JP6581274B1 - 肝疾患の検査方法、その検査キット及びコンパニオン診断薬 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、L−FABP分子の内部領域と結合する抗体を用いたL−FABPの酸化状態を評価する方法としての記載はない。
しかしながらこのスコアリングシステムには脳症、腹水等の程度といった主観的な要素を含むことが指摘されており、また適用が肝硬変患者に限られることなどに問題がある。
本発明は、上記知見に基づき完成されるに至ったものである。
すなわち本発明は以下の通りである。
<2>上記判定は、肝疾患による死亡リスクの予測を含む、<1>に記載の検査方法。
<3>被験者から採取した血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を含む肝疾患の検査方法であって、
上記肝疾患が、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患である、検査方法。
<4>被験者から採取した血液中の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値を定量する工程を含む肝疾患の検査方法。
<5>上記定量する工程が、上記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程である、<4>に記載の検査方法。
<6>上記定量が、抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して上記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件における定量である、<4>又は<5>に記載の検査方法。
<7>上記条件が、カオトロピック試薬又は有機アミン化合物による処理によって形成された条件である、<6>に記載の検査方法。
<8>上記抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件よりも、酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質及び酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度差が小さい条件にて上記肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を更に含む、<6>又は<7>に記載の検査方法。
<9>上記測定感度差が小さい条件が、上記血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を界面活性剤による変性処理により形成された条件である、<8>に記載の検査方法。
<10>上記測定感度差が小さい条件における上記肝型脂肪酸結合タンパク質の測定値と、上記抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件における測定値とに基づき、血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質中の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の比率に略対応する酸化率を算出する工程を更に含む、<8>又は<9>に記載の検査方法。
<11>上記肝疾患が、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患である、<1>、<2>又は<4>に記載の検査方法。
<12>上記検査が、肝疾患による死亡リスクの予測を含む、<3>又は<4>に記載の方法。
<13>下記(1)及び(2)よりなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む、被験者における肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値に基づく肝疾患の検査方法。
(1)肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の正常範囲、又は慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患における肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有する肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲と、被験者における肝型脂肪酸結合タンパク質の量とを比較し、被験者における上記量が、上記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
(2)酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の正常範囲、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患における酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有する酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲と、被験者の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値とを比較し、被験者における上記量若しくはそれと相関するパラメータの値が、上記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
<14>肝型脂肪酸結合タンパク質のみの定量結果に基づく、<13>に記載の方法。
<15>脳症の程度及び腹水の程度の評価を含まない、<13>又は<14>に記載の方法。
<16>肝型脂肪酸結合タンパク質又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む検査キット。
<17>肝型脂肪酸結合タンパク質又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む、<1>〜<12>のいずれか1項に記載の方法に用いる検査キット。
<18>肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つを判定する<16>又は<17>に記載の肝疾患検査キット。
<19>さらに変性処理剤を含む<16>に記載の肝疾患検査キット。
<20>前記肝型脂肪酸結合タンパク質又は、前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質は抗L−FABP抗体であり、前記変性処理剤は界面活性剤またはドデシル硫酸ナトリウムである<16>又は<17>に記載の肝疾患検査キット。
<22>肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む、<1>〜<12>のいずれか1項に記載の方法を用いる肝疾患コンパニオン診断薬。
また、血液中L−FABPは血清アルブミンのように末期肝硬変患者において合成能が低下することがないことから、本発明によれば、Child−Pugh分類などにも用いられる肝疾患検査におけるゴールドスタンダードである血清アルブミンと比較しても検査能が高い。
L−FABPのアミノ酸配列や遺伝子配列は既に報告されている(Veerkamp and Maatman, Prog. Lipid Res.,34:17−52,1995)。配列番号1は、野生型ヒトL−FABPのアミノ酸配列を表す。
配列表の配列番号1に記載した野生型ヒト肝型脂肪酸結合タンパク質のアミノ酸配列上の置換、挿入、欠失等による変異タンパク質であっても、その変異が野生型ヒト肝型脂肪酸結合タンパク質の3次元構造において保存性が高い変異であれば、これらは全て肝型脂肪酸結合タンパク質の範囲内に属し得る。
タンパク質の構成要素となるアミノ酸の側鎖は、疎水性、電荷、大きさなどにおいてそれぞれ異なるものであるが、実質的にタンパク質全体の3次元構造(立体構造とも言う)に影響を与えないという意味で保存性の高い幾つかの関係が、経験的にまた物理化学的な実測により知られている。例えば、アミノ酸残基の置換については、グリシン(Gly)とプロリン(Pro)、Glyとアラニン(Ala)又はバリン(Val)、ロイシン(Leu)とイソロイシン(Ile)、グルタミン酸(Glu)とグルタミン(Gln)、アスパラギン酸(Asp)とアスパラギン(Asn)、システイン(Cys)とスレオニン(Thr)、Thrとセリン(Ser)又はAla、リジン(Lys)とアルギニン(Arg)等が挙げられる。
本発明の第1の態様は、被験者(例えば、患者)から採取した血液中のL−FABPを定量する工程を含む肝疾患の検査方法であって、上記定量の結果に基づき、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つを判定する検査方法である。
第1の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記肝疾患の種類としては、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患が挙げられ、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患が好ましく、肝細胞癌がより好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、慢性肝疾患としては、ウイルス性肝疾患(例えば、B型肝炎、C型肝炎)、アルコール性肝疾患、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎、薬物性肝障害、自己免疫性肝炎等が挙げられる。
上記肝疾患の進行度としては、早期、中期、末期等が挙げられる。
上記肝疾患の重篤度としては、軽度、中度、重度等が挙げられる。
上記判定は、肝疾患による死亡リスクの予測を含むことが好ましい。
後述の実施例に示すように、血液中L−FABP濃度は肝疾患マーカーとの相関が得られ、Child−Pugh分類及びBCLC病期分類における重症度が上がるとともに高値となり得る。また血清アルブミンと比較して高い予後予測能を示し、肝細胞癌患者における血液中L−FABP濃度が有意に高値となるとともに肝細胞癌における腫瘍マーカーであるPIVKA−II、AFP、AFP−L3分画等との相関が得られる。
上記死亡リスクの予測し得る日数程度としては、肝疾患による死亡リスクを予測し得る限り特に制限はなく、上記定量から所定日以上先の死亡リスクの予測であってもなくてもよいが、例えば、上記定量から100日以上先の死亡リスクを予測することができ、より先の将来を予測し得る観点から、上記定量から500日以上先(より好ましくは1100日以上先、更に好ましくは1500日以上先、特に好ましくは2000日以上先、とりわけ好ましくは2500日以上先、最も好ましくは3000日以上先)の死亡リスクを予測し得る点で好ましい。
上記予測の程度の上限としては特に制限はないが、例えば、6000日以下、5000日以下、4000日以下である。
また、上記予測が、予後の予測であることが好ましい。
上記肝疾患が、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患である、検査方法であり、重篤度の観点から、上記肝疾患が、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患であることが好ましい。
上記界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が好ましい。
上記変性処理としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて適切な濃度(例えば、0.2質量/体積%(w/v%)〜10質量/体積%、好ましくは0.4質量/体積%(w/v%)以上、0.5質量/体積%(w/v%)以上、又は0.7質量/体積%(w/v%)以上であってよい。)の界面活性剤により適切な時間(例えば、5〜60分間)処理する方法が挙げられる。
典型的には、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理することが挙げられる。
認識部位が異なる2種類の抗体は、一方を、マイクロプレートのウェル中の表面に結合させた固相化抗体として用い、他方を、検出ないし定量のための標識抗体として用いることが好ましい。上記標識抗体における標識としては特に制限はなく、例えば、パーオキシダーゼ標識等の酵素標識、蛍光標識、紫外線標識、放射線標識等が挙げられる。
サンドイッチELISA法を利用したL−FABP測定キットの市販品としては、「レナプロ L−FABP テストTMB」(シミックホールディングス社製)、「レナプロ L−FABP テストHS(高感度)」(シミックホールディングス社製)等が挙げられる。
酸化型L−FABPの検出ないし定量等の測定方法としては、「L−FABPの検出ないし定量等の測定方法」として上述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。抗L−FABP抗体を用いる測定である場合、用いられる抗L−FABP抗体も同様であるが、上記メチオニンの酸化により外部へ曝露される部位を認識する抗体が更に好ましい。
上記定量する工程が、酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値を、抗原抗体反応を促進する処理後に定量する工程であることが好ましい。
酸化型L−FABPの量と相関するパラメータとしては、測定値(例えば、標識強度)から換算して算出されるパラメータであって、酸化型L−FABPの量そのものではないパラメータが挙げられ、具体的には、後述する非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が高い条件における測定値、後述する「血液中のL−FABPの酸化率」等が挙げられる。
第3の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記定量する工程が、上記酸化型L−FABPの量を定量する工程であることが好ましい。
第2及び第3の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記肝疾患の検査が、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予測、肝疾患進行リスクの予測及び肝疾患進行のモニタリングよりなる群から選択される少なくとも1種の検査が挙げられ、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予後予測、肝疾患進行リスクの予後予測及び肝疾患進行のモニタリングによる予後予測よりなる群から選択される少なくとも1種の検査がより好ましい。
また、上記肝疾患の検査が、疾患の進行状況の判断、治療方針の参考にされることはもちろんであるが、肝疾患による死亡リスクの予測にも用いることができ、肝疾患による死亡リスクの予後の予測に用いられることがより好ましい。
第3の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記肝疾患は、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患が好ましく、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患がより好ましく、肝細胞癌が更に好ましい。
具体的には、例えば、50mMのAAPHにて37℃60分間処理した酸化型リコンビナントL−FABPと、未処理の非酸化型リコンビナントL−FABPとを、それぞれ、
「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用してELISA測定し、標識抗体の発色強度(OD450nm)を測定した場合に、濃度25ng/mlにおいて、非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が1.4倍以上(好ましくは1.5倍以上、より好ましくは1.8倍以上、更に好ましくは2.0倍以上)高い条件における定量であることがより好ましい。
測定感度の倍率の上限値としては特に制限はないが、例えば、6倍以下又は4倍以下が挙げられる。
ここでいう「未処理の非酸化型リコンビナントL−FABP」とは、1000mMのベンズアミジン塩酸塩又は1500mMの塩化グアニジニウムの少なくとも一方にて25℃10分間処理した後、「レナプロ L−FABP テストHS(高感度)」の抗体を使用してELISA測定し、標識抗体の発色強度(OD450nm)を測定した場合に、濃度25ng/mlにおいて、50mMのAAPHにて37℃60分間処理した酸化型L−FABPに対して発色強度が0.7倍以下となるL−FABPをいう。
このような条件は、種々のタンパク質変性剤を適切な使用条件との組合せで使用することで形成可能であり、タンパク質変性作用の穏やかな物質を用いることは、使用条件の自由度が高くなる点で好ましい。ただし、タンパク質変性作用の強い物質(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))を用いても、使用条件の自由度が相応に低くはなる(低濃度、低温、短時間等の制約が加わる)が、上記条件形成が可能であり得る。
この観点で、いわゆる免疫凝集促進剤が好ましく、具体的にはカオトロピック試薬又は有機アミン化合物がより好ましい。
参考例1において後述するように、免疫凝集促進剤を適切な条件で使用する処理後の測定感度は、酸化型L−FABPについて、絶対的に著しく増大しつつ、非酸化型L−FABPに比べて相対的に高い。
したがって、免疫凝集促進剤による処理後の抗L−FABP抗体を用いる測定値と、上記処理無しの抗L−FABP抗体を用いる測定値(好ましくは、後述する酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件における測定値)との対比から、血液中の酸化型L−FABPを定量し得る。
第1の態様に係る肝疾患の検査方法において、上記定量が、カオトロピック試薬又は有機アミン化合物による処理後のL−FABPの定量であることがより好ましい。
測定に用いられる抗L−FABP抗体は上記と同様であるが、上記メチオニンの酸化により外部へ曝露される部位を認識する抗体が更に好ましい。
また、下記式(A)で表される化合物もしくはその塩又はエステル、下記式(A)で表される化合物又はその塩も好ましく用い得る。
上記アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましい。
Eb1は、窒素原子又は硫黄原子であり、
Eb2及びEb3は、それぞれ独立して、炭素原子又は窒素原子であり、
q、r、s、t及びuは、それぞれ独立して、0又は1であり、
Eb1とEb3との間の二重破線及びEb2とEb3との間の二重破線は、それぞれ独立して、単結合又は二重結合であり、上記q、r、s、t及びuの値並びにEb1とEb3との間の二重破線及びEb2とEb3との間の二重破線の結合は、Eb1〜Eb3の原子価に応じて適宜定まる値及び結合を示す。)
上記アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましい。
上記カオトロピック試薬、有機アミン化合物等の免疫凝集促進剤は1種単独で用いても、複数種を混合して用いてもよい。
酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件として、例えば、例えば、50mMのAAPHにて37℃60分間処理した酸化型リコンビナントL−FABPと、未処理の非酸化型リコンビナントL−FABPとを、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用してELISA測定し、標識抗体の発色強度(OD450nm)を測定した場合に、濃度25ng/mlにおいて、濃度において、非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が0.8倍以上1.4倍未満(好ましくは0.9倍以上1.25倍以下)の条件が挙げられる。
ここでいう「未処理の非酸化型リコンビナントL−FABP」については前述の通りである。
このような測定感度差が小さい条件は、種々のタンパク質変性剤を適切な使用条件との組合せで使用することで形成可能であり、タンパク質変性作用の強い物質を用いることは、使用条件の自由度が高くなる点で好ましい。ただし、タンパク質変性作用の穏やかな物質(例えば、上記の免疫凝集促進剤)を用いても、使用条件の自由度が相応に低くはなる(高濃度、高温、長時間等の制約が加わる)が、上記条件形成が可能であり得る。
この観点で、界面活性剤が好ましく、具体的にはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が好ましい。
上記変性処理としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて適切な濃度(例えば、0.2質量/体積%(w/v%)〜10質量/体積%、好ましくは0.4質量/体積%(w/v%)以上、0.5質量/体積%(w/v%)以上、又は0.7質量/体積%(w/v%)以上であってよい。)の界面活性剤により適切な時間(例えば、5〜60分間)処理する方法が挙げられる。
典型的には、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理することが挙げられる。
実施例の項において後述するように検査能の観点から、第3の態様に係る肝疾患の検査方法は、上記測定感度差が小さい条件における上記L−FABPの測定値と、上記非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が高い条件における測定値とに基づき、血液中のL−FABP中の酸化型L−FABPの比率に略対応する酸化率を算出する工程を更に含むことが好ましい。
「血液中のL−FABPの酸化率」は、上記酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件におけるL−FABPの測定値(例えば、標識強度)に対する上記酸化型L−FABPの測定感度が高い条件における測定値の比(例えば、下記式で表される吸光度比(OD比))に略対応し得る。
上記非酸化型L−FABPの測定感度に対して酸化型L−FABPの測定感度が高い条件におけるOD値/上記酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件におけるL−FABPのOD値
(aX+bY)(OD値)/血液中L−FABPの全濃度(OD値)
(上記式中、a、bは係数を表し、Xは酸化型L−FABPの濃度を表し、Yは非酸化型L−FABPの濃度を表す。)
係数aは酸化型L−FABPに対する抗体の反応性を表す係数であることが好ましく、係数bは非酸化型L−FABPに対する抗体の反応性を表す係数であることが好ましい。
実施例の項において後述するように、「酸化型L−FABPの量」の方が、「血液中のL−FABPの酸化率」及び「血液中L−FABPの全濃度」のそれぞれ単独の定量結果よりも高精度に検査し得るからである。
上記酸化型L−FABPの濃度は、上記酸化率と、上記酸化型L−FABP及び非酸化型L−FABPの測定感度差が小さい条件におけるL−FABPの測定値(血液中L−FABPの全濃度)との積から定量し得る。
また、非酸化型L−FABPは認識しないが、酸化型L−FABPを特異的に認識し得る抗酸化型L−FABP抗体を用いて上記酸化型L−FABPを定量することもできる。
(1)L−FABPの量の既知の正常範囲、又は慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患におけるL−FABPの量の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有するL−FABPの量の既知の範囲と、被験者におけるL−FABPの量とを比較し、被験者における上記量が、上記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
(2)酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の正常範囲、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患における酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有する酸化型L−FABPの量の既知の範囲と、被験者の酸化型L−FABPの量若しくはそれと相関するパラメータの値とを比較し、被験者における上記量若しくはそれと相関するパラメータの値が、上記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
また、第1〜4の態様に係る肝疾患の検査方法は、肝疾患早期の患者(例えば、Child−Pugh分類におけるステージAの患者)から末期肝硬変患者(ないしは肝細胞癌を有する慢性肝疾患患者)までを一貫して評価することができるが、肝疾患早期の患者から末期肝硬変患者までを一貫して評価しなくてもよい。
第1〜4の態様に係る肝疾患の検査方法は、Child−Pugh分類における脳症の程度及び腹水の程度の評価を含まず、主観的な要素を含むことなく検査することができる。
本発明の第5の態様は、L−FABP又は酸化型L−FABPを定量し得る物質を含む肝疾患検査キットであり、第1〜3の態様に係る肝疾患の検査方法に用いる検査キットであることが好ましい。
本発明の第6の態様は、肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む肝疾患コンパニオン診断薬であり、第1〜3の態様に係る肝疾患の検査方法を用いるコンパニオン診断薬であることが好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、「コンパニオン診断薬」は、個々の肝疾患患者に対する医薬品の効果、副作用のリスク、適切な投薬量を予測するために、実際に投薬を開始する前に行う検査で使用される診断薬をいう。
第5の態様に係る肝疾患検査キットにおいて、上記肝疾患の検査が、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予測、肝疾患進行リスクの予測及び肝疾患進行のモニタリングよりなる群から選択される少なくとも1種の検査が挙げられ、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予後予測、肝疾患進行リスクの予後予測及び肝疾患進行のモニタリングによる予後予測よりなる群から選択される少なくとも1種の検査がより好ましい。
第6の態様に係るコンパニオン診断薬において、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予測、肝疾患発症リスクの予測及び肝疾患進行のモニタリングよりなる群から選択される少なくとも1種のコンパニオン診断薬が好ましく、肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つの判定、肝疾患による死亡リスクの予後予測、肝疾患進行リスクとその予後予測及び肝疾患進行のモニタリングによる予後予測よりなる群から選択される少なくとも1種のコンパニオン診断薬がより好ましい。
また、上記肝疾患のコンパニオン診断薬が、肝疾患による死亡リスクの予測が好ましく、肝疾患による死亡リスクの予後の予測がより好ましい。
第6の態様に係るコンパニオン診断薬において、肝疾患の種類としては、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患が好ましく、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患がより好ましく、肝細胞癌が更に好ましい。
第5の態様に係る検査キット及び第6の態様に係るコンパニオン診断薬において、L−FABP又は酸化型L−FABPを定量し得る物質としては、酵素免疫測定法(EIA,ELISA)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光測免疫測定法(ECLIA)、蛍光抗体法(FA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウェスタンブロット法(WB)、イムノブロット法などに基づいてL−FABP又は酸化型L−FABPを定量する物質が挙げられ、具体的には、抗L−FABP抗体が好ましい。
認識部位が異なる2種類の抗体については≪肝疾患の検査方法≫において上述した通りである。
上記定量手段における吸着防止剤の含有量としては本発明の効果を損なわない限りにおいて特に制限はないが、0.05〜10質量%であることが好ましい。
第5の態様に係る肝疾患検査用キットは、上記血液中のL−FABPを界面活性剤により変性処理する手段、及び
上記変性処理後のL−FABPを定量する手段を更に備えることがより好ましい。
上記界面活性剤としては、上述の通りである。
上記変性手段としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて任意の濃度(例えば、0.2質量/体積%〜10質量/体積%)の界面活性剤により処理する手段(例えば、上記界面活性剤、任意の緩衝液等を含む変性処理液)が挙げられる。
(1)L−FABP抗体固相化マイクロプレート……抗ヒトL−FABPマウスモノクローナル抗体結合ウェル例えば、クローンL産生細胞株由来)
(2)変性処理液(例えば、任意の界面活性剤)
(3)免疫凝集促進剤処理液(例えば、カオトロピック試薬、有機アミン化合物)
(4)反応緩衝液
(5)酵素標識抗体……パーオキシダーゼ標識抗ヒトL−FABPマウスモノクローナル抗体(例えば、クローン2産生細胞株由来)
(6)酵素基質液
(7)洗浄剤(任意の緩衝液、界面活性剤等)
(8)反応停止液(1N硫酸等)
(9)標準緩衝液(任意の緩衝液等)
(10)肝型脂肪酸結合タンパク質標品
(10)肝型脂肪酸結合タンパク質標品の濃度としては特に制限はなく、例えば、10〜10000ng/mLが挙げられ、50〜5000ng/mLが好ましく、100〜1000ng/mLがより好ましく、200〜800ng/mLが更に好ましく、300〜600ng/mLが特に好ましい。
(タンパク質保存緩衝液)
10mMリン酸バッファー(pH7.2)、150mM NaCl、1.0%BSA、0.1%NaN3
50mMのAAPHにて37℃60分間処理した様々な濃度の酸化型リコンビナントL−FABPと、未処理の様々な濃度の非酸化型リコンビナントL−FABPとを、それぞれ、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理した後、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用してELISA測定を実施し、標識抗体の発色強度(OD450nm)を測定した。上記検査用キットの使用方法は通常添付されている添付文書に従った測定方法に準じて行った。
結果を図1(a)に示す。
また、SDSによる変性処理の代わりに1500mMの塩化グアニジニウムにて25℃10分間処理(以下、「GU処理」ともいう。)すること以外は同様にしてELISA測定を実施した。結果を図1(c)に示す。
この測定感度の増大は、酸化型L−FABPは抗体が認識するL−FABP内部領域が外部へ曝露される構造変化を起こすことに起因するものと考えられる。
一方、非酸化型リコンビナントL−FABPでは、L−FABP内部領域を認識する抗L−FABP抗体を測定に用いても上記抗体が認識するL−FABP内部領域が外部へ曝露される構造変化を起こしていないことから測定強度が増大していないものと考えられる。
慢性肝炎(CH)患者、肝硬変(LC)患者、Child−Pugh分類におけるステージA(以下、単に「CP A」ともいう。)の患者、ステージB(以下、単に「CP B」ともいう。)の患者及びステージC(以下、単に「CP C」ともいう。)の患者の各々の血液検体を用いて、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理した後、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用して血液中L−FABP濃度(ng/ml)を測定した。結果を図2(a)及び(b)に示す。図中**は有意水準p<0.01を、***はp<0.001をそれぞれ示す。
また、図2(b)に示した結果から明らかなように、Child−Pugh分類におけるステージAの患者からステージB、ステージCというように病態ステージが進むごとに血液中L−FABP濃度が有意に高値となり、血液中L−FABP濃度を測定することにより、慢性肝炎患者から末期肝硬変患者までを検査し得ることが分かる。
肝細胞癌(HCC)を有する慢性肝疾患患者(HCC(+))、及びHCCを有さない慢性肝疾患患者(HCC(−))の各々の血液検体を用いて、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理した後、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用して血液中L−FABP濃度(ng/ml)を測定した。結果を図3(a)に示す。図中***はp<0.001を示す。
図3(a)に示した結果から明らかなように、HCCを有さない慢性肝疾患患者に比べて、HCCを有する慢性肝疾患患者において血液中L−FABP濃度が有意に高値となることが分かり、血液中L−FABP濃度を測定することにより、慢性肝疾患患者において、更に、HCCの有無をも検査し得ることが分かる。
図3(b)に示した結果から明らかなように、HCCを有さないLC患者に比べて、HCCを有するLC患者において血液中L−FABP濃度が有意に高値となることが分かり、血液中L−FABP濃度を測定することにより、LC患者において、更に、HCCの有無をも検査し得ることが分かる。
また、図3(d)に示した結果から明らかなように、BCLC分類のステージAの患者よりもステージB〜Dの患者において高値となる傾向が認められることが分かる。
比較例1として、HCCを有するLC患者(HCC(+))、及びHCCを有さないLC患者(HCC(−))の各々の血液検体を用いて、血液中アルブミン(Alb)濃度(U/L)を測定した。結果を図3(c)に示す。
図3(c)に示した結果から明らかなように、HCC(+)とHCC(−)との間に血液中Alb濃度の有意差がないことが分かる。
慢性肝疾患のなかでも、病態が更に進行したLC患者においては、Alb合成能が低下しており、HCCの有無を検査し得ないことが分かる。
図4(a)〜(c)に示した結果から明らかなように、血液中L−FABP濃度は、PIVKA−IIと有意(p<0.0001)に相関係数r=0.518の高い相関が見られ、AFPと有意(p=0.002)に相関係数r=0.271の低い相関が見られ、AFP−L3分画と有意(p=0.004)に相関係数r=0.415の高い相関が見られた。
HCCを有する慢性肝疾患患者(HCC(+))、及びHCCを有さない慢性肝疾患患者(HCC(−))の各々の血液検体を用いて、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理した後、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用して血液中L−FABP全濃度(ng/ml)を測定した。
また、HCC(+)、及びHCC(−)の各々の血液検体を、SDSによる変性処理の代わりにGU処理すること以外は同様にしてELISA測定を実施し、GU処理後OD値/SDSによる変性処理後OD値からL−FABPの酸化率を算出した。
また、上記得られた酸化率と、上記血液中L−FABP全濃度(ng/ml)との積から酸化型L−FABPの血中濃度(ng/ml)を算出した。結果を下記表1に示す。
(比較例2)
また、比較例2として、HCC(+)、HCC(−)、死亡群、及び生存群の各々の血液検体において血清アルブミン濃度(U/L)も測定した。結果を下記表1及び2に示す。
また、HCC(−)と比べHCC(+)においてL−FABPの酸化率が高値となる傾向があること、生存群と比べ死亡群においてL−FABPの酸化率が有意に高値となることが分かる。
また、酸化率と血液中L−FABP全濃度との積から得られた酸化型L−FABPの血中濃度が、HCC(−)と比べHCC(+)において有意に高値となること、生存群と比べ死亡群において有意に高値となることが分かる。
一方、比較例2の血清アルブミン濃度はHCC(−)及びHCC(+)間において有意差がなく、生存群及び死亡群間において有意差がなく肝疾患の検査能に劣っていることが分かる。
一方、比較例2の血清アルブミン濃度についてはAUCが0.568と小さく、p値も0.29と大きく有意性がなく、肝疾患の検査能に劣っていることが分かる。
上記血液中L−FABP全濃度の上記基準値で分けた生存曲線及び上記酸化率と上記血液中L−FABP全濃度との積から得られる酸化型L−FABPの血中濃度の上記基準値で分けた生存曲線、及び血清アルブミン濃度の上記基準値で分けた生存曲線を図6(a)〜(b)に示す。
図6(b)に示した結果から明らかなように、更に、上記酸化率と上記血液中L−FABP全濃度との積から得られる酸化型L−FABPの血中濃度が基準値1.9より大きい場合と基準値1.9以下の場合との生存曲線のp値は<0.0001であり有意差が大きく、特に肝疾患の検査能に優れ、肝疾患による死亡リスクを予測し得ることが分かる。
一方、図6(c)に示した結果から明らかなように、血清アルブミン強度3.1より大きい場合と血清アルブミン濃度3.1以下の場合との生存曲線のp値は<0.02であり有意性が小さく、肝疾患の検査能に劣っていることが分かる。
また、比較のため、上記血液中L−FABP全濃度、上記酸化率と上記血液中L−FABP全濃度との積から得られる酸化型L−FABPの血中濃度、及び比較例2の血清アルブミン濃度各々についてのROC解析結果を図5から転記する。
GU処理後L−FABPの測定値の基準値4.5で分けた生存曲線を図7(b)に示す。
図7(b)に示した結果から明らかなように、GU処理後L−FABPの測定値が基準値4.5より大きい場合と基準値4.5以下の場合との生存曲線のp値は<0.0002であり有意差が大きく肝疾患の検査能に優れ、肝疾患による死亡リスク(好ましくは、定量から1100日以上先の死亡リスク)を予測し得ることが分かる。
Claims (24)
- 被験者から採取した血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を含み、
前記定量の結果に基づき、血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質の量と相関する肝疾患の進行度又は重篤度を検査する方法。 - 前記検査は、肝疾患による死亡リスクの予測を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記予測が、日数を含めた死亡リスク発生の予測である、請求項2に記載の方法。
- 被験者から採取した血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を含み、
肝硬変を含む慢性肝疾患である肝疾患の検査方法。 - 前記肝疾患が、肝硬変を含む慢性肝疾患及び肝細胞癌の併発である、請求項4に記載の方法。
- 被験者から採取した血液中の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値を定量する工程を含み、
前記定量する工程が、前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程であるか、又は
前記定量が、抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件における定量である、
血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質の量と相関する肝疾患の検査方法。 - 血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質の定量値に対する前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の定量値の比率を酸化率として求める工程を含み、
前記測定感度が高い条件が、前記酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が1.4倍以上の条件である、請求項6に記載の検査方法。 - 前記条件において、前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質が、2,2’−アゾビズ2−アミジノプロパンにより酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質であり、前記酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質が、2,2’−アゾビズ2−アミジノプロパンにより酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質である、請求項6又は7に記載の方法。
- 前記条件が、カオトロピック試薬又は有機アミン化合物による処理によって形成された条件である、請求項6に記載の検査方法。
- 前記抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件よりも、酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質及び酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度差が小さい条件にて前記肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を更に含む、請求項6〜9のいずれか1項に記載の検査方法。
- 前記測定感度差が小さい条件が、前記血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質を界面活性剤による変性処理により形成された条件である、請求項10に記載の検査方法。
- 前記測定感度差が小さい条件における前記肝型脂肪酸結合タンパク質の測定値と、前記抗原抗体反応を促進する処理を行い、かつ、酸化されていない肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度に対して酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の測定感度が高い条件における測定値とに基づき、血液中の肝型脂肪酸結合タンパク質中の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の比率に略対応する酸化率を算出する工程を更に含む、請求項10又は11に記載の検査方法。
- 前記肝疾患が、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1種の疾患である、請求項1、2、3又は6に記載の検査方法。
- 前記検査が、肝疾患による死亡リスクの予測を含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記予測が、日数を含めた死亡リスク発生の予測である、請求項14に記載の方法。
- 下記(1)及び(2)よりなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む、被験者における肝型脂肪酸結合タンパク質の量又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値に基づく肝疾患の検査方法。
(1)肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の正常範囲、又は慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患における肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有する肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲と、被験者における肝型脂肪酸結合タンパク質の量とを比較し、被験者における前記量が、前記範囲のいずれに該当するかを決定する工程
(2)酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の正常範囲、慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌よりなる群から選択される少なくとも1つの疾患における酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値の既知の範囲、又は肝疾患による死亡リスクを有する酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量の既知の範囲と、被験者の酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質の量若しくはそれと相関するパラメータの値とを比較し、被験者における前記量若しくはそれと相関するパラメータの値が、前記範囲のいずれに該当するかを決定する工程 - 肝型脂肪酸結合タンパク質のみの定量結果に基づく、請求項16に記載の方法。
- 脳症の程度及び腹水の程度の評価を含まない、請求項16又は17に記載の方法。
- 肝型脂肪酸結合タンパク質又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法に用いる肝疾患検査キット。
- 肝疾患の種類、進行度及び重篤度よりなる群から選択される少なくとも1つを検査する請求項19に記載の肝疾患検査キット。
- さらに変性処理剤を含む請求項19に記載の肝疾患検査キット。
- 前記肝型脂肪酸結合タンパク質又は前記酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質は抗L−FABP抗体であり、前記変性処理剤は界面活性剤またはドデシル硫酸ナトリウムである請求項21に記載の肝疾患検査キット。
- 肝型脂肪酸結合タンパク質又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法に用いる肝疾患コンパニオン診断薬。
- 肝型脂肪酸結合タンパク質又は酸化された肝型脂肪酸結合タンパク質からなり、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法における定量対象として用いられる肝疾患マーカー。
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