JP2020050892A - 磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法 - Google Patents

磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた保磁力を有するSm−Fe−N系磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法を提供する。【解決手段】Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がTh2Zn17型又はTh2Ni17型の結晶構造を有する磁性相と、前記磁性相の周囲に存在するZn又はZn合金を含有する改質相と、を備え、X線回折で、Sm2Fe17N3結晶の(113)面の強度値をA、α−Fe結晶の(110)面の強度値をBとしたとき、B/A×100で表されるα−Fe存在確率指標が120〜350である、磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法。【選択図】図1

Description

本開示は、磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法に関する。本開示は、特に、Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型又はThNi17型の結晶構造を有する磁性相を備える磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法に関する。
高性能希土類磁石としては、Sm−Co系希土類磁石及びNd−Fe−B系希土類磁石が実用化されているが、近年、これら以外の希土類磁石が検討されている。
例えば、Sm、Fe、及びNを含有する希土類磁石(以下、「Sm−Fe−N系希土類磁石」ということがある。)が検討されている。Sm−Fe−N系希土類磁石は、Sm−Fe結晶に、Nが侵入型で固溶していると考えられている。
Sm−Fe−N系希土類磁石の改良も検討されている。例えば、特許文献1には、Sm、Fe、及びNを含有する磁性粒子とZn粒子とを混合して成形し、その成形体を熱処理して、保磁力を向上させる試みが開示されている。
特開2015−201628号公報
特許文献1に開示された希土類磁石については、保磁力の向上が充分でなく、それは、希土類磁石の製造に用いる磁性粒子に起因していた。このことから、Sm−Fe−N系希土類磁石の製造に用いる磁性粒子には、保磁力向上の余地がある、という課題を本発明者らは見出した。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本開示は、優れた保磁力を有するSm−Fe−N系の磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本開示の磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法を完成させた。本開示の磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法は、次の態様を含む。
〈1〉Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型又はThNi17型の結晶構造を有する磁性相と、
前記磁性相の周囲に存在するZnを含有する改質相と、
を備え、
X線回折で、SmFe17結晶の(113)面の強度値をA、α−Fe結晶の(110)面の強度値をBとしたとき、B/A×100で表されるα−Fe存在確率指標が120〜350である、
磁性粒子。
〈2〉前記α−Fe存在確率指標が139〜301である、〈1〉項に記載の磁性粒子。
〈3〉前記磁性相が、(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17(ただし、RはSm以外の希土類元素並びにY及びZrからなる群より選ばれる一種以上の元素、iは0〜0.50、jは0〜0.52、かつ、hは1.5〜4.5)で表される相を含む、〈1〉又は〈2〉項に記載の磁性粒子。
〈4〉前記磁性相が、SmFe17(ただし、hは1.5〜4.5)で表される相を含む、〈1〉〜〈3〉項のいずれか一項に記載の磁性粒子。
〈5〉前記磁性相が、SmFe17で表される相を含む、〈1〉〜〈4〉項のいずれか一項に記載の磁性粒子。
〈6〉〈1〉〜〈5〉項のいずれか一項に記載の磁性粒子の周囲に、金属系バインダ、合金系バインダ、及び樹脂系バインダからなる群から選ばれる一種以上のバインダを含有する結合相を備える、磁性粒子成形体。
〈7〉前記結合相がZn又はZn合金を含む、〈6〉項に記載の磁性粒子成形体。
〈8〉Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型又はThNi17型の結晶構造を有する磁性相を含有する磁性材原料粒子を準備すること、
前記磁性材原料粒子と、Zn又はZn合金を含有する改質材とを接触させて、接触体を得ること、
前記接触体を、Zn元素が前記磁性相の表面又は前記磁性相の表面の酸化相に拡散する温度以上、前記磁性相の分解温度未満で熱処理すること、及び
前記熱処理よりも前に、前記磁性材原料粒子の磁性相に、200〜30000kPaの応力を付与すること、
を含む、
磁性粒子の製造方法。
〈9〉前記応力が300〜15000kPaである、〈8〉項に記載の方法。
〈10〉前記磁性材原料粒子と、前記改質材の粒子を混合して、前記接触体を得る、〈8〉又は〈9〉項に記載の方法。
〈11〉前記磁性材原料粒子と、前記改質材の粒子を混合しながら、前記磁性相に応力を付与する、〈8〉〜〈10〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈12〉前記磁性相が、(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17(ただし、RはSm以外の希土類元素並びにY及びZrからなる群より選ばれる一種以上の元素、iは0〜0.50、jは0〜0.52、かつ、hは1.5〜4.5)で表される相を含む、〈8〉〜〈11〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈13〉前記磁性相が、SmFe17(ただし、hは1.5〜4.5)で表される相を含む、〈8〉〜〈12〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈14〉前記磁性相が、SmFe17で表される相を含む、〈8〉〜〈13〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈15〉前記熱処理を350〜500℃で行う、〈8〉〜〈14〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈16〉前記熱処理を420〜500℃で行う、〈8〉〜〈15〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈17〉〈1〉〜〈7〉項のいずれか一項に記載の磁性粒子を、金属系バインダ、合金系バインダ、及び樹脂系バインダからなる群から選ばれる一種以上のバインダで結合すること、をさらに含む、磁性粒子成形体の製造方法。
本開示によれば、X線回析から得られるα−Fe存在確率指標を所定の範囲にすることによって、保磁力に優れるSm−Fe−N系の磁性粒子及び磁性粒子成形体を提供することができる。また、本開示によれば、磁性粒子の磁性相に所定の応力を付与してから、Zn又はZn合金と熱処理することによって、上記所定のα−Fe存在確率指標を有する磁性粒子及び磁性粒子成形体の製造方法を提供することができる。
図1は、α−Fe存在確率指標とHcの関係を示すグラフである。 図2は、付与応力とHcの関係を示すグラフである。 図3は、実施例4の試料ついて、X線回析の結果を示すチャート図である。 図4は、磁性材原料粒子(SmFeN粒子)の磁性相に応力を付加する方法の一態様を説明する模式図である。 図5は、磁性材原料粒子(SmFeN粒子)の磁性相に所定の大きさの応力を付与して改質した場合に保磁力が向上する理由を説明する模式図である。 図6は、磁性材原料粒子(SmFeN粒子)の磁性相に過剰な大きさの応力を付与して改質した場合に保磁力が低下する理由を説明する模式図である。 図7は、磁性材原料粒子(SmFeN粒子)の磁性相に過小な大きさ応力を付与して改質した場合の保磁力について説明する模式図である。 図8は、図6に付与した応力よりもさらに大きな応力を付与した場合について、磁性材原料粒子(SmFeN粒子)の磁性相の状態を説明する模式図である。 図9は、磁性材原料粒子と改質材粒子を混合しながら、磁性材に応力を付与する態様の一例を示す模式図である。 図10は、改質材がZnであり、Znの融点以上で熱処理する態様の一例を示す模式図である。 図11は、本開示の磁性粒子成形体の一態様を示す模式図である。
以下、本開示の磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示の磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法を限定するものではない。
Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型又はThNi17型の結晶構造を有する磁性相を含む磁性材原料粒子(以下、「SmFeN粒子」ということがある。)は、磁性相の表面の少なくとも一部に酸化相を有している。そして、その酸化相には、α−Feが存在している。このα−Feによって磁化反転が起こり、保磁力低下の原因となる。そのため、SmFeN粒子をZn又はZn合金とともに熱処理(以下、これを「改質」ということがある。)して、このα−Feを極少化することが行われている。極少化とは、実質的にα−Feが存在していないことを意味する。
しかし、少量のα−Feが所定の形態で存在する方が、むしろ保磁力が向上する。また、所定の形態を有するα−Feは、SmFeN粒子の磁性相に所定の応力を付与した後に改質を行うことによって得られる。これらについて、理論に拘束されないが、図面を用いて以下に説明する。
図4は、SmFeN粒子の磁性相に応力を付加する方法の一態様を説明する模式図である。図5は、SmFeN粒子の磁性相に所定の大きさの応力を付与して改質した場合に保磁力が向上する理由を説明する模式図である。図6は、SmFeN粒子の磁性相に過剰な大きさの応力を付与して改質した場合に保磁力が低下する理由を説明する模式図である。図7は、SmFeN粒子の磁性相に過小な大きさの応力を付与して改質した場合の保磁力について説明する模式図である。図8は、図6に付与した応力よりもさらに大きな応力を付与した場合について、SmFeN粒子の磁性相の状態を説明する模式図である。
例えば、図4に示すように、SmFeN粒子の磁性相10を、応力付与冶具50と台座60で挟み、そして、応力付与冶具50に荷重を負荷しながら、応力付与冶具50を台座60の表面に沿って往復摺動することによって、磁性相10に応力を付与する。
磁性相10の表面は酸化され易いため、磁性相10の表面の少なくとも一部は酸化相になっており、磁性相10の表面は不安定である。その磁性相10に所定の大きさの応力を付与すると、図5に示すように、磁性相10の表面には歪領域15が形成され、磁性相10の表面は、さらに不安定になる。歪領域15が形成された状態で改質がなされると、歪領域15でZnの拡散が促進され、改質相20が形成される。改質中には、不安定な歪領域15からα−Fe30が生成するが、その多くはZn改質相20内に固溶して消滅し、少量のα−Fe30が改質相20に残存して、本開示の磁性粒子100が得られる。
図5に示した場合にように、磁性相10に付与する応力が所定の大きさであれば、改質相20内に残存するα−Fe30は少量かつ微細に分散する。このようにして得られた本開示の磁性粒子100に磁界40を印加すると、α−Fe30に磁束45が集中する。しかし、α−Fe30が微細に分散しているため、磁束45を改質相20内に収容することができる。このことから、α−Fe30の存在によって、磁性相10への磁気的な負荷をむしろ低減できる。その結果、保磁力が向上する。
磁性相10に過剰な大きさの応力を付与すると、図6に示すように、磁性相10の表面には厚い歪領域15が形成され、磁性相10の表面は、非常に不安定になる。この状態で改質を行うと、歪領域15でZnの拡散が促進され改質相20が形成されるが、歪領域15からは多量のα−Fe30が生成する。その一部はZn改質相20内に固溶して消滅するが、その固溶量には限界があり、多量のα−Fe30が改質相20内に残存する。これにより、改質相20内でα−Fe30同士が結合して、粗大なα−Fe30に成長する。このようにして得られた磁性粒子に磁界40を印加すると、粗大なα−Fe30に強い磁束45が生じる。この強い磁束45は、磁性相10に大きな磁気的負担を局所的に与えるため、保磁力が低下する。
磁性相10に過小な大きさの応力を付与すると、図7に示すように、磁性相10の表面には薄い歪領域15が形成される。この状態で改質を行うと、歪領域15でZnの拡散が促進され、改質相20が形成される。改質中には、歪領域15からα−Fe30が生成する。しかし、その生成量は非常に少量であるため、その多くはZn改質相20内に固溶して消滅し、改質相20内に、α−Fe30が実質的に存在しない。このようにして得られた磁性粒子に磁界40を与えても、図5に示したような、α−Fe30が微細に分散することによって得られる、磁性相10への磁気的な負荷を低減する効果は得られない。
磁性相10に、図6に示した場合よりも、さらに過剰な大きさの応力を付与すると、図8に示したように、磁性相10は破壊され、磁性相10としての機能を大幅に損なう。
図5〜8を用いて説明した事項をまとめると、図5に示したように、改質相20内にα−Fe30が少量かつ微細に分散すると、保磁力が向上する。そして、次に説明するα−Fe存在確率指標が所定の範囲内であるとき、図5に示したように、改質相20内にα−Fe30が少量かつ微細に分散する。
磁性粒子をX線回折に供し、SmFe17結晶の(113)面の強度値をA、α−Fe結晶の(110)面の強度値をBとしたとき、B/A×100で表される値が、α−Fe存在確率指標である。
図5及び図6から、保磁力は、α−Fe30の存在量だけでなく、α−Fe30の大きさ、形状、存在分布等、α−Fe30の存在形態の影響を大きく受けると理解できる。α−Fe30の存在形態は、磁性粒子のSEM像及び/又はTEM像から、α−Fe30のアスペクト比及び/又は相互離間距離等の幾何学的特徴を表す数値を求めて定量化することも可能ではある。しかし、このような幾何学的特徴を表す数値を求める場合、SEM及び/又はTEMの観察視野による定量化のばらつきがある。この点から、SEM及び/又はTEM像を用いて、α−Fe30の存在形態を正確に定量化することは容易ではない。
X線回折において、強度値Aは、SmFe17結晶の存在量及び存在形態等が反映されており、強度値Bはα−Fe結晶の存在量及び存在形態が反映されている。そして、α−Fe存在確率指標は、上記AとBの比であるから、改質相20の外周に、改質に寄与しなかった余分なZn等が残存しても、これらの影響を受けない。理論に拘束されないが、これらのことから、α−Fe存在確率指標は保磁力との相関が高く、α−Fe存在確率指標を所定の範囲にすると、保磁力が向上すると考えられる。
これまで述べてきた説明に基づき完成された、本開示の磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法の構成要件を、次に説明する。
《磁性粒子》
本開示の磁性粒子100は、図5に示すように、磁性相10及び改質相20を備える。また、本開示の磁性粒子100は、α−Fe存在確率指標が所定の範囲である。以下、磁性相10、改質相20、及びα−Fe存在確率指標について説明する。
〈磁性相〉
本開示の磁性粒子100は、磁性相10によって、磁性を発現する。磁性相10は、Sm、Fe、及びNを含有する。磁性相10には、本開示の磁性粒子100及び磁性粒子成形体並びにその製造方法の効果を阻害しない範囲で、Rを含有していてもよい。Rは、Sm以外の希土類元素並びにY及びZrからなる群より選ばれる一種以上の元素である。また、Feの一部はCoで置換されていてもよい。このような磁性相10を、Sm、R、Fe、Co、及びNのモル比で表すと、(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17である。ここで、hは、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.5以上がより一層好ましい。一方、hは、4.5以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.5以下がより一層好ましい。また、iは、0以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.50以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。そして、jは、0以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.52以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。
(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17については、典型的には、Sm(Fe(1−j)Co17のSmの位置にRが置換しているが、これに限られない。例えば、Sm(Fe(1−j)Co17に、侵入型でRが配置されていてもよい。
また、(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17については、典型的には、(Sm(1−i) Fe17のFeの位置にCoが置換しているが、これに限られない。例えば、(Sm(1−i) Fe17に、侵入型でCoが配置されていてもよい。
さらに、(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17については、hは1.5〜4.5をとり得るが、典型的には、(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17である。(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17全体に対する(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%がより一層好ましい。一方、(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17のすべてが(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17でなくてもよい。(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17全体に対する(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17の含有量は、98質量%以下、95質量%以下、又は92質量%以下であってよい。
また、磁性相10全体に対するSm(Fe(1−i)Co17の含有量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がより一層好ましい。磁性相10全体に対するSm(Fe(1−i)Co17の含有量が100質量%でないのは、磁性相10として、Sm(Fe(1−i)Co17以外の磁性相を含み得るためである。
本開示の磁性粒子100の磁性相10としては、ThZn17型の結晶構造を有する磁性相、ThNi17型の結晶構造を有する磁性相、及びTbCu型の結晶構造を有する磁性相等が挙げられる。
磁性相10の粒径は、特に制限されない。磁性相10の粒径は、例えば、1μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってよく、50μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってよい。本明細書で、特に断りがない限り、粒径は、投影面積円相当径を意味し、粒径が範囲で記載されている場合には、すべての磁性相10の80%以上がその範囲内に分布しているものとする。
〈改質相〉
図5に示したように、改質相20は、磁性相10の周囲に存在する。改質相20は、後述するように、磁性相10に接触させた改質材からZnが拡散して形成される。そのため、改質相20はZnを含有する。上述したように、Znは磁性相10に拡散して、磁性相10を改質するとともに、その改質によって生じたα−Fe30の多くが改質相20内に固溶し、一部が改質相20内に微細に分散する。
〈α−Fe存在確率指標〉
α−Fe存在確率指標の定義は、上述したとおりである。なお、磁性粒子のX線回析のデータから、強度値A及びBを求めるにあたっては、バックグランドを除去した状態で、強度値A及びBを求めることはもちろんである。
α−Fe存在確率指標が120以上であれば、磁性相10が破壊されること(図8、参照)はなく、そして、改質相20にα−Fe30が実質的に存在しないということ(図7、参照)はない。これらの観点からは、α−Fe存在確率指標は、125以上、130以上、又は139以上であってもよい。
α−Fe存在確率指標が350以下であれば、改質相20内でα−Fe30同士が結合して、粗大なα−Fe30に成長すること(図6、参照)はない。この観点からは、α−Fe存在確率指標は、340以下、330以下、330以下、320以下、310以下、又は301以下であってもよい。
すなわち、改質相20内でα−Fe30が少量かつ微細分散するためには、α−Fe存在確率指標は、120以上、125以上、130以上、又は139以上であってよく、350以下、340以下、330以下、320以下、310以下、又は301以下であってよい。
《磁性粒子成形体》
これまで説明してきた磁性粒子を、金属系バインダ、合金系バインダ、及び樹脂系バインダからなる群より選ばれる一種以上を用いて、磁性粒子成形体としてよい。
図11は、本開示の磁性粒子成形体の一態様を示す模式図である。図11に示した態様は、改質材としてZnを使用して接触体を準備して熱処理した後、それを、そのまま磁性粒子成形体とした場合の模式図である。本開示の磁性粒子成形体200は、本開示の磁性粒子100の周囲に改質材に由来する結合相70を備える。
本開示の磁性粒子成形体200は、上述の態様に限られない。例えば、図11に示した態様の本開示の磁性粒子成形体200を粉砕して、本開示の磁性粒子100を採取し、それを、金属系バインダ、合金系バインダ、及び樹脂系バインダからなる群から選ばれる一種以上のバインダで結合して、本開示の磁性粒子成形体200としてもよい。この態様では、結合相70は、金属系バインダ、合金系バインダ、及び樹脂系バインダからなる群から選ばれる一種以上のバインダを含有する。これらのバインダについては、後述する。
本開示の磁性粒子成形体200の組成は、例えば、改質材としてZn又はZn合金を使用して接触体を準備して熱処理した後、それを、そのまま、本開示の磁性粒子成形体200とした場合、次のとおりであってよい。
本開示の磁性粒子成形体200の組成は、例えば、Sm Fe(100−x−y−z−w−p−q)Co ・(Zn(1−s−t) で表される。Sm Fe(100−x−y−z−w−p−q)Co は磁性材原料粒子に由来し、(Zn(1−s−t) は改質材(Zn又はZn合金)に由来する。
はSm以外の希土類元素並びにY及びZrから選ばれる1種以上である。Mは、磁性材原料粒子に由来する、Ga、Ti、Cr、Zn、Mn、V、Mo、W、Si、Re、Cu、Al、Ca、B、Ni、及びCから選ばれる1種以上並びに不可避的不純物元素の合計である。Mは、改質材(Zn又はZn合金)に由来する元素である。改質材がZnである場合、MはO(酸素)以外の不可避的に含有する不純物元素である。改質材がZn合金である場合、MはZnと合金化する元素及びO(酸素)以外の不可避に含有する不純物元素である。x、y、z、w、p、q、及びrは原子%であり、s及びtは割合(モル比)である。
本明細書で、希土類元素とは、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuである。
Smは、本開示の磁性粒子100の主要元素であり、その含有量は、本開示の磁性粒子100がこれまでに説明した磁性相10になるように、適宜決定される。Smの含有量xは、例えば、4.5原子%以上、5.0原子%以上、又は5.5原子%以上であってよく、10.0原子%以下、9.0原子%以下、又は8.0原子%以下であってよい。
本開示の磁性粒子100に含まれる希土類元素は、主としてSmであるが、本開示の希土類磁石及びその製造方法の効果を阻害しない範囲で、磁性相10は、Rを含有してもよい。Rの含有量yは、例えば、0原子%以上、0.5原子%以上、又は1.0原子%以上であってよく、5.0原子%以下、4.0原子%以下、又は3.0原子%以下であってよい。
Feは、本開示の磁性粒子100の主要元素であり、Sm及びNとともに磁性相10を形成する。その含有量は、Sm Fe(100−x−y−z−w−p−q)Co 式において、Sm、R、Co、M、N、及びOの残部である。
Feの一部をCoで置換してもよい。本開示の磁性粒子100がCoを含有すると、本開示の磁性粒子100のキュリー温度が向上する。Coの含有量zは、例えば、0原子%以上、5原子%以上、又は10原子%以上であってよく、31原子%以下、20原子%以下、又は15原子%以下であってよい。
は、本開示の磁性粒子100の磁気特性を阻害しない範囲で、特定の特性、例えば、耐熱性、及び耐食性等を向上させるために添加される元素と、不可避的不純物元素の合計である。Mの含有量wは、例えば、0.001原子%以上、0.005原子%以上、0.010原子%以上、0.050原子%以上、0.100原子%以上、0.500原子%以上、又は1.000原子%以上であってよく、3.000原子%以下、2.500原子%以下、又は2.000原子%以下であってよい。
Nは、本開示の磁性粒子100の主要元素であり、その含有量は、本開示の磁性粒子100がこれまでに説明した磁性相10になるように適宜決定される。Nの含有量pは、例えば、11.6原子%以上、12.5原子%以上、又は13.0原子%以上であってよく、15.6原子%以下、14.5原子%以下、又は14.0原子%以下であってよい。
Znは、磁性粒子を結合するとともに、磁性粒子を改質する。しかし、Znは磁性の発現に寄与しないため、改質材の配合量が過剰であると磁化が低下する。磁性粒子の結合の観点からは、磁性粒子の質量を1としたとき、改質材の質量は、0.1以上、0.2以上、0.4以上、0.8以上、又は1.0以上であってよい。磁化の低下を抑制する観点からは、磁性粒子の質量を1としたとき、改質材の質量は、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、1.4以下、又は1.2以下であってよい。
改質材としてZn又はZn合金を使用して接触体を準備して熱処理した後、それを、そのまま磁性粒子成形体とする場合、磁化の低下を抑制するため、磁性粒子と改質材との合計に対するZn成分の含有量が低くすることが好ましい。磁性粒子の結合の観点からは、磁性粒子と改質材との合計に対するZn成分が、1質量%以上、3質量%以上、6質量%以上、又は9質量%以上になるように、改質材の組成と改質材の配合量を決定するのがよい。磁化の低下を抑制する観点からは、磁性粒子と改質材との合計に対するZn成分が、20質量以下、18質量以下、又は16質量%以下になるように、改質材の組成と改質材の配合量を決定するのがよい。
は、改質材として、Zn合金を使用するときの合金元素である。本開示の磁性粒子100は、磁性材原料粒子改質材との接触体を熱処理して得られる。Mは、Znと合金化して、Zn−M合金の溶融開始温度を、Znの融点よりも降下させる元素及び不可避的不純物元素であることが好ましい。なお、本明細書において、Znとは、金属Znを意味し、金属Znとは、合金化されていないZnのことを意味する。
Zn−M合金の溶融開始温度を、Znの融点よりも降下させる元素Mとしては、ZnとMとで共晶合金を形成する元素が挙げられる。Mとしては、典型的には、Sn、Mg、及びAl並びにこれらの組み合せ等が挙げられる。このような元素による融点降下作用を阻害せず、本開示の磁性粒子100の特定の特性、例えば、耐熱性及び耐食性等を向上させるために添加される元素についても、Mとすることができる。また、不可避的不純物元素とは、改質材の原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物元素のことをいう。
改質材における、Zn及びMの割合(モル比)は、熱処理温度が適正になるように適宜決定すればよい。改質材全体に対するMの割合(モル比)sは、例えば、0以上、0.05以上、又は0.10以上であってよく、0.90以下、0.80以下、又は0.70以下であってよい。また、改質材はZn粒子でもよく、このとき、Mの割合(モル比)sは0である。なお、Zn粒子は、Znの含有量が100質量%ではなく、上述した不可避的不純物の含有を許容する。不可避的不純物の許容量は、Zn粒子全体に対して、1質量%以下、2質量%以下、又は4質量%以下であってよい。これらのことから、Zn粒子中のZn含有量(純度)は、96質量%以上、98質量%、又は99質量%以上であってよい。
O(酸素)は、磁性材原料粒子及び改質材に由来して、本開示の磁性粒子100中に残留(含有)する。酸素は改質相20に濃化されるため、本開示の磁性粒子100全体の酸素含有量が比較的高くても、優れた保磁力を確保することができる。本開示の磁性粒子100全体に対する酸素含有量は、例えば、5.5原子%以上、6.2原子%以上、又は7.1原子%以上であってよく、10.3原子%以下、8.7原子%以下、又は7.9原子%以下であってよい。なお、改質材としてZn又はZn合金を使用して接触体を準備して熱処理した後、それを、そのまま、本開示の磁性粒子成形体200とした場合、本開示の磁性粒子成形体200全体に対する酸素含有量は、q+tr原子%である。この場合の本開示の磁性粒子成形体200全体に対する酸素含有量を、質量%に換算すると、酸素含有量は、1.55質量%以上、1.75質量%以上、又は2.00質量%以上であってよく、3.00質量%以下、2.50質量%以下、又は2.25質量%以下であってよい。
《製造方法》
次に、本開示の磁性粒子の製造方法について説明する。本開示の磁性粒子は、これまで説明した構成要件を満たしていれば、次に説明する製造方法以外の製造方法で製造されてもよい。本開示の磁性粒子の製造方法は、磁性材原料粒子準備工程、接触体形成工程、熱処理工程、及び応力付与工程を含む。応力付与工程は、熱処理工程よりも前に行われる。以下、それぞれの工程について説明する。
〈磁性材原料粒子準備工程〉
磁性相10を含有する磁性材原料粒子を準備する。磁性材原料粒子は、本開示の磁性粒子100の磁性相10を含有していれば、特に制限はない。磁性粒子の磁性相10については、本開示の磁性粒子100で説明した内容と同様のことがいえる。
磁性材原料粒子は、典型的には、Sm及びFeを含有する溶湯から、ストリップキャスト法等で薄帯を得た後、この薄片を粗粉砕して溶体か処理して、これを窒化する。
改質材の酸素含有量が少なければ、熱処理時に磁性粒子中の酸素が、改質相20に拡散するZnと結合して、改質相20に濃化するため、比較的酸素含有量の多い磁性粒子を用いることができる。これらのことから、磁性粒子の酸素含有量の上限は、比較的高くてもよい。磁性粒子の酸素含有量は、磁性粒子全体に対して、例えば、3.0質量%以下、2.5質量%以下、又は2.0質量%以下であってよい。一方、磁性粒子中の酸素含有量は少ない方が好ましいが、磁性粒子中の酸素量を極度に低減することは、製造コストの増大を招く。このことから、磁性粒子の酸素含有量は、磁性粒子全体に対して、例えば、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよい。
磁性粒子の粒径は、特に制限されない。磁性粒子の粒径は、例えば、1μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってよく、50μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってよい。
〈接触体形成工程〉
磁性材原料粒子と、Zn又はZn合金を含有する改質材とを接触させて、接触体を得る。後述する熱処理工程で、Zn元素が磁性相10の表面又は磁性相10の表面の酸化相に拡散することができる限りにおいて、接触体の態様は、特に制限されない。接触体の態様としては、例えば、改質材を粒子状にし、磁性材原料粒子と改質材粒子を混合して、それを接触体としてもよい。あるいは、熱処理温度を改質材の融点以上にする場合には、改質材の形態は、特に制限されない。例えば、容器に磁性材原料粒子とバルク体の改質材を装入しておけばよい。
改質材を粒子状にする場合には、改質相20が形成され易いように、磁性材原料粒子の粒径との関係で、改質材の粒径を適宜決めればよい。改質材粒子の粒径は、例えば、1μm以上、3μm以上、又は10μm以上であってよく、500μm以下、300μm以下、100μm以下、50μm以下、又は20μm以下であってよい。
改質材を粒子状にして、磁性材原料粒子と改質材粒子を混合する場合、混合の方法に、特に制限はない。混合方法としては、乳鉢、マラーホイール式ミキサー、アジテータ式ミキサー、メカノフュージョン、V型混合器、及びボールミル等を用いて混合する方法が挙げられる。なお、V型混合器は、2つの筒型容器をV型に連結した容器を備え、その容器を回転することによって、容器中の粒子が、重力と遠心力で集合と分離が繰り返され、混合される装置である。また、これらの方法で混合しても、後述する応力付与工程で、磁性材原料粒子の磁性相10に付与されるような、200kPa以上の応力は磁性相10に付与されない。後述する応力付与工程を経ず、磁性材原料粒子と改質材粒子を混合するだけで、その混合粒子を後述する熱処理を行うと、本開示の磁性粒子100は得られず、図7に示した磁性粒子が得られる。
〈応力付与工程〉
後述する熱処理工程よりも前に、磁性材原料粒子の磁性相10に、200kPa〜30000kPaの応力を付与する。付与する応力は、せん断応力であることが好ましい。
磁性相10に付与する応力が、200kPa以上であれば、改質相20にα−Fe30が実質的に存在しないということ(図7、参照)はない。この観点からは、磁性相10に付与する応力は、220kPa以上、240kPa以上、260kPa以上、280kPa以上、又は300kPa以上であってよい。一方、磁性相10に付与する応力が、30000kPa以下であれば、磁性相10が破壊されること(図8、参照)はなく、そして、改質相20内でα−Fe30同士が結合して、粗大なα−Fe30に成長すること(図6、参照)はない。これらの観点からは、α−Fe存在確率指標は、28000kPa以下、26000kPa以下、24000kPa以下、22000kPa以下、20000kPa以下、18000kPa以下、16000kPa以下、又は15000kPa以下であってよい。
すなわち、改質相20内でα−Fe30が少量かつ微細分散するためには、磁性相10に付与する応力は、200kPa以上、220kPa以上、240kPa以上、260kPa以上、280kPa以上、又は300kPa以上であってよく、30000kPa以下、28000kPa以下、26000kPa以下、24000kPa以下、22000kPa以下、20000kPa以下、18000kPa以下、16000kPa以下、又は15000kPa以下であってよい。
磁性相10への応力付与は、熱処理工程の前ならばよい。改質材が粒状である場合、磁性相10に応力を付加してから、磁性材原料粒子と改質材粒子を混合してもよいし、磁性材料原料粒子と改質材を混合してから、磁性相10に応力を付与してもよい。また、磁性材原料粒子と改質材粒子を混合しながら、磁性相10に応力を付与してもよい。図9は、磁性材原料粒子と改質材粒子を混合しながら、磁性相10に応力を付与する態様の一例を示す模式図である。応力付与冶具50で磁性相10に応力を付与しながら、磁性材原料粒子とZn粒子22を混合する。
〈熱処理工程〉
接触体を熱処理する。Zn元素が磁性相10の表面又は磁性相10の表面の酸化相に拡散するとは、図5に示したように、磁性相10の表面近傍にZn元素が拡散して改質相20を形成することを意味する。
磁性粒子は磁性相10を含有するため、磁性相10の分解温度未満で熱処理を行う。この観点からは、熱処理温度は、500℃以下、490℃以下、又は480℃以下であってよい。一方、熱処理は、改質材中のZn元素が磁性相10の表面又は磁性相10の表面の酸化相に拡散する温度以上で行う。改質材中のZn元素が磁性相10の表面又は磁性相の表面の酸化相に拡散する態様としては、固相拡散及び液相拡散のいずれでもよい。液相拡散は、液相のZnが固相の磁性相10又は磁性相10の表面の酸化相に拡散することを意味する。
固相のZnが磁性相10の表面又は磁性相10の表面の酸化相に固相拡散する観点からは、熱処理温度は350℃以上、370℃以上、390℃以上、又は410℃以上であってよい。液相のZnが磁性相10の表面又は磁性相10の酸化相に拡散する観点からは、熱処理温度は、Zn又はZn合金の融点以上であってよい。すなわち、420℃以上、440℃以上、又は460℃以上であってよい。
熱処理時間は、熱処理対象物の量などによって、適宜決定すればよい。熱処理時間には、熱処理温度に達するまでの昇温時間は含まない。熱処理時間は、例えば、5分以上、10分以上、30分以上、又は50分以上であってよく、600分以下、240分以下、又は120分以下であってよい。
熱処理時間が経過したら、熱処理対象物を急冷して、熱処理を終了する。急冷により、本開示の磁性粒子100の酸化等を抑制することができる。また、急冷速度は、例えば、2〜200℃/秒であってよい。
熱処理対象物の酸化を抑制するため、熱処理は、不活性ガス雰囲気中又は真空中で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気を含む。
熱処理は、加圧しながら行ってもよい。熱処理時の圧力は、典型的には、10MPa以上、20MPa以上、30MPa以上、40MPa以上、50MPa以上、70MPa以上、100MPa以上、200MPa以上、又は400MPa以上であってよく、1000MPa以下、800Mpa以下、600MPa以下、又は500MPa以下であってよい。加圧しながら熱処理する場合には、上述した熱処理時間に比べて短時間でもよい。加圧しながら熱処理する場合の熱処理時間は、例えば、1分以上、3分以上、又は5分以上であってよく、120分以下、60分以下、又は40分以下であってよい。
図10は、改質材がZnであり、Znの融点以上で熱処理する態様の一例を示す模式図である。表面に歪領域15を有する磁性相10は、改質材が溶融したZn融液24に包囲される。そして、歪領域15にZnが拡散し、改質相20を形成し、本開示の磁性粒子100が得られる。
このようにして得られた本開示の磁性粒子100は、溶融Zn24が凝固したあと、Znの凝固部分を粉砕して、本開示の磁性粒子100を取り出してもよいし、図11に示したように、そのまま、本開示の磁性粒子成形体200として用いてもよい。Znの凝固部分を粉砕は、例えば、ジェットミル等を用いて行われるが、これに限られない。
〈磁性粒子成形体形成工程〉
Znの凝固部分を粉砕して、本開示の磁性粒子100を取り出した場合には、磁性粒子を、金属系バインダ、合金系バインダ、及び樹脂系バインダからなる群から選ばれる一種以上のバインダで結合して、磁性粒子成形体を得てもよい。
金属系バインダ及び合金系バインダは、非磁性であり、磁性粒子の磁気特性に悪影響を及ぼさず、磁性相10の分解温度以下で溶融すれば、特に制限はない。典型的には、Znを含有するバインダ及びZn合金を含有するバインダ等が挙げられる。また、樹脂系バインダは、Sm−Fe−N系ボンド磁石用の周知のバインダを用いることができる。
上述のバインダを用いて成形体を形成する際には、磁場中で成形することによって、成形体に異方性を付与することができる。
以下、本開示の磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法を実施例及び比較例により、さらに具体的に説明する。なお、本開示の磁性粒子及び磁性粒子成形体並びにその製造方法は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
《試料の準備》
Sm及びFeを主成分とする溶湯を冷却して薄帯を得た。薄帯を粗粉砕して、これを溶体化処理し窒化して、磁性材原料粒子(SmFeN粒子)を得た。磁性材原料粒子の粒径は5μmであった。
純Znから、アトマイズ法により、粒径20μmのZn粒子を得た。磁性材原料粒子とZn粒子を、質量比2:1((磁性材原材料粒子):(Zn粒子))で、V型混合器を用いて混合した。この際、図9に示した要領で、磁性材原料粒子とZn粒子を混合しながら、磁性材原料粒子の磁性相に応力を付与した。そして、混合した粒子を金型に充填し、図10に示した要領で熱処理した。熱処理はアルゴン雰囲気中で行った。また、熱処理は、熱処理対象物に、50kPaの圧力を付加しながら、5分間にわたり行った。
《評価》
各試料について、パルス励磁型磁気特性測定装置(TPM)で磁気特性を室温で評価した。また、各試料をX線回析に供し、α−Fe存在確率指標を求めた。
結果を表1に示す。表1には磁性相10に付与した応力、熱処理温度、及び熱処理時間を併記した。さらに、表1の結果をグラフにまとめた。図1は、各試料について、α−Fe存在確率指標とHcの関係を示すグラフである。図2は、各試料について、付与応力とHcの関係を示すグラフである。そして、参考までに、図3に、実施例4の試料ついてのX線回析チャートを示す。
Figure 2020050892
表1から分かるように、実施例1〜4の試料においては、磁性相10に所定の応力を付与したため、所定のα−Fe存在確率指標が得られており、比較例1〜3よりもHcが向上していることを確認できた。
これらの結果から、本開示の希土類磁石及びその製造方法の効果を確認できた。
10 磁性相
15 歪領域
20 改質相
22 Zn粒子
24 Zn融液
30 α−Fe
40 磁界
45 磁束
50 応力付与冶具
60 台座
70 結合相
100 本開示の磁性粒子
200 本開示の磁性粒子成形体

Claims (17)

  1. Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型又はThNi17型の結晶構造を有する磁性相と、
    前記磁性相の周囲に存在するZnを含有する改質相と、
    を備え、
    X線回折で、SmFe17結晶の(113)面の強度値をA、α−Fe結晶の(110)面の強度値をBとしたとき、B/A×100で表されるα−Fe存在確率指標が120〜350である、
    磁性粒子。
  2. 前記α−Fe存在確率指標が139〜301である、請求項1に記載の磁性粒子。
  3. 前記磁性相が、(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17(ただし、RはSm以外の希土類元素並びにY及びZrからなる群より選ばれる一種以上の元素、iは0〜0.50、jは0〜0.52、かつ、hは1.5〜4.5)で表される相を含む、請求項1又は2に記載の磁性粒子。
  4. 前記磁性相が、SmFe17(ただし、hは1.5〜4.5)で表される相を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性粒子。
  5. 前記磁性相が、SmFe17で表される相を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁性粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁性粒子の周囲に、金属系バインダ、合金系バインダ、及び樹脂系バインダからなる群から選ばれる一種以上のバインダを含有する結合相を備える、磁性粒子成形体。
  7. 前記結合相がZn又はZn合金を含む、請求項6に記載の磁性粒子成形体。
  8. Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型又はThNi17型の結晶構造を有する磁性相を含有する磁性材原料粒子を準備すること、
    前記磁性材原料粒子と、Zn又はZn合金を含有する改質材とを接触させて、接触体を得ること、
    前記接触体を、Zn元素が前記磁性相の表面又は前記磁性相の表面の酸化相に拡散する温度以上、前記磁性相の分解温度未満で熱処理すること、及び
    前記熱処理よりも前に、前記磁性材原料粒子の磁性相に、200〜30000kPaの応力を付与すること、
    を含む、
    磁性粒子の製造方法。
  9. 前記応力が300〜15000kPaである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記磁性材原料粒子と、前記改質材の粒子を混合して、前記接触体を得る、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記磁性材原料粒子と、前記改質材の粒子を混合しながら、前記磁性相に応力を付与する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記磁性相が、(Sm(1−i) (Fe(1−j)Co17(ただし、RはSm以外の希土類元素並びにY及びZrからなる群より選ばれる一種以上の元素、iは0〜0.50、jは0〜0.52、かつ、hは1.5〜4.5)で表される相を含む、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記磁性相が、SmFe17(ただし、hは1.5〜4.5)で表される相を含む、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記磁性相が、SmFe17で表される相を含む、請求項8〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記熱処理を350〜500℃で行う、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記熱処理を420〜500℃で行う、請求項8〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁性粒子を、金属系バインダ、合金系バインダ、及び樹脂系バインダからなる群から選ばれる一種以上のバインダで結合すること、をさらに含む、磁性粒子成形体の製造方法。
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