JP2020056626A - 肝疾患の検査方法、その検査キット及びコンパニオン診断薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】L−FABPのみの定量結果に基づき肝疾患早期の患者から末期肝硬変患者までを一貫して検査し得る肝疾患検査方法、その検査キット及びコンパニオン診断薬を提供すること。【解決手段】被験者から採取した血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を含む肝疾患の検査方法であって、前記定量の結果に基づき、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つを判定する検査方法。【選択図】図2

Description

本発明は、肝型脂肪酸結合タンパク質のみの測定値に基づき肝疾患早期の患者から末期肝硬変患者までを一貫して検査し得、従来の検査に用いられる血清アルブミンと比較しても検査能が高い肝疾患の検査方法、その検査キット及びコンパニオン診断薬に関する。
慢性肝疾患は慢性肝炎、肝硬変と幅広い病態を呈し、進行した肝硬変では肝腎症候群、特発性細菌性腹膜炎といった合併症をも併発し得る。また、慢性肝疾患には高率に肝細胞癌が発症し得ることも周知である。肝硬変患者の重症度分類、肝予備能ないし予後予測の指標としては、世界的にChild−Pugh分類が頻用されている。
血清アルブミンは肝臓において合成される蛋白であり、血清中タンパク質の約50〜70%ほどを占める。肝硬変患者における有意な予後予測因子であることが複数の臨床研究から示され、上記Child−Pugh分類などのスコアリングシステムにおける検査項目に含まれる。
肝機能及び肝癌を含めたスコアリングシステムとしてはBarcelona Clinic Liver Cancer(BCLC)病期分類が存在するが、血清アルブミンをその検査項目に含むChild−Pugh分類が含まれる。
肝臓における原発性肝癌のうち90%以上を占める肝細胞癌の検査にはα−フェトプロテイン(AFP)及びPIVKA−IIが腫瘍マーカーとして用いられる。AFP−L3分画はAFPよりも肝細胞癌に対する特異性が高いことが知られている。
肝型脂肪酸結合タンパク質(L−type Fatty Acid Binding Protein;以下、単に「L−FABP」ともいう。)は肝臓や、腎臓の近位尿細管の細胞質等に存在しており、特に健常人において肝細胞の細胞質内蛋白の7〜11%を占めるとされる(例えば、非特許文献1)。L−FABPは逆平行βシートが2枚直行したβバレル構造に2本のαへリックスが蓋をするような形で安定化され、2分子の遊離脂肪酸と結合することが知られている(例えば、非特許文献2)。
L−FABPはメチオニン残基の酸化修飾により構造変化が生じ、L−FABP分子の内部領域が露わとなる(例えば、非特許文献3)。その結果、L−FABP分子の内部領域と結合する抗体を用いることでELISAなどの抗原抗体反応を用いた測定において抗体結合能が変化し、測定値が大きく変化することが知られている。またこのL−FABPのメチオニン残基の酸化修飾は2,2’−アゾビズ2−アミジノプロパン(以下、「AAPH」と略記する。)処理、空気酸化等によって生じることが報告されている(特許文献1〜3)。
血液中L−FABPが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non−Alcoholic SteatoHepatitis)及び慢性C型肝炎の検査に有用との報告がなされ(非特許文献4、5)、NASHにおいては血液中L−FABPがAST、ALTなどといった肝機能マーカーないしNAS(NAFLD Activity Score)と相関することが知られている(非特許文献6)。また肝細胞質内L−FABPが細胞傷害とともに血液中に放出されることを機序の1つとして、アセトアミノフェンなどによる薬剤性肝障害や肝移植後の急性拒絶反応に伴う肝障害において血液中濃度が上昇することが報告されている(非特許文献7、8)。
特許文献4には、尿試料に変性剤として、還元剤(グルタチオン、システイン、ペニシラミン等)、カオトロピック試薬(尿素、グアニジン等)及び界面活性剤(n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)からなる化合物の1種又は2種を添加し、尿試料をこれらの化合物を用いて前処理することで免疫測定の感度、すなわち測定対象物である尿中のタンパク質の測定感度を向上させる方法が開示されており、尿中のタンパク質の一例として、L−FABPが挙げられているが、L−FABPの検出についての具体的な記載はない。また特許文献5には、有機アミン化合物を用いることによって、担体粒子の自然凝集を起こさせずに特異反応に基づく凝集を促進する方法が開示され、特許文献6には、ベンズアミジン誘導体などの分子内にNH−C=N−の部分構造と環状構造とを有する化合物を試料中のL−FABPと接触させることにより測定感度を向上させる方法が開示されている。
しかしながら、L−FABP分子の内部領域と結合する抗体を用いたL−FABPの酸化状態を評価する方法としての記載はない。
特許第6174778号公報 特許第6218983号公報 特許第6059388号公報 特開2014−85208号公報 国際公開WO2007/074860号 国際公開WO2016/136863号
Vergani,L.,et al.:Mol Cell Biochem,98(1−2),1990. Cai,J.,et al.:Biophys J,102:2585−2594,2012. Yan, J.,et al.:J Lipid Res,50:2445−2454,2009. Akbal, E.,et al.:Wien Klin Wochenschr,128(1−2):48−52,2016 Akbal,E.,et al.:Arch Med Res,44(1):34−38,2013 Ozenirler,S.,et al.:Hepatogastroenterology,60(125):1095−1100,2013 Karvellas,CJ.,et al.:Hepatology,65(3):938−949,2017 Pelsers,MM.et al.:Clin Chem,48(1):2055−2057,2002
肝疾患における肝予備能、予後予測等の指標としては、世界的にChild−Pugh分類が頻用されている。
しかしながらこのスコアリングシステムには脳症、腹水等の程度といった主観的な要素を含むことが指摘されており、また適用が肝硬変患者に限られることなどに問題がある。
Child−Pugh分類に用いられる検査項目である血清アルブミンは適用が肝硬変などの末期肝不全に限られる他、肝不全が進行し肝臓における血清アルブミン合成能が大幅に低下した後など、肝硬変から肝癌に移行する多くの患者には使用できない。また肝癌の有無で血清アルブミン値は変動しない。
肝癌合併例においてはBCLC病期分類を用いた治療選択がなされているが、BCLCには患者因子としてChild−Pugh分類が含まれている。近年、albumin−bilirubin(ALBI)gradeの有用性が報告されているが、未だ十分検討されているとは言えない。また、腫瘍因子が加味されていないことから、進行肝癌の予後は予測し得ない。このような背景から肝癌を含む全ての慢性肝疾患の予後予測が可能となる検査項目が求められている。
肝臓における原発性肝癌のうち90%以上を占める肝細胞癌の検査にはAFP及びPIVKA−IIが腫瘍マーカーとして用いられるが、肝細胞癌においてPIVKA−II陽性例は57%程度とされ、全ての肝細胞癌を検出できるわけではない。またAFPの疾患特異性を高める目的でAFP−L3分画が用いられることもあるが、保険診療上AFP及びPIVKA−IIとの同時測定は認められておらず、悪性腫瘍の可能性が強く疑われる場合のみ算定可能である。
慢性肝疾患の早期から肝癌を有する患者まで一貫して予後を評価できる疾患マーカー、病期分類等に用いられる臨床上の有用性が担保されたスコアリングシステムなどは存在しない。
血液中L−FABPに関して、アセトアミノフェンによる急性肝障害においては死亡群において血液中L−FABP濃度が有意に高値となるとされているものの、NASH、C型肝炎などの肝疾患患者における予後予測因子としての血液中L−FABPの有用性についての報告はなく、また簡便かつ高精度で評価できる血液中L−FABP測定系が求められている。さらにこれまでL−FABPの生体内における酸化状態を判別する方法はない。
肝細胞癌患者におけるL−FABP発現量の評価は、病理組織による悪性診断、組織中の遺伝子発現、タンパク質発現量等に基づき評価されており、また組織中のL−FABP発現量が高値であると予後不良であることが報告されている。しかしながらこれらの方法は煩雑な工程を含み実施可能な施設が限られる。また血液中L−FABPが肝癌患者で高値となるかどうかの報告はなく、煩雑な工程を要することなく、高精度で肝疾患を検査できる血液中L−FABP測定手法が求められる。
本発明は、このような従来の慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌の検査における実情に鑑みてなされたものであり、L−FABPのみの定量結果に基づき肝疾患早期の患者から末期肝硬変患者までを一貫して検査し得る肝疾患の検査方法、その検査キット及びコンパニオン診断薬を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(i)血液中L−FABP濃度が肝細胞癌を有する慢性肝疾患患者において有意に高値となること、(ii)カオトロピック試薬又は有機アミン化合物による処理後のL−FABPの測定値が肝細胞癌を有する慢性肝疾患患者において高値となること、(iii)血液中L−FABP全濃度とL−FABP酸化率との積が肝細胞癌を有する慢性肝疾患患者においてさらに高い診断性能を示すことを見出し、従来の血清アルブミンと比べて優れた検査能を示すことを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されるに至ったものである。
すなわち本発明は以下の通りである。
<1>被験者から採取した血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を含む肝疾患の検査方法であって、前記定量の結果に基づき、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つを判定する検査方法。
<2>上記判定は、肝疾患による死亡リスクの予測を含む、<1>に記載の検査方法。
<3>被験者から採取した血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を含む肝疾患の検査方法であって、
上記肝疾患が、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患である、検査方法。
<4>被験者から採取した血液中の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値を定量する工程を含む肝疾患の検査方法。
<5>上記定量する工程が、上記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程である、<4>に記載の検査方法。
<6>上記定量が、抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して上記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件における定量である、<4>又は<5>に記載の検査方法。
<7>上記条件が、カオトロピック試薬又は有機アミン化合物による処理によって形成された条件である、<6>に記載の検査方法。
<8>上記抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件よりも、酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質及び酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度差が小さい条件にて上記肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を更に含む、<6>又は<7>に記載の検査方法。
<9>上記測定感度差が小さい条件が、上記血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を界面活性剤による変性処理により形成された条件である、<8>に記載の検査方法。
<10>上記測定感度差が小さい条件における上記肝型脂肪酸結合タンパク質の測定値と、上記抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件における測定値とに基づき、血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質中の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の比率に略対応する酸化率を算出する工程を更に含む、<8>又は<9>に記載の検査方法。
<11>上記肝疾患が、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患である、<1>、<2>又は<4>に記載の検査方法。
<12>上記検査が、肝疾患による死亡リスクの予測を含む、<3>又は<4>に記載の方法。
<13>下記(1)及び(2)よりなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む、被験者における肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値に基づく肝疾患の検査方法。
(1)肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の正常範囲、又は慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患における肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有する肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲と、被験者における肝型脂肪酸結合タンパク質の量とを比較し、被験者における上記量が、上記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
(2)酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の正常範囲、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患における酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有する酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲と、被験者の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値とを比較し、被験者における上記量若しくはそれと相関するパラメータの値が、上記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
<14>肝型脂肪酸結合タンパク質のみの定量結果に基づく、<13>に記載の方法。
<15>脳症の程度及び腹水の程度の評価を含まない、<13>又は<14>に記載の方法。
<16>肝型脂肪酸結合タンパク質又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む検査キット。
<17>肝型脂肪酸結合タンパク質又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む、<1>〜<12>のいずれか1項に記載の方法に用いる検査キット。
<18>肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つを判定する<16>又は<17>に記載の肝疾患検査キット。
<19>さらに変性処理剤を含む<16>に記載の肝疾患検査キット。
<20>前記肝型脂肪酸結合タンパク質又は、前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質は抗L−FABP抗体であり、前記変性処理剤は界面活性剤またはドデシル硫酸ナトリウムである<16>又は<17>に記載の肝疾患検査キット。
<21>肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む肝疾患コンパニオン診断薬。
<22>肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む、<1>〜<12>のいずれか1項に記載の方法を用いる肝疾患コンパニオン診断薬。
本発明によれば、単一のタンパク質L−FABPの測定値に基づき肝疾患早期の患者(例えば、Child−Pugh分類におけるステージAの患者)から末期肝硬変患者(ないしは肝細胞癌を有する慢性肝疾患患者)までを一貫して評価することができ、またChild−Pugh分類における脳症、腹水等の程度といった主観的な要素を含むことなく検査することができる。
また、血液中L−FABPは血清アルブミンのように末期肝硬変患者において合成能が低下することがないことから、本発明によれば、Child−Pugh分類などにも用いられる肝疾患検査におけるゴールドスタンダードである血清アルブミンと比較しても検査能が高い。
参考例1の結果を示す図である。 実施例1の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 血液中L−FABP濃度と、PIVKA−II、AFP及びAFP−L3分画との相関分析結果を示す図である。 血液中L−FABP全濃度、酸化率、酸化型L−FABPの血中濃度、及び血清アルブミン濃度各々についてのROC解析結果を示す図である。 酸化率、血液中L−FABP全濃度、酸化型L−FABPの血中濃度及び血清アルブミン濃度の各々の基準値における生存曲線を示す図である。 GU処理後L−FABPの測定値についてのROC解析結果及び生存曲線を示す図である。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施態様に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
(L−FABP)
L−FABPのアミノ酸配列や遺伝子配列は既に報告されている(Veerkamp and Maatman, Prog. Lipid Res.,34:17−52,1995)。配列番号1は、野生型ヒトL−FABPのアミノ酸配列を表す。
配列表の配列番号1に記載した野生型ヒト肝型脂肪酸結合タンパク質のアミノ酸配列上の置換、挿入、欠失等による変異タンパク質であっても、その変異が野生型ヒト肝型脂肪酸結合タンパク質の3次元構造において保存性が高い変異であれば、これらは全て肝型脂肪酸結合タンパク質の範囲内に属し得る。
タンパク質の構成要素となるアミノ酸の側鎖は、疎水性、電荷、大きさなどにおいてそれぞれ異なるものであるが、実質的にタンパク質全体の3次元構造(立体構造とも言う)に影響を与えないという意味で保存性の高い幾つかの関係が、経験的にまた物理化学的な実測により知られている。例えば、アミノ酸残基の置換については、グリシン(Gly)とプロリン(Pro)、Glyとアラニン(Ala)又はバリン(Val)、ロイシン(Leu)とイソロイシン(Ile)、グルタミン酸(Glu)とグルタミン(Gln)、アスパラギン酸(Asp)とアスパラギン(Asn)、システイン(Cys)とスレオニン(Thr)、Thrとセリン(Ser)又はAla、リジン(Lys)とアルギニン(Arg)等が挙げられる。
上記L−FABPの取得方法については特に制限はなく、化学合成により合成したタンパク質でもよいし、遺伝子組み換え技術による作製した組み換えタンパク質でもよい。
≪肝疾患の検査方法≫
本発明の第1の態様は、被験者(例えば、患者)から採取した血液中のL−FABPを定量する工程を含む肝疾患の検査方法であって、上記定量の結果に基づき、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つを判定する検査方法である。
第1の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記肝疾患の種類としては、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患が挙げられ、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患が好ましく、肝細胞癌がより好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、慢性肝疾患としては、ウイルス性肝疾患(例えば、B型肝炎、C型肝炎)、アルコール性肝疾患、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎、薬物性肝障害、自己免疫性肝炎等が挙げられる。
上記肝疾患の進行度としては、早期、中期、末期等が挙げられる。
上記肝疾患の重篤度としては、軽度、中度、重度等が挙げられる。
上記判定は、肝疾患による死亡リスクの予測を含むことが好ましい。
後述の実施例に示すように、血液中L−FABP濃度は肝疾患マーカーとの相関が得られ、Child−Pugh分類及びBCLC病期分類における重症度が上がるとともに高値となり得る。また血清アルブミンと比較して高い予後予測能を示し、肝細胞癌患者における血液中L−FABP濃度が有意に高値となるとともに肝細胞癌における腫瘍マーカーであるPIVKA−II、AFP、AFP−L3分画等との相関が得られる。
上記死亡リスクの予測し得る日数程度としては、肝疾患による死亡リスクを予測し得る限り特に制限はなく、上記定量から所定日以上先の死亡リスクの予測であってもなくてもよいが、例えば、上記定量から100日以上先の死亡リスクを予測することができ、より先の将来を予測し得る観点から、上記定量から500日以上先(より好ましくは1100日以上先、更に好ましくは1500日以上先、特に好ましくは2000日以上先、とりわけ好ましくは2500日以上先、最も好ましくは3000日以上先)の死亡リスクを予測し得る点で好ましい。
上記予測の程度の上限としては特に制限はないが、例えば、6000日以下、5000日以下、4000日以下である。
また、上記予測が、予後の予測であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、被験者から採取した血液中のL−FABPを定量する工程を含む肝疾患の検査方法であって、
上記肝疾患が、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患である、検査方法であり、重篤度の観点から、上記肝疾患が、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患であることが好ましい。
第1及び第2の態様に係る肝疾患の検査方法において、L−FABPの検出ないし定量等の測定方法としては、酵素免疫測定法(EIA,ELISA)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光測免疫測定法(ECLIA)、蛍光抗体法(FA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウェスタンブロット法(WB)、イムノブロット法などを採用したアッセイ法が挙げられ、抗L−FABP抗体を用いた測定であることが好ましい。
用いる抗L−FABP抗体としては、L−FABPを認識し得る限り特に制限はなく、公知の抗体であってもよく、今後開発される抗体であってもよい。例えば、下記変性処理により外部へ曝露される部位を認識する抗体が挙げられる。
抗L−FABP抗体により定量を行なう場合、上記血液中のL−FABPを界面活性剤による変性処理により形成された条件にて定量を行なうことが好ましい。これにより、L−FABPの一次構造を維持した状態で水素結合、ジスルフィド結合等を切断することによりその立体構造を変性させることができ、抗体がL−FABP分子の内部領域と結合する場合であってもL−FABPの酸化状態に影響されることなく、高感度かつ特異的にL−FABPを検出ないし定量することができる。
上記界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が好ましい。
上記変性処理としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて適切な濃度(例えば、0.2質量/体積%(w/v%)〜10質量/体積%、好ましくは0.4質量/体積%(w/v%)以上、0.5質量/体積%(w/v%)以上、又は0.7質量/体積%(w/v%)以上であってよい。)の界面活性剤により適切な時間(例えば、5〜60分間)処理する方法が挙げられる。
典型的には、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理することが挙げられる。
上記測定方法として、より詳細には、抗原(L−FABP)に対する認識部位が異なる2種類の抗体を組み合わせて用いるサンドイッチELISA法であることが好ましい。
認識部位が異なる2種類の抗体は、一方を、マイクロプレートのウェル中の表面に結合させた固相化抗体として用い、他方を、検出ないし定量のための標識抗体として用いることが好ましい。上記標識抗体における標識としては特に制限はなく、例えば、パーオキシダーゼ標識等の酵素標識、蛍光標識、紫外線標識、放射線標識等が挙げられる。
抗原(L−FABP)に対する認識部位が異なる抗体としては、抗L−FABP抗体クローン1、クローン2、クローンL及びクローンFよりなる群から選択される抗体を含む抗体が挙げられ(例えば、特許文献1〜3)、抗L−FABP抗体クローンLを含む組み合わせ、又は抗L−FABP抗体クローン2を含む組み合わせであることが好ましく、抗L−FABP抗体クローンLを含む組み合わせであることがより好ましく、抗L−FABP抗体クローンLを固相化抗体として用い、任意の抗L−FABP抗体を標識抗体として用いることが更に好ましく、抗L−FABP抗体クローンLを固相化抗体として用い、抗L−FABP抗体クローン2を標識抗体として用いることが特に好ましい。
サンドイッチELISA法を利用したL−FABP測定キットの市販品としては、「レナプロ L−FABP テストTMB」(シミックホールディングス社製)、「レナプロ L−FABP テストHS(高感度)」(シミックホールディングス社製)等が挙げられる。
第1及び第2の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記血液中のL−FABPは、酸化されたL−FABP(以下、単に「酸化型L−FABP」ともいう。)であっても、酸化されていないL−FABP(以下、単に「非酸化型L−FABP」ともいう。)であっても、酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの混合物であってもよいが、酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの混合物又は酸化型L−FABPが好ましい。
L−FABPは、配列番号1における19番目、74番目及び113番目のメチオニンが酸化され得、上記酸化型L−FABPは、19番目、74番目及び113番目のメチオニンの少なくともいずれかが酸化されたL−FABPということができ、特に、抗L−FABP抗体を用いた測定値の変化に関しては、19番目及び113番目のメチオニンの酸化が支配的であると考えられることから、19番目及び113番目のメチオニンの少なくともいずれかが酸化されたL−FABPが好ましい。
酸化型L−FABPの検出ないし定量等の測定方法としては、「L−FABPの検出ないし定量等の測定方法」として上述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。抗L−FABP抗体を用いる測定である場合、用いられる抗L−FABP抗体も同様であるが、上記メチオニンの酸化により外部へ曝露される部位を認識する抗体が更に好ましい。
本発明の第3の態様は、被験者から採取した血液中の酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値を定量する工程を含む肝疾患の検査方法である。
上記定量する工程が、酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値を、抗原抗体反応を促進する処理後に定量する工程であることが好ましい。
酸化型L−FABPの量と相関するパラメータとしては、測定値(例えば、標識強度)から換算して算出されるパラメータであって、酸化型L−FABPの量そのものではないパラメータが挙げられ、具体的には、後述する非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が高い条件における測定値、後述する「血液中のL−FABPの酸化率」等が挙げられる。
第3の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記定量する工程が、上記酸化型L−FABPの量を定量する工程であることが好ましい。
第2及び第3の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記肝疾患の検査が、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予測、肝疾患進行リスクの予測及び肝疾患進行のモニタリングよりなる群から選択される少なくとも1種の検査が挙げられ、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予後予測、肝疾患進行リスクの予後予測及び肝疾患進行のモニタリングによる予後予測よりなる群から選択される少なくとも1種の検査がより好ましい。
また、上記肝疾患の検査が、疾患の進行状況の判断、治療方針の参考にされることはもちろんであるが、肝疾患による死亡リスクの予測にも用いることができ、肝疾患による死亡リスクの予後の予測に用いられることがより好ましい。
第3の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記肝疾患は、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患が好ましく、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患がより好ましく、肝細胞癌が更に好ましい。
第3の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記定量が、抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が高い条件における定量であることが好ましい。
具体的には、例えば、50mMのAAPHにて37℃60分間処理した酸化型リコンビナントL−FABPと、未処理の非酸化型リコンビナントL−FABPとを、それぞれ、
「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用してELISA測定し、標識抗体の発色強度(OD450nm)を測定した場合に、濃度25ng/mlにおいて、非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が1.4倍以上(好ましくは1.5倍以上、より好ましくは1.8倍以上、更に好ましくは2.0倍以上)高い条件における定量であることがより好ましい。
測定感度の倍率の上限値としては特に制限はないが、例えば、6倍以下又は4倍以下が挙げられる。
ここでいう「未処理の非酸化型リコンビナントL−FABP」とは、1000mMのベンズアミジン塩酸塩又は1500mMの塩化グアニジニウムの少なくとも一方にて25℃10分間処理した後、「レナプロ L−FABP テストHS(高感度)」の抗体を使用してELISA測定し、標識抗体の発色強度(OD450nm)を測定した場合に、濃度25ng/mlにおいて、50mMのAAPHにて37℃60分間処理した酸化型L−FABPに対して発色強度が0.7倍以下となるL−FABPをいう。
例えば、抗L−FABP抗体を用いる定量等である場合、上記抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が高い条件では、L−FABPの物理化学的特性が軽度に変更してL−FABPと抗体との反応が促進されつつ、L−FABPの立体構造が損なわれる程には変性していない。これにより、酸化型L−FABPの測定感度が非酸化型L−FABPの測定感度よりも高い特性を維持または亢進しつつ、絶対的な測定感度を増加することができる。
このような条件は、種々のタンパク質変性剤を適切な使用条件との組合せで使用することで形成可能であり、タンパク質変性作用の穏やかな物質を用いることは、使用条件の自由度が高くなる点で好ましい。ただし、タンパク質変性作用の強い物質(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))を用いても、使用条件の自由度が相応に低くはなる(低濃度、低温、短時間等の制約が加わる)が、上記条件形成が可能であり得る。
この観点で、いわゆる免疫凝集促進剤が好ましく、具体的にはカオトロピック試薬又は有機アミン化合物がより好ましい。
参考例1において後述するように、免疫凝集促進剤を適切な条件で使用する処理後の測定感度は、酸化型L−FABPについて、絶対的に著しく増大しつつ、非酸化型L−FABPに比べて相対的に高い。
したがって、免疫凝集促進剤による処理後の抗L−FABP抗体を用いる測定値と、上記処理無しの抗L−FABP抗体を用いる測定値(好ましくは、後述する酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件における測定値)との対比から、血液中の酸化型L−FABPを定量し得る。
免疫凝集促進剤としては、カオトロピック試薬、有機アミン化合物、還元剤(グルタチオン、システイン、ペニシラミン等)、界面活性剤(n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等))、又は同様の効果を有する物質等が挙げられ、カオトロピック試薬又は有機アミン化合物が好ましい。
第1の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記定量が、カオトロピック試薬又は有機アミン化合物による処理後のL−FABPの定量であることがより好ましい。
測定に用いられる抗L−FABP抗体は上記と同様であるが、上記メチオニンの酸化により外部へ曝露される部位を認識する抗体が更に好ましい。
上記カオトロピック試薬ないし有機アミン化合物の具体例としては、尿素、2−アミノ−2−チアゾリン塩酸塩、ベンズアミジン塩酸塩、ベンジルアミン塩酸塩、グアニジン塩酸塩、アミノピリン、アンチピリン、4−アミノアンチピリン、o−フェニレンジアミン二塩酸塩、p−アニシジン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、2,4−ジアミノアニソール二塩酸塩、ピリジン塩酸塩、塩酸1,4−フェニレンジアミン、アミノグアニジン塩酸塩、ベタイン塩酸塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。この中でも、ベンズアミジン塩酸塩、ベンジルアミン塩酸塩、2−アミノ−2−チアゾリン塩酸塩がさらに好ましい。
また、下記式(A)で表される化合物もしくはその塩又はエステル、下記式(A)で表される化合物又はその塩も好ましく用い得る。
Figure 2020056626
(式(A)中、Xa1は、水素原子、水酸基又はアルキル基であり、Xa2〜Xa6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基又は−SXa7(Xa7は、水素原子、水酸基又はアルキル基を表す。Xa7が複数存在するときは、それぞれ同一であっても異なる基であってもよい。)を表す。)
上記アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましい。
Figure 2020056626
(式(B)中、Xb1〜Xb4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アミノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基又は−SXb6(Xb6は、水素原子、水酸基又はアルキル基を表す。Xb6が複数存在するときは、それぞれ同一であっても異なる基であってもよい。)であり、ここで、Xb1とXb2の両方が存在する場合はそれぞれ一緒になってカルボニル基を形成していてもよく、Xb3とXb4の両方が存在する場合はそれぞれ一緒になってカルボニル基を形成していてもよく、Xb5は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、
b1は、窒素原子又は硫黄原子であり、
b2及びEb3は、それぞれ独立して、炭素原子又は窒素原子であり、
q、r、s、t及びuは、それぞれ独立して、0又は1であり、
b1とEb3との間の二重破線及びEb2とEb3との間の二重破線は、それぞれ独立して、単結合又は二重結合であり、上記q、r、s、t及びuの値並びにEb1とEb3との間の二重破線及びEb2とEb3との間の二重破線の結合は、Eb1〜Eb3の原子価に応じて適宜定まる値及び結合を示す。)
上記アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましい。
なお、各有機アミン化合物の塩としては、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素塩、ふっ化水素酸塩、ほうふっ化水素酸塩、しゅう酸塩、乳酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、よう化水素酸塩、トルエンスルホン酸塩、マロン酸塩、重炭酸塩など特に制限は無いが、本発明の効果以外に試薬としての取扱い易さや入手のしやすさ等を勘案して適宜選ぶことができる。
上記カオトロピック試薬、有機アミン化合物等の免疫凝集促進剤による処理としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて適切な濃度(例えば、10mM〜3000mM)の免疫凝集促進剤により適切な時間(例えば、5〜60分間)処理する方法が挙げられ、室温(例えば、25℃)にて任意の濃度の免疫凝集促進剤により処理する方法が好ましい。典型的には、1000mMのベンズアミジン塩酸塩又は1500mMの塩化グアニジニウムにて25℃10分間処理することが挙げられる。
上記カオトロピック試薬、有機アミン化合物等の免疫凝集促進剤は1種単独で用いても、複数種を混合して用いてもよい。
SDS等の界面活性剤による処理としては、低温(例えば、25℃以下)にて適切な低濃度(例えば、0.12質量/体積%未満)の界面活性剤により適切な短時間(例えば、4分未満)処理する方法が挙げられる。
第3の態様に係る肝疾患の検査方法は、上記非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が高い条件よりも、酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件にて上記L−FABPを定量する工程を更に含むことが好ましい。
酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件として、例えば、例えば、50mMのAAPHにて37℃60分間処理した酸化型リコンビナントL−FABPと、未処理の非酸化型リコンビナントL−FABPとを、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用してELISA測定し、標識抗体の発色強度(OD450nm)を測定した場合に、濃度25ng/mlにおいて、濃度において、非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が0.8倍以上1.4倍未満(好ましくは0.9倍以上1.25倍以下)の条件が挙げられる。
ここでいう「未処理の非酸化型リコンビナントL−FABP」については前述の通りである。
このような測定感度差が小さい条件は、種々のタンパク質変性剤を適切な使用条件との組合せで使用することで形成可能であり、タンパク質変性作用の強い物質を用いることは、使用条件の自由度が高くなる点で好ましい。ただし、タンパク質変性作用の穏やかな物質(例えば、上記の免疫凝集促進剤)を用いても、使用条件の自由度が相応に低くはなる(高濃度、高温、長時間等の制約が加わる)が、上記条件形成が可能であり得る。
この観点で、界面活性剤が好ましく、具体的にはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が好ましい。
上記変性処理としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて適切な濃度(例えば、0.2質量/体積%(w/v%)〜10質量/体積%、好ましくは0.4質量/体積%(w/v%)以上、0.5質量/体積%(w/v%)以上、又は0.7質量/体積%(w/v%)以上であってよい。)の界面活性剤により適切な時間(例えば、5〜60分間)処理する方法が挙げられる。
典型的には、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理することが挙げられる。
免疫凝集促進剤による処理としては、加温条件下(例えば、37℃以上)にて適切な高濃度(例えば、3500mM)の免疫凝集促進剤により適切な長時間(例えば、80分間)処理する方法が挙げられる。
本明細書及び特許請求の範囲において、血液中L−FABPの全濃度(酸化型L−FABPと、非酸化型L−FABPとの総和)に対する血液中の酸化型L−FABPの比率を「血液中のL−FABPの酸化率」と定義することができる。
実施例の項において後述するように検査能の観点から、第3の態様に係る肝疾患の検査方法は、上記測定感度差が小さい条件における上記L−FABPの測定値と、上記非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が高い条件における測定値とに基づき、血液中のL−FABP中の酸化型L−FABPの比率に略対応する酸化率を算出する工程を更に含むことが好ましい。
「血液中のL−FABPの酸化率」は、上記酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件におけるL−FABPの測定値(例えば、標識強度)に対する上記酸化型L−FABPの測定感度が高い条件における測定値の比(例えば、下記式で表される吸光度比(OD比))に略対応し得る。

上記非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が高い条件におけるOD値/上記酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件におけるL−FABPのOD値
また、「血液中のL−FABPの酸化率」は、例えば、下記式のように表すこともできる。
(aX+bY)(OD値)/血液中L−FABPの全濃度(OD値)
(上記式中、a、bは係数を表し、Xは酸化型L−FABPの濃度を表し、Yは非酸化型L−FABPの濃度を表す。)
係数aは酸化型L−FABPに対する抗体の反応性を表す係数であることが好ましく、係数bは非酸化型L−FABPに対する抗体の反応性を表す係数であることが好ましい。
上述のように、第3の態様に係る肝疾患の検査方法は、被験者の血液中の酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値を定量する工程を含み、上記定量する工程が、上記酸化型L−FABPを定量する工程であることが好ましい。
実施例の項において後述するように、「酸化型L−FABPの量」の方が、「血液中のL−FABPの酸化率」及び「血液中L−FABPの全濃度」のそれぞれ単独の定量結果よりも高精度に検査し得るからである。
上記酸化型L−FABPの濃度は、上記酸化率と、上記酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件におけるL−FABPの測定値(血液中L−FABPの全濃度)との積から定量し得る。
また、非酸化型L−FABPは認識しないが、酸化型L−FABPを特異的に認識し得る抗酸化型L−FABP抗体を用いて上記酸化型L−FABPを定量することもできる。
第1〜3の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記定量は、測定される標識の強度(例えば、吸光度、酵素標識強度、蛍光強度、紫外線強度、放射線強度等)と、L−FABPの量(例えば、濃度)との関係に基づき検量線を作成し、上記検量線に基づき(例えば、対比して)定量してもしなくてもよい。
本発明の第4の態様は、下記(1)及び(2)よりなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む、被験者におけるL−FABPの量又は酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値に基づく肝疾患の検査方法である。
(1)L−FABPの量の既知の正常範囲、又は慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患におけるL−FABPの量の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有するL−FABPの量の既知の範囲と、被験者におけるL−FABPの量とを比較し、被験者における上記量が、上記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
(2)酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の正常範囲、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患における酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有する酸化型L−FABPの量の既知の範囲と、被験者の酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値とを比較し、被験者における上記量若しくはそれと相関するパラメータの値が、上記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
第1〜4の態様に係る肝疾患の検査方法は、ROC(受信者動作特性)解析結果として、曲線下面積(AUC)が0.650以上で検査し得ることが好ましく、0.700以上で検査し得ることがより好ましく、0.710以上で検査し得ることが更に好ましい。
第1〜4の態様に係る肝疾患の検査方法は、L−FABPのみの定量結果に基づくことができるが、他の検査方法(例えば、Child−Pugh分類、BCLC病期分類、MELD(Model for End−Stage Liver Disease)等に基づく検査方法)と併用して用いても用いなくてもよい。
また、第1〜4の態様に係る肝疾患の検査方法は、肝疾患早期の患者(例えば、Child−Pugh分類におけるステージAの患者)から末期肝硬変患者(ないしは肝細胞癌を有する慢性肝疾患患者)までを一貫して評価することができるが、肝疾患早期の患者から末期肝硬変患者までを一貫して評価しなくてもよい。
第1〜4の態様に係る肝疾患の検査方法は、Child−Pugh分類における脳症の程度及び腹水の程度の評価を含まず、主観的な要素を含むことなく検査することができる。
≪検査キット、コンパニオン診断薬≫
本発明の第5の態様は、L−FABP又は酸化型L−FABPを定量し得る物質を含む肝疾患検査キットであり、第1〜3の態様に係る肝疾患の検査方法に用いる検査キットであることが好ましい。
本発明の第6の態様は、肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む肝疾患コンパニオン診断薬であり、第1〜3の態様に係る肝疾患の検査方法を用いるコンパニオン診断薬であることが好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、「コンパニオン診断薬」は、個々の肝疾患患者に対する医薬品の効果、副作用のリスク、適切な投薬量を予測するために、実際に投薬を開始する前に行う検査で使用される診断薬をいう。
第5の態様に係る肝疾患検査キットにおいて、上記肝疾患の検査が、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予測、肝疾患進行リスクの予測及び肝疾患進行のモニタリングよりなる群から選択される少なくとも1種の検査が挙げられ、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予後予測、肝疾患進行リスクの予後予測及び肝疾患進行のモニタリングによる予後予測よりなる群から選択される少なくとも1種の検査がより好ましい。
第6の態様に係るコンパニオン診断薬において、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予測、肝疾患発症リスクの予測及び肝疾患進行のモニタリングよりなる群から選択される少なくとも1種のコンパニオン診断薬が好ましく、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予後予測、肝疾患進行リスクとその予後予測及び肝疾患進行のモニタリングによる予後予測よりなる群から選択される少なくとも1種のコンパニオン診断薬がより好ましい。
また、上記肝疾患のコンパニオン診断薬が、肝疾患による死亡リスクの予測が好ましく、肝疾患による死亡リスクの予後の予測がより好ましい。
第6の態様に係るコンパニオン診断薬において、肝疾患の種類としては、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患が好ましく、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患がより好ましく、肝細胞癌が更に好ましい。
第5の態様に係る検査キット及び第6の態様に係るコンパニオン診断薬において、L−FABP又は酸化型L−FABPを定量し得る物質としては、酵素免疫測定法(EIA,ELISA)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光測免疫測定法(ECLIA)、蛍光抗体法(FA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウェスタンブロット法(WB)、イムノブロット法などに基づいてL−FABP又は酸化型L−FABPを定量する物質が挙げられ、具体的には、抗L−FABP抗体が好ましい。
用いる抗L−FABP抗体としては、L−FABPを認識し得る限り特に制限はなく、公知の抗体であってもよく、今後開発される抗体であってもよい。例えば、上記変性処理、上記メチオニンの酸化等により外部へ曝露される部位を認識する抗体が挙げられる。
上記定量手段として、より詳細には、抗原(L−FABP)に対する認識部位が異なる2種類の抗体を組み合わせて用いるサンドイッチELISA法を採用したアッセイ系が好ましい。
認識部位が異なる2種類の抗体については≪肝疾患の検査方法≫において上述した通りである。
上記定量手段としては、試薬として上記抗L−FABP抗体を含むことが好ましく、標識抗L−FABP抗体を更に含むことがより好ましく、必要に応じて吸着防止剤(ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、スキムミルク、ポリエチレングリコール等)、前処理液(任意の界面活性剤、任意の緩衝液等)、反応緩衝液(任意の緩衝液等)、発色基質(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、過酸化水素水等)等を含んでいてもよい。
上記定量手段における吸着防止剤の含有量としては本発明の効果を損なわない限りにおいて特に制限はないが、0.05〜10質量%であることが好ましい。
上記定量手段として、抗原に対する認識部位が異なる2種類の抗体を組み合わせて用いるサンドイッチELISA法を用いたキットであることが好ましく、固相に抗L−FABP抗体クローンL、標識抗体に抗L−FABP抗体クローン2を使用しているキットであることがより好ましい。
第5の態様に係る検査キット及び第6の態様に係るコンパニオン診断薬は、抗L−FABP抗体により定量を行なう場合、定量に先だって、界面活性剤によりL−FABPを変性する手段を備えることが好ましい。
第5の態様に係る肝疾患検査用キットは、上記血液中のL−FABPを界面活性剤により変性処理する手段、及び
上記変性処理後のL−FABPを定量する手段を更に備えることがより好ましい。
上記界面活性剤としては、上述の通りである。
上記変性手段としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて任意の濃度(例えば、0.2質量/体積%〜10質量/体積%)の界面活性剤により処理する手段(例えば、上記界面活性剤、任意の緩衝液等を含む変性処理液)が挙げられる。
第5の態様に係る検査キット及び第6の態様に係るコンパニオン診断薬は、血液中のL−FABPを免疫凝集促進剤(好ましくはカオトロピック試薬又は有機アミン化合物)により処理する手段を更に備え、かつ上記定量する手段が上記処理後のL−FABPを定量する手段であることが好ましい。
第5の態様に係る検査キット及び第6の態様に係るコンパニオン診断薬が、サンドイッチELISA法を用いたキットである場合の具体的態様としては、例えば、下記(1)〜(10)を含むキットが挙げられる。
(1)L−FABP抗体固相化マイクロプレート……抗ヒトL−FABPマウスモノクローナル抗体結合ウェル例えば、クローンL産生細胞株由来)
(2)変性処理液(例えば、任意の界面活性剤)
(3)免疫凝集促進剤処理液(例えば、カオトロピック試薬、有機アミン化合物)
(4)反応緩衝液
(5)酵素標識抗体……パーオキシダーゼ標識抗ヒトL−FABPマウスモノクローナル抗体(例えば、クローン2産生細胞株由来)
(6)酵素基質液
(7)洗浄剤(任意の緩衝液、界面活性剤等)
(8)反応停止液(1N硫酸等)
(9)標準緩衝液(任意の緩衝液等)
(10)肝型脂肪酸結合タンパク質標品
(10)肝型脂肪酸結合タンパク質標品の濃度としては特に制限はなく、例えば、10〜10000ng/mLが挙げられ、50〜5000ng/mLが好ましく、100〜1000ng/mLがより好ましく、200〜800ng/mLが更に好ましく、300〜600ng/mLが特に好ましい。
第5の態様に係る検査キット及び第6の態様に係るコンパニオン診断薬は、タンパク吸着防止を目的としてBSAを含有するタンパク質保存緩衝液を含むことが好ましい。例えば、下記タンパク質保存緩衝液が挙げられる。
(タンパク質保存緩衝液)
10mMリン酸バッファー(pH7.2)、150mM NaCl、1.0%BSA、0.1%NaN
以下に本発明の実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
<参考例1>
50mMのAAPHにて37℃60分間処理した様々な濃度の酸化型リコンビナントL−FABPと、未処理の様々な濃度の非酸化型リコンビナントL−FABPとを、それぞれ、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理した後、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用してELISA測定を実施し、標識抗体の発色強度(OD450nm)を測定した。上記検査用キットの使用方法は通常添付されている添付文書に従った測定方法に準じて行った。
結果を図1(a)に示す。
一方、SDSによる変性処理の代わりに1000mMのベンズアミジン塩酸塩にて25℃10分間処理(以下、「BA処理」ともいう。)すること以外は同様にしてELISA測定を実施した。結果を図1(b)に示す。
また、SDSによる変性処理の代わりに1500mMの塩化グアニジニウムにて25℃10分間処理(以下、「GU処理」ともいう。)すること以外は同様にしてELISA測定を実施した。結果を図1(c)に示す。
図1a)に示した結果から明らかなように、リコンビナントL−FABPの各濃度において、酸化型リコンビナントL−FABPのOD測定値(強度)と、非酸化型リコンビナントL−FABPのOD測定値とはほぼ同一になることが分かる。
一方、図1(b)及び(c)に示した結果から明らかなように、SDSによる変性処理の代わりにBA処理又はGU処理した場合は、リコンビナントL−FABPの任意の1つの濃度において、非酸化型リコンビナントL−FABPのOD測定感度に対する酸化型リコンビナントL−FABPのOD測定感度が大きいことが分かる。
この測定感度の増大は、酸化型L−FABPは抗体が認識するL−FABP内部領域が外部へ曝露される構造変化を起こすことに起因するものと考えられる。
一方、非酸化型リコンビナントL−FABPでは、L−FABP内部領域を認識する抗L−FABP抗体を測定に用いても上記抗体が認識するL−FABP内部領域が外部へ曝露される構造変化を起こしていないことから測定強度が増大していないものと考えられる。
<実施例1>
慢性肝炎(CH)患者、肝硬変(LC)患者、Child−Pugh分類におけるステージA(以下、単に「CP A」ともいう。)の患者、ステージB(以下、単に「CP B」ともいう。)の患者及びステージC(以下、単に「CP C」ともいう。)の患者の各々の血液検体を用いて、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理した後、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用して血液中L−FABP濃度(ng/ml)を測定した。結果を図2(a)及び(b)に示す。図中**は有意水準p<0.01を、***はp<0.001をそれぞれ示す。
図2(a)に示した結果から明らかなように、CH患者よりもLC患者の血液中L−FABP濃度が有意に高いことが分かる。
また、図2(b)に示した結果から明らかなように、Child−Pugh分類におけるステージAの患者からステージB、ステージCというように病態ステージが進むごとに血液中L−FABP濃度が有意に高値となり、血液中L−FABP濃度を測定することにより、慢性肝炎患者から末期肝硬変患者までを検査し得ることが分かる。
また、世界的に頻用されるChild−Pugh分類の病態ステージごとにL−FABP値が高くなることはこれまで報告されておらず、またHCV、NASHといった限定された肝疾患ではなく様々な肝疾患背景をもつ患者群からなる検体においてL−FABPの高い検査能が得られた。
<実施例2>
肝細胞癌(HCC)を有する慢性肝疾患患者(HCC(+))、及びHCCを有さない慢性肝疾患患者(HCC(−))の各々の血液検体を用いて、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理した後、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用して血液中L−FABP濃度(ng/ml)を測定した。結果を図3(a)に示す。図中***はp<0.001を示す。
図3(a)に示した結果から明らかなように、HCCを有さない慢性肝疾患患者に比べて、HCCを有する慢性肝疾患患者において血液中L−FABP濃度が有意に高値となることが分かり、血液中L−FABP濃度を測定することにより、慢性肝疾患患者において、更に、HCCの有無をも検査し得ることが分かる。
慢性肝疾患よりも病態が更に進行した肝硬変(LC)患者について、肝細胞癌(HCC)を有するLC患者(HCC(+))、及びHCCを有さないLC患者(HCC(−))の各々の血液検体を用いて、同様に変性処理後、血液中L−FABP濃度(ng/ml)を測定した。結果を図3(b)に示す。図中**はp<0.01を示す。
図3(b)に示した結果から明らかなように、HCCを有さないLC患者に比べて、HCCを有するLC患者において血液中L−FABP濃度が有意に高値となることが分かり、血液中L−FABP濃度を測定することにより、LC患者において、更に、HCCの有無をも検査し得ることが分かる。
BCLC分類のステージA〜Dの患者についても同様に変性処理後、血液中L−FABP濃度(ng/ml)を測定した。結果を図3(d)に示す。
また、図3(d)に示した結果から明らかなように、BCLC分類のステージAの患者よりもステージB〜Dの患者において高値となる傾向が認められることが分かる。
(比較例1)
比較例1として、HCCを有するLC患者(HCC(+))、及びHCCを有さないLC患者(HCC(−))の各々の血液検体を用いて、血液中アルブミン(Alb)濃度(U/L)を測定した。結果を図3(c)に示す。
図3(c)に示した結果から明らかなように、HCC(+)とHCC(−)との間に血液中Alb濃度の有意差がないことが分かる。
慢性肝疾患よりも病態が更に進行したLC患者においては、Alb合成能が低下しており、HCCの有無を検査し得ないことが分かる。
血液中L−FABP濃度と、肝細胞癌の検査マーカーであるPIVKA−II、AFP及びAFP−L3分画との相関分析を行なった。なお、AFP−L3分画はAFPよりも肝細胞癌に対する特異性が高いことが知られている。結果を図4(a)〜(c)に示す。
図4(a)〜(c)に示した結果から明らかなように、血液中L−FABP濃度は、PIVKA−IIと有意(p<0.0001)に相関係数r=0.518の高い相関が見られ、AFPと有意(p=0.002)に相関係数r=0.271の低い相関が見られ、AFP−L3分画と有意(p=0.004)に相関係数r=0.415の高い相関が見られた。
以上、実施例2に示した結果から、血液中L−FABP濃度を測定することにより、Child−Pugh分類におけるステージAの患者から末期肝硬変患者、また肝細胞癌を有する慢性肝疾患患者までを一貫して評価することができ、かつChild−Pugh分類における脳症や腹水の程度といった主観的な要素を含むことなく肝疾患進行リスクの予測ないし肝疾患進行のモニタリングを検査することができるといえる。
<実施例3>
HCCを有する慢性肝疾患患者(HCC(+))、及びHCCを有さない慢性肝疾患患者(HCC(−))の各々の血液検体を用いて、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理した後、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用して血液中L−FABP全濃度(ng/ml)を測定した。
また、HCC(+)、及びHCC(−)の各々の血液検体を、SDSによる変性処理の代わりにGU処理すること以外は同様にしてELISA測定を実施し、GU処理後OD値/SDSによる変性処理後OD値からL−FABPの酸化率を算出した。
また、上記得られた酸化率と、上記血液中L−FABP全濃度(ng/ml)との積から酸化型L−FABPの血中濃度(ng/ml)を算出した。結果を下記表1に示す。
また、肝疾患により死亡した群(死亡群)と、肝疾患により死亡しなかった群(生存群)との慢性肝疾患患者の各々の血液検体を用いて血液中L−FABP全濃度、また、GU処理後強度を同様に測定し、L−FABPの酸化率、酸化型L−FABPの血中濃度を各々算出した。結果を下記表2に示す。
(比較例2)
また、比較例2として、HCC(+)、HCC(−)、死亡群、及び生存群の各々の血液検体において血清アルブミン濃度(U/L)も測定した。結果を下記表1及び2に示す。
Figure 2020056626
Figure 2020056626
上記表1及び2に示した結果から明らかなように、HCC(−)と比べHCC(+)においてL−FABP全濃度が有意に高値となること、生存群と比べ死亡群においてL−FABP全濃度が有意に高値となることが分かる。
また、HCC(−)と比べHCC(+)においてL−FABPの酸化率が高値となる傾向があること、生存群と比べ死亡群においてL−FABPの酸化率が有意に高値となることが分かる。
また、酸化率と血液中L−FABP全濃度との積から得られた酸化型L−FABPの血中濃度が、HCC(−)と比べHCC(+)において有意に高値となること、生存群と比べ死亡群において有意に高値となることが分かる。
L−FABP全濃度、酸化率よりも、酸化型L−FABPの血中濃度の方が、HCC(−)と比べたHCC(+)及び生存群と比べた死亡群のいずれにおいても小さなp値で有意に高値となることが示されていることから、最も高精度に肝疾患を検査し得るといえる。
一方、比較例2の血清アルブミン濃度はHCC(−)及びHCC(+)間において有意差がなく、生存群及び死亡群間において有意差がなく肝疾患の検査能に劣っていることが分かる。
肝疾患の検査能の精度をより詳細に評価する観点から、上記血液中L−FABP全濃度、L−FABPの上記酸化率、並びに上記酸化率と上記血液中L−FABP全濃度との積から得られる酸化型L−FABPの血中濃度各々についてROC解析を行なった。また、比較例2の血清アルブミン濃度についてもROC解析を行なった。結果を図5に示す。
図5に示した結果から明らかなように、L−FABPの酸化率のAUCが0.658、pが0.009であり、血液中L−FABP全濃度のAUCが0.701、pが0.0008であり、及び上記酸化率と上記血液中L−FABP全濃度との積から得られる酸化型L−FABPの血中濃度のAUCが0.729、pが0.0001であり、上記酸化率、上記血液中L−FABP全濃度及び上記酸化型L−FABPの血中濃度の順に、肝疾患の検査能の精度が向上していることが分かり、いずれも高精度に肝疾患を検査し得ることが分かり、特に、上記酸化型L−FABPの血中濃度は肝疾患の検査能の精度に最も優れることが分かる。
一方、比較例2の血清アルブミン濃度についてはAUCが0.568と小さく、p値も0.29と大きく有意性がなく、肝疾患の検査能に劣っていることが分かる。
上記ROC解析結果から、血液中L−FABP全濃度の基準値(カットオフ値)7.7、上記血液中L−FABP全濃度との積から得られる酸化型L−FABPの血中濃度の基準値1.9、血清アルブミン濃度の基準値3.1が得られた。
上記血液中L−FABP全濃度の上記基準値で分けた生存曲線及び上記酸化率と上記血液中L−FABP全濃度との積から得られる酸化型L−FABPの血中濃度の上記基準値で分けた生存曲線、及び血清アルブミン濃度の上記基準値で分けた生存曲線を図6(a)〜(b)に示す。
図6(a)に示した結果から明らかなように、上記血液中L−FABP全濃度が基準値7.7より大きい場合と基準値7.7以下の場合との生存曲線のp値は<0.003であり有意差があり、肝疾患による死亡リスク(好ましくは、定量から1100日以上先の死亡リスク)を予測し得ることが分かる。
図6(b)に示した結果から明らかなように、更に、上記酸化率と上記血液中L−FABP全濃度との積から得られる酸化型L−FABPの血中濃度が基準値1.9より大きい場合と基準値1.9以下の場合との生存曲線のp値は<0.0001であり有意差が大きく、特に肝疾患の検査能に優れ、肝疾患による死亡リスクを予測し得ることが分かる。
一方、図6(c)に示した結果から明らかなように、血清アルブミン強度3.1より大きい場合と血清アルブミン濃度3.1以下の場合との生存曲線のp値は<0.02であり有意性が小さく、肝疾患の検査能に劣っていることが分かる。
GU処理後のL−FABPの測定値についてもROC解析を行なった。結果を図7(a)に示す。
また、比較のため、上記血液中L−FABP全濃度、上記酸化率と上記血液中L−FABP全濃度との積から得られる酸化型L−FABPの血中濃度、及び比較例2の血清アルブミン濃度各々についてのROC解析結果を図5から転記する。
図7(a)に示した結果から明らかなように、GU処理後L−FABPの測定値のAUCは0.717、p値が0.0009であり、上記酸化型L−FABPの血中濃度のAUC及びp値に近い値が得られ、上記酸化型L−FABPの血中濃度に準じる程度に高精度に肝疾患を検査し得ることが分かる。
上記ROC解析結果から、GU処理後のL−FABPの測定値の基準値4.5が得られた。
GU処理後L−FABPの測定値の基準値4.5で分けた生存曲線を図7(b)に示す。
図7(b)に示した結果から明らかなように、GU処理後L−FABPの測定値が基準値4.5より大きい場合と基準値4.5以下の場合との生存曲線のp値は<0.0002であり有意差が大きく肝疾患の検査能に優れ、肝疾患による死亡リスク(好ましくは、定量から1100日以上先の死亡リスク)を予測し得ることが分かる。
慢性肝疾患のなかでも、病態が更に進行した肝硬変(LC)患者について、肝細胞癌(HCC)を有するLC患者(HCC(+))、及びHCCを有さないLC患者(HCC(−))の各々の血液検体を用いて、同様に変性処理後、血液中L−FABP濃度(ng/ml)を測定した。結果を図3(b)に示す。図中**はp<0.01を示す。
図3(b)に示した結果から明らかなように、HCCを有さないLC患者に比べて、HCCを有するLC患者において血液中L−FABP濃度が有意に高値となることが分かり、血液中L−FABP濃度を測定することにより、LC患者において、更に、HCCの有無をも検査し得ることが分かる。
(比較例1)
比較例1として、HCCを有するLC患者(HCC(+))、及びHCCを有さないLC患者(HCC(−))の各々の血液検体を用いて、血液中アルブミン(Alb)濃度(U/L)を測定した。結果を図3(c)に示す。
図3(c)に示した結果から明らかなように、HCC(+)とHCC(−)との間に血液中Alb濃度の有意差がないことが分かる。
慢性肝疾患のなかでも、病態が更に進行したLC患者においては、Alb合成能が低下しており、HCCの有無を検査し得ないことが分かる。

Claims (22)

  1. 被験者から採取した血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を含む肝疾患の検査方法であって、前記定量の結果に基づき、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つを判定する検査方法。
  2. 前記判定は、肝疾患による死亡リスクの予測を含む、請求項1に記載の検査方法。
  3. 被験者から採取した血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を含む肝疾患の検査方法であって、
    前記肝疾患が、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患である、検査方法。
  4. 被験者から採取した血液中の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値を定量する工程を含む肝疾患の検査方法。
  5. 前記定量する工程が、前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程である、請求項4に記載の検査方法。
  6. 前記定量が、抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件における定量である、請求項4又は5に記載の検査方法。
  7. 前記条件が、カオトロピック試薬又は有機アミン化合物による処理によって形成された条件である、請求項6に記載の検査方法。
  8. 前記抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件よりも、酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質及び酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度差が小さい条件にて前記肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を更に含む、請求項6又は7に記載の検査方法。
  9. 前記測定感度差が小さい条件が、前記血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を界面活性剤による変性処理により形成された条件である、請求項8に記載の検査方法。
  10. 前記測定感度差が小さい条件における前記肝型脂肪酸結合タンパク質の測定値と、前記抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件における測定値とに基づき、血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質中の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の比率に略対応する酸化率を算出する工程を更に含む、請求項8又は9に記載の検査方法。
  11. 前記肝疾患が、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患である、請求項1、2又は4に記載の検査方法。
  12. 前記検査が、肝疾患による死亡リスクの予測を含む、請求項3又は4に記載の方法。
  13. 下記(1)及び(2)よりなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む、被験者における肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値に基づく肝疾患の検査方法。
    (1)肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の正常範囲、又は慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患における肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有する肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲と、被験者における肝型脂肪酸結合タンパク質の量とを比較し、被験者における前記量が、前記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
    (2)酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の正常範囲、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患における酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有する酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲と、被験者の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値とを比較し、被験者における前記量若しくはそれと相関するパラメータの値が、前記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
  14. 肝型脂肪酸結合タンパク質のみの定量結果に基づく、請求項13に記載の方法。
  15. 脳症の程度及び腹水の程度の評価を含まない、請求項13又は14に記載の方法。
  16. 肝型脂肪酸結合タンパク質又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む肝疾患検査キット。
  17. 肝型脂肪酸結合タンパク質又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法に用いる肝疾患検査キット。
  18. 肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つを判定する請求項16又は17に記載の肝疾患検査キット。
  19. さらに変性処理剤を含む請求項16に記載の肝疾患検査キット。
  20. 前記肝型脂肪酸結合タンパク質又は前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質は抗L−FABP抗体であり、前記変性処理剤は界面活性剤またはドデシル硫酸ナトリウムである請求項16又は17に記載の肝疾患検査キット。
  21. 肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む肝疾患コンパニオン診断薬。
  22. 肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を用いる肝疾患コンパニオン診断薬。
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