JP2012026577A - ダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁のバルブストローク調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ステム8によるメタルダイヤフラム2の中央部の下降、若しくは上昇距離を調整するバルブストローク調整機構15と、メタルダイヤフラム2を複数枚のステンレス鋼薄板とニッケル・コバルト合金薄板との積層体より構成し、かつ、中央部を上方へ膨出させた円形の逆皿形とし、合成樹脂製の弁座13を所定の温度で加熱ベーキングした後、バルブストローク調整機構15によりダイヤフラム弁の最大バルブストロークをメタルダイヤフラムの最大膨出高さより小さな設定値に調整固定する。
【選択図】図1
Description
尚、この種のメタルダイヤフラム弁のものは、公知(例えば特開平5−80858号等)であるため、ここではその詳細説明を省略する。
また、逆皿形のメタルダイヤフラム22の膨出部の最大高さΔhは、前記9.52mmφのメタルダイヤフラム(外径約26mmφ)22にあっては、約1.1〜1.3mmに設定されている。
尚、このことはNC(常時閉鎖)型のメタルダイヤフラム弁においても同様であり、メタルダイヤフラム22は、常時最大膨出高さΔhに近い寸法分だけ押圧変形されることにより略平板状になっていて、開弁時にはこれがメタルダイヤフラム22の弾性力や流体圧によって元の膨出した逆皿形の形状に復元されることになる。
しかし、上述したように、メタルダイヤフラム22の弾性変形量には自ら限界があり、通常は流体通路の内径が9.52mmφの弁のメタルダイヤフラム(外径26.mmφ)22では、最大膨出高さΔhを1.2〜1.3mm位に制限している。何故なら、最大膨出高さΔhが大きくなるほど、メタルダイヤフラム22の変形による割れ等が発生し易くなるからである。
即ち、前記バルブのCv値は「バルブ出入口の差圧を1psiに保って清水を流した時の流量をga1/minで表した数値」と定義されており、流体が水の場合には、
尚、図8において、Nは試験用流体(窒素ガス)、Bは減圧弁、Cはフィルタ、Dは質量流量計、Eは圧力計、Fは供試弁(被試験弁)であり、供試弁Fの2次側は大気開放である。
また、試験は、窒素ガス温度(20℃室温)、一次側圧力P1=0.01MPa、二次側圧力(大気開放)、弁の開度(任意に設定した10〜100%の弁開度)の条件下で行われる。
尚、メタルダイヤフラム弁に要求されるCv値は0.55〜0.8位であり、9.52mmφバルブの場合、メタルダイヤフラム22の最大膨出高さΔh=1.2mm(フルストロークΔS1.0mm)のときのCvは、約0.7となる。
即ち、従前のメタルダイヤフラム弁では、図10に示したように、弁座33に合成樹脂材(PFA)が使用されているためその経年変形が避けられず、特に流通する流体が高温度の場合には、上記経年変形が大きくなる傾向にある。
例えば、従前の9.52mmφのバルブの場合、流体温度が20℃から150℃に上昇することにより弁座33が膨張し、ステムの移動量(リフトストローク)を一定に固定した場合には、流体流量が約18%減少することになる。また、高温条件で開閉を行なうと全開時の流量が経年変化によって増大する。その結果、全閉又は全開の切換えのみを行うメタルダイヤフラム弁にあっては、流量が増大し、また、流量・圧力制御用のメタルダイヤフラム弁では、弁開度と流量との関係が経年変化することにより、高精度な流量・圧力の制御ができなくなると云う問題がある。
その結果、所謂弁座の経時変化が大幅に減少することになり、これにより流量係数Cv(Cv値)もより安定した値となる。
また、図2及び図3は、図1のバルブにおいて、バルブストロークΔS=1.5mmとした場合のメタルダイヤフラムの閉弁時と開弁時の変形状態を示す拡大図である。
更に、図4及び図5は、図1のバルブにおいて、バルブストロークΔSを0.7mmとした場合のメタルダイヤフラムの閉弁時と開弁時の変形状態を示す拡大図である。
尚、本実施例では、所謂かしめ加工により弁座13が弁挿着溝内に固定されている。
また、このメタルダイヤフラム2は、その周縁部が弁室12の内周面の突部上に載置され、弁室12内へ挿入したボンネット4の下端部をボディ1のねじ部5へねじ込むことにより、ステンレス鋼製の押えアダプタ3を介してボディ1の突部側へ押圧され、気密状態で挾持固定されている。尚、ニッケル・コバルト合金薄膜は、接ガス側に配置されている。
尚、メタルダイヤフラム2の実施例としては、6.35mmφのバルブ用の外径20mm、曲率62.6mmのもの、及び6.35mmφの小型バルブ用の外径15mm、曲率62.6mmのもの等が存在する。
図1に示したバルブは所謂NC(常時閉)型に構成されており、常時はスプリング6の弾力によりステム8を介してメタルダイヤフラム2が下方へ押圧され、その下側面(接ガス面)のニッケル・コバルト合金薄板が弁座3へ当接している。尚、ステム8の押圧力はスプリング6により調整され、またステム8の下降量は押えアダプタ3により規制されている。
また、前記バルブストロークΔSは、ストローク調整機構15のロックナット15aにより所定の値に調整される。具体的には、後述するように、9.52φ用バルブのメタルダイヤフラム2(外径26mmφ、曲率60mm、膨出部の最大高さΔh=1.2mm、0.15mm特殊ステンレス鋼板3枚と0.15mmニッケル・コバルト合金薄板1枚・以下、実施例1の金属ダイヤフラムと呼ぶ)の場合には、バルブストロークΔSは0.65〜0.8mm(好ましくは0.7mm)に設定される。
図2を参照して、図2は前記実施例1のメタルダイヤフラム2を用いたバルブの閉弁状態を示す部分拡大図であり、図3は、バルブストロークΔSを1.5mmとしたときの実施例1のメタルダイヤフラム2を用いたバルブの開弁状態を示す部分拡大図である。
図2及び図3においては、バルブストロークΔSが1.5mmに選定されており、メタルダイヤフラム2の膨出部の最大高さΔh=1.2mmよりバルブストロークΔSの方が大きいため、金属ダイヤフラム2は元の形態に完全に復元されることになる。
即ち、バルブストロークΔSを小さくした場合には、メタルダイヤフラム2のメタルダイヤフラム2にかかる歪み応力が相対的に小さくなる。
但し、試験は、作動用空気圧0.55MPa、弁座の突出高さ0.128mm(80℃ベーキング後の高さ)の条件下で行われたものである。
但し、供試バルブとして三種のバルブを製作し、No1バルブは弁座3の突出高さ0.174mm、No2バルブは0.176mm、No3バルブは0.068mmとした。即ち、No3バルブにあっては、予め弁の開閉動作を10000回行い、弁座面をたたいて当り付けを行ったものである。また、作動用空気圧は0.55MPa(上限値)とした。
Δhは膨出部の最大膨出高さ
ΔSはバルブストローク(バルブリフト)
Gは間隙
Nは窒素ガス源
Bは減圧弁
Cはフィルタ
Dは流量計
Eは圧力計
Fは供試弁
P1は一次側圧力
1はボディ
2はメタルダイヤフラム
3は押えアダプタ(SUS630)
4はボンネット
5はねじ部
6はスプリング
7はダイヤフラム押え(ポリイミド)
8はステム
8aは鍔部
9はアクチュエータ
9aは支持用筒部
9bはねじ
9cはピストン
10は流体入口
11は流体出口
12は弁室
13は弁座
14は駆動軸
15はストローク調整機構
15aはロックナット
16は電磁弁
17は近接スイッチ
Claims (7)
- 流体入口及び流体出口に連通する凹状の弁室の底面に合成樹脂製の弁座を設けたボディと、弁座の上方に配設され、弁室の気密を保持すると共に、その中央部が上下動して直接弁座へ当接するメタルダイヤフラムと、メタルダイヤフラムの上方に昇降自在に配設され、メタルダイヤフラムの中央部を上下動させるステムと、ステムを下降若しくは上昇させるアクチュエータと、前記ステムによるメタルダイヤフラム中央部の下降若しくは上昇距離を調整するバルブストローク調整機構と、メタルダイヤフラムの外周縁部の上方に配設され、弁室の底面との間でメタルダイヤフラムを気密状に挟圧すると共に、バルブ全閉時のステムの下降を規制する押えアダプタとから構成したダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁において、前記メタルダイヤフラムを複数枚のステンレス鋼薄板とニッケル・コバルト合金薄板との積層体より成り且つ中央部を上方へ膨出させた円形の逆皿形とし、前記合成樹脂製の弁座を所定の温度で加熱ベーキングした後、前記バルブストローク調整機構により当該ダイヤフラム弁の最大バルブストロークΔSをメタルダイヤフラムの最大膨出高さΔhより小さな設定値に調整固定する構成としたことを特徴とするダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁のバルブストローク調整方法。
- 加熱ベーキング温度を80℃〜200℃とするようにした請求項1に記載のダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁のバルブストローク調整方法。
- 流体入口及び流体出口に連通する凹状の弁室の底面に合成樹脂製の弁座を設けたボディと、弁座の上方に配設され、弁室の気密を保持すると共に、その中央部が上下動して直接弁座へ当接するメタルダイヤフラムと、メタルダイヤフラムの上方に昇降自在に配設され、メタルダイヤフラムの中央部を上下動させるステムと、ステムを下降若しくは上昇させるアクチュエータと、前記ステムによるメタルダイヤフラム中央部の下降若しくは上昇距離を調整するバルブストローク調整機構と、メタルダイヤフラムの外周縁部の上方に配設され弁室の底面との間でメタルダイヤフラムを気密状に挟圧すると共に、バルブ全閉時のステムの下降を規制する押えアダプタとから構成したダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁において、前記メタルダイヤフラムを複数枚のステンレス鋼薄板とニッケル・コバルト合金薄板との積層体より成り且つ中央部を上方へ膨出させた円形の逆皿形とし、前記合成樹脂製の弁座を所定の温度で加熱し且つ所定回数当該メタルダイヤフラム弁を開閉作動させた後、前記バルブストローク調整機構により、当該ダイヤフラム弁の最大バルブストロークΔSをメタルダイヤフラムの最大膨出高さΔhより小さな設定値に調整固定する構成としたことを特徴とするダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁のバルブストローク調整方法。
- 加熱温度を200℃とすると共に、開閉作動回数を少なくとも10.000回とするようにした請求項3に記載のダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁のバルブストローク調整方法。
- メタルダイヤフラムを、外径が15mmφで膨出曲率が66〜65mm、又は外径が18〜20mmφで膨出曲率が62〜63mm若しくは外径が24〜26mmφで膨出曲率が59〜61mmのメタルダイヤフラムとするようにした請求項1又は請求項3に記載のダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁のバルブストローク調整方法。
- メタルダイヤフラムを3枚のステンレス鋼薄板と1枚のニッケル・コバルト合金薄板の円形積層体とすると共に、その外径を24〜26mmφに、最大膨出高さΔhを1.2〜1.3mmに及び最大バルブストロークΔSを0.65〜0.8mmにするようにした請求項1又は請求項3に記載のダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁のバルブストローク調整方法。
- バルブストローク調整機構を、弁室の上方に配設されてその下方部が弁室内へねじ込み固定されると共に内部にステムを上下動自在に収容するボンネットと、ボンネットの上壁へねじ込みすることによりアクチュエータをボンネットに固定すると共に、内部にアクチュエータの駆動軸を上下動自在に収納するのアクチュエータ支持用筒部と、前記アクチュエータ支持用筒部に螺着され、その締め込みにより前記ねじ込み長さを調整してボンネットへねじ込みしたアクチュエータ支持用筒部を固定するロックナットとから成るバルブストローク調整機構とした請求項1又は3に記載のダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁のバルブストローク調整方法。
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