JP2020049735A - インサート成形品、およびインサート成形品の製造方法 - Google Patents

インサート成形品、およびインサート成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インサート成形の際に、キャップがナット本体から外れたり、破損したりすることを回避することができるインサート成形品、およびインサート成形品の製造方法を提供できる。【解決手段】インサート成形品1は、ねじ孔14を有するナット本体11と、ナット本体11に装着されるキャップ21と、樹脂部30とを備えている。ねじ孔14は、第1の開口部14Aと第2の開口部14Bを有する貫通孔であり、キャップ21は、第1の開口部14Aを塞ぐ部材である。樹脂部30は、ナット本体11とキャップ21とを覆っており、キャップ21が、樹脂部30から露出する先端面24Aを有している。【選択図】図7

Description

本明細書によって開示される技術は、インサート成形品、およびインサート成形品の製造方法に関する。
外部機器に対してボルト締めにより固定される締結部を備える部材として、ナットがインサート成形により樹脂部に埋設されたインサート成形品が知られている。
ナットとしては、インサート成形の際にねじ孔の内部に樹脂が入り込むことを避けるために、一端が閉じた袋ナットが用いられてきた。しかし、例えば、錆止めのためのメッキを施したい場合に、袋ナットでは、ねじ孔の内面にメッキ未着が生じやすいという問題がある。このため、ねじ孔が貫通孔であるナット本体と、このナット本体の一端部に被せ付けられ、ねじ孔の一方の開口部を塞ぐキャップとを備える蓋付きナットが提案されている(特許文献1参照)。
実用新案登録第3144885号公報
上記の蓋付きナットでは、インサート成形の際に、溶融樹脂の樹脂圧によりナット本体からキャップが外れたり、キャップが破損したりすることが懸念される。
本明細書によって開示されるインサート成形品は、第1の開口部と第2の開口部とを有する貫通孔であるねじ孔を有するナット本体と、前記ナット本体に装着されて前記第1の開口部を塞ぐキャップと、前記ナット本体と前記キャップとを覆う樹脂部とを備え、前記キャップが、前記樹脂部から露出する露出面を有している。
また、本明細書によって開示されるインサート成形品の製造方法は、第1の開口部と第2の開口部とを有する貫通孔であるねじ孔を有するナット本体に、前記第1の開口部を塞ぐようにキャップを装着する装着工程と、下型と、付勢部材を備える上型とを備える成形型の内部に前記ナット本体と前記キャップとをセットし、前記付勢部材によって前記キャップを前記ナット本体に向かって付勢するセット工程と、前記キャップが前記付勢部材によって付勢された状態で、前記成形型の内部に溶融樹脂を注入する注入工程と、注入された前記溶融樹脂を硬化させる硬化工程と、を含む。
上記の構成によれば、インサート成形の際に、成形型に備えられた付勢部材によって、キャップをナット本体に向かって付勢する。このとき、付勢部材によるキャップに対する付勢力を適切に設定することにより、キャップを適切な押圧力で押圧することができ、キャップがナット本体から外れることを避けるとともに、押圧力が強すぎてキャップが破損するといった事態も避けることができる。
上記の構成において、前記キャップが、前記第1の開口部を塞ぐ蓋本体と、前記蓋本体から前記ナット本体と反対側に延びる押圧突起を備えており、前記蓋本体が前記樹脂部に埋設されており、前記押圧突起が前記露出面を有していても構わない。
このような構成によれば、成形の際にキャップを押圧するのに必要最低限の面のみが、樹脂部から露出されることとなり、蓋本体が樹脂部に埋設されているから、成形後にキャップが樹脂部から脱落してしまうことを避けることができる。
上記の構成において、前記押圧突起が、前記ナット本体の軸線上に位置していても構わない。
このような構成によれば、キャップをバランスよくナット部材に向かって押圧することができるので、成形の際にキャップがナット本体から外れてしまうことを、確実に避けることができる。
本明細書によって開示される技術によれば、インサート成形の際に、キャップがナット本体から外れたり、破損したりすることを回避することができる。
実施形態の蓋付きナットの分解斜視図 実施形態の蓋付きナットの上面図 図2のA−A線断面図 実施形態のインサート成形体の断面図 実施形態において、成形型を型閉じ前の様子を示す断面図 実施形態において、成形型を型閉じ後、溶融樹脂を注入前の様子を示す断面図 実施形態において、キャビティ内に溶融樹脂を注入した様子を示す断面図 変形例のインサート成形体の断面図
<実施形態>
実施形態を、図1〜図7を参照しつつ説明する。本実施形態のインサート成形品1は、図4に示すように、外部機器にボルト締めにより固定されるボルト締結部2を備えている。ボルト締結部2は、蓋付きナット10と、この蓋付きナット10を覆う樹脂部30とを備えている。蓋付きナット10は、インサート成形により樹脂部30に埋設されている。
蓋付きナット10は、図1に示すように、ナット本体11と、このナット本体11に装着されるキャップ21とを備えている。
ナット本体11は、金属製であって、図1および図3に示すように、キャップ面12と、このキャップ面12と対をなす座面13とを有する円柱状であり、ねじ孔14を有している。ねじ孔14は、図3に示すように、キャップ面12に第1の開口部14Aを、座面13に第2の開口部14Bを有する貫通孔である。ねじ孔14の内周面には、詳細には図示しないが、ねじ溝が形成されている。図1および図3に示すように、ナット本体11において、キャップ面12に隣接する一部分は、残りの部分(大径部15)よりも径の小さい小径部16となっている。ナット本体11は、小径部16の外周面と、大径部15の外周面との間に、キャップ面12および座面13と平行な段差面17を有している。ねじ孔14の内周面を含むナット本体11の表面全体には、錆止めのためのメッキ処理が施されている。ねじ孔14が貫通孔となっているため、ねじ孔14の内周面を含むナット本体11の表面全体にメッキを施すことが容易である。
キャップ21は、合成樹脂製であって、図1および図3に示すように、円板状の蓋板部22(蓋本体に該当)と、この蓋板部22の周縁から延びる筒壁部23とを有する有底の円筒状の部材である。蓋板部22の外面(筒壁部23とは反対側の面)からは、円柱状の押圧突起24が延びている。蓋板部22と筒壁部23とで囲まれたキャップ21の内部空間は、図3に示すように、ナット本体11の小径部16を収容可能なナット収容部25となっている。
キャップ21がナット本体11に装着された状態では、図3に示すように、小径部16の全体がキャップ21の内部に収容されている。蓋板部22がキャップ面12を覆い、第1の開口部14Aが塞がれている。また、筒壁部23が小径部16の外周面を覆い、筒壁部23の先端縁が、全周にわたって段差面17に突き当てられている。筒壁部23の外径は、大径部15の外径と等しく、大径部15の外周面と筒壁部23の外周面とが揃っている。押圧突起24は、ナット本体11と反対側に延び、ナット本体11の軸線A上に位置している。
樹脂部30は、図4に示すように、ナット本体11の座面13と面一の取付面31Aを有する基板部31と、基板部31から立ち上がり、蓋付きナット10の外周面を覆う筒状の側壁部32と、側壁部32から連なり、蓋板部22を覆う上壁部33とを備えている。押圧突起24の先端面24Aは、上壁部33から露出する露出面となっている。また、座面13は基板部31から露出しており、第2の開口部14Bからねじ孔14の内部にボルトを進入させることができるようになっている。蓋付きナット10は、押圧突起24の先端面24Aと座面13とを除く全体が樹脂部30に埋設されている。
次に、インサート成形品1を製造するための成形型40について説明する。成形型40は、図5に示すように、下型41と上型42とを備えている。下型41と上型42とは、金属製であって、互いに組み付け可能に構成されている。下型41と上型42とが組み付けられた(型閉じされた)状態では、図6に示すように、下型41と上型42とで囲まれた内部空間が、キャビティ43となっている。このキャビティ43は、成形の際に、蓋付きナット10が配置されるとともに、溶融樹脂30Mが充填される空間である。成形型40は、溶融樹脂30Mをキャビティ43内に流し込むための通路を有しており、この通路のうち、キャビティ43への溶融樹脂30Mの流入口であるゲート44は、キャビティ43内に配置される蓋付きナット10の側面に向かって開口している。
成形型40は、キャビティ43の内部に流れ込む溶融樹脂30Mの圧力(樹脂圧)によってキャップ21がナット本体11から外れてしまうことを防ぐための付勢部材45を備えている。付勢部材45は、ピン46と、このピン46に接続され、ピン46をキャビティ43内部に向かって付勢する圧縮コイルばね47とを備えており、上型42に組み付けられている。
次に、上記の成形型40を用いてインサート成形品1を成形する方法について説明する。
まず、蓋付きナット10を組み立てる。ナット本体11に、第1の開口部14Aを塞ぐようにキャップ21を装着する(装着工程)。
次に、図5に示すように、下型41に、座面13が下型41に当接し、キャップ21が上型42の方を向くようにして、蓋付きナット10を載置する。次いで、図6に示すように、成形型40を型閉じする(セット工程)。このとき、上型42に組み付けられている付勢部材45が、キャップ21をナット本体11に向かって付勢する。具体的には、ピン46が押圧突起24の先端面24Aに当接する。このとき、圧縮コイルばね47は僅かに圧縮された状態とされており、圧縮コイルばね47の弾性復元力によって、ピン46が、キャップ21をナット本体11に向かって押圧する。これにより、キャップ21はナット本体11に押し付けられた状態となり、蓋板部22がキャップ面12に密着し、筒壁部23の先端縁が段差面17に密着する。また、ナット本体11は下型41に押し付けられた状態となり、座面13が下型41に密着する。
このとき、圧縮コイルばね47により、蓋付きナット10の高さ寸法(座面13と押圧突起24の先端面24Aとの距離)の公差を吸収し、キャップ21を確実にナット本体11に押し付けることができる。さらに、下型41と付勢部材45によって蓋付きナット10が挟み付けられていることにより、蓋付きナット10がキャビティ43内で位置決め状態で確実に保持される。
次に、樹脂部30の材料となる樹脂を溶融させて、図7に示すように、ゲート44からキャビティ43の内部に注入する(注入工程)。注入は、成形型40内に溶融樹脂30Mを確実に充填するために相当な圧力をもってなされる。しかし、キャップ21は、付勢部材45によってナット本体11に押し付けられているので、キャップ21とナット本体11との隙間から溶融樹脂30Mがねじ孔14の内部に流れ込むことが避けられる。
このとき、圧縮コイルばね47による付勢力を適切に設定することにより、キャップ21を適切な押圧力で押圧することができ、キャップ21がナット本体11から外れることを避けるとともに、押圧力が強すぎてキャップ21が破損するといった事態も避けることができる。
ここで、キャップ21がナット本体11から外れることを避けるために、溶融樹脂30Mをキャップ21に向けて射出し、樹脂圧によってキャップ21をナット本体11に向かって押圧するという方法も考えられる。しかし、この方法では、ゲートの位置がキャップ21に向かって開口する位置に限定されてしまう。これに対し、付勢部材45によりキャップ21を押圧する方法では、ゲート44の位置が制約を受けず、キャビティ43内の全体に十分に溶融樹脂30Mが行き渡るようにゲート44の位置を適切に設定することができる。
溶融樹脂30Mの注入が終了したら、溶融樹脂30Mを冷却して硬化させ、樹脂部30を形成させる(硬化工程)。硬化後、成形型40を型開きして成形品を取り出し、所定の後加工等を行うことによって、インサート成形品1が完成する。得られたインサート成形品1は、下型41に当接していた座面13と、ピン46に当接していた押圧突起24の先端面24Aとが樹脂部30から露出しており、その他の部分が樹脂部30に埋設されたものとなる。
上記のように、本実施形態のインサート成形品1は、ねじ孔14を有するナット本体11と、ナット本体11に装着されるキャップ21と、樹脂部30とを備えている。ねじ孔14は、第1の開口部14Aと第2の開口部14Bを有する貫通孔であり、キャップ21は、第1の開口部14Aを塞ぐ部材である。樹脂部30は、ナット本体11とキャップ21とを覆っており、キャップ21が、樹脂部30から露出する先端面24Aを有している。
また、本実施形態のインサート成形品1の製造方法は、第1の開口部14Aと第2の開口部14Bとを有する貫通孔であるねじ孔14を有するナット本体11に、第1の開口部14Aを塞ぐようにキャップ21を装着する装着工程と、下型41と、付勢部材45を備える上型42とを備える成形型40の内部にナット本体11とキャップ21とをセットし、付勢部材45によってキャップ21をナット本体11に向かって付勢するセット工程と、キャップ21が付勢部材45によって付勢された状態で、成形型40の内部に溶融樹脂30Mを注入する注入工程と、注入された溶融樹脂30Mを硬化させる硬化工程と、を含む。
上記の構成によれば、インサート成形の際に、成形型40に備えられた付勢部材45によってキャップ21をナット本体11に向かって付勢する。このとき、付勢部材45によるキャップ21に対する付勢力を適切に設定することにより、キャップ21を適切な押圧力で押圧することができ、キャップ21がナット本体11から外れることを避けると同時に、押圧力が強すぎてキャップ21が破損するといった事態も避けることができる。
また、キャップ21が、第1の開口部14Aを覆う蓋板部22と、蓋板部22からナット本体11と反対側に延びる押圧突起24を備えており、蓋板部22が樹脂部30に埋設されており、押圧突起24が、樹脂部30から露出する先端面24Aを有している。
このような構成によれば、成形の際にキャップ21をナット本体11に向かって押圧するのに必要最低限の面のみが、樹脂部30から露出されることとなり、蓋板部22が樹脂部30に埋設されているから、成形後にキャップ21が樹脂部30から脱落してしまうことを避けることができる。
また、押圧突起24が、ナット本体11の軸線A上に位置している。このような構成によれば、キャップ21をバランスよくナット本体11に向かって付勢することができるので、キャップ21がナット本体11から外れてしまうことを、確実に避けることができる。
<変形例>
図8に示す変形例のインサート成形品50は、蓋付きナット51の構成が部分的に実施形態と異なる。
蓋付きナット51は、実施形態と同様に、ねじ孔53を有するナット本体52と、このナット本体52に装着されるキャップ55とを備えている。
ナット本体52は、小径部を有さず、全長にわたって等径の円柱状をなしている。また、ねじ孔53の両端部は、それぞれ、残りの部分よりも形の大きな拡径部54となっている。
キャップ55は、円板状の蓋板部56と、この蓋板部56の両面のそれぞれから延びる押圧突起57とを備える。各押圧突起57は、円柱状であって、互いに等しい外形を有しており、蓋板部56の中心位置に配置されている。
一方の拡径部54は、2つの押圧突起57のいずれもを内部に受け入れ可能となっている。他方の拡径部54についても同様である。
その他の構成については実施形態と同様であるため、同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本変形例のインサート成形品50は、実施形態と同様の方法で製造することができる。
上記の構成によれば、ナット本体52のキャップ55に対する向き(図8の上下の向き)、または、キャップ55のナット本体52に対する向き(図8の上下の向き)のいずれが逆となっても、ナット本体52にキャップ55を組み付けることができる。このため、ナット本体52をキャップ55に組み付ける際に、向きを考慮しなくてもよくなり、組み付けが容易となる。
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、キャップ21が押圧突起24を備えていたが、キャップが押圧突起を備えず、蓋板部22の上面が露出部となっていても構わない。
(2)上記実施形態では、ナット本体は円柱状であったが、ナット本体の形状は上記実施形態の限りではなく、例えば角柱状であっても構わない。
(3)上記実施形態では、ゲート44がキャビティ43内に配置される蓋付きナット10の側面に向かって開口していたが、ゲートの開口位置は上記実施形態の限りではなく、キャビティ全体に十分に溶融樹脂が行き渡るように適切な位置に設定されていればよい。
(4)上記実施形態では、付勢部材45がピン46と圧縮コイルばね47とを備えていたが、付勢部材の構成は上記実施形態の限りではなく、例えば、圧縮コイルばねの代わりに板ばねを備えていても構わない。
1、50…インサート成形品
11、52…ナット本体
14A…第1の開口部
14B…第2の開口面
21、55…キャップ
22、56…蓋板部(蓋本体)
24、57…押圧突起
24A…先端面(露出面)
30…樹脂部
30M…溶融樹脂
40…成形型
41…下型
42…上型
45…付勢部材

Claims (4)

  1. 第1の開口部と第2の開口部とを有する貫通孔であるねじ孔を有するナット本体と、
    前記ナット本体に装着されて前記第1の開口部を塞ぐキャップと、
    前記ナット本体と前記キャップとを覆う樹脂部とを備え、
    前記キャップが、前記樹脂部から露出する露出面を有している、インサート成形品。
  2. 前記キャップが、前記第1の開口部を塞ぐ蓋本体と、前記蓋本体から前記ナット本体と反対側に延びる押圧突起を備えており、
    前記蓋本体が前記樹脂部に埋設されており、前記押圧突起が前記露出面を有している、請求項1に記載のインサート成形品。
  3. 前記押圧突起が、前記ナット本体の軸線上に位置している、請求項2に記載のインサート成形品。
  4. 第1の開口部と第2の開口部とを有する貫通孔であるねじ孔を有するナット本体に、前記第1の開口部を塞ぐようにキャップを装着する装着工程と、
    下型と、付勢部材を備える上型とを備える成形型の内部に前記ナット本体と前記キャップとをセットし、前記付勢部材によって前記キャップを前記ナット本体に向かって付勢するセット工程と、
    前記キャップが前記付勢部材によって付勢された状態で、前記成形型の内部に溶融樹脂を注入する注入工程と、
    注入された前記溶融樹脂を硬化させる硬化工程と、を含むインサート成形品の製造方法。
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