(第一の実施形態)
以下に図面を参照して第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の視野視力検査装置の外観を示す図である。
本実施形態の視野視力検査装置100は、台座101、フレーム102、調整部材103、104、基部105、支持部106a、106b、画像投影部107a、107b、撮像部180a、180bを有する。
本実施形態の視野視力検査装置100において、基部105の上に台座101が設けられており、フレーム102は、両端が基部105の上面に固定されている。
画像投影部107a、107bは、支持部106a、106bによって支持されており、内部に、後述するレーザ照射部と、駆動部とを有する。画像投影部107a、107bは、それぞれが有するレーザ照射部によって、視野や視力を検査する被験者の左眼と右眼に対し、レーザ光を照射し、被験者の網膜に検査用画像を投影させる。
撮像部180a、180bは、検査中の被験者の眼球の動きを検出するために、被験者の右眼、左眼それぞれの眼球の画像を撮像するカメラである。
以下の説明では、画像投影部107aと画像投影部107bとを区別しない場合には、画像投影部107と呼び、支持部106a、106bを区別しない場合には、支持部106と呼び、撮像部180a、180bを区別しない場合には撮像部180と呼ぶ。
調整部103は、画像投影部107が支持された支持部106を、紙面に示すY軸方向に移動させる。調整部104は、画像投影部107を支持部106に沿ってZ軸方向に移動させる。
視野視力検査装置100は、台座101とフレーム102のそれぞれに被験者の顎と額とを接触させ、調整部103、104によって、被験者が画像投影部107を覗くような状態となるように、画像投影部107を眼球に近づけた状態で検査が行われる。
また、本実施形態の視野視力検査装置100では、撮像部180によって撮像された被験者の眼球の画像から被験者の眼球の動きを検出することによって被検者の視線方向を検出し、画像投影部106内において、駆動部により、レーザ照射部を被験者の眼球の動き(視線方向)に合わせて動かす。より具体的には、本実施形態では、被験者の眼球が検査中に動いた場合に、レーザ照射部から照射されるレーザ光が、被験者の瞳孔を通過するように、駆動部によってレーザ照射部を移動させ、レーザの照射位置を変更させる。
したがって、本実施形態によれば、網膜走査型の視野視力検査装置において、レーザ光が被験者の瞳孔を通過せず、検査用画像が投影されなくなる、といったことを抑制できる。言い換えれば、本実施形態によれば、被験者の視線が、注視点等が示す一方向を向いていない場合であっても、レーザ光を被験者の瞳孔に通すことができ、被験者の視線の方向に影響されずに検査を行うことができる。
以下に、図2を参照して、視野視力検査装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、第一の実施形態の視力検査装置のハードウェア構成を説明する図である。
本実施形態の視野視力検査装置100は、レーザ投影部110、通信部120、制御部130、記憶部140、レーザ出力制御部150、駆動部160、操作部170、撮像部180を有する。
レーザ投影部110は、記憶部140に格納された検査用画像データに基づくレーザ光を、予め設定された光量で被験者の網膜に照射する。すなわち、レーザ投影部110は被験者にとっての接眼部であり、このレーザ投影部110に眼を当てる(レーザ投影部110を覗き込む)ことによって、被験者は網膜に投影された検査用画像などを視認し、視野検査や視力検査を行うことができる。
通信部120は、視野視力検査装置100と、外部装置との通信を行うための通信装置である。具体的には、例えば、通信部120は、ネットワーク等を介して医療機関に設けられた端末等と通信を行っても良いし、視野視力検査装置100と有線等で接続された装置と通信を行っても良い。尚、通信部120による通信の方式は、視野視力検査装置100と外部装置とが通信を行うことができれば、どのような方式であっても良い。
また、本実施形態では、操作部170の操作によって入力された検査結果を示す情報等を、通信部120を介して視野視力検査装置100の外部の装置に出力しても良い。
制御部130は、例えば、演算処理装置等であり、本実施形態の視野視力検査装置100の動作の全体を制御する。記憶部140は、制御部130により実行されるプログラムや、演算により取得された各種の値等を格納する。また、記憶部140は、検査に用いられる検査用画像を示す検査用画像データを格納する。
レーザ出力制御部150は、レーザ投影部110を制御するための演算処理装置等であっても良く、例えば、記憶部140に格納された検査用画像データに基づくレーザ光を、設定された光量で、レーザ投影部110から照射させる。
駆動部160は、制御部130からの指示に応じて、レーザ投影部110を移動させる。本実施形態の駆動部160は、例えば、レーザ投影部110を回動させるためのモータ等の動力源であって良い。
操作部170は、視野視力検査装置100に対する各種の操作(入力)を行うものである。具体的には、例えば、操作部170は、視野視力検査装置100による検査の開始を指示する操作や、被験者により視認された視標を特定する操作等の入力に用いられる入力装置であっても良い。操作部170は、例えば、上下左右方向の矢印が印字されたキーボードや、ジョイスティックなどが好適である。
本実施形態では、操作部170をこのような構成とすれば、例えば、検査用画像に視力測定のための指標であるランドルト環の画像が含まれる場合等に、その切れ目が右であれば右矢印のキーボードを押下したり、ジョイスティックであれば右へ倒すことによって、視認した結果を、被験者Pが視認した視標を示す情報(検査結果)として入力することができる。
また、被験者Pは、視力検査中は、レーザ投影部110に眼を当てているため、操作部170を見るためにレーザ投影部110から眼を外すことは効率が悪い。このため、操作部170を、上下左右を示す操作部品を配置したキーボードとしても良い。さらに、キーボードに突起等を設けることによって、キーボードを見なくても入力できるようにすると、尚好ましい。
撮像部180は、レーザ投影部110の近傍に配置されたカメラである。本実施形態では、撮像部180により撮像された画像データから、被験者の眼球20の動きや、被験者の瞳孔の向きが検出される。したがって、言い換えれば、撮像部180は、被験者の瞳孔25の位置を検出する瞳孔位置検出部の機能を果たす。また、撮像部180は、被験者の視線方向を検出するための視線方向検出部とも言える。
本実施形態の撮像部180は、検査が開始されると、被験者の画像を撮像し、その画像データを制御部130へ渡す。
尚、図示していないが、本実施形態の視野視力検査装置100は、各種の情報を出力するための出力部(ディスプレイ)を有しても良い。また、このディスプレイには、検査用画像に基づく被験者Pによる視力検査の結果を入力させる入力画面等が表示されても良い。また、出力部は、記憶部140に格納された検査結果を示す情報を、記録媒体等に書き出すためのものであっても良い。
次に、図3を参照して、本実施形態のレーザ投影部110について説明する。図3は、第一の実施形態のレーザ投影部を説明する図である。
本実施形態のレーザ投影部110は、マクスウェル視を利用して、被験者の眼球20の網膜22にレーザ光を照射する。
レーザ投影部110は、光源111、調整部112、光学系113を有する。光学系113は、走査部114、平面ミラー115、レンズ116、117を有する。本実施形態の走査部114は、例えば、2軸のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーである。
レーザ投影部110において、光源111が出射したレーザ光Lは、調整部112において開口数(NA)及び/又はビーム径が調整される。レーザ光Lは、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光の可視レーザ光である。
レーザ光Lは、平面ミラー115で反射し、走査部114より2次元に走査される。走査されたレーザ光Lは、レンズ116及びレンズ117を介し、被験者の眼球20に照射する。レーザ光Lは、水晶体21近傍で収束し、硝子体23を通過し網膜22に照射する。これにより、網膜22に画像が投影される。走査部114は、例えば、1秒間に60フレームの画像が投影されるような28kHzなどの比較的高い周波数で振動する。
次に、図4を参照して、本実施形態のレーザ投影部110の動きについて説明する。図4は、第一の実施形態における、眼球20に対するレーザ投影部110の動きを説明する図であり、眼球20の、瞳孔25、虹彩26、網膜22、網膜上のレーザ投影領域30と、レーザ投影部110との位置関係を示している。
本実施形態の視野視力検査装置100では、レーザ投影部110を、被験者の眼球20の動きに合わせて、眼球20の周囲で回動(回転)させる。より具体的には、本実施形態では、レーザ投影部110が、常に被験者の眼球20の正面に位置するようにも、レーザ投影部110を移動させる。
本実施形態では、このようにレーザ投影部110を動かすことで、被験者の視線が一方向をむいていなくても、レーザ光Lが被験者の瞳孔25を通るため、検査用画像を被験者の網膜22に投影することができる。
図4(A)は、被験者が正面から右方向に視線を向けた状態を示している。この場合、被験者の瞳孔25は、被験者の視線の方向と同じ方向を向く。
この場合、レーザ投影部110が、被験者が正面を向いているときと同じ場所からレーザ光Lを照射しても、レーザ光Lは、瞳孔25を通過せず、被験者の網膜22に検査用画像が投影されない。
そこで、本実施形態では、レーザ投影部110が、被験者の瞳孔25の正面に位置するように、レーザ投影部110を移動させる。言い換えれば、本実施形態では、レーザ投影部110が、被験者の視線方向上に位置するように、レーザ投影部110の位置を被験者の眼球20の動きに応じて移動させる。
図4(A)の場合は、被験者の眼球20の動きに合わせて、レーザ投影部110から照射されるレーザ光Lの光軸が、基準となるレーザ光Lの光軸からθ1度傾くように、レーザ投影部110を移動させている。
尚、基準となるレーザ光Lの光軸とは、例えば、被験者の網膜22に検査の開始時に指標の画像等を投影したときのレーザ光の光軸であっても良い。
図4(B)は、被験者が正面から左方向に視線を向けた状態を示している。この場合、本実施形態では、被験者の眼球20の動きに合わせて、レーザ投影部110から照射されるレーザ光の光軸が、基準となるレーザ光の光軸からθ2度傾くように、レーザ投影部110を移動させている。
尚、図4の例では、角度θ1、θ2は、XY平面上の角度としているが、本実施形態では、レーザ投影部110は、3次元方向に回転させることができる。
尚、本実施形態のレーザ投影部110は、具体的には、眼球20の動きに応じて、眼球20の外周の一部である円弧に沿って移動する。以下の説明では、レーザ投影部110を、移動の軌跡が、眼球20の外周に沿った円弧状となるように移動させることを、レーザ投影部110を回転させる、又は、レーザ投影部110を回動させる、と表現する場合がある。
また、眼球20の外周に対する、レーザ投影部110の移動の軌跡となる円弧の長さの割合を、レーザ投影部110の回転角度、と表現する場合がある。
次に、図5を参照して、本実施形態の制御部130の機能について説明する。図5は、第一の実施形態の制御部の機能を説明する図である。
本実施形態の制御部130は、撮像制御部131、位置決定部132、投影制御部133、画像処理部134、角度算出部135、駆動制御部136を有する。
本実施形態の撮像制御部131は、撮像部180による画像の撮像を制御する。具体的には、撮像制御部131は、所定の間隔で撮像部180に、被験者の画像を撮像させても良い。
本実施形態の位置決定部132は、検査の開始時に、レーザ投影部110の位置を決定する。具体的には、位置決定部132は、検査の開始において、被験者から、基準となる指標を視認したことを示す操作を受けた場合に、このときのレーザ投影部110の位置を初期の位置に決定する。
投影制御部133は、レーザ投影部110による検査用画像の投影を制御する。具体的には、投影制御部133は、記憶部140から検査用画像データを読み出してレーザ出力制御部150へ渡す。レーザ出力制御部150は、レーザ投影部110に対し、検査用画像データに基づくレーザ光を、予め設定された光量で、被験者の網膜22に照射させる。
画像処理部134は、撮像部180により撮像された瞳孔25、虹彩26などの画像の画像データを解析して、被験者の眼球20の動き(視線方向)を検出する。具体的には、画像処理部134は、被験者の画像を撮像すると、その直前に撮像した画像と比較し、比較の結果に応じて、被験者の眼球が動いたか否かを判定している。言い換えれば、画像処理部134は、画像同士の比較結果に応じて、被験者の視線方向の変化を検出している。
例えば、画像処理部134は、複数の画像について、画素毎に画素値を比較し、画素値差分が所定の値以上となる画素が、一定数存在する場合に、被験者の眼球20が動いたと判定しても良い。
角度算出部135は、画像処理部134により、被験者の眼球20の動いたと判定された場合に、レーザ投影部110を回転させる角度を算出する。具体的には、角度算出部135は、画像処理部134において比較された2つの画像から、被験者の視線方向の変化を算出し、視線方向の変化に基づき、レーザ投影部110を回転させる角度を算出しても良い。
尚、角度算出部135による角度の本実施形態の角度算出部135は、検査を開始したときの被験者の視線方向と、撮像部180が画像を取得したときの被験者の視線方向とを比較して、レーザ投影部110を回転させる角度を算出しても良い。
駆動制御部136は、レーザ投影部110を、角度算出部135により算出された角度分、レーザ投影部110を回転させるように、駆動部160を制御する。
次に、図6を参照して、本実施形態の検査用画像について説明する。図6は、検査用画像の一例を示す図である。
図6に示す検査用画像60では、複数の大きさの異なるランドルト環の画像を含む。本実施形態の検査用画像60では、このように、大きさの異なるランドルト環を複数配置することで、視力の検査に加えて、視野の欠損の有無等を検査する視野検査を行うことができる。
例えば、検査用画像60を被験者の網膜22に投影したとき、被験者が領域61内に配置されたランドルト環を視認できなかったとする。この場合には、被験者の視野に欠損があることがわかる。
尚、本実施形態の検査用画像は、図6に示す検査用画像60に限定されない。本実施形態の検査用画像には、ランドルト環以外の指標(文字や数字等)の画像が含まれても良い。また、検査用画像は、一般的な画像であっても良い。具体的には、例えば、果物や植物、乗り物や建物といった画像であっても良い。
また、本実施形態の検査用画像60は、検査を開始する際に、レーザ投影部110の位置を決定するための基準となる指標の画像と重畳されても良い。
次に、図7を参照して、本実施形態の視野視力検査装置100の動作について説明する。図7は、第一の実施形態の視野視力検査装置の動作を説明するフローチャートである。
本実施形態の視野視力検査装置100は、検査の開始指示を受けると、制御部130の投影制御部133により、レーザ投影部110に、レーザ投影部110の位置を決定するための基準となるレーザ光を照射させる(ステップS701)。言い換えれば、視野視力検査装置100は、レーザ投影部110により、被験者の網膜22に、基準となる指標の画像を投影する。
続いて、視野視力検査装置100の制御部130は、撮像部180により、被験者の瞳孔25、虹彩26などの眼球画像が撮像されたか否かを判定する(ステップS702)。具体的には、制御部130は、撮像制御部131が撮像部180の撮像した被験者の眼球画像を示す画像データを取得したか否かを判定している。
ステップS702で被験者の眼球画像が撮像されていない場合、視野視力検査装置100は、被験者の画像が撮像されるまで待機する。
ステップS702において、被験者の眼球画像が撮像されると、制御部130は、位置決定部132により、このときのレーザ投影部110の位置を初期位置に決定する(ステップS703)。
尚、撮像部180は、被験者により、操作部170に対して自身の眼球画像の撮像を許可することを示す操作が行われると、被験者の眼球画像の撮像を行っても良い。また、被験者は、例えば、自身の網膜22に投影された指標を視認した場合に、撮像を許可するようにしても良い。
続いて、制御部130は、投影制御部133により、記憶部140に格納された検査用画像データを読みだして、レーザ出力制御部150とレーザ投影部110とにより、検査用画像を被験者の網膜22に投影する(ステップS704)。
続いて、制御部130は、被験者の眼球20が動いたか否かを判定する(ステップS705)。具体的には、制御部130は、撮像制御部131により撮像部180を制御して、一定の間隔で被験者の眼球画像を示す画像データを取得し、画像処理部134により、画像データ同士を比較して、被験者の眼球20に動きがあったか否かを判定している。
ステップS705において、動きがないと判定された場合、制御部130は、後述するステップS708へ進む。
ステップS705において、動きがあると判定された場合、制御部130は、角度算出部135により、レーザ投影部110の回転角度を算出する(ステップS706)。
続いて、制御部130は、駆動制御部136により、回転後のレーザ投影部110から照射されるレーザ光の光軸と、初期位置にあるレーザ投影部110から照射されるレーザ光の光軸との角度が、算出された回転角度となるように、レーザ投影部110を回転させる(ステップS707)。
続いて、制御部130は、検査が終了したか否かを判定する(ステップS708)。具体的には、制御部130は、操作部170により、検査の終了を指示する操作が行われた場合に、検査の終了としても良い。
ステップS708において、検査が終了していない場合、制御部130は、ステップS705へ戻る。
ステップS708において、検査が終了している場合、制御部130は、駆動制御部136により、駆動部160を制御して、レーザ投影部110を初期位置に戻し(ステップS709)、処理を終了する。
以下に、図8を参照して、本実施形態の視野視力検査装置100の動作について、具体的に説明する。図8は、第一の実施形態のレーザ投影部による検査用画像の投影について説明する図である。
図8(A)は、被験者の眼球20が正面を向いている状態を示している。ここでは、図8(A)に示すレーザ投影部110の位置を、初期位置とする。図8(B)は、被験者の眼球20が右側を向いた状態を示しており、図8(C)は、被験者の眼球20が左側を向いた状態を示している。
図8(A)に示すように、初期位置においてレーザ投影部110が検査用画像データに基づくレーザ光Lを被験者の眼球20に照射すると、レーザ光Lは被験者の瞳孔25を通過して、網膜22に検査用画像60を投影する。このとき、被験者の網膜22において検査用画像60が描画(投影)される領域は、レーザ投影部110の走査部114により走査される領域であり、図8(A)の例では、領域30となる。以下の説明では、被験者の網膜22において検査用画像60が描画される領域のことを、検査用画像の描画領域と呼ぶ。
描画領域30に検査用画像60が投影されると、被験者の視野は、視野81のようになる。このとき、被験者は、視野視力検査装置100に対し、視野81における検査用画像60から、ランドルト環の切れ目を視認できるか否かを示す情報を操作部170により入力することで、視力検査を行うことができる。
また、被験者は、事前に検査用画像60に含まれるランドルト環の数を知らされており、全てのランドルト環が視認できたか否かを示す情報を操作部170により入力することで、視野検査を行うことができる。
本実施形態の視野視力検査装置100では、レーザ投影部110が被験者の視線方向(眼球20の動き)に追従して回転する。したがって、本実施形態では、レーザ投影部110が常に被験者の眼球20の正面に位置するようになる。
このため、図8(B)における被験者の視野82も、図8(C)における被験者の視野83も、図8(A)における視野81と同じようなる。
より具体的には、本実施形態では、図8(B)のように、被験者の瞳孔25が右側を向いている場合には、レーザ投影部110が瞳孔25の正面にくるように、時計回り方向に回転し、レーザ光Lを照射する。したがって、図8(B)の状態においても、被験者の網膜22における検査用画像60は、描画領域30に投影される。
また、本実施形態では、図8(C)のように、被験者の瞳孔25が左側を向いている場合には、レーザ投影部110が瞳孔25の正面にくるように、反時計回り方向に回転し、レーザ光Lを照射する。したがって、図8(C)の状態においても、被験者の網膜22における検査用画像60は、描画領域30に投影される。
このように、本実施形態では、レーザ投影部110が被験者の眼球20の動きに追従して回転移動するため、検査中に、被験者が特定の注視点を固視していなくても、視野検査を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、検査における被験者の負担を軽減できる。
また、本実施形態によれば、注視点を固視する必要がないため、例えば、黄斑部等に疾患がある被験者や、網膜の中心部の視野が欠損しているような被験者等のように、注視点を固視することができない被験者に対しても、視野と視力の検査を行うことができる。
尚、本実施形態では、眼球20の動きが検出されない場合であっても、レーザ投影部110を所定の回転角で振り子のように動かしても良い。
図8(C)の例では、眼球20の動きに合わせて、眼球20の周囲でレーザ投影部110を回転移動させた後に、レーザ投影部110をさらに移動させている。
図8(C)の例では、移動後のレーザ投影部110から照射されるレーザ光Lの光軸に対する、レーザ光L1の角度が、一定の角度θ3となるように、レーザ投影部110を動かす。
本実施形態では、このように、レーザ投影部110を動かすことで、網膜22において検査用画像が投影される領域を広げることができる。尚、角度θ3とは、レーザ光L1が瞳孔25を通過する角度である。
図8(C)の例では、レーザ光Lによって検査用画像60が投影される領域は、描画領域30である。また、レーザ光L1によって検査用画像60が投影される領域は、領域31である。領域31は、描画領域30に含まれない領域を含んでいるため、網膜22のより広範囲の領域について、視野と視力の検査を行うことができる。
本実施形態の変形例として、駆動部160がレーザ投影部110を回動させるだけでなく、回動の回転中心を移動させる機能を持つとともに、眼球20の眼軸長の測定を行う眼軸長測定部を備えるようにしても良い。これによって、変形例では、眼球20の眼軸長に適合するように、レーザ投影部110の位置を設定することができる。
ここで、眼軸長とは、角膜から網膜までの長さであり、その長さは、遠視、近視などに起因し、個人差がある。眼軸長は、例えば、被験者の瞳孔から網膜に向かって、レーザ投影部110から不可視レーザ光を照射し、不可視レーザ光の反射光を受光して、出射光と受光光との位相差を検出し、その位相差によって測定することができる。
レーザ投影部110から投射されるレーザ光は、眼球20の網膜22上で焦点を結ぶように投影されるが、眼軸長によっては、レーザ光の焦点が網膜22上に結ばれないこともありうる。
そのため、変形例では、眼軸長測定部で測定された眼軸長に応じて、レーザ投影部110の回動中心の位置を最適化することによって、レーザ光の焦点の位置を精度よく網膜22上の位置とさせることができ、投影画像の解像度を最適化することができる。
さらに、レーザ投影部110の回動中心の位置を変化させながら、被検者の眼球20へレーザ光を照射し、その焦点が合ったとき(被験者が視認して、そのピントが合ったとき)を、最適な位置としてレーザ投影部110の位置を設定することもできる。
また、本実施形態の検査用画像60には、注視点となる指標の画像が含まれない。これは、撮像部180によって被験者の眼球20の動きを検出することで、被験者の瞳孔25の向きを検出しているため、被験者の視線の方向を一方向に固定する必要がないからである。
また、本実施形態では、眼球20の動き(視線方向の変化)を検出するために、撮像部180により被験者の眼球20を含む画像を撮像するものとしたが、眼球20の動きを検出する方法は、これに限定されない。
本実施形態では、例えば、被験者の顔面(上下の瞼等)に電極を貼り付けて、筋電計により被験者の眼球20の動きを検出しても良い。この場合、撮像部180は不要となる。
さらに、本実施形態の制御部130は、例えば、被験者が検査を開始する際に、操作部170により、被験者を特定するための情報を入力させ、被験者毎の検査結果を示す情報を、被験者を特定するための情報と対応付けて、被験者毎に格納しても良い。被験者を特定するための情報とは、例えば、被験者の氏名であっても良いし、被験者に付与されたID等であっても良い。
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、レーザ投影部110を水平移動させる点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図9は、第二の実施形態のレーザ投影部の動きを説明する図である。図9(A)は、被験者が正面から右方向に視線を向けた状態を示しており、図9(B)は、被験者が正面から左方向に視線を向けた状態を示している。また、図9(C)は、被験者の網膜22において検査用画像が投影される領域を示している。
本実施形態では、被験者の眼球20が右方向に視線を向けた場合、レーザ投影部110を右方向に平行移動させる。具体的には、本実施形態では、レーザ投影部110は、X軸方向又はY軸方向に移動する。
この場合、レーザ投影部110から照射されるレーザ光は、被験者の視線方向とは異なる方向から瞳孔25を通過することになる。したがって、図9(A)の場合の投影領域である領域32は、レーザ投影部110が被験者の視線方向上にある場合の投影領域である領域30と比較して、網膜22の右側端部に近づく領域となる(図8参照)。
同様に、図9(B)の場合の投影領域である領域33は、レーザ投影部110が被験者の視線方向上にある場合の投影領域である領域30と比較して、網膜22の左側端部に近づく領域となる(図8参照)。
このように、本実施形態では、被験者の眼球20の動きに合わせてレーザ投影部110を平行移動させることで、図9(C)に示すように、投影領域は、領域30、32、33を含む領域34となる。したがって、本実施形態によれば、被験者の網膜22の黄斑部以外の領域についても、視野検査と視力検査を行うことができる。
図10は、第二の実施形態の制御部の機能を説明する図である。
本実施形態の制御部130Aは、撮像制御部131、位置決定部132、投影制御部133、画像処理部134、移動量算出部135A、駆動制御部136を有する。
本実施形態の移動量算出部135Aは、画像処理部134が被験者の眼球20の動きを検出すると、レーザ投影部110の移動量を算出する。
レーザ投影部110の移動量とは、レーザ投影部110を初期位置から移動させる距離と、方向とを示す。本実施形態の移動量算出部135Aは、画像処理部134による画像同士の比較の結果から、レーザ投影部110を移動させる方向と、移動距離とを算出する。
次に、図11を参照して、本実施形態の視野視力検査装置100Aの動作について説明する。図11は、第二の実施形態の視野視力検査装置の動作を説明するフローチャートである。
図11のステップS1101からステップS1105までの処理は、図7のステップS701からステップS705までの処理と同様であるから、説明を省略する。
ステップS1105において、被験者の眼球20の動きが検出されると、制御部130Aは、移動量算出部135Aにより、レーザ投影部110の移動量を算出する(ステップS1106)。続いて、制御部130Aは、駆動制御部136により、駆動部160を制御して、レーザ投影部110を算出された方向に、算出された距離だけ移動させる(ステップS1107)。
図11のステップS1108とステップS1109の処理は、図7のステップS708とステップS709の処理と同様であるから、説明を省略する。
次に、図12を参照して、本実施形態のレーザ投影部110による検査用画像の投影について説明する。図12は、第二の実施形態のレーザ投影部による検査用画像の投影について説明する図である。
図12(A)は、被験者の眼球20が正面を向いている状態を示している。ここでは、図12(A)に示すレーザ投影部110の位置が、初期位置とする。図12(B)は、被験者の眼球20が右側を向いた状態を示しており、図12(C)は、被験者の眼球20が左側を向いた状態を示している。
図12(A)の例では、検査用画像60の投影領域である領域30は、網膜22の中心部分となる。したがって、被験者は、視野81の中央部分において、検査用画像60を視認する。
図12(B)の例では、検査用画像60の投影領域である領域32は、網膜22の右側に偏った部分となる。したがって、被験者は、視野82の左側部分において、検査用画像60を視認する。図12(C)の例では、検査用画像60の投影領域である領域33は、網膜22の左側に偏った部分となる。したがって、被験者は、視野83の右側部分において、検査用画像60を視認する。
つまり、本実施形態では、検査用画像60は、被験者が視線を向けた方向側の網膜22に投影される。したがって、本実施形態では、被験者の視野において、被験者が視線を向けた方向と反対側の領域で検査用画像60が視認されるようになる。
このように、本実施形態によれば、被験者の視線に合わせてレーザ投影部110を平行移動させるだけで、網膜22の中心部分(黄斑部)以外の領域の視野の欠損の有無を検査することができる。
例えば、図12(A)の視野81では、検査用画像60に含まれる全てのランドルト環を視認できた被験者が、図12(B)の視野82では、検査用画像60の領域62に含まれるランドルト環が視認できなかったとする。
この場合、この被験者は、黄斑部における視野の欠損はないが、網膜22の端部の領域に何らかの疾患があり、その部分に対応する視野が欠損していることがわかる。
このように、本実施形態によれば、被験者の視線の方向に合わせてレーザ投影部110を移動させるため、被験者の視線の方向に影響されずに、視野検査と視力検査を行うことができる。
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して、第三の実施形態について説明する。第三の実施形態では、検査用画像に注視点となる指標の画像を含め、この指標の画像と共に検査用画像の投影位置を変更する点が、第二の実施形態と相違する。よって、以下の第三の実施形態の説明では、第二の実施形態との相違点について説明し、第二の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第二の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図13は、第三の実施形態の視力検査装置のハードウェア構成を説明する図である。
本実施形態の視野視力検査装置100Aは、レーザ投影部110、通信部120、制御部130B、記憶部140、レーザ出力制御部150、駆動部160、操作部170を有し、撮像部180を有していない。
つまり、本実施形態の視野視力検査装置100Aは、被験者の眼球20の動きを検出するための手段を有していない。
本実施形態の制御部130Bは、駆動部160によってレーザ投影部110を平行移動させながら、記憶部140に格納された検査用画像をレーザ投影部110によって被験者の網膜22に投影させる。
以下に、図14を参照して、本実施形態のレーザ投影部110の動きについて説明する。図14は、第三の実施形態のレーザ投影部の動きを説明する図である。
本実施形態では、被験者の網膜22における注視点となる指標(固視指標)の画像の投影位置を移動させることで、被験者の視線を、固視指標の画像が移動する方向に誘導する。
図14(A)は、被験者がレーザ投影部110へ視線を向けた状態を示している。本実施形態では、被験者がレーザ投影部110に視線を向けたときの視野の中で、レーザ光によって検査用画像60Aを描画する領域を移動させる。尚、本実施形態の検査用画像60Aには、注視点となる指標(固視指標)の画像90が含まれる。
図14(A)の例では、被験者の視野86において、レーザ投影部110によりレーザ光が投影される領域は、領域65である。本実施形態では、この領域65の中で、検査用画像60Aを描画する位置を、視野86の一方の端部から他方の端部へと移動させる。つまり、レーザ投影部110は、検査用画像60Aが、領域65の左側の端部から右側の端部へ移動していく動画データを、被験者の網膜22に投影することになる。
本実施形態では、このように、固視指標の画像90を含む検査用画像60Aの描画位置を移動させることで、被験者に画像90を追わせ、被験者の視線を検査用画像60Aの移動方向に誘導する。
図14(A)の状態において、検査用画像60Aを描画する位置を領域65の左側の端部から右側の端部まで移動させると、被験者の視線の方向は、固視指標の画像90を追って、左側から右側へとうつって行く。
そして、被験者の視線の方向が変わることによって、レーザ投影部110から照射されるレーザ光Lが瞳孔25を通過しなくなると、図14(B)に示す状態となる。
図14(B)では、被験者の視線が画像90を追って右側に向いたために、レーザ投影部110のレーザ光Lが瞳孔25を通過していない状態を示す。
図14(B)の状態では、検査用画像60Aの一部が被験者の網膜に投影されなくなるため、このときの視野87では、固視指標の画像90を含む検査用画像60Aの一部が、視認されなくなる。
本実施形態の視野視力検査装置100Aは、図14(B)の状態となるときに、レーザ投影部110を、検査用画像60A(固視指標の画像90)が移動していく方向に向かってレーザ投影部110を平行移動させる。
図14(C)は、レーザ投影部110を平行移動させた状態を示している。この状態では、レーザ投影部110から照射されるレーザ光Lは、再び被験者の瞳孔25を通過するようになる。したがって、図14(C)の状態では、被験者の視野88において、検査用画像60Aが視認されるようになる。
レーザ投影部110は、駆動部160によってその位置が移動されると、再び、検査用画像60Aの描画位置を移動させる。
つまり、本実施形態では、検査が開始されると、レーザ投影部110は、被験者の視線を誘導する方向に向かって、検査用画像60Aの描画位置を移動させる。そして、検査用画像60Aの描画位置が所定の位置まで移動すると、レーザ投影部110が、描画位置の移動方向に向かって平行移動する。
本実施形態のレーザ投影部110は、この動作を繰り返すことで、被験者の網膜22の黄斑部以外の領域まで、検査対象とすることができる。
また、本実施形態では、固視指標を動かして被験者の視線を誘導するため、例えば、被験者が関心を示す画像を固視指標として、被験者の視線を誘導することができる。しだかって、本実施形態によれば、被験者に、検査を行っていること意識させずに、検査を行うことができ、特に被験者が幼児等である場合には、有用である。
本実施形態では、検査用画像60Aを描画位置させる際のパターンは、予め記憶部140に格納されていても良い。
以下に、図15を参照して、本実施形態の制御部130Bの機能について説明する。図15は、第三の実施形態の制御部の機能を説明する図である。
本実施形態の制御部130Bは、位置決定部132、投影制御部133A、パターン記憶部134A、駆動制御部136を有する。
投影制御部133Aは、パターン記憶部134Aに格納されたパターン情報にしたがって、検査用画像60Aを示す検査用画像データを被験者の網膜22へ投影する。具体的には、投影制御部133Aは、被験者の視野において、検査用画像60Aの描画位置が移動してくように、パターン情報を参照して、検査用画像データを網膜22へ投影する。
パターン記憶部134Aは、検査用画像60Aの描画位置の移動のさせ方を示すパターン情報を保持している。
本実施形態のパターン情報は、例えば、検査用画像60Aの描画位置を右側から左側へ移動させ、次にレーザ投影部110を右側へ移動させ、次に描画位置を右側から左側へ移動させ、次に描画位置を左側から右側に移動させ、次にレーザ投影部110を左側から右側へ移動させる、というような、検査における一連の流れを示す情報である。
また、本実施形態のパターン情報には、レーザ投影部110を平行移動させる際の移動距離を示す情報が含まれていても良い。
本実施形態の駆動制御部136は、パターン情報において、予め設定された移動距離分、レーザ投影部110を移動させるように、駆動部160を制御すれば良い。
次に、図16を参照して、本実施形態の視野視力検査装置100Aの動作について説明する。図16は、第三の実施形態の視野視力検査装置の動作を説明するフローチャートである。
本実施形態の視野視力検査装置100の制御部130Bは、レーザ投影部110から基準となるレーザ光を照射させ、位置決定部132により、レーザ投影部110の初期位置を決定する(ステップS1601)。
尚、本実施形態では、被験者が基準となるレーザ光によって投影される画像を視認したことを示す操作を受け付けたときの、レーザ投影部110の位置を初期位置としても良い。また、本実施形態では、固視指標の画像90を、基準となるレーザ光によって投影される画像としても良い。
続いて、制御部130Bは、投影制御部133Aにより、パターン記憶部134Aが保持しているパターン情報を参照する(ステップS1602)。
続いて、制御部130Bは、パターン情報に応じて、投影制御部133Aにより、検査用画像60Aの描画位置を移動させ、駆動制御部136により、駆動部160を制御して、レーザ投影部110の位置を変更させる(ステップS1603)。
続いて、制御部130Bは、検査が終了したか否かを判定する(ステップS1604)。具体的には、制御部130Bは、投影制御部133Aと駆動制御部136Aとが、パターン情報に示される全ての動作を行った場合に、検査が終了するものと判定しても良い。
ステップS1604において、検査が終了していない場合、制御部130Bは、ステップS1602へ戻る。
ステップS1604において、検査が終了した場合、制御部130Bは、レーザ投影部110を初期位置へ戻し(ステップS1605)、処理を終了する。
以上のように、本実施形態では、固視指標を動かして、被験者の視線を誘導しながら、視野検査や視力検査を行うため、被検者の視線を検出する撮像部などの構成が不要となり、装置の簡略化も実現できる。さらに、本実施形態では、被験者が視線を一方向に保つ必要がなく、被験者の負担を軽減できる。
(変形例)
以下に、図17を参照して、レーザ投影部110の変形例について説明し、図18を参照して、撮像部180の取り付け方の変形例について説明する。
図17は、レーザ投影部の変形例を示す図である。図17(A)は、レーザ投影部110の第一の変形例を示し、図17(B)は、レーザ投影部110の第二の変形例を示す。
図17(A)に示すレーザ投影部110Aでは、光源111から照射されたレーザ光が、走査部114によって走査される。走査部114で走査されたレーザ光は、投影ミラー171によって反射されて、被験者の網膜22に照射される。
図17(A)のレーザ投影部110Aでは、レーザ投影部110A全体を移動させる代わりに、投影ミラー171を回転移動させることで、眼球20に照射されるレーザ光の方向を変えても良い。
図17(B)に示すレーザ投影部110Bでは、光源111から照射されたレーザ光が、ハーフミラー172によって反射されて走査部114へ入射する。走査部114によって走査されたレーザ光は、集光レンズ173を介して被験者の網膜22へ照射される。
図17(B)のレーザ投影部110Bでは、レーザ投影部110B全体を移動させる代わりに、走査部114を回転移動させることで、眼球20に照射されるレーザ光の方向を変えても良い。
図18は、撮像部の取り付けについて説明する図である。図18(A)は、撮像部の取り付け方を示す第一の例を示す図であり、図18(B)は、撮像部の取り付け方を示す第二の例を示す図である。
図18(A)に示す例では、撮像部180は、レーザ投影部110の近傍に設けられている。尚、図1の例では、撮像部180は、画像投影部107(レーザ投影部110)の下側に設けられるものとしたが、これに限定されない。撮像部180は、図18(A)に示すように、レーザ投影部110の横側に配置されても良い。
図18(B)は、撮像部180の代わりに、瞳孔位置検出部として、不可視光線を照射するレーザ照射部180-1、180-2を配置しても良い。
この場合、レーザ照射部180-1、180-2のそれぞれから、不可視光線を被験者の眼球20に照射し、虹彩26からの反射光に応じて、瞳孔25の位置を検出しても良い。
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して、第四の実施形態について説明する。第四の実施形態は、視野視力検査装置100と、走査型レーザ検眼鏡(SLO:Scanning Laser Ophthalmoscope)を組み合わせた点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第四の実施形態では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図19は、第四の実施形態のレーザ照射部について説明する図である。
本実施形態のレーザ投影部110Cは、光源111、調整部112、光学系113を有する。また、本実施形態のレーザ投影部110Cは、検出器190、ハーフミラー161、レンズ162、分光器163、赤外光光学系195を有する。赤外光光学系195は、走査部151、平面ミラー152、レンズ153、合成部154を有する。
レーザ投影部110Cにおいて、光源111から照射されたレーザ光Lは、分光器163において赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光の可視レーザ光Laと、赤外レーザ光Lbと、に分光される。分光器163は、例えば可視レーザ光Laを透過し、赤外レーザ光Lbを反射するダイクロイックミラーである。尚、分光器163は、ダイクロイックミラーに限らず、ダイクロイックプリズムなど、その他の光学素子であってもよい。
分光器163を透過した可視レーザ光Laは可視光であるため、被検者の視線を固定させるための固視指標を投影することができる。
一方で、赤外レーザ光Lbは、平面ミラー152で反射し、走査部151により2次元に走査される。走査された赤外レーザ光Lbは、レンズ153、合成部154、及びレンズ117を介し、被験者の眼球20に照射する。赤外レーザ光Lbは、水晶体21近傍で収束し、硝子体23を通過し網膜22に照射する。また、赤外レーザ光Lbは網膜22で反射する。
反射した赤外レーザ光Lbは、赤外レーザ光Lbが網膜22に向かって進んできた光路を戻る。すなわち、反射した赤外レーザ光Lbは、レンズ117、合成部154、レンズ153、走査部151、平面ミラー152、及び分光器163の順に赤外レーザ光Lbが網膜22に向かって進んできた光路を戻り、ハーフミラー161及びレンズ162を介して検出器190に入射する。
これにより、検出器190は、走査部151によって2次元走査され、網膜22で反射した赤外レーザ光Lbを検出する。検出器190による赤外レーザ光Lbの輝度変化などの検出結果によって、眼球20の眼底の状態の検出(眼底の状態情報の取得)を行うことができ、その検出対象の一例として2次元の眼底画像を取得することができる。走査部151は、赤外レーザ光Lbによる眼球20の眼底の状態の検出が実現できるよう、例えば1秒間に25フレームの画像が投影される場合に相当するような12.5kHzなどの比較的低い周波数で振動する。
この赤外レーザ光Lbは、2次元の眼底画像を取得するために、網膜上を走査しながら投影されるが、不可視光であるために、被検者が赤外レーザ光Lbを視認することなく、眼底画像を取得することができる。
尚、この眼底の2次元画像を取得するときも、被検者の視線の方向、赤外レーザ光Lbを瞳孔から網膜へ投影できなくなることがある。
その場合には、眼底画像を取得したい位置に、可視光によって固視指標を投影させる。そして、赤外光光学系195を、レーザ投影部110と同じように眼球20の動きに合わせて移動させることで、赤外レーザ光Lbを虹彩にさえぎられることなく網膜に投影でき、網膜の任意の位置の眼底画像を、安定して取得することができる。
以上のように、本実施形態では、走査型レーザ検眼鏡を視野視力検査装置100と組み合わせることで、視野検査と視力検査に加えて、眼底の状態を検出することができる。
尚、上述した各実施形態では、視野視力検査装置は、据え置き型として説明したが、これに限定されない。
視野視力検査装置は、例えば、眼鏡型であっても良い。眼鏡型である場合には、眼鏡のツルの部分に、レーザ投影部と駆動部を含む画像投影部と、撮像部とが取り付けられても良い。
また、上述した各実施形態では、被験者の網膜22に投影する画像を検査用画像とし、視野検査や視力検査を行うものとしたが、これに限定されない。
例えば、各実施形態は、網膜の特定の位置に、所定の画像を常時投影させる、と言った用途に適用されても良い。例えば、自動車や飛行機等の移動体を運転している人の視野の特定の位置に、常に移動体の移動速度を示す画像を投影させる、と言った場合には、眼鏡型の網膜走査型画像投影装置のレーザ照射部を、利用者の瞳孔の位置に合わせて移動させれば良い。この例は、一例であり、上述した各実施形態は、網膜走査型の画像投影装置であれば、適用することができる。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態にあげた構成、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。