(第一の実施形態)
以下に図面を参照して、第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の検眼装置のブロック図である。
本実施形態の検眼装置100は、投影部10、制御部30、検出器40、及び操作部41を備える。投影部10は、光源11、調整部12、分光部13、画像投影光学系14、赤外光光学系15、駆動回路16、及び入力回路17を備える。画像投影光学系14は走査部20を有し、赤外光光学系15は走査部22を有する。走査部20及び22(スキャナ)は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーなどの走査ミラー又は透過型のスキャナである。制御部30は、駆動制御部31、信号処理部32、画像生成部33及び記憶部34を備える。
駆動制御部31は、網膜に投影する画像の生成などを行う。入力回路17には、駆動制御部31から画像信号が入力する。駆動回路16は、入力回路17が取得した画像信号及び駆動制御部31の制御信号に基づき光源11と走査部20及び22を駆動する。
光源11は、例えば赤色レーザ光(波長:610nm〜660nm程度)、緑色レーザ光(波長:515nm〜540nm程度)、及び青色レーザ光(波長:440nm〜480nm程度)の可視光線と、赤外レーザ光(波長:850nm程度)である不可視光線と、を出射する。すなわち、光源11は、1つのモジュール内に、赤色レーザ光、緑色レーザ光、青色レーザ光、及び赤外レーザ光それぞれのレーザダイオードチップを有する。尚、光源11は、可視光線として単一の波長のレーザ光を出射してもよい。
調整部12は、コリメートレンズ、トーリックレンズ、及び/又はアパーチャなどを有しており、光源11が出射したレーザ光Lを成型する。レーザ光Lは、赤色レーザ光、緑色レーザ光、青色レーザ光、及び/又は赤外レーザ光が合成された光線であり、それぞれのレーザ光の光軸が一致している。分光部13は、例えばダイクロイックミラーであり、レーザ光Lを、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光の可視レーザ光Laと、赤外レーザ光Lbと、に分光する。画像投影光学系14は、分光部13で分光された可視レーザ光Laを走査部20によって2次元に走査して被検者の眼70に照射する。赤外光光学系15は、分光部13で分光された赤外レーザ光Lbを走査部22によって2次元に走査して被検者の眼70に照射するもので、一例として、従来の走査型レーザ検眼鏡(SLO)の機能の一部を実現するものである。
検出器40は、例えばアバランシェフォトダイオードなどのフォトディテクターであり、被検者の眼70で反射した赤外レーザ光Lbを検出する。反射した赤外レーザ光Lbが検出器40に到達するまでの経路については図2を用いて後述する。信号処理部32は、駆動制御部31からの制御信号に基づき検出器40の出力信号を処理する。画像生成部33は、信号処理部32が処理した信号に基づき2次元の画像を生成する。
記憶部34は、画像生成部33が生成した2次元の画像を表す画像データを記憶する。操作部41は、例えば、シャッターボタン等であり、画像生成部33が生成した2次元の画像を表す画像データをキャプチャして記憶部34に格納するタイミングを決定する。尚、操作部41は、複数の操作部材を含んでいても良い。
検出器40及び信号処理部32は、駆動回路16からの同期信号に基づき、光源11が赤外レーザ光Lbを出射したタイミングで検出を開始する。
駆動制御部31、信号処理部32、及び画像生成部33は、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサがプログラムと協働し処理を行ってもよい。駆動制御部31、信号処理部32、及び画像生成部33は、専用に設計された回路でもよい。駆動制御部31、信号処理部32、及び画像生成部33は、1つの回路でもよいし、異なる回路でもよい。
図2は、第一の実施形態の検眼装置の光学系を示す図である。図2のように、本実施形態の検眼装置100は、マクスウェル視を利用して、被検者の網膜74にレーザ光を照射する。光源11が出射したレーザ光Lは、調整部12において開口数(NA)及び/又はビーム径が調整される。レーザ光Lは、分光部13において赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光の可視レーザ光Laと、赤外レーザ光Lbと、に分光される。分光部13は、例えば可視レーザ光Laを透過し、赤外レーザ光Lbを反射するダイクロイックミラーである。尚、分光部13は、ダイクロイックミラーに限らず、ダイクロイックプリズムなど、その他の光学素子であってもよい。
可視レーザ光Laは、平面ミラー21で反射し、走査部20により2次元に走査される。走査された可視レーザ光Laは、レンズ25、合成部26、及びレンズ27を介し、被検者の眼70に照射する。可視レーザ光Laは、水晶体72近傍で収束し、硝子体76を通過し網膜74に照射する。これにより、網膜74に画像が投影される。走査部20は、例えば、1秒間に60フレームの画像が投影されるような28kHzなどの比較的高い周波数で振動する。
赤外レーザ光Lbは、平面ミラー23で反射し、走査部22により2次元に走査される。走査された赤外レーザ光Lbは、レンズ24、合成部26、及びレンズ27を介し、被検者の眼70に照射する。赤外レーザ光Lbは、水晶体72近傍で収束し、硝子体76を通過し網膜74に照射する。赤外レーザ光Lbは網膜74で反射する。反射した赤外レーザ光Lbは、赤外レーザ光Lbが網膜74に向かって進んできた光路を戻る。すなわち、反射した赤外レーザ光Lbは、レンズ27、合成部26、レンズ24、走査部22、平面ミラー23、及び分光部13の順に赤外レーザ光Lbが網膜74に向かって進んできた光路を戻り、ハーフミラー43及びレンズ44を介して検出器40に入射する。これにより、検出器40は、網膜74で反射した赤外レーザ光Lbを検出する。検出器40による赤外レーザ光Lbの輝度変化などの検出結果によって、眼70の眼底の状態の検出(眼底の状態情報の取得)を行うことができ、その検出対象の一例として眼底画像を取得することができる。走査部22は、赤外レーザ光Lbによる眼70の眼底の状態の検出が実現できるよう、例えば1秒間に25フレームの画像が投影される場合に相当するような12.5kHzなどの比較的低い周波数で振動する。
この赤外レーザ光Lbは、2次元の眼底画像を取得するために、網膜上を走査しながら投影されるが、不可視光であるために、被検者に赤外レーザ光Lbを視認させずに、眼底画像を取得できる。
本実施形態において、走査部20による可視レーザ光Laの走査角度と走査部22による赤外レーザ光Lbの走査角度は例えば略同じ大きさである。合成部26は、例えばダイクロイックミラーであり、走査部20で走査された可視レーザ光Laと走査部22で走査された赤外レーザ光Lbとを合成する。可視レーザ光Laと赤外レーザ光Lbは、合成部26で合成された後において光軸が一致している。尚、合成部26は、ダイクロイックミラーに限らず、ダイクロイックプリズムなど、その他の光学素子であってもよい。
尚、本実施形態では、画像投影光学系14、赤外光光学系15のそれぞれが、走査部を有する構成としたが、これに限定されない。画像投影光学系14、赤外光光学系15は、共通の走査部(MEMS)を用いても良い。
次に、図3を参照して、本実施形態の検眼装置100の外観を説明する。図3は、第一の実施形態の検眼装置の外観を説明する図である。
図3(A)は、検眼装置の正面図であり、図3(B)は、検眼装置を正面側から見た斜視図であり、図3(C)は、検眼装置を背面側から見た斜視図である。
本実施形態の検眼装置100は、筐体101と、前面パネル102とを有する。前面パネル102は、被検者の眼球にレーザ光を照射するための孔103が形成されている。
本実施形態の検眼装置100は、前面パネル102に形成された孔103を、被検者が片眼で覗き込むようして、利用される。つまり、本実施形態の検眼装置100は、片眼用の検眼装置である。
筐体101は、背面パネル104と、断面が角丸長方形状(一対の円弧形状部(円周面部)と、互いに平行な一対の直線形状部(平面部)とからなる)となる筒状のケース105とを含む。ケース105は、一対の平面部105a、105bと、一対の円周面部105c、105dとを有する。
ケース105は、一方の開口部に背面パネル104が取り付けられ、他方の開口部の内側に前面パネル102が取り付けられている。また、ケース105の前面パネル103側の開口部は、縁が曲線となっており、且つ、窪み106、107が形成されている。
本実施形態の検眼装置100では、このような形状とすることで、被検者が検眼装置100を手に持って自身の顔に近づけ、孔103を覗き込んだときに、窪み106、107に被検者の鼻がはまるようになり、被検者の顔面に検眼装置100をフィットさせることができる。
また、ケース105の平面部105aには操作部材108が設けられ、平面部105bには操作部材109が設けられている。平面部105bにおける操作部材109の位置は、例えば、平面部105aの上下を反転させたときの操作部材108の位置と対応する位置であっても良い。操作部材108及び109は、被検者の眼底画像を撮像するための操作部材である。
また、本実施形態の検眼装置100では、筐体101内に、被検者の眼底(網膜)の画像を撮像するための赤外光光学系(不可視光投影部)15と、撮像した被検者の眼底の画像をこの被検者の網膜に投影する画像投影光学系(可視光投影)14と、を含む投影部10が格納される。
本実施形態の検眼装置100は、被検者が孔103を覗いている状態において、被検者の網膜に不可視光を照射し、その反射光を検出して被検者の網膜の画像の画像データを取得する。以下の説明では、被検者の網膜の画像を、被検者の眼底画像と呼び、眼底画像を示す画像データを眼底画像データと呼ぶ。
検眼装置100は、被検者の眼底画像データを取得すると、投影部10により、眼底画像データに基づく可視光を被検者の網膜に照射し、取得した眼底画像を被検者の網膜に投影する。つまり、本実施形態の検眼装置100では、被検者に対して、現在の自身の眼底画像を見せる。
検眼装置100は、被検者の網膜に眼底画像を投影している状態で、操作部材108又は操作部材109の何れかが操作されると、その時点で被検者の網膜に投影されている眼底画像の眼底画像データをキャプチャし、保存する。言い換えれば、検眼装置100は、眼底画像を撮像し、眼底画像データを取得する。
具体的には、検眼装置100は、図3に示すように平面部105aを上面とした状態で操作部材108が操作されると、被検者の右眼の眼底画像を撮像する。また、検眼装置100は、平面部105bを上面とした状態で操作部材109が操作されると、被検者の左眼の眼底画像を撮像する。
本実施形態では、このように、被検者の網膜に現在の自身の眼底画像を投影することで、被検者に自身の眼底画像を視認させて、眼底画像が適切に撮像されているか否かを、検眼装置100を目から離さずに、リアルタイムに確認することができる。
以下に、図4及び図5を参照して、本実施形態における適切な眼底画像について説明する。図4は、不可視光を走査して撮像した、適切な眼底画像の例を示す図である。
本実施形態の検眼装置100は、この眼底画像401を、可視光で網膜に投影させる。このとき、被検者の眼球に対する検眼装置100の位置や、被検者の視線方向によって、眼底画像401が適切に投影されないことがある。
以下にその例を示す。図5は、被検者が視認している眼底画像の例を示す第一の図である。
図5(A)の例では、被検者の視野501内で、投影された眼底画像502が中心からずれて(偏心して)おり、かつ一部が欠けている。
本実施形態では、この眼底画像502を被検者が視認して、視野の中央部に位置するように検眼装置100を、上下左右前後に移動させ、図5(B)に示すように、眼底画像502が視野のほぼ中央に位置しているときに、操作部材108又は109を操作することで、適切な眼底画像が撮像されることになる。
つまり、本実施形態の検眼装置100によれば、被検者が、自身で、検眼装置100の投影部と眼球との位置関係を調整することができる。
例えば、本実施形態では、被検者は、自身の眼底画像を見ながら、検眼装置100の持ち方や角度等を少しずつ変えていき、見えている眼底画像が、視野のほぼ中央に位置したときに、操作部材108又は109を操作すれば良い。
したがって、本実施形態によれば、被検者が、眼底画像全体が視野の中央部分に見えるように、検眼装置と被検者の眼球との位置合わせを行って、眼底画像を撮像することで、検査員が不要となる。
尚、眼底画像が視野の中央かどうかの判断がしにくい場合も想定される。そこで、本実施形態では、図6に示すように、検眼装置100が撮像した眼底画像の周囲に、眼底画像の視認指標となる画像を重ねて、被検者の網膜に投影しても良い。
図6は、被検者が視認している眼底画像の例を示す第二の図である。本実施形態では、眼底画像502の周囲に視認の指標Jを示す画像を重畳させる。指標Jは、例えば、眼底画像502の周囲に4つ設けられても良い。
被検者は、この4つの指標Jがそれぞれ同等に視認できるように、検眼装置100の位置を調整することで、検眼装置100が投影する眼底画像502を視野の中央部分で視認できるようになる。
視野の周辺部の視力は、中央部分の視力よりも低下する。図6では、このことを利用している。つまり、4つの指標Jが同等に視認できないということは、図6(A)に示すように、4つの指標Jが視野の中央部分から一定の範囲内に存在しておらず、眼底画像502が視野の中央部分に位置していないことを示す。
これに対し、図6(B)に示すように、4つの指標Jが同等に視認できる場合とは、4つの指標Jが視野の中央部分から一定の範囲内に存在しており、眼底画像502が視野の中央部分に位置していることを示す。
また、本実施形態の検眼装置100は、被検者が持ち運ぶことができる大きさであり、且つ、被検者が孔103を覗くようにすることで、ケース105によって被検者の視界を覆うことができるため、どのような場所であっても、適切な眼底画像を被検者自身が撮像することができる。つまり、本実施形態の検眼装置100を用いることで、被検者は、自宅や職場、病院の待合い室等といった任意の場所で、自身の眼底画像を簡単に撮像することができる。
この眼底画像を示す眼底画像データは、例えば、遠隔診断を受けるために、インターネット等を介して医師が使用する端末等に送信されても良い。
このように、本実施形態によれば、不可視光を走査して撮像された眼底画像を、可視光で網膜へ投影することで、撮像された眼底画像が適切なものであるどうかを被検者自ら判断でき、被検者に、その投影された位置を調整させることで、被検者自身に適切な眼底画像を撮像させることができる。
次に、図7を参照して、本実施形態の制御部30の機能について説明する。図4は、第一の実施形態の制御部の機能を説明する図である。
本実施形態の制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置である。
本実施形態の制御部30は、赤外光制御部131、画像データ取得部132、投影制御部133、操作受付部134を有する。
赤外光制御部131は、赤外光光学系15を制御する。具体的には、赤外光制御部131は、赤外光光学系15の走査部22を制御して、赤外レーザ光Lbによる被検者の網膜の走査を行う。また、赤外光制御部131は、赤外光光学系15が走査した赤外レーザ光Lbの反射波から画像生成部33が生成した眼底画像データを記憶部34に保持させる。
画像データ取得部132は、操作受付部134により、操作部材108又は109に対する操作が受け付けられると、このとき記憶部34に保持されている眼底画像データを検査結果として取得する。
言い換えれば、画像データ取得部132は、操作部材108又は109に対する操作が行われた時点で、記憶部34に保持されていた眼底画像データをキャプチャし、検査結果画像データとして取り込む。検査結果画像データは、画像データ取得部132が、保持していても良いし、記憶部34に検査結果画像データとして格納されても良い。
投影制御部133は、記憶部34に保持されている眼底画像データに基づき、画像投影光学系14の走査部20を走査させ、眼底画像を被検者の網膜に投影させる。
操作受付部134は、操作部材108又は109に対して操作が行われたことを検出する。具体的には、操作部材108、109は、例えば、シャッターボタンであっても良く、操作受付部134は、シャッターボタンが押下されたことを検出する。つまり、本実施形態の操作部材108、109は、眼底画像をキャプチャするタイミングを指示する操作部41である。
次に、図8を参照して、本実施形態の検眼装置100の動作について説明する。図8は、第一の実施形態の検眼装置の動作を説明するフローチャートである。
本実施形態の検眼装置100において、光源11から照射され、分光部13で分光された不可視光50bは、走査部22で走査されて網膜74に照射され、網膜74で反射した不可視光を検出器40で検出し、画像生成部33で網膜の眼底画像データを生成する(ステップS801)。
続いて、検眼装置100は、画像生成部33で生成された眼底画像データを記憶部34に一時的に保持させる(ステップS802)。尚、記憶部34に保持される眼底画像データは、画像生成部33が新たな眼底画像データを取得する度に上書されて良い。
続いて、検眼装置100は、制御部30により、記憶部34に保持された眼底画像データを読みだして、画像投影光学系14を制御して、眼底画像を被検者の網膜に投影させる(ステップS803)。つまり、ステップS803では、被検者に、自身の現在の眼底の状態を示す眼底画像を視認させている。
次に、検眼装置100は、制御部30の操作受付部134により、操作部材108又は109の操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS804)。具体的には、検眼装置100は、シャッターが押されたか否かを判定している。
ステップS804において、シャッターボタンが押されていない場合、検眼装置100は、ステップS801へ戻る。
ステップS804において、シャッターボタンが押された場合、検眼装置100は、制御部30の画像データ取得部132により、シャッターボタンが押された時に、記憶部34に格納されていた眼底画像データを取得する(ステップS805)。つまり、ここで取得される眼底画像データは、シャッターボタンが押されたときに被検者の網膜に投影されていた眼底画像をキャプチャした画像データである。
続いて、検眼装置100は、画像データ取得部132により取得した眼底画像データを、被検者の検査結果として、記憶部34に格納し(ステップS806)、処理を終了する。尚、画像データ取得部132は、取得した眼底画像データに、検眼装置100を識別するために検眼装置100に予め割り当てられている装置ID等を対応付けて、記憶部34に格納することで、この眼底画像データを検査結果としても良い。
また、本実施形態では、シャッターボタンが押されたときに一時的に記憶部34に保持されていた眼底画像データを、そのまま、上書されないようにすることで、検査結果としても良い。
このように、本実施形態では、被検者が自分の眼底画像を視認しながら検眼装置100と自分の眼球との位置関係を調整し、被検者によって、眼底画像の画質が適切であると判断された場合に、シャッターボタンが操作され、検査結果としての眼底画像データが取得される。
したがって、本実施形態によれば、眼底画像を撮像するための第三者(検査員等)の補助が不要となり、被検者自身に、適切な画質の眼底画像を撮像させることができる。
また、本実施形態の検眼装置100は、外部に接続される装置と通信する通信機能を有しており、検査結果として取得された眼底画像データを外部装置へ出力しても良い。さらに、本実施形態の検眼装置100は、例えば、ネットワークと接続して通信を行う機能を有しており、検査結果として取得した眼底画像データを、検眼装置100の装置IDと共に、医療機関の端末等に送信しても良い。
さらに、本実施形態の検眼装置100では、検眼装置100の使用者を特定する使用者ID等が予め格納されていても良く、検査結果として取得された眼底画像データと、使用者IDとが対応付けられて、医療機関の端末等の外部装置へ送信されても良い。
尚、本実施形態では、例えば、図8のステップS801において、被検者の眼底画像データの取得を開始する前に、被検者の網膜に、眼底画像の見本を投影しても良い。眼底画像の見本とは、診断において要求される画質の眼底画像である。
このように、眼底画像の見本を事前に被検者に視認させることで、被検者が自身で自分の眼底画像を撮像する際に、どの程度の画質の画像を撮像すれば良いか、把握させることができる。尚、眼底画像の見本を示す画像データは、予め記憶部34等に保持されていても良い。
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、前面パネルに左右の目のそれぞれに対応する2つの孔を形成し、赤外光光学系15と画像投影
光学系14をそれぞれの孔に対応して2つずつ設けている点が第一の実施形態と相違する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図9は、第二の実施形態の検眼装置の外観を説明する図である。図9(A)は、検眼装置の正面図であり、図9(B)は、検眼装置を正面側から見た斜視図であり、図9(C)は、検眼装置を背面側から見た斜視図である。
本実施形態の検眼装置100Aは、筐体101Aと前面パネル102Aとを有する。前面パネル102Aには、被検者の左右の目と対応する孔103Lと孔103Rとが形成されており、筐体101Aの内部には、孔103Lと対応する投影部10と、孔103Rと対応する投影部10とが格納されている。
つまり、本実施形態の検眼装置100Aは、被検者の左右の目と対応させた、2つの投影部10を有する。
本実施形態の筐体101Aは、背面パネル104と、ケース105Aとをから形成されている。ケース105Aは、平面部105a1、105bとの円周面部105c、105dとを有する。
本実施形態のケース105Aにおいて、平面部105a1には、窪み106は形成されておらず、平面部105bにのみ、窪み107が形成されている。
また、本実施形態のケース105Aにおいて、平面部105a1には、操作部材108Lと操作部材108Rと、スライドスイッチSWとが形成されている。
操作部材108Lは、孔103Lと対応する位置に形成されており、操作部材108Rは、孔103Rと対応する位置に形成されている。つまり、本実施形態では、検眼装置100Aを、平面部105a1が上面となるように被検者が装着した場合に、被検者の左目側に操作部材108Lが配置され、被検者の右目側に操作部材108Rが配置されることになる。
スライドスイッチSWは、図9の例では、平面部105a1上に形成されるものとしたが、これに限定されず、ケース105において任意の位置に形成されても良い。
スライドスイッチSWは、筐体101Aに格納された2つの投影部10のうち、駆動させる方の投影部10を選択するためのスイッチである。
例えば、スライドスイッチSWが、操作部材108L側にオンされている場合には、孔103Lと対応する投影部10が駆動し、孔103Lからレーザ光が照射される。つまり、この場合には、検眼装置100Aは、被検者の左目の眼底画像を撮像したり、被検者の左目に眼底画像を投影させたりする。
また、例えば、スライドスイッチSWが、操作部材108R側にオンされている場合には、孔103Rと対応する投影部10が駆動し、孔103Rからレーザ光が照射される。つまり、この場合には、検眼装置100Aは、被検者の右目の眼底画像を撮像したり、被検者の右目に眼底画像を投影させたりする。
このように、本実施形態では、被検者の左右のどちらの目の眼底画像を撮像するか、又、被検者のどちらの目に眼底画像を投影させるか、を選択することができる。
次に、図10を参照して、本実施形態の検眼装置100Aについて説明する。図10は、第二の実施形態の検眼装置のブロック図である。
本実施形態の検眼装置100Aは、投影部10L、投影部10Rと、検出器40L、検出器40Rと、制御部30Aと、操作部41と、を有する。
本実施形態の投影部10Lは、前面パネル102Aの孔103Lから照射されるレーザ光を出力し、投影部10Rは、前面パネル102Aの孔103Rから照射されるレーザ光を出力する。
投影部10Lは、光源11L、調整部12L、分光器13L、画像投影光学系14L、赤外光光学系15L、駆動回路16L、入力回路17Lを有する。投影部10Rは、光源11R、調整部12R、分光器13R、画像投影光学系14R、赤外光光学系15R、駆動回路16R、入力回路17Rを有する。投影部10L、10Rの有する各部は、第一の実施形態と同様であるから、説明を省略する。
検出器40Lは、赤外光光学系15Lによって、赤外レーザ光Lbを走査して被検者の眼70に照射し、その反射波を検出する。検出器40Rは、赤外光光学系15Rによって、赤外レーザ光Lbを走査して被検者の眼70に照射し、その反射波を検出する。
制御部30Aは、被検者の操作に応じて、投影部10L又は投影部10Rを制御する。
尚、図10の例では、投影部10L、10Rのそれぞれが光源11L、11Rを有する構成としているが、これに限定されない。光源は、投影部10Lと投影部10Rとに共通のものとしても良い。
以下に図11を参照して、本実施形態の制御部30Aの機能について説明する。図11は、第二の実施形態の制御部の機能を説明する図である。
本実施形態の制御部30Aは、赤外光制御部131A、画像データ取得部132、投影制御部133A、操作受付部134A、選択部135を有する。
赤外光制御部131Aは、操作受付部134Aが受け付けた操作に応じて、赤外光光学系15L又は赤外光光学系15Rの何れか一方の走査部22を制御する。
投影制御部133Aは、操作受付部134Aが受け付けた操作に応じて、画像投影光学系14L又は画像投影光学系14Rの何れか一方の走査部20を制御する。
操作受付部134Aは、スライドスイッチSWに対する操作と、操作部材108L、108Rに対する操作と、を受け付ける。
選択部135は、スライドスイッチSWの操作に応じて、駆動させる投影部を選択する。具体的には、選択部135は、スライドスイッチSWが操作部材108L側にオンされていた場合は投影部10Lを選択して駆動させ、スライドスイッチSWが操作部材108R側にオンされていた場合は投影部10Rを選択して駆動させる。
次に、図12を参照して、本実施形態の検眼装置100Aの動作について説明する。図12は、第二の実施形態の検眼装置の動作を説明するフローチャートである。
検眼装置100Aにおいて、操作受付部134Aは、被検者によるスライドスイッチSWの操作により、左右の何れか一方の選択を受け付ける(ステップS1201)。以下の説明では、スライドスイッチSWが左側にオンされていたものとして、説明する。
続いて、検眼装置100Aは、選択部135により、選択された方の投影部10Lを駆動させ、赤外光光学系15Lによって、不可視光で被検者の左目の網膜を走査し、検出器40Lにより反射光を検出して、画像生成部33により眼底画像データを生成する(ステップS1202)。
続いて、検眼装置100Aは、画像生成部33により生成された眼底画像データを記憶部34に一時的に保持させる(ステップS1203)。
続いて、検眼装置100Aは、制御部30Aにより、記憶部34に保持された眼底画像データを読みだして、選択された投影部10Lの有する画像投影光学系14Lを制御して、眼底画像を被検者の左目の網膜に投影させる(ステップS1204)。つまり、ステップS1204では、被検者に、自身の現在の左目の眼底の状態を示す眼底画像を視認させている。
図12のステップS1205からステップS1207の処理は、図8のステップS804からステップS806の処理と同様であるから、説明を省略する。
このように、本実施形態によれば、被検者は、検眼装置100Aの上下を反転させることなく、左右の目のうち、選択した方の目の眼底画像を撮像することができる。
また、本実施形態の検眼装置100Aでは、例えば、左右の目のうち、一方の目の眼底画像データを取得した後に、他方の目の網膜に、取得した眼底画像データに基づく眼底画像を投影させることもできる。
例えば、被検者の左目の網膜に何らかの疾患があり、左目の網膜に、左目の眼底画像を投影させても、被検者がこの眼底画像を視認できない、といった場合が有り得る。このような場合には、左目の眼底画像を、右目の網膜に投影させることで、被検者は、自身の左目の眼底画像を右目で視認することができる。
本実施形態の検眼装置100Aでは、投影部10Lと投影部10Rの何れか一方の投影部で被検者の左右の何れかの一方の目の眼底画像データを取得し、他方の投影部で被検者の他方の目に眼底画像データが示す画像を投影させれば良い。
以下に、図13を参照して、眼底画像を撮像する方の目と、眼底画像を投影する方の目とが異なる場合の検眼装置100Aの動作について説明する。
図13は、第二の実施形態の検眼装置の他の動作を説明するフローチャートである。
図13のステップS1301からステップS1303までの処理は、図12のステップS1201からステップS1203までの処理と同様であるから、説明を省略する。
ステップS1303において、眼底画像データが記憶部34に保持されると、検眼装置100Aは、制御部30Aの操作受付部134Aにより、眼底画像を投影する側の選択を受け付けたか否かを判定する(ステップS1304)。ステップS1304において、選択を受け付けない場合、検眼装置100Aは、ステップS1302へ戻る。
ステップS1304において、選択を受け付けた場合、検眼装置100Aは、選択部135により、選択された方の投影部の有する画像投影光学系により、記憶部34に保持された眼底画像データに基づく眼底画像を投影させる(ステップS1305)。
具体的には、制御部30Aは、操作受付部134が選択する操作を受け付けると、選択部135により、操作に応じた側の投影部110L又は投影部110Rを選択する。そして、制御部30Aは、選択された投影部の有する画像投影光学系14の走査部20を、記憶部34に保持された眼底画像データにより制御して、眼底画像データが示す眼底画像を被検者の網膜に投影させる。
次に、検眼装置100Aは、制御部30Aの操作受付部134Aにより、操作部材108L又は108Rの操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS1306)。具体的には、検眼装置100Aは、シャッターが押されたか否かを判定している。
ステップS1306において、シャッターボタンが押されていない場合、検眼装置100Aは、ステップS1301へ戻る。
ステップS1106において、シャッターボタンが押された場合のステップS1307とステップS1308の処理は、図8のステップS805とステップS806と同様であるから、説明を省略する。
このように、本実施形態では、被検者の一方の目の眼底画像を、他方の目の網膜に投影させることができる。したがって、本実施形態によれば、例えば、片方の目になんらかの疾患がある場合等においても、被検者に、疾患がある側の適切に眼底画像を撮像させることができる。
尚、図13の例では、眼底画像を撮像する側を選択し、次に、投影する側を選択する処理となっているが、これに限定されない。本実施形態では、眼底画像を撮像する側と、眼底画像を投影する側を事前に選択しておき、眼底画像データの取得と、眼底画像の投影とを並列に行っても良い。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態にあげた構成、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。