大筋力発揮時以降の波形ラインに引ける一次関数の傾きから、例えば、筋持久力等を判定することができる。
筋肉の性能等の判定は、1回の測定で得られる「筋力」及び「筋力発揮の所要時間」に関する波形情報、又はその波形情報から適宜加工して得られる情報(平均筋力、筋力の合計値、筋力の積分値、筋力の立ち上がり部分の一次関数の傾き、筋力の差分値等)に基づいて行ってもいいし、複数回の測定で得られるこれらの複数の情報に基づいて行っても良い。
このように測定ごとに得られる「筋力」及び「所定筋力を発揮するのに要する時間」の複数の情報(波形情報やこれらの加工情報等)を、測定ごとに対比したり、測定ごとの変化の挙動を観察したりして利用することで、筋肉の性能等を簡便に判定する事が可能となる。判定できる筋肉の性能等の項目としては、例えば、筋力の持久力や調整力、筋動員力や瞬発力の持久性、左右の筋力バランス、所定期間におけるトレーニング成果等が挙げられる。以下に、測定ごとに得られる複数の情報を利用した筋肉の性能の例を示す。
図16(a)は、下肢筋力とその筋力を発揮するのに要する時間との経時的な波形データで、図1に示した筋評価装置を用いて筋力訓練部を連続して4回押したときに測定された測定ごとの4つの波形データである。図16(a)では、各グラフに2名分のデータを表示してある。この4回の測定の波形データを並べて対比すると、測定1回目はAの方がBよりも高い筋力を発揮しているが、測定を重ねるにつれ筋力およびその発揮時間の低下の程度がBよりも大きいことが分かる。このことより、Bの方が筋力発揮の持久力が高いと判定できる。
また、図16(c)は、図16(a)のデータを基に、下肢筋力とその筋力を発揮するのに要する時間との経時的な各波形データから測定中の筋力の合計値を算出し、4回の測定の各合計値を1つのグラフにプロットしたものである。なお、ここでは所定時間ごとの筋力を合算した合計値を用いたが、波形グラフの積分値を用いてもよく、積分値を用いればより精度の高い判定をおこなうことができる。
その点、図16(b)、図16(c)のような波形データの加工情報に基づいて1つのグラフで判定する場合、筋力の低下が一目で分かるので、より簡便に筋力の持久力を判定できる。図16(b)、図16(c)からは、平均筋力及び筋力の合計値の低下の挙動から、Bの方が筋力発揮の持久力が高いと判定できる。
また、図16(b)、図16(c)のような判定によれば、測定ごとに発揮させる筋力の目標を定め、その目標となる筋力が測定ごとに発揮されているか否かを確認することで、発揮すべき筋力の大きさを自分でコントロールできるどうかの調整力の判定指標とすることもできる。なお、図16(b)、図16(c)の1つのグラフから一次関数の「傾き」を算出し、この傾きを持久力の指標としてもよく(0に近いほど持久力あり)、1つのデータのみで更に簡単に判定ができるようになる。
このように、測定ごとに得られる筋力に関する情報及び所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報を、波形データ同士、又は波形データを適宜加工した情報同士で対比したり、変化の挙動を観察したりすることで、筋力の持久力や調整力といった性能を判定することができる。
前述の「波形データの傾きによる判定」に示したような筋力の立ち上がり部分に引いた一次関数の傾きを用いて、測定ごとに得られる傾きを対比して筋動員力や瞬発力の持久性を判定することもできる。ここで、「筋動員力や瞬発力の持久性」とは、自己の筋線維をできるだけ一度に多く働かせる能力である「筋動員力」や瞬間的に筋力等を発揮し得る能力である「瞬発力」を、繰り返し持続して実行できる特性、ということができる。
図17は、図16(a)のデータを基に、下肢筋力とその筋力を発揮するのに要する時間との経時的な各波形データから筋力の立ち上がり部分の傾きを算出し、4回の測定の各傾きを1つのグラフにプロットしたものである。具体的には、最大筋力の20%発揮点と、最大筋力の80%発揮点との2点を結ぶ一次関数の直線を引き、その一次直線の傾きを求めた。
前述の通り、傾きが大きいほど筋動員力や瞬発力が優れていると判定できるが、図17に示すような測定回数ごとのグラフを描くことで、これらの能力の持久性も評価することが可能となる。図17からは、Bの方が筋動員力や瞬発力の持久性が高いと判定できる。
下肢や上肢等の左右にわけることができる部位においては、左右の測定ごとに得られる「筋力」及び「所定筋力を発揮するのに要する時間」の情報(波形情報やこれらの加工情報等)を、測定ごとに対比したり、測定ごとの変化の挙動を観察したりして利用することで、左右の筋力バランスを評価する事ができる。
図18(a)は、横軸に右足の筋力、縦軸に左足の筋力をとり、筋力を4回測定した場合の平均筋力データをプロットしたものである。各測定の値がグラフ中の「バランスが保たれている範囲」に入ればよいが、領域から外れた場合又は中心から大きく外れた場合、弱い方の筋力を重点的にトレーニングするメニューを判定することができる。
図18(b)は、前述の図16(b)に示した方法と同様の方法で平均筋力を算出したもので、左右の下肢筋力における4回の測定の各平均筋力を1つのグラフにプロットしたものである。左右での筋力変化の挙動を対比することで、筋力の持久力の左右バランスを判定することができる。
なお、左右の筋力バランスの判定には、図18に示した平均筋力以外にも、例えば、前述したような筋力と筋力発揮時間の波形データ、筋力の立ち上がり部分に引いた一次関数の傾き、筋力の合計値、筋力の積分値等を指標として利用してもよく、これらによっても筋肉の性能等の判定をすることができる。
筋力トレーニングの効果をあげるためには、継続してトレーニングを行う必要があるが、そのためにはモチベーションの維持が重要となる。このモチベーション維持には、トレーニングの成果が簡単に理解できることが有効で、例えば、トレーニング期間での筋力等の推移を一目で認識できる指標を提示することが好ましい。
図19(a)は、トレーニング初日とトレーニング1ヶ月後の下肢筋力とその筋力を発揮するのに要する時間との経時的な波形データを1つのグラフ内に並べて対比したものである。図19(a)から、トレーニング初日に比べてトレーニング1ヶ月後には筋力およびその発揮時間の程度が改善していることが分かる。
図19(b)は、トレーニング期間の経過ごとの平均筋力をプロットしたもので、2名分のデータを表示してある。
図19より、筋力向上の程度が一目で分かるので、トレーニングの有効性を実感し、トレーニングの継続、モチベーション維持を促すことができる。
なお、所定期間における対比する情報の種別は、図19に示した波形データ、平均筋力以外にも、例えば、前述した筋力の立ち上がり部分に引いた一次関数の傾き、筋力の合計値、筋力の積分値等を利用してもよく、これらによってもトレーニング成果を判定することができる。
筋力に関する情報と、所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報とから観察される発揮筋力のばらつき(分散)の程度を指標として筋肉の性能等の判定をすることができる。具体的には、発揮させる筋力の目標値(基準値)を予め設定し、筋力と筋力発揮の所要時間の経時的な波形データを描き、その波形データの目標値に対するばらつき(分散)の程度を確認することで、所定の大きさの筋力をコントロールできる能力(調整力)を判定することができる。発揮させる筋力の目標値を設定せずに、波形データのばらつきだけから筋力の調整力を判定してもよい。図20は、発揮させる筋力の目標値を所定の時間範囲で2つ設定し、その目標筋力を発揮するように使用者が筋力をかけているときの経時的な波形データを示す。図20では、2名分のデータを表示してあり、Aの方がBよりも目標筋力に対するばらつきが少なく、筋力の調整力が優れていると判定できる。
2 加工手段
3 記憶手段
4 判定手段
5 補正手段
6 表示手段
7 筋力訓練手段
10 本体部
11 ケーブル
12 載台面
13 通信ポート
20 操作部
30 電極部
40 筋力訓練部
50 表示部
60 操作ボタン
100 筋評価装置
110 入力部
120 演算部
200 外部測定装置
210 外部データ
Claims (26)
- 筋力に関する情報と所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報とを取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により得られる情報から筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを判定する判定手段と、
を備える筋肉評価装置。 - 筋力に関する情報が、最大筋力又は最大筋力の所定割合に関する情報である請求項1に記載の筋肉評価装置。
- 筋力に関する情報が、体重あたりの筋力及び/又は筋肉量あたりの筋力である請求項1に記載の筋肉評価装置。
- 所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までの経過時間である請求項1〜3のいずれか1項に記載の筋肉評価装置。
- 所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から、所定部分を取り出した時間である請求項1〜3のいずれか1項に記載の筋肉評価装置。
- 所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から、所定範囲を取り出した時間である請求項1〜3のいずれか1項に記載の筋肉評価装置。
- 所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から、所定筋力が発揮された範囲を取り出した時間である請求項6に記載の筋肉評価装置。
- 所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から、最大筋力の20〜80%の筋力が発揮された範囲を取り出した時間である請求項7に記載の筋肉評価装置。
- 情報取得手段が、さらに年齢、性別、体重、身長、筋肉量、筋肉率、体脂肪量、体脂肪率、重心動揺、脈拍、呼吸、血圧、体温のいずれか1つ以上に関する情報を取得する手段である請求項1〜8のいずれか1項に記載の筋肉評価装置。
- 前記情報取得手段から得られた情報を加工する加工手段を備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の筋肉評価装置。
- 筋力に関する情報と所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報との関係である筋力-筋力発揮の所要時間関係が記憶されている記憶手段を備え、前記判定手段が、前記情報取得手段から得られた情報と、前記記憶手段に記憶されている筋力-筋力発揮の所要時間関係とに基づき、筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを判定する請求項1〜10のいずれか1項に記載の筋肉評価装置。
- 筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを補正する補正手段を備え、前記判定手段が、前記補正手段と協同し筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを判定する請求項1〜11のいずれか1項に記載の筋肉評価装置。
- 筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを表示する表示手段を備える請求項1〜12のいずれか1項に記載の筋肉評価装置。
- 筋力訓練手段を備える請求項1〜13のいずれか1項に記載の筋肉評価装置。
- 下肢筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを判定するためのものである請求項1〜14のいずれか1項に記載の筋肉評価装置。
- 本体部と、
前記本体部に設置される筋力訓練部と、
前記筋力訓練部に荷重をかけるときに発揮される筋力に関する情報とその筋力を発揮するのに要する時間に関する情報とを取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により得られる情報から筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを判定する判定手段と、
を備える筋肉評価装置。 - 筋力に関する情報と、
所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報と、
を指標とする筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法。 - 筋力に関する情報が、最大筋力又は最大筋力の所定割合に関する情報である請求項17に記載の筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法。
- 筋力に関する情報が、体重あたりの筋力及び/又は筋肉量あたりの筋力である請求項17に記載の筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法。
- 所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までの経過時間である請求項17〜19のいずれか1項に記載の筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法。
- 所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から、所定部分を取り出した時間である請求項17〜19のいずれか1項に記載の筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法。
- 所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から、所定範囲を取り出した時間である請求項17〜19のいずれか1項に記載の筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法。
- 所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から、所定筋力が発揮された範囲を取り出した時間である請求項22に記載の筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法。
- 所定筋力を発揮するのに要する時間に関する情報が、筋力発揮の開始時から筋力発揮の終了時までに要した時間から、最大筋力の20〜80%の筋力が発揮された範囲を取り出した時間である請求項23に記載の筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法。
- さらに年齢、性別、体重、身長、筋肉量、筋肉率、体脂肪量、体脂肪率、重心動揺、脈拍、呼吸、血圧、体温のいずれか1つ以上に関する情報を指標とする請求項17〜24のいずれか1項に記載の筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法。
- 下肢筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューを判定するための方法である請求項17〜25のいずれか1項に記載の筋肉の性能及び/又はトレーニングメニューの判定方法。
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