JP2020056638A - 検査方法および検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】TDIセンサからの階調値を高精度に補正可能な検査方法を提供する。【解決手段】本実施形態による検査方法は、撮像センサからの階調値と光量センサからの光量信号との関係を示す第1係数を用いて、階調値の所定範囲に対応する光量信号の第1範囲を算出し、光量信号が第1範囲に入るように第1校正を行い、第1校正後、第1検査対象の第1光学画像を取得し、第1光学画像の取得時において撮像センサからの階調値と光量センサからの光量信号とを用いて、階調値と光量信号との関係を示す第2係数を算出し、第2係数を用いて階調値の所定範囲に対応する光量信号の第2範囲を算出し、光量センサからの光量信号が第2範囲に入るように第2校正を行い、第2校正後、撮像センサで第1または第2検査対象を撮像して第2光学画像を取得し、第2光学画像を用いて第1または第2検査対象の検査を行う、ことを具備する。【選択図】図4

Description

本実施形態は、検査方法および検査装置に関する。
ウェハに転写すべきパターンを有するマスクの検査装置には、TDI(Time Delay Integration)センサが備えられている。TDIセンサは、照明光学系を通してマスクを照明したレーザ光を受光することでマスクに応じた階調値を出力する。
具体的には、TDIセンサは、互いに直交する2方向に並んだ複数の撮像素子を有する。TDIセンサは、1方向に並んだ撮像素子で構成されるラインの単位でマスクを撮像することで、階調値を撮像素子毎に出力する。より具体的には、TDIセンサは、ラインに直交する方向にマスクすなわちステージが移動するのにともなって、1ラインずつ順に、マスクを照明したレーザ光を受光し、受光されたレーザ光を電荷に変えて出力することで、階調値を出力する。各ラインでの階調値の出力において、TDIセンサは、1つのラインで出力された階調値を次のラインに電荷として蓄積させる。電荷を蓄積させることで、TDIセンサは、次のラインにおいて直前のラインの階調値を加算した階調値を出力する。このような階調値の蓄積と加算とを繰り返すことで、TDIセンサは、最終ラインにおいて、積算された高い階調値を出力できる。
階調値を出力した後、検査装置は、出力された階調値を有するマスクの撮像画像(以下、光学画像ともいう)に基づいてパターンの線幅すなわちCD(Critical Dimension)を測定する。そして、検査装置は、測定された線幅と設計上の線幅とを比較することでマスクの欠陥を検査する。
ところで、レーザ光の光量すなわち明るさが時間経過に応じて変動する場合、マスクを照明したレーザ光に基づく光学画像の階調値も変動する。階調値が変動することで、線幅を正確に測定することが困難となり、マスクの欠陥を正確に検査することも困難となる。そこで、レーザ光の光量変動にともなう階調値の変動を補正するため、フォトダイオードを用いてレーザ光の光量をキャリブレーションすることがある。
例えば、TDIセンサに照射される光をフォトダイオードで検出する。TDIセンサで出力される階調値は、フォトダイオードの出力の関数で表すことができる。従って、TDIセンサで出力される階調値が最適値となるように、フォトダイオードの出力に応じてレーザ光の光量を調節する。フォトダイオードの出力に対するTDIセンサで出力される階調値の係数は予め測定しておく。これにより、検査装置は、フォトダイオードの出力およびこの係数を用いて、TDIセンサで出力される階調値を最適値にするようにレーザ光の光量を調節することができる。
特開2017−072393号公報 特開2009−300426号公報 特開2015−022192号公報
通常、フォトダイオードの出力とTDIセンサで出力される階調値との係数は、TDIセンサを交換した際に測定され決定される。しかし、TDIセンサの感度は、安定するまでに或る程度の期間を必要とする。従って、係数が最適値からずれて、レーザ光の光量のキャリブレーションを行っても、TDIセンサから所望の階調値が出力されない場合がある。
また、係数の算出には、TDIセンサで実際に光学画像を撮像する必要がある。TDIセンサで光学画像を撮像するためには長時間かかるため、係数の算出のために頻繁に光学画像を取得することは現実的ではない。
そこで、本発明の目的は、TDIセンサから出力される階調値を高精度かつ短時間に補正することができる検査方法および検査装置を提供することである。
本実施形態による検査方法は、光源からの光で第1検査対象を照明する照明光学系と、第1検査対象を照明した光を受光する撮像センサと、撮像センサで受光される光の光量を検出する光量センサと、光源からの光の光量を調節する調節部と、調節部を制御する制御演算部とを備えた検査装置を用いており、
撮像センサから出力される階調値と光量センサから出力される光量信号との関係を示す第1係数を用いて、階調値の所定範囲に対応する光量信号の第1範囲を算出し、光量センサからの光量信号が第1範囲に入るように光源からの光の光量に対して第1校正を行い、第1校正後、撮像センサで第1検査対象を撮像して第1光学画像を取得し、第1光学画像の取得時において撮像センサから出力される階調値と光量センサから出力される光量信号とを用いて、該階調値と該光量信号との関係を示す第2係数を算出し、第2係数を用いて階調値の所定範囲に対応する光量信号の第2範囲を算出し、光量センサからの光量信号が第2範囲に入るように光源からの光の光量に対して第2校正を行い、第2校正後、撮像センサで第1検査対象または該第1検査対象に続く第2検査対象を撮像して第2光学画像を取得し、第2光学画像を用いて第1または第2検査対象の検査を行う、ことを具備する。
本実施形態による検査装置は、光源からの光で第1検査対象を照明する照明光学系と、第1検査対象を照明した光を受光する撮像センサと、撮像センサで受光される光の光量を検出する光量センサと、光源からの光の光量を調節する調節部と、撮像センサから出力される階調値と光量センサで検出された光量との関係を示す第1係数を算出し、該第1係数を用いて調節部に対して第1校正を行う制御演算部とを備え、
制御演算部は、第1校正後に撮像された第1検査対象の第1光学画像の階調値と光量センサから出力された光量信号とを用いて該階調値と該光量信号との関係を示す第2係数を算出し、第2係数を用いて調節部に対して第2校正を行い、第2校正後に撮像された第1検査対象または該第1検査対象に続く第2検査対象の第2光学画像を用いて第1または第2検査対象の検査を行う。
第1実施形態による検査装置の概略図。 第1実施形態の検査装置の第1TDIセンサを示す概略図。 検査装置の光学系およびキャリブレーション回路の構成例を示すブロック図。 TDIセンサから出力された積算階調値とフォトダイオードで検出されたレーザ光の光量との関係を示すグラフ。 TDIセンサの感度と時間との関係を示すグラフ。 第1実施形態による検査方法の一例を示すフロー図。 第1実施形態の変形例1による検査方法の一例を示すフロー図。 第2実施形態による検査方法の一例を示すフロー図。 第2実施形態の変形例2による検査方法の一例を示すフロー図。 第3実施形態による検査方法の一例を示すフロー図。
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による検査装置1の概略図である。検査装置1は、光源2と、撮像センサの一例である第1TDIセンサ5Aおよび第2TDIセンサ5Bとを備える。光源2は、第1検査対象としてのマスク3に向けてレーザ光を出射する。
第1TDIセンサ5Aおよび第2TDIセンサ5Bは、光源2の光で照明されたマスク3を撮像することで、マスク3に応じた階調値を出力する。
また、検査装置1は、光源2と第1TDIセンサ5Aとを結ぶ第1光路8上に、光の進行方向に向かって順に、減光フィルタ10と、1/2波長板12と、第1偏光ビームスプリッタ14と、第1ミラー16と、第1対物レンズ17と、ステージ18と、第2偏光ビームスプリッタ19と、第2対物レンズ20と、フォトダイオード27Aとを備える。ステージ18上には、マスク3が保持される。光源2とマスク3との間の第1光路8上の光学部材10、12、14、16、17は、マスク3を透過する光をマスク3に照射する透過照明光学系を構成する。なお、透過照明光学系の構成は、図1の構成に限定されない。
さらに、検査装置1は、光源2と第2TDIセンサ5Bとを結ぶ第2光路21上に、光の進行方向に向かって順に、減光フィルタ10と、1/2波長板12と、第1偏光ビームスプリッタ14と、第2ミラー23と、第2偏光ビームスプリッタ19と、ステージ18と、第3対物レンズ24と、フォトダイオード27Bとを備える。減光フィルタ10と、1/2波長板12と、第1偏光ビームスプリッタ14と、第2偏光ビームスプリッタ19とは、第1光路8と第2光路21との間で共通の光学部材である。光源2とマスク3との間の第2光路21上の光学部材10、12、14、23、19は、マスク3で反射される光をマスク3に照射する反射照明光学系を構成する。なお、反射照明光学系の構成は、図1の構成に限定されない。
検査装置1は、光量センサとしての第1フォトダイオード27Aおよび第2フォトダイオード27Bと、第1アンプ28Aおよび第2アンプ28Bと、バス29とを備える。第1フォトダイオード27Aは、第2対物レンズ20と第1TDIセンサ5Aとの間に配置され、第1TDIセンサ5Aに入射する光の一部を受ける。第1アンプ28Aは、第1フォトダイオード27Aの出力端とバス29との間に配置されている。第2フォトダイオード27Bは、第3対物レンズ24と第2TDIセンサ5Bとの間に配置され、第2TDIセンサ5Bに入射する光の一部を受ける。第2アンプ28Bは、第2フォトダイオード27Bの出力端とバス29との間に配置されている。
第1フォトダイオード27Aは、第1TDIセンサ5Aで受光される光の光量を電気信号として検出し、検出された電気信号(以下、光量信号あるいは光量ともいう)を第1アンプ28Aに出力する。第1アンプ28Aは、設定されたゲインにしたがって第1フォトダイオード27Aからの光量信号を増幅し、増幅した光量信号をバス29に出力する。第2フォトダイオード27Bは、第2TDIセンサ5Bで受光される光の光量を光量信号として検出し、検出された光量信号を第2アンプ28Bに出力する。第2アンプ28Bは、設定されたゲインにしたがって第2フォトダイオード27Bからの光量信号を増幅し、増幅した光量信号をバス29に出力する。後述するように、光量信号は、階調値の校正(キャリブレーション)に用いられる。
また、検査装置1は、オートローダ30と、X方向モータ31Aと、Y方向モータ31Bと、θ方向モータ31Cと、レーザ測長部32とを備える。オートローダ30は、ステージ18上にマスク3を自動搬送する。X方向モータ31A、Y方向モータ31Bおよびθ方向モータ31Cは、それぞれ、ステージ18をX方向、Y方向およびθ方向に駆動することで、ステージ18上のマスク3に対して光源2の光を走査させる。レーザ測長部32は、ステージ18のX方向およびY方向の位置を検出する。
検査装置1は、バス29に接続された各種の回路をさらに備える。具体的には、検査装置1は、センサ回路34と、オートローダ制御回路35と、ステージ制御回路36と、位置回路38と、展開回路40と、参照回路41と、比較回路42と、マップ作成回路43とを備える。
制御演算部の一部としてキャリブレーション回路33は、TDIセンサ5A、5Bから出力される階調値を所定範囲内に入れるように、調節部としての減光フィルタ10および1/2波長板12を制御する。このとき、キャリブレーション回路33は、TDIセンサ5A、5Bで受光されるレーザ光の光量をフォトダイオード27A、27Bで測定し、フォトダイオード27A、27Bからの光量信号に基づいて減光フィルタ10および1/2波長板12を制御する。減光フィルタ10および1/2波長板12は、光源2からのレーザ光の光量を調節し、減衰または増大させることができる。図4を参照して説明するように、TDIセンサ5A、5Bから出力される階調値は、フォトダイオード27A、27Bで検出される光量とほぼ比例関係にあり、或る比例係数を用いた関数として表される。従って、キャリブレーション回路33は、フォトダイオード27A、27Bからの光量信号に基づいて減光フィルタ10を制御することによって、TDIセンサ5A、5Bから出力される階調値を校正することができる。
オートローダ制御回路35は、オートローダ30を制御する。ステージ制御回路36は、モータ31A〜31Cを駆動制御する。位置回路38は、レーザ測長部32と協働してステージ18の位置を検出する。展開回路40および参照回路41は、光学画像に対する比較基準となる参照画像を生成する。比較回路42は、光学画像のパターンの線幅と参照画像のパターンの線幅とを比較してパターンの欠陥を検出する。マップ作成回路43は、比較回路42で得られた線幅に基づいて線幅誤差マップ(CDマップ)を作成する。
検査装置1は、制御計算機45と、記憶装置46と、表示装置47とをさらに備える。制御計算機45、記憶装置46および表示装置47は、いずれもバス29に接続されている。制御演算部としての制御計算機45は、パターンの欠陥検査に関連する各種の制御を実行する。記憶装置46には、比較回路42が検出した欠陥のデータが記憶される。また、記憶装置46には、TDIセンサ5A、5Bから出力される階調値とフォトダイオード27A、27Bから出力される光量信号との関係を示す係数が記憶されている。この係数は、上記キャリブレーション回路33による校正に用いられる。表示装置47は、記憶装置46に記憶された欠陥のデータを画像表示する。尚、キャリブレーション回路33および制御計算機45は、制御演算部として機能し、例えば、1つまたは複数のCPU等で構成してもよい。
(TDIセンサ5A、5B)
TDIセンサ5A、5Bについて更に詳述する。図2は、本実施形態の検査装置の第1TDIセンサ5Aを示す概略図である。なお、図示はしないが、第2TDIセンサ5Bも、第1TDIセンサ5Aと同じ構成を有する。図2に示すように、第1TDIセンサ5Aは、第2方向の一例であるX方向と、第1方向の一例であるY方向とに並んだ複数の撮像素子51すなわちCCD(Charge Coupled Device)を有する。撮像素子51は、マスク3を照明した光を受光して電荷に変換することでマスク3を撮像する。
Y方向に並んだ複数の撮像素子51はラインLを構成する。1ラインずつ順に階調値の出力と出力された階調値の直後のラインへの蓄積とを繰り返すTDIモードでの撮像において、同じラインLに属する撮像素子51は、同時に階調値を出力する。ラインLの総数は、X方向への撮像素子51の配列総数(画素数)と同じあってもよく、または、X方向への撮像素子51の配列総数より少なくてもよい。ラインLの総数は、例えば、1024であってもよい。
TDIモードでの撮像において、第1TDIセンサ5Aは、例えば、+X方向へのステージ18の移動にともなって、ステージ18上のマスク3に対して−X方向に相対移動する。マスク3に対して−X方向に相対移動しながら、第1TDIセンサ5Aは、1ラインLずつ順に、マスク3に応じた撮像素子51毎の階調値を電荷として出力する。各ラインLでの階調値の出力において、第1TDIセンサ5Aは、出力された電荷を直後のラインLに蓄積すなわち転送する。これにより、各ラインLでの階調値の出力において、第1TDIセンサ5Aは、現在のラインLで出力された階調値に、直前のラインLで出力された階調値を加算した階調値を出力する。このような階調値の蓄積と加算を繰り返すことで、第1TDIセンサ5Aは、最終ラインにおいて、各ラインLの階調値を撮像素子51毎に積算すなわち積分した撮像素子51毎の積算値を出力する。第2TDIセンサ5Bも、第1TDIセンサ5Aと同様の構成を有する。なお、センサ回路34は、階調値の出力処理の一部を実行してもよい。以下、TDIセンサ5A、5Bから出力される階調値の積算値を、積算階調値と呼ぶ。TDIセンサ5A、5Bで出力された積算階調値は、比較回路42においてパターンの欠陥の検出に用いられる。
(フォトダイオード27A、27B)
図3は、検査装置1の光学系およびキャリブレーション回路33の構成例を示すブロック図である。図3を参照して、フォトダイオード27A、27Bについて更に詳述する。既述したように、TDIセンサ5A、5Bは、光源2から出射されてマスク3を照明した光に基づいて、積算階調値を出力する。光源2から出射される光の光量が時間経過に応じて変動した場合、TDIセンサ5A、5Bで出力される積算階調値は、光量変動の影響を受ける。このような光量変動の影響を受けた積算階調値をパターンの欠陥の検査に用いると、比較回路42は、欠陥を正確に検査できないおそれがある。そこで、欠陥を正確に検査するために、光量を監視して、光量に応じて積算階調値を校正することが望ましい。
そこで、マスク3の検査において、最適な積算階調値の光学画像が得られるように、マスク3の検査前に、キャリブレーション回路33がTDIセンサ5A、5Bに照射されるレーザ光の光量を調整して積算階調値を校正している。即ち、キャリブレーション回路33は、TDIセンサ5A、5Bから出力される積算階調値が所望範囲に入るように、レーザ光の光量を調節する。このとき、TDIセンサ5A、5Bの直前に配置されたフォトダイオード27A、27Bがレーザ光の光量を検出する。そして、キャリブレーション回路33は、フォトダイオード27A、27Bからの光量信号に基づいて積算階調値の校正(以下、キャリブレーションとも言う)を実行する。
もし、TDIセンサ5A、5Bからの積算階調値に基づいてレーザ光の光量を調節しようとすると、積算階調値を得るために光学画像の取得が必要になる。光学画像の取得には、光量の取得に比べて長い時間がかかる。このため、積算階調値に基づいてレーザ光の光量を調節しようとすると、キャリブレーションに長い時間がかかってしまう。これに対し、フォトダイオード27A、27Bを用いてレーザ光の光量を検出することは比較的短時間で済む。従って、本実施形態では、フォトダイオード27A、27Bで検出されたレーザ光の光量に基づいて積算階調値を校正する。
また、TDIセンサ5A、5Bから出力される積算階調値は、フォトダイオード27A、27Bで検出される光量(光量信号)とほぼ比例関係にある。その比例係数を予め測定し、記憶装置46に記憶しておけば、キャリブレーション回路33は、フォトダイオード27A、27Bからの光量信号を用いて、TDIセンサ5A、5Bから出力される積算階調値を容易に校正することができる。フォトダイオード27A、27Bを用いた積算階調値のキャリブレーションは、短時間で完了するので、例えば、マスク3の検査ごとに、その検査実行前に行われる。
図4は、TDIセンサ5Aから出力された積算階調値とフォトダイオード27Aで検出されたレーザ光の光量との関係を示すグラフである。このグラフに示すように、TDIセンサ5Aから出力された積算階調値は、フォトダイオード27Aで検出されたレーザ光の光量と比例関係にある。この比例関係の係数は、TDIセンサ5A、5Bからの積算階調値Qtdiに対するフォトダイオード27A、27Bからの光量信号Qpdの比率(Qpd/Qtdi)である。この係数は、例えば、TDIセンサ5Aの交換時等に測定し、記憶装置46に予め格納しておけばよい。
TDIセンサ5Bから出力された積算階調値も、フォトダイオード27Bで検出されたレーザ光の光量とほぼ比例関係にある。ただし、TDIセンサやフォトダイオードの個体差により、TDIセンサ5Aからの積算階調値とフォトダイオード27Aからの光量信号との比例係数は、TDIセンサ5Aからの積算階調値とフォトダイオード27Aからの光量信号との比例係数とは異なる場合がある。これらの比例係数は、それぞれ記憶装置46に格納される。従って、積算階調値のキャリブレーションは、TDIセンサ5A、5Bのそれぞれについて実行される。
マスク3の検査前に、キャリブレーション回路33は、フォトダイオード27A、27Bからの光量信号およびそれぞれに対応する比例係数を用いて、TDIセンサ5A、5Bの積算階調値を所定範囲内にするように、減光フィルタ10および1/2波長板12を調節する。これにより、光源2からのレーザ光の光量が調節され、TDIセンサ5A、5Bからの積算階調値が所定範囲内に設定される。このように積算階調値のキャリブレーションの実行後、マスク3の光学画像が取得され、その光学画像を用いてマスク3の欠陥検査が実行される。
ところで、TDIセンサ5A、5Bの感度は、安定するまでに時間がかかる。例えば、図5(A)および図5(B)は、TDIセンサ5A、5Bの感度と時間との関係を示すグラフである。時間0は、TDIセンサ5A、5Bの交換時点である。これらのグラフを参照すると、TDIセンサ5A、5Bの感度は、時間の経過とともに上昇し、その後安定することが分かる。TDIセンサ5Aの感度は、時間taまで上昇しており、時間taの後において安定している。TDIセンサ5Bの感度は、時間tbまで上昇しており、時間tbの後において安定している。時間ta、tbは、TDIセンサ5A、5Bの個体差や使用頻度等によって異なるが、数10日〜数100日である。
このように、TDIセンサ5A、5Bの感度は、安定するまでに時間がかかる。従って、TDIセンサ5A、5Bの交換時に、TDIセンサ5A、5Bからの積算階調値とフォトダイオード27A、27Bからの光量信号との比例係数を算出しても、時間の経過とともに、その比例係数が適切でなくなる場合がある。このような不適切な比例係数を用いて積算階調値を校正しようとしても、TDIセンサ5A、5Bの積算階調値は、所定範囲内に入らないということが起きる。即ち、積算階調値のキャリブレーションを行っても、所望の積算階調値が得られないおそれがある。
一方、比例係数は、TDIセンサ5A、5Bから出力される積算階調値およびフォトダイオード27A、27Bで検出される光量を測定し、その積算階調値および光量信号を用いて算出される。このとき、検査モード(撮像倍率)またはTDIセンサのゲイン等のパラメータを変更しながら、TDIセンサ5A、5Bによる光学画像を複数回取得する必要がある。従って、比例係数の設定には、比較的長時間(例えば、2時間以上)かかる。このような長時間のかかる比例係数の設定を頻繁に行うことは、検査前の準備時間(メンテナンス時間)の長期化に繋がるため好ましくない。
つまり、正確な比例係数でキャリブレーションを実行するために、上記のように比例係数の設定を頻繁に実行することは好ましくない。これに対し、本実施形態による検査装置1では、以下のように比例係数を求め、その比例係数でキャリブレーションを行う。
図6は、第1実施形態による検査方法の一例を示すフロー図である。例えば、TDIセンサ5A、5Bの交換当初において、制御計算機45は、TDIセンサ5A、5Bからの積算階調値とフォトダイオード27A、27Bからの光量信号とから第1係数を算出する(S10)。第1係数は、TDIセンサ5A、5Bからの積算階調値とフォトダイオード27A、27Bからの光量信号との関係を示す比例係数である。第1係数は、例えば、TDIセンサ5A、5Bの交換時に、TDIセンサ5A、5Bのそれぞれについて測定される。TDIセンサ5A、5Bのそれぞれの第1係数は、記憶装置46に格納される。
次に、TDIセンサ5A、5Bの積算階調値の所定範囲を設定する(S20)。積算階調値の所定範囲は、マスク3の欠陥検査に最適な光学画像を得られるように手動または自動で設定される。TDIセンサ5A、5Bの積算階調値の所定範囲は、それぞれ個別に設定されてもよい。
次に、制御計算機45は、TDIセンサ5A、5Bのそれぞれに対応する第1係数を用いて、TDIセンサ5A、5Bの積算階調値の所定範囲を、フォトダイオード27A、27Bの光量信号の範囲に換算する(S30)。これにより、TDIセンサ5A、5Bの積算階調値の所定範囲に対応するフォトダイオード27A、27Bの光量信号の範囲(以下、第1範囲ともいう)が算出される。第1範囲も、フォトダイオード27A、27Bのそれぞれについて算出される。
次に、TDIセンサ5A、5Bで受光されるレーザ光の光量をフォトダイオード27A、27Bで検出する(S40)。
次に、制御計算機45は、レーザ光の光量がステップS30で算出された第1範囲に含まれるか否かを判定する(S50)。レーザ光の光量が第1範囲に含まれていない場合(S50のNO)、キャリブレーション回路33は、減光フィルタ10および1/2波長板12を制御してレーザ光の光量を調節する(S60)。例えば、光量信号が第1範囲の下限を下回っている場合、キャリブレーション回路33は、レーザ光の光量を増大させるように減光フィルタ10を制御する。逆に、光量信号が第1範囲の上限を超えている場合、キャリブレーション回路33は、レーザ光の光量を低減させるように減光フィルタ10および1/2波長板12をフィードバック制御する。キャリブレーション回路33は、ステップS40〜S60を繰り返すことにより、光量信号が第1範囲に入るように減光フィルタ10および1/2波長板12を調節する。フォトダイオード27A、27Bでレーザ光の光量を測定する時間は比較的短時間である。従って、ステップS40〜S60で示すフィードバック制御は比較的短時間で終了する。
一方、レーザ光の光量が第1範囲に含まれると(S50のYES)、制御計算機45は、TDIセンサ5A、5Bの積算階調値が所定範囲に入っていると判断する(S70)。このように、キャリブレーション回路33は、フォトダイオード27A、27Bからの光量信号および第1係数を用いて、TDIセンサ5A、5Bの積算階調値を所定範囲内にするようにレーザ光の光量を調節する。以下、第1係数を用いた積算階調値のキャリブレーションを“第1校正”と呼ぶ。
第1校正後、TDIセンサ5A、5Bがマスク3の光学画像(第1光学画像)を撮像する(S80)。このとき、照明光学系が減光フィルタ10および1/2波長板12を介して光源2からのレーザ光をマスク3(第1検査対象)に照射して、TDIセンサ5A、5Bがマスク3のパターンを撮像する。これにより、センサ回路34は、マスク3のパターンの光学画像を取得することができる。
ここで、図5(A)および図5(B)を参照して説明したように、TDIセンサ5A、5Bの感度は、安定するまでに時間がかかる。従って、第1校正は、第1係数を設定した直後(例えば、TDIセンサ5A、5Bの交換直後)であれば有効であり、TDIセンサ5A、5Bからの積算階調値は、所定範囲に充分に含まれると考えられる。従って、第1係数を設定した直後であれば、所望の積算階調値を有する良好な光学画像が得られる。しかし、第1係数を設定してから或る程度時間が経過している場合、TDIセンサ5A、5Bの感度が次第に変化し、第1係数を用いてキャリブレーションしても、TDIセンサ5A、5Bからの積算階調値は、所定範囲から外れるおそれがある。即ち、TDIセンサ5A、5Bの感度の経時的な変化によって、第1係数は、TDIセンサ5A、5Bからの積算階調値とフォトダイオード27A、27Bからの光量との関係を正確に表すことができないおそれがある。
そこで、本実施形態による検査装置1は、以下のように第1係数を更新する。ステップS80において、TDIセンサ5A、5Bは、第1光学画像を撮像しているので、このとき積算階調値が取得されていることになる。従って、制御計算機45は、第1校正後の(ステップS50でYESとなったときの)フォトダイオード27A、27Bからの光量信号とステップS80で取得されたTDIセンサ5A、5Bからの積算階調値とを用いて、第2係数を算出する(S90)。第2係数は、第1係数と同様に、TDIセンサ5A、5Bから出力される積算階調値とフォトダイオード27A、27Bで検出された光量との関係を示す比例係数である。ただし、第2係数は、ステップS80において最近撮像された光学画像の積算階調値を用いて算出されているので、TDIセンサ5A、5Bの感度の変化を考慮した係数となっている。
次に、制御計算機45は、第1係数と第2係数との差に基づいて第1係数を第2係数で更新するか否かを判断する(S100)。例えば、制御計算機45は、第1係数と第2係数との差そのものを第1閾値と比較してもよい。制御計算機45は、第1係数をAとし、第2係数をBとした場合に|B−A|/Aを演算し、この演算結果を第1閾値と比較してもよい。さらに、制御計算機45は、第1係数および第2係数の差に基づいた他の演算値を第1閾値と比較してもよい。第1閾値は、比較対象に応じて予め設定し記憶装置46に記憶しておけばよい。
第1係数と第2係数との差を用いた演算値が第1閾値未満である場合(S100のYES)、第1係数と第2係数との差は充分に小さい。これは、TDIセンサ5A、5Bの感度が左程変化していないことを意味する。従って、制御計算機45は、第1係数を更新せず、第2校正を行わない。この場合、制御計算機45は、第1校正後に得られた第1光学画像であっても、マスク3の欠陥検査を正確に行うことができると判断する。従って、積算階調値のキャリブレーションは終了し、検査装置1は、第1光学画像を用いてマスク3のパターンの欠陥検査を行う(S110)。欠陥検査は、位置回路38、展開回路40、参照回路41、比較回路42およびマップ作成回路43において実行される。
一方、第1係数と第2係数との差を用いた演算値が第1閾値以上である場合(S100のNO)、第1係数と第2係数との差は比較的大きい。これは、TDIセンサ5A、5Bの感度が比較的大きく変化していることを意味する。従って、制御計算機45は、第1係数を第2係数で更新する(S120)。この場合、制御計算機45は、第1光学画像では充分な積算階調値が得られず、マスク3の欠陥検査を正確に行うことができないと判断する。従って、制御計算機45は、第1係数を第2係数で更新して、キャリブレーションを再度実行する。
第1係数を第2係数で更新した後、第2係数(更新後の第1係数)を用いてステップS30〜S90を再度実行する。即ち、制御計算機45は、フォトダイオード27A、27Bからの光量および第2係数(更新後の第1係数)を用いて、TDIセンサ5A、5Bの積算階調値を所定範囲内にするように、光源2からのレーザ光の光量を調節し、積算階調値のキャリブレーション(第2校正)を行う。このとき、ステップS30では、制御計算機45は、第2係数を用いて、TDIセンサ5A、5Bの積算階調値の所定範囲を、フォトダイオード27A、27Bの光量信号の範囲(第2範囲)に換算する。次に、キャリブレーション回路33は、レーザ光の光量が第2範囲に入るように減光フィルタ10および1/2波長板12を調節する。第2係数を用いた積算階調値のキャリブレーションを“第2校正”と呼ぶ。
第2校正を行った後に、ステップS80において、TDIセンサ5A、5Bがマスク3の光学画像(第2光学画像)を撮像する。
第2校正において、第1係数はTDIセンサ5A、5Bの感度を考慮した第2係数で更新されているので、ステップS90において、第2光学画像の撮像時に得られる次の係数は、第2係数(更新後の第1係数)とほぼ等しくなっている。従って、制御計算機45は、ステップS100においてYESと判断されるはずである。あるいは、第1係数が第2係数で更新された場合、制御計算機45は、2回目のステップS90の実行を省略してもよい。従って、ステップS110において、検査装置1は、第2光学画像を用いてマスク3のパターンの欠陥検査を行う。
マスク3の撮像の終了後、オートローダ30は、ステージ18上のマスク3を他のマスクに変更する(S130のYES)。検査装置1は、この他のマスクについて、ステップS20〜S130を実行する。オートローダ30内の全てのマスクの撮像および検査が終了した場合(S130のNO)、マスクの検査は終了する。
このように、本実施形態による検査装置1は、第1係数で第1校正を行った後、第1光学画像を撮像したときに得られるTDIセンサ5A、5Bの積算階調値とフォトダイオード27A、27Bからの光量信号とを用いて第2係数を算出する。第1係数が第2係数から大きく乖離している場合、検査装置1は、第2係数で再度キャリブレーション(第2校正)を行い、マスク3の第2光学画像を取得する。そして、検査装置1は、第2光学画像を用いてマスク3の欠陥検査を行う。これにより、キャリブレーション回路33は、TDIセンサ5A、5Bの感度が経時的に変化しても、リアルタイムで係数を更新し、適切な係数を用いてレーザ光の光量を調節することができる。その結果、検査装置1は、TDIセンサ5A、5Bからの積算階調値をマスク3の撮像時に高精度に補正することができ、マスク3の欠陥検査を正確に行うことができる。
また、ステップS100において第1係数を第2係数で更新する場合には、TDIセンサ5A、5Bは、第2光学画像を取得するためにマスク3を再度撮像し直すことになる。しかし、第1係数を更新しない場合には、第2光学画像の取得は不要であり、第1光学画像は、マスク3の欠陥検査にそのまま用いられ得る。従って、第1係数の更新に伴う時間的な長期化は場合によって避けられないものの、その追加時間は最小限に抑制され得る。
(変形例1)
図7は、第1実施形態の変形例1による検査方法の一例を示すフロー図である。
第1実施形態では、ステップS120において、制御計算機45は、第1係数を第2係数で更新している。従って、記憶装置46において、第1係数は第2係数へ書き換えられ、第1係数が残らない。これに対し、変形例1では、制御計算機45は、第1係数を基準係数として補正係数で補正して第2係数を算出する。この場合 、記憶装置46には、基準係数としての第1係数および補正係数が格納され、補正係数が書き換えられる。尚、本変形例1による検査装置1の構成は第1実施形態の構成と同様でよい。
例えば、ステップS10〜S90の実行後、制御計算機45は、第1係数に対する第2係数の比率を補正係数Rとして演算する。第1係数を(Qpd/Qtdi)とし、第2係数を(Qpd/Qtdi)とした場合、制御計算機45は、補正係数R=(Qpd/Qtdi)/(Qpd/Qtdi)を演算する(S91)。記憶装置46は、基準係数としての第1係数(Qpd/Qtdi)および補正係数Rを格納すればよい。尚、Qpdは、フォトダイオード27A、27Bからの光量信号の或る幅であり、Qtdiは、Qpdに対応するTDIセンサ5A、5Bからの積算階調値の幅である。
次に、制御計算機45は、補正係数に基づいて第1係数を補正係数で補正するか否かを判断する(S101)。例えば、補正係数Rが1±αの範囲内である場合(S101のYES)、第1係数と第2係数との差は充分に小さいので、制御計算機45は、第1係数を補正せず、第2校正を行わない。αは、予め設定された任意の数値である。この場合、キャリブレーションは終了し、検査装置1は、第1光学画像を用いてマスク3のパターンの欠陥検査を行う(S110)。
一方、補正係数Rが1±αの範囲外である場合(S101のNO)、第1係数と第2係数との差は比較的大きいので、制御計算機45は、第1係数を補正係数で補正して第2係数を算出する(S121)。より詳細には、制御計算機45は、第1係数に補正係数を掛け算して第2係数を算出する。制御計算機45は、第2係数を用いてキャリブレーションを再度実行する。即ち、第2係数を用いてステップS30〜S90を再度実行し、第2校正を行う。第2校正を行った後に、ステップS80において、TDIセンサ5A、5Bがマスク3の光学画像(第2光学画像)を撮像する。ステップS110において、検査装置1は、第2光学画像を用いてマスク3のパターンの欠陥検査を行う。
本変形例1のその他の動作は、第1実施形態の動作と同様でよい。従って、本変形例1は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本変形例1では、第1係数を補正係数で補正して第2係数を算出している。記憶装置46に格納されている第1係数は変更せずに、補正係数をTDIセンサ5A、5Bで光学画像を撮像するごとに変更する。従って、制御計算機45は、第1係数に補正係数を掛け算すれば第2係数を算出することができる。この場合、第1係数は基準係数としてそのまま記憶装置46に格納されており、補正係数が更新される。これにより、例えば、TDIセンサ5A、5Bの交換当初の第1係数を容易に知ることができる。
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態による検査方法の一例を示すフロー図である。
第1実施形態では、ステップS100において第1係数を第2係数で更新する場合、検査装置1は、第1係数を第2係数に更新してからマスク3を再度撮像し直している。この場合、TDIセンサ5A、5Bは、同一マスク3を2回撮像することになる。従って、第1係数の更新に伴う時間的な長期化は避けられない。
これに対し、第2実施形態では、第1光学画像は、第2係数を算出するために用いられるとともに、第1検査対象としてのマスク3の欠陥検査にも用いられる。このとき算出された第2係数は、マスク3の次のマスク(第2検査対象)を撮像する際にキャリブレーションに用いられる。これにより、第1光学画像は、そのままマスク3の欠陥検査のために用いられ、第2光学画像は、マスク3の次のマスクの欠陥検査のために用いられる。即ち、第2実施形態では、検査装置1は、同一マスク3を再度撮像し直すことはしない。第2係数は、次のマスクの撮像時に反映される。これにより、検査前のメンテナンス時間の無駄が省略される。
例えば、ステップS10〜S90の実行後、検査装置1は、ステップS100の判定を行うこと無く、そのまま第1光学画像を用いてマスク3の欠陥検査を実行する。
次に、オートローダ30に検査すべき他のマスクがある場合(S130のYES)、第1係数を第2係数で更新する(S140)。それとともに、オートローダ30は、ステージ18上のマスク3を次のマスク(以下、第2マスク)に変更する。次に、検査装置1は、この第2マスクについて、ステップS20〜S120を実行する。このとき、キャリブレーション回路33は、第2係数を用いてキャリブレーション(第2校正)を行う。第2校正後、TDIセンサ5A、5Bは、第2マスクの光学画像(第2光学画像)を取得する。第2光学画像は、第2マスクの欠陥検査に用いられる。一方、全てのマスクの撮像が終了した場合(S130のNO)、係数の更新は不要であるので、制御計算機45は、係数の更新をせずに終了する。
第2光学画像の取得時に、制御計算機45は、第3係数をさらに算出してもよい。第3係数は、第2光学画像の取得時に得られたTDIセンサ5A、5Bからの積算階調値と第2光学画像の取得時に得られたフォトダイオード27A、27Bからの光量との関係を示す係数(比例係数)である。第3係数は、第2マスクの次のマスクの光学画像を取得する際に、キャリブレーションに用いればよい。
このように、或るマスクの光学画像は、該マスクの欠陥検査に用いられるとともに、次のマスクの撮像時におけるキャリブレーションの係数を算出するために用いられる。これにより、係数は、マスクごとに更新される。従って、TDIセンサ5A、5Bの感度が次第に変化しても、それに追従するように、係数もマスクの検査ごとに更新することができる。また、TDIセンサ5A、5Bの感度は、急激に変化せずに、緩やかに変化するものである。従って、或るマスクの撮像時に算出された係数は、次のマスクの撮像時に用いても、積算階調値を有効にキャリブレーションすることができると考えられる。
(変形例2)
図9は、第2実施形態の変形例2による検査方法の一例を示すフロー図である。第2実施形態によれば、検査装置1は、ステップS100の判定を行うことなく、次のマスクの撮像時に係数を更新している。
これに対し、変形例2において、制御計算機45は、第1係数を第2係数に更新するか否かを判定している。例えば、第2実施形態のステップS10〜S130の実行後、制御計算機45は、第1係数と第2係数との差を用いた演算値が第1閾値未満であるか否かを判断する(S135)。演算値が第1閾値未満である場合(S135のYES)、第1係数と第2係数との差は充分に小さいので、制御計算機45は、第1係数を更新せず、次のマスクの撮像時においても同一の第1係数を用いてレーザ光の光量を校正する。
一方、第1係数と第2係数との差を用いた演算値が第1閾値以上である場合(S135のNO)、第1係数と第2係数との差は比較的大きいので、制御計算機45は、第1係数を第2係数で更新する(S140)。この場合、制御計算機45は、第1係数を第2係数で更新して、次のマスクの撮像時において更新後の第1係数(第2係数)を用いてレーザ光の光量を校正する。
このように、第1係数を更新するか否かを判定しても、第2実施形態の効果は失われない。尚、ステップS140では、変形例1のステップS121のように、第1係数を補正係数で補正して第2係数を算出するようにしてもよい。
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態による検査方法の一例を示すフロー図である。第3実施形態は、第1実施形態と第2実施形態との組み合わせた実施形態である。
例えば、図6のステップS100において、第1係数と第2係数との差を用いた演算値が第1閾値未満である場合(S100のYES)、制御計算機45は、第1光学画像を用いてマスク3を検査する(S110)とともに、第2実施形態を実行する。即ち、第1係数は、第2係数で更新され(S140)、更新後の第1係数(第2係数)は、マスク3の次のマスク(第2検査対象)の撮像時のキャリブレーションに用いられる。さらに、ステップS20〜S110を実行することによって、次のマスクの光学画像(第2光学画像)が得られる。検査装置1は、この第2光学画像を用いて、この次のマスクの欠陥検査を行う。
一方、第1係数と第2係数との差を用いた演算値が第1閾値以上である場合(S100のNO)、制御計算機45は、第1実施形態を実行する。即ち、検査装置1は、第1係数を第2係数に更新し(S120)、マスク3を再度撮像し直し、マスク3の光学画像を得る(S20〜S90)。その後、検査装置1は、マスク3の光学画像(第2光学画像)を用いて、この次のマスクの欠陥検査を行う(S100、S110)。尚、この場合、ステップS120において、第1係数は既に第2係数で更新されている。従って、図10のステップS130において、他のマスクがある場合(S130のYES)、破線で示すようにマスクを変更して、ステップS20へ戻る。
このように、第1係数が第2係数とあまり乖離していない場合には、検査装置1は、マスク3の光学画像を再度撮像し直すことなく、第1光学画像をそのままマスク3の欠陥検査のために用いる。尚且つ、第2係数は、次のマスクの撮像時におけるキャリブレーションで用いられ、第2光学画像はマスク3の次のマスクの欠陥検査のために撮像される。これにより、検査前のメンテナンス時間が短縮される。
一方、第1係数が第2係数から大きく乖離している場合には、検査装置1は、第1係数を第2係数に更新した上で、マスク3の光学画像を再度撮像し直す。即ち、第2係数は、マスク3の撮像時における2回目のキャリブレーションで用いられ、第2光学画像はマスク3の欠陥検査のために再度撮像された光学画像となる。これにより、マスク3の欠陥検査に適した積算階調値を有する光学画像が得られる。
このように、第1および第2実施形態は、組み合わせてもよい。これにより、第3実施形態は、第1および第2実施形態の効果を得ることができる。また、第3実施形態には、変形例1または変形例2を組み合わせてもよい。
本実施形態による検査方法の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、検査方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。また、検査方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 検査装置、2 光源、3 マスク、5A,5B TDIセンサ、10 減光フィルタ、12 1/2波長板、14,19 偏光ビームスプリッタ、16,23 ミラー、17,24 対物レンズ、18 ステージ、19 第2偏光ビームスプリッタ、20 第2対物レンズ、27A,27B フォトダイオード、28A,28B アンプ、33 キャリブレーション回路、45 制御計算機、46 記憶装置、47 表示装置

Claims (5)

  1. 光源からの光で第1検査対象を照明する照明光学系と、前記第1検査対象を照明した光を受光する撮像センサと、前記撮像センサで受光される光の光量を検出する光量センサと、前記光源からの光の光量を調節する調節部と、前記調節部を制御する制御演算部とを備えた検査装置を用いた検査方法であって、
    前記撮像センサから出力される階調値と前記光量センサから出力される光量信号との関係を示す第1係数を用いて、前記階調値の所定範囲に対応する前記光量信号の第1範囲を算出し、
    前記光量センサからの光量信号が前記第1範囲に入るように前記光源からの光の光量に対して第1校正を行い、
    前記第1校正後、前記撮像センサで前記第1検査対象を撮像して第1光学画像を取得し、
    前記第1光学画像の取得時において前記撮像センサから出力される階調値と前記光量センサから出力される光量信号とを用いて、該階調値と該光量信号との関係を示す第2係数を算出し、
    前記第2係数を用いて前記階調値の所定範囲に対応する前記光量信号の第2範囲を算出し、
    前記光量センサからの光量信号が前記第2範囲に入るように前記光源からの光の光量に対して第2校正を行い、
    前記第2校正後、前記撮像センサで前記第1検査対象または該第1検査対象に続く第2検査対象を撮像して第2光学画像を取得し、
    前記第2光学画像を用いて前記第1または第2検査対象の検査を行う、ことを具備する検査方法。
  2. 前記第2係数の算出後、前記第1係数と前記第2係数との差に基づいて前記第1係数を前記第2係数に更新するか否かを判断することをさらに具備し、
    前記第1係数を前記第2係数で更新する場合、前記第2校正を行った後に、前記第2光学画像を用いて前記第1または第2検査対象の検査を行い、
    前記第1係数を更新しない場合、前記第2校正を行うことなく、前記第1光学画像を用いて前記第1または第2検査対象の検査を行う、請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記第1および第2係数は、前記撮像センサからの階調値に対する前記光量センサからの光量信号の比率である、請求項1または請求項2に記載の検査方法。
  4. 前記第1係数と前記第2係数との差を用いた演算値が第1閾値以上である場合、前記第1係数を前記第2係数で更新し、
    前記第1係数と前記第2係数との差を用いた演算値が第1閾値未満である場合、前記第1係数を更新しない、請求項2または請求項3に記載の検査方法。
  5. 前記検査装置は、前記第1係数と前記第2係数とを用いて算出された補正係数と前記第1係数とを格納する記憶部をさらに備え、
    前記制御演算部は、前記第1係数および前記補正係数を用いて前記第1係数を補正して前記第2係数を算出する、請求項1に記載の検査方法。
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