JP2020052300A - 吸音材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また特許文献2の吸音材は、多孔質樹脂粒子からセル膜が除去されたセル骨格のみで構成されているため、もろく、圧縮や衝撃を受けるとセル骨格が破壊されて吸音性能が低下してしまうという問題があった。
このように、吸音材には用いられる場所や求められる性能が様々であり、依然として様々な態様や性能の吸音材が求められており、本発明は特に低周波領域における吸音性能および遮音性能に優れた吸音材およびその製造方法を提供するものである。
また請求項5の発明にかかる吸音材の製造方法は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の吸音材を構成する前記繊維塊を、0.5〜15m/minの速度で移動するポリウレタン樹脂を含浸させた不織布シートを、1000〜3000rpmの回転数で回転している50〜300番手の粗さを有する研削シートに接触させて研削することにより回収することを特徴としている。
このため、吸音材に入射した音は、前記繊維と弾性樹脂との間の空隙に侵入し、音のエネルギーの一部が摩擦や粘性抵抗を受けて熱エネルギーに変換されて吸収されるほか、捲縮して絡まっている繊維に保持された弾性樹脂粒子が振動し、音のエネルギーが振動に変換される。これにより良好な吸音性能を得ることができる。
また、前記繊維塊は玉状に絡まった繊維によって圧縮変形性に優れていることから、吸音材を圧縮した場合に、当該圧縮された部分の繊維塊だけが圧縮変形され、連続フォーム体で吸音材を作成した場合に比べて圧縮によるひずみの影響が広範囲に広がりにくいという効果も得られる。
前記繊維塊2は、図2に示す100倍の拡大写真に示すように、玉状に絡まった繊維2aの間に微細な弾性樹脂2bが入り込んだ、直径25〜300μm程度の塊状となっている。
前記多孔質樹脂粒子3は、図3に示す500倍の拡大写真に示すように、多孔質樹脂からなる最大フェレ径10〜100μm程度の粒子となっており、各多孔質樹脂粒子3の外面には最小フェレ径1〜10μmの開孔が形成され、また複数の突起部3aが形成されている。
前記繊維塊2と多孔質樹脂粒子3との割合については、繊維塊2と多孔質樹脂粒子3との合計質量に対し、繊維塊2を20〜60質量%の割合で設定することができる。
ここで、前記繊維塊2は多孔質樹脂粒子3よりも剛性が高く、前記繊維塊2が骨材としての役割を果たすため、繊維塊2の割合を高めることで吸音材1の剛性をあげるとともに、吸音率を向上させることができる。
前記供給ローラ12には、前記繊維塊2を採取するための樹脂含浸不織布からなるシートS、もしくは前記多孔質樹脂粒子3を採取するための多孔質ポリウレタンからなるシートSが巻回されている。
そして前記供給ローラ12から前記シートSを送り出しながら、前記回収ローラ15によって前記シートSを巻き取ることで、所定の速度でシートSを移動させるようになっている。
また前記供給ローラ12と回収ローラ15との間には、前記バフローラ13に対向した位置に保持ローラ16が設けられており、前記シートSはバフローラ13と保持ローラ16との間を通過しながら、前記バフローラ13によって研削されるようになっている。
前記バフローラ13の外周には所要の粗さのサンドペーパーが装着され、当該バフローラ13を回転させながら前記シートSに押し当てることで、当該シートSの表面を研削し、その際に発生した粒子が前記繊維塊2や多孔質樹脂粒子3となって、前記回収ボックス14に回収されるようになっている。
不織布に使用する繊維としては、特に限定はなく、天然繊維(改質繊維を含む)、合成繊維等から製造される不織布であればよい。例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維等の樹脂繊維や、綿、麻等の天然繊維を用いてもよいが、製造工程中でN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)等の有機溶媒や水等の洗浄液を吸収することによる原料繊維の膨潤を防止することや原料繊維の量産性を考慮すれば、吸水(液)性を有していないポリエステル繊維等の樹脂繊維を用いることが好ましい。原料繊維には、繊度1〜50dtex、繊維長20〜100mmの繊維を用いることが好ましい。
これらの中でも、本発明は、ニードルパンチ法を用いて繊維基体を製造することが好ましい。ニードルパンチ法を用いて繊維基体を製造すると、繊維同士が接着樹脂や融着繊維などにより固定されず機械的に絡められた状態のため、繊維が引き出されやすく繊維塊2を形成しやすい。
不織布基材の厚さは、1.5mm未満ではポリウレタン樹脂溶液に含浸後の乾燥時に厚さ方向でポリウレタン樹脂の移動(樹脂マイグレーション)が発生しポリウレタン樹脂の被覆厚さが偏りやすく、5.0mmを超えると不織布基材の内部までポリウレタン樹脂溶液が浸透できなくなるので、1.5〜5.0mmの範囲とすることが好ましい。
不織布基材の密度は、0.1g/cm3未満ではポリウレタン樹脂溶液に含浸してもポリウレタン樹脂が繊維の間隙を通じて流出し繊維に付着しにくく、0.2g/cm3を超えるとポリウレタン樹脂の付着量が大きくなり繊維の間隙を塞いでしまうので、0.1〜0.2g/cm3の範囲とすることが好ましい。
本例では、繊度2〜3dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維が用いられている。樹脂層は、湿式凝固法により形成されたポリウレタン樹脂が、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物(架橋剤)で架橋処理されて形成されている。
樹脂含浸工程で用いるポリウレタン樹脂は、多価イソシアネート化合物と混合して有機溶媒のDMFに溶解させる。このとき、ポリウレタン樹脂溶液のポリウレタン樹脂の固形分濃度が、10重量%未満では不織布の密度を目標とする値に調整することが難しくなり、40重量%を超えるとポリウレタン樹脂が溶解しにくくなる。
また、B型回転粘度計を用いて20℃で測定したポリウレタン樹脂溶液の粘度が8000cp以下であると好ましく、100cp〜5000cpであるとより好ましく、400cp〜3000cpであると更に好ましい。
従って、含浸工程におけるポリウレタン樹脂溶液は、濃度が10〜40重量%の範囲で粘度が100〜5000cpの範囲とすることが好ましい。また、多価イソシアネート化合物の固形分濃度は、1〜4重量%の範囲で用いる。
このときのポリウレタン樹脂溶液の温度は、5〜40℃の範囲に調整することが好ましく、20〜30℃の範囲が更に好ましい。含浸工程をこの温度範囲で行うことで、多価イソシアネート化合物による架橋反応の進行が抑制される。
繊維基体を構成する繊維が溶出しない限り、凝固液の温度や浸漬時間に特に制限はなく、例えば10〜30℃(好ましくは、10〜20℃)で30〜1440分間(好ましくは30〜90分間)浸漬すればよい。
前記バフローラ13が樹脂含浸不織布シートSの表面に回転しながら接触すると、樹脂含浸不織布の表面ではバフローラ13との摩擦によって不織布を構成する繊維2aが引き出され、引き出された繊維2aが捲縮し糸玉状に絡まる。
その際、前記樹脂含浸不織布シートSに含浸された弾性樹脂は、前記繊維2aが引き出されるのに伴って周囲の樹脂からちぎれ、その後繊維2aが捲縮して絡まるのに伴って当該繊維2aの内部に取り込まれることとなる。
そして、その後さらに前記バフローラ13の摩擦が作用することで、捲縮して糸玉状に絡まった繊維2aの根元部分が破断し、前記玉状に絡まった繊維2aに微細な弾性樹脂2bが取り込まれた繊維塊2となって離脱することとなる。この時、弾性樹脂2bは繊維2aに付着しているものと、繊維2aに付着することなく、玉状に絡まった繊維2a内に取り込まれて保持されているものが存在する。
さらにまた、前記繊維塊2を構成する捲縮された繊維2aは玉状に絡まり繊維塊2同士が独立しているため、吸音材1の一部を圧縮した場合に、当該圧縮された部分の繊維塊2だけが圧縮変形し、他の繊維塊2には影響が及ばないようになっている。
前記ポリウレタンシートSを研削することにより得られる多孔質樹脂粒子3には、ポリウレタンシートSの小さな開孔に基づく、最小フェレ径1〜10μmの開孔を有しており、前記開孔の最大フェレ径/最小フェレ径の値が1.5〜5.0であるような楕円の開孔を有する。
フェレ径の測定方法は、SEMで観察を行った吸音材の画像ファイルを例えば画像解析用ソフトウェアImageJ(登録商標)を用いて求めることができる。なお、最大フェレ径とは対象を平行線ではさんだ場合に、平行線の間隔が最も大きくなる径のことであり、30点の多孔質樹脂粒子の最大フェレ径を測定しそれらの平均値を最大フェレ径Aとした。
一方、最小フェレ径とは対象を平行線ではさんだ場合に、平行線の間隔が最も小さくなる径のことであり、30点の多孔質樹脂粒子の細孔の最大フェレ径及び最小フェレ径を測定し、それらの平均値を最大フェレ径B1及び最小フェレ径B2とした。
ポリウレタン樹脂は、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用いることができ、DIC(株)製の商品名「クリスボン」や、三洋化成工業(株)製の商品名「サンプレン」、大日精化工業(株)製の商品名「レザミン」など、市場で入手可能な樹脂を用いてもよく、所望の特性を有する樹脂を自ら製造してもよい。
このポリウレタン樹脂を20〜40重量%の範囲となるようにDMFに溶解させる。また、添加剤としては、発泡や小発泡の大きさや量(個数)を制御するため、カーボンブラック等の顔料、発泡を促進させる親水性添加剤、ポリウレタン樹脂の再生を安定化させる疎水性添加剤等を用いることができる。本例では、0〜30重量%の割合でカーボンブラックを添加する。
なお、モジュラスとは、樹脂の硬さを表す指標であり、無発泡の樹脂シートを100%伸ばしたとき(元の長さの2倍に伸ばしたとき)に掛かる荷重を断面積で割った値である(以下、100%モジュラスと呼ぶことがある。)。この値が高い程、硬い樹脂である事を意味する。吸音材より樹脂モジュラスを確認する場合、吸音材をDMFで溶解し、低濃度のポリウレタン樹脂DMF溶液を得たのち、繊維等をフィルターでろ過しキャスト法によりDMFを気化させ無発泡の樹脂シートを形成することで測定することができる。
このとき、ナイフコータ等と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、ポリウレタン樹脂溶液の塗布厚み(塗布量)を調整する。本例では、乾燥後のウレタンシートの厚み(成膜厚み)が200〜3000μmの範囲となるように、塗布厚みを調整する。
成膜基材としては、樹脂製フィルム、布帛、不織布等を用いることができるが、本例では、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルムを用いる。
凝固液中では、まず、ポリウレタン樹脂溶液と凝固液との界面に皮膜が形成され、皮膜の直近のポリウレタン樹脂中にスキン層を構成する無数の微多孔が形成される。その後、ポリウレタン樹脂溶液中のDMFの凝固液中への拡散と、ポリウレタン樹脂中への水の浸入との協調現象により連続発泡構造を有するポリウレタン樹脂の再生が進行する。
このとき、成膜基材のPET製フィルムが水(凝固液)を浸透させないため、DMFと水との置換がスキン層側で生じ、成膜基材側がスキン層側より大きな発泡が形成される。
このため、スキン層が形成された後では、凝固前のポリウレタン樹脂溶液中のポリウレタン樹脂がスキン層側に移動し凝集することとなる。これに伴い成膜基材側でポリウレタン樹脂量が減少するため、スキン層側と比べて成膜基材側が肥大化した発泡が形成される。
DMFのポリウレタン樹脂溶液からの脱溶媒、すなわち、DMFと水との置換により、大きな発泡が形成され、スキン層の微多孔、および、大きな発泡と小さな発泡とが網目状に連通する。
ポリウレタン樹脂の乾燥には、本例では、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機を用いる。ポリウレタン樹脂がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後のポリウレタンシートSをロール状に巻き取る。
本実施形態では、バフローラ13にサンドペーパーが使用されるが、ダイヤモンドバフローラー等、均一な処理(研削除去)ができるものであればいずれも使用することができる。複数の突起部3aは、ポリウレタンシートに使用するポリウレタン樹脂モジュラスに応じて、バフ番手や供給ローラとシートの送り速度、バフローラの回転数等を調整することにより得られる。
前記バフローラ13がポリウレタンシートSの表面に回転しながら接触すると、ポリウレタンシートSの表面ではバフローラ13との摩擦によってポリウレタン樹脂の一部が引っ張られて伸び、当該伸びた部分がさらに細くなってその後破断する。
このようにしてポリウレタンシートSより離脱した多孔質樹脂粒子3の外面には、ポリウレタン樹脂に形成された1〜10μmの開孔が一定方向に伸ばされた、最小フェレ径1〜10μmであって、最小フェレ径に対する最大フェレ径が1.5〜5.0の略楕円形状の細孔を有する多孔質樹脂粒子3が形成される。
さらに、ポリウレタンシートSより離脱した多孔質樹脂粒子3には、前記破断した部分が引き伸ばされ塑性変形して尖った幾何学的な突起部3aが複数形成され、各突起部3aにも引き伸ばされることで一方向に伸びた略楕円状の開孔を有するものもある。
前記突起部3aは、音エネルギーを受けた際に振動することにより、音が振動に変換され吸音作用を生じさせる。また、引き伸ばされた開孔内に音が入り込むと、内部で衝突や摩擦を受けて熱エネルギーに変換され、吸音される。
前記バインダーを用いて前記繊維塊2および多孔質樹脂粒子3を結合して前記吸音材1を作成する際には、所定の割合で前記繊維塊2および多孔質樹脂粒子3をミキサーに投入し、これらを攪拌しながら、或いは、前記繊維塊2および多孔質樹脂粒子3をボールミルとともに撹拌しながら、スプレーガン等でバインダーを噴霧する。
これにより繊維塊2および多孔質樹脂粒子3の表面がバインダーでコーティングされ、その後当該バインダーの付着した繊維塊2および多孔質樹脂粒子3を金型内に投入し、その後所定温度で所定時間乾燥させることにより、吸音材1を得ることができる。
ここで、前記バインダーを使用する量は、繊維塊2および多孔質樹脂粒子3の重量に対して好ましくは0.5〜50%、より好ましくは1〜15%の割合で使用するのが望ましい。バインダーが50%以下であれば、繊維塊2における繊維2aと弾性樹脂2bとの間隙がふさがれてしまうのを抑制し吸音効果を十分に得ることができ、またバインダーが0.5%以上であることにより、吸音材1の形状を維持することができる。また、バインダーが前記範囲であることにより、圧縮された部分の繊維塊2だけが圧縮変形し、他の繊維塊2には影響が及ばないようにすることができる。
次に、本実施形態の吸音材1の作用等について説明する。
このため、繊維塊2同士の空隙や繊維塊2と多孔質樹脂粒子3との間の空隙が複雑な空間を形成し、吸音材1に音が入射すると当該音に摩擦を与えることで音のエネルギーを吸収するようになっている。
特に、前記繊維塊2は捲縮して玉状に絡まった繊維2aに微細な弾性樹脂2bが保持された構成を有していることから、繊維2aと弾性樹脂2bとの間に細かな空隙が形成されている。
このため、吸音材1に入射した音がさらに繊維塊2に入射すると、前記繊維2a、弾性樹脂2bによる複雑な空隙に入り込み摩擦や粘性抵抗を受け、前記繊維2aに付着せずに保持されている微細で振動可能な弾性樹脂2bに衝突し、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されて吸収されるため良好な吸音性能を得ることができる。
また、前記繊維塊2は玉状に絡まった繊維2aによって圧縮変形性に優れており、吸音材1を圧縮した場合に、当該圧縮された部分の繊維塊2だけが圧縮変形され、連続フォーム体で吸音材を作成した場合に比べて圧縮によるひずみの影響が広範囲に広がりにくいという効果も得られる。
つまり、連続フォーム体や連続する繊維体では、圧縮された部位につられてその近傍まで空隙率が低下して吸音率が低下するのに対し、本願吸音材1では圧縮された部位のみが沈みこみ、圧縮部位近傍が圧縮の影響を受けにくいので、吸音率の低下が圧縮部位のみに抑えられ、吸音材1を配置するスペースに合わせて高い吸音効果を得ることができる。
このため、吸音材1に入射した音は、開孔を介して多孔質樹脂粒子3の開孔の内部に入射し、樹脂壁との摩擦や振動によって、音のエネルギーが熱エネルギーに変換されて音のエネルギーが吸収される。
このとき、多孔質樹脂粒子3に形成された開孔が小さければ小さいほど、より樹脂壁との摩擦や振動が増えるため、音エネルギーが熱エネルギーに変換されやすくなって吸音性能が高くなる。また多孔質樹脂粒子3に含まれる開孔の最小フェレ径は1〜10μm以下の大きさであり、前記開孔は表面に開孔していない別の孔と通気する連通構造を備えるために、音が吸収されやすい。
そして前記多孔質樹脂粒子3は表面に複数の突起部3aを有しており、前記バインダーによって固定されていない突起部3aが音に対し敏感に振動することで、音のエネルギーを吸収することができる。
実験では、吸音性能を確認するためにJIS A 1405−2に基づいて垂直入射吸音率を測定するとともに、遮音性能を確認するために垂直入射透過損失を測定した。これら垂直入射吸音率、垂直入射透過損失の測定にはブリュエル・ケアー社製 4206S型音響試験器を用いた。
走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JMS−5500LV)により50倍で撮影した画像の任意の領域に存在する任意の30点の粒子を検出し、それらの円相当径を求め、平均をとることにより繊維塊2の直径を得た。この際、繊維塊から伸びる単繊維は測定対象から除外した。
フェレ径は、吸音材を走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JMS−5500LV)にて倍率100倍で観察し、任意30点の多孔質樹脂粒子を測定用サンプルとして抽出した。
その後、抽出した画像を画像処理ソフトImageJにて解析し、画像の二値化を行い、多孔質樹脂粒子の最大フェレ径A、多孔質樹脂粒子表面に存在する細孔の最大フェレ径B1、最小フェレ径B2を測定した。
最大フェレ径A、最大フェレ径B1、最小フェレ径B2は、任意の30点の最大フェレ径、最小フェレ径の平均値として求められる。また、最小フェレ径B2に対する最大フェレ径B1の比は任意の30点の最大フェレ径/最小フェレ径の値の平均値として求められる。
実施例1にかかる吸音材1は、60質量部の繊維塊2と、40質量部の多孔質樹脂粒子3とを含み、これに対して酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤を濃度11%に希釈したバインダー50質量部をスプレーガンにて吹き付けて、これらをミキサーで混合した。
続いて、前記混合物を縦23×横23×深さ2.0cmの成形容器に充填し、さらに乾燥機において80℃、4時間乾燥後、140℃で1時間乾燥させ、その後冷却させることで、厚み17.4mm、密度0.182g/cm3の吸音材を得た。このとき繊維塊2の繊維2aの繊度は2〜3dtex、繊維塊2の直径は103μmであった。
実施例2にかかる吸音材1は、実施例1の吸音材1に対し、40質量部の繊維塊2、60質量部の多孔質樹脂粒子3を含んでおり、それ以外は前記実施例1と同様の作業を用いて、厚み18.5mm、密度0.172g/cm3の吸音材を得た。このとき繊維塊2の繊維2aの繊度は2〜3dtex、繊維塊2の直径は95μmであった。
実施例3にかかる吸音材1は、20質量部の繊維塊2、80質量部の多孔質樹脂粒子3を含んでおり、それ以外は前記実施例1、2と同様の作業を用いて、厚み18.9mm、密度0.195g/cm3の吸音材を得た。このとき繊維塊2の繊維2aの繊度は2〜3dtex、繊維塊2の直径は120μmであった。
比較例には、ポリエチレンテレフタレート繊維(繊度2〜3dtex、繊維長10〜20μm)を使用しニードルパンチ法により不織布とした、厚み25mm、密度0.014g/cm3の不織布製吸音材を使用した。
実験結果によれば、高周波領域である4000〜5000Hzの領域において、実施例1〜3の吸音材1が比較例の吸音材に対して若干良好な吸音性能を有しているとの結果を得た。
これに対し、低周波領域である1000〜2000Hzでは、実施例1〜3の吸音材1は比較例の吸音材に対して良好な吸音性能を示した。
実験結果によれば、高周波領域から低周波領域にかけて、実施例1〜3の吸音材1は比較例の吸音材よりも良好な遮音性能を示した。
本実施例にかかる吸音材1によれば、繊維塊2の捲縮された繊維2aが絡まって形成された空隙や、繊維塊2同士や繊維塊2と弾性樹脂2bの間に形成される空隙によって、入射した音波の経路を複雑化させるうえ、音に対し振動可能な状態の弾性樹脂が捲縮繊維に付着されていることにより、効率的に音響エネルギーを減衰させることができる。
また、本実施例の吸音材1は多孔質樹脂粒子3を有しており、当該多孔質樹脂粒子3に形成された前記突起部3aは、吸音材1に入射した音波によって振動しやすい突起によって構成されているため、当該突起部3aが効率的に音響エネルギーを振動に変換させ、さらなる吸音作用を生じさせるものと推察され、これにより低周波領域における高い吸音性能を得ることができるものと考えられる。
2a 繊維 2b 弾性樹脂
3 多孔質樹脂粒子 3a 突起部
11 採取装置
Claims (5)
- 捲縮された繊維と弾性樹脂からなる繊維塊を含む吸音材であって、前記繊維塊は、前記弾性樹脂を前記繊維によって保持しており、前記繊維の繊度が1〜50dtex、前記繊維塊の直径が25〜300μmであることを特徴とする吸音材。
- 前記繊維塊は、繊維長10〜100mmの繊維が捲縮し玉状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の吸音材。
- 前記繊維塊同士がバインダーにより固着されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の吸音材。
- バインダーを固着した多孔質樹脂粒子であって、前記多孔質樹脂粒子は、複数の突起部を備え、最大フェレ径Aが10〜100μmの粒子であって、表面に最小フェレ径B2が1〜10μmの開孔を有するとともに、前記開孔の最小フェレ径B2に対する最大フェレ径B1の比が1.5〜5.0の開孔を含み、前記開孔は表面に開孔していない別の孔と通気する連通構造を備える多孔質樹脂粒子をさらに含んでいることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の吸音材。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の吸音材を構成する前記繊維塊を、0.5〜15m/minの速度で移動するポリウレタン樹脂を含浸させた不織布シートを、1000〜3000rpmの回転数で回転している50〜300番手の粗さを有する研削シートに接触させて研削することにより回収することを特徴とする吸音材の製造方法。
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