JP2020045291A - 酸化セリウム含有組成物 - Google Patents

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恒隆 川口
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Abstract

【課題】活性酸素種の消去能を有する組成物を提供する。【解決手段】酸化セリウム粒子、及び糖アルコール等の糖誘導体を含む、酸化セリウム含有組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、酸化セリウム含有組成物に関する。また、本発明は、酸化セリウム含有組成物を含む、抗酸化剤に関する。
酸化ストレスに起因する疾患や症状の改善や治療のために、抗酸化剤の研究開発がされている。
ところで、酸化セリウムの微粒子は、フリーラジカル種の消去能を有し、抗酸化剤として利用できることが知られている。
例えば、特許文献1には、セリウム含有ナノ粒子を、クエン酸及びエチレンジアミン四酢酸によって安定化した医薬組成物が開示され、酸化ストレス関連疾患等を予防的に治療することができることが開示されている。
米国特許第9962406号公報
高い反応性を持つ4種類の活性酸素種(ROS)、すなわちヒドロキシルラジカル(OH)、スーパーオキサイド(O2 -・)、一重項酸素(12)、及び過酸化水素(H22)は、紫外線エネルギー等によって初期の段階で生じるため、酸化ストレスの主要な原因であり、抗酸化能を評価する上で、その消去能の評価が重要である。
そこで、本発明は、前述した4種類の活性酸素種(ROS)に対して、優れた消去能を有する酸化セリウム含有組成物、酸化セリウム含有組成物を含む医薬組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究開発を行った結果、酸化セリウム粒子表面に糖アルコール等の糖誘導体を付着させることで、酸化セリウム粒子の活性酸素種消去能が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記課題を解決する本願発明は、酸化セリウム粒子、及び糖誘導体を含む、酸化セリウム含有組成物である。
酸化セリウム粒子と糖誘導体を組み合わせて含むことで、高い反応性を持つ4種類の活性酸素種(ROS)、すなわちヒドロキシルラジカル(OH)、スーパーオキサイド(O2 -・)、一重項酸素(12)、及び過酸化水素(H22)の何れにも優れた活性酸素消去能を示す。
本発明の好ましい形態では、前記糖誘導体は、糖、糖アルコール、糖酸、配糖体から選ばれる。また、好ましくは糖アルコールであり、ソルビトール又はマンニトールが特に好ましい。
このような糖誘導体を用いることで、優れた活性酸素消去能を発揮し、かつ生体安全性も高い。
本発明の好ましい形態では、酸化セリウム含有組成物は、酸化セリウム粒子が糖誘導体水溶液に分散したコロイドである。
本発明の好ましい形態では、酸化セリウム粒子と、糖誘導体の含有量の質量比が、1:5×10-3〜1:5である。
本発明の好ましい形態では、酸化セリウム粒子の表面に糖誘導体が付着している。
これより、水への分散安定性が得られる。
本発明の好ましい形態では、酸化セリウム含有組成物は、メタリン酸塩を含む。
これにより、pH変化を受けにくく、分散安定性も向上する。
本発明は、また、酸化セリウム粒子、及び糖誘導体を含む、酸化セリウム含有組成物の製造方法であって、
凝集した水酸化セリウム粒子を、糖誘導体水溶液により解膠することを含む。
本発明の前記糖誘導体の好ましい形態は前述の通りである。
本発明の好ましい形態では、当該製造方法は、さらに乾燥工程を含む。
これにより、保存に適した製剤を製造できる。また、このようにして製造した酸化セリウム含有組成物は、水に再分散することも可能である。
本発明の好ましい形態では、前記糖誘導体水溶液における糖誘導体濃度は、0.01〜5質量%である。
本発明の酸化セリウム含有組成物は、高い反応性を持つ4種類の活性酸素種(ROS)、すなわちヒドロキシルラジカル(OH)、スーパーオキサイド(O2 -・)、一重項酸素(12)、及び過酸化水素(H22)の何れにも優れた活性酸素消去能を示す。
また、本発明の製造方法によれば、優れた活性酸素消去能を示す酸化セリウム含有組成物を製造することができる。
OHを含む水溶液に、酸化セリウム含有組成物A(図中Ceria A)と酸化セリウム含有組成物B(図中Ceria B)を添加したときのOHの検出量を示す図である。 2 -・を含む水溶液に、酸化セリウム含有組成物A(図中Ceria A)と酸化セリウム含有組成物B(図中Ceria B)を添加したときのO2 -・の検出量を示す図である。 12を含む水溶液に、酸化セリウム含有組成物A(図中Ceria A)と酸化セリウム含有組成物B(図中Ceria B)を添加したときの12の検出量を示す図である。 22を含む水溶液に、酸化セリウム含有組成物A(図中Ceria A)と酸化セリウム含有組成物B(図中Ceria B)を添加したときの1分後及び10分後のTEMPOLの線幅の変化率を示す図である。変化率が大きいほどH22の消去能が高いと評価できる。
<1>酸化セリウム含有組成物
以下、本発明の酸化セリウム含有組成物について説明をする。
本発明の酸化セリウム含有組成物は、酸化セリウム粒子、及び糖アルコールを含む。
以下、各成分について、説明する。
(1)酸化セリウム粒子
酸化セリウム粒子は、活性酸素種の消去能がある公知のものを用いることができる。
該組成物において、酸化セリウム粒子の平均一次粒子径は、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、より好ましくは10nm以下である。
ここで、平均一次粒子径は、例えば透過型電子顕微鏡を用いて、粒子の画像を撮影し、撮影された画像から任意の10個以上の粒子について測定した直径の平均値として求めることができる。
また、動的光散乱法による散乱スペクトルの解析により行うこともできる。
(2)糖誘導体
糖誘導体としては特に制限されず、糖、糖アルコール、糖酸、及び配糖体から選ばれる。中でも、糖アルコールを好ましく用いることができ、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、グリセリンを好ましく用いることができる。
酸化セリウム含有組成物における糖誘導体の含有量は特に制限されないが、固形分全量に対し、好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。
また、酸化セリウム粒子と、糖誘導体の質量比は、好ましくは1:5×10-3〜1:5、さらに好ましくは1:5×10-3〜1:5×10-1、特に好ましくは1:5×10-3〜1:5×10-2である。
(3)組成物
前記成分を含む、本発明の酸化セリウム含有組成物は、水を含むゾル(コロイド)であってもよく、水を実質的に含まない固形物であってもよい。
酸化セリウム含有組成物における、酸化セリウム粒子及び糖誘導体の含有量は特に制限されないが、固形分全量に対し、酸化セリウム粒子及び糖誘導体の合計量で好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは55〜99.99質量%、さらに好ましくは60〜99.9質量%、特に好ましくは70〜99質量%である。
水を含むゾル(コロイド)の場合には、水の含有量は、好ましくは90〜99.9質量%、さらに好ましくは99〜99.9質量%である。
固形物の場合には、水の含有量は、好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。このような固形物は、水に再分散させることで、コロイドの形態とすることができる。
また、コロイド(固形物を再分散させた形態も含む)のpHは、好ましくは3〜7、さらに好ましくは4〜6である。
また、本発明の酸化セリウム含有組成物においては、酸化セリウム粒子の表面に糖誘導体が付着していることが好ましい。付着の形態は特に限定されないが、化学的結合、中でも配位結合であることが好ましい。
本発明の酸化セリウム含有組成物は、緩衝剤、分散剤などの成分を更に含んでいてもよい。
本発明では、例えば、メタリン酸塩を用いることが好ましい。メタリン酸塩としては、例えばメタリン酸ナトリウムが挙げられる。また、メタリン酸塩を用いる場合の濃度は、酸化セリウム粒子に対する質量比で、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10である。
これにより、酸化セリウム含有組成物を他の原料などと混合して、各機能を有する組成物を調製する際に、pHの影響を受けにくいという効果が得られ、また、分散安定性も向上する。
<2>酸化セリウム含有組成物の製造方法
本発明の酸化セリウム含有組成は、例えば、以下の3工程を経ることで製造することができる。
1.水酸化セリウムの沈殿を得る。
2.水酸化セリウムの沈殿を溶液から分離精製する。
3.分離した水酸化セリウムを糖誘導体水溶液に分散する。
前記1.の水酸化セリウムの沈殿を得る方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
セリウム塩のモル数の2倍量以上であるアルカリ金属の水酸化物やアンモニアの水溶液と、セリウム塩又はセリウム塩水溶液を混合し、セリウムの水酸化物を生成させた後、固液分離と分離した固体部分のエタノール等での洗浄を繰り返し、水酸化セリウムの沈殿物を得る方法が挙げられる。
また、超音波照射下で、アルカリ金属の水酸化物やアンモニアの水溶液と、セリウム塩又はセリウム塩水溶液を混合し、セリウムの水酸化物を生成させた後、徐々に約100℃まで昇温し、熟成させる方法が挙げられる。
前記2.の分離精製の方法としては、遠心分離とエタノール洗浄等を繰り返す方法が挙げられる。
前記3.の分散の方法としては、水酸化セリウムの沈殿に、糖誘導体水溶液を添加し、攪拌した後、60〜80℃で、18〜48時間静置する方法が挙げられる。
当該工程により、水酸化セリウムが糖誘導体分子と配位などしながら解膠しコロイド化して分散が進む過程と水酸化物から酸化物への結晶化が進む過程が同時に進行する。
なお、分離した水酸化セリウムの沈殿物を糖アルコール水溶液等の糖誘導体水溶液に分散させる方法に代えて、水酸化セリウムを一旦酸化セリウムに変換した後に、これを糖誘導体水溶液に分散させてもよい。
例えば、酸化セリウム粒子をゾル(コロイド)として得た場合には、糖誘導体又はその水溶液を添加し、攪拌した後、60〜80℃で、18〜48時間静置して、本発明の酸化セリウム組成物を調製することが挙げられる。
このようにして得られた、コロイドである糖誘導体を含む酸化セリウム含有組成物は、乾燥することで、固形物とすることもできる。
また、固形物の酸化セリウム含有組成物を再度水に混合することで、コロイドを調製することができる。
乾燥の方法は、各必須成分の構造が維持される限り特に限定されないが、加熱乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。
<3>抗酸化剤
本発明の酸化セリウム含有組成物は、4種類の活性酸素種(ROS)、すなわちヒドロキシルラジカル(OH)、スーパーオキサイド(O2 -・)、一重項酸素(12)、及び過酸化水素(H22)の何れにも優れた活性酸素消去能を示す。
従って、本発明の酸化セリウム含有組成物は、抗酸化剤とすることが好ましい。
<4>酸化セリウム含有組成物を含む組成物
本発明の酸化セリウム含有組成物は、必要に応じて他の原料と組み合わせることで、抗酸化用の医薬組成物、食品組成物、化粧料組成物等とすることが可能である。
具体的には、酸化ストレスにより引き起こされる疾患や状態の予防又は改善に用いるための医薬組成物、食品組成物、化粧料組成物とすることが可能である。
前記疾患として、アルツハイマーやパーキンソン病などの神経変性疾患が挙げられる。
医薬組成物の形態としては、経口医薬組成物が好ましく挙げられる。
以下、本発明について、実施例を示しながらより詳細に説明する。
<1>試験1
本発明は、糖アルコールを添加することによる、酸化セリウム含有組成物の効果を確認するために行った。
(1)試料
以下の2種の試料を調製した。
〔酸化セリウム含有組成物A(実施例)〕
表1に示す原料を準備した。
0.1M硝酸セリウム水溶液と0.1Mアンモニア水を混合し、よく攪拌した。
続いて、得られた混合物について、遠心分離装置を用いて固液分離した。得られた固体部分(残渣)にエタノール40mlを添加し、スパーテルで残渣をほぐしながら、よく攪拌した。
前記と同様に遠心分離装置を用いて、固液分離をした。
再度、エタノールの添加と攪拌、固液分離を行った。
得られた固体部分(残渣)を0.1質量%ソルビトール水溶液300mlに分散させ、よく攪拌した後、75℃恒温槽に入れて24時間静置し解膠することで、コロイドである酸化セリウム含有組成物を得た。得られた酸化セリウム含有組成物は黄色透明であった。
得られた酸化セリウム含有組成物25.00gを測りとり、恒温槽に入れて乾燥させたときの重量変化から固形分量を測定し、固形分量からソルビトール量を減ずることで、酸化セリウム含有量を計算した。
得られた酸化セリウム含有組成物25.00gにおける酸化セリウム含有量は0.03g、ソルビトール量は0.025gであった。
〔酸化セリウム含有組成物B(比較例)〕
ソルビトール水溶液を用いた解膠を行う代わりに、精製水を添加することにより、コロイドである酸化セリウム含有組成物を調製し、酸化セリウム含有組成物Bを得た。得られた酸化セリウム含有組成物は白色であった。
(2)評価方法
前述した酸化セリウム含有組成物A及びBについて、ヒドロキシルラジカル(OH)、スーパーオキサイド(O2 -・)、一重項酸素(12)、及び過酸化水素(H22)の消去能を評価した。
(2−1)ヒドロキシルラジカル(OH)の発生及び測定
超音波発生装置(Spin Nanotechnology IV−2,Nimo)を使用し、OHと一重項酸素(12)を同時に、反応混合液中に発生させた[参考文献:1-4]。酸化セリウム含有組成物と、10mMのDMPOを含むBis-Tris-HCl緩衝液(pH7.0,最終濃度:50mM)を混合し、反応混合液を作成した。一定量(1mL)の反応混合液を、ガラス試験管(外径:φ15mm,壁厚:0.8mm,全長:85mm)に入れ、超音波(1650kHz,50W)を1分間照射した。超音波照射終了後、一定量(約50μL)を速やかにガラスキャピラリー(外径:φ1.3mm,内径:φ0.8mm,全長:120mm)に移し、パテで封をした後に、キャビティ内に固定されたEPR試料管に挿入した。X-bandEPR装置(JEF-FA100,JEOL)を用いて、以下の条件でDMPOとOHの反応生成物であるDMPO-OHの測定を行った。
マイクロ波周波数:9.45GHz、マイクロ波パワー:4mW、中心磁場:336.5mT、掃引幅:±5mT、掃引解像度:8192points、掃引時間:120秒、時定数:0.1秒、磁場変調周波数:100kHz、変調幅:0.063mT。照射終了後から測定開始までは60秒であった。
得られたDMPO-OHのシグナルの二重積分値からスピン数を求めた。DMPO-OHの濃度は既知の濃度の1-Oxyl-2,2,6,6-tetramethyl-4-hydroxypiperidine(TEMPOL)水溶液のスピン数に基づいて算出した。
〔参考文献〕
1. Kohno M, Mokudai T, Ozawa T, Niwano Y. Free radical formation from sonolysis of water in the presence of different gases. J Clin Biochem Nutr. 2011; 49(2): 96-101.
2. Tada M, Niwano Y, Kohno M. Generation Mechanism of Deferoxamine Radical by Tyrosine-Tyrosinase Reaction. Anal Sci. 2015; 31(9): 911-916.
3. Nakamura K, Kanno T, Ikai H, et al. Reevaluation of quantitative ESR spin trapping analysis of hydroxyl radical by applying sonolysis of water as a model system. Bull Chem Soc Jpn. 2010; 3: 1037-1046.
4. Matsumura Y, Iwasawa A, Kobayashi, T, et al. Detection of High-frequency Ultrasound-induced Singlet Oxygen by the ESR Spin-trapping Method. Chem. Lett. 2013; 42(10): 1291-1293.
(2−2)一重項酸素(12)の発生と測定
OHの発生と同様に、超音波発生装置を使用し、OHと12を同時に、反応混合液中に発生させた。生じた12を、TPCを用いて選択的に検出した。酸化セリウム含有組成物と、5mMのTPCを含むTris-HCl緩衝液(pH8.0,最終濃度:50mM)を混合し、反応混合液を作成した。一定量(1mL)の反応混合液を、ガラス試験管(外径:φ15mm,壁厚:0.8mm,全長:85mm)に入れ、超音波(1650kHz,50W)を5分間照射した。超音波照射終了後、一定量(約50μL)を速やかにガラスキャピラリー(外径:φ1.3mm,内径:φ0.8mm,全長:120mm)に移し、パテで封をした後に、キャビティ内に固定されたEPR試料管に挿入した。X-bandEPR装置(JEF-FA100,JEOL)を用いて、以下の条件でTPCと12の反応生成物であるTPCラジカルの測定を行った。
マイクロ波周波数:9.45GHz、マイクロ波パワー:4mW、中心磁場:336.5mT、掃引幅:±5mT、掃引解像度:8192points、掃引時間:120秒、時定数:0.1秒、磁場変調周波数:100kHz、変調幅:0.063mT。照射終了後から測定開始までは60秒であった。
得られたTPCラジカルのシグナルの二重積分値からスピン数を求めた。TPCラジカルの濃度は既知の濃度のTEMPOL水溶液のスピン数に基づいて算出した
(2−3)スーパーオキサイド(O2 -・)の発生と測定
ヒポキサンチン(HPX)-キサンチンオキシダーゼ(XOD)による酵素反応によりスーパーオキサイド(O2 -・)を生成させた。スーパーオキサイド(O2 -・)の検出にはDMPOを用いた。DMPOとO2 -・の反応生成物(DMPO-OOH)のシグナルを安定化させるため、Dimethylsulfoxide(DMSO)を反応液中に加えた。HPX、DMPO、DMSOならびに酸化セリウム含有組成物を含むBis-Tris-HCl緩衝液(pH7.0)に、XODを混合することで酵素反応を開始させた。試薬の最終濃度は、HPX(0.25mM)、XOD(0.1U/mL)、DMPO(0.67M)、DMSO(3.5M)、Bis-Tris-HCl緩衝(50mM)であった。
酵素反応開始後、一定量(約50μL)を速やかにガラスキャピラリー(外径:φ1.3mm,内径:φ0.8mm,全長:120mm)に移し、パテで封をした後に、キャビティ内に固定されたEPR試料管に挿入した。X-bandEPR装置(JEF-FA100,JEOL)を用いて、以下の条件でDMPOとO2 -・の反応生成物であるDMPO-OOHのEPRシグナルを測定した。
マイクロ波周波数:9.45GHz、マイクロ波パワー:4mW、中心磁場:336.5mT、掃引幅:±5mT、掃引解像度:8192points、掃引時間:120秒、時定数:0.1秒、磁場変調周波数:100kHz、変調幅:0.063mT。酵素反応開始から測定開始までは60秒であった。
得られたDMPO-OOHのシグナルの二重積分値からスピン数を求めた。DMPO-OOHの濃度は既知の濃度のTEMPOL水溶液のスピン数に基づいて算出した
(2−4)過酸化水素(H22)の分解と溶存酸素量評価
H2O2の分解反応により酸素と水が生じる(式1)。
TEMPOLのEPRシグナルは、生じた酸素のスピンとのスピン-スピン相互作用により線幅の広がりを見せる。酸素濃度増加によるスピン-スピン緩和時間(T)に関係した線幅の広がりからH2O2消去能を評価した。
2H2O2→O2+H2O (式1)
40分間の窒素ガスバブリング操作により、TEMPOLとH2O2の混合液の脱酸素処理を行った。TEMPOLとH2O2の混合液(180μL)と、酸化セリウム含有組成物(20μL)を混合し、反応を開始させた。試薬の最終濃度は、TEMPOL(200μM)、 H2O2(250mM)であった。反応開始後、速やかにガラスキャピラリー(外径:φ1.3mm,内径:φ0.8mm,全長:120mm)を混合液で満たし、キャピラリーの両端をパテで密封した後に、キャビティ内に固定されたEPR試料管に挿入した。X-bandEPR装置(JEF-FA100,JEOL)を用いて、以下の条件でTEMPOLのEPRシグナルを測定した。
マイクロ波周波数:9.45GHz、マイクロ波パワー:4mW、中心磁場:336.8mT、掃引幅:±0.5mT、掃引解像度:8192points、掃引時間:60秒、時定数:0.1秒、磁場変調周波数:100kHz、変調幅:0.05mT。反応開始から測定開始までは60秒であった。
TEMPOLのEPRシグナルの高さ(signalheight)を記録し、(signalheight)1/2の値を算出することで線幅の値を求めた。
(3)結果
結果を、図1〜4に示す。
(3−1)OH消去能評価
図1にDMPO-OHを検出した結果を示す。1分間の超音波の照射によって、約8μMのDMPO-OHが検出された。したがって、それに相応する濃度のOHが検出された。0.1質量%の酸化セリウム含有組成物Aを含む反応混合液ではDMPO-OHの濃度が低下した。この結果から、酸化セリウム含有組成物AによるOHの消去が示唆された。一方、0.1質量%の酸化セリウム含有組成物Bを含む反応混合液ではDMPO-OHの濃度が増加した。これは、酸化セリウム含有組成物Bの有する酸化力に由来するものであると予想される。
(3−2)12消去能評価
図2にTPCラジカルを検出した結果を示す。5分間の超音波の照射によって、約11μMのTPCラジカルが検出された。したがって、それに相応する濃度の12が検出された。0.1質量%の酸化セリウム含有組成物Aを含む反応混合液ではTPCラジカルの濃度が低下した。この結果から、酸化セリウム含有組成物Aによる12の消去が示唆された。酸化セリウム含有組成物Aの12消去能は酸化セリウム含有組成物Bと比較して高かった。
(3−3)O2 -・消去能評価
図3にDMPO-OOHを検出した結果を示す。HPX-XOD反応によって、約19μMのDMPO-OOHが検出された。したがって、それに相応する濃度のO2 -・が検出された。0.1質量%の酸化セリウム含有組成物Aを含む反応混合液ではDMPO-OOHは観察されなかった。この結果から、酸化セリウム含有組成物AによるO2 -・の消去が示唆された。0.1質量%の酸化セリウム含有組成物Bの添加では、DMPO-OOHの濃度はほとんど変化しなかった。
(3−4)H22消去能評価
図4に、TEMPOLの線幅の変化を示す。脱酸素条件の結果と比較して、0.1質量%の酸化セリウム含有組成物Aを添加することで、TEMPOLの線幅は時間依存的に増加した。この結果から、キャピラリー内の溶存酸素量の経時的な増加が示唆された。これはH22の分解による結果であると考えられる。時間当たりのTEMPOLの線幅の増大量は、酸化セリウム含有組成物Bの方が大きかった。したがって、H22消去能に関しては酸化セリウム含有組成物Bの方が高い値を示した。
(3−5)まとめ
酸化セリウム含有組成物は本実験で検出したDMPO-OH等の反応生成物を還元、消去することはなかった。以上のとおり、酸化セリウム粒子とソルビトールを含む酸化セリウム含有組成物Aは、4つのROSに対して、高い消去能を示した。特に、OH、12、2 -・の消去能は、異なる手法で製造した酸化セリウム含有組成物Bと比較して高い値を示した。
以上より、酸化セリウム粒子と糖アルコールを含む酸化セリウム含有組成物は、抗酸化剤として利用できることが分かった。
本発明は、酸化ストレスに起因する疾患の予防や治療のための組成物に応用できる。

Claims (12)

  1. 酸化セリウム粒子、及び糖誘導体を含む、酸化セリウム含有組成物。
  2. 前記糖誘導体が、糖、糖アルコール、糖酸、及び配糖体から選ばれる、請求項1に記載の酸化セリウム含有組成物。
  3. 前記糖誘導体が糖アルコールであり、該糖アルコールが、ソルビトール又はマンニトールである、請求項2に記載の酸化セリウム含有組成物。
  4. 酸化セリウム粒子が糖誘導体水溶液に分散したコロイドである、請求項1〜3の何れかに記載の酸化セリウム含有組成物。
  5. 酸化セリウム粒子と、糖誘導体の含有量の質量比が、1:5×10-3〜1:5である、請求項1〜4の何れかに記載の酸化セリウム含有組成物。
  6. 酸化セリウム粒子の表面に糖誘導体が付着している、請求項1〜5の何れかに記載の酸化セリウム含有組成物。
  7. さらにメタリン酸塩を含む、請求項1〜6の何れかに記載の酸化セリウム含有組成物。
  8. 酸化セリウム粒子、及び糖誘導体を含む、酸化セリウム含有組成物の製造方法であって、
    凝集した水酸化セリウム粒子を、糖誘導体水溶液により解膠することを含む、製造方法。
  9. 前記糖誘導体が、糖、糖アルコール、糖酸、及び配糖体から選ばれる、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記糖誘導体が、糖アルコールであり、該糖アルコールが、ソルビトール又はマンニトールである、請求項8又は9に記載の製造方法。
  11. さらに乾燥工程を含む、請求項8〜10の何れかに記載の製造方法。
  12. 前記糖誘導体水溶液における糖誘導体濃度は、0.01〜5質量%である、請求項8〜11の何れかに記載の製造方法。

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