実施の形態1.
図1は、本発明による実施の形態1の画像形成装置を、正面からみた要部構成を概略的に示す要部構成図である。
画像形成装置11は、例えば、電子写真方式の、直接転写方式のカラープリンタとしての構成を備え、独立した4つの画像形成ユニット12K、12Y、12M、12C(特に区別する必要がない場合は単に画像形成ユニット12と称す場合がある)が、記録媒体30の搬送方向(矢印A方向)に沿って上流側から順に配設されている。画像形成ユニット12Kはブラック(K)の画像を形成し、画像形成ユニット12Yはイエロー(Y)の画像を形成し、画像形成ユニット12Mはマゼンタ(M)の画像を形成し、画像形成ユニット12Cはシアン(C)の画像を形成する。尚、記録媒体30として、普通紙の他に、ポリエステルフィルム素材の用紙等を使用することができる。
本実施の形態においては、これらの画像形成ユニット12K,12Y,12M,12Cの構成は同一であり、収容されている非磁性一成分のトナーの色のみが異なるため、ここではシアン(C)の画像形成ユニット12Cを例にとり、その内部構造を以下に説明する。
画像形成ユニット12Cには、静電潜像担持体としての感光体ドラム13C(特に区別する必要がない場合は単に感光体ドラム13と称す場合がある)、感光体ドラム13Cの表面を均一に帯電する帯電手段としての帯電ローラ14C(特に区別する必要がない場合は単に帯電ローラ14と称す場合がある)、感光体ドラム13Cの表面に形成された静電潜像に、現像剤としてのシアン用トナー25C(特に区別する必要がない場合は単にトナー25と称す場合がある)を付着させ、トナー像を形成する現像手段としての現像ローラ16C(特に区別する必要がない場合は単に現像ローラ16と称す場合がある)及び現像ローラ16Cに圧接させた供給ローラ18C(特に区別する必要がない場合は単に供給ローラ18と称す場合がある)とが配置されている。
供給ローラ18Cは、トナー収容部20C(特に区別する必要がない場合は単にトナー収容部20と称す場合がある)に収容されたシアン用トナー25Cを対応する現像ローラ16Cに供給するローラである。現像ローラ16Cには、現像ブレード19C(特に区別する必要がない場合は単に現像ブレード19と称す場合がある)が圧接されている。現像ブレード19Cは、現像ローラ16C上において、供給ローラ18Cから供給されたトナー25Cを薄層化するものである。尚、トナー収容部20、現像ローラ16、供給ローラ18、及び現像ブレード19が現像手段を構成する。
クリーニング装置27C(特に区別する必要がない場合は単にクリーニング装置27と称す場合がある)は、感光体ドラム13Cの表面に圧接するクリーニングブレード27aを備え、後述する転写後に感光体ドラム13C上に残ったトナー25C(残留トナー)を掻き落として内部に収容する。
除電装置36C(特に区別する必要がない場合は単に除電装置36と称す場合がある)は、転写が終了した後の感光体ドラム13Cの表面を除電して表面電位のバラツキをなくし、引き続いて行われる、帯電ローラ14Cによる帯電に備える。除電光遮光シート37C(特に区別する必要がない場合は単に除電光遮光シート37と称す場合がある)は、必要に応じて除電装置36Cと感光体ドラム13Cの間に配置される。この除電装置36Cと除電光遮光シート37Cについては後で詳しく説明する。以上の部材によって画像形成ユニット12Cが形成されている。
感光体ドラム13Cの後述するZ軸のプラス方向には、露光手段としての露光装置15C(特に区別する必要がない場合は単に露光装置15と称す場合がある)が、感光体ドラム13Cと対向する位置に配設されている。他の感光体ドラム13M,13Y,13Kにも、同様にしてそれぞれ対応する露光装置15M,15Y,15Kが配置されている。露光装置15は、対応する色の画像データに従って、感光体ドラム13を露光し、その表面に静電潜像を形成する。
4つの画像形成ユニット12の各感光体ドラム13の下方には、転写ユニット21が配設されている。転写ユニット21は、転写手段としての転写ローラ17K、17Y、17M、17C(特に区別する必要がない場合は単に転写ローラ17と称す場合がある)と、転写ベルト駆動ローラ21a及び転写ベルト従動ローラ21bによって、張架した状態で図1中の矢印A方向へ走行可能に配設された転写ベルト26を備えている。尚、転写ベルト26上に付着する残留トナーは、ベルトクリーニングブレード34によって掻き取られてベルトクリーナ容器35内に収容される。
各転写ローラ17は、転写ベルト26を介してそれぞれ対応する感光体ドラム13に圧接して配置され、圧接により形成されたニップ部において、転写ベルト26によって搬送される記録媒体30をトナー25と逆の極性に帯電させ、対応する感光体ドラム13に形成された各色のトナー像を順次記録媒体30に重ねて転写する。
画像形成装置11の後述するZ軸のマイナス方向には、転写ベルト26に記録媒体30を供給するための給紙機構が配設されている。給紙機構は、記録媒体30を格納する給紙トレイ24、給紙トレイ24から記録媒体30を選択的に取り出すホッピングローラ22と、記録媒体30を搬送するレジストローラ対23等からなる。
更に、転写ベルト26による記録媒体30の排出側には、定着器28が設けられている。定着器28は、加熱ローラ及びバックアップローラを有し、記録媒体30上に転写されたトナーを加圧、加熱することによって定着させる。この定着器28の排出側には、用紙ガイド部31、この用紙ガイド部31の後端部に配置された排出ローラ対32、及び用紙スタッカ部29等が設けられている。尚、ここでは、画像形成装置11の印刷可能な媒体幅を、A4サイズ媒体の横置き印刷が可能な297mm(A4用紙の長辺サイズに相当)とする。
画像形成装置11は、感光体ドラム13の回転軸方向に延在する回動軸40を回動中心として、回動可能なアッパーカバー39を有し、このアッパーカバー39を開けて装置内を臨むことができる。また、このアッパーカバー39には、後述する表示機能及びデータ入力機能を備えたタッチパネル38が配備されている。
尚、図1中のX、Y、Zの各軸は、記録媒体30が画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cを通過する際の搬送方向にX軸をとり、感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cの回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。またここでは、Z軸が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
各部の構成について更に説明する。
ここでは、感光体ドラム13を、アルミニウム等の金属パイプの導電性支持体の表面に光導電層を被覆した構成とし、帯電ローラ14を、金属シャフトの外周にエピクロロヒドリンゴム等の半導電性ゴム層を被覆した構成とし、露光装置15は、LED等の発光素子と集光用のレンズアイを備えたLEDヘッドであり、クリーニング装置27のクリーニングブレード27aは,ウレタンゴム等から構成されたゴムブレードである。
トナー25は、結着樹脂としてポリエステル、着色剤としてカーボンブラック、銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue15)、キナクリドン系顔料(C.I.Pigment Red122)、C.I.Pigment Yellow185等を用いた非磁性一成分の負帯電性トナーである。比表面積は3.15m2/g、トナー球形度は0.95、体積平均粒子径は5.8μmとし、流動化剤及び帯電性をコントロールする目的でシリカ、酸化チタンなどの添加剤を外添している。
図2は、除電装置36の構成を模式的に示す構成図であり、図3は、除電光遮光シート37の外形を示す構成図である。
図2に示すように、除電装置36は、長手方向に延在する除電板36aと、除電板36aに、その長手方向に沿って直線状に略等間隔に複数配置されたLED素子36bとからなり、電圧供給ライン36cを介して後述する除電制御部49(図4参照)に電気的に接続され、除電制御部49によって、所定のタイミング及び発光量で発光駆動される。
この除電装置36は、図1に示すように画像形成装置11の各画像形成ユニット12の感光体ドラム13の表面近傍にあって、その長手方向が感光体ドラム13の回転軸方向(Y軸方向:主走査方向)となり、各LED素子36bが対向する感光体ドラム13の表面を垂直に照射するように配置される。また、LED素子36bは、主走査方向において、印刷可能領域を全域にわたって必要な照射ができるように複数配置されるものである。
除電光遮光シート37は、遮光可能な黒いPETフィルムで構成されている。尚、ここでは、除電光遮光シート37に黒いPETフィルムを用いたが、遮光可能な部材であればPETフィルムに限定するものではない。図3に示すように、除電光遮光シート37は、概ね長方形のシート状部材で、一方の長辺部の略中央には凸状の把持部37dが形成され、他方の長辺部には、その両端部にあって所定の遮光幅を有する遮光部37b,37cと、両遮光部37b、37c間にあって凹状に形成された投光部37aとが隣接して形成されている。尚、この投光部37aの幅W0は、ここではA4サイズ媒体の縦置き印刷時の印刷幅(210mm)としている。
この除電光遮光シート37は、画像形成ユニット12に配置されるとき、図1に示すように、除電装置36と感光体ドラム13の間にあって、その長辺方向が感光体ドラム13の回転軸方向(Y軸方向:主走査方向)となり、幅W0の投光部37aが、A4サイズ媒体の縦置き印刷時のA4縦媒体通過領域に対向し、除電装置36から照射される除電光のうち、投光部37aを通過する光のみが、感光体ドラム13表面を照射するように配置される。
これにより、除電光遮光シート37が装着された状態では、例えばA4サイズ媒体の縦置き印刷時に、主走査方向において、A4縦媒体通過領域のみに除電光が照射され、A4縦媒体通過領域外では除電光が遮断されて照射されないように構成されている。
図4は、主に本発明に係る、画像形成装置11の制御系の要部構成を示すブロック図である。
同図中、画像形成制御部としてのプリンタ制御部41は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等によって構成され、上位装置42から印刷データ及び制御コマンドを受信して画像形成装置11全体をシーケンス制御し、印刷動作を行う。インターフェイス部43は、上位装置ヘプリンタ情報を送信すると共に、上位装置42から入力したコマンドを解析し、上位装置42から受信したデータを処理してプリンタ制御部41に送信する。
駆動部44は、プリンタ制御部41の指示のもとに感光体ドラム13を回転駆動するための駆動モータ46を駆動制御し、ギア伝達機構等によって構成された駆動伝達部47は、この感光体ドラム13と、帯電ローラ14、現像ローラ16、供給ローラ18の各間に配設され、感光体ドラム13の回転をこれら各部に伝達し、図1に示すように、感光体ドラム13が矢印方向へ所定の速度で回転されるのに伴って、各部を同図に示す矢印方向にそれぞれ後述する所定の速度で回転する。
高圧制御部45は、プリンタ制御部41の指示のもとに、内蔵する帯電定電圧電源を制御して帯電ローラ14へ定電圧(−1100V(直流))を印加し、同じく内蔵する現像ローラ定電圧電源を制御して現像ローラ16へ定電圧(−200V(直流))を印加し、同じく内蔵する供給ローラ定電圧電源を制御して供給ローラ18と現像ブレード19へ定電圧(−300V(直流))を印加し、同じく内蔵する転写定電圧電源を制御して転写ローラ17へ後述する所定の定電圧(直流)を印加する。除電制御部49は、プリンタ制御部41の指示のもとに、内蔵する電圧電源を制御して除電装置36へ定電圧(+24V(直流))を印加する。
タッチパネル制御部48は、プリンタ制御部41からの指令に基づいて、タッチパネル38の表示を制御し、更にタッチパネル38からの入力データの入力情報を処理する。タッチパネル38の表示等については後で更に説明する。
尚、プリンタ制御部41は、他に図示しない露光制御部、定着制御部、及びホッピングローラ22、レジストローラ対23、排出ローラ対32等の、媒体搬送系の各ローラの回転を制御する搬送モータ制御部等に指示を出して画像形成装置11全体をシーケンス制御するものである。
以上のように構成された画像形成装置11における印刷動作について、図1〜図4を参照しながら説明する。
先ず、給紙トレイ24内に複数枚重ねて置かれる記録媒体30は、搬送モータ制御部(図示せず)によって矢印方向に回転駆動されるホッピングローラ22によって最上部のものから順次繰り出され、用紙ガイド33に沿ってレジストローラ対23へ送られて斜行が矯正され、続いてレジストローラ対23から転写ベルト26に送られ、この転写ベルト26に載置されて、画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cへと順次搬送される。
一方、各画像形成ユニット12において、駆動部44によって矢印方向に回転制御される感光体ドラム13の表面は、高圧制御部45によって直流電圧(−1100V)が印加された帯電ローラ14によって均一に帯電され、対応する露光装置15によって露光される。このとき露光装置15は、インターフェイス部43を介して上位装置42から送られる画像データに基づいて露光量が調整された光線を感光体ドラム13の表面に照射し、この表面に静電潜像を形成する。
静電潜像が形成された部分には、現像ローラ16上で薄層化されたトナー25が静電的に付着されて対応する色のトナー像が形成される。このとき現像ローラ16及び供給ローラ18は、感光体ドラム13が矢印方向に回転するのに伴って、感光体ドラム13とは異なる方向に、後述する所定の周速度比αを保って回転する。
図1において、トナー収容部20に収容されているトナー25は、供給ローラ18内のセル目に保持され、供給ローラ18と現像ローラ16間で擦られることで、負極性の電荷を担持する。またトナー25は、電圧が印加された部材間で移動する電荷がトナー25に移動することでこれを担持する。そして、電荷を担持したトナー25は、供給ローラ18と現像ローラ16の電位差によって生じる電界により、現像ローラ16上に付着する。
現像ローラ16上のトナー25は、現像ブレード19によって均一なトナー層厚に規制され、また、現像ブレード19と現像ローラ16とによって擦られることにより摩擦帯電される。現像ローラ16上のトナー25は、感光体ドラム13上の静電潜像まで搬送され、静電潜像と現像ローラ16の電位差により、静電潜像に付着してこれを現像する。現像されなかった現像ローラ16上のトナー25は、供給ローラ18によって掻き取られる。
現像により、各感光体ドラム13に形成されたトナー像は、高圧制御部45によってバイアス電圧(直流)が印加された、対応する転写ローラ17によって記録媒体30に転写される。この転写は、記録媒体30が、転写ベルト26に搬送されて各転写部に至るタイミングで順次重ねて実行され、これにより、記録媒体30上にはカラーのトナー像が形成される。転写後に、各感光体ドラム13上に残留したトナー25(残留トナー)は、クリーニングブレード27aを備えたクリーニング装置27によって除去される。
除電装置36は、その複数のLED素子36b(図2)に除電制御部49によって24Vの直流電圧が印加されることにより、LED素子36bから感光体ドラム13表面に、除電光を照射する。これにより、転写後の感光体ドラム13の表面を除電する。
転写によりカラーのトナー像が形成された記録媒体30は、定着器28に送られる。この定着器28における加熱・加圧処理により、カラーのトナー像が記録媒体30に定着され、カラー画像が形成される。カラー画像が形成された記録媒体30は、用紙ガイド部31に沿って搬送され、排出ローラ対32によって用紙スタッカ部29へ排出される。
以上のような過程を経て、カラー画像が記録媒体30上に形成される。尚、転写ベルト26上に付着する残留トナーは、ベルトクリーニングブレード34によって掻き取られてベルトクリーナ容器35内に収容される。
尚、低抵抗媒体として、普通紙、やや厚い紙、グロス紙、厚紙等があり、具体例として、普通紙としては、エクセレントホワイト紙(沖データ製、体積抵抗率9.64×109Ω/cm3)、やや厚い紙としてP厚口紙(富士ゼロックス製、体積抵抗率1.36×1011Ω/cm3)、グロス紙としてGloss text(Futura Laser製、体積抵抗率2.02×1011Ω/cm3)、厚紙としてLABEL33up紙(ゼロックス製、体積抵抗率3.85×1012Ω/cm3)が挙げられる。
また、高抵抗媒体として、フィルム媒体や耐水紙等があり、具体例として、フィルム媒体としては、レーザーピーチ紙(ダイオーポスタケミカル製、体積抵抗率5.05×1014Ω/cm3)、耐水紙としてラミフリー紙(中川製作所製、体積抵抗率3.72×1015Ω/cm3)、カレカ紙(三菱化学メディア製、体積抵抗率1.36×1016Ω/cm3)が挙げられる。
本実施の形態では、記録媒体30として、体積抵抗値が低い普通紙にはエクセレントホワイト紙(沖データ製、体積抵抗率9.64×109Ω/cm3)を使用し、体積抵抗値が高抵抗媒体としてフィルム媒体としてのレーザーピーチ(ダイオーポスタルケミカル製、体積抵抗率5.05×1014Ω/cm3)が使用される。
また、低抵抗媒体と高抵抗媒体を区別する方法として、後述する履歴(濃度段差)が発生しない低抵抗媒体と、後述する履歴(濃度段差)が発生する高抵抗媒体の体積抵抗率の間に境界値を設定してもよい。具体的には、厚紙とフィルム媒体との体積抵抗率の間の値を境界値として設けてもよく、例えば、境界値を5.00×1013Ω/cm3と定義してもよい。
尚、体積抵抗値の測定は、デジタル超高抵抗/微小電流計(R8340、エーディーシ(株))及びデジタル・エレクトロメータ(R12702A、エーディーシ(株))を用い、RT環境(26℃、湿度37%)において、印加電圧500Vで行った。
記録媒体30として体積抵抗値が低い普通紙を使用する場合、+2000V程度の転写電圧を転写ローラ17に印加する。しかしながら記録媒体30は、その体積抵抗値が高くなるほど帯電しにくくなるため、普通紙より体積抵抗値が高い高抵抗媒体に対して普通紙と同じ電圧を印加すると、トナーが高抵抗媒体に転写されず、転写カスレが発生する。このため、記録媒体30として体積抵抗値が普通紙より高い高抵抗媒体を使用する場合には、転写電圧として普通紙の場合よりも高い電圧値を印加する必要がある。ここでは、記録媒体30として高抵抗媒体を使用する場合には、+3500Vの転写電圧を転写ローラ17に印加するものとする。
ここで、記録媒体30として、上記した普通紙と高抵抗媒体とを使用し、上記したようにそれぞれに適した転写電圧(+2000V or +3500V)を印加して印刷した場合の問題点について説明する。
先ず、記録媒体30の種類(普通紙又は高抵抗媒体)によるA4縦印刷時の画像品質(以後、PQと称す場合がある)を評価する評価試験について説明する。尚、ここでの評価試験は、図1に示す画像形成装置11と同構成の試験装置を使用して行い、4つの画像形成ユニット12を使用するカラー印刷、或は1つの画像形成ユニット12を使用した単色印刷のどちらで行ってもよいが、ここでは簡単のため、例えばブラック(K)の画像形成ユニット12Kのみを使用して行うものとする。またここでの評価試験は、除電光遮光シート37を装着しないで行うものである。
図5は、A4縦印刷時の画像品質(PQ)評価試験のための印字パターンを示している。矢印Aは、印刷時の媒体搬送方向(副走査方向)を示し、図1に示すX軸のプラス方向に相当する。ここで記録媒体30は、4分割された印刷パターン領域を有し、矢印A方向の先端側左半部に相当する印刷パターン領域30aは、露光装置15の露光量が100%の高トナー消費パターンで印刷され、矢印A方向の後端側左半部に相当する印刷パターン領域30bは、露光装置15の露光量が30%のハーフトーンパターンで印刷され、矢印A方向の先端側右半部に相当する印刷パターン領域30cは、露光装置15の露光量が0%の白紙パターンで印刷され、矢印A方向の後端側右半部に相当する印刷パターン領域30dは、露光装置15の露光量が30%のハーフトーンパターンで印刷される。
各パターン領域は、主走査方向(図1のY軸方向)において、記録媒体30の中央で左右に分けられ、媒体搬送方向(副走査方向)における、記録媒体30の中央よりやや後端側で前後に分けられている。尚、記録媒体30の主走査方向中央で左右に分けられた、左側領域X及び右側領域Yと、記録媒体30の副走査方向で前後に分けられた前側領域M及び後側領域Nを、それぞれ図5に示す。
A4縦印刷時の画像品質評価は、上記印字パターンでA4の記録媒体30を縦印刷し、高トナー消費パターンで印刷された印刷パターン領域30a後に、ハーフトーンパターンで印刷された印刷パターン領域30bと、白紙パターンで印刷された印刷パターン領域30c後に、ハーフトーンパターンで印刷された印刷パターン領域30dとの濃度差に基づいて行う。
即ち、分光色彩濃度計X−Rite528(X−Rite社製)を用いて、印刷パターン領域30bのハーフトーンパターンの濃度と印刷パターン領域30dのハーフトーンパターンの濃度の濃度差ΔEを求め、以下の評価基準に基づいて画像品質(PQ)を評価する。
(1)ΔE<0.05の場合、濃度差がかすかに感じられるも同色とみなし、問題なしとして〇判定とし、
(2)0.05≦ΔEの場合、濃度差が感じられて問題ありとし、×と判定とする。
以上の評価試験を、記録媒体30としての普通紙と高抵抗媒体の2種類についておこなった。
尚、ここで説明した評価試験での、図5に示す印字パターンのA4縦印刷を、以後、A4縦パターン印刷と称す場合がある。
次に、A4の記録媒体30を露光量0%の白紙パターンで10枚、縦印刷した後、A4の記録媒体30を露光量30%のハーフトーンパターンで1枚、横印刷した時の、長手方向(主走査方向)の濃度段差と、副走査方向に延在する縦黒スジの画像品質(PQ)評価について説明する。
図6は、このときの評価試験において、転写ベルト26によって搬送される記録媒体30の概略図であり、同図(a)は、A4縦印刷時の搬送状態を示し、同図(b)は、A4横印刷時の搬送状態を示している。
同図(a)に示すように、A4縦印刷時には、主走査方向(図1のY軸方向)の印刷可能領域において、記録媒体30が通過しないA4縦媒体通過領域外w1、w2と、副走査方向(矢印A方向)に延在する、媒体の両縁部50a,50bが生じる。一方、同図(b)に示すように、A4縦印刷の後に行われるA4横印刷時には、記録媒体30は、A4縦印刷時に生じる両縁部50a,50bやA4縦媒体通過領域外w1、w2も含めて媒体通過領域となって画像を形成する。
以上のように、A4縦印刷を行った後にA4横印刷を行うと、A4縦印刷した時のA4縦媒体通過領域外w1,w2の履歴が濃度段差として発生し、また媒体の両縁部50a,50bの履歴が縦黒スジとして発生する場合がある。尚、ここで説明した評価試験での、A4縦の白紙での10枚印刷とその後に行うA4横でのハーフトーン印刷を、以後、A4縦横印刷と称す場合がある。
ここでいう履歴について説明する。媒体通過領域外w1、w2では、記録媒体30を介することなく転写ローラ17と対向するので、感光体ドラム13に転写電流が強く流れ、感光体ドラム13が逆極性(プラス極性)に帯電される。これが繰り返し行われると、感光体ドラム13は、帯電不良になる。帯電不良になった部分は、数時間放置しても改善せずに濃度段差が発生する。ここでいう履歴とは、この数時間放置しても改善しない濃度段差のことを示している。
A4縦横印刷時の濃度段差に対する画像品質評価は、分光色彩濃度計X−Rite528(X−Rite社製)を用いて、A4横印刷した時の、A4縦印刷時のA4縦媒体通過領域外w1,w2での濃度に対する、A4縦印刷時のA4縦媒体通過領域内w0での濃度の濃度差ΔEを求め、以下の評価基準に基づいて画像品質(PQ)を評価する。
(1−1)ΔE<0.05の場合、濃度差がかすかに感じられるも同色とみなし、問題なしとし、
(1−2)0.05≦ΔEの場合、濃度差が感じられて問題ありとする。
また、A4縦横印刷時の縦黒スジに対する画像品質評価は、目視で確認し、
(2−1)縦黒スジが確認できない場合は、問題なしとし、
(2−2)縦黒スジが確認できる場合は、問題ありとする。
従って、A4縦横印刷時の画像品質評価は、濃度段差及び縦黒スジの評価で、共に問題ない場合には〇判定とし、その他の場合には×判定とする。
以上の評価試験を、記録媒体30としの普通紙と高抵抗媒体の2種類についておこなった。
次に、A4縦印刷時のA4縦媒体通過領域外w1,w2でのトナー消費量の評価について説明する。先ずA4の記録媒体30を露光量0%の白紙パターンで縦印刷した後、感光体ドラム13の駆動を停止し、現像直後のA4縦媒体通過領域外w1,w2に透明なテープ(メンディングテープ、住友スリーエム株式会社製)を貼って剥がすことにより、感光体ドラム13に付着したトナー25を採取し、採取したテープをエクセレントホワイト紙(沖データ製、80g/m2、A4サイズ)に貼り付けた第1の測定サンプルと、未使用の透明テープを直接上記エクセレントホワイト紙に貼り付けた第2の測定サンプルとを用意する。
ここでのトナー消費量の評価は、分光色彩濃度計X−Rite528(X−Rite社製)を用いて、第1の測定サンプルの濃度と第2の測定サンプルの濃度の濃度差ΔEを求め、以下の評価基準に基づいてトナー消費量を評価する。
(1)ΔE<0.05の場合、トナー消費量は問題なしとして〇判定とし、
(2)0.05≦ΔEの場合、トナー消費量が多くなっているので問題ありとし、×判定とする。
以上の評価試験を、記録媒体30としの普通紙と高抵抗媒体の2種類についておこなった。
表1は、以上の評価試験の結果を示すもので、A4縦パターン印刷時の記録媒体30のPQと、A4縦横印刷時の記録媒体30のPQと、A4縦の記録媒体30印刷時のA4縦媒体通過領域外でのトナー消費量を、それぞれ普通紙と高抵抗媒体の2種類について行った結果を示している。
同表に示すように、A4縦パターン刷時の画像品質評価では、普通紙及び高抵抗媒体共に問題なしの評価となり、A4縦横印刷時の画像品質評価では、普通紙では問題なしの評価となったが、高抵抗媒体では問題ありの評価となり、A4縦媒体通過領域外のトナー消費量の評価では、普通紙及び高抵抗媒体共に問題なしの評価が得られた。
ここで、表1における各評価結果について考察する。
(普通紙のA4縦パターン印刷時の評価について)
図7は、図5で説明した、普通紙及び高抵抗媒体のA4縦パターン印刷時の、感光体ドラム13の表面の帯電電位の変化を、印刷処理過程の各段階(帯電、転写等)に応じて示した状態説明図である。縦軸には感光体ドラム13の表面の帯電電位を示し、横軸には印刷時の各段階(帯電、転写等)を順次ならべている。従って、横軸は時間軸ではない。
図7は、感光体ドラム13表面の帯電電位の推移を、印刷動作前(以後、イニシャル時と称す)と、印刷時とで示し、図5に示す左側領域Xに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を実線で示し、図5に示す右側領域Yに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を点線で示している。
イニシャル時は、高圧制御部45(図4)から、帯電ローラ14に定電圧−1100V、除電装置36に定電圧+24V、転写ローラ17に定電圧2000Vがそれぞれ印加され、普通紙の印刷時には、帯電ローラ14、除電装置36、転写ローラ17に対してイニシャル時と同等の電圧が印加される。
A4縦の普通紙印刷時における感光体ドラム13表面の帯電電位を、A4縦媒体通過領域内の左側領域Xと右側領域Y(図5参照)でそれぞれ確認する。
イニシャル時、感光体ドラム13は、駆動部44(図4)によって矢印方向(図1参照)に回転される。その表面の帯電電位は、動作開始時には0Vであり、帯電ローラ14を通過する段階で帯電されて−500Vとなり、その後、転写電圧(+2000V)が印加された転写ローラ17を通過する段階で、感光体ドラム13と転写ローラ17間に生ずる電位差によって転写電流が感光体ドラム13に流れることにより−200Vに減少する。その後、感光体ドラム13の表面の帯電電位は、除電装置36によって除電光が感光体ドラム13に照射されて除電され、これによって−50Vとなり、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電されて−500Vとなる。
続く普通紙印刷時、図5に示す左側領域Xにおいて、高トナー消費パターンで印刷される印刷パターン領域30a(図5)に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、帯電ローラ14によって−500Vに帯電された後、露光量を100%とした露光装置15によって露光された段階で−50Vとなる。その後の転写ローラ17の通過時は、感光体ドラム13と転写ローラ17との間には普通紙が存在するためにイニシャル時と同等の転写電流が流れるが、このときの感光体ドラム13表面の帯電電位が小さいため、−50Vのままとなる。その後、感光体ドラム13表面の帯電電位は、除電装置36によって除電光が感光体ドラム13に照射されて除電されるが、すでに除電できる帯電電位まで下がっているため、−50Vのままとなり、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電されて−500Vとなる。
尚、図7の状態説明図では、縦軸に感光体ドラム13の表面の帯電電位を示し、+200Vから−600Vまで、マイナスを上にして目盛っている。従って、電圧の高低の表現が煩雑となるが、ここでは簡単のため、上側(−600V側)ほど高電位として表現する。後述する図8〜図15、及び図18についても同様である。
図5に示す左側領域Xにおいて、ハーフトーンパターンで印刷される印刷パターン領域30b(図5)に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、帯電ローラによって−500Vとされた後、露光量を30%とした露光装置15によって露光された段階で−300Vとなる。
一方、図5に示す右側領域Yにおいて、白紙パターンで印刷された印刷パターン領域30c(図5)に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、帯電ローラ14によって−500Vに帯電された後、露光量が0%の露光装置15によって露光されずに−500Vを維持する。その後の転写ローラ17の通過時は、感光体ドラム13と転写ローラ17との間には普通紙が存在するが普通紙の抵抗が小さいためにイニシャル時と同等の転写電流が流れ、−200Vとなる。その後、感光体ドラム13表面の帯電電位は、除電装置36によって除電光が感光体ドラム13に照射されて除電されて−50Vとなり、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電されて−500Vとなる。
図5に示す右側領域Yにおいて、ハーフトーンパターンで印刷された印刷パターン領域30d(図5)に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、帯電ローラによって−500Vとされた後、露光量を30%とした露光装置15によって露光された段階で−300Vとなる。
以上説明したように、A4縦の普通紙印刷時、左側領域Xのハーフトーンパターンで印刷される印刷パターン領域30b(図5)に対応する感光体ドラム13表面の、露光された段階の帯電電位は−300Vであり、右側領域Yのハーフトーンパターンで印刷される印刷パターン領域30d(図5)に対応する感光体ドラム13表面の、露光された段階の帯電電位も−300Vであるため、ハーフトーンパターンで印刷された、印刷パターン領域30bと印刷パターン領域30dとに濃度差ΔEが生じにくく、普通紙のA4縦パターン印刷時の画像品質(PQ)評価では問題なしの結果が得られたものと考えられる。
(普通紙のA4縦横刷時の評価について)
図8は、図6(a)で説明した普通紙でのA4縦白紙印刷時の、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を実線で示し、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を点線で示し、同じく、記録媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を一点鎖線で示す。縦軸には感光体ドラム13の表面の帯電電位を示し、横軸には印刷時の各段階(帯電、転写等)を順次ならべている。従って、横軸は時間軸ではない。
図9は、図6(b)で説明した普通紙でのA4横ハーフトーン印刷時の、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を実線で示し、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を点線で示し、同じく、媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を一点鎖線で示す。縦軸には感光体ドラム13の表面の帯電電位を示し、横軸には印刷時の各段階(帯電、転写等)を順次ならべている。従って、横軸は時間軸ではない。
先ず、A4縦普通紙印刷を白紙パターンで10枚印刷した時の感光体ドラム13の表面電位について説明する。
図8に示すように、A4縦の普通紙印刷時のイニシャル時における、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、図7で説明したA4縦パターン印刷時のイニシャル時と同様であるため、ここでの説明は省略する。
続くA4縦の普通紙印刷時、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、帯電ローラ14によって−500Vに帯電された後、白紙パターンで印刷されるため、露光量が0%の露光装置15によっては露光されずに−500Vを維持する。その後の転写ローラ17の通過時は、感光体ドラム13と転写ローラ17との間には普通紙が存在するが普通紙の抵抗が小さいためにイニシャル時と同等の転写電流が流れ、−200Vとなる。
その後、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、除電装置36によって除電光が感光体ドラム13に照射されて除電されて−50Vとなり、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電されて−500Vとなる。ここでは、A4縦の普通紙印刷が、白紙パターンで10枚印刷されるため、この一連の帯電動作が繰り返される。
普通紙でのA4縦白紙印刷時、A4縦媒体通過領域外w1、w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、A4縦媒体通過領域内w0の場合と、同様に変化する。相違点としては、感光体ドラム13と転写ローラ17との間には記録媒体30が存在しないため、イニシャル時と同じ転写電流が感光体ドラム13に流れ込む。
普通紙でのA4縦白紙印刷時、媒体の両縁部50a,50b(図6(a))に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位ついても、A4縦媒体通過領域内及びA4縦媒体通過領域外の場合と同様に変化する。
A4縦の印刷時のA4縦媒体通過領域内w0とA4縦媒体通過領域外w1、w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、帯電、露光、転写、除電の各過程で常にマイナスの電位であり、帯電電位がマイナスの電位の場合、印刷動作が終わると帯電電位は0Vまで減少し、次の印刷開始時の帯電電位は0Vとなる。
次に、A4縦普通紙印刷を白紙パターンで10枚印刷した後、A4横普通紙印刷をハーフトーンパターンで1枚印刷した時の感光体ドラム13の表面電位について説明する。
図9に示すように、普通紙でのA4横ハーフトーン印刷時のイニシャル時における、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、図7で説明したA4縦パターン印刷時のイニシャル時と同じであるため、ここでの説明は省略する。
続く普通紙でのA4横ハーフトーン印刷時、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、帯電ローラ14によって−500Vに帯電された後、ハーフトーンパターンで印刷されるため、露光量を30%とした露光装置15によって露光された段階で−300Vとなる。A4縦媒体通過領域外w1,w2及び両縁部50a,50b(図6(a))に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位ついても、A4縦媒体通過領域内w0の場合と同様に変化する。
以上のように、A4横普通紙印刷をハーフトーンパターン印刷した際に、A4縦媒体通過領域内w0と、A4縦媒体通過領域外w1,w2と、媒体の両縁部50a,50bとで、それぞれ対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位が、露光装置15による露光後において同等であるため、A4縦媒体通過領域外w1,w2とA4縦媒体通過領域内w0とで濃度差ΔEが生じない。このため、濃度段差、縦黒スジも発生せず、A4普通紙の縦横印刷時の画像品質(PQ)評価では問題なしの結果が得られたものと考えられる。
(普通紙のA4縦印刷時のA4縦媒体通過領域外w1、w2でのトナー消費量について)
トナー消費量は、画像形成ユニット12内の逆帯電のかぶりトナー25が感光体ドラム13に移動する量が多いほど多くなる。逆帯電のかぶりトナー25は、露光装置15によって露光された後の感光体ドラム13表面の帯電電位と現像ローラ16に印加される電圧との電位差によって移動する。
ここでは、A4縦の普通紙印刷(白紙パターン印刷)時のA4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位が、図8に示すように、帯電後に常に一定であるため、逆帯電のかぶりトナー25が感光体ドラム13に移動する量が多くならない。このため、前記した第1の測定サンプルの濃度と第2の測定サンプルの濃度の濃度差ΔEが0.05未満となり、トナー消費量は問題なしの結果が得られたものと考えられる。
(高抵抗媒体のA4縦パターン印刷時の評価について)
前記したように、高抵抗媒体の印刷時は、普通紙の印刷時と同じ電圧が帯電ローラ14、除電装置36に印加されるが、転写ローラ17に対しては、普通紙のときより高い電圧の+3500V(普通紙では+2000V)が印加される。
試験結果によると、図5で説明した、普通紙及び高抵抗媒体のA4縦パターン印刷時の、感光体ドラム13の表面の帯電電位の変化は、図7に示すように、イニシャル時と印刷時とにおいて同一であった。このため、普通紙のA4縦パターン印刷時の評価と同様に、ハーフトーンパターンで印刷された、印刷パターン領域30bと印刷パターン領域30dとに濃度差ΔEが生じにくく、高抵抗媒体のA4縦パターン印刷時の画像品質(PQ)評価では問題なしの結果が得られたものと考えられる。
(高抵抗媒体のA4縦横刷時の評価について)
図10は、図6(a)で説明したA4縦高抵抗媒体印刷時の、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を実線で示し、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を点線で示し、同じく、媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を一点鎖線で示す。縦軸には感光体ドラム13の表面の帯電電位を示し、横軸には印刷時の各段階(帯電、転写等)を順次ならべている。従って、横軸は時間軸ではない。
図11は、図6(b)で説明した高抵抗媒体でのA4横ハーフトーン印刷時の、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を実線で示し、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を点線で示し、同じく、媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を一点鎖線で示す。縦軸には感光体ドラム13の表面の帯電電位を示し、横軸には印刷時の各段階(帯電、転写等)を順次ならべている。従って、横軸は時間軸ではない。
先ず、A4縦高抵抗媒体印刷を白紙パターンで10枚印刷した時の感光体ドラム13の表面電位について説明する。
図10に示すように、A4縦の高抵抗媒体印刷時のイニシャル時における、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、図7で説明したA4縦パターン印刷時のイニシャル時と同様であるため、ここでの説明は省略する。
続くA4縦の高抵抗媒体印刷時、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、帯電ローラ14によって−500Vに帯電された後、白紙パターンで印刷されるため、露光量が0%の露光装置15によっては露光されずに−500Vを維持する。その後の転写ローラ17の通過時は、普通紙より高い電圧(+3500V)が転写ローラ17に印加されるが、感光体ドラム13と転写ローラ17との間には普通紙より体積抵抗値の高い高抵抗媒体が存在するためにイニシャル時と同等の転写電流が流れ、−200Vとなる。
その後、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、除電装置36によって除電光が感光体ドラム13に照射されて除電されて−50Vとなり、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電されて−500Vとなる。ここでは、A4縦の高抵抗媒体印刷が、白紙パターンで10枚印刷されるため、この一連の帯電動作が繰り返される。
高抵抗媒体でのA4縦白紙印刷時、A4縦媒体通過領域外w1、w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、イニシャル時には図7で説明したA4縦印刷時と同様であるため、ここでの説明は省略する。
続く高抵抗媒体でのA4縦白紙印刷時、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、帯電ローラ14によって−500Vに帯電された後、A4縦媒体通過領域外のため、且つ露光量が0%の露光装置15であるため露光されずに−500Vを維持する。その後の転写ローラ17の通過時は、感光体ドラム13と転写ローラ17との間に高抵抗媒体がなく、更にイニシャル時より高い転写電圧(+3500V)が印加されるため、イニシャル時より転写電流が流れ、+50Vまで減少する。
その後、感光体ドラム13表面は、除電装置36によって除電光が照射されるが、その表面電位は、プラス電位となっているために除電されず、+50Vを維持したまま、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電される。この時、感光体ドラム13表面の帯電電位は、+50Vの状態から帯電されるため帯電しにくく、−450Vに留まる。
ここでは、A4縦の高抵抗媒体印刷が、白紙パターンで10枚印刷され、感光体ドラム13表面における、転写ローラ17を通過する際の、上記したプラス側帯電が繰り返されるため、これにより感光体ドラム13が帯電不良となる。帯電不良になった部分は、数時間放置しても改善せず、履歴として残る。
A4縦の高抵抗媒体印刷時、媒体の両縁部50a,50b(図6(a))に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、印刷時の露光後まで、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位と同じであるが、転写ローラ17を通過する段階で、A4縦媒体通過領域外w1,w2より低い+100Vまで低下する。これは、高抵抗媒体の両縁では、媒体があることで感光体ドラム13に流れなかった転写電流が両縁部に流れ込み、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位よりも低くなるためである。
その後、感光体ドラム13表面は、除電装置36によって除電光が照射されるが、その表面電位は、プラス電位となっているために除電されず、+100Vを維持したまま、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電される。この時、感光体ドラム13表面の帯電電位は、+100Vの状態から帯電されるため帯電しにくく、−400Vに留まる。帯電ローラ14を通過後の媒体の両縁部50a,50b(図6(a))に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、A4縦媒体通過領域外w1,w2の場合より更にプラス側となるため、A4縦媒体通過領域外w1,w2より更に帯電不良になりやすくなる。
次に、A4縦高抵抗媒体印刷を白紙パターンで10枚印刷した後、A4横高抵抗媒体印刷をハーフトーンパターンで1枚印刷した時の感光体ドラム13の表面電位について説明する。
先ず、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位の推移について説明する。
図11に示すように、高抵抗媒体でのA4横ハーフトーン印刷時のイニシャル時における、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、図7で説明したA4縦パターン印刷時のイニシャル時と同様であるため、ここでの説明は省略する。
続く高抵抗媒体でのA4横ハーフトーン印刷時、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、帯電ローラ14によって−500Vに帯電された後、ハーフトーンパターンで印刷されるため、露光量を30%とした露光装置15によって露光された段階で−300Vとなる。
次に、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位の推移について説明する。
この場合図11に示すように、高抵抗媒体でのA4横ハーフトーン印刷時のイニシャル時における、A4縦媒体通過領域外w01、w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、動作開始時において0Vであるが、A4縦の印刷で帯電不良の履歴が残って帯電不良となったため、帯電ローラ14で感光体ドラム13を帯電した段階で−400Vとなり、その後転写ローラ17を通過する段階で−150Vに減少する。
その後、A4縦媒体通過領域外w1、w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、除電装置36によって除電されて−50Vとなるが、再度、帯電ローラ14を通過して帯電された段階で、帯電不良の履歴から−400Vとなる。これにより、その後、ハーフトーンによる印刷過程に移行して露光量を30%とした露光装置15によって露光された段階で、A4縦媒体通過領域内w0の場合よりも減少した−200Vとなる。
次に、媒体の両縁部50,50bに対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位の推移について説明する。
この場合図11に示すように、A4横の高抵抗媒体印刷時のイニシャル時における、媒体の両縁部50,50bに対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、動作開始時において0Vであるが、A4縦の印刷で帯電不良の履歴が残って帯電不良となったため、帯電ローラ14で感光体ドラム13を帯電した段階で−350Vとなり、その後転写ローラ17を通過する段階で−100Vに減少する。
その後、媒体の両縁部50,50bに対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、除電装置36によって除電されて−50Vとなるが、再度、帯電ローラ14を通過して帯電された段階で、帯電不良の履歴から−350Vとなる。これにより、その後、ハーフトーンによる印刷過程に移行して露光量を30%とした露光装置15によって露光された段階で、A4縦媒体通過領域内w0及びA4縦媒体通過領域外w01、w2の場合よりも減少した−150Vとなる。
以上説明したように、A4縦高抵抗媒体印刷を白紙パターンで10枚印刷した後の、A4横高抵抗媒体のハーフトーン印刷時では、露光量を30%とした露光装置15によって露光された段階で、A4縦媒体通過領域内w0、A4縦媒体通過領域外w1,w2及び媒体の両縁部50,50bにそれぞれ対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位が、互いに異なっている。
このとき、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位より低くなっているため、濃度が濃くなって濃度差ΔEが発生し、媒体の両縁部50,50bに対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、A4縦媒体通過領域内w0及びA4縦媒体通過領域外w1,w2のそれよりも低くなっているため、濃度が濃くなって縦黒スジが発生する。これにより、A4高抵抗媒体の縦横印刷時の画像品質(PQ)評価では問題ありの結果が得られたものと考えられる。
(高抵抗媒体のA4縦印刷時のトナー消費量について)
ここでは、A4縦の高抵抗媒体印刷(白紙パターン印刷)時のA4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位が、図10に示すように、一旦転写ローラ17を通過した後の再帯電時において、転写の影響によってイニシャル時より低くなっている(−450V)。感光体ドラム13の帯電電位が低いと、現像ローラ16との電位差が小さくなり、逆帯電のかぶりトナー25が感光体ドラム13に移動する量が少なくなる。このため、前記した第1の測定サンプルの濃度と第2の測定サンプルの濃度の濃度差ΔEが0.05未満となり、トナー消費量は問題なしの結果が得られたものと考えられる。
上記した印刷試験結果によれば、A4縦高抵抗媒体印刷を白紙パターンで10枚印刷した後、高抵抗媒体でのA4横ハーフトーン印刷をしたときに、濃度差ΔEと縦黒筋が発生した。次に、この高抵抗媒体のA4縦横刷時の問題を解決する方法について説明する。
前記した(高抵抗媒体のA4縦横刷時の評価について)の説明から、この問題の発生原因は、図10に示すように、A4縦高抵抗媒体印刷を白紙パターンで10枚印刷した際に、転写によって、A4縦媒体通過領域外w1,w2及び媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位がプラス電位となる点にある。このプラス電位は、除電装置36による除電光の照射によっても除電されず、その影響が高抵抗媒体でのA4横ハーフトーン印刷時の帯電不良となって現れ、濃度差ΔEや縦黒筋を発生する問題を引き起こしていた。
従って、この問題を解消するには、感光体ドラム13表面をプラス側に帯電させないようにする必要がある。以下、その対策について説明する。
A4縦媒体通過領域外w1,w2及び媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位がプラス電位とならないためには、例えば転写ローラ17を通過する前の感光体ドラム13表面の該当部分の帯電電位を大きくしておけばよい。そのためには、除電装置36による除電光の照射によって帯電電位が低下しないように、除電光照射を遮光する方法が考えられる。
次に、除電光照射を遮光した状態、或いは除電光照射を停止した状態で、高抵抗媒体でのA4縦白紙印刷した時の感光体ドラム13の表面電位について説明する。
図12は、除電光なしで、図6(a)で説明した高抵抗媒体でのA4縦白紙印刷時の、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を点線で示し、同じく、媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を一点鎖線で示す。縦軸には感光体ドラム13の表面の帯電電位を示し、横軸には印刷時の各段階(帯電、転写等)を順次ならべている。従って、横軸は時間軸ではない。
図12に示すように、高抵抗媒体でのA4縦白紙印刷時のイニシャル時における、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、動作開始時には0Vであり、帯電ローラ14を通過する段階で帯電されて−500Vとなり、その後、転写電圧(+3500V)が印加された転写ローラ17を通過する段階で、感光体ドラム13と転写ローラ17間に生ずる電位差によって転写電流が感光体ドラム13に流れることにより−200Vに減少する。その後、感光体ドラム13の表面の帯電電位は、除電装置36による除電光が遮光されているため、除電装置36を通過しても−200Vを維持し、再度、帯電ローラ14を通過する段階で、ここで帯電された電圧が加わって−700Vとなる。
続く印刷時、イニシャル時に帯電ローラ14によって−700Vに帯電されたA4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、A4縦媒体通過領域外であり、且つ露光量が0%の露光装置15であるため露光されず、−700Vを維持する。その後の転写ローラ17の通過時には、普通紙印刷時よりも高い転写電圧(+3500V)が印加されるため、普通紙印刷時よりも転写電流が流れやすいが、転写ローラ17通過前の帯電電位が−700Vあるため、転写電流が流れてもプラス電位になることはなく、−150Vとなる。その後、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、除電装置36を通過するが、その除電光が遮光されているため除電されずに−150Vを維持し、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電され、−600Vとなる。
一方、媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、イニシャル時及び印刷時の転写前までA4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位と一緒に変化するが、その後の転写ローラ17の通過時には、A4縦媒体通過領域外w1,w2より低い−100Vまで低下する。これは、高抵抗媒体の両縁では、媒体があることで感光体ドラム13に流れなかった転写電流が両縁部に流れ込み、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位よりも低くなるためである。その後、媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、除電されることなく、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電され、−550Vとなる。
以上のように、A4高抵抗媒体を縦印刷する際に、除電光照射を遮光することにより、A4縦媒体通過領域外w1,w2及び媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位がプラス電位とならないため、帯電不良の発生を防ぐことができる。
しかしながら、除電装置36からの除電光を全領域で遮光すると、画像品質(PQ)に問題が生じる。表2は、除電光を全領域で遮光した状態とし、その他の条件は、前記した表1に示す評価結果を得た評価試験と同じ条件で試験を行った結果を示すものある。
同表に示すように、図5に示す印字パターンを印刷したA4縦パターン印刷時の画像品質評価では、普通紙及び高抵抗媒体共に問題ありの評価となり、A4縦横印刷時の画像品質評価では、普通紙及び高抵抗媒体共に問題ありの評価となり、A4縦媒体通過領域外のトナー消費量の評価では、普通紙においては問題あり、高抵抗媒体においては問題なしの評価が得られた。
ここで、表2における各評価結果について考察する。
(除電光を全領域で遮光した状態での普通紙のA4縦パターン印刷時の評価について)
図13は、図5で説明した、普通紙及び高抵抗媒体のA4縦パターン印刷時の、感光体ドラム13の表面の帯電電位の変化を、印刷処理過程の各段階(帯電、転写等)に応じて示した動作説明図である。縦軸には感光体ドラム13の表面の帯電電位を示し、横軸には印刷時の各段階(帯電、転写等)を順次ならべている。従って、横軸は時間軸ではない。
図13は、感光体ドラム13表面の帯電電位の推移を、印刷動作前(イニシャル時)と、印刷時とで示し、図5に示す左側領域Xに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を実線で示し、図5に示す右側領域Yに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を点線で示している。
図13に示すように、図5に示す、左側領域Xに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位及び右側領域Yに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位の変化は、例えば、図12に示すA4縦パターン印刷時のA4縦媒体通過領域外w1,w2の変化と同じであるため、ここでの説明は省略する。
続く普通紙印刷時、図5に示す左側領域Xにおいて、高トナー消費パターンで印刷される印刷パターン領域30a(図5)に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、帯電ローラ14によって−700Vに帯電された後、露光量を100%とした露光装置15によって露光された段階で−50Vとなる。その後の転写ローラ17の通過時は、感光体ドラム13と転写ローラ17との間には普通紙が存在するためにイニシャル時と同等の転写電流が流れるが、このときの感光体ドラム13表面の帯電電位が小さいため、−50Vのままとなる。その後、感光体ドラム13表面の帯電電位は、除電装置36による除電光が遮光されているため−50Vのままとなり、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電されて−500Vとなる。
図5に示す左側領域Xにおいて、ハーフトーンパターンで印刷される印刷パターン領域30b(図5)に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、帯電ローラによって−500Vとされた後、露光量を30%とした露光装置15によって露光された段階で−300Vとなる。
図5に示す右側領域Yにおいて、白紙パターンで印刷された印刷パターン領域30c(図5)に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、帯電ローラ14によって−700Vに帯電された後、露光量が0%の露光装置15によって露光されずに−700Vを維持する。その後の転写ローラ17の通過時は、感光体ドラム13と転写ローラ17との間には普通紙が存在するが普通紙の抵抗が小さいためにイニシャル時と同等の転写電流が流れ、−400Vとなる。その後、感光体ドラム13表面の帯電電位は、除電装置36による除電光が遮光されているため−400Vのままとなり、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電されて−800Vとなる。
図5に示す右側領域Yにおいて、ハーフトーンパターンで印刷された印刷パターン領域30d(図5)に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、帯電ローラによって−800Vとされた後、露光量を30%とした露光装置15によって露光された段階で−500Vとなる。
以上説明したように、A4縦の普通紙印刷時、左側領域Xのハーフトーンパターンで印刷される印刷パターン領域30b(図5)に対応する感光体ドラム13表面の、露光された段階の帯電電位は−300Vであり、右側領域Yのハーフトーンパターンで印刷される印刷パターン領域30d(図5)に対応する感光体ドラム13表面の、露光された段階の帯電電位は−500Vであるため、印刷パターン領域30dは、印刷パターン領域30b濃度が薄くなり、両領域の濃度差△Eが0.05以上となり、A4普通紙の縦印刷時の画像品質(PQ)評価では問題ありの結果が得られたものと考えられる。
(除電光を全領域で遮光した状態での高抵抗媒体のA4縦パターン印刷時の評価について)
前記したように、高抵抗媒体の印刷時は、普通紙の印刷時と同じ電圧が帯電ローラ14、除電装置36に印加されるが、転写ローラ17には、普通紙のときより高い電圧の+3500V(普通紙では+2000V)が印加される。
試験結果によると、図5で説明した、高抵抗媒体のA4縦パターン印刷時の、感光体ドラム13の表面の帯電電位の変化は、図13に示すように、イニシャル時と印刷時との両方において、普通紙のA4縦パターン印刷時と同一であった。このため、普通紙のA4縦印刷時の評価と同様に、A4高抵抗媒体の縦印刷時の画像品質(PQ)評価では問題ありの結果が得られたものと考えられる。
(除電光を全領域で遮光した状態での普通紙及び高抵抗媒体のA4縦横刷時の評価について)
次に、普通紙でのA4縦の白紙印刷後のA4横ハーフトーン印刷時の感光体ドラム13表面の帯電電位の推移について、図14を参照しながら説明する。図14は、除電光無し時に、普通紙及び高抵抗媒体でのA4縦横印刷時の感光体ドラム表面の帯電電位の推移の説明に供する図である。
徐電光を遮光すると、感光体ドラム13表面の帯電電位は、A4縦の白紙印刷時にはプラス電圧にならず、帯電不良にはならないが、A4横ハーフトーン印刷時には、図14に示すように、印刷時に帯電ローラ14によって−700Vに帯電された帯電電位が、ハーフトーンパターンを印刷するために露光量を30%とした露光装置15によって露光された段階で−400V(図14中にVaで示す)となる。その後、転写ローラ17を通過する段階で−150Vとなり、除電装置36を通過しても除電光が遮光されているため−150Vのままとなる。
感光体ドラム13表面の帯電電位は、再度、帯電ローラ4を通過する段階で−650Vに帯電され、露光装置15を通過する段階で−350V(図14中にVbで示す)となる。ここで、露光装置15を通過した時点での帯電電圧Va(−400V)と帯電電圧Vb(−350V)とでは、帯電電位が異なり、帯電電圧Vaの方が帯電電圧Vbより−50Vも高くなっている。このため、ハーフトーンパターンでは、帯電電圧Va(−400V)に対応する領域の印刷濃度が、帯電電圧Vb(−350V)に対応する領域の印刷濃度よりも薄くなって、濃度段差が生じる。
ここでは、普通紙印刷の場合を示したが、高抵抗媒体の場合も同様の傾向を示す。従って、A4縦横刷時の、普通紙及び高抵抗媒体の画像品質(PQ)評価では、各評価共に、問題ありの結果が得られたものと考えられる。
(除電光を全領域で遮光した状態での普通紙のA4縦刷時のA4縦媒体通過領域外w1、w2でのトナー消費量について)
図15は、図6(a)で説明したA4縦普通紙印刷(白紙パターン印刷)時の、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位の推移を示している。縦軸には感光体ドラム13の表面の帯電電位を示し、横軸には印刷時の各段階(帯電、転写等)を順次ならべている。従って、横軸は時間軸ではない。
ここでは、A4縦の普通紙印刷(白紙パターン印刷)時のA4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位が、イニシャル時には、前記した図13に示す普通紙及び高抵抗媒体のA4縦パターン印刷時の、感光体ドラム13の表面の帯電電位の変化と同じであるため、ここでの説明を省略する。
続く印刷時、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、帯電ローラ14によって−700Vに帯電された後、A4縦媒体通過領域外のため、且つ露光装置15の露光量が0%であるため、露光されずに−700Vを維持する。その後の転写ローラ17の通過時は、感光体ドラム13と転写ローラ17との間には普通紙が存在するが普通紙の抵抗が小さいためにイニシャル時と同等の転写電流が流れるが、その前の帯電電位が高いため−400Vとなる。その後、感光体ドラム13表面の帯電電位は、除電装置36による除電光が遮光されているため−400Vのままとなり、再度、帯電ローラ14を通過する段階で帯電されて−800Vとなる。
従って、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、感光体ドラム13のイニシャル時より印刷時のほうが高くなる。帯電電位が高いと、逆帯電のかぶりトナーが感光体ドラム13に移動する量が多くなる。このため、前記した第1の測定サンプルの濃度と第2の測定サンプルの濃度の濃度差ΔEが0.05以上となり、トナー消費量は問題ありの結果が得られたものと考えられる。
(除電光を全領域で遮光した状態での高抵抗媒体のA4縦刷時のA4縦媒体通過領域外w1、w2でのトナー消費量について)
A4縦の高抵抗媒体印刷のA4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13の表面の帯電電位は、印刷時の帯電後の段階で、除電光を遮光していないときと比べて高くなるが(図10と図12を比較参照)、図15で説明した除電光なしの普通紙印刷時よりは低くなる。そのため、逆帯電のかぶりトナーが感光体ドラム13に移動する量は普通紙の場合より少なくなる。このため、前記した第1の測定サンプルの濃度と第2の測定サンプルの濃度の濃度差ΔEが0.05未満となり、トナー消費量は問題なしの結果が得られたものと考えられる。
上記した印刷試験結果によれば、除電光を遮光すると、A4縦高抵抗媒体印刷時に、感光体ドラム13の表面の帯電電位がプラス電位とならないため帯電不良とならないが、普通紙、高抵抗媒体の画像品質(PQ)、普通紙のA4縦媒体通過領域外のトナー消費に問題が生じる。
次に、A4縦印刷時のみ、A4縦媒体通過領域外w1,w2の除電光を遮光して行った評価試験について説明する。表3は、上記条件の他は、前記した表1に示す評価結果を得た評価試験と同じ条件で試験を行った結果を示すものである。
ここで、A4縦媒体通過領域外w1,w2の除電光のみを遮光する除電光遮光シート37、及びその配置について説明する。図16は、画像形成ユニット12(図1)の感光体ドラム13と除電装置36との間に配置された除電光遮光シート37の配置を示す配置図であり、図17は、図16において、感光体ドラム13の回転中心方向から、即ち矢印C方向から除電光遮光シート37と除電装置36をみた配置図である。
除電光遮光シート37は、図16に示すように、感光体ドラム13と除電装置36との間に配置されるが着脱自在とされ、ここではA4縦印刷時のみに配置され、A4横印刷時には外される。図17に示すように、除電光遮光シート37が所定位置に配置されると、A4縦印刷時のA4縦媒体通過領域内w0に対応する除電光遮光シート37の投光部37aを通過するLED素子36bの除電光のみが感光体ドラム13の表面に照射され、除電装置36から出光するその他の除電光は、除電光遮光シート37の遮光部37b,37cによって遮光され、感光体ドラム13表面のA4縦媒体通過領域外w1,w2には至らない。
尚、除電光遮光シート37を装着する際には、画像形成装置11のアッパーカバー39を開け、例えばその把持部37dをつかんで、除電装置36の近傍の所定位置に、除電光遮光シート37の長手方向両端部に対応すべく配置された一対の側部ガイド55a,55aのガイド溝に、その両端部が沿うように位置決めし、その遮光部37b,37cの底部が、一対の下部ガイド55b、55bの当接部に当接するまで押し下げることで、画像形成装置11内の所定位置に除電光遮光シート37を装着する。
表3に示すように、図5に示す印字パターンを印刷したA4縦パターン印刷時の画像品質評価では、普通紙及び高抵抗媒体共に問題なしの評価となり、A4縦横印刷時の画像品質評価でも、普通紙及び高抵抗媒体共に問題なしの評価となり、A4縦媒体通過領域外のトナー消費量の評価では、普通紙においては問題あり、高抵抗媒体においては問題なしの評価が得られた。
ここで、表3における各評価結果について考察する。
(除電光遮光シート37を装着した状態での普通紙及び高抵抗媒体のA4縦パターン印刷時の評価について)
ここでは除電光遮光シート37を装着しているが、A4縦媒体通過領域内w0の除電光は遮光していないため、A4縦媒体通過領域内w0の感光体ドラム13の表面には除電光が照射される。従って、このときの感光体ドラム13の表面の帯電電位の変化は、前記した図7を用いて説明した、普通紙及び高抵抗媒体のA4縦パターン印刷時の、感光体ドラム13の表面の帯電電位の変化と同じであるためここでの説明は省略する。従って、ハーフトーンパターンで印刷された、図5に示す印刷パターン領域30bと印刷パターン領域30dとに濃度差ΔEが生じにくく、A4普通紙及び高抵抗媒体の縦印刷時の画像品質(PQ)評価では問題なしの結果が得られたものと考えられる。
(除電光遮光シート37を装着し或いは外しての普通紙のA4縦横刷時の評価について)
除電光遮光シート37を装着しての図6(a)で説明した普通紙でのA4縦白紙印刷時、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位は、除電されずに転写後の電位を保つため、再帯電時にマイナス側に大きくなるが、プラス電位となることがないので帯電不良の履歴が残らない。
従って、上記普通紙のA4縦白紙印刷後に、除電光遮光シート37を外してA4横普通紙印刷をハーフトーンパターンで1枚印刷しても、その時の感光体ドラム13表面の帯電電位の変化は、前記した図9を用いて説明した、A4横普通紙印刷をハーフトーンパターンで印刷したときと同じになるため、ここでの説明は省略する。従って、A4縦媒体通過領域外w1,w2とA4縦媒体通過領域内w0とで濃度差ΔEが生じず、濃度段差、縦黒スジも発生しないため、ここでのA4普通紙の縦横印刷時の画像品質(PQ)評価では問題なしの結果が得られたものと考えられる。
(除電光遮光シート37を装着し或いは外しての高抵抗媒体のA4縦横刷時の評価について)
図18は、除電光遮光シート37を外しての、図6(b)で説明した高抵抗媒体でのA4横ハーフトーン印刷時の、A4縦媒体通過領域内w0に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を実線で示し、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を点線で示し、同じく、媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位を一点鎖線で示す。縦軸には感光体ドラム13の表面の帯電電位を示し、横軸には印刷時の各段階(帯電、転写等)を順次ならべている。従って、横軸は時間軸ではない。
高抵抗媒体でのA4縦白紙印刷を行う際に、除電光遮光シート37を装着してA4縦媒体通過領域外w1,w2及び媒体の両縁部50a,50bに対する除電光照射を遮光すると、図12で説明したように、A4縦媒体通過領域外w1,w2及び媒体の両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位がプラス電位とならないため、帯電不良の発生を防ぐことができる。
そのため、高抵抗媒体をA4縦白紙印刷で10枚印刷した後に、除電光遮光シート37を外して高抵抗媒体でのA4横ハーフトーン印刷を行うと、その時の感光体ドラム13表面の帯電電位の変化は、図18に示すように、前記した図9を用いて説明した、普通紙でのA4横ハーフトーン印刷を行った時と同じになる。
そのためここでの詳しい説明は省略するが、高抵抗媒体でのA4横ハーフトーン印刷時のA4縦媒体通過領域内w0、A4縦媒体通過領域外w1,w2、両縁部50a,50bに対応する感光体ドラム13表面の帯電電位が、露光装置15による露光後において、同じとなり、濃度段差と縦黒スジは発生しない。これにより、ここでのA4高抵抗媒体の縦横印刷時の画像品質(PQ)評価では問題なしの結果が得られたものと考えられる。
(除電光遮光シート37を装着した状態での普通紙及び高抵抗媒体のA4縦刷時のトナー消費量について)
このとき、A4縦媒体通過領域外w1,w2のトナー消費量については、その条件が、除電光を全領域で遮光した表2の評価試験と同じとなり、そのため評価結果の表2の評価結果と同じになるため、ここでの説明は省略する。
以上の評価試験結果によれば、普通紙、高抵抗媒体に対する、
(1)A4縦印刷時のPQ、
(2)A4縦印刷後のA4横印刷時のPQ、
(3)A4縦印刷時のA4縦媒体通過領域外のトナー消費
の3つの評価において、
表1の評価結果から、除電光をすべての領域で照射した場合、上記した(1)〜(3)の評価のうち、高抵抗媒体に対する(2)の評価のみが問題が生じるが、少なくとも普通紙では問題が生じていない。
一方、表3の評価結果から、A4縦印刷の時のみA4縦媒体通過領域外の除電光を遮光した場合、上記した(1)〜(3)の評価のうち、普通紙での(3)の評価のみに問題が生じるが、少なくとも高抵抗媒体では問題が生じていない。
従って、高抵抗媒体のA4縦印刷時のみ除電光遮光シート37を装着するようにすれば、普通紙、高抵抗媒体に対する、上記(1)〜(3)のすべての印刷条件において問題なしの結果が得られることになる。
本実施の形態の画像形成装置11は、記録媒体30が普通紙か高抵抗媒体か、及びA4の縦印刷か否かによって除電光遮光シート37の着脱を判断し、操作者にその操作を誘導するように構成したものである。
図19は、画像形成装置11が電源投入された後、パネル制御部としてのタッチパネル制御部48がパネルとしてのタッチパネル38に表示する一表示例を示す表示画面図であり、図20(a),(b)は、タッチパネル制御部48がタッチパネル38の表示部52に表示するメッセージ例を示すメッセージ画面図である。
ここでタッチパネル38に表示される画面は、操作入力部としての操作部51と表示部52からなり、操作部51には、「A4縦印刷」、「A4横印刷」・・・等の複数の用紙サイズから印刷する用紙サイズと印刷方向を選択するための用紙サイズボタン53aを配列した用紙サイズ選択部53と、用紙種類ボタン54aを配列した用紙種類選択部54が配置されている。具体的には、普通紙、やや厚い紙、グロス紙、厚紙の用紙種類を選択した場合に低抵抗媒体と判断し、フィルム媒体又は耐水紙の用紙種類を選択した場合には高抵抗媒体と判断される。尚、用紙種類を選択する場合には、その選択を援助するメッセージ、例えば抵抗値の目安や、用紙媒体の素材によって選択を明瞭にするメッセージを表示部52に表示するようにしてもよい。
ここでユーザーが、用紙サイズ選択部53で「A4縦印刷」の用紙サイズボタン53aを選択し、且つ用紙種類選択部54で「高抵抗媒体」を選択したとき、タッチパネル制御部48は、タッチパネル38の表示部52に図20(a)に示すメッセージ「除電光遮光シートが装着されていない場合、アッパーカバーを開け、除電光遮光シートを装着して下さい。」を表示して操作者に除電光遮光シート37の装着を促し、操作者が上記以外の選択をした場合、タッチパネル38の表示部52に図20(b)に示すメッセージ「除電光遮光シートが装着されている場合、アッパーカバーを開け、除電光遮光シートを外して下さい。」を表示し、操作者に除電光遮光シート37の取り外しを促す。
尚、本実施の形態では、ユーザーがタッチパネル38を操作することで、用紙サイズ、縦横の印刷方向、及び媒体抵抗などの記録媒体情報を得たが、これに限定するものではなく、上位装置42からの印刷データ及び制御コマンドの中にこれらの情報が含まれている場合には、上位装置から入手したこれらの情報を得るように構成してもよいなど種々の態様が可能である。
以上のように、高抵抗媒体のA4縦印刷時のみ、除電光遮光シート37でA4縦媒体通過領域外w1,w2の除電光を遮光する事で、高抵抗媒体時の転写電流が感光体ドラム13に流れこんでも感光体ドラム13は逆極性(プラス)に帯電しないため、A4縦媒体通過領域外w1,w2の帯電不良の発生を防止できる。その結果、A4縦の高抵抗媒体を繰り返し印刷した後にA4横の高抵抗媒体を印刷しても、A4縦の高抵抗媒体のA4縦媒体通過領域外での帯電不良による濃度段差、両縁での帯電不良による縦黒スジの発生を防止できる。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、印刷する記録媒体のサイズ、印刷方向、及び媒体の種類に応じて、除電光遮光シート37の着脱を選択し、ユーザーが、その選択を間違いなく実行することが可能となるため、常に高品位な印刷を実行することができる。
実施の形態2.
図21は、本発明に基づく実施の形態2の画像形成装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。
この制御系を備える実施の形態2の画像形成装置が、前記した図4に示す制御系を備える実施の形態1の画像形成装置と主に異なる点は、除電装置36のLED素子36b(図22)の発光制御方法と、実施の形態1の画像形成装置に用意されている除電光遮光シート37及びそのガイド手段が省かれている点である。従って、この制御系を備える画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置11と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、除電装置36にかかわる部分以外は、図1に示す実施の形態1の画像形成装置11の要部構成と共通するため、必要に応じて図1を参照する。
図21において、除電制御部149は、例えばタッチパネル38で選択された印刷する記録媒体のサイズ、印刷方向、及び媒体の種類の媒体情報を画像形成制御部としてのプリンタ制御部141から入力し、この媒体情報に応じて、除電装置36の第1の照射領域に対応する第1発光部151a及び第2の照射領域に対応する第2発光部151bのLED素子36b(図22参照)の発光を制御する。
図22は、除電装置36の各LED素子36bと、除電制御部149の第1出力端子149a及び第2出力端子149bとの接続関係を示す構成図である。
同図に示すように、除電制御部149は、A4縦印刷時のA4縦媒体通過領域内w0に対応する第1発光部151aに配置されたLED素子36bに接続する第1出力端子149aを介して、第1発光部151aのLED素子36bの発光を制御し、A4縦印刷時のA4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する第2発光部151bに配置されたLED素子36bに接続する第2出力端子149bを介して、第2発光部151bのLED素子36bの発光を制御する。
以上の構成において、除電制御部149が、その第1出力端子149aを介して行う第1発光部151aのLED素子36bの発光制御、及び第2出力端子149bを介して行う第2発光部151bのLED素子36bの発光制御について説明する。
表4は、除電制御部149が、印刷する記録媒体のサイズ、印刷方向、及び媒体の種類に応じて第1出力端子149aから出力する印加電圧のオン、オフを示し、表5は、除電制御部149が、印刷する記録媒体のサイズ、印刷方向、及び媒体の種類に応じて第2出力端子149bから出力する印加電圧のオン、オフを示している。
表4、表5から明らかなように、除電制御部149は、高抵抗媒体のA4縦印刷時のみ第2出力端子149bからの印加電圧をオフにする。これにより、A4縦印刷時のA4縦媒体通過領域外w1,w2に対応する第2発光部151bに配置されたLED素子36bが消え、前記した実施の形態1で行った、除電光遮光シート37の装着時と同様に、感光体ドラム13の、A4縦媒体通過領域外w1,w2に相当する表面に除電光が照射されるのを防ぐことができる。
以上のように、高抵抗媒体のA4縦印刷時のみ、A4縦媒体通過領域外w1,w2に対応するLED素子36bの発光を停止する事で、高抵抗媒体時の転写電流が感光体ドラム13に流れ込んでも感光体ドラム13は逆極性に帯電しないため、A4縦媒体通過領域外w1,w2の帯電不良の発生を防止できる。その結果、A4縦の高抵抗媒体を繰り返し印刷した後にA4横の高抵抗媒体を印刷しても、A4縦の高抵抗媒体のA4縦媒体通過領域外での帯電不良による濃度段差、両縁での帯電不良による縦黒スジの発生を防止できる。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、印刷する記録媒体のサイズ、印刷方向、及び媒体の種類に応じて、除電装置36のLED素子36bを選択的に発光するので、ユーザーによって、除電光遮光シート37の着脱を実施することなく、常に高品位な印刷が可能となる。
(変形例1)
図23は、実施の形態2の変形例1を示す、除電装置36の各LED素子36bと、除電制御部149の第1出力端子149a及び第2出力端子149bとの接続関係を示す構成図である。
実施の形態2では、第1発光部151aをA4縦印刷時のA4縦媒体通過領域内w0に対応させ、第1発光部151aをA4縦印刷時のA4縦媒体通過領域外w1,w2に対応させていたが、この変形例1では、第1発光部151aを主走査方向(Y軸方向)において、記録媒体30に画像が形成される画像形成領域としての印字領域w10に対応させ、第2発光部151bを主走査方向(Y軸方向)において画像が形成されない画像形成領域外としての非印字領域w11,w12に対応させる。
この印字領域w10は、例えば、該当する記録媒体30に対する画像データに基づいて露光装置15の複数の発光素子が主走査方向において発光する領域を監視することで特定することができる。
このように制御することで、主走査方向において、除電光が照射されない領域が増え、第1発光部151aをA4縦印刷時のA4縦媒体通過領域内w0に対応させた場合の不都合、例えば、主走査方向で記録媒体30がずれた場合、A4縦媒体通過領域外に除電光が照射され、縦黒スジが発生してしまうような場合にも、除電光が照射されない領域が増える分でカバーでき、これらの不都合を抑制することができる。
本実施の形態では、表1及び表2の試験結果に基づく考察から、高抵抗媒体のA4縦印刷時のみ第2発光部151bをオフにする制御を行ったが、これに限定されるものではない。例えば、高抵抗媒体を印刷するときは、用紙サイズにかかわらず、主走査方向において、印刷媒体通過領域外、或いは印字領域外へ除電光が照射されないように構成してもよい。
更に、本実施の形態で例としたA4縦印刷時の主走査方向における媒体幅を第1の幅とし、同じくA4横印刷時の主走査方向における媒体幅を第2の幅としたとき、A4縦印刷時の記録媒体を第1の幅を有する第1の記録媒体とし、A4横印刷時の記録媒体を、主走査方向において、第1の幅より広い第2の幅を有する第2の記録媒体と定義して、第1の記録媒体と第2の記録媒体の、各記録媒体のサイズを設定してもよいなど、種々の態様を取り得るものである。
実施の形態3.
図24は、本発明に基づく実施の形態3の画像形成装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。
この制御系を備える実施の形態3の画像形成装置が、前記した図21に示す制御系を備える実施の形態2の画像形成装置と主に異なる点は、用紙サイズ検出部201と転写電流検出器202を備えた点である。従って、この制御系を備える画像形成装置が、前記した実施の形態1、2の画像形成装置と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、図1に示す実施の形態1の画像形成装置11の要部構成と略共通するため、必要に応じて図1を参照する。
用紙サイズ検出部201は、図1に示す実施の形態1の画像形成装置11に点線で示すように、記録媒体30の搬送路に沿って、例えばレジストローラ対23の後段に配置され、搬送される記録媒体30の、主走査方向(Y軸方向)の幅と、副走査方向(X軸方向)の長さを検出し、検出した用紙サイズ情報を画像形成制御部としてのプリンタ制御部241に送信する。プリンタ制御部241は、受信した用紙サイズ情報に基づいて、サイズ検出された記録媒体30のサイズ(A4等)と縦置き印刷か、横置き印刷かの印刷方向を判定する。
また転写電流検出器202は、記録媒体30の先端部が、感光体ドラム13と所定の転写電圧が印加された転写ローラ17との間に至った段階で、転写ローラ17と感光体ドラム13との間に流れる転写電流を検出し、検出した電流情報をプリンタ制御部241に送信する。プリンタ制御部241は、受信した転写電流情報に基づいて、感光体ドラム13と転写ローラ17と間に至った記録媒体30が、普通紙か或いは高抵抗媒体かを判定する。
除電制御部149は、これらの判定結果を受け、前記した実施の形態2で説明したように、表4、表5に基づいて除電装置36の複数のLED素子36bの発光を制御する。発光制御方法については、前記した実施の形態2で説明した通りなので、ここでの説明は省略する。
以上のように、本実施の形態では、画像形成装置自体によって、用紙サイズ、縦横の印刷方向、及び媒体抵抗などの記録媒体情報が得られるように構成しているため、印刷時、ユーザーがこれらのデータを入力する必要がないため、煩雑さを解消できる。
また、前記した特許請求の範囲、及び実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」といった言葉を使用したが、これらは便宜上であって、画像形成装置を配置する状態における絶対的な位置関係を限定するものではない。