JP2020049679A - 積層フィルム及び包装袋 - Google Patents

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雅恵 菅野
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Abstract

【課題】接着強度を改善すると共に、接着剤養生時間を要さず、幅広い種類の透明バリアフィルムとの接着性に優れ、レトルト耐性及び内容物耐性に優れた積層フィルム及びその製造方法、並びに該積層フィルムを用いた包装袋及びその製造方法を提供する。【解決手段】ガスバリアフィルム層10、印刷インキ層20、接着層30、熱可塑性樹脂層40の各層を順次積層してなる積層フィルム1であり、接着層が無水マレイン酸グラフト重合ポリプロピレンを主成分とする層であり、印刷インキ層が、顔料、ウレタン樹脂、硬化剤及び溶媒を含むインキで印刷された層である。【選択図】図1

Description

本発明は、デラミネーションを起こし難く、レトルト耐性や内容物耐性に優れる積層フィルム及び包装袋に関する。
食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料としては、一般に、内容物の変質や腐敗等を抑制し、それらの機能や性質を保持するために、水蒸気、酸素、その他の内容物を変質させる気体の進入を遮断するガスバリア性を有する積層フィルムが用いられている。ガスバリア性を有する積層フィルムとしては、例えば、ポリエステルテルフィルム等の基材フィルム層の外面に、金属酸化物や金属の蒸着層からなるバリア層が形成され、該バリア層の内面に接着層を介してシーラント層が積層された積層フィルムが知られている(特許文献1)。
ところで、積層フィルムには、高温の殺菌処理を行ってもデラミネーション(剥離)を起こさない高温耐性(レトルト耐性)を有していることが求められる。また、特に内容物が食酢、オイル等の液体調味料、浴用剤(アルコール含有)や湿布薬等、強い浸透力をもつ揮発性物質を含むものであっても、デラミネーションを起こさない内容物耐性を有することも求められる。
積層フィルムにおいては、レトルト加熱殺菌用包材等の耐性包材の用途であっても、接着層を形成する接着剤として一般的にウレタン2液硬化タイプのドライラミネート用接着剤が用いられる。しかし、ドライラミネート用接着剤を用いる場合、充分なレトルト耐性及び内容物耐性を得るためには長時間の接着剤養生時間を要するため、短時間での製造は困難である。また、製造時に積層フィルムを巻き取る場合には、養生時に巻き芯近くのフィルムが熱によって巻き締まって負荷がかかることで、フィルムに破損が生じることもある。
また、ドライラミネート用接着剤で使用されている酢酸エチルやトルエンなどの有機溶媒が包材に残留し汚染したり、近年のVOC排出量の規制により、環境適合面で課題がある。さらに最近のレトルト包材の傾向として、環境対応と、電子レンジ対応による利便性付与という面で、バリア層としてアルミ箔ではなく、無機酸化皮膜を用いた構成が積極的に用いられている。この透明バリア層との接着性について、接着層である無水マレイン酸グラフト重合ポリプロピレンのグラフト率の制約により接着性を改良することが提案されている(特許文献2)。しかしながら、近年、透明バリアフィルムのバリア層は複合化されており、必ずしも接着層に無機酸化皮膜が隣接するとは限らず、実際には接着性が得られないという課題がある。
特開2011−46006号公報 特許第3430551号公報
本発明は、透明バリアフィルムのバリア面に絵柄印刷層として積層する印刷インキ層の樹脂系を工夫することにより、接着層を直接隣接させた場合と比較し、大幅に接着強度を改善すると共に、接着剤養生時間を要さず、幅広い種類の透明バリアフィルムとの接着性
に優れ、レトルト耐性及び内容物耐性に優れた積層フィルム及び該積層フィルムを用いた包装袋を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、
ガスバリアフィルム層、印刷インキ層、接着層、熱可塑性樹脂層の各層を順次積層してなる積層フィルムであり、前記接着層が無水マレイン酸グラフト重合ポリプロピレンを主成分とする層であり、前記印刷インキ層が、顔料、ウレタン樹脂、硬化剤及び溶媒を含むインキで印刷された層であることを特徴とする積層フィルムである。
また、本発明の請求項2に係る発明は、
前記無水マレイン酸グラフト重合ポリプロピレンの無水マレイン酸グラフト率が、0.1wt%以上1.0wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルムである。
また、本発明の請求項3に係る発明は、
前記硬化剤がカルボジイミドであり、前記溶媒が水系溶媒であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルムである。
また、本発明の請求項4に係る発明は、
前記ガスバリアフィルム層が、基材フィルムと、プライマー層と、酸化金属蒸着層と、ガスバリア皮膜層とが、この順で前記接着層側に向かって積層された層であり、
前記ガスバリア皮膜層が、一般式
Si(OR ・・・(1)
で表されるケイ素化合物及びその加水分解物のうち1つと、一般式
(RSi(OR ・・・(2)
で表されるケイ素化合物及びその加水分解物のうち1つと、
(但し、一般式(1)及び(2)中、R、RはCH、C、又はCOCHのいずれかであり、Rは有機官能基を表し、mは1以上)
水酸基を有する水溶性高分子と、を含有する塗布液を塗布、乾燥してなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルムである。
また、本発明の請求項5に係る発明は、
前記ガスバリアフィルム層が、基材フィルムと、プライマー層と、酸化金属蒸着層と、ガスバリア皮膜層とが、この順で前記接着層側に向かって積層された層であり、
前記プライマー層が、3官能オルガノシラン及びその加水分解物からなる群から選ばれる1種以上と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物との複合物を含有する層であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルムである。
また、本発明の請求項6に係る発明は、
前記ガスバリアフィルム層が、基材フィルムと、酸化金属蒸着層と、ガスバリア皮膜層とが、この順で前記接着層側に向かって積層された層であり、前記基材フィルムの前記酸化金属蒸着層側の面がプラズマ処理されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルムである。
また、本発明の請求項7に係る発明は、
前記ガスバリアフィルム層が、基材フィルムの前記接着層側に、ポリカルボン酸系重合体を含有するガスバリア皮膜層が積層された層であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルムである。
また、本発明の請求項8に係る発明は、
前記ガスバリアフィルム層が、基材フィルムの前記接着層側に、金属酸化物とリン化合物との反応物を含有するガスバリア皮膜層が積層された層であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルムである。
また、本発明の請求項9に係る発明は、
請求項1から8のいずれかに記載の積層フィルムを用いてなる包装袋である。
本発明の積層フィルムによれば、無水マレイン酸グラフト重合ポリプロピレンを主成分とする接着層と、ガスバリアフィルム層、特にガスバリア被覆層とを直接接着させず、間に設ける印刷インキ層を、ウレタン樹脂をバインダー樹脂とし、硬化剤、顔料、溶媒を含むインクで印刷された層とすることで、接着層の接着剤の養生時間を要さず、幅広い種類の透明バリアフィルムをガスバリアフィルム層に適用しても良好な接着性が得られ、レトルト耐性及び内容物耐性に優れた積層フィルムが得られる。
また本発明の包装袋は、生産性に優れ、レトルト耐性及び内容物耐性にも優れている。
本発明の積層フィルムの一例を示した断面図である。 本発明の積層フィルムの一例を示した断面図である。 ホロアノード・プラズマ処理装置の一例を示した概略構成図である。 本発明の積層フィルムの一例を示した断面図である。 本発明の積層フィルムの一例を示した断面図である。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、ガスバリア性を有するフィルムであって、ガスバリアフィルム層、印刷インキ層、接着層及び熱可塑性樹脂層がこの順に積層された積層フィルムである。以下、本発明の積層フィルムの一例を示して説明する。
本実施形態の積層フィルム1は、図1に示すように、ガスバリアフィルム層10、印刷インキ層20、接着層30及び熱可塑性樹脂層40がこの順に積層されている。ガスバリアフィルム層10は、基材フィルム11の印刷インキ層20側に、プライマー層12と、酸化金属蒸着層13と、ガスバリア皮膜層14とが、この順に積層された層である。
なお、基材フィルム11/プライマー層12/酸化金属蒸着層13/ガスバリア皮膜層14の層構成の積層体をフィルム積層体Aとも称する。
基材フィルム11としては、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。
樹脂フィルムを形成する樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらの共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12等のポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の水酸基含有重合体等が挙げられる。なかでも、ポリエチレンテレフタレートやポリアミド系樹脂が好ましく用いられる。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
基材フィルム11は、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。なかでも、機械的強度や寸法安定性に優れる点から、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムが好ましく、二軸延伸フィルムがより好ましい。
基材フィルム11は、1枚のフィルムからなる単層であってもよく、2枚以上のフィルムが積層された複層であってもよい。
基材フィルム11の厚さは、特に限定されず、例えば3〜200μmとすることができ、6〜30μmが好ましい。
プライマー層12は、3官能オルガノシラン及びその加水分解物からなる群から選ばれる1種以上と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物との複合物を含有する層である。3官能オルガノシランは、下式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Si(OR ・・・(4)
ただし、式(4)中、Rはアルキル基、ビニル基、イソシアネート基を有するアルキル基、グリシドキシ基を有するアルキル基又はエポキシ基を有するアルキル基であり、Rはアルキル基であると好ましい。
のアルキル基、イソシアネート基を有するアルキル基、グリシドキシ基を有するアルキル基及びエポキシ基を有するアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。
式(4)で表される3官能オルガノシランとしては、例えば、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、R中にイソシアネート基を有するイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシ基を有するグリシドオキシトリメトキシシラン、エポキシ基を有するエポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランが特に好ましい。
3官能オルガノシランの加水分解物は、3官能オルガノシランに酸やアルカリ等を直接添加して加水分解を行う方法等、公知の方法で得ることができる。
アクリルポリオールとは、アクリル酸誘導体モノマーを単独重合又は共重合させて得られる高分子化合物、もくしはアクリル酸誘導体モノマー及びその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端に水酸基を有し、イソシアネート化合物のイソシアネート基と反応するものである。
アクリル酸誘導体モノマーとしては、例えば、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。
他のモノマーとしては、例えば、スチレンが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートから選ばれる1種のアクリル酸誘導体モノマーの単独重合体;前記アクリル酸誘導体とスチレンの共重合体が好ましい。
アクリルポリオールの水酸基価は、イソシアネート化合物との反応性に優れる点から、5〜200KOHmg/gが好ましい。
アクリルポリオールと3官能オルガノシランとの質量比は、1/1〜100/1が好ましく、2/1〜50/1がより好ましい。
イソシアネート化合物は、2以上のイソシアネート基を有し、アクリルポリオールと反
応してウレタン結合を形成する化合物であり、基材フィルム11と酸化金属蒸着層13との密着性を高める架橋剤もしくは硬化剤として作用する。
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族系イソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族系イソシアネート化合物、それら芳香族系又は脂肪族系イソシアネート化合物とポリオールとを重合して得られる、イソシアネート基を有する重合体、及びそれらの誘導体等が挙げられる。イソシアネート化合物としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリルポリオールとイソシアネート化合物との配合比としては、アクリルポリオール由来の水酸基の数に対するイソシアネート化合物由来のイソシアネート基の数の比が50倍以下であることが好ましく、イソシアネート基と水酸基が当量であることが特に好ましい。これにより、イソシアネート化合物が少なすぎて硬化不良が生じたり、イソシアネート化合物が多すぎてブロッキングが発生して加工し難くなったりすることを抑制しやすい。
複合物は、3官能オルガノシラン及びその加水分解物からなる群から選ばれる1種以上と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物を溶媒中で反応させることで得られる。
溶媒としては、各成分を溶解及び希釈できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。溶媒としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。3官能オルガノシラン等を加水分解するために塩酸等の水溶液を用いる場合は、共溶媒として、イソプロピルアルコール等と極性溶媒である酢酸エチルを任意に混合した溶媒を用いることが好ましい。
複合物を調製する際には、3官能オルガノシランとアクリルポリオールの反応を促進させるために、反応液に触媒を添加してもよい。触媒としては、反応性及び重合安定性の点から、塩化錫(SnCl、SnCl)、オキシ塩化錫(SnOHCl、Sn(OH)Cl)、錫アルコキシド等の錫化合物が好ましい。これらの触媒は、各成分の配合時に直接添加してもよく、またメタノール等の溶媒に溶かして添加してもよい。
触媒の添加量は、3官能オルガノシラン及びその加水分解物の合計量に対して、モル比で1/10〜1/10000が好ましく、1/100〜1/2000がより好ましい。
また、複合物を含む液の液安定性を向上させるために、金属アルコキシド又はその加水分解物を加えてもよい。
金属アルコキシドとしては、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリプロポキシアルミニウム〔Al(OC〕等、一般式:M(OR)(ただし、MはSi、Al、Ti又はZrであり、Rはメチル基、エチル基等のアルキル基である。)で表される化合物が挙げられる。なかでも、水系の溶媒中で比較的安定である点から、テトラエトキシシラン、トリプロポキシアルミニウム、又はそれらの混合物が好ましい。
金属アルコキシドの加水分解物を得る方法は、3官能オルガノシランの加水分解物を得る方法と同様である。金属アルコキシドの加水分解は、3官能オルガノシランの加水分解と同時に行ってもよく、3官能オルガノシランの加水分解とは別に行ってもよい。
3官能オルガノシランと金属アルコキシドとのモル比は、液安定性の点から、10:1〜1:10が好ましく、1:1が特に好ましい。
プライマー層12には、各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤等が挙げられる。
プライマー層12の形成方法は、特に限定されない。例えば、必要に応じて使用する触媒の存在下で3官能オルガノシランを加水分解した液、又は3官能オルガノシランを金属アルコキシドとともに加水分解した液に、アクリルポリオールやイソシアネート化合物を混合した溶液を基材フィルム11に塗工し、乾燥する方法が挙げられる。また、必要に応じて使用する触媒、金属アルコキシドの存在下、溶媒中で3官能オルガノシランとアクリルポリオールを混合した液、又はさらに加水分解反応を行った液に、イソシアネート化合物を加えた溶液を基材フィルム11に塗工し、乾燥する方法であってもよい。
塗工方法としては、特に限定されず、例えば、ディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等が挙げられる。
乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射等、熱をかけて溶媒分子をとばす方法であればよく、これら2つ以上を組み合わせてもよい。
酸化金属蒸着層13は、金属酸化物の蒸着により形成される層である。金属酸化物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等が挙げられ、酸化アルミニウムが好ましい。
酸化金属蒸着層13の形成方法としては、特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。
酸化金属蒸着層13の厚さは、100〜500Åが好ましく、150〜300Åがより好ましい。酸化金属蒸着層13の厚さが下限値以上であれば、バリア性が確保される。酸化金属蒸着層13の厚さが上限値以下であれば、透明性が確保される。
ガスバリア皮膜層14としては例えば、酸化ケイ素成分、ビニルアルコール成分、イソシアネート成分及びシランカップリング剤成分を含有する層が挙げられる。具体的には、例えば、酸化ケイ素成分と、ビニルアルコール部位をもつ重合体と、イソシアネート化合物と、シランカップリング剤とを混合した液を塗工し、乾燥して形成される層が挙げられる。
酸化ケイ素成分としては、例えば、金属アルコキシドであるテトラアルコキシシラン等のアルキルシリケート、アルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン及びその加水分解物等が挙げられる。
ビニルアルコール部位をもつ重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、一般式:RSi(OR(ただし、Rは−CH、−C、−COCH等の加水分解性基であり、Rは有機官能基である。)で表されるエポキシシランカップリング剤、アミンシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等が挙げられる。
なお、イソシアネート基を有するシランカップリング剤を、イソシアネート化合物とシランカップリング剤の両方を兼ねる化合物として使用してもよい。
このガスバリア皮膜層14を、飛行時間型2次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)による測定した場合には、酸化ケイ素成分、ビニルアルコール成分、イソシアネート成分及びシランカップリング剤成分が検出される。なお、TOF−SIMSとは、表面にイオンを照射した際に発生する2次イオンのマススペクトルを測定し、表面の構成元素や化学構造に関する情報を得ることができる表面分析法である。
ガスバリア皮膜層14は、また、一般式
Si(OR ・・・(1)
で表されるケイ素化合物及びその加水分解物のうち1つと、一般式
(RSi(OR ・・・(2)
で表されるケイ素化合物及びその加水分解物のうち1つと、
(但し、一般式(1)及び(2)中、R、RはCH、C、又はCOCHのいずれかであり、Rは有機官能基を表し、mは1以上)
水酸基を有する水溶性高分子と、を含有する塗布液を塗布、乾燥して得られるものがある。
一般式Si(ORで表されるケイ素化合物はテトラアルコキシシランである。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。また、一般式(RSi(ORで表されるケイ素化合物はシランカップリング剤である。例えば、アミンシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等を使用することができる。また、イソシアネート基やエポキシ基を持つシランカップリング剤であってもよい。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニルアルコール部位を持つ有機ポリマーを例示できる。イソシアネート成分としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
なお、イソシアネート基を有するシランカップリング剤を、イソシアネート化合物とシランカップリング剤の両方を兼ねる化合物として使用してもよい。例えば、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレート(化学式:(NCO−RSi(OR)又はその加水分解物である。
ガスバリア皮膜層14には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、隣接する層との密着性、濡れ性、収縮によるクラック発生の抑制を考慮して、コロイダルシリカやスメクタイト等の粘土鉱物、安定化剤、着色剤、粘度調整剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
ガスバリア皮膜層14の厚さは、0.01〜50μmが好ましい。ガスバリア皮膜層14の厚さが下限値以上であれば、優れたガスバリア性が得られやすい。ガスバリア皮膜層14の厚さが上限値以下であれば、クラックが生じることを抑制しやすい。
ガスバリア皮膜層14の形成方法としては、特に限定されず、例えば、酸化ケイ素成分等を溶媒中で混合し、酸化金属蒸着層13上に塗工し、乾燥する方法が挙げられる。金属アルコキシドは水系溶媒中では均一分散しにくいため、加水分解して用いてもよい。
塗工方法及び乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、プライマー層12の形成において挙げた方法と同じ方法が挙げられる。
印刷インキ層20は、ウレタン樹脂を主要樹脂成分としたインキを積層したインキ層である。印刷インキ層20を形成する方法は、公知の印刷方法を採用できる。印刷されて印刷インキ層20を形成する前記インキは顔料を含有しているが、その種類は特に限定されず、公知の顔料を適宜選択して使用できる。また顔料は有色顔料に限られず、例えば体質
顔料のような無色の顔料でも良く、メジウムやワニスといった有色顔料を含まないインキも使用することが出来る。
インキの溶媒としては、各成分を溶解及び希釈できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。溶媒としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。但し、VOC削減の観点から、水系の溶媒が最も好ましい。
インキの積層方法については、グラビア印刷、フレキソ印刷等の一般的な印刷方法を用いる。塗布量については、乾燥時で0.5〜15g/m、望ましくは1〜5g/mである。塗布面積については、袋体にする際のシール部分を含む、ガスバリアフィルム層10の全面に塗工するのが望ましい。
接着層30は、無水マレイン酸グラフト重合ポリプロピレン(以下、変性PPという。)からなる層である。
変性PPは、ポリプロピレン(以下PPと記すことがある。)を無水マレイン酸によりグラフト変性したポリプロピレンである。変性PPにおけるポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン(ホモPP)、ブロックポリプロピレン(ブロックPP)、又はランダムポリプロピレン(ランダムPP)、プロピレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。αオレフィンとしては、エチレン、1−ブテン等が挙げられる。
変性PPは、融点は特に指定しないが、レトルト耐性を考慮すると100℃以上が望ましい。また無水マレイン酸グラフト率としては、0.1〜1wt%とする。
0.1wt%を下回ると十分な接着強度が得られず、殺菌時のデラミネーションが発生する。
1wt%を超えるグラフト率では樹脂特性が不安定となる。具体的にはグラフト化の際に使用する反応触媒がPP樹脂本体の分解を促す結果、分子量が小さくなり、MFRが極端に上昇し、製膜適性が失われてしまう。その結果、皮膜強度が低下し、接着強度が得られないという不具合が発生する。そのため、グラフト率の上限を1wt%とする。
接着層30の厚さは、1〜30μmが好ましく1〜15μmがより好ましい。接着層30の厚さが下限値以上であれば、ガスバリアフィルム層10と熱可塑性樹脂層40との間でデラミネーションが生じることを抑制しやすい。接着層30の厚さが上限値以下であれば、積層後の熱ラミ加工時の熱伝導性に優れ、適正なラミネート強度が得られる。
熱可塑性樹脂層40を形成する熱可塑性樹脂としては、熱融着性のある樹脂であれば使用できる。熱可塑性樹脂としては、例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、エポキシ樹脂(EP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及びそれらの金属架橋物等が挙げられる。なかでも、食品包装におけるレトルト殺菌適性等を考慮すると、PP及び耐熱性のLLDPEが好ましい。これら熱可塑性樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂層40の厚さは、目的に応じて適宜設定でき、一般的には15〜200μmの範囲である。
本発明の積層フィルムは、上記のように、接着層を、無水マレイン酸グラフト重合ポリ
プロピレンを主成分とする層とし、接着層とガスバリアフィルム層の間にウレタン樹脂をバインダー樹脂とする印刷インキ層を設けることで、接着層とガスバリアフィルム層を直接積層するよりも接着力が増し、接着層の接着剤の養生時間を要さず、幅広い種類の透明バリアフィルムをガスバリアフィルム層に適用しても良好な接着性が得られる。
(製造方法)
接着層30の変性PPは溶融押出し法、熱可塑性樹脂層40となるフィルムとのキャストフィルム加工法、もしくは、分散体のコーティング加工により印刷インキ層20に積層する。
溶融押出しの場合、変性PP単層、もしくは、ホモPP、ランダムPPまたはブロックPPとの共押出しの積層を可能とする。
コーティング加工による積層の場合、ガスバリアフィルム層10のガスバリア皮膜層14側の表面に積層した印刷インキ層20の表面に、変性PPを含む液状接着剤を塗工し、加熱して溶媒を飛ばして焼き付けることで接着層30を形成し、熱ラミネート法によりガスバリアフィルム層10に印刷インキ層20、接着層30を介して熱可塑性樹脂層40を積層する方法が挙げられる。
液状接着剤に用いる溶媒としては、変性PPを分散又は溶解できる公知の溶媒を使用でき、例えば、トルエン(TOL)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルシクロヘキサン(MCH)、酢酸エチル(EA)、酢酸n−プロピル(NPAC)等が挙げられる。
液状接着剤の塗工方法としては、特に限定されず、例えば、プライマー層12の形成方法で挙げた方法と同じものが挙げられる。また、塗工後の加熱方法も特に限定されず、例えば、プライマー層12の形成方法で挙げた方法と同じものが挙げられる。
また、接着層30にドライラミネート用接着剤を使用しないため、接着剤養生時間を要さず、短時間で積層フィルム1を製造することができ、また養生時に巻き芯近くのフィルムが熱によって巻き締まって破損が生じることも抑制できる。また、押出し加工により接着層30を積層する場合には、有機溶媒を使用しないため、衛生面、環境面にも優れた包材を提供できる。
なお、本発明の積層フィルムは、前記した積層フィルム1には限定されない。
本発明の積層フィルムは、積層フィルム1におけるプライマー層12及び酸化金属蒸着層13のいずれか一方又は両方を有していないものであってもよい。
本発明の積層フィルムは、図2に例示した積層フィルム2であってもよい。図2における図1と同じ部分は同符合を付して説明を省略する。
積層フィルム2は、ガスバリアフィルム層10A、印刷インキ層20、接着層30及び熱可塑性樹脂層40がこの順に積層されている。ガスバリアフィルム層10Aは、基材フィルム11Aの印刷インキ層20側に、酸化金属蒸着層13と、ガスバリア皮膜層14がこの順に積層された層である。基材フィルム11Aは、印刷インキ層20側の表面11aにプラズマ処理が施されている。このように、ガスバリアフィルム層10Aは、印刷インキ層20側の表面11aがプラズマ処理された基材フィルム11Aと、基材フィルム11Aのプラズマ処理された側に設けられた酸化金属蒸着層13と、酸化金属蒸着層13の基材フィルム11Aと反対側に設けられたガスバリア皮膜層14と、を備える層である。
なお、基材フィルム11A/酸化金属蒸着層13/ガスバリア皮膜層14の層構成の積層体をフィルム積層体Cとも称する。
基材フィルム11Aは、印刷インキ層20側の表面11aにプラズマ処理が施されている以外は、基材フィルム11と同じ態様とすることができる。
積層フィルム2においては、基材フィルム11Aの印刷インキ層20側の表面11aにプラズマ処理が施されていることで、基材フィルム11Aと酸化金属蒸着層13の間でデラミネーションが生じることを抑制する効果が高い。
プラズマ処理としては、リアクティブイオンエッチング(反応性イオンエッチング、RIE)モードのプラズマ処理が好ましい。具体的には、例えば、図3に例示したホロアノード・プラズマ処理装置100を用いたRIE処理が挙げられる。
ホロアノード・プラズマ処理装置100は、陽極としての処理ロール101を備える。陰極102、及び陰極102の両端に配置された遮蔽版103は、処理ロール101の外部に処理ロール101と対向するように配置されている。陰極102は、処理ロール101側が開口したボックス形をなしている。遮蔽版103は、処理ロール101に沿った曲面状に形成されている。
ガス導入ノズル105は、陰極102の上方に配置されている。ガス導入ノズル105は、陰極102及び遮蔽版103と処理ロール101との間の隙間106にガスを導入する。マッチングボックス107は、陰極102の背面に配置されている。
ホロアノード・プラズマ処理装置100で基材フィルム11AをRIE処理するには、以下のようにする。
基材フィルム109を処理ロール101に沿って搬送しながら、マッチングボックス107から陰極102に電圧を印加する。ガスが導入される隙間106にプラズマを発生して、陽極である処理ロール101側にプラズマ中のラジカルを引き寄せることによって、基材フィルム109の表面にラジカルを作用させる。
さらに、陽極として処理ロール101の面積を対極となる基材フィルム109の面積よりも大きくすることによって、基材フィルム109上に多くの自己バイアスを発生させることができる。この大きな自己バイアスにより、プラズマ中のイオン110を基材フィルム109に引き寄せるスパッタ作用(物理的作用)が働く。これにより、RIE処理後の基材フィルム11Aの表面11aに酸化金属蒸着層13が形成された際に、基材フィルム11Aと酸化金属蒸着層13との間の密着性が向上する。
本発明の積層フィルムは、図4に例示した積層フィルム3であってもよい。図4における図1と同じ部分は同符合を付して説明を省略する。
積層フィルム3は、ガスバリアフィルム層10B、印刷インキ層20、接着層30及び熱可塑性樹脂層40がこの順に積層されている。ガスバリアフィルム層10Bは、基材フィルム11の印刷インキ層20側に、ポリカルボン酸系重合体を含有するガスバリア皮膜層14Aが積層された層である。ポリカルボン酸系重合体を用いることで、基材フィルム11とガスバリア皮膜層14Aの密着性が向上し、それらの間でデラミネーションが起きることが抑制されやすくなる。
なお、基材フィルム11/ポリカルボン酸系重合体を含有するガスバリア皮膜層の層構成の積層体をフィルム積層体Bとも称する。
ポリカルボン酸系重合体とは、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する重合体をいう。
ポリカルボン酸系重合体としては、例えば、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の単独重合体;少なくとも2種類のα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合体;α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類が挙げられる。これらポリカルボン酸系重合体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。
α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能な他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類、アルキルイタコネート類、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、スチレン等が挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体が、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とその他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である場合には、ガスバリア性、耐水性の観点から、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合割合は、60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、100モル%が特に好ましい。
ポリカルボン酸系重合体が、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる重合体の場合には、当該重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体の重合によって得られる。当該重合体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる少なくとも1種の単量体の重合によって得られる重合体が好ましく、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、又はそれらの混合物がより好ましい。
ポリカルボン酸系重合体が酸性多糖類の場合には、モノマー成分としてアルギン酸が好ましく用いられる。ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量は、特に限定されない。ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量は、コーティング性の観点から、2,000〜10,000,000が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましい。
ガスバリア皮膜層14Aには、ガスバリア性を損なわない範囲で、ポリカルボン酸系重合体に他の重合体が混合されてもよい。例えば、ガスバリア皮膜層14Aが、ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類の混合物からなるものであってもよい。
ポリアルコール類は、分子内に2個以上の水酸基を有する低分子化合物からアルコール系重合体を含む。ポリアルコール類は、ポリビニルアルコール(PVA)、糖類及び澱粉類を含む。前記分子内に2個以上の水酸基を有する低分子量化合物としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ペンタエリトリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
PVAのケン化度は、95%以上が好ましく、98%以上がより好ましい。PVAの平均重合度は、300〜1500が好ましい。ポリカルボン酸系重合体との相溶性の観点から、ビニルアルコールを主成分とするビニルアルコール−ポリ(メタ)アクリル酸共重合体を、ポリアルコール類として用いることが好ましい。
単糖類、オリゴ糖類及び多糖類が、糖類として使用される。これらの糖類は、特開平7−165942号公報に記載のソルビトール、マンニトール、ズルシトール、キシリトール、エリトリトール等の糖アルコール、糖アルコールの置換体、糖アルコールの誘導体を包含する。好ましい糖類は、水、アルコール、あるいは水とアルコールの混合溶剤に溶解するものである。澱粉類は、前記多糖類に含まれる。澱粉類の具体例は、例えば、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉等の生澱粉(未変性澱粉)、各種の加工澱粉が挙げられる。加工澱粉の具体例は、例えば、物理的変性澱粉、酵素変性澱粉、化学変性澱粉、澱粉類にモノマーをグラフト重合したグラフト澱粉が挙げられる。これらの澱粉類のなかでも、馬鈴薯澱粉が酸で加水分解された水可溶性加工澱粉、澱粉の末端基(アルデヒド基)が水酸基に置換された糖アルコールが好ま
しい。澱粉類は、含水物であってもよい。これらの澱粉類は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類との混合比(質量比)は、高湿度条件下でも優れた酸素ガスバリア性を有する包装袋を得るという観点から、99:1〜20:80が好ましく、95:5〜40:60がより好ましく、95:5〜50:50がさらに好ましい。
ガスバリア皮膜層14Aは、例えば、ポリカルボン酸系重合体と溶媒を含む塗液1、又は、ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類と溶媒を含む塗液2を、基材フィルム11上に塗工し、溶媒を蒸発乾燥させることで形成される。また、ポリカルボン酸系重合体を形成するモノマーを含む塗液を基材フィルム11上に塗工し、紫外線又は電子線を照射して重合を行ってポリカルボン酸系重合体とし、ガスバリア皮膜層14Aを形成する方法、前記モノマーを基材フィルム11上に蒸着すると同時に電子線を照射して重合を行い、ポリカルボン酸系重合体としてガスバリア皮膜層14Aを形成する方法を用いてもよい。
塗液1は、ポリカルボン酸系重合体が溶媒に溶解又は分散されることで調製される。溶媒としては、ポリカルボン酸系重合体を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定は、0.1〜50wt%が好ましい。
塗液2を得る方法は特に限定されない。塗液2を得る方法の具体例としては、各成分を溶媒に溶解する方法、各成分の溶液を混合する方法、ポリアルコール類溶液中でカルボキシル基を含有するモノマーを重合し、所望により重合後にアルカリで中和する方法等が挙げられる。溶媒の具体例としては、例えば、水、アルコール、水とアルコールの混合物が挙げられる。塗液2の固形分濃度は、1〜30wt%が好ましい。
塗液1や塗液2には、酸素ガスバリア性が損なわれない範囲で、他の重合体、柔軟剤、可塑剤(分子内に2個以上の水酸基を有する低分子化合物は除く)、安定剤、アンチブロッキング剤、粘着剤、モンモリロナイト等の無機層状化合物等が適宜添加されてもよい。
酸素ガスバリア性の観点から、塗液1には1価及び/又は2価の金属を含む化合物を添加してもよい。1価及び/又は2価の金属の具体例としては、ナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、銅が挙げられる。1価及び/又は2価の金属を含む化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、酸化カルシウムである。
塗液1への1価及び/又は2価の金属を含む化合物の添加量は、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基に対して、0〜70モル%が好ましく、0〜50モル%がより好ましい。
酸素ガスバリア性の向上のため、基材フィルム11上に塗液2を塗工し、乾燥して得られた被膜を熱処理してもよい。この場合、熱処理条件の緩和のため、塗液2の調製の際に、水に可溶な、アルカリ金属化合物や無機酸又は有機酸の金属塩を適宜添加してもよい。金属の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が挙げられる。
無機酸又は有機酸の金属塩の具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ホスフィン酸ナトリウム(次亜リン酸ナトリウム)、亜リン酸水素二ナトリウム、リン酸二ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの例示された金属塩のなかでも、ホスフィン酸ナトリウム(次亜リン酸ナトリウム)、ホスフィン酸カルシウム
(次亜リン酸カルシウム)等のホスフィン酸金属塩(次亜リン酸金属塩)が好ましい。無機酸及び有機酸の金属塩の添加量は、塗液2中の固形分100質量部に対して、0.1〜40質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。
アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ金属化合物の添加量は、塗液2中のポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基に対して、0〜30モル%が好ましい。
塗液1又は塗液2の塗工方法としては、例えば、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、デイップコーター、ダイコーター、スプレー等の装置、あるいは、それらを組み合わせた装置を用いる方法が挙げられる。
溶媒を蒸発乾燥させる方法としては、例えば、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤー、赤外線ドライヤー等の装置、あるいは、それらを組み合わせた装置による熱風の吹き付け、赤外線照射、自然乾燥、オーブン中での乾燥等の方法が挙げられる。
ガスバリア皮膜層14Aの厚さは、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
ガスバリア皮膜層14A上には、亜鉛化合物を含むコーティング層を形成してもよい。亜鉛化合物の具体例としては、亜鉛の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、無機酸塩等が挙げられる。亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛、リン酸亜鉛が好ましい。亜鉛の毒性は低く、亜鉛がレトルト臭の原因となる硫化水素と反応して生成する硫化亜鉛(白色)は包装袋の外観にほとんど影響を与えない。
亜鉛化合物の好ましい形態は粒子である。コーティング適性及び溶媒への分散性の観点から、亜鉛化合物粒子の平均粒径は、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。
コーティング層中の亜鉛化合物の含有量は、1m当たり亜鉛として32.7mg以上が好ましい。前記亜鉛化合物の含有量が32.7mg以上であれば、硫化水素が亜鉛化合物に吸収される効果が官能的に認知されやすい。前記亜鉛化合物の含有量は、1m当たり亜鉛として65.4mg以上がより好ましく、131mg以上がさらに好ましく、196mg以上が特に好ましい。亜鉛化合物の含有量が増大するほどレトルト臭の吸収効果も大きくなるが、内容物の風味が損なわれるおそれもある。例えば、ニンニク調味製品等の含硫化合物に由来する風味が重要な食品が、亜鉛化合物が多量に含まれる包装袋で包装される場合、当該食品の風味が損なわれることがある。従って、亜鉛化合物の含有量は、包装される内容物により適宜調節する必要がある。
亜鉛化合物を含有するコーティング層の厚さは、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましく、0.1〜1μmがさらに好ましい。コーティング層の厚さが下限値以上であれば、コーティング層の厚さが安定に維持されやすい。コーティング層の厚さが上限値以下であれば、コーティング層の生産性が高くなり、またコーティング層が凝集破壊しにくくなる。
亜鉛化合物を含むコーティング層を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、亜鉛化合物と溶媒又は分散媒体を含むコーティング剤を塗工する方法が挙げられる。
溶媒又は分散媒体の具体例としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。塗工適性や製造性の観点から、溶媒又は分散媒体としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、水が好ましい。これらの溶媒又は分散媒体は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
コーティング剤には、樹脂、界面活性剤、柔軟剤、安定剤、膜形成剤、アンチブロッキング剤、粘着剤等の添加物を適宜添加してもよい。
樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、硝化綿、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂等の塗料用樹脂が挙げられる。
亜鉛化合物の分散性の観点から、コーティング剤には分散剤を添加することが好ましい。分散剤の具体例としては、例えば、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸中和物、アクリロニトリル、アジピン酸、アジピン酸エステル、アジピン酸中和物、アゼライン酸、アビエチン酸、アミノドデカン酸、アラキジン酸、アリルアミン、アルギニン、アルギニン酸、アルブミン、アンモニア、イタコン酸、イタコン酸エステル、イタコン酸中和物、エチレンオキサイド、エチレングリコール、エチレンジアミン、オレイン酸、カオリン、カゼイン、カプリル酸、カプロラクタム、キサンタンガム、クエン酸、グリシン、クリストバライト、グリセリン、グリセリンエステル、グルコース、クロトン酸、ケイ酸、サッカロース、サリチル酸、シクロヘプテン、シュウ酸、スターチ、ステアリン酸、セバシン酸、セルロース、セレシン、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンオレエート、ソルビタンステアレート、ソルビタンパーミレート、ソルビタンベヘネート、ソルビタンラウレート)、ソルビトール、ソルビン酸、タルク、デキストリン、テレフタル酸、ドロマイト、ニトロセルロース、尿素、バーミキュライト、パルチミン酸、ピネン、フタル酸、フマル酸、プロピオン酸、プロピレングリコール、ヘキサメチレンジアミン、ペクチン、ベヘン酸、ベンジルアルコール、ベンゾイン酸、ベンゾイン酸エステル、ベンゾグアナミン、ペンタエリスリトール、ベントナイト、ホウ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルアルコール、マイカ、マレイン酸、マレイン酸エステル、マレイン酸中和物、マロン酸、マンニトール、ミリスチン酸、メタクリル酸、メチルセルロース、ヤシ油、ユージノール、酪酸、リグノセルロース、リジン、リンゴ酸、リン酸、レシチン、ロジン、ワックス、これらの重合体、これらの共重合体等が挙げられる。
コーティング適性の観点から、コーティング剤中の亜鉛化合物の含有量は、1〜50wt%が好ましい。
コーティング剤の塗工方法としては、特に限定されず、例えば、前記した塗液1又は塗液2の塗工方法で挙げた方法と同じ方法が挙げられる。
コーティング剤の塗工後の乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、塗液1又は塗液2の塗工後の乾燥方法と同じ方法が挙げられる。乾燥条件も特に限定されない。乾燥温度は、40〜350℃が好ましく、45〜325℃がより好ましく、50〜300℃がさらに好ましい。乾燥時間は、0.5秒〜10分間が好ましく、1秒〜5分間がより好ましく、1秒〜1分間がさらに好ましい。
本発明の積層フィルムは、図5に例示した積層フィルム4であってもよい。図5における図1と同じ部分は同符合を付して説明を省略する。
積層フィルム4は、ガスバリアフィルム層10C、印刷インキ層20、接着層30及び熱可塑性樹脂層40がこの順に積層されている。ガスバリアフィルム層10Cは、基材フィルム11の印刷インキ層20側に、金属酸化物とリン化合物の反応物を含有するガスバリ
ア皮膜層14Bが積層された層である。金属酸化物とリン化合物の反応物を用いることで、基材フィルム11とガスバリア皮膜層14Bの密着性が向上し、それらの間でデラミネーションが起きることが抑制されやすくなる。
ガスバリア皮膜層14Bは、金属酸化物とリン化合物の反応物を含有する層の単層であってもよく、多層であってもよい。
なお、基材フィルム11/金属酸化物とリン化合物の反応物を含有するガスバリア皮膜層14Bの層構成の積層体をフィルム積層体Dとも称する。
金属酸化物を構成する金属原子としては、原子価が2価以上(例えば、2〜4価や3〜4価)の金属原子が挙げられる。具体的な金属原子としては、例えば、Mg、Ca、Zn、Al、Si、Ti、Zr等が挙げられる。特に、金属原子としてAlを用いることが好ましい。
金属原子の表面には、通常、水酸基が存在する。
金属酸化物は、加水分解可能な特性基が金属原子に結合した化合物を原料として用いて、これを加水分解縮合させることで、化合物の加水分解縮合物として合成することができる。
化合物を加水分解縮合させる方法としては、液相合成法、具体的にはゾルゲル法を採用することができる。
合成された金属酸化物は微小な粒子となる。金属酸化物の粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、扁平状、多面体状、繊維状、針状等の形状が挙げられる。粒子を繊維状又は針状の形状にすると、バリア性及び耐熱水性がさらに優れるので好ましい。
金属酸化物の粒子の大きさも特に限定されず、ナノメートルサイズからサブミクロンサイズのものが使用できる。バリア性と透明性により優れることから、金属酸化物の平均粒径は、1〜100nmが好ましい。
リン化合物は、例えばリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸及びそれらの誘導体のような、金属酸化物と反応可能な部位を1以上有するものである。反応可能な部位としては、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子が挙げられる。
これらハロゲン原子や酸素原子は、金属酸化物の表面に存在する水酸基と縮合反応(加水分解縮合反応)を起こすことで、結合することができる。
金属酸化物とリン化合物との反応物は、金属酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して結合された構造を有することができる。
具体的には、金属酸化物の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)と、リン化合物における金属酸化と反応可能な部位(例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子)とが縮合反応(加水分解縮合反応)を起こし、結合する。反応生成物は、例えば、金属酸化物とリン化合物とを含む塗液を基材の表面に塗工し、形成した塗膜を熱処理することにより得られる。金属酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して結合される反応を進行させる。
熱処理の温度は、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、140℃以上がさらに好ましく、170℃以上が特に好ましい。熱処理温度が下限値以上であれば、反応時間が短くなり、生産性が向上する。また、熱処理温度は、基材フィルム11の種類等によって異なるが、220℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましい。
熱処理は、空気中、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下等で実施することができる。熱処理の時間は0.1秒〜1時間が好ましく、1秒〜15分がより好ましく、5〜300秒がさらに好ましい。
ガスバリア皮膜層14Bには、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、でんぷん等の多糖類、多糖類から誘導される多糖類誘導体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、(ポリ)アクリル酸/メタクリル酸、及びそれらの塩、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体のけん化物等が含まれてもよい。
ガスバリア皮膜層14Bは、800〜1400cm−1の範囲における赤外線吸収スペクトルの赤外線吸収が最大となる波数が1080〜1130cm−1の範囲にあることが好ましい。
吸収ピークが、一般に各種の原子と酸素原子との結合に由来する吸収が見られる800〜1400cm−1の領域において最大吸収波数の吸収ピークとして現れる場合には、より優れたバリア性と耐熱水性が発現される。この要件を満たす金属酸化物を構成する金属原子としては、例えばAl等が挙げられる。
ガスバリア皮膜層14Bの厚さの上限は、4.0μmが好ましく、2.0μmがより好ましく、1.0μmがさらに好ましく、0.9μmが特に好ましい。ガスバリア皮膜層14Bを薄くすることによって、印刷、ラミネート等の加工時におけるガスバリアフィルム層10Cの寸法変化を低く抑えることができる。さらに、ガスバリアフィルム層10Cの柔軟性が増し、その力学的特性を、基材フィルム11自体の力学的特性に近づけることができる。
ガスバリア皮膜層14Bの厚さの下限は、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましい。
本発明の積層フィルムでは、前記したガスバリアフィルム層10,10A〜10Cのような態様のガスバリアフィルム層を採用することが好ましい。これにより、ガスバリアフィルム層内の密着強度を改善でき、より優れた耐熱性を有するガスバリアフィルム層とすることができる。そのため、内容物充填後にレトルト殺菌等の加熱処理を行う場合にも、ガスバリアフィルム層がレトルトインパクトに強く、加熱処理によっても性能が劣化しにくくなる。
本発明の印刷インキ層では、硬化剤としてカルボジイミドを使用することによって、水性化が可能となる。そのため、残留溶剤を低減させることが出来、臭気を抑えることが出来る。
[包装袋]
本発明の包装袋は、本発明の積層フィルムを製袋してなる包装袋である。本発明の包装袋は、本発明の積層フィルムを用いる以外は、公知の態様を採用することができる。本発明の包装袋としては、例えば、2枚の矩形の積層フィルムを熱可塑性樹脂層同士が接するように重ねてその四方をヒートシールした包装袋、矩形の積層フィルムを熱可塑性樹脂層同士が接するように二つ折りにしてその三方をヒートシールした包装袋等が挙げられる。また、矩形の積層フィルムを熱可塑性樹脂層が内側となるように筒状にし、両方の側端部の熱可塑性樹脂層同士を合わせてヒートシールして背貼り部を形成し、その上下をヒートシールして密封したピロー形状の包装袋としてもよい。また、底テープを挟みこんで底部を形成し、自立性を持たせたいわゆるスタンディングパウチ形状の包装袋や、マチを持たせたガゼット袋形状であってもよい。
本発明の包装袋は、本発明の積層フィルムを用いる以外は、公知の方法で製造することができる。
本発明の包装袋は、本発明の積層フィルムを用いていることから、生産性に優れているうえ、内容物耐性及びレトルト耐性に優れるため、揮発性物質を含む内容物を収容する場合や滅菌処理を施す場合であってもデラミネーションの発生が充分に抑制される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
ガスバリアフィルム層としてフィルム積層体Aを使用し、該フィルム積層体Aのガスバリア皮膜層側に表1にインキaとして示した構成の印刷インキ層をフレキソ印刷法により積層した後、その上に、接着層を形成する接着性樹脂として、樹脂イ(無水マレイン酸グラフト重合PP、融点:106℃、密度:0.89g/cm、MFR:12g/10min)を溶融押出し法により20μm厚みで全面に積層し、次いで、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、厚さ70μm、東レフィルム加工社製、商品名「ZK500」)の一方の表面にコロナ放電処理を施し、その処理面を接着層側にして貼り合せた後、熱ラミネート法により熱可塑性樹脂層として積層して積層フィルムを得た。
2枚の積層フィルムを、それらの熱可塑性樹脂層同士が接するように重ね合わせ、三方をヒートシールして横100mm×縦150mmサイズの包装袋を作製した。さらに、上方の開口部から、酢、油、食塩及び香辛料を含む調味料100gを充填し、上部をヒートシールして密封した。
ヒートシール条件は、シール温度を200℃、シール時間を1秒、シール圧力を0.2MPaとした。
[実施例2]
ガスバリアフィルム層としてフィルム積層体Bを使用して、表1にインキbとして示した構成の印刷インキ層をグラビア印刷法により積層し、接着層を形成する接着性樹脂として、樹脂ロ(無水マレイン酸グラフト重合PP、融点:133〜155℃、密度:0.89g/cm、MFR:8.2g/10min)とランダムコポリマーポリプロピレンFL02C(融点:138℃、密度0.89g/cm、MFR:18g/10min、日本ポリプロ社製)を溶融共押出し法により各10μm厚みで全面に積層した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。
[実施例3]
ガスバリアフィルム層としてフィルム積層体Cを使用し、接着層を形成する接着剤として、商品名「ユニストール R−300」(無水マレイン酸グラフト重合PP、融点:140℃、固形分濃度:18wt%、平均粒子径:10μm、三井化学社製)を用い、また接着剤の塗工量を1.5g/mとした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。
[実施例4]
ガスバリアフィルム層としてフィルム積層体Dを使用して、表1にインキcとして示した構成の印刷インキ層をグラビア印刷法により積層し、接着層を形成する接着剤として、商品名「ユニストール R−300」(無水マレイン酸グラフト重合PP、融点:140℃、固形分濃度:18wt%、平均粒子径:10μm、三井化学社製)を用い、また接着剤の塗工量を1.5g/mとした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。
[比較例1]
接着層を形成する接着剤として、ランダムコポリマーポリプロピレンFL02C(融点:140℃、密度0.89g/cm、MFR:18g/10min、日本ポリプロ社製)を溶融押出し法により10μm厚みで全面に積層した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。
[比較例2]
印刷インキ層として、表1にインキdとして示した構成の印刷インキ層をグラビア印刷法により全面に積層した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。
[変性PPの無水マレイン酸変性率定量分析]
変性PP試料のH−NMR、マレイン酸部位をメチルエステル化した後のH−NMR測定を行い、Hピーク面積の差から無水マレイン酸グラフト率をwt%単位で算出した。
[ラミネート強度の測定]
各例で得た積層フィルムから幅15mmの試験片を切り出し、引っ張り試験機を用い、JIS−K6854に準拠して、室温(20℃、30%RH)の条件で初期のラミネート強度を測定した。
[内容物耐性]
各例で得られた包装袋を室温(20℃、30%RH)の条件で半年間保存した後、該包装袋から幅15mmの試験片を切り出し、初期のラミネート強度と同様にして保存後のラミネート強度を測定した。
また、保存後の包装袋の外観を目視で確認し、デラミネーションの有無を確認した。デラミネーションが生じていないものを「○(良好)」、デラミネーションが生じているものを「×(不良)」とした。
[レトルト耐性]
各例で得られた包装袋を121℃、30分の条件でレトルト殺菌処理した後、該包装袋から幅15mmの試験片を切り出し、初期のラミネート強度と同様にして殺菌処理後のラミネート強度を測定した。
また、レトルト殺菌処理後の包装袋の外観を目視で確認し、デラミネーションの有無を確認した。デラミネーションが生じていないものを「○(良好)」、デラミネーションが生じているものを「×(不良)」とした。
[残留溶剤の測定]
印刷あがりの積層フィルムを100mm×100mmに切り出し、ガスクロマトグラフィー/質量分析装置を用い、追い出し条件80℃、20分で測定した。
各例の評価結果を表1に示す。
Figure 2020049679
表1に示すように、印刷インキ層を構成するインキの主要構成樹脂として、ウレタン樹脂を使用することにより、接着強度が改善されることを確認した。
また、隣接する接着層としては、無水マレイン酸グラフトPPとの組合せにより、接着強度が発現されることを確認、包装袋の内容物耐性及びレトルト耐性が優れていた。
またインキ層の溶媒に水性溶媒を使用した実施例1、3では、残留溶剤量をさらに少なくでき、より好ましい結果であった。
一方、接着層として印刷インキ層に隣接する樹脂層が無水マレイン酸グラフトPPではな
く、一般のPPを使用した比較例1では、接着強度が劣っており、また包装袋の内容物耐性及びレトルト耐性も不充分であった。また、印刷インキ層を構成するインキの主要構成樹脂として塩酢ビ系を使用した比較例2では、接着性が不足となった。
1〜4・・・積層フィルム
10、10A〜10C・・・ガスバリアフィルム層
11、11A・・・基材フィルム
12・・・プライマー層
13・・・酸化金属蒸着層
14、14A、14B・・・ガスバリア皮膜層
20・・・印刷インキ層
30・・・接着層
40・・・熱可塑性樹脂層

Claims (9)

  1. ガスバリアフィルム層、印刷インキ層、接着層、熱可塑性樹脂層の各層を順次積層してなる積層フィルムであり、前記接着層が無水マレイン酸グラフト重合ポリプロピレンを主成分とする層であり、前記印刷インキ層が、顔料、ウレタン樹脂、硬化剤及び溶媒を含むインキで印刷された層であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記無水マレイン酸グラフト重合ポリプロピレンの無水マレイン酸グラフト率が、0.1wt%以上1.0wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記硬化剤がカルボジイミドであり、前記溶媒が水系溶媒であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記ガスバリアフィルム層が、基材フィルムと、プライマー層と、酸化金属蒸着層と、ガスバリア皮膜層とが、この順で前記接着層側に向かって積層された層であり、
    前記ガスバリア皮膜層が、一般式
    Si(OR ・・・(1)
    で表されるケイ素化合物及びその加水分解物のうち1つと、一般式
    (RSi(OR ・・・(2)
    で表されるケイ素化合物及びその加水分解物のうち1つと、
    (但し、一般式(1)及び(2)中、R、RはCH、C、又はCOCHのいずれかであり、Rは有機官能基を表し、mは1以上)
    水酸基を有する水溶性高分子と、を含有する塗布液を塗布、乾燥してなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記ガスバリアフィルム層が、基材フィルムと、プライマー層と、酸化金属蒸着層と、ガスバリア皮膜層とが、この順で前記接着層側に向かって積層された層であり、
    前記プライマー層が、3官能オルガノシラン及びその加水分解物からなる群から選ばれる1種以上と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物との複合物を含有する層であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記ガスバリアフィルム層が、基材フィルムと、酸化金属蒸着層と、ガスバリア皮膜層とが、この順で前記接着層側に向かって積層された層であり、前記基材フィルムの前記酸化金属蒸着層側の面がプラズマ処理されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 前記ガスバリアフィルム層が、基材フィルムの前記接着層側に、ポリカルボン酸系重合体を含有するガスバリア皮膜層が積層された層であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 前記ガスバリアフィルム層が、基材フィルムの前記接着層側に、金属酸化物とリン化合物との反応物を含有するガスバリア皮膜層が積層された層であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の積層フィルムを用いてなる包装袋。
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