JP2020050704A - 炭素繊維回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の樹脂から構成された母材を有するCFRP材を分別することなくCFRP材が有する炭素繊維を回収し、かつ、回収された炭素繊維の劣化を抑制可能な炭素繊維回収方法を提供する。【解決手段】リン酸を含有する溶解液3を用いて、炭素繊維強化プラスチック材4の母材を溶解する工程(ステップS1)を備え、溶解液3のリン酸濃度は、110質量%以上であり、溶解する工程(ステップS1)は、溶解液3の温度が200℃以上300℃以下で行われる、炭素繊維回収方法。【選択図】図2

Description

本発明は、炭素繊維回収方法に関する。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP、Carbon Fiber Reinforced Plastic)材の母材を分解し、CFRP材から炭素繊維を回収する方法として、高温高圧の有機溶剤を用いる超臨界流体法、常圧の有機溶剤を用いる常圧溶解法、及び熱を用いる熱分解法等が知られている。
その他の方法として、例えば、特許文献1には、リン酸及び/又はリン酸塩を0.001質量%〜80質量%含む溶解液を用いて、100℃以下で不飽和ポリエステル樹脂未硬化物を溶解し、充填材を回収する方法が開示されている。
特許第4066877号公報
発明者らは、炭素繊維回収方法に関し、以下の課題を見出した。
CFRP材の母材は、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びナイロン樹脂等の種々の樹脂から構成される。CFRP材を加熱することによって母材を分解する熱分解法は、種々の樹脂から構成された母材を有するCFRP材を分別することなく、CFRP材が有する炭素繊維を回収することができる。しかしながら、熱分解法によって回収された炭素繊維は、熱に起因する酸化によって劣化している虞がある。
一方、特許文献1に開示されている方法をCFRP材の炭素繊維回収に適用すると、炭素繊維の劣化を抑制しつつ炭素繊維を回収することができる。しかしながら、特許文献1に開示されている方法は、母材を構成する樹脂ごとにCFRP材を分別する必要がある。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、種々の樹脂から構成された母材を有するCFRP材を分別することなくCFRP材が有する炭素繊維を回収し、かつ、回収された炭素繊維の劣化を抑制可能な炭素繊維回収方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための一態様は、炭素繊維回収方法であって、リン酸を含有する溶解液を用いて、炭素繊維強化プラスチック材の母材を溶解する工程を備え、前記溶解液のリン酸濃度は、110質量%以上であり、前記溶解する工程は、前記溶解液の温度が200℃以上300℃以下で行われる。
本発明に係る樹脂溶解方法は、溶解液のリン酸濃度が、110質量%以上である。さらに、溶解する工程は、溶解液の温度が200℃以上300℃以下で行われる。CFRP材の母材を構成する種々の樹脂は、溶解する工程において溶解される。そのため、種々の樹脂から構成された母材を有するCFRP材を分別することなく、CFRP材が有する炭素繊維を回収することができる。また、炭素繊維が溶解する工程において劣化しにくいため、本発明に係る樹脂溶解方法は、炭素繊維の劣化を抑制しつつ炭素繊維を回収することができる。
本発明によれば、種々の樹脂から構成された母材を有するCFRP材を分別することなくCFRP材が有する炭素繊維を回収し、かつ、回収された炭素繊維の劣化を抑制可能な炭素繊維回収方法を提供することができる。
本実施の形態に係る炭素繊維回収方法を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る炭素繊維回収方法を示す模式図である。 リン酸を含有する溶解液を用いてCFRP材の母材を溶解する様子を示す模式図である。 実施例1〜4及び比較例1〜3の溶解実験結果を示すグラフである。 比較例4〜9の溶解実験結果を示すグラフである。 本実施の形態に係る炭素繊維回収方法によって回収された炭素繊維の引張強度を示すグラフである。 本実施の形態に係る炭素繊維回収方法によって回収された炭素繊維のSEM画像である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
図1は、本実施の形態に係る炭素繊維回収方法を示すフローチャートである。本実施の形態に係る炭素繊維回収方法は、図1に示すように、少なくとも溶解する工程(ステップS1)を備え、さらに、分離する工程(ステップS2)、洗浄する工程(ステップS3)、及び乾燥する工程(ステップS4)等の各工程を備えていてもよいものである。
本実施の形態に係る炭素繊維回収方法では、まず、溶解する工程(ステップS1)を行う。溶解する工程(ステップS1)では、溶解液3を用いてCFRP材4の母材を溶解する。溶解する工程(ステップS1)は、溶解液3をCFRP材4の母材に接触可能な方法であればどのような方法で行われてもよい。例えば、溶解する工程(ステップS1)において、溶解液3をCFRP材4に繰り返しかけることによってCFRP材4の母材を溶解してもよい。
図2に示す例では、溶解する工程(ステップS1)において、溶解槽2内に溶解液3及びCFRP材4を投入し、溶解液3を用いてCFRP材4の母材を溶解する。溶解槽2内に溶解液3及びCFRP材4を投入すると、CFRP材4の母材と溶解液3とが常に接触することができるため、CFRP材の母材を溶解する効率が良い。そこで、以下、溶解する工程(ステップS1)において溶解槽2内に溶解液3及びCFRP材4を投入する場合について、主に説明を行う。
溶解槽2は、溶解液3によって腐食しない材料を用いて形成される容器である。溶解槽2は、例えば、テフロン製容器(「テフロン」は登録商標)やPFA(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂製容器、石英ガラス製容器である。
溶解液3は、リン酸濃度が110質量%以上である液体である。溶解液3は、リン酸濃度が100質量%以上であるため、部分的に脱水縮合が起こっている。したがって、溶解液3は、ピロリン酸(H)等のポリリン酸を含有する。溶解液3が含有するリン酸及びポリリン酸を全てリン酸に換算した質量を、リン酸換算質量とする。溶解液3のリン酸濃度は、溶解液3のリン酸換算質量を溶解液3の実際の質量で除して算出される。また、溶解液3は、リン酸及びポリリン酸に加えて、水を含有していてもよい。
溶解液3は、溶解する工程(ステップS1)を行う前に、溶解液を調整する工程において調整される。溶解液を調整する工程は、例えば、ポリリン酸溶液を所定濃度に希釈することによって、溶解液3を調整する。溶解液3は、水やリン酸溶液に五酸化二リン(P10)を溶解することによって調整されてもよい。溶解液3は、85質量%リン酸溶液を加熱脱水することによって調整されることが好ましい。また、溶解液3は、上記の方法を組み合わせて調整されてもよい。
85質量%リン酸溶液は、ポリリン酸溶液に比較して、粘度が低い。したがって、溶解液を調整する工程において、85質量%リン酸溶液を加熱脱水して溶解液3を調整すると、ハンドリングが容易である。また、85質量%リン酸溶液は、五酸化二リンに比較して、水との反応性が低い。したがって、溶解液を調整する工程において、85質量%リン酸溶液を加熱脱水して溶解液3を調整すると、調整作業を安全に行うことができる。
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)材4は、母材中に炭素繊維5が配置されている。CFRP材4の母材は、種々の樹脂から構成される。CFRP材4の母材を構成する樹脂は、通常ポリマーの形態であり、具体例として、例えば、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びナイロン樹脂が挙げられる。CFRP材4の母材を構成する樹脂は、1種単独、又は2種以上の組み合わせである。CFRP材4の形状は、特に限定されない。CFRP材4は、図2に示すように平板状であってもよいし、筒状等であってもよい。
溶解する工程(ステップS1)は、溶解液3の温度が、200℃以上300℃以下で行われ、好ましくは200℃以上250℃以下で行われる。溶解液3の温度を250℃以下とすると、溶解液3の温度が250℃以上の場合に比較して、溶解液3の加熱に要する時間及びエネルギーを抑制することができる。CFRP材4の母材は、200℃以上の溶解液3に接触すると、溶解する。母材が溶解すると、CFRP材が有する炭素繊維5が露出する。炭素繊維5は、溶解液3を含んで見かけの体積が膨張する。
溶解する工程(ステップS1)において溶解槽2に投入される、溶解液3とCFRP材4との体積比は、CFRP材4が溶解液3に接触可能な体積比であれば、特に限定されない。例えば図2に示すようにCFRP材4全体を溶解液3に浸漬する場合、露出した炭素繊維5全体が溶解液3に浸漬していることが好ましい。CFRP材4全体を溶解液3に浸漬する場合、溶解液3の体積をCFRP材4の体積の15倍以上とすることができる。
溶解槽2内において溶解液3を対流させると、CFRP材4の母材を溶解に要する時間を短くすることができる。溶解槽2内において溶解液3を対流させる場合、露出した炭素繊維5に対して十分に対流することができる体積の溶解液3が投入されていることが好ましい。溶解槽2内において溶解液3を対流させる場合、溶解液3とCFRP材4との体積比を、25:1〜100:1程度とすることができる。
溶解する工程(ステップS1)において溶解槽2内に溶解液3及びCFRP材4を投入する場合、露出した炭素繊維5は、図2に示すように、溶解液3に浸漬している。そこで、溶解する工程(ステップS1)においてCFRP材4の母材を溶解した後に、分離する工程(ステップS2)を行う。
分離する工程(ステップS2)では、図示しない分離機構を用いて炭素繊維5を溶解液3から分離する。分離機構は、例えば、炭素繊維5をすくうことが可能な大きさの目を有するメッシュ部を備える。分離機構が備えるメッシュ部は、炭素繊維5を通さずに溶解液3を通すことができる。
分離する工程(ステップS2)では、溶解する工程(ステップS1)において母材が溶解されたCFRP材4及び溶解液3を分離機構に通し、図2に示すように、溶解液3と炭素繊維5とを分離する。溶解液3は、溶解する工程(ステップS1)を行う際のように高温であると、室温時に比較して粘度が低下する。したがって、分離する工程(ステップS2)は、溶解液3の温度が高い状態で行うことが好ましい。分離する工程(ステップS2)は、例えば、溶解する工程(ステップS1)を行った直後に行われる。
なお、溶解する工程(ステップS1)において溶解液3をCFRP材4に繰り返しかける場合、露出した炭素繊維5は、溶解液3に浸漬していない。したがって、溶解する工程(ステップS1)において溶解液3をCFRP材4に繰り返しかける場合、分離する工程(ステップS2)を省略することができる。
分離する工程(ステップS2)において溶解液3と炭素繊維5とを分離した後に、洗浄する工程(ステップS3)を行う。洗浄する工程(ステップS3)では、図示しない洗浄液を用いて炭素繊維5を洗浄する。洗浄液は、例えば、水であり、当該水は、苛性ソーダ等のアルカリを含んでいてもよい。
洗浄する工程(ステップS3)において炭素繊維5を洗浄した後に、乾燥する工程(ステップS4)を行う。乾燥する工程(ステップS4)では、洗浄された炭素繊維5を乾燥する。洗浄された炭素繊維5を乾燥する方法は、特に限定されない。洗浄された炭素繊維5は、例えば、オーブンを用いて乾燥される。また、洗浄された炭素繊維5は、自然乾燥されてもよい。
このような構成によって、種々の樹脂から構成された母材を有するCFRP材4を分別することなく、CFRP材4が有する炭素繊維5を回収することができる。
炭素繊維5は、耐酸性に優れているため、溶解液3に接触しても、酸による劣化が起こりにくい。また、本実施の形態に係る炭素繊維回収方法は、熱分解法によってCFRP材4の母材を分解する場合に比較して、炭素繊維5に加わる熱量を抑制することができる。したがって、本実施の形態に係る炭素繊維回収方法は、熱分解法に比較して、熱による炭素繊維5の劣化を抑制することができる
また、分離する工程(ステップS2)において分離された溶解液3には、溶解する工程(ステップS1)において溶解されたCFRP材4の母材の分解物6が溶解している。詳細は後述するが、CFRP材4の母材の分解物6は、水に不溶又は難溶であることがある。そのため、分解する工程(ステップS2)において分離された溶解液3に水を加えると、図2に示すように、CFRP材4の母材の分解物6が析出する場合がある。
析出した分解物6は、例えばメッシュ部を備える分離機構を用いて溶解液3から分離される。分離する工程(ステップS2)後の溶解液3は、加熱脱水されて、再びCFRP材4の溶解に使用されてもよい。
次に、図3を参照して、溶解する工程(ステップS1)におけるCFRP材4の母材の溶解について詳細に説明する。図3は、リン酸を含有する溶解液を用いてCFRP材の母材を溶解する様子を示す模式図である。
CFRP材4の母材は、ビニルエステル樹脂、ナイロン樹脂、及びエポキシ樹脂等の樹脂から構成されるポリマーである。溶解液3は、ピロリン酸等のポリリン酸を含有する。ポリリン酸は、例えば、図3に示すように、脱水反応によって、CFRP材4の母材中の酸素原子を奪い、CFRP材4の母材を溶解する。
エポキシ樹脂及びビニルエステル樹脂は、エステル結合を有する。エステル結合を有する樹脂は、溶解する工程(ステップS1)において、上記の脱水反応に加えてエステル交換反応によって溶解する。エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂が溶解液3と接触すると、エステル交換反応によって、カルボン酸やリン酸エステルが生成すると考えられる。
エステル交換反応において生成したカルボン酸やリン酸エステルは、疎水基が大きい場合、水に難溶であることがある。したがって、分離する工程(ステップS2)を行った後に溶解液3に水を加えると、疎水基が大きなカルボン酸やリン酸エステルが分解物6として析出することがある。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
[実施例1]
<溶解液の作製>
85質量%リン酸溶液を、目盛付きのPFA樹脂容器に入れた。PFA容器に入った85質量%リン酸溶液を目標液面高さになるまで加熱脱水し、リン酸濃度が115質量%である溶解液3を作製した。リン酸溶液の加熱脱水は、電気炉において300℃で行った。リン酸溶液を加熱脱水する際には、リン酸溶液が突沸しない程度に徐々にリン酸溶液の温度を上昇させた。溶解液3のリン酸濃度は、液面高さから水分蒸発量を計算することによって算出した。
(溶解実験)
溶解槽2に、CFRP材4及び室温の溶解液3を投入した。実施例1において使用した溶解槽2は、石英ガラスビーカーであった。実施例1において使用したCFRP材4は、母材がビニルエステル樹脂であった。実施例1において使用したCFRP材4の大きさは、長さが約2cm、幅が約1cmであった。次に、室温のオイルバスに、CFRP材4及び溶解液3が投入された溶解槽2を投入し、オイルバスを220℃まで加熱した。
溶解液3の温度が220℃になった時刻を基準時刻としてCFRP材4の溶解に要する時間を計測した。炭素繊維がほぐれた状態になるまでCFRP材4の母材が溶解するのに要した時間を、溶解時間とした。基準時刻から1時間ごとにCFRP材4の溶解状態を観察した。CFRP材4の溶解状態の観察は、最長25時間後まで行われた。
[実施例2〜4]
実施例2では、実施例1において使用したCFRP材4の代わりに、母材がエポキシ樹脂であるCFRP材4を使用して、それ以外は実施例1と同様にして溶解実験を行った。実施例3では、実施例1において使用したCFRP材4の代わりに、母材がナイロン樹脂であるCFRP材4を使用して、それ以外は実施例1と同様にして溶解実験を行った。実施例4では、溶解液3のリン酸濃度を110質量%として、それ以外は実施例1と同様にして溶解実験を行った。
[比較例1〜9]
比較例1〜3では、溶解液3のリン酸濃度を100質量%として、それ以外は実施例1〜3と同様に溶解実験を行った。比較例4〜6では、CFRP材4の母材を溶解する際における溶解液3の温度を110℃として、それ以外は実施例1〜3と同様に溶解実験を行った。比較例7〜9では、溶解液3のリン酸濃度を100質量%として、それ以外は比較例4〜6と同様に溶解実験を行った。
実施例1〜4及び比較例1〜3の溶解実験結果を図4に示す。比較例4〜9の溶解実験結果を図5に示す。図4及び図5において、丸印(○)は、炭素繊維5がほぐれた状態になるまでCFRP材4の母材が溶解した状態になった時刻を示す。三角印(△)は、基準時刻から25時間後の観察において、CFRP材4のかたまりが一部残っていたが、CFRP材4の母材が溶解して溶解液3が変色していたことを示す。バツ印(×)は、基準時刻から25時間後の観察において、溶解液3が変色しておらず、CFRP材4の母材が溶解していなかったことを示す。
実施例1〜3に示すように、溶解液3の温度が220℃であり、かつ、溶解液3のリン酸濃度が115質量%である場合、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びナイロン樹脂は、溶解した。このことから、本実施の形態に係る炭素繊維の回収方法は、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、又はナイロン樹脂から構成された母材を有するCFRP材4を分別することなく炭素繊維5を回収可能であることが確認された。
実施例4に示すように、溶解液3の温度が220℃であり、かつ、溶解液3のリン酸濃度が110質量%である場合、ビニルエステル樹脂は、溶解した。また、比較例2及び3に示すように、溶解液3の温度が220℃であり、かつ、溶解液3のリン酸濃度が100質量%である場合、エポキシ樹脂及びナイロン樹脂は、溶解した。したがって、溶解液3の温度が220℃であり、かつ、溶解液3のリン酸濃度が110質量%である場合、エポキシ樹脂及びナイロン樹脂は、溶解すると考えられる。
比較例1〜3に示すように、溶解液3の温度が220℃であり、かつ、溶解液3のリン酸濃度が100質量%である場合、エポキシ樹脂及びナイロン樹脂は溶解したが、ビニルエステル樹脂は溶解しなかった。つまり、溶解液3の温度が220℃であり、かつ、溶解液3のリン酸濃度が100質量%である場合、種々の樹脂から構成された母材を有するCFRP材4を分別することなく炭素繊維5を回収することは困難である。
比較例4〜6に示すように、溶解液3の温度が110℃であり、かつ、溶解液3のリン酸濃度が115質量%である場合、ナイロン樹脂は溶解したが、ビニルエステル樹脂及びエポキシ樹脂は溶解しなかった。つまり、溶解液3の温度が110℃であり、かつ溶解液3のリン酸濃度が115質量%である場合、種々の樹脂から構成された母材を有するCFRP材4を分別することなく炭素繊維5を回収することは困難である。
比較例7〜9に示すように、溶解液3の温度が110℃であり、かつ、溶解液3のリン酸濃度が100質量%である場合、ナイロン樹脂は溶解したが、ビニルエステル樹脂及びエポキシ樹脂は溶解しなかった。つまり、溶解液3の温度が110℃であり、かつ溶解液3のリン酸濃度が100質量%である場合、種々の樹脂から構成された母材を有するCFRP材4を分別することなく炭素繊維5を回収することは困難である。
実施例1〜4及び比較例1〜9の溶解実験の結果から、溶解液3の温度が200℃以上、かつ、溶解液3のリン酸濃度が110質量%以上である場合、種々の樹脂から構成されたCFRP材4の母材を分別することなく溶解可能であることが確認された。
(引張強度測定)
次に、実施例1において回収された炭素繊維5の引張強度を測定した。測定結果を図6に示す。なお、参考例1は、CFRP材4を形成する前の炭素繊維5である。図6に示すように、実施例1において回収された炭素繊維5の引張強度は、CFRP材4を形成する前の炭素繊維5と同程度であった。このことから、本実施の形態に係る炭素繊維回収方法は、炭素繊維5の劣化を抑制しつつ炭素繊維5を回収可能であることが確認された。
(SEM観察)
次に、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を用いて実施例1において回収された炭素繊維5を観察した。観察結果を図7に示す。図7に示すように、実施例1において回収された炭素繊維5には、樹脂の残渣がほとんど観察されなかった。このことから、本実施の形態に係る炭素繊維回収方法は、樹脂の残渣を抑制しつつ炭素繊維5を回収することができることが確認された。
以上で説明した本実施の形態に係る発明により、種々の樹脂から構成された母材を有するCFRP材を分別することなくCFRP材が有する炭素繊維を回収し、かつ、回収された炭素繊維の劣化を抑制可能な炭素繊維回収方法を提供することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
2 溶解槽
3 溶解液
4 CFRP材
41 モノマー
5 炭素繊維
6 分解物

Claims (1)

  1. リン酸を含有する溶解液を用いて、炭素繊維強化プラスチック材の母材を溶解する工程を備え、
    前記溶解液のリン酸濃度は、110質量%以上であり、
    前記溶解する工程は、前記溶解液の温度が200℃以上300℃以下で行われる、
    炭素繊維回収方法。
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