JP2020045917A - 流体制御弁 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、プロセスガスを250℃以上の状態で供給するための高温弁においては、弁体にメタルダイアフラムを用い、弁シートにはSUS316L等のメタルシートが用いられるが、メタルシートは、弁開および弁閉動作の繰り返しにより表面が荒れ、ガス漏れが発生する恐れがあった。
すなわち、半導体製造装置のメンテナンスを行うときには、全てのバルブ及び配管に対して窒素ガスによりパージを行うと共に、バルブ等を手で触れることが可能なように恒温槽の内部温度を常温まで低下させる。
このとき、高温下で膨張していたストッパやPFA弁シートは、温度の低下に伴い収縮する。例えば、PFA弁シートを3mmの厚みで構成している場合に、300℃から常温23℃まで温度が低下した場合に、膨張していたPFA弁シートが全体で0.10mm程度収縮する。一方、ストッパは一般的に金属製であるため、PFA弁シートと比べて線膨張係数が小さく、温度低下時の収縮量が小さい。つまり、ステムがストッパに当接する位置、すなわち最下限位置が、ストッパの収縮量分だけ下がることとなるが、PFA弁シートの収縮量の方が大きい。このため、ステムを最下限位置まで下げ、メタルダイアフラムを押圧しても、PFA弁シートの収縮量0.10mmからストッパの収縮量を減じた分だけ、メタルダイアフラムとPFA弁シートとの間に隙間が生じてしまい、常温時においてガス漏れが発生する問題があった。
(1)ストッパにより下限位置が限定されるステムにより押圧されるメタルダイアフラムを、PFA弁シートに当接させることにより、高温ガスの流れを遮断する流体制御弁において、ストッパとしてPFA板が用いられること、PFA板の厚みが、PFA弁シートの厚みよりも大きいこと、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載の流体制御弁において、温度が、300℃以上から常温まで低下されたときに、PFA板の収縮長さが、PFA弁シートの収縮長さより大きいこと、を特徴とする。
(1、3)ストッパにより下限位置が限定されるステムにより押圧されるメタルダイアフラムを、PFA弁シートに当接させることにより、高温ガスの流れを遮断する流体制御弁において、ストッパとしてPFA板が用いられること、PFA板の厚みが、PFA弁シートの厚みよりも大きいこと、温度が、300℃以上から常温まで低下されたときに、PFA板の収縮長さが、PFA弁シートの収縮長さより大きいこと、を特徴とするので、ストッパとして従来の金属よりも線膨張係数が大きいPFA板を用いることで、ストッパはPFA弁シートと同一の線膨張係数を有することとなる。そして、PFA板の厚みを、PFA弁シートよりも大きくすることで、PFA板の熱膨張による寸法変化量が、PFA弁シートの熱膨張による寸法変化量よりも大きくなる。PFA板の熱膨張による寸法変化量が、PFA弁シートの熱膨張による寸法変化量よりも大きくなるに伴い、メンテナンスを行うに当たって流体制御弁の温度を低下させた時に、ストッパの収縮量がPFA弁シートの収縮量よりも大きくなる。つまり、ステムがストッパに当接する位置、すなわち最下限位置が、ストッパの収縮量分だけ下がることとなり、その最下限位置の下がる量がPFA弁シートの収縮量よりも大きいため、ステムによってメタルダイアフラムを押圧すれば、メタルダイアフラムは確実にPFA弁シートに当接され、ガス漏れが発生することがない。
PFA弁シートとストッパの収縮後にメタルダイアフラムが確実にPFA弁シートに当接されることで、流体制御弁の継手のガス漏れ確認評価を行うことができないという問題が解消される。つまり、継手のガス漏れ確認評価は、弁閉状態で継手に窒素ガスを供給し、圧力変化の有無を確認することで行われるが、PFA弁シートとストッパの収縮後にメタルダイアフラムとPFA弁シートとの間に隙間が生じると、弁閉することができないために圧力変化が生じ、継手のガス漏れ確認を行うことができない。しかし、PFA弁シートとストッパの収縮後にメタルダイアフラムが確実にPFA弁シートに当接されることで、確実に弁閉され、継手のガス漏れ確認を行うことが可能となる。
問題点とはすなわち、ステムによる押圧力の偏りを完全になくすことが困難であるがゆえにメタルダイアフラムでPFA弁シートの全周を完全に均等に押圧することは困難である点、PFA弁シートを均等に押圧することが困難であるがゆえにPFA弁シートのクリープによる塑性変形が均一でないおそれがある点、また、流体制御弁を構成する各部品の公差が累積する点、である。これら問題点のために、PFA板の厚みがPFA弁シートより大きくても、その差異が微少であると、流体制御弁の温度が低下し、PFA板とPFA弁シートが収縮したときに、メタルダイアフラムとPFA弁シートとの間に隙間が生じるおそれがある。そこで、PFA板の厚みを、PFA弁シートの厚みより30%以上大きくしておけば、確実にガス漏れを防止することができることを、出願人は実験により確認している。
流体制御弁1は、半導体製造装置のガス供給系に組み付けられ、成膜技術に用いられる約300℃のプロセスガスの供給を制御する。また、供給されるプロセスガスの温度を確実に300℃以上にするために、バルブ全体が300℃の恒温槽に収納される。
流体制御弁1は、ノーマルクローズタイプのエアオペレイト式開閉弁である。流体制御弁1は、弁部2と、アクチュエータ部3とから構成されている。アクチュエータ部3は、スプリング部4とエアシリンダ部5とから構成されている。
上下ピストン13A,13Bの間に位置する中空円盤状の中間プレート14は、上フランジ11aの上端面とシリンダケース12の段差部12cとに挟持され、固設されている。中間プレート14は、シリンダベース11とシリンダケース12とから形成されるシリンダ内の空間を、上ピストン13Aが上下動するための空間と、下ピストン13Bが上下動するための空間とに隔てている。上下ピストン13A,13Bは、上下運動を行うピストンロッド15に設けられた上ピストン当接部15dと、下ピストン当接部15eにそれぞれ当接しており、ピストンロッド15と上下ピストン13A,13Bとが連動して上下運動を行う。
下ピストン13Bの外周面と、シリンダベース11の内周面の間には、Oリングが配置され、下ピストン13Bの滑らかな摺動を確保するとともに、後述する加圧室17の気密状態を保持している。また、下ピストン13Bの内周面と、ピストンロッド15外周面の間にはOリングが配置され、後述する加圧室17の気密状態を保持している。
中間プレート14の外周面と、シリンダケース12の内周面の間には、Oリングが配置され、後述する加圧室18の気密状態を保持している。また、中間プレート14の内周面と、ピストンロッド15外周面の間にはOリングが配置され、ピストンロッド15の滑らかな摺動を確保している。
ピストンロッド15には、パイロットポート12aを介して操作エア(圧縮エア)を送給する送給孔15aが穿設されている。そして、下ピストン13B下面と、シリンダベース11の下内面および内周面とにより加圧室17が形成され、また、上ピストン13Aの下面と、中間プレート14の上面と、シリンダケース12の内周面とにより加圧室18が形成されている。
送給孔15aと加圧室17,18は、挿通孔15b,15cによって連通されており、パイロットポート12aに操作エアを送給すると、送給孔15aおよび挿通孔15b,15c、を介して加圧室17,18に操作エアが送給される。加圧室17,18に操作エアが送給されると、加圧室17,18は上下ピストン13A,13Bおよび中間プレート14のOリングにより気密状態となっているため、加圧室17,18内の圧力が上昇し、上下ピストン13A,13Bが図1中上方向(弁開方向)に押し上げられる。ピストンロッド15の上ピストン当接部15dと、下ピストン当接部15eとが、上下ピストン13A,13Bと当接しているため、上下ピストン13A,13Bが押し上げられるのに連動し、ピストンロッド15が弁開方向に駆動する。
スプリング部4は、弁閉スプリング19を保持するスプリングリテーナ22と、筒状のアダプタ23と、押えナット24とから形成される。
スプリングリテーナ22はフランジ部22aを備え、図1中上方向から押えナット24と係合される。スプリングリテーナ22の図1中下方には、内部に弁閉スプリング19と、第1ステム21とが配置されている筒状のアダプタ23が配置されており、押えナット24とアダプタ23とが螺合されることで、フランジ部22aが、アダプタ23の上端面と押えナット24の押え部24aに挟持され、スプリングリテーナ22が固定される。そして、スプリングリテーナ22の上面には貫通孔22bが形成されており、貫通孔の内周に形成された雌ねじ部が、シリンダベース11の下フランジ11b下端に形成された雄ねじ部と螺合されることで、エアシリンダ部5とスプリング部4とが一体となっている。
アダプタ23の下端には、メタルダイアフラム27を固定するホルダ26が当接している。メタルダイアフラム27は、メタルダイアフラム27外周縁の上方から、ホルダ26によって弁室28の段差部28aに押圧され、気密状態で挟持固定されている。また、ホルダ26の上端側には、第2ステム30の下限位置を制限するストッパ31が配設されている。
弁開状態において操作エアの送給が停止されると、弁閉スプリング19の弾性力によって、第1ステム21は弁閉方向に下降する。第1ステム21は、下降するとともに第2ステム30を押し下げ、押し下げられた第2ステム30は、メタルダイアフラム27を押圧する。押圧されたメタルダイアフラム27は弁閉方向に弾性変形する。弾性変形したメタルダイアフラム27がPFA弁シート29と当接することで、弁閉状態となる。
第2ステム30は上端外周にストッパ当接部30aを備えており、弁閉スプリング19の弾性力によって第1ステム21が弁閉方向に下降し、下降した第1ステム21に押し下げられた第2ステム30は、ストッパ当接部30aがストッパ31に当接する。ストッパ当接部30aがストッパ31に当接することで、第2ステム30の下限位置が限定され、ストッパ当接部30aがストッパ31に当接した位置から押し下げられることがないため、第2ステム30によって押圧されて弾性変形するメタルダイアフラム27がPFA弁シート29を押圧する力を制限することができ、PFA弁シート29のクリープによる塑性変形を防止することができる。
PFA弁シート29の厚みt1が3mmであり、ストッパ31の厚みt2が3.9mmであるときの熱膨張による寸法変化量は、下記数1により算出することができる。すなわち、「線膨張係数」にPFAの線膨張係数である12×10−5/℃を、部品寸法にPFA弁シート29の厚みt13mmまたはストッパ31の厚みt23.9mmを、温度変化量にプロセスガス温度300℃から常温23℃を減じた277℃をそれぞれ代入する。すると、ストッパ31の熱膨張による寸法変化量Δtbは、0.13mmとなり、PFA弁シート29の熱膨張による寸法変化量Δtaは、0.10mmとなる。つまり、流体制御弁1の温度を300℃から常温23℃まで低下させた場合、PFA弁シート29の収縮量よりもストッパ31の収縮量の方が大きくなる(図3参照)。
寸法変化量 = 線膨張係数 × 部品寸法 × 温度変化量
恒温槽の内部温度を常温まで低下させた場合でも、上記の通りPFA弁シート29の収縮量よりもストッパ31の収縮量の方が大きい。つまり、第2ステム30がストッパ31に当接する位置、すなわち最下限位置が、ストッパ31の収縮量分だけ下がることとなり、その最下限位置の下がる量がPFA弁シート29の収縮量よりも大きい。従って、第2ステム30がストッパ31に当接する位置、すなわち最下限位置が、ストッパ31の収縮量分だけ下がることとなり、その最下限位置の下がる量がPFA弁シート29の収縮量よりも大きいため、第2ステム30によってメタルダイアフラム27を押圧すれば、メタルダイアフラム27は確実にPFA弁シート29に当接され、ガス漏れが発生することがない。
また、ストッパ31のクリープによる塑性変形を防ぐため、ストッパ当接部30aとストッパ31の当接面の面積は、弁閉スプリング19の弾性力により下降する第1ステム21による荷重が分散するように可能な限り大きくすることが望ましい。
図1の流体制御弁1は、弁閉状態にある。第1ステム21は、弁閉スプリング19の弾性力によって弁閉方向に付勢されており、第2ステム30を介して、メタルダイアフラム27を弁閉方向に押圧している。メタルダイアフラム27は、押圧されていることで弁閉方向に弾性変形し、PFA弁シート29に当接している。
(1、3)ストッパ31により下限位置が限定される第2ステム30により押圧されるメタルダイアフラム27を、PFA弁シート29に当接させることにより、高温ガスの流れを遮断する流体制御弁1において、ストッパ31としてPFA板が用いられること、ストッパ31の厚みが、PFA弁シート29の厚みよりも大きいこと、温度が、300℃以上から常温まで低下されたときに、ストッパ31の収縮長さが、PFA弁シート29の収縮長さより大きいこと、を特徴とするので、ストッパ31として従来の金属よりも線膨張係数が大きいPFA板を用いることで、ストッパ31はPFA弁シート29と同一の線膨張係数を有することとなる。そして、ストッパ31の厚みを、PFA弁シート29よりも大きくすることで、ストッパ31の熱膨張による寸法変化量が、PFA弁シート29の熱膨張による寸法変化量よりも大きくなる。ストッパ31の熱膨張による寸法変化量が、PFA弁シート29の熱膨張による寸法変化量よりも大きくなるに伴い、メンテナンスを行うに当たって流体制御弁の温度を低下させた時に、ストッパ31の収縮量がPFA弁シート29の収縮量よりも大きくなる。つまり、第2ステム30がストッパ31に当接する位置、すなわち最下限位置が、ストッパ31の収縮量分だけ下がることとなり、その最下限位置の下がる量がPFA弁シート29の収縮量よりも大きいため、第2ステム30によってメタルダイアフラム27を押圧すれば、メタルダイアフラム27は確実にPFA弁シート29に当接され、ガス漏れが発生することがない。
PFA弁シート29とストッパ31の収縮後にメタルダイアフラム27が確実にPFA弁シート29に当接されることで、流体制御弁1の継手のガス漏れ確認評価を行うことができないという問題が解消される。つまり、継手のガス漏れ確認評価は、弁閉状態で継手に窒素ガスを供給し、圧力変化の有無を確認することで行われるが、PFA弁シート29とストッパ31の収縮後にメタルダイアフラム27とPFA弁シート29との間に隙間が生じると、弁閉することができないために圧力変化が生じ、継手のガス漏れ確認を行うことができない。しかし、PFA弁シート29とストッパ31の収縮後にメタルダイアフラム27が確実にPFA弁シート29に当接されることで、確実に弁閉され、継手のガス漏れ確認を行うことが可能となる。
問題点とはすなわち、第1ステム21による押圧力の偏りを完全になくすことが困難であるがゆえにメタルダイアフラム27でPFA弁シート29の全周を完全に均等に押圧することは困難である点、PFA弁シート29を均等に押圧することが困難であるがゆえにPFA弁シート29のクリープによる塑性変形が均一でないおそれがある点、また、流体制御弁1を構成する各部品の公差が累積する点、である。これら問題点のために、ストッパ31の厚みがPFA弁シート29より大きくても、その差異が微少であると、流体制御弁1の温度が低下し、ストッパ31とPFA弁シート29が収縮したときに、メタルダイアフラム27とPFA弁シート29との間に隙間が生じるおそれがある。ストッパ31の厚みを、PFA弁シート29の厚みより30%以上大きくしておけば、確実にガス漏れを防止することができる。
例えば、本流体制御弁1を半導体製造工程の成膜技術内に用いるものと例示しているが、化学産業にも適用することが可能である。
27 メタルダイアフラム
29 PFA弁シート
30 第2ステム
31 ストッパ
Claims (3)
- ストッパにより下限位置が限定されるステムにより押圧されるメタルダイアフラムを、PFA弁シートに当接させることにより、高温ガスの流れを遮断する流体制御弁において、
前記ストッパとしてPFA板が用いられること、
前記PFA板の厚みが、前記PFA弁シートの厚みよりも大きいこと、
を特徴とする流体制御弁。 - 請求項1に記載の流体制御弁において、
前記PFA板の厚みが、前記PFA弁シートの厚みより30%以上大きいこと、
を特徴とする流体制御弁。 - 請求項1または請求項2に記載の流体制御弁において、
温度が、300℃以上から常温まで低下されたときに、前記PFA板の収縮長さが、前記PFA弁シートの収縮長さより大きいこと、
を特徴とする流体制御弁。
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