以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
図1は、以下の実施例に係る路線バスシステム1(図2参照)が適用される地域の区画を模式的に示す図である。
図1では、6×3+4×3=30区間の地域が示される。地域は、例えば坂道が多い地域であることが好適であるが、平坦な地域であってもよい。なお、区画数や形状等は任意である。各区間には、住人の家や店などが存在しうる。図1には、以下で説明する路線バス(車両の一例)2(図2参照)の停留所A1、A2、A3、A10が示される。なお、停留所の配置や数は任意である。以下では、一例として、路線バス2は、停留所A1から停留所A10に向かい、次いで、停留所A10から停留所A1まで向かい、以下、繰り返すような所定のコースを往復する態様で運行する。ただし、変形例では、路線バス2は、所定のコースを巡回する態様で運行してもよい。
路線バス2は、1台だけ運行してもよいし、複数台が同時に運行してもよい。
図2は、一実施例による路線バスシステム1の全体構成を概略的に示す図である。
本実施例では、一例として、路線バスシステム1は、登録されたユーザが利用可能である。以下では、説明上、ユーザとは、路線バスシステム1のユーザであり、路線バス2内の乗員は、乗車中のユーザを指す。ただし、路線バスシステム1は、登録されたユーザ以外も、例えば登録されたユーザの同伴者である場合等は、利用可能である。なお、変形例では、路線バスシステム1は、登録制ではなく、不特定のユーザが利用可能であってもよい。
路線バスシステム1は、路線バス2と、サーバ4と、ユーザ端末6と、プロジェクタ7と、ジェスチャ認識装置8とを含む。路線バス2、サーバ4、プロジェクタ7、及びユーザ端末6は、ネットワーク9を介して通信可能である。ネットワーク9は、無線通信網を含み、その他、インターネット、VPN(Virtual Private Network)、WAN(Wide Area Network)、有線ネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせ等を含んでもよい。
[路線バス]
図3は、路線バス2の内部を模式的に示す上面図であり、ルーフを取り外した状態で示す概略図である。
本実施例では、一例として、路線バス2は、小型のバスであり、定員が8人である。具体的には、路線バス2は、2人掛けの4列シートを備える。図3には、8つの座席S0〜S7が示される。なお、座席数や配置等は任意である。
路線バス2は、乗降が容易となるように、例えばスライドドア式である。路線バス2は、各座席へのアクセスが可能な通路を有する。
路線バス2は、室内の前方正面に大型ディスプレイD1を備える。また、路線バス2は、各座席の背面に、個別のディスプレイD2〜D7を備える。例えば、ディスプレイD2は、座席S2に座るユーザが利用可能になるように座席S2の前方の座席、すなわち座席S0の背面に取り付けられる。なお、変形例では、大型ディスプレイD1やディスプレイD2〜D7のうちの一部又は全部に代えて又は加えて、他の形態の表示装置(例えばプロジェクタや空中ディスプレイ)が利用されてもよい。空中ディスプレイとは、光を空気中で結像することで映像を生成する装置である。また、ヘッドアップディスプレイ等が利用されてもよい。
路線バス2は、可動型のスピーカー3aを備える。スピーカー3aは、各座席へのアクセスが可能な通路上を移動可能である。スピーカー3aは、例えばロボット等の形態であってもよく、ロボットの場合、二足歩行型や車輪型であってよい。なお、変形例では、可動型のスピーカー3aに代えて又は加えて、指向性が可変のスピーカーが使用されてもよい。また、更なる変形例では、可動型のスピーカー3aは省略されてもよい。また、スピーカー3aに代えて又は加えて、ディスプレイD2〜D7にスピーカーが内蔵されてもよいし、他の箇所にスピーカーが設けられてもよい。
路線バス2は、車内を撮像するカメラ3bを備える。図3では、1つのカメラ3bが室内の前方正面に後方向きに取り付けられるが、カメラ3bは、複数個設けられてもよい。カメラ3bは、乗員を認識するための画像を取得するために設けられる。ただし、カメラ3bの画像は、他の用途(例えばセキュリティ等)で利用されてもよい。
図4は、路線バス2の制御系の構成の一例を示す概略図である。
路線バス2の制御系は、処理装置10を含む。処理装置10には、CAN(controller area network)などの適切なバスを介して、車両内の各種の電子機器30(スピーカー3a、大型ディスプレイD1、ディスプレイD2〜D7、カメラ3b等)が接続されている。
電子機器30は、上述したスピーカー3a、大型ディスプレイD1、ディスプレイD2〜D7、及びカメラ3bの他、入力装置3と、自律走行用センサ3cと、制駆動力制御装置3dと、操舵制御装置3eと、GPS受信機3fとを含む。
入力装置3は、乗員が各種指示を入力するための装置である。入力装置3は、リモートコントローラ等の形態であってよく、各座席に設けられてもよい。あるいは、入力装置3は、ディスプレイD2〜D7に内蔵されてよいタッチパネルにより実現されてもよい。あるいは、入力装置3は、路線バス2内に搭載されてもよい音声認識装置やジェスチャ認識装置により実現されてもよい。この場合、音声認識装置やジェスチャ認識装置は、ロボットの形態であるスピーカー3aにより実現されてもよい。
自律走行用センサ3cは、自律走行に必要又は有用なセンサであり、例えばレーダセンサ(例えばミリ波レーダセンサ)、画像センサ(例えばステレオカメラ)、LiDAR(ライダー)、ジャイロセンサ、加速度センサ等である。電子機器30は、自律走行用に、自律走行用センサ3cに加えて、車々間通信器、路車間通信機等を備えてもよい。
制駆動力制御装置3dは、制動力制御装置としてのブレーキECU(Electronic Control Unit)、駆動力制御装置としてのエンジンECU等を含む。ブレーキECUは、目標制動力に応じて車輪のマスタシリンダ圧を制御することで、制動力を制御する。エンジンECUは、目標駆動力に応じてエンジンの燃料噴射量等を制御することで、駆動力を制御する。なお、制駆動力制御装置3dは、路線バス2が電動又はハイブリッド式である場合は、駆動力制御装置として走行用モータを制御するECUを含んでよい。
操舵制御装置3eは、目標操舵角に応じて操舵装置を制御する。
GPS受信機3fは、GPS衛星(又はGNSS:Global Navigation Satellite System衛星)からの電波を受信して、路線バス2の位置を算出する。
処理装置10は、コンピュータの形態であり、例えばECU(Electronic Control Unit)として具現化されてもよい。処理装置10は、図4に示すように、バス19で接続されたCPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、補助記憶装置14、ドライブ装置15、及び通信インターフェース17、並びに、通信インターフェース17に接続された有線送受信部25及び無線送受信部26を含む。
補助記憶装置14は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、SSD(Solid State Drive)などであり、アプリケーションソフトウェアなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
有線送受信部25は、有線ネットワークを利用して通信可能な送受信部を含む。有線送受信部25には、電子機器30が接続される。ただし、電子機器30の一部又は全部は、バス19に接続されてもよいし、無線送受信部26に接続されてもよい。
無線送受信部26は、ネットワーク9(図2参照)を利用して通信可能な送受信部である。また、無線送受信部26は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)部、ブルーツース(Bluetooth、登録商標)通信部、Wi−Fi(Wireless−Fidelity)送受信部、赤外線送受信部などを含んでもよい。
なお、処理装置10は、記録媒体16と接続可能であってもよい。記録媒体16は、所定のプログラムを格納する。この記録媒体16に格納されたプログラムは、ドライブ装置15を介して処理装置10の補助記憶装置14等にインストールされる。インストールされた所定のプログラムは、処理装置10のCPU11により実行可能となる。例えば、記録媒体16は、CD(Compact Disc)−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等であってよい。
図5は、処理装置10の機能の一例を示す機能ブロック図である。
処理装置10は、走行予定コース受信部102と、時刻表情報受信部103と、センサ情報取得部104と、車両位置情報取得部106と、目標制駆動力決定部108と、目標操舵角決定部110と、乗員状態検出部112と、情報出力制御部114と、乗員要求送信部116を含む。走行予定コース受信部102、時刻表情報受信部103、センサ情報取得部104、車両位置情報取得部106、目標制駆動力決定部108、目標操舵角決定部110、乗員状態検出部112、情報出力制御部114、及び乗員要求送信部116は、CPU11が記憶装置(例えばROM13)内のプログラムを実行することで実現できる。また、処理装置10は、走行予定コース記憶部120を含む。走行予定コース記憶部120は、例えば補助記憶装置14により実現できる。
走行予定コース受信部102は、サーバ4から走行予定コースを表す情報(以下、「コース情報」とも称する)を受信する。本実施例では、走行予定コースは、基本コースで決まっているが、後述するように、所定の場合は基本コースから変更される。なお、サーバ4は、走行予定コースを基本コースから他のコースに変更する場合だけ、変更後のコースを路線バス2に送信してもよい。
時刻表情報受信部103は、サーバ4から時刻表を表す情報(以下、「時刻表情報」と称する)を受信する。本実施例では、走行予定コースが基本コース以外のコースに変更される場合がある。このようなコースの変更は、停留所等への到着予定時刻を変化させる場合があるので、かかる到着予定時刻の変化を反映した時刻表は、到着を待つユーザにとって有用となる。
センサ情報取得部104は、自律走行用センサ3cから各種情報を取得する。
車両位置情報取得部106は、GPS受信機3fから車両位置情報を取得する。車両位置情報取得部106は、取得した車両位置情報をサーバ4に送信する。
目標制駆動力決定部108は、目標駆動力を決定する。例えば、目標駆動力は、所定の巡航速度(例えば20km/h)で定速走行するように決定される。また、目標制駆動力決定部108は、自律走行用センサ3cからの各種情報等に基づいて、必要に応じて目標制動力を決定する。例えば、障害物が検出された場合は、障害物の手前で停車するように目標制動力が決定される。目標制駆動力決定部108は、目標駆動力や目標制動力を決定すると、決定した目標駆動力及び目標制動力を制駆動力制御装置3dに与える。なお、所定の巡航速度は、可変であってもよく、その場合、所定の巡航速度は、サーバ4から指示されてよい。
目標操舵角決定部110は、目標操舵角を決定する。目標操舵角は、走行予定コースに沿って延在する道路上の白線等の認識結果に基づいて設定されてもよい。あるいは、目標操舵角は、走行予定コースの軌道と現在の路線バス2の位置や向きとの関係に基づいて決定されてよい。目標操舵角決定部110は、目標操舵角を決定すると、決定した目標操舵角を操舵制御装置3eに与える。
このようにして、目標制駆動力決定部108及び目標操舵角決定部110は、制駆動力制御装置3d及び操舵制御装置3eと協動して、自律走行用センサ3cからの各種情報に基づいて、走行予定コースに沿って路線バス2が走行するように路線バス2の自律走行を実現する。
乗員状態検出部112は、カメラ3bからの情報に基づいて、路線バス2内の乗員の状態を検出する。検出対象の乗員の状態は、乗員の座席(どの座席が使用されているか)、及び乗員のユーザIDである。乗員のユーザIDは、あらかじめ登録されたユーザの顔画像とカメラ3bからの画像内の各顔画像部とのパターンマッチングにより導出されてもよい。あるいは、乗車及び/又は降車の際にIDカードをかざす方法を採用する場合は、ユーザIDは、IDカードから取得されてもよい。IDカードは、ユーザ登録の際に作られる磁気カードであってよい。IDカードは、ユーザ端末6内に電子的に記憶されるカードであってもよい。この場合、ユーザ端末6は、近距離通信によりユーザIDを路線バス2に設けられる受信機(図示せず)に送信する。
乗員状態検出部112は、定期的に又は停留所を含む停車予定位置(乗降用の停車予定位置)ごとに、乗員の状態を検出してもよい。乗員状態検出部112は、検出した乗員の状態を表す情報(以下、「乗員状態情報」とも称する)をサーバ4に送信する。
情報出力制御部114は、スピーカー3aや、大型ディスプレイD1、ディスプレイD2〜D7等を介して、路線バス2内の乗員に向けて各種情報を出力する。各種情報及びその出力方法等は、後で詳しく説明する。
乗員要求送信部116は、乗員からの各種要求(例えば降車予定位置の変更要求)をサーバ4に送信する。乗員からの各種要求は、入力装置3を介して入力されてよい。
走行予定コース記憶部120には、コース情報が記憶される。走行予定コース記憶部120に記憶されるコース情報のデフォルトは、基本コースを表すが、走行予定コース受信部102が上述のように他のコース(変更後のコース)を表すコース情報を受信すると、走行予定コース記憶部120内のコース情報は当該受信したコース情報で置換(上書き)される。なお、複数の路線バス2が同時に運行する状況では、複数の路線バス2のそれぞれに対して、コース情報が記憶される。
[サーバ]
サーバ4は、サーバコンピュータから形成される。サーバ4は、複数のサーバコンピュータから形成されてもよい。例えば、サーバ4は、クラウドコンピュータによって実現されてもよい。また、サーバ4は、路線バス2に搭載されたコンピュータによって実現されてもよい。また、サーバ4は、1台の路線バス2に搭載されたコンピュータにより実現されてもよいが、複数の路線バス2のそれぞれに搭載された複数のコンピュータにより協働して実現されてもよい。さらに、また、サーバ4は、路線バス2に搭載のコンピュータと路線バス2に搭載されていないコンピュータとにより協働して実現されてもよい。
図6は、サーバ4の機能の一例を示す機能ブロック図である。
サーバ4は、乗車可能区間導出部400と、乗車要求受信部401と、乗車可否判定部402と、ユーザ特定部404と、予約受付部405と、降車予定位置変更受信部406と、コース変更処理部407と、時刻表生成部408と、車両状態更新部409と、座席状態更新部410と、出力制御部411と、ユーザ登録処理部412と、ジェスチャ入力処理部414とを含む。乗車可能区間導出部400、乗車要求受信部401、乗車可否判定部402、ユーザ特定部404、予約受付部405、降車予定位置変更受信部406、コース変更処理部407、時刻表生成部408、車両状態更新部409、座席状態更新部410、出力制御部411、ユーザ登録処理部412、及びジェスチャ入力処理部414は、CPU11のようなCPUが記憶装置(例えばROM13のような記憶装置)内のプログラムを実行することで実現できる。
また、処理装置10は、予約状態情報記憶部420と、乗車可能区間記憶部421と、ユーザ情報記憶部422と、コース変更判定用情報記憶部423と、車両状態情報記憶部424と、座席状態情報記憶部425と、走行予定コース記憶部426と、時刻表情報記憶部428と、広告情報記憶部430とを含む。予約状態情報記憶部420、乗車可能区間記憶部421、ユーザ情報記憶部422、コース変更判定用情報記憶部423、車両状態情報記憶部424、座席状態情報記憶部425、走行予定コース記憶部426、時刻表情報記憶部428、及び広告情報記憶部430は、例えば補助記憶装置14のような補助記憶装置により実現できる。なお、予約状態情報記憶部420、乗車可能区間記憶部421、ユーザ情報記憶部422、コース変更判定用情報記憶部423、車両状態情報記憶部424、座席状態情報記憶部425、走行予定コース記憶部426、時刻表情報記憶部428、及び広告情報記憶部430のうちの、任意の2つ以上の記憶部は、1つの記憶部として統合されてもよい。
なお、複数の路線バス2が同時に運行可能な構成では、乗車可能区間導出部400、乗車要求受信部401、乗車可否判定部402、予約受付部405、降車予定位置変更受信部406、コース変更処理部407、時刻表生成部408、車両状態更新部409、座席状態更新部410、出力制御部411、予約状態情報記憶部420、乗車可能区間記憶部421、コース変更判定用情報記憶部423、車両状態情報記憶部424、座席状態情報記憶部425、走行予定コース記憶部426、時刻表情報記憶部428、及び広告情報記憶部430は、路線バス2ごとに機能する。ただし、後述するが、コース変更処理部407は、複数の路線バス2の運行状態を考慮するために、複数の路線バス2に対して共通に機能してもよい。
乗車可能区間導出部400は、予約状態情報記憶部420内の予約状態情報(図7A参照)及び座席状態情報記憶部425内の座席状態情報(図7B参照)に基づいて、路線バス2に対してユーザが乗車可能な区間である乗車可能区間を導出する。例えば、乗車可能区間は、現在、路線バス2が満席である場合は、路線バス2が満席でなくなる位置(ある乗員が降車する降車予定位置)から始まる。乗車可能区間は、基本的には、終点までであるが、複数のユーザ間の優先度の調整のために、終点よりも前の位置までとなる場合もある。例えば、ユーザAが先に停車予定位置A3からの乗車を予約しており、ユーザAが停車予定位置A3で乗車することで路線バス2が満席となる場合、ユーザAよりも後に予約するユーザBに対しては、乗車可能区間は、位置A3までとなる。なお、路線バス2が満席でなく先の予約ユーザも存在しない場合は、乗車可能区間は、全区間となる。
乗車可能区間導出部400は、乗車可能区間を導出すると、当該乗車可能区間を表す情報(以下、「乗車可能区間情報」と称する)(図7C参照)を生成し、乗車可能区間記憶部421内に記憶する。図7Cでは、乗車可能区間とともに乗車可能人数が記憶されている。この場合、乗車可能区間導出部400は、乗車可能区間とともに、乗車可能区間ごとに乗車可能人数を算出する。
乗車要求受信部401は、後述のユーザ端末6から送信される乗車要求を受信する。乗車要求は、乗車を希望するユーザからの要求を表し、後述するように、乗車予定位置(乗車希望位置)及び降車予定位置(降車希望位置)を表す情報を含む。乗車を希望するユーザは、乗車予定位置及び降車予定位置を指定する態様で乗車要求を発生させる。また、乗車要求は、後述するように、降車予定位置への到着希望時刻(例えば許容できる最も遅い時刻)を表す情報や、同伴者がいる場合は同伴者の人数を表す情報のような、他の情報を任意的に含めることができる。なお、以下では、乗車要求に係るユーザとは、乗車要求を出したユーザ(当該乗車要求により乗車予約をしようとしているユーザ)を指す。
乗車可否判定部402は、乗車要求が取得されると、乗車要求に係るユーザの乗車(路線バス2への乗車)が可能であるか否かを判定する乗車可否判定処理を行う。例えば、乗車可否判定部402は、乗車要求に含まれる乗車予定位置及び降車予定位置に基づいて、ユーザの乗車の可否を判定する。この場合、乗車可否判定部402は、乗車可能区間記憶部421内の乗車可能区間情報(図7C参照)を利用できる。すなわち、乗車可否判定部402は、乗車予定位置及び降車予定位置が乗車可能区間内に属する場合は、乗車要求に係るユーザの乗車が可能であると判定する。
ここで、上述のように、乗車可能区間は、座席状態情報記憶部425内の座席状態情報(図7B参照)に基づいて導出される。従って、乗車可能区間記憶部421内の乗車可能区間情報を利用する場合は、路線バス2に乗車可能なユーザの数の上限値(座席数)と、現在の乗員の数と、乗員の降車予定位置とに基づいて、乗車可否判定処理が実行されることになる。これにより、乗員の降車による空席の増加を加味できる態様、乗車可否判定処理を行うことができるので、乗車可否の判定精度が向上する。
また、上述のように、乗車可能区間は、予約状態情報記憶部420内の予約状態情報(図7A参照)に基づいて導出される。従って、乗車可能区間記憶部421内の乗車可能区間情報を利用する場合は、今後路線バス2に乗車することになるユーザの数、当該ユーザの降車予定位置をも考慮して、乗車可否判定処理が実行されることになる。これにより、乗車可否判定処理での乗車可否の判定精度が更に向上する。
また、乗車可否判定部402は、乗車要求に同伴者の情報が含まれる場合は、同伴者を含む全員が乗車できるか否かを判定する。なお、予約状態情報記憶部420内の予約状態情報(図7A参照)の場合は、乗車可能人数が記憶されているので、かかる乗車可能人数の情報を利用して、同伴者を含む全員が乗車できるか否かを判定することができる。
また、乗車可否判定部402は、乗車要求に到着希望時刻や余裕度の情報が含まれる場合は、時刻表情報記憶部428内の時刻表情報に基づいて、到着希望時刻を考慮した態様で、乗車可否判定処理を行うこととしてもよい。具体的には、乗車可否判定部402は、降車予定位置での到着予定時間と到着希望時刻との関係に基づいて、ユーザの乗車の可否を判定する。この場合、到着予定時間が到着希望時刻よりも前である場合は、ユーザの乗車が可能であると判定する。更に、乗車可否判定部402は、降車予定位置での到着予定時間と到着希望時刻との関係と、余裕度とに基づいて、ユーザの乗車の可否を判定してもよい。この場合、乗車可否判定部402は、余裕度が高いほど、到着予定時間に対する到着希望時刻の遅れが許容されやすくなる態様で、乗車可否判定処理を行うこととしてもよい。
なお、乗車可否を判定する際、複数のユーザ間の優先度が考慮されてもよい。この場合、複数のユーザ間の優先度は、乗員>ユーザ(予約中のユーザ)であり、予約中のユーザ間では、先に予約したユーザ>後に予約するユーザであるが、例外があってもよい。例えば、ユーザの属性(車いす使用や、松葉づえ使用、目が見えない等)が考慮され、例えば年配者や身体障害者が優先されてもよい。
また、複数の路線バス2が同時に運行する状況において、特定の路線バス2を指定しない乗車要求に対しては、乗車可否判定部402は、複数の路線バス2の乗車可能区間情報に基づいて、複数の路線バス2のうちの、どの路線バス2に乗車可能であるかを判定してもよい。
ユーザ特定部404は、乗車要求に係るユーザIDなど、予約状態情報の更新の際に利用されるユーザID(乗車要求を送信したユーザに係るユーザID)を特定する。ここで、乗車要求は、後述するように、ユーザ端末6から送信される乗車要求と、ジェスチャ認識装置8から送信されるジェスチャ認識結果に基づいてジェスチャ入力処理部414により生成される乗車要求とがある。ユーザ端末6から送信される乗車要求の場合は、ユーザ特定部404は、例えばユーザ端末6からの送信データのヘッダ情報等に基づいて、ユーザIDを特定してよい。また、ジェスチャ入力処理部414により生成される乗車要求の場合、ユーザ特定部404は、後述するカメラ8bの画像に含まれるユーザの画像と、ユーザ情報記憶部422内のユーザ情報(図11B参照)とに基づいて、ユーザIDを特定してよい。この場合、ユーザ情報として各ユーザの顔画像(登録画像)が利用されてよい。
予約受付部405は、乗車可否判定部402により乗車要求に係るユーザの乗車が可能であると判定されると、ユーザによる路線バス2への乗車予約を受け付ける。予約受付部405は、乗車予約を受け付けると、対応する乗車予約に基づいて、予約状態情報記憶部420内の予約状態情報(図7A)を更新する。図7Aでは、ユーザIDに対応付けて、降車予定位置、乗車予定位置、余裕度、及び到着希望時刻が記憶されている。この場合、対応する乗車要求に含まれる降車予定位置及び乗車予定位置に基づいて、予約状態情報が更新される。余裕度は、乗員の余裕度(遅延に対する余裕度)を表し、後述のように乗車要求に含められる場合がある。余裕度の情報が、対応する乗車要求に含まれる場合は、当該余裕度の情報も格納される。予約状態情報の更新の際に利用されるユーザIDは、ユーザ特定部404により特定される。なお、余裕度は、“低い”場合(すなわち急いでいる場合のみ)乗車要求に含められてもよいし、多段階で指定されてもよい。また、余裕度は、降車予定位置での許容遅れ時間の形態等でユーザにより指定されてもよい。
降車予定位置変更受信部406は、後述のユーザ端末6や路線バス2の処理装置10(乗員要求送信部116)から降車予定位置の変更要求を受信する。降車予定位置変更受信部406は、ある乗員に係る降車予定位置の変更要求を受信すると、当該乗員に関して、座席状態情報記憶部425内の座席状態情報(図7B参照)のうちの、降車予定位置を変更する。
コース変更処理部407は、ユーザからの乗車要求に基づいて、走行予定コースを、基本コースから他のコースに変更する。なお、コース変更処理部407は、走行予定コースを他のコースに変えた後、他のユーザからの乗車要求に基づいて、更に、走行予定コースを、他のコースから更なる他のコース(基本コースを含む)に変更してもよい。すなわち、コース変更が可能な回数は、2回以上であってもよいし、1回だけに限られてもよい。以下では、特に言及しない限り、コース変更が可能な回数は無制限であるとする。
具体的には、コース変更処理部407は、乗車要求に含まれる乗車予定位置や降車予定位置が走行予定コース外である場合、走行予定コースを変更する。なお、後述のように、コース変更処理部407は、乗車要求に含まれる乗車予定位置や降車予定位置が走行予定コース外である場合であっても、走行予定コースを変更しない場合もありうる。
図8は、コース変更処理部407によるコース変更処理の説明図である。図8には、基本コースとして、コースR1が示されるとともに、他のコースR2、R3が示される。例えば、位置X1を乗車予定位置として指定する乗車要求が発生した場合を想定する。この場合、コース変更処理部407は、走行予定コースを、コースR1から、位置X1を通る他のコースR2に変更する場合がある。
なお、コース変更処理部407は、停車予定位置A2を降車予定位置とする乗員が存在せず、かつ、停車予定位置A2を乗車予定位置とするユーザ(乗車要求を出しているユーザ)が存在しない場合は、走行予定コースを、コースR1から、位置X1を通る他のコースR3(停車予定位置A2を通らないコースR2)に変更してもよい。この場合、コース変更処理に起因した次の停車予定位置A3に対する到着予定時刻の遅れを、低減できる。
本実施例では、一例として、コース変更処理部407は、変更コスト算出部4071と、変更可否判定部4072と、コース変更反映部4074とを含む。
変更コスト算出部4071は、走行予定コースを現在のコースから変更予定のコース(変更した場合の走行予定コース)に変更した場合のコスト(以下、「変更コスト」と称する)を算出する。変更予定のコースは、乗車要求に含まれる乗車予定位置及び降車予定位置を通るコースである。また、変更予定のコースは、すでに乗車予約済のユーザや乗員の乗車予定位置及び降車予定位置を通るコースである。変更コストは、走行予定コースを現在のコースから変更予定のコースに変更した場合の損失を表す指標値であり、本実施例では、一例として、損失が大きいほど高くなる。
変更コストは、例えば、変更による遅延時間が長くなるほど高くなり、変更による遅延が影響する乗員(例えば現在の乗員の数)が多いほど高くなり、乗員の余裕度(遅延に対する余裕度)が低いほど高くなる態様で算出されてもよい。なお、乗員の余裕度は、乗車要求に含まれる態様でサーバ4に送信されてもよい。
変更コスト算出部4071は、例えば、コース変更判定用情報記憶部423に記憶されるコース変更判定用情報に基づいて、変更コストを算出してもよい。図9Aには、コース変更判定用情報の一例が示される。図9Aでは、乗員のユーザIDごとに、降車予定位置と、乗車予定位置と、余裕度(遅延に対する余裕度)とが記憶される。この場合、変更コスト算出部4071は、各乗員の降車予定位置での到着予定時間に係る遅延時間の合計又は平均を、変更コストとして算出してもよい。この場合、変更コスト算出部4071は、余裕度が低い乗員に係る遅延時間に対しては、重み付け(例えば2倍)して算出してもよい。また、変更コストは、ユーザの属性が考慮される態様で算出されてもよい。例えば、変更コストの算出の際、ユーザの属性以外が同一の条件下において、例えば年配者や身体障害者の変更コストの方が、他のユーザの変更コストよりも大きくなる態様で重み付けされてもよい。
また、変更コストは、(現在のコース上に存在しない)乗車予定位置及び/又は降車予定位置の属性(特徴)が考慮される態様で算出されてもよい。乗車予定位置及び/又は降車予定位置の属性は、例えば坂道にある(停車が困難な位置にある)ことや、狭い道(すれ違いが困難な道)にあること、通学路であること等であってもよい。例えば、変更コストの算出の際、乗車予定位置及び/又は降車予定位置の属性以外が同一の条件下において、例えば坂道や狭い道、通学路に乗車予定位置及び/又は降車予定位置が位置する場合の方が、そうでない場合よりも大きくなる態様で重み付けされてもよい。この場合、坂道や狭い道に乗車予定位置及び/又は降車予定位置が位置する場合に変更コストを過大にすることで、実質的に坂道や狭い道のような、停車や通過が困難な乗車予定位置及び/又は降車予定位置に対応するためのコース変更が禁止されてもよい。
なお、変形例では、変更コスト算出部4071は、変更コストに代えて又は加えて、走行予定コースを変更しなかった場合のコスト(非変更コスト)を算出してもよい。非変更コストは、例えば、変更しないことによる各停留所用での到着予定時刻のずれ(定刻の到着予定時刻に対するずれ)が大きくなるほど高くなり、乗車を希望するユーザの余裕度(遅延に対する余裕度)が低いほど高くなる態様で算出されてもよい。また、複数の路線バス2が同時に運行する状況では、非変更コストは、乗車を希望するユーザの次の路線バス2の到着までの待機時間が長くなるほど高くなる態様で算出されてもよい。
変更可否判定部4072は、変更コスト算出部4071により算出された変更コストに基づいて、走行予定コースを現在のコースから変更予定のコースに変更するか否かを判定する。例えば、変更可否判定部4072は、変更コスト算出部4071により算出された変更コストが所定閾値Th1以下である場合に、変更を許可する。所定閾値Th1は、ユーザの利便性等を考慮して適合される値である。所定閾値Th1は、時間帯や曜日に応じて可変とされてもよい。
なお、変更コスト算出部4071が非変更コストを算出する変形例では、変更可否判定部4072は、変更コスト算出部4071により算出された非変更コストに基づいて、走行予定コースを現在のコースから変更予定のコースに変更するか否かを判定してもよい。例えば、変更可否判定部4072は、変更コスト算出部4071により算出された非変更コストが所定閾値Th2以上である場合に、変更を許可する。所定閾値Th2は、ユーザの利便性等を考慮して適合される値である。所定閾値Th2は、時間帯や曜日に応じて可変とされてもよい。
また、変更コスト算出部4071が変更コスト及び非変更コストを算出する変形例では、変更可否判定部4072は、変更コスト算出部4071により算出された変更コストと非変更コストとに基づいて、走行予定コースを現在のコースから変更予定のコースに変更するか否かを判定してもよい。例えば、変更可否判定部4072は、変更コスト算出部4071により算出された非変更コストが変更コストよりも大きければ、変更を許可する。なお、この場合、変更コスト及び非変更コストは、正規化された上で比較されることが望ましい。例えば、変更コスト及び非変更コストは、ユーザ当たりのコストで比較されてもよい。また、変更コストの方が非変更コストよりも重視されるように重み付けされてもよい。これは、現在の乗員の方を優先する方が理にかなっているためである。
なお、変形例では、変更コスト算出部4071を省略して、より簡易な態様でコース変更処理部407を実現してもよい。
例えば、変更可否判定部4072は、余裕度が低い乗員に係る降車予定位置での到着予定時間に対して、遅延時間を算出し、遅延時間が所定閾値Th3以下である場合に、変更を許可してもよい。あるいは、到着希望時刻を指定している乗員が存在する場合、変更可否判定部4072は、コース変更を行っても到着希望時刻以前に到着可能である場合に、変更を許可してもよい。
あるいは、変更可否判定部4072は、上述のような変更コスト、非変更コスト、余裕度、到着希望時刻等の複数の要素を総合的に評価する態様で、走行予定コースを現在のコースから変更予定のコースに変更するか否かを判定してもよい。
コース変更反映部4074は、変更可否判定部4072により変更が許可された場合に、コース変更を反映するための処理を行う。具体的には、コース変更反映部4074は、走行予定コース記憶部426内の走行予定コースを表す情報(コース情報)を更新する。すなわち、コース変更反映部4074は、走行予定コース記憶部426内のコース情報を、変更後のコースを表す情報へと書き換える。
なお、コース変更処理部407は、上述のように、複数の路線バス2の運行状態を考慮するために、複数の路線バス2に対して共通に機能してもよい。
例えば、複数の路線バス2が同時に運行する状況では、コース変更処理部407は、複数の路線バス2の間の位置的な関係に基づいて、複数の路線バス2のうちの1つ以上の路線バス2に係る走行予定コースを変更するか否かを判定してもよい。例えば、複数の路線バス2が循環している場合、所定の停留所に係る到着予定時間の間隔が均一化するように、複数の路線バス2のうちの1つ以上の路線バス2に係る走行予定コースを変更してもよい。なお、このようなコース変更は、ユーザからの乗車要求を契機とせずに実行されてもよい。
また、複数の路線バス2が同時に運行する状況では、コース変更処理部407は、複数の路線バス2の間の位置的な関係に基づいて、複数の路線バス2のうちの、どの路線バス2の走行予定コースを変更するかを判定してもよい。
この場合、例えば、コース変更処理部407は、複数の路線バス2のうちの、第1の路線バス2と、第1の路線バス2に後続する第2の路線バス2との間の間隔(走行予定コースに沿った車間距離又は車間時間)に基づいて、第2の路線バス2に係る走行予定コースを変更するか否かを判定してもよい。この場合、コース変更処理部407は、間隔が所定閾値Th4よりも短い場合に、第2の路線バス2に係る走行予定コースの変更を行うこととしてよい。所定閾値Th4は、適正な間隔の範囲の下限値に対応してよく、運行台数等に基づいて適合される。より具体的には、例えば図9Bには、第1の路線バス2及び第2の路線バス2のそれぞれの運行状態(各停車予定位置に係る到着予定時刻、及び定刻に対する遅れが示される。かかる運行状態では、第1の路線バス2及び第2の路線バス2の間隔は、適正な間隔の範囲内であるので、第1の路線バス2及び第2の路線バス2のいずれの走行予定コースも変更されないこととしてよい。あるいは、コース変更処理部407は、第2の路線バス2が定刻よりも早めに運行していることに基づいて、第2の路線バス2に係る走行予定コースを変更することとしてよい。また、図9Bの状況とは異なり、第1の路線バス2が定刻よりも早めに運行している場合は、コース変更処理部407は、第1の路線バス2に係る走行予定コースを変更することとしてよい。
あるいは、コース変更処理部407は、複数の路線バス2のうちの、コース変更による遅延時間が最も短い路線バス2から順に、走行予定コースを変更するか否かを判定してもよい。なお、複数の路線バス2のうちに、もともと走行予定コース上であり、コース変更が必要でない路線バス2が存在する場合、出力制御部411は、乗車要求に係るユーザに対して、当該路線バス2に対する乗車要求を生成するように促す通知を行ってもよい。
ここで、コース変更処理部407と上述した乗車可否判定部402とは、互いに連携して動作してもよい。例えば、コース変更処理部407が、ある路線バス2の走行予定コースを変更すると判定した場合、当該路線バス2について乗車可否判定部402が乗車の可否を判断してもよい。また、乗車可否判定部402が路線バス2に乗車可能なユーザの数の上限値(座席数)と、現在の乗員の数と、乗員の降車予定位置に基づいてのみ乗車可否を判定しかつ乗車可能であると判定した場合に、当該路線バス2についてコース変更処理部407がコース変更の可否を判断してもよい。
時刻表生成部408は、走行予定コース記憶部426内の走行予定コースが更新されると、時刻表情報記憶部428内の時刻表情報を更新する。図10には、時刻表情報記憶部428内の時刻表情報の一例が示される。図10には、説明用に、走行予定コースの変更前の時刻表情報D801と、走行予定コースの変更後の時刻表情報D802が示される。時刻表情報D802では、停車予定位置X1が追加された場合のデータである。なお、停車予定位置X1は、前出の図8に示すように、基本コースであるコースR1上に存在しない位置である。時刻表情報は、過去の実績(統計的なデータ)に基づいて導出されてもよいし、巡航速度と各停留所までの距離(既知)に基づいて計算により導出されてもよい。
車両状態更新部409は、路線バス2の車両状態を表す情報を更新する。車両状態は、路線バス2の位置を含み、路線バス2の他の状態(例えばブレーキの作動の有無等)を含んでよい。例えば、車両状態更新部409は、路線バス2の処理装置10の車両位置情報取得部106から車両位置情報を受信すると、車両状態情報記憶部424内の車両状態情報を更新する。
また、車両状態更新部409は、後述する街モビアプリ5(ユーザ端末6に実装されるアプリケーション)又はプロジェクタ7からの要求に応じて、車両位置情報をユーザ端末6又はプロジェクタ7に向けて送信する。なお、車両状態更新部409は、予約中のユーザに係るユーザ端末6又はプロジェクタ7に対して、プッシュ型の通知態様で、車両位置情報を送信してもよい。
座席状態更新部410は、路線バス2の座席の状態を表す情報を更新する。座席の状態は、各座席の占有の有無、座席を占有しているユーザの識別情報等を含んでよい。座席状態更新部410は、路線バス2の処理装置10の乗員状態検出部112から乗員状態情報を受信すると、座席状態情報記憶部425内の座席状態情報を更新する。図7Bには、座席状態情報記憶部425内の座席状態情報の一例が示される。図7Bでは、座席ごとに、乗員の有無、乗員が存在する場合は、当該乗員のユーザID、降車予定位置、及び余裕度(余裕度は、取得された場合のみ)が、座席に対応付けて記憶されてもよい。なお、降車予定位置及び余裕度は、乗車予約に含まれる情報であるので、当該情報は、座席状態情報を生成する際に、乗員のユーザIDに紐付けられる態様で利用できる。
出力制御部411は、路線バス2、ユーザ端末6、及びプロジェクタ7を介して、ユーザに対して各種情報を出力する。
出力制御部411は、乗車可能区間通知部4110と、時刻表通知部4112と、コース情報通知部4114と、乗車要求変更依頼部4116と、ジェスチャ入力案内部4118と、車内広告出力部4120と、降車案内出力部4122とを含む。
乗車可能区間通知部4110は、必要に応じて、乗車可能区間記憶部421内の乗車可能区間情報を、後述のユーザ端末6やプロジェクタ7に送信してよい。例えば、乗車可能区間通知部4110は、プッシュ型の通知態様で、乗車可能区間記憶部421内の乗車可能区間情報をユーザ端末6又はプロジェクタ7に向けて送信してもよい。例えば、乗車可能区間通知部4110は、上述のように乗車可能区間導出部400が乗車可能区間記憶部421内の乗車可能区間情報を更新すると(すなわち乗車可能区間の変更があった場合に)、ユーザ端末6又はプロジェクタ7に向けて送信してもよい。乗車可能区間情報がユーザ端末6やプロジェクタ7に受信され出力されると、ユーザは、どの区間で乗車が可能かを容易に把握できるので、利便性が向上する。
時刻表通知部4112は、時刻表生成部408が時刻表情報記憶部428内の時刻表情報を更新すると、更新後の時刻表情報を処理装置10に向けて送信する。時刻表情報は、上述のように、路線バス2の処理装置10の時刻表情報受信部103により受信されることになる。時刻表情報受信部103により受信された時刻表情報は、処理装置10の情報出力制御部114により、路線バス2内で大型ディスプレイD1やディスプレイD2〜D7を介して出力される。これにより、路線バス2内の乗員は、時刻表情報の変化等を適宜把握できるので、利便性が向上する。
また、時刻表通知部4112は、後述する街モビアプリ5(ユーザ端末6に実装されるアプリケーション)又はプロジェクタ7からの要求に応じて、時刻表情報記憶部428内の時刻表情報をユーザ端末6又はプロジェクタ7に向けて送信する。なお、時刻表通知部4112は、プッシュ型の通知態様で、時刻表情報記憶部428内の時刻表情報をユーザ端末6又はプロジェクタ7に向けて送信してもよい。例えば、時刻表通知部4112は、時刻表生成部408が時刻表情報記憶部428内の時刻表情報を更新すると(すなわち走行予定コースの変更があった場合に)、ユーザ端末6又はプロジェクタ7に向けて送信してもよい。時刻表情報がユーザ端末6やプロジェクタ7に受信され出力されると、ユーザは、時刻表情報の変化等を適宜把握できるので、利便性が向上する。
コース情報通知部4114は、上述のようにコース変更処理部407により更新したコース情報を処理装置10に向けて送信する。当該コース情報は、上述のように、路線バス2の処理装置10の走行予定コース受信部102により受信されることになる。走行予定コース受信部102により受信されたコース情報は、処理装置10の情報出力制御部114により、路線バス2内で大型ディスプレイD1やディスプレイD2〜D7を介して出力される。これにより、路線バス2内の乗員は、走行予定コースの変更を適宜把握できるので、利便性が向上する。ここで、処理装置10の情報出力制御部114は、走行予定コースが基本コースから変更された場合は、走行予定コースが基本コースから変更されていることがわかる態様で、走行予定コースを出力してもよい。例えば、走行予定コースが基本コースから変更されている場合は、所定のマークを付与したり、表示の色を異ならせたり、“変更しています”といった文字情報や音声情報を付加したり等することで、乗員にとって、走行予定コースが基本コースから変更されていることが分かりやすくなり、利便性が向上する。
また、コース情報通知部4114は、後述する街モビアプリ5(ユーザ端末6に実装されるアプリケーション)又はプロジェクタ7からの要求に応じて、変更後のコースを表すコース情報をユーザ端末6又はプロジェクタ7に向けて送信する。なお、コース情報通知部4114は、プッシュ型の通知態様で、走行予定コース記憶部426内のコース情報をユーザ端末6又はプロジェクタ7に向けて送信してもよい。例えば、コース情報通知部4114は、走行予定コース記憶部426内のコース情報を更新すると(すなわち走行予定コースの変更があった場合に)、ユーザ端末6又はプロジェクタ7に向けて送信してもよい。コース情報がユーザ端末6やプロジェクタ7に受信され出力されると、ユーザは、走行予定コースの変更を適宜把握できるので、利便性が向上する。ここで、ユーザ端末6やプロジェクタ7は、走行予定コースが基本コースから変更された場合は、走行予定コースが基本コースから変更されていることがわかる態様で、走行予定コースを出力してもよい。例えば、走行予定コースが基本コースから変更されている場合は、所定のマークを付与したり、表示の色を異ならせたり、“変更しています”といった文字情報や音声情報を付加したり等することで、ユーザにとって、走行予定コースが基本コースから変更されていることが分かりやすくなり、利便性が向上する。
乗車要求変更依頼部4116は、上述のコース変更処理部407の変更可否判定部4072により変更が許可されない場合に、対応するユーザに対して、その旨の情報を通知するとともに、新たな乗車要求(乗車予定位置及び/又は降車予定位置を変更した乗車要求)を要求する。なお、かかる通知及び要求は、後述のユーザ端末6やプロジェクタ7を介して実現されてよい。この場合、ユーザは、走行予定コースの変更ができなかった旨を把握し、新たな乗車要求のための入力等を行うことができる。
また、乗車要求変更依頼部4116は、複数の路線バス2が同時に運行している状況において、他の路線バス2への乗車が可能な場合等に、ユーザに他の路線バス2への乗車要求に変更等を要求してよい。同様に、かかる要求は、後述のユーザ端末6やプロジェクタ7を介して実現されてよい。
ジェスチャ入力案内部4118は、後述のジェスチャ入力処理部414と協動して、プロジェクタ7及びジェスチャ認識装置8に対して各種情報を出力する。これについては後述する。
車内広告出力部4120は、路線バス2の情報出力制御部114と協動して、路線バス2内の乗員に対して各種広告情報を出力する。出力対象の広告情報は、広告情報記憶部430内に記憶される。図11Aには、広告情報記憶部430内に記憶される広告情報の一例が示される。図11Aでは、停留所又は停車予定位置(コース変更に伴う臨時的な停留所)ごとに、広告主の情報と広告データとが対応付けられている。なお、広告データは、音声データや映像データの形式であってよい。
車内広告出力部4120は、車両状態情報記憶部424内の車両状態情報に基づいて、所定の広告出力タイミングを検出すると、広告情報記憶部430内の広告情報に基づいて、次の停車予定位置に対応付けられている広告データを抽出する。所定の広告出力タイミングは、任意であるが、次の停車予定位置に向けて路線バス2が出発したタイミングに同期してよい。そして、車内広告出力部4120は、抽出した広告データを出力するように処理装置10に指示する。処理装置10の情報出力制御部114は、当該指示を受けると、大型ディスプレイD1及び内蔵のスピーカーを介して、及び/又は、スピーカー3aを介して、広告データを出力する。
また、車内広告出力部4120は、上述のコース変更処理部407によりコース変更があった場合に、次の停車予定位置(例えば変更前には停車予定位置ではなかったが、コース変更に伴う新たな停車予定位置)に対応付けられている広告データを抽出し、抽出した広告データを出力するように処理装置10に指示する。処理装置10の情報出力制御部114は、当該指示を受けると、大型ディスプレイD1及び内蔵のスピーカーを介して、及び/又は、スピーカー3aを介して、広告データを出力する。例えば、前出の図8で示すような状況において、走行予定コースがコースR1からコースR2(又はコースR3)に変更された場合を想定する。この場合、次の停車予定位置が停留所A2から位置X1に変更されることになり、図11Aでは、位置X1に対応付けられた広告データ(「広告データ00X0」)が出力されることになる。
降車案内出力部4122は、路線バス2の情報出力制御部114と協動して、路線バス2内の乗員に対して降車案内を出力する。具体的には、降車案内出力部4122は、車両状態情報記憶部424内の車両状態情報に基づいて、次の停車予定位置に路線バス2が近くなることを検出すると、座席状態情報記憶部425内の座席状態情報に基づいて、次の停車予定位置を降車予定位置とする乗員を探索する。そして、降車案内出力部4122は、次の停車予定位置を降車予定位置とする乗員に対して、降車案内を個別的に行うように処理装置10に指示する。処理装置10の情報出力制御部114は、当該指示を受けると、ディスプレイD2〜D7のうちの、当該乗員に対応付けられたディスプレイ及び内蔵のスピーカーを介して、及び/又は、スピーカー3aを介して、降車案内を出力する。例えば、図7Bに示す例の場合、次の停車予定位置が停留所A3であるとすると、停留所A3を降車予定位置とする乗員は、座席S2、S3に着席している。この場合、座席S2、S3に対応付けられたディスプレイD4、D5を介して降車案内が実現されてよい。
ここで、スピーカー3aを利用する場合は、スピーカー3aは、当該乗員の近くまで移動した上で、降車案内を音声で出力する。例えば、図7Bに示す例の場合、次の停車予定位置が停留所A3であるとすると、停留所A3を降車予定位置とする乗員は、座席S2、S3である。この場合、スピーカー3aは、座席S2、S3の近くまで移動した上で、降車案内を出力する。なお、指向性が可変のスピーカーを用いる場合は、対応する乗員付近が最も指向性が高くなるように、指向性を設定した上で降車案内を音声で出力してもよい。この場合、指向性が可変のスピーカーは、各座席に対応できるように、路線バス2の天井に設けられてもよいし、複数個設けられてもよい。
降車案内の態様は任意であるが、本実施例では、座席状態情報に基づく乗員の名前を利用して、親近感のある降車案内を実現してもよい。例えば、「ゲンさん、次ですよ!」といった具合である。例えば、図7Bに示す例の場合、次の停車予定位置が停留所A3であるとすると、停留所A3を降車予定位置とする乗員は、乗員のユーザIDは“0001”及び“0002”である。乗員のユーザID“0001”及び“0002”は、ユーザ情報記憶部422内のユーザ情報(図11B)から、名前が“ゲン”及び“ハナ”である。従って、この場合、例えば、「ゲンさんとハナさん、次、降りますよ!」といったメッセージが出力される。
なお、変形例では、座席に設けられる振動体(又はマッサージ器)を利用して、当該乗員が寝ている場合などに、当該乗員を起こすようにしてもよい。あるいは、香り等を噴出することで、当該乗員の覚醒を誘引してもよい。
ユーザ登録処理部412は、路線バスシステム1のユーザ登録のための処理を実行する。なお、ユーザは、複数の地域に対してそれぞれ存在しうる路線バスシステム1ごとに登録されてもよいし、全ての路線バスシステム1に共通に登録されてもよい。図11Bには、ユーザ情報記憶部422に記憶されるユーザ情報の一例が示される。図11Bでは、ユーザIDごとに、ユーザの名前、ユーザの顔の画像データが記憶されている。なお、上述のように、IDカードを利用するユーザは、顔の画像データの登録は省略されてもよい。ただし、この場合、どのユーザがどの座席に座っているかが判定不能となるので、かかる判定が可能となるように、例えば座席ごとに、IDカードをかざすための受信機が設けられてもよい。なお、ユーザの名前は、ニックネームであってもよいし、名字を含むフルネームであってもよい。また、後述の降車位置の案内サービスが不要なユーザは、ユーザの名前の登録は省略されてもよい。
ジェスチャ入力処理部414は、出力制御部411のジェスチャ入力案内部4118とともに、後述のプロジェクタ7及びジェスチャ認識装置8と協動して、ジェスチャ入力が可能なユーザインターフェースを実現する。具体的には、ジェスチャ入力処理部414は、ジェスチャ認識装置8から取得するジェスチャ認識結果に基づいて、ユーザの乗車要求を生成する。ジェスチャ入力処理部414の更なる詳細は、後で行うジェスチャ認識装置8の説明の際に併せて説明する。
予約状態情報記憶部420には、上述のように、予約状態情報(図7A参照)が記憶される。なお、予約状態情報は、現在の予約中のユーザだけを示し、当該ユーザが乗車すると当該ユーザに係る情報は削除される。図7Aでは、ユーザIDが“0005”及び“0004”の2人が予約中であることが示されている。
乗車可能区間記憶部421には、上述のように、乗車可能区間情報(図7C参照)が記憶される。図7Cでは、乗車区間ごとに乗車可能人数が対応付けられている。“1”以上の乗車可能人数が対応付けられている乗車区間は、乗車可能区間である。なお、乗車可能区間情報は、新たな乗車要求が受信されると(乗車予約が実行されると)更新される。また、乗車可能区間情報は、路線バス2が、ある停留所を通過すると又は当該停留所から発車すると、当該停留所からの乗車区間での乗車が不能となる態様で更新される。図7Cでは、路線バス2が例えば停留所A1を出発した後の乗車可能区間情報であり、従って、停留所A1〜停留所A10までの乗車区間A1−A10のような、停留所A1から始まる乗車区間に対しては、乗車が不能であることが示される(乗車可能人数が“−”であり、1以上でない)。
ユーザ情報記憶部422には、上述のように、ユーザ情報(図11B参照)が記憶される。なお、ユーザ情報は、図11Bに示した情報以外にも、年齢、性別、自宅の住所等のような他の情報を含んでもよい。
コース変更判定用情報記憶部423には、上述のように、コース変更判定用情報(図9A参照)が記憶される。なお、複数の路線バス2が同時に運行する状況では、図9Bに示すような運行状態を示す情報が、コース変更判定用情報としてコース変更判定用情報記憶部423に記憶されてもよい。なお、コース変更判定用情報は、座席状態情報記憶部425内の座席状態情報や時刻表情報記憶部428内の時刻表情報に基づく情報であるので、座席状態情報記憶部425内の座席状態情報や時刻表情報記憶部428内の時刻表情報が代用されてもよい。この場合、コース変更判定用情報記憶部423は省略されてよい。
座席状態情報記憶部425には、上述のように、座席状態情報(図7B参照)が記憶される。
走行予定コース記憶部426には、上述のように、現在の走行予定コースを表すコース情報が記憶される。例えば、現在の走行予定コースが図8に示すコースR1である場合は、コースR1を表すコース情報が記憶される。
時刻表情報記憶部428には、上述のように、時刻表情報(図9B参照)が記憶される。時刻表情報は、図9Bに示すように、定刻に対する遅れを表す情報を含んでよい。なお、時刻表情報は、一般的な時刻表情報とは異なり、上述のようにコース変更に伴って動的に変化する。
広告情報記憶部430には、上述のように、広告情報(図11A参照)が記憶される。広告情報は、広告内容の変更等に応じて適宜更新されてよい。
なお、本実施例において、上述したサーバ4の機能のうちの一部又は全部は、路線バス2の処理装置10により実現されてもよいし、逆に、上述した路線バス2の処理装置10の機能のうちの一部は、サーバ4により実現されてもよい。例えば、前者の場合として、サーバ4の車内広告出力部4120及び広告情報記憶部430は、路線バス2の処理装置10により実現されてもよい。
[ユーザ端末]
ユーザ端末6は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウエアラブル端末、ゲーム端末、ノートパソコン等であってよい。また、ユーザ端末6は、ユーザの自宅等に固定的に設けられる、ラップトップコンピュータのような固定端末であってもよい。
ユーザ端末6には、路線バスシステム1を利用する際に便利なアプリケーション(以下、「街モビアプリ5」とも称する)が実装される。なお、路線バスシステム1のユーザは、街モビアプリ5のダウンロードが推奨される。街モビアプリ5は、ユーザ端末6内の記憶装置(図示せず)に記憶され、ユーザ端末6内のCPU(図示せず)により実行されることで、後述する各種機能を実現する。
街モビアプリ5は、路線バス2の運行状態を表す情報(以下、「運行情報」と称する)を出力する機能を有する。街モビアプリ5は、サーバ4との通信(ユーザ端末6内の通信機能を介した通信)により、運行情報を取得する。運行情報は、例えば、コース情報と、時刻表情報と、車両位置情報とを含む。また、運行情報は、乗車可能区間情報を含んでもよい。
図12Aは、運行情報の出力例の説明図であり、ユーザ端末6のディスプレイ(図示せず)上の画面G11を概略的に示す図である。図12Aでは、画面G11には、現在の日時とともに、地域の区画を表す画像G110と、現在の走行予定コースを表す画像G1101と、現在の路線バス2の位置を表す画像G1102と、路線バス2の各停車予定位置(走行予定コース上の停車予定位置)に係る到着予定時刻を表す画像G1103とが示される。画像G1101は、運行情報に含まれるコース情報に基づいて生成され、画像G1102は、運行情報に含まれる車両位置情報に基づいて生成され、画像G1103は、運行情報に含まれる時刻表情報に基づいて生成される。なお、図12Aに示す画面G11は、サーバ4から送信される運行情報に基づいて街モビアプリ5により生成されるが、変形例では、サーバ4は、図12Aに示す画面G11の画像データをユーザ端末6に送信してもよい。この場合、街モビアプリ5は、サーバ4から受信した画像データを、ユーザ端末6のディスプレイ上に表示する。
また、街モビアプリ5は、ユーザ端末6のユーザからの入力に応じて、乗車要求を生成し、サーバ4に送信する機能を有する。また、街モビアプリ5は、ユーザ端末6のユーザからの入力に応じて、降車予定位置の変更要求を生成し、サーバ4に送信する機能を有する。街モビアプリ5は、その他、上述したようなユーザ情報の登録のために利用されてもよい。
このようにしてユーザ端末6上に運行情報が出力されることで、ユーザは、最新の路線バス2の運行状態を把握でき、利便性が向上する。特に、本実施例では、上述のように、路線バス2の走行予定コースが変更される場合があるので、運行情報の出力の有用性が増す。この点、街モビアプリ5は、路線バス2の走行予定コースの変更があるごとに運行情報が出力されるように構成されてもよい。
また、街モビアプリ5は、運行情報の出力に代えて又は加えて、上述した乗車可能区間情報をサーバ4から取得して、ユーザ端末6のディスプレイ(図示せず)上に出力してもよい。図12Bには、乗車可能区間情報(運行情報の一例)の出力例が示される。図12Bでは、路線バス2が停留所A1と停留所A2の間に位置し、停留所A2から停留所A10までの乗車区間、停留所A2から停留所A3までの乗車区間、及び停留所A3から停留所A10までの乗車区間が乗車可能であることが示される。これにより、ユーザは、どの区間で乗車が可能であるかを容易に把握でき、利便性が向上する。
また、図12Bでは、画面G41は、乗車可能区間情報として、区間を表す矢印の画像部G1120とともに、乗車可能人数を表す画像部分G1121を備える。これにより、ユーザは、どの区間で何人だけ乗車が可能であるかを容易に把握でき、利便性が向上する。これは、特にユーザが同伴者を有する場合に有用となる。
なお、複数の路線バス2が同時に運行する場合は、図12Bに示す画面G41は、路線バス2ごとに用意されてもよい。図12Aに示す画面G11についても同様である。これらの場合、ユーザは、複数の路線バス2のうちの、所望の路線バス2を選択することで、当該路線バス2に係る画面G41等が出力される。
図12Cは、複数の路線バス2が同時に運行する場合に好適な運行情報の出力例の説明図であり、ユーザ端末6のディスプレイ(図示せず)上の画面G51を概略的に示す図である。
図12Cでは、ある停留所における時刻表情報の出力例が示される。図12Cでは、10:15から15分刻みで路線バス2が、当該停留所に到着する予定であることがわかる。図12Cでは、次発である10:30に到着予定の路線バス2と、次々発である10:45に到着予定の路線バス2とについて、走行予定コースの情報が併せて出力されている。到着予定時刻10:30等は、上述のようにコース変更が発生した場合には変化しうる。なお、現在時刻は例えば10:20であり、先発である10:15に係る路線バス2は出発済みであるものとする。このようにして、直近に到着する限られた数の路線バス2についてのみ、走行予定コースの情報が表示されてもよい。この場合、限られた表示スペースを効率的に利用しつつ、時刻表情報とともにコース情報を表示でき、ユーザの利便性が向上する。なお、図12Cでは、図示されていないが、路線バス2の現在位置を示す車両位置情報が併せて表示されてもよい。
図13は、乗車要求の受付画面(予約受付用情報)の出力例の説明図であり、ユーザ端末6のディスプレイ(図示せず)上の画面G12〜G14を概略的に示す図である。
図13に示す例では、ユーザ端末6のディスプレイ上の画面は、ユーザによる入力に応じて、画面G12〜G14間で遷移する。
画面G12は、乗車予定位置を入力する画面であり、例えば図12Aに示す画面G11の「予約画面へ」ボタンを操作することで遷移される画面であってもよいし、街モビアプリ5を起動すると表示される初期画面であってもよい。画面G12には、乗車予定位置として、3つの候補「停留所A2」、「自宅」及び「その他」が示される。乗車予定位置の候補は、サーバ4から送信される乗車可能区間情報に基づいて表示されてよい。この場合、画面G12において、乗車予定位置の候補は、当該ユーザが当該候補の位置で路線バス2に乗車可能な場合に限り表示されることになる。従って、例えば路線バス2が満席である場合は、乗車予定位置の候補は、路線バス2が満席でなくなる場所(いずれかの乗員の降車予定位置)よりも先の位置(走行予定コースで走行した場合に今後到達することになる位置)から決定される。なお、変形例では、乗車可能区間情報に代えて、乗車予定位置の候補を表す情報がサーバ4から街モビアプリ5に送信されてもよい。
3つの候補「停留所A2」、「自宅」及び「その他」を示す各画面部は、例えばタッチスイッチの形態のボタン部であってよい。この場合、ユーザは、3つの候補「停留所A2」、「自宅」及び「その他」のうちから所望の乗車予定位置を選択することで、乗車予定位置を入力できる。なお、「その他」を操作すると、他の停留所等が候補として表示されてもよい。この場合、候補は、所定条件を満足する位置としてあらかじめ規定されていてよい。所定条件は、上述した変更コストが高くならないようにする条件であってよい。例えば、所定条件は、狭い道や坂道など路線バス2が停車や通過が困難な位置が除外されるような条件である。なお、この場合、候補は、道路状況等の変化に応じて可変であってもよい。例えば、工事や落石のような、臨時的な走行不能又は走行困難な道上の候補は、一時的に候補から除外されてもよい。画面G12で乗車予定位置を入力すると、画面G12は、画面G13に遷移する。
画面G13は、降車予定位置を入力する画面であり、上述のように画面G12で乗車予定位置を入力することで遷移される画面であってもよい。画面G13には、乗車予定位置として、複数の候補「停留所A3」、・・・、「その他」が示される。停留所A3は、現在の走行予定コースに沿って停車予定の停留所であってよい。複数の候補「停留所A3」、・・・、「その他」を示す各画面部は、例えばタッチスイッチの形態であってよい。この場合、ユーザは、複数の候補「停留所A3」、・・・、「その他」のうちから所望の降車予定位置を選択することで、降車予定位置を入力できる。画面G13で降車予定位置を入力すると、画面G13は、画面G14に遷移する。
画面G14は、予約完了画面であり、図13に示す例では、1分後の11:50の時刻に乗車予定位置に路線バス2が到着することを示している。
なお、街モビアプリ5は、画面G13から画面G14に遷移させる際に、入力された乗車予定位置及び降車予定位置を表す情報を含む乗車要求をサーバ4に送信する。
図14Aは、乗車要求の受付画面の他の出力例の説明図であり、ユーザ端末6のディスプレイ(図示せず)上の画面G111を概略的に示す図である。
図14Aに示す例では、簡易な乗車要求の受付画面を実現する場合を示し、例えば高齢者等にとって使いやすい態様となりうる。具体的には、画面G111は、画面の大部分を占める態様で、タッチスイッチの形態の乗車ボタンを示す画面部G151を含む。画面G111は、例えば図12Aに示す画面G11の「予約画面へ」ボタン(タッチスイッチの形態)を操作することで遷移される画面であってもよいし、街モビアプリ5を起動すると表示される初期画面であってもよい。ユーザは、画面部G151を操作することで、簡易に予約を行うことができる。この場合、街モビアプリ5は、画面部G151が操作されると、乗車予定位置及び降車予定位置を表す情報を含む乗車要求をサーバ4に送信する。この場合、乗車要求に含まれる乗車予定位置としては、現在のユーザの位置(ユーザ端末6のGPS受信機により測位される位置)に最も近い停留所が自動的に選択され、乗車要求に含まれる降車予定位置としては、終点が自動的に選択されてもよい。なお、図14Aに示す例で、画面部G151が操作されると、画面G111は、図13に示した画面G14のような予約完了画面に遷移されてよい。
図14Bは、乗車要求の受付画面の他の出力例の説明図であり、ユーザ端末6のディスプレイ(図示せず)上の画面G113を概略的に示す図である。
図14Bに示す画面G113は、複数の路線バス2が同時に運行している状況下で好適である。画面G113では、複数の路線バス2(3台分だけ図示)の予約が可能であり、路線バス2ごとに、コースアイコンG120と、予約ボタンG122と、到着予定時刻表情報を示す画面部G123と、到着順序を示す画面部G124とが対応付けられている。画面G113は、ユーザが街モビアプリ5を起動し、乗車予定位置を入力した場合に表示される画面であってよい。この場合、画面部G123が示す到着予定時刻表情報は、入力した乗車予定位置での到着予定時刻である。
ユーザは、画面G113における一のコースアイコンG120を操作することで、対応する路線バス2の現在の走行予定コースを表示させることができる。この場合、例えば、図12Aに示した画面G11のような画面が表示されてもよい。これにより、ユーザは、各路線バス2の現在の走行予定コースを容易に確認できる。
ここで、上述のコース変更があった路線バス2に係るコースアイコンG120には、コース変更があったことを示すマークM1が付与されてもよい。これにより、ユーザは、当該路線バス2の走行予定コースが基本コースから変更されていることを容易に把握できる。
このようにして乗車要求の受付画面(予約受付用情報)は多様な態様で実現できる。例えば、図12Bに示した画面G41は、乗車要求の受付画面(予約受付用情報)として機能してもよい。この場合、画像部G1120がタッチスイッチの形態であり、画像部G1120を操作することで、当該画像部G1120に対応付けられた乗車区間に対する乗車要求が生成されてもよい。この場合、ユーザは、乗車予定位置等を入力しなくてよいので、利便性が向上する。
図15Aは、ユーザが同伴者(ユーザ登録されていない同伴者)を伴う場合に同伴者の人数の情報を含めるための乗車要求の受付画面の他の出力例の説明図であり、ユーザ端末6のディスプレイ(図示せず)上の画面G130を概略的に示す図である。
画面G130は、単独の画面であり、乗車要求の受付画面中の同伴者ボタン(図示せず)を操作することで表示されてもよい。あるいは、画面G130は、例えば図13に示した画面G12の一部に組み込まれてもよい。画面G130では、同伴者の人数を表す画面部G131と、同伴者の人数を増やすボタン部G132と、同伴者の人数を減らすボタン部G133とを含む。かかる画面G130を利用することで、ユーザは、同伴者の人数を容易に指定できる。なお、同伴者の人数を表す情報は、乗車要求とともにサーバ4に送信されてよい。
図15Bは、余裕度の情報や到着希望時刻の情報を含める場合の乗車要求の受付画面の他の出力例の説明図であり、ユーザ端末6のディスプレイ(図示せず)上の画面G140を概略的に示す図である。
画面G140は、単独の画面であり、乗車要求の受付画面中の余裕度ボタン(図示せず)を操作することで表示されてもよい。あるいは、画面G140又は後出のボタン部G141やボタン部G142は、例えば図13に示した画面G12の一部に組み込まれてもよい。画面G140では、余裕度が低いことを表すボタン部G141と、到着希望時刻を指定するためのボタン部G142を含む。ボタン部G142は、操作されると、時間及び分のスクロールが可能なインターフェースとなり、時間が指定できるように構成される。かかる画面G140を利用することで、ユーザは、時間に対する余裕度や、到着希望時刻を容易に指定できる。
なお、本実施例において、上述したサーバ4の機能のうちの一部は、街モビアプリ5により実現されてもよいし、逆に、上述した街モビアプリ5の機能のうちの一部は、サーバ4により実現されてもよい。
また、本実施例では、ユーザ端末6を入出力媒体(各種情報の入出力の媒体)として説明したが、入出力媒体として空中ディスプレイ、ショーウィンドウのディスプレイを用いてもよい。
[プロジェクタ]
図16は、プロジェクタ7の配置例を示す説明図であり、配置場所の住宅地を模式的に示す図である。図17は、プロジェクタ7の構成の一例を示す図である。図18は、プロジェクタ7の投映方向の制御に用いるマップの一例を示す図である。
プロジェクタ7は、投映画像を投映する装置である。プロジェクタ7は、例えばプロジェクションマッピングを利用する装置であってもよい。プロジェクタ7は、路線バス2の運行状態を示す情報(運行情報)を壁面及び路面の少なくともいずれか一方を投映面として投映する。プロジェクタ7は、通信モジュール7aを備え、通信モジュール7aによるサーバ4との通信により、サーバ4から運行情報を取得する。運行情報は、例えば、コース情報と、時刻表情報と、車両位置情報とを含む。
プロジェクタ7は、基本コース上の停留所や、基本コース又はそれ以外のコース上の停留所となりうる位置に設けられる。すなわち、プロジェクタ7は、停留所又は停留所となりうる位置付近に投映画像が出力されるように設けられる。これにより、ユーザは、停留所又は停留所となりうる位置で路線バス2を待ちながら、投映画像を見ることができる。なお、プロジェクタ7は、運行情報等に係る投映画像以外にも、エンターテイメント系の投映画像を出力してもよい。この場合、路線バス2を待つユーザに待機時間を長く感じさせないようにすることができる。
図16では、プロジェクタ7は、電柱のような高所に設置されている。プロジェクタ7は、好ましくは、投映方向が可変となるようにモータ7b(図17参照)を備える。モータ7bは、例えばマイクロコンピュータ70(図17では、「マイコン」と表記)により制御される。なお、モータ7bに代えて、他のアクチュエータが使用されてもよい。
マイクロコンピュータ70は、日射方向に応じてモータ7bを制御することで、投映面を変化させる。具体的には、マイクロコンピュータ70は、日射方向によって影となる領域(又は日射量が比較的低い領域)が投映面となるように、モータ7bを制御することでプロジェクタ7の投映方向を変化させる。例えば、マイクロコンピュータ70は、図18に示すようなマップを用いて、投映面を決定してもよい。図18では、時間帯ごとに、投映面が対応付けられている。日射方向は、時間帯に応じて変化するためである。なお、図18に示す壁面W1等は、図16に示されるような、塀や道路上の面であってよい。図16に示す例では、壁面W1は、ある家の塀の壁面であり、壁面W2は、他の家の壁面であり、約90度異なる向きである。また、路面W3は、壁面W1及び壁面W2に対して90度異なる向きである。このような角度の異なる面を投映面として利用することで日射方向に影響され難い鮮明な投映画像の出力が容易となる。なお、図18に示すマップは、あくまで一例であり、より細かい時間帯ごとに投映面が対応付けられてもよいし、季節ごと天気ごとに投映面が変化するような態様で生成されてもよい。また、天気が雨や曇り等のように、日射量が少ない場合は、投映面は固定されてもよい。
なお、本実施例では、マイクロコンピュータ70が投映面を決定するが、変形例では、サーバ4が投映面を決定してもよい。この場合、プロジェクタ7は、サーバ4から運行情報を受信するとともにその投映方向を表す情報を受信してもよい。
なお、マイクロコンピュータ70は、日射量に応じてプロジェクタ7の光源7cを制御してもよい。この場合、マイクロコンピュータ70は、日射量が大きいほど光源7cの発光強度が高くなるように光源7cを制御してもよい。なお、光源7cは、任意であるが、高輝度キセノンランプ等が使用されてもよい。
プロジェクタ7による運行情報の出力例は、上述したユーザ端末6による運行情報の出力例と同様であってよく(図12A参照)、ここでは詳説しない。
このようにして、本実施例では、プロジェクタ7により運行情報が出力されるので、ユーザは、投映画像を見ることで、路線バス2の運行状態を容易に把握できる。従って、ユーザは、ユーザ端末6を有していなくても、路線バス2の運行状態を把握できる。運行情報は、リアルタイムに更新できるので、この場合、ユーザは、常に最新の運行状態を把握できる。また、本実施例では、プロジェクタ7を用いることで、例えばディスプレイ等を設置する場合とは異なり、街並みを阻害せずに(既存の街並みを利用して)運行情報をユーザに通知できる。
本実施例では、更に、プロジェクタ7は、路線バス2への乗車予約(路上にいるユーザによる予約)を可能とするための予約受付用情報を壁面及び路面の少なくともいずれか一方を投映面として投映する。予約受付用情報は、上述した運行情報と同様、日射方向に応じて決定された投映面に出力されてよい。
プロジェクタ7による予約受付用情報の出力例は、上述したユーザ端末6による乗車要求の受付画面の出力例と同様であってよく(図13〜図15B参照)、ここでは詳説しない。なお、プロジェクタ7による投映画像は、一般的に、ユーザ端末6のディスプレイ上の画像よりも大きいため、上述したユーザ端末6による乗車要求の受付画面よりも細かい情報を含んでもよい。ただし、好ましくは、後述のジェスチャ入力を可能とするために、プロジェクタ7による投映画像は、比較的簡易な(シンプルな)情報のみを含む。
また、プロジェクタ7は、上述した乗車可能区間情報をサーバ4から取得し、投映画像として出力してもよい。プロジェクタ7による乗車可能区間情報の出力例は、上述したユーザ端末6による乗車可能区間情報の出力例と同様であってよい(図12B参照)。上述のようにユーザ端末6による乗車可能区間情報の画面が乗車要求の受付画面として機能できるのと同様、プロジェクタ7により出力される乗車可能区間情報についても、予約受付用情報として機能してもよい。
ジェスチャ認識装置8に関連して後述するように、予約受付用情報は、ジェスチャ認識装置8によるジェスチャ認識と連携することで、ユーザインターフェースとして機能する。すなわち、ユーザは、予約受付用情報を見ながら、所定のジェスチャを行うことで、路線バス2への乗車予約が可能となる。
このようにして、本実施例では、プロジェクタ7により予約受付用情報が出力されるので、ユーザは、当該位置で乗車予約を行うことができる。従って、ユーザは、ユーザ端末6を有していなくても、乗車予約を行うことができる。また、本実施例では、プロジェクタ7を用いることで、例えばディスプレイ等を設置する場合とは異なり、街並みを阻害せずに(既存の街並みを利用して)予約受付用情報を出力できる。
ここで、本実施例では、プロジェクタ7は、電柱のような固定物に設置されるが、これに限られない。例えば、図19に示すように、ドローンのような飛行体60にプロジェクタ7が搭載されてもよい。この場合、飛行体60の向きを変化させることで、プロジェクタ7による投映方向を変化させることができる。従って、この場合は、モータ7bが省略されてもよい。飛行体60は、例えば、電柱の上部に設けられるドック(図示せず)に位置してよく、稼働時のみ(運行情報や予約受付用情報を出力する際だけ)飛行してもよい。なお、ドックには充電器が設置され、飛行体60は、自律的に充電されるように構成されてもよい。また、飛行体60に代えて、歩行型ロボットや走行型ロボットにプロジェクタ7が搭載されてもよい。また、プロジェクタ7は、電柱以外にも、建物の壁面等を当該建物の所有者に借りて設置されてもよい。
また、本実施例では、光源7cの輝度を利用して投映画像を壁面W1等に投映しているが、太陽光をバックライトとして影を壁面W1等に投影する装置であってもよい。この場合、影が運行情報や予約受付用情報等を表す。なお、かかる影による投影は、例えば液晶層を備える投影装置を用いて実現できる。液晶層は、画素ごとに、印加電圧に応じて透過状態が制御可能である。液晶層は、影を形成するための画素部分がシャッタとなるように制御される。あるいは、有機EL(Electro−Luminescence)パネルを利用して、黒の画素に対応した影の投影を伴いつつ、色付きの画像を投映してもよい。あるいは、立体物の影によって運行情報や予約受付用情報を表現してもよい。この場合、形状が変化できる立体物の形状を変化させることで、当該立体物の影によって表現される運行情報や予約受付用情報等を変化させてもよい。また、複数の立体物を用意し、利用する立体物を入れ替えることで、当該立体物の影によって表現される運行情報や予約受付用情報等を変化させてもよい。この場合、立体物としては針金等を用いることができる。すなわち、いわゆる「シャドウアート」の分野で知られている表現を利用することができる。
なお、本実施例において、上述したサーバ4の機能のうちの一部は、プロジェクタ7のマイクロコンピュータ70により実現されてもよいし、逆に、上述したプロジェクタ7のマイクロコンピュータ70の機能のうちの一部は、サーバ4により実現されてもよい。
また、本実施例において、プロジェクタ7に代えて又は加えて、他の形態の表示装置(例えば通常の専用ディスプレイや、ショーウィンドウのディスプレイ、空中ディスプレイ)が利用されてもよい。あるいは、近くの住人(協力者)の家の中のディスプレイが利用されてもよい。
また、本実施例では、プロジェクタ7が可動することで投映面が日射方向に応じて変化されているが、これに限られない。例えば、投映面が互いに異なる複数のプロジェクタ7が設置され、複数のプロジェクタ7のうちから、日射方向に応じて選択された1つのプロジェクタ7が動作する態様であってもよい。
[ジェスチャ認識装置]
図20は、ジェスチャ認識装置8のハードウェア構成の一例を示す図である。
ジェスチャ認識装置8は、マイクロコンピュータ80(図20では、「マイコン」と表記)を含み、マイクロコンピュータ80には、通信モジュール8aと、カメラ8bとが接続される。
通信モジュール8aは、サーバ4との双方向の通信を行う。
カメラ8bは、プロジェクタ7が上述のように予約受付用情報を投映する投映面の近傍に位置するユーザを撮像する。すなわち、カメラ3bは、プロジェクタ7が投映する投映画像(予約受付用情報)を見てジェスチャを行うユーザを撮像できるような位置に設けられる。カメラ3bは、例えば図16等に示すように、投映面となる壁の塀に設けられてもよいし、電柱等に設けられてもよい。この場合、カメラ8bは、建物の壁面等を当該建物の所有者に借りて設置されてもよい。また、カメラ3bは、図19を参照して説明したような飛行体60に実装されてもよいし、歩行型ロボットや走行型ロボットに実装されてもよい。また、カメラ8bは、マイクロコンピュータ80が実装される筐体に組み込まれてもよいし、当該筐体から離れて配置されてもよい。この場合、カメラ8bは、マイクロコンピュータ80との間で通信が可能となるように、通信モジュール(図示せず)を別途有する。
カメラ3bは、ジェスチャ認識用の画像を取得できるものであれば任意であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やレンズを備える汎用的なカメラであってよい。あるいは、カメラ3bは、距離画像を取得可能なカメラであってもよい。すなわち、カメラ3bは、3次元画像センサであり、空間全体のセンシングを行って距離を計測し、デジタル画像のように画素ごとに距離情報を持つ距離画像を取得してもよい。この場合。距離情報の取得方式は任意である。例えば、距離情報の取得方式は、特定のパターンを対象に投影してそれをイメージセンサで読み取り、投影パターンの幾何学的な歪みから三角測量の方式により距離を取得するアクティブステレオ方式であってもよい。また、レーザー光を照射してイメージセンサで反射光を読み取り、その位相のずれから距離を計測するTOF(Time−of−Flight)方式であってもよい。
マイクロコンピュータ80は、カメラ3bからの画像に基づいて、ユーザのジェスチャを認識する。画像に基づくジェスチャの認識方法は、広く知られており、任意の方法(例えばパターンマッチングや機械学習)を用いることができる。なお、距離画像に基づくジェスチャの認識方法は、ユーザの関節を認識した上で、関節の動きに基づいてジェスチャを認識する態様であってよい。認識対象のジェスチャは、任意であるが、あらかじめ指定されていてもよいし、プロジェクタ7が出力する投映画像内で指示されてもよい。例えば、認識対象のジェスチャは、「画像出力」、「戻る」、「OK」、「カーソル移動(移動方向を指示)」等の指令に対応するジェスチャであってよい。あるいは、認識対象のジェスチャは、ユーザの指や手の指す方向(投映画像に対する指す方向)であってよい。
マイクロコンピュータ80は、ジェスチャの認識結果をサーバ4に送信する。サーバ4のジェスチャ入力処理部414は、ジェスチャ認識装置8からのジェスチャ認識結果に基づいて、プロジェクタ7と協動しながら、ユーザからの予約受付のための各種処理等を行う。
例えば、マイクロコンピュータ80は、カメラ3bからの画像に基づいて、起動指示用の所定ジェスチャを認識すると、ユーザからの乗車要求を受け付けるための各種投映画像の投映が可能となるように、起動指示用の所定ジェスチャが認識されたことを表すジェスチャ認識結果をサーバ4に送信する。この際、マイクロコンピュータ80は、カメラ3bの画像(ユーザの顔が映る画像)をサーバ4に送信してよい。これにより、サーバ4のユーザ特定部404がジェスチャを行うユーザを特定できる。
図21は、プロジェクタ7、ジェスチャ認識装置8、及びサーバ4(ジェスチャ入力処理部414)により実現される予約受付のための情報のやり取りの一例を示すタイミングチャートである。なお、プロジェクタ7及びジェスチャ認識装置8は、複数組(例えば、複数の停留所)で設けられる場合がある。この場合、図21に示すやり取りは、ある一の組のプロジェクタ7及びジェスチャ認識装置8に関する。なお、図21に示すやり取りのうち、サーバ4からプロジェクタ7又はジェスチャ認識装置8への情報(指示を含む)の出力(送信)は、サーバ4の出力制御部411により実現される。
まず、ジェスチャ認識装置8は、人を検知し、当該人による起動指示用の所定ジェスチャ(例えば手を上げるジェスチャ)を認識すると、サーバ4に、当該人の顔の画像データとともに起動指示(ジェスチャ認識結果)を送信する(S210)。
サーバ4は、顔の画像データと起動指示を受信すると(S212)、画像データに基づいてユーザを特定するとともに、プロジェクタ7に起動指示を送信する(S214)。また、この際、サーバ4は、特定したユーザを表す情報(例えば、ユーザ情報に含まれる名前や、顔の画像データ等)を、プロジェクタ7に送信してもよい。なお、ユーザを特定できない場合は、その旨の情報をプロジェクタ7に送信してもよい。その場合、プロジェクタ7は、再度、起動指示用の所定ジェスチャを行うように促す情報を投映画像により出力してもよい。
プロジェクタ7は、起動指示を受信すると、予約受付用情報を投映画像により出力する(S216)。なお、ユーザを表す情報が上述のようにサーバ4からプロジェクタ7に送信される場合は、投映画像には、特定されたユーザの名前の情報が含められてもよい。例えば、かかる情報は、「ゲンさん、こんにちは」といったような挨拶文の形式であってよい。あるいは、顔の画像が出力されてもよいし、他の情報(例えばユーザID等の固有の情報)が出力されてもよい。これにより、ユーザは、自身が認識されていることを把握でき、安心感が増す。
予約受付用情報に係る投映画像は、例えば図13〜図15Bに示したような画面と同様であってよい。ユーザは、かかる投映画像を見ながら、各種のジェスチャを行うことで、予約手続きを進めることができる。
具体的には、ジェスチャ認識装置8は、認識対象の全てのジェスチャのうちの任意のジェスチャを認識すると、当該ジェスチャ認識結果をサーバ4に送信する(S220)。
サーバ4は、ジェスチャ認識結果を受信すると(S222)、現在の投映画像とジェスチャ認識結果との関係に基づいて、ユーザの指示を認識するとともに当該指示に応じた投映画像の遷移をプロジェクタ7に指示する(S224)。このようなやり取りの結果、各種の入力(例えば、上述したような降車予定位置、同伴者等)が進むと、サーバ4は、最終的には、予約確定を行うための投映画像を出力するようにプロジェクタ7に指示する。なお、プロジェクタ7を介した予約受付の場合、乗車予定位置は、当該プロジェクタ7の設置位置に係る停留所であるとして、ユーザからの指示不要とされてもよい。ただし、プロジェクタ7(及びジェスチャ認識装置8)が停留所とは関係のない場所に設置される場合は、乗車予定位置の指示が必要となりうる。
プロジェクタ7は、サーバ4からの指示に応じて、予約確定を行うための投映画像を出力する(S226)。予約確定を行うための投映画像は、例えば、予約内容(降車予定位置等)の情報を含むとともに、予約確定のためのジェスチャを要求する情報を含んでもよい。
ユーザは、かかる投映画像を見て予約内容が問題なければ、予約確定のためのジェスチャ(例えばOKを指示するジェスチャ)を行うことになる。なお、ユーザは、予約内容に誤り等があれば、やり直しのためのジェスチャを行うことになる。かかるジェスチャは同様にジェスチャ認識装置8により認識される。この場合、ジェスチャ認識装置8は、ジェスチャ認識結果をサーバ4に送信する(S228)。サーバ4は、ジェスチャ認識結果を受信すると(S230)、現在の投映画像とジェスチャ認識結果との関係に基づいて、ユーザの指示を認識するとともに当該指示に応じた投映画像の遷移をプロジェクタ7に指示する(S232)。例えば、今回のジェスチャ認識結果が、予約確定のためのジェスチャである場合は、予約完了を知らせるための投映画像を出力するようにプロジェクタ7に指示する。この場合、プロジェクタ7は、予約完了を知らせるための投映画像を出力し(S234)、今回の予約受付のためのプロジェクタ7の処理は終了となる。
また、サーバ4は、予約確定のためのジェスチャを示すジェスチャ認識結果を受信すると、予約内容に基づく乗車要求を生成する(S236)。乗車要求は、上述のように、ユーザID、乗車予定位置、降車予定位置等を含む。このようにして乗車要求が生成(取得)されると、サーバ4の予約受付部405に与えられる。
なお、本実施例では、ジェスチャ入力が利用されるが、これに代えて又は加えて、音声入力が利用されてもよい。この場合、音声認識装置が投映面の近傍に設けられる。
なお、本実施例において、上述したサーバ4の機能のうちの一部は、ジェスチャ認識装置8のマイクロコンピュータ80により実現されてもよいし、逆に、上述したジェスチャ認識装置8のマイクロコンピュータ80の機能のうちの一部は、サーバ4により実現されてもよい。
[路線バスシステムの動作例]
次に、上述した路線バスシステム1における幾つかの動作例を、フローチャートを用いて説明する。以降の処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
図22は、サーバ4が情報出力装置として機能するときの動作例を示す概略フローチャートである。図22に示す処理は、路線バス2の運行中に所定周期ごとに繰り返し実行される。
ステップS320では、サーバ4は、乗車要求を取得したか否かを判定する。乗車要求は、上述のように、乗車要求受信部401が受信することで取得される場合と、ジェスチャ入力処理部414により生成(取得)される場合とがある。判定結果が“YES”の場合は、ステップS321に進み、それ以外の場合は、そのまま終了する。
ステップS321では、サーバ4は、ステップS320で得た乗車要求に含まれる乗車予定位置及び降車予定位置が走行予定コース上であるか否かを判定する。例えば乗車予定位置が、乗車要求に係るユーザの自宅の位置であり、当該自宅の位置が走行予定コース外である場合は、判定結果が“NO”となる。判定結果が“YES”の場合は、ステップS322に進み、それ以外の場合は、ステップS326に進む。
なお、変形例では、判定結果が“NO”の場合、ステップS326に進むのに代えて、複数の路線バス2が同時に運行している場合において、他の路線バス2の走行予定コース上に、ステップS320で得た乗車要求に含まれる乗車予定位置及び降車予定位置が位置するか否かを判定してもよい。ここで、複数の路線バス2が同時に運行している場合、乗車要求は、特定の路線バス2を指定する態様で生成される場合(図14B参照)と、特定の路線バス2を指定せずに生成される場合(図14A参照)とがありうる。乗車要求が、特定の路線バス2を指定する態様で生成される場合、他の路線バス2は、特定の路線バス2以外の路線バス2のうちの、次に乗車予定位置に到着する路線バス2である。他方、乗車要求が、特定の路線バス2を指定せずに生成される場合、他の路線バス2は、複数の路線バス2のうちの、2番目に乗車予定位置に到着する路線バス2である(この場合、複数の路線バス2のうちの、1番目に乗車予定位置に到着する路線バス2が、第1候補の路線バス2として扱われる)。そして、他の路線バス2の走行予定コース上に、ステップS320で得た乗車要求に含まれる乗車予定位置及び降車予定位置が位置する場合は、図23のステップS346(○2参照)に進み、サーバ4の出力制御部411は、他の路線バス2に対する乗車要求への変更を促す情報を、今回の乗車要求を行ったユーザに通知してもよい。他方、他の路線バス2の走行予定コース上に、ステップS320で得た乗車要求に含まれる乗車予定位置及び降車予定位置が位置しない場合は、ステップS325に進む。
ステップS322では、サーバ4は、ステップS320で得た乗車要求に係るユーザが乗車可能であるか否かの乗車可否判定処理を行う。乗車可否判定処理の例は、図23及び図24を参照して後述する。乗車可否判定処理の結果、ステップS320で得た乗車要求に係るユーザが乗車可能である場合(S323で“YES”)、ステップS324に進み、それ以外の場合は、ステップS339に進む。
ステップS324では、サーバ4の予約受付部405は、ステップS320で得た乗車要求に基づいて、当該乗車要求に係るユーザによる路線バス2への乗車予約を受け付ける。この結果、予約状態情報記憶部420内の予約状態情報が更新される。
ステップS325では、サーバ4のコース変更処理部407は、乗車可能区間情報等に基づいて、コース変更の余地があるか否かを判定する。例えば、ステップS320で得た乗車要求に含まれる乗車予定位置に到達するまでに路線バス2が満席になる場合や、予約済みのユーザの乗車予定位置及び降車予定位置と乗員の降車予定位置を通りつつ乗車要求に係る乗車予定位置及び降車予定位置を通るようなコースが成立しない場合等は、コース変更の余地がないと判定する。コース変更の余地がある場合は、ステップS326に進み、それ以外の場合は、ステップS339に進む。なお、変形例では、後出のコース変更可否判定処理において、コース変更の余地があるか否かが併せて判定されてもよい。
ステップS326では、サーバ4のコース変更処理部407は、コース変更が可能であるか否かのコース変更可否判定処理を実行する。コース変更可否判定処理の一例は、図25を参照して後述する。コース変更可否判定処理の結果、コース変更が可能である場合(S327で“YES”)、ステップS328に進み、それ以外の場合(S327で“NO”)、ステップS339に進む。
ステップS328では、サーバ4の予約受付部405は、ステップS320で得た乗車要求に基づいて、当該乗車要求に係るユーザによる路線バス2への乗車予約を受け付ける。この結果、予約状態情報記憶部420内の予約状態情報が更新される。
ステップS330では、サーバ4のコース変更処理部407のコース変更反映部4074は、走行予定コース記憶部426内の走行予定コースを表す情報(コース情報)を更新する。
ステップS332では、サーバ4の時刻表生成部408は、時刻表情報記憶部428内の時刻表情報を更新する。
ステップS334では、サーバ4の出力制御部411は、ステップS330で更新されたコース情報及びステップS332で更新された時刻表情報を、路線バス2の処理装置10、関連するユーザ端末6、及び関連するプロジェクタ7に送信する。関連するユーザ端末6は、コース変更がある路線バス2の予約中のユーザに係るユーザ端末6や、ステップS320で得た乗車要求に係るユーザのユーザ端末6等を含む。関連するプロジェクタ7は、コース変更がある路線バス2が今後通る停留所等に設置されるプロジェクタ7や、ステップS320で得た乗車要求がジェスチャ認識装置8を介して生成された場合は当該ジェスチャ認識装置8と対で機能するプロジェクタ7等を含む。
ステップS336では、サーバ4の出力制御部411は、新しい走行予定コース(変更後の走行予定コース)上の次の停車予定位置に関する広告データを広告情報記憶部430内から抽出し、抽出した広告データを処理装置10に送信する。処理装置10は、広告データを受信すると、当該広告データを、大型ディスプレイD1やディスプレイD2〜D7、スピーカー3a等を介して出力する。
ステップS338では、サーバ4の出力制御部411は、新しい走行予定コース(変更後の走行予定コース)上の新たな停車予定位置(コース変更前では停車予定位置ではなかった位置)を抽出し、抽出した新たな停車予定位置の情報(例えば名前等)を処理装置10に送信する。処理装置10の情報出力制御部114は、新たな停車予定位置の情報を受信すると、当該新たな停車予定位置の情報を、大型ディスプレイD1やディスプレイD2〜D7、スピーカー3a等を介して出力する。この際、処理装置10の情報出力制御部114は、降車予定位置の変更を促す案内を、大型ディスプレイD1やディスプレイD2〜D7、スピーカー3a等を介して出力してもよい。この場合、新たな停車予定位置の方が都合の良い乗員は、当該新たな停車予定位置へと降車予定位置を変更できるので、利便性が向上する。例えば、乗員は、ユーザ端末6や、ディスプレイD2〜D7(タッチパネル式の場合)を利用して、新たな停車予定位置への降車予定位置の変更要求をサーバ4に送信してもよい。
ステップS339では、サーバ4の出力制御部411は、今回の乗車要求が受け入れられなかった旨を表す情報(例えば、乗車予定位置等の変更を促す情報)を、今回の乗車要求を行ったユーザに通知する。このような通知は、ステップS320で得た乗車要求に係るユーザのユーザ端末6や、ステップS320で得た乗車要求がジェスチャ認識装置8を介して生成された場合は当該ジェスチャ認識装置8と対で機能するプロジェクタ7を介して、実現できる。
図22に示す処理によれば、乗車要求に応じて路線バス2の走行予定コースの変更(コース変更)が行われうるので、ユーザの利便性が向上する。特に、路線バス2が比較的狭い地域(例えば20km未満のコース)で巡回等し、巡航速度が20km程度である場合、時間を気にせずに利用するユーザが多いことが想定される。かかる場合、特にこのような走行予定コースの変更を行ったとしても、乗員等に不満等が発生し難く、利便性が向上する効果が顕著となる。
また、図22に示す処理によれば、コース変更が行われた場合に、新たなコース情報が、路線バス2の処理装置10や、ユーザ端末6、プロジェクタ7に送信されるので、新たなコース情報を、乗員やユーザに出力することができる。これにより、路線バス2の運行に遅れが生じた場合でも、原因がコース変更であることが分かりやすくなり、コース変更に対する不満などが発生し難い構成を実現できる。また、変更後のコースが自身の自宅の近傍を通る場合などには、当初は歩くことを考えていたユーザが路線バス2に乗車しようと思い直すこともありうる。このようにして普段あまり路線バス2を利用しないユーザを誘引する効果も期待できる。
また、図22に示す処理によれば、コース変更が行われた場合に、コース変更に伴って動的に変化しうる時刻表情報が、路線バス2の処理装置10や、ユーザ端末6、プロジェクタ7に送信されるので、新たなコース情報を、乗員やユーザに出力することができる。これにより、路線バス2の運行に遅れが生じた場合でも、ユーザは時刻表情報に基づきどの程度遅れるか等を確認できるので、コース変更に対する不満などが発生し難い構成を実現できる。
図23は、図22のステップS322(乗車可否判定処理)の一例を示す概略フローチャートである。
ステップS340では、サーバ4の乗車可能区間導出部400は、乗車可能区間を導出する。乗車可能区間の導出方法は、上述のとおりである。
ステップS341では、サーバ4の乗車可否判定部402は、ステップS340で導出された乗車可能区間と、乗車要求に含まれる乗車予定位置及び降車予定位置とに基づいて、乗車予定位置及び降車予定位置が乗車可能区間内であるか否かを判定する。なお、同伴者の人数を表す情報を含む乗車要求がサーバ4に送信される場合は、乗車可否判定部402は、同伴者を含めた総数が乗車可能人数(図7C参照)内であるか否かについても併せて判定してよい。乗車予定位置及び降車予定位置が乗車可能区間内である場合は、ステップS342に進み、それ以外の場合は、ステップS343に進む。
ステップS342では、サーバ4は、乗車が可能であることを示す判定結果を生成する。この場合、前出の図22のステップS323での判定は“YES”となる。
ステップS343では、サーバ4は、複数の路線バス2が同時に運行しているか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合は、ステップS344に進み、それ以外の場合は、ステップS347に進む。
ステップS344では、サーバ4は、他の路線バス2に係る乗車可能区間情報を取得する。なお、複数の路線バス2が同時に運行している場合、乗車要求は、上述のように、特定の路線バス2を指定する態様で生成される場合と、特定の路線バス2を指定せずに生成される場合とがありうる。乗車要求が、特定の路線バス2を指定する態様で生成される場合、他の路線バス2は、特定の路線バス2以外の路線バス2のうちの、次に乗車予定位置に到着する路線バス2である。他方、乗車要求が、特定の路線バス2を指定せずに生成される場合、他の路線バス2は、複数の路線バス2のうちの、2番目に乗車予定位置に到着する路線バス2である。
ステップS345では、サーバ4は、ステップS344で得た他の路線バス2に係る乗車可能区間情報と、乗車要求に含まれる乗車予定位置及び降車予定位置とに基づいて、乗車予定位置及び降車予定位置が乗車可能区間内であるか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合は、ステップS346に進み、それ以外の場合は、ステップS347に進む。
ステップS346では、サーバ4の出力制御部411は、他の路線バス2に対する乗車要求への変更を促す情報を、今回の乗車要求を行ったユーザに通知する。このような通知は、ステップS320で得た乗車要求に係るユーザのユーザ端末6や、ステップS320で得た乗車要求がジェスチャ認識装置8を介して生成された場合は当該ジェスチャ認識装置8と対で機能するプロジェクタ7を介して、実現できる。
ステップS347では、サーバ4は、乗車が可能でないことを示す判定結果を生成する。この場合、前出の図22のステップS323での判定は“NO”となる。
図23に示す処理によれば、乗員の降車予定位置等を加味して導出された乗車要求可能区間情報を利用して乗車の可否を判定できるので、精度の良い判定を実現できる。すなわち実際には乗車可能であるのに乗車不可と判定されたり、その逆に、実際には乗車不可であるのに乗車可能と判定されたりする可能性を低減できる。この結果、路線バス2による効率的な輸送(人の移動)を実現できる。
また、図23に示す処理によれば、第1候補の路線バス2に対して乗車が不能と判定された場合、複数の路線バス2が同時に運行していれば、他の路線バス2に対する乗車の可能性が判断されるので、ユーザの利便性が向上する。
図24は、図22のステップS322(乗車可否判定処理)の他の一例を示す概略フローチャートである。
図24の処理は、図23に示した処理に対して、ステップS341がステップS341Aで置換された点が異なる。
ステップS341Aでは、サーバ4の乗車可否判定部402は、乗車予定位置及び降車予定位置が乗車可能区間内であり、かつ、乗車要求に係るユーザの、降車予定位置での到着希望時刻に基づいて、降車予定位置での到着予定時刻の、到着希望時刻に対する遅れ時間が所定閾値Th5以下であるか否かを判定する。所定閾値Th5は、乗車要求に係るユーザの余裕度に応じて可変されてもよい。例えば、余裕度が低いほど所定閾値Th5が小さくなるように可変されてもよい。判定結果が“YES”の場合は、ステップS342に進み、それ以外の場合は、ステップS343に進む。
図24に示す処理によれば、図23に示した処理による効果に加えて、ユーザの個別的な事情を加味した態様で乗車の可否を判定できる。すなわち、到着希望時刻や余裕度が考慮されるので、ユーザが希望通りの時間で降車予定位置に到着できないような路線バス2に乗車してしまうことによる不都合を防止できる。
なお、図24のステップS345においても、他の路線バス2に係る降車予定位置での到着予定時刻の、到着希望時刻(乗車要求に係るユーザの、降車予定位置での到着希望時刻)に対する遅れ時間が所定閾値Th5以下であるか否かが判定されてもよい。
なお、図24に示す処理は、図23に示した処理の代替例として説明したが、乗車要求に到着希望時刻の情報が含まれるか否かに応じて使い分けられてもよい。
図25は、図22のステップS326(コース変更可否判定処理)の一例を示す概略フローチャートである。
ステップS350では、サーバ4は、複数の路線バス2が同時に運行しているか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合は、ステップS352に進み、それ以外の場合は、ステップS354に進む。
ステップS352では、サーバ4のコース変更処理部407は、複数の路線バス2が同時に運行している場合のコース変更可否判定処理(以下、「路線バス間連携処理」と称する)を実行する。路線バス間連携処理の一例は、図26を参照して後述する。
ステップS354では、サーバ4は、コース変更判定用情報記憶部423に記憶されるコース変更判定用情報を読み出す。なお、コース変更判定用情報記憶部423が省略される構成では、サーバ4は、座席状態情報記憶部425内の座席状態情報や時刻表情報記憶部428内の時刻表情報を、コース変更判定用情報として読み出してもよい。
ステップS356では、サーバ4の変更コスト算出部4071は、ステップS354で得たコース変更判定用情報に基づいて、変更コストを算出する。変更コストの算出方法は、上述のとおりである。
ステップS358では、サーバ4の変更可否判定部4072は、ステップS356で算出された変更コストに基づいて、走行予定コースを現在のコースから変更予定のコースに変更することが可能であるか否かを判定する。例えば、変更可否判定部4072は、変更コストが所定閾値Th1以下である場合に、変更を許可する。変更が許可された場合は、ステップS360に進み、変更が許可されない場合は、ステップS362に進む。
ステップS360では、サーバ4の変更可否判定部4072は、コース変更が可能であることを示す判定結果を生成する。この場合、前出の図22のステップS327での判定は“YES”となる。
ステップS362では、サーバ4の変更可否判定部4072は、コース変更が可能でないことを示す判定結果を生成する。この場合、前出の図22のステップS327での判定は“NO”となる。
図25に示す処理によれば、コース変更が必要となるような乗車要求が取得された場合に、コース変更判定用情報に基づき算出される変更コストに基づいて、コース変更の可否が判定される。これにより、各乗員の降車予定位置での到着予定時間に係る遅延時間等が考慮されるので、公平性の高い基準で、コース変更の可否を判定できる。この結果、ユーザから不満が出難い利便性の高い路線バスシステム1を実現できる。
図26は、図25のステップS352(路線バス間連携処理)の一例を示す概略フローチャートである。ここでは、一例として、2台の路線バス2が同時に運行している場合を想定する。なお、図26は、サーバ4が走行支援装置として機能するときの動作例である。
ステップS380では、サーバ4は、それぞれの路線バス2に係る各種情報(運行情報)を読み出す。読み出す対象の各種情報は、車両状態情報記憶部424内の車両状態情報(特に車両位置情報)、及び、走行予定コース記憶部426内のコース情報を含む。
ステップS382では、サーバ4の変更可否判定部4072は、ステップS380で得た各種情報に基づいて、2台の路線バス2の間隔を算出する。2台の路線バス2の間隔は、走行予定コースに沿った間隔であってよい。間隔は、距離(車間距離)で算出されてもよいし、時間(車間時間)で算出されてもよい。時間の場合は、巡航速度で車間距離を割り算することで導出されてもよいし、到着予定時刻の差として算出されてもよい。
ステップS384では、サーバ4の変更可否判定部4072は、ステップS382で算出した間隔が所定閾値Th4より短いか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合は、ステップS386に進み、それ以外の場合は、ステップS392に進む。
ステップS386では、サーバ4の変更可否判定部4072は、2台の路線バス2のうちの後方の路線バス2について、コース変更判定用情報記憶部423に記憶されるコース変更判定用情報を読み出す。
ステップS388では、サーバ4の変更可否判定部4072は、ステップS386で得たコース変更判定用情報に基づいて、路線バス2の走行予定コースの変更が可能であるか否かを判定する。この判定方法自体は、上述のとおりであってよい(例えば、上述のように変更コスト算出部4071が算出する変更コストを利用する方法であってよい)。判定結果が“YES”の場合は、ステップS390に進み、それ以外の場合は、ステップS392に進む。
ステップS390では、サーバ4の変更可否判定部4072は、2台の路線バス2のうちの後方の路線バス2について、コース変更が可能であることを示す判定結果を生成する。この場合、前出の図22のステップS327での判定は“YES”となり、2台の路線バス2のうちの後方の路線バス2について、ステップS328からステップS334の各処理が実行されることになる。
ステップS392では、サーバ4の変更可否判定部4072は、コース変更が可能でないことを示す判定結果を生成する。この場合、前出の図22のステップS327での判定は“NO”となる。
図26に示す処理によれば、2台の路線バス2が同時に運行している場合において、2台の路線バス2間の間隔が所定閾値Th4よりも短い場合に、後方の路線バス2に対してコース変更の可否が判定される。これにより、コース変更される場合は、後方の路線バス2の遅れに起因して(コース変更に伴う遅れに起因して)、2台の路線バス2間の間隔が広がりうる。従って、2台の路線バス2間の間隔を広げつつ、コース変更による利便性を高めることができる。
なお、図26に示す処理では、2台の路線バス2が同時に運行している場合を想定しているが、これに限らない。3台以上の路線バス2が同時に運行している場合であっても同様であってよい。この場合、各路線バス2間の間隔を算出し、間隔が所定閾値Th4より短い2台の路線バス2の組(1組以上あってもよい)に対して、後方の路線バス2及び/又は前方の路線バス2についてコース変更が可能であるかを判定してよい。なお、間隔が所定閾値Th4より短い2台の路線バス2の組が2組以上存在する場合は、間隔が最も小さい組から順に優先的に判定されてもよい。あるいは、ある1台の路線バス2を対象とし、対象よりも前を走行する路線バス2との間隔が所定閾値Th4よりも短く、かつ、対象よりも後を走行する路線バス2との間隔が所定閾値Th6よりも長い場合に限り、当該対象の路線バス2についてコース変更が可能であるかを判定してもよい。所定閾値Th6は、対象の路線バス2についてコース変更により遅れが生じても、当該対象の路線バス2とその後方の路線バス2との間隔が所定閾値Th4以下とならないような観点から設定されてよい。
また、図26に示す処理では、ステップS384やステップS388で判定結果が“NO”である場合は、ステップS392に進むが、ステップS392に進む前に、他の路線バス2に対してコース変更が可能であるかを判定してもよい。この場合、他の路線バス2に対してコース変更が可能である場合は、ステップS390に進むこととしてよい。この場合、コース変更が可能となる可能性が高くなるので、コース変更を希望するユーザの利便性を高めることができる。
図27は、図25のステップS352(路線バス間連携処理)の他の一例を示す概略フローチャートである。なお、図27は、サーバ4が走行支援装置として機能するときの動作例である。
ステップS400では、サーバ4は、それぞれの路線バス2に係る各種情報(運行情報)を読み出す。読み出す対象の各種情報は、車両状態情報記憶部424内の車両状態情報(特に車両位置情報)、及び、走行予定コース記憶部426内のコース情報を含む。
ステップS402では、サーバ4の変更コスト算出部4071は、ステップS400で得た各種情報に基づいて、それぞれの路線バス2に係る変更コストを算出する。変更コストの算出方法は上述のとおりである。
ステップS404では、サーバ4の変更可否判定部4072は、複数の路線バス2のうち、変更コストが所定閾値Th1以下となる路線バス2が存在するか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合は、ステップS406に進み、それ以外の場合は、ステップS412に進む。
ステップS406では、サーバ4の変更可否判定部4072は、変更コストが所定閾値Th1以下となる路線バス2ごとに、乗車要求に係るユーザの待機時間(乗車するまでに待機する時間)を算出する。
ステップS408では、サーバ4の変更可否判定部4072は、変更コストが所定閾値Th1以下となる路線バス2のうち、待機時間が最小となる路線バス2が、第1候補の路線バス2であるか否かを判定する。第1候補の路線バス2は、上述のように、乗車要求の際に特定の路線バス2が指定された場合は、当該特定の路線バス2である。なお、乗車要求の際に特定の路線バス2が指定されていない場合は、待機時間が最小となる路線バス2が第1候補の路線バス2となり、ステップS408の判定結果は自動的に“YES”となる。判定結果が“YES”の場合は、ステップS410に進み、それ以外の場合は、図23のステップS346に進む。後者の場合、サーバ4の出力制御部411は、他の路線バス2(変更コストが所定閾値Th1以下となる路線バス2のうち、待機時間が最小となる路線バス2)に対する乗車要求への変更を促す情報を、今回の乗車要求を行ったユーザに通知する。
ステップS410では、サーバ4の変更可否判定部4072は、コース変更が可能であることを示す判定結果を生成する。この場合、前出の図22のステップS327での判定は“YES”となる。
ステップS412では、サーバ4の変更可否判定部4072は、コース変更が可能でないことを示す判定結果を生成する。この場合、前出の図22のステップS327での判定は“NO”となる。
図27に示す処理によれば、同時に運行している複数の路線バス2のうちから、変更コストが所定閾値Th1以下となり、かつ、待機時間が最小となる路線バス2を特定できる。そして、当該路線バス2の走行予定コースを変更できる可能性が高くなるので、コース変更を望むユーザの利便性と、路線バスシステム1の効率的な運行との両立を図ることができる。
なお、図27では、待機時間を評価しているが、等価的に、乗車予定位置までの各路線バス2の距離(走行予定コースに沿った距離)を評価してもよい。すなわち、路線バス2のそれぞれとユーザの乗車予定位置との関係が評価されるのであれば、時間や距離など、利用するパラメータは任意である。また、上述のように、待機時間は、変更コストを算出する際に加味されてもよい。
なお、上述のように、変形例では、図22に示す処理(図23〜図27に示す処理を含む)の一部や全部は、路線バス2の処理装置10(複数の路線バス2が同時に運行する場合は、複数の路線バス2のそれぞれの処理装置10)により実現されてもよい。例えば、複数の路線バス2が同時に運行する場合は、各路線バス2の処理装置10が図22に示す処理をそれぞれ実行してもよい。この場合、他の路線バス2からの情報の取得(例えば図23のステップS344)は、複数の路線バス2のうちの、マスタとなる一の路線バス2により実現されてもよいし、それぞれにより実現されてもよい。後者の場合、判定結果がサーバ4に供給され、サーバ4側で最終的な判断が実行されてもよい。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した実施例では、路線バス2は、自立運転(自動運転)可能な構成であるが、これに限らない。路線バス2は、人の運転者により、制動、駆動、及び操舵の一部又は全部が実現されてもよい。
また、上述した実施例において、ある乗車要求に基づいて走行予定コースを基本コースから他のコースに変更する場合、その原因となった乗車要求の情報を出力してもよい。例えば、路線バス2内において、「ハナさんから自宅近くでの乗車要求が来ましたので本車両は所定ースから変更します」とのアナウンスが実行されてもよい。この場合、ハナさんと知り合いの乗員は、ハナさんの乗車を期待できる。例えば、「そうか。ハナさんが乗って来るんじゃ。ワシの隣を空けておこう。ワクワクじゃ。」といった具合である。また、路線バス2内において、「次の停留所で乗車されるハナさんがケーキ屋さんでの降車を希望されているので、本車両は所定コースから変更します」とのアナウンスが実行されてもよい。この場合、ハナさんと知り合いの乗員は、ハナさんの乗車とともに、降車予定位置の変更を検討できる。例えば、乗客は、「そうか。ハナさんが乗って来るんじゃ。ワシも予定を変更してケーキ屋で降りてハナさんとデートじゃ。」といった具合である。
また、上述した実施例では、コース変更処理部407は、ユーザからの乗車要求に基づいて、走行予定コースを、基本コースから他のコースに変更するが、他の要求に基づいて、走行予定コースを、基本コースから他のコースに変更してもよい。例えば、コース変更処理部407は、乗員からの降車予定位置の変更要求に基づいて、走行予定コースを、基本コースから他のコースに変更する場合があってもよい。この場合、新たな降車予定位置は、現在の走行予定コース上に存在しない場合に、コース変更処理部407は、上述と同様の態様で、走行予定コースを、基本コースから他のコース(新たな降車予定位置を通るコース)に変更するか否かを判定してもよい。