以下に、本発明の実施形態に係る電子時計につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1から図12を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、電子時計に関する。図1は、第1実施形態に係る電子時計の正面図、図2は、第1実施形態に係る電子時計のブロック図、図3は、第1実施形態に係る静電モータの概略構成図、図4は、第1実施形態に係る静電モータの概略斜視図、図5は、運針制御の一例を示す図、図6は、第1実施形態に係る昇圧回路の図、図7は、昇圧回路の第一の状態を示す図、図8は、昇圧回路の第二の状態を示す図、図9は、第1実施形態に係る停止モードを説明する図、図10は、昇圧回路における電力消費を説明する図、図11は、第1実施形態の停止モードに係るタイムチャート、図12は、第1実施形態の動作を示すフローチャートである。
本実施形態の電子時計1は、図1に示すように、秒針2、分針3、および時針4によって時刻を表示するアナログ電子時計である。電子時計1は、外装ケース31、文字板32、秒針2、分針3、時針4、および操作部18を有する。本実施形態の電子時計1は、ユーザの腕に装着される腕時計である。電子時計1は、三つの指針(秒針2、分針3、および時針4)によって現在の時刻を表示する。
文字板32は、目盛り33および時字34を有する。目盛り33は、指針によって指し示される指標である。目盛り33は、文字板32の外縁部に、周方向に沿って所定の間隔で配置されている。時字34は、各目盛り33に対応する時刻を示す数字である。操作部18は、ユーザによって操作される操作入力部である。本実施形態の操作部18は、リューズである。
外装ケース31には、節電表示35および充電警告表示36が設けられている。節電表示35は、電子時計1のモードが停止モードであることを表示する文字や記号である。電子時計1は、後述するように、秒針2が節電表示35を指し示すことで現在のモードが停止モードであることをユーザに示す。本実施形態の節電表示35は、12時の位置に配置されている。電子時計1は、後述するように、充電警告状態である場合に秒針2が充電警告表示36を指し示す。本実施形態の充電警告表示36は、4時の位置に配置されている。なお、節電表示35および充電警告表示36は、文字板32に設けられてもよい。
図2に示すように、電子時計1は、更に、輪列5、静電モータ11、電磁モータ12、静電モータ駆動回路13、定電圧源14、昇圧回路15、発電機構16、電源17、および制御回路20を有する。
輪列5は、静電モータ11と秒針2との間に介在している。輪列5は、少なくとも一つの歯車を有する減速輪列であり、静電モータ11が発生する回転力を秒針2に伝達する。輪列5は、文字板32に対して背面側に配置されている。輪列5は、静電モータ11の回転軸の回転を所定の減速比で変速して秒針2に伝達する。
静電モータ11は、静電材料としてエレクトレットを用い、エレクトレット膜と固定電極との間の静電的な相互作用を利用して回転子を回転駆動するエレクトレットモータである。静電モータ11の構成の詳細については、後述する。静電モータ駆動回路13は、静電モータ11に対する駆動電流を制御する回路である。
電磁モータ12は、電磁誘導を利用したモータであり、例えば、ステッピングモータである。電磁モータ12は、駆動状態と一時停止保持状態とを繰り返す間欠駆動によって分針3および時針4を回転させる。電磁モータ12は、例えば、減速輪列を介して分針3および時針4と連結されている。電磁モータ12は、分針3および時針4を運針させる。
電源17は、静電モータ11および電磁モータ12に対して駆動用の電力を供給する。本実施形態の電源17は、二次電池である。本実施形態の電源17の出力電圧は、低圧であり、例えば、2〜3[V]である。電源17には、発電機構16が接続されている。電源17は、発電機構16によって発電された電力によって蓄電される。本実施形態の発電機構16は、静電誘導型の発電機構である。発電機構16は、電子時計1が装着されている腕の動き等によって回転する回転子の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。もちろん、太陽発電機構、電磁発電機構、熱発電機構、静電誘導発電などの機構を、発電機構16として用いてもよい。
定電圧源14は、電源17と昇圧回路15との間に設けられている。定電圧源14は、電源17の出力電圧を予め定められた所定電圧に降圧して昇圧回路15に供給する。定電圧源14は、電源17の出力電圧が変動した場合にも昇圧回路15の入力電圧を一定に保つことができるように構成されている。定電圧源14は無くても構わない。
昇圧回路15は、定電圧源14から入力する電圧を昇圧して静電モータ駆動回路13に供給する。本実施形態の昇圧回路15は、所定の倍率で電圧を昇圧する。昇圧回路15の詳細については後述する。定電圧源14がない場合には、電源17が二次電池などのように電圧が変動するため、昇圧倍率を複数用意しておいて、昇圧回路15の後段の電圧が概同じになるように昇圧倍率を切り替えても構わない。
静電モータ駆動回路13は、昇圧回路15を介して供給される電力によって静電モータ11を駆動する回路である。静電モータ駆動回路13は、昇圧回路15と静電モータ11との間に介在している。
制御回路20は、静電モータ11、電磁モータ12、および昇圧回路15を制御する回路である。つまり、本実施形態の制御回路20は、静電モータ11を制御するモータ制御回路の機能、および昇圧回路15を制御する電圧制御回路の機能を有する。
静電モータ11は、図3および図4に示すように、回転子40、回転軸41、および固定子50を有する。本実施形態の回転子40および固定子50は、それぞれ円盤形状であるが、固定子50は円盤形状に限定されず、四角などの形状でも良い。本実施形態の固定子50は、回転不能なように筐体等に対して固定されている。回転軸41は、回転子40に対して固定されている。回転軸41は、筐体等によって回転自在に支持されている。回転子40は、固定子50と同軸上に、かつ固定子50に対して隙間をあけて対向している。
回転子40は、シリコン基板、帯電用の電極面が設けられたガラスエポキシ基板、あるいはアルミ板などの基板材料により形成された円盤形状の部材である。回転子40において、固定子50と対向する面には、複数のエレクトレット膜42が形成されている。エレクトレット膜42は、回転軸41を中心とする回転方向に沿って等間隔で配置されている。エレクトレット膜42は、エレクトレット材料で構成されている薄膜である。本実施形態のエレクトレット膜42は、マイナスの電位に帯電している。回転子40には、隣接するエレクトレット膜42の間に貫通孔43が形成されている。
固定子50において、回転子40と対向する面には複数の固定電極51,52,53が配置されている。本実施形態の静電モータ11は、U相、V相、W相の三相式のモータである。固定電極51は、U相に対応する電極であり、以下の説明では「第一電極51」と称する。固定電極52は、V相に対応する電極であり、以下の説明では「第二電極52」と称する。固定電極53は、W相に対応する電極であり、以下の説明では「第三電極53」と称する。第一電極51、第二電極52、および第三電極53は、回転子40の回転方向に沿って等間隔で配置されている。
固定子50には、第一電極51、第二電極52、および第三電極53からなる電極群54が複数配置されている。複数の電極群54は、回転子40の回転方向に沿って等間隔で配置されている。
各第一電極51は、共通の第一配線を介して静電モータ駆動回路13に電気的に接続されている。つまり、各第一電極51には、共通の駆動パルスが入力される。同様に、各第二電極52は、共通の第二配線を介して静電モータ駆動回路13に電気的に接続されており、各第三電極53は、共通の第三配線を介して静電モータ駆動回路13に電気的に接続されている。従って、各第二電極52には、静電モータ駆動回路13から共通の駆動パルスが入力され、各第三電極53には、静電モータ駆動回路13から共通の駆動パルスが入力される。
各電極51,52,53は、駆動パルスによって生じる極性に応じてエレクトレット膜42との間に引力あるいは斥力を発生させる。静電モータ駆動回路13は、各電極51,52,53からエレクトレット膜42に作用する静電力によって、回転子40を回転させ、あるいは回転子40を停止させる。
図5には、回転子を回転駆動する制御の一例が示されている。図5の(a)に示す状態では、エレクトレット膜42の中央部42aが第一電極51と対向している。この場合、静電モータ駆動回路13は、第一電極51を負極とし、第二電極52および第三電極53を正極とする。これにより、第一電極51はエレクトレット膜42に対して静電斥力を作用させ、第二電極52および第三電極53はエレクトレット膜42に対して静電引力を作用させる。回転方向CWの前方に位置する第二電極52および第三電極53から静電引力が作用することで、エレクトレット膜42に対して回転方向CWへ向かう回転力が付与される。また、回転方向CWの後方に位置する第一電極51から静電斥力が作用することで、エレクトレット膜42に対して回転方向CWへ向かう回転力が付与される。
図5の(b)に示す状態では、エレクトレット膜42の中央部42aが第二電極52と対向している。この場合、静電モータ駆動回路13は、第二電極52を負極とし、第一電極51および第三電極53を正極とする。第一電極51および第三電極53からエレクトレット膜42に対して作用する静電引力と、第二電極52からエレクトレット膜42に対して作用する静電斥力とにより、エレクトレット膜42に対して回転方向CWへ向かう回転力が付与される。
図5の(c)に示す状態では、エレクトレット膜42の中央部42aが第三電極53と対向している。この場合、静電モータ駆動回路13は、第三電極53を負極とし、第一電極51および第二電極52を正極とする。第一電極51および第二電極52からエレクトレット膜42に対して作用する静電引力と、第三電極53からエレクトレット膜42に対して作用する静電斥力とにより、エレクトレット膜42に対して回転方向CWへ向かう回転力が付与される。静電モータ駆動回路13は、エレクトレット膜42の回転位置に応じて第一電極51、第二電極52、および第三電極53の極性を順次切り替えることにより、回転子40を回転させる。
図6に示すように、昇圧回路15は、第一コンデンサ21、第二コンデンサ22、第三コンデンサ23、第四コンデンサ24、第一スイッチ25、および第二スイッチ26を有する。昇圧回路15は、以下に説明するように、第一コンデンサ21、第二コンデンサ22、および第三コンデンサ23を定電圧源14に対して並列あるいは直列に交互につなぎ替えることで、定電圧源14の出力電圧を昇圧して第四コンデンサ24に蓄電する。
第一スイッチ25および第二スイッチ26は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のスイッチング素子である。昇圧回路15は、第一スイッチ25として、六つのスイッチ25a,25b,25c,25d,25e,25fを有する。スイッチ25aは、定電圧源14と第一コンデンサ21の第一電極21aとを接続および遮断する。スイッチ25bは、定電圧源14と第二コンデンサ22の第一電極22aとを接続および遮断する。スイッチ25cは、定電圧源14と第三コンデンサ23の第一電極23aとを接続および遮断する。スイッチ25dは、第一コンデンサ21の第二電極21bと第四コンデンサ24の第二電極24bとを接続および遮断する。スイッチ25eは、第二コンデンサ22の第二電極22bと第四コンデンサ24の第二電極24bとを接続および遮断する。スイッチ25fは、第三コンデンサ23の第二電極23bと第四コンデンサ24の第二電極24bとを接続および遮断する。
昇圧回路15は、第二スイッチ26として、四つのスイッチ26a,26b,26c,26dを有する。スイッチ26aは、定電圧源14と、第一コンデンサ21の第二電極21bおよび第四コンデンサ24の第二電極24bとを接続および遮断する。スイッチ26bは、第一コンデンサ21の第一電極21aと第二コンデンサ22の第二電極22bとを接続および遮断する。スイッチ26cは、第二コンデンサ22の第一電極22aと第三コンデンサ23の第二電極23bとを接続および遮断する。スイッチ26dは、第三コンデンサ23の第一電極23aと第四コンデンサ24の第一電極24aとを接続および遮断する。第四コンデンサ24の第一電極24aは、静電モータ駆動回路13の入力に接続されている。
第一スイッチ25がオンとされ、かつ第二スイッチ26がオフとされることで、昇圧回路15は、図7に示す回路と等価な回路となる。図7に示すように、第一コンデンサ21、第二コンデンサ22、および第三コンデンサ23は、それぞれ定電圧源14に対して並列に接続される。従って、三つのコンデンサ21,22,23は、定電圧源14の出力電圧によって蓄電される。
一方、第一スイッチ25がオフとされ、かつ第二スイッチ26がオンとされることで、昇圧回路15は、図8に示す回路と等価な回路となる。図8に示すように、第一コンデンサ21、第二コンデンサ22、および第三コンデンサ23は、定電圧源14に対して直列に接続される。第四コンデンサ24は、定電圧源14および三つのコンデンサ21,22,23と並列に接続され、定電圧源14および三つのコンデンサ21,22,23によって蓄電される。すなわち、定電圧源14の電圧が四倍に昇圧されて第四コンデンサ24に蓄電される。また、昇圧回路15によって昇圧された電圧は、静電モータ駆動回路13に供給される。
制御回路20は、第一スイッチ25を制御する信号、および第二スイッチ26を制御する信号をそれぞれ出力する。また、制御回路20は、電子時計1の制御に関する各種のクロック信号を生成および出力する。制御回路20は、昇圧回路を図7に示す状態とする第一制御信号、および昇圧回路15を図8に示す状態とする第二制御信号を交互に出力する。昇圧回路15は、制御回路20からの制御信号に応じて、図7に示す状態と、図8に示す状態とを交互に繰り返しながら、静電モータ駆動回路13に対して昇圧電圧を供給する。
本実施形態の制御回路20は、運針モードおよび停止モードを選択的に実行する。運針モードは、秒針2を回転させる制御モードである。運針モードは、秒針2、分針3、および時針4の全てを運針させる通常モードである。制御回路20は、運針モードにおいて、電磁モータ12によって分針3および時針4を運針させ、静電モータ11によって秒針2を運針させる。すなわち、運針モードでは、秒針2、分針3、および時針4の全てが現在時刻に対応する位置を指し示す。運針モードにおいて、制御回路20は、図5を参照して説明したように静電モータ11を回転駆動して、秒針2を連続回転させる。
停止モードは、秒針2を停止させておく制御モードである。停止モードは、分針3および時針4を運針させつつ秒針2を停止させておく節電モードである。制御回路20は、停止モードにおいて、電磁モータ12によって分針3および時針4を運針させ、静電モータ11によって秒針2を停止させる。本実施形態の制御回路20は、以下に説明するように、停止モードにおいて、固定電極51,52,53の極性を維持したままで静電モータ11の回転子40を停止させておく。本実施形態の電子時計1は、停止モードにおいて固定電極51,52,53の極性を切り替えないことで、秒針2の指針位置を保持しつつ消費電力を低減することができる。
図9を参照して、停止モードにおける静電モータ11の動作について説明する。制御回路20は、停止モードにおいて、対向電極によってエレクトレット膜42に対して静電引力F1を作用させる。ここで、対向電極は、複数の固定電極51,52,53のうち、エレクトレット膜42の中央部42aと対向している電極である。図9では、第三電極53がエレクトレット膜42の中央部42aと対向している。この場合、第三電極53が対向電極となる。
停止モードにおいて、制御回路20は、対向電極を正極とする。つまり、制御回路20は、対向電極の極性をエレクトレット膜42の極性とは逆の極性とする。図9では、対向電極である第三電極53をプラスの正極としている。第三電極53は、エレクトレット膜42に対して静電引力F1を作用させる。静電引力F1は、エレクトレット膜42の回転位置を第三電極53と対向する位置に維持するように働く。すなわち、エレクトレット膜42が第三電極53から遠ざかるように回転子40が回転しようとすると、静電引力F1によってその動きが規制される。
停止モードにおいて、制御回路20は、隣接電極によってエレクトレット膜42に対して静電斥力を作用させる。ここで、隣接電極は、複数の固定電極51,52,53のうち、対向電極と隣接している電極である。図9では、第一電極51および第二電極52が隣接電極である。
停止モードにおいて、制御回路20は、隣接電極を負極とする。図9では、隣接電極である第一電極51および第二電極52がそれぞれマイナスに帯電している。第一電極51および第二電極52は、それぞれエレクトレット膜42に対して静電斥力F2を作用させる。第二電極52が発生させる静電斥力F2は、回転方向CWに向かう斥力である。一方、第一電極51が発生させる静電斥力F2は、回転方向CWとは逆方向に向かう斥力である。従って、静電斥力F2は、エレクトレット膜42の回転位置を第三電極53と対向する位置に維持するように働く。すなわち、エレクトレット膜42が第三電極53から遠ざかるように回転子40が回転しようとすると、静電斥力F2によってその動きが規制される。このため、回転子40は各エレクトレット膜42に静電引力F1、静電斥力F2が働くため、保持力が発生し、停止モードにおける電子時計1に加わる衝撃などによる指針の位置ずれを防止できる。
制御回路20は、停止モードにおいて、対向電極(ここでは、第三電極53)の極性をプラスに維持し、かつ隣接電極(ここでは、第一電極51および第二電極52)の極性をマイナスに維持する。各固定電極51,52,53の極性が切り替えられないことで、静電モータ11における消費電力が低減される。
図10は静電モータ動作時の昇圧回路における電力消費を説明する図である。図10を参照して、固定電極51,52,53の極性が切り換えられることによる電力消費について説明する。図10には、昇圧クロック信号SW、昇圧電圧VW、および電流波形IWが示されている。昇圧クロック信号SWは、昇圧回路15における昇圧動作の切り替え信号である。昇圧クロック信号SWのオン/オフに応じて、上記の第一制御信号および第二制御信号が切り替えられる。
昇圧電圧VWは、静電モータ駆動回路13に対して供給される電圧である。電流波形IWは、昇圧回路15を流れる電流値である。昇圧クロック信号SWがオンとオフの間で切り替わるごとに大きな電流が瞬間的に流れ、電流波形IWがスパイク状に立ち上がる。図10では、時刻t1において固定電極51,52,53の極性が切り替えられる。極性の切り換えに伴い、寄生容量等によって一時的に昇圧電圧VWが低下する。その結果、低下した昇圧電圧VWを戻すために、電流を流す必要があるため、昇圧回路15における消費電力が増加する。
昇圧クロック信号SWに応じたクロック動作の切り換わりにより、レベルシフタの貫通電流や、スイッチ25,26におけるドライバーのゲートの充放電電流によって電力が消費される。つまり、クロック動作によって、昇圧回路15における電力消費量が増加する。昇圧回路15における電力消費量は、昇圧クロック信号SWおよび昇圧電圧VWに依存する。例えば、昇圧クロック信号SWの周波数が大きいほど消費電力が大きくなり、昇圧電圧VWが高いほど消費電力が大きくなる。
本実施形態の電子時計1では、停止モードにおいて固定電極51,52,53の極性の切り換えが行われない。よって、本実施形態の電子時計は、停止モードにおける消費電力を低減させることができる。図11には、停止モードにおける昇圧クロック信号SW2、昇圧電圧VW2、および電流波形IW2が示されている。固定電極51,52,53の極性の切り換えがないことで、図11に示すように、昇圧電圧VW2に変動が生じない。
更に、本実施形態の制御回路20は、停止モードにおいて、昇圧回路15の消費電力を運針モードにおける昇圧回路15の消費電力よりも低減させる制御を実行する。具体的な例として、本実施形態の制御回路20は、停止モードにおける昇圧回路15のクロック数を運針モードにおけるクロック数よりも低くする。昇圧回路15のクロック数Nは、例えば、単位時間当りの昇圧クロック信号SWのパルス数である。図11には、比較のために、運針モードにおける昇圧クロック信号SW1が破線で示されている。
ここでは、運針モードにおけるクロック数Nを第一クロック数N1と称し、停止モードにおけるクロック数Nを第二クロック数N2と称する。本実施形態では、下記式(1)のようにクロック数Nが設定されている。つまり、第二クロック数N2は、第一クロック数N1よりも小さい。第二クロック数N2は、例えば、第一クロック数N1の半分の値であってもよい。
N1>N2…(1)
第二クロック数N2が第一クロック数N1よりも小さいことで、停止モードにおける昇圧回路15の消費電力が低減される。例えば、単位時間に発生する電流波形IWのスパイクが減少する。よって、本実施形態の電子時計1は、消費電力の低減と、秒針2の停止位置保持とを両立させることができる。
本実施形態の電子時計1は、例えば、図12を参照して説明するように、制御モードを切り替える。図12に示す制御フローは、例えば、所定の間隔で繰り返し実行される。ステップS10において、制御回路20は、電子時計1の制御モードを運針モードに設定する。ステップS10が実行されると、ステップS20に進む。
ステップS20において、制御回路20は、発電なしが30分以上継続しているか否かを判定する。発電機構16による発電がなされていない状態が30分以上継続している場合、ステップS20において肯定判定がなされてステップS30に進む。一方、ステップS20において否定判定がなされると、ステップS10に移行する。
ステップS30において、制御回路20は、電子時計1の制御モードを停止モードに設定する。制御回路20は、静電モータ11によって秒針2を停止させる。本実施形態の制御回路20は、予め定められた停止位置で秒針2を停止させる。秒針2の停止位置は、節電表示35を指し示す位置である。従って、制御回路20は、停止モードが設定されると、節電表示35を指し示す位置まで秒針2を運針させ、節電表示35を指し示す位置で秒針2を停止させる。
停止モードから運針モードに復帰する条件は、発電機構16による発電が検出されることである。制御回路20は、例えば、発電機構16による発電が検知され、かつ発電機構16による発電時間の累計が所定の判定値に達すると、静電モータ11を駆動して秒針2を内部時刻に対応する位置まで回転させて電子時計1の制御モードを運針モードに切り替える。内部時刻は、制御回路20内にある現在時刻を保持している現在時刻保持部から取得した時刻である。
以上説明したように、本実施形態の電子時計1は、電源17と、静電モータ11と、秒針2と、制御回路20と、を有する。静電モータ11は、回転子40と、複数の固定電極51,52,53とを有する。回転子40には、回転方向に沿って複数のエレクトレット膜42が配置されている。複数の固定電極51,52,53は、回転子40と対向する位置に回転子40の回転方向に沿って配置されている。制御回路20は、静電モータ11を制御するモータ制御回路として機能するように構成されている。
制御回路20は、秒針2を回転させる運針モード、および秒針2を停止させておく停止モードを選択的に実行する。停止モードにおいて、制御回路20は、固定電極51,52,53の極性を維持したままで、固定電極51,52,53からエレクトレット膜42に対して作用させる静電力によって回転子40を停止させておく。本実施形態の電子時計1は、停止モードにおいて固定電極51,52,53の極性を維持しておくことで、消費電力を抑制しつつ秒針2を停止させておくことができる。
本実施形態の制御回路20は、停止モードにおいて、対向電極によって、エレクトレット膜42に対して静電引力を作用させる。対向電極は、エレクトレット膜42の中央部42aと対向している固定電極51,52,53である。中央部42aは、例えば、回転方向CWにおけるエレクトレット膜42の中央部である。対向電極によってエレクトレット膜42に対して静電引力を作用させることで、秒針2を停止させておく適切な保持力を発生させることができる。
本実施形態の制御回路20は、停止モードにおいて、隣接電極によってエレクトレット膜42に対して静電斥力を作用させる。隣接電極は、対向電極と隣接している固定電極51,52,53である。隣接電極が作用させる静電斥力により、秒針2の回転を規制することができる。
本実施形態の電子時計1は、更に、昇圧回路15と、電圧制御回路と、を有する。昇圧回路15は、電源17の電圧を昇圧して静電モータ11に供給する回路である。制御回路20は、電圧制御回路としての機能を有する様に構成されている。制御回路20は、停止モードにおいて、昇圧回路15の消費電力を運針モードにおける消費電力よりも低減させる。昇圧回路15における消費電力が低減されることで、消費電力を抑制しつつ秒針2を停止させておくことができる。
本実施形態の制御回路20は、停止モードにおける昇圧回路15のクロック数(第二クロック数N2)を運針モードにおける昇圧回路15のクロック数(第一クロック数N1)よりも小さくする。これにより、停止モードにおける消費電力が低減される。
なお、本実施形態の静電モータ11は、回転子40に対して軸方向の両側に固定電極を有していてもよい。この場合、回転子40に対して、固定子50とは反対側に第二の固定子が配置される。第二の固定子には、U相、V相、およびW相の固定電極が配置される。停止モードにおいては、第二の固定子に配置された固定電極のうち、対向電極が陽極とされ、隣接電極が陰極とされる。
[第2実施形態]
図13から図18を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図13は、第2実施形態に係る静電モータの概略構成図、図14は、第2実施形態に係る静電モータの概略斜視図、図15は、第2実施形態の運針制御の一例を示す図、図16は、第2実施形態の昇圧回路を示す図、図17は、第2実施形態に係る停止モードを説明する図、図18は、第2実施形態に係る停止モードの他の例を示す図である。
図13および図14に示すように、第2実施形態に係る静電モータ11は、回転子40、回転軸41、第一固定子60A、および第二固定子60Bを有する。第一固定子60Aおよび第二固定子60Bの形状は、円盤形状であるが、固定子50は円盤形状に限定されず、四角などの形状でも良い。本実施形態の第一固定子60Aおよび第二固定子60Bは、回転子40を間に挟んで互いに対向している。つまり、第一固定子60Aは、回転子40における一方側の面と対向しており、第二固定子60Bは、回転子40における他方側の面と対向している。回転子40は、第一固定子60Aおよび第二固定子60Bと同軸上に、かつ第一固定子60Aおよび第二固定子60Bと隙間をあけて配置されている。
本実施形態の静電モータ11は、二相式のモータである。第一固定子60Aにおいて、回転子40と対向する面には固定電極としての第一電極61および第二電極62が配置されている。第一電極61および第二電極62は、回転子40の回転方向に沿って交互に配置されている。第二固定子60Bにおいて、回転子40と対向する面には固定電極としての第三電極63および第四電極64が配置されている。第三電極63および第四電極64は、回転子40の回転方向に沿って交互に配置されている。第三電極63および第四電極64は、第一電極61および第二電極62の何れとも回転位相がずれている。具体的には、隣接する第三電極63および第四電極64からなる電極対は、隣接する第一電極61および第二電極62からなる電極対に対して1/4周期ずらして配置されている。
各第一電極61は、共通の第一配線を介して静電モータ駆動回路13に電気的に接続されている。各第二電極62は、共通の第二配線を介して静電モータ駆動回路13に電気的に接続されている。各第三電極63は、共通の第三配線を介して静電モータ駆動回路13に電気的に接続されている。各第四電極64は、共通の第四配線を介して静電モータ駆動回路13に電気的に接続されている。
図15には、回転子40を回転駆動する制御の一例が示されている。図15の(a)に示す状態では、第三電極63がエレクトレット膜42の中央部42aと対向している。第一電極61および第四電極64は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWの前方に位置し、第二電極62は回転方向CWの後方に位置している。この場合に、制御回路20は、第二電極62および第三電極63を負極とし、第一電極61および第四電極64を正極とする。第二電極62は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWに向かう静電斥力を作用させる。第一電極61および第四電極64は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWに向かう静電引力を作用させる。
図15の(b)に示す状態では、第一電極61がエレクトレット膜42の中央部42aと対向している。第二電極62および第四電極64は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWの前方に位置し、第三電極63は、回転方向CWの後方に位置している。この場合に、制御回路20は、第一電極61および第三電極63を負極とし、第二電極62および第四電極64を正極とする。その結果、エレクトレット膜42に対して回転方向CWに向かう静電力が作用する。
図15の(c)に示す状態では、第四電極64がエレクトレット膜42の中央部42aと対向している。第二電極62および第三電極63は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWの前方に位置し、第一電極61は回転方向CWの後方に位置している。この場合に、制御回路20は、第一電極61および第四電極64を負極とし、第二電極62および第三電極63を正極とする。その結果、エレクトレット膜42に対して回転方向CWに向かう静電力が作用する。
図15の(d)に示す状態では、第二電極62がエレクトレット膜42の中央部42aと対向している。第一電極61および第三電極63は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWの前方に位置し、第四電極64は回転方向CWの後方に位置している。この場合、制御回路20は、第二電極62および第四電極64を負極とし、第一電極61および第三電極63を正極とする。その結果、エレクトレット膜42に対して回転方向CWに向かう静電力が作用する。
上記のように制御回路20は、第一電極61、第二電極62、第三電極63、および第四電極64の極性を順次切り替えていくことにより、回転子40に対して回転力を与える。本実施形態の静電モータ11は、第一固定子60Aおよび第二固定子60Bがそれぞれ二相の電極を有しており、実質的に四相のモータとして制御される。
図16は、第2実施形態の昇圧回路を示す図である。第2実施形態の昇圧回路15において、上記第1実施形態の昇圧回路15(図6)と異なる点は、電源17と静電モータ駆動回路13との間に第三スイッチ27が設けられている点である。第三スイッチ27がオンとされた場合、定電圧源14および昇圧回路15を介さずに電源17が静電モータ駆動回路13の入力部に接続される。この場合、電源17の出力電圧が静電モータ駆動回路13に対する入力電圧となる。
図17を参照して、第2実施形態の停止モードにおける静電モータ11の動作について説明する。制御回路20は、停止モードにおいて、対向電極によってエレクトレット膜42に対して静電引力を作用させる。図17に示す状態では、第一電極61および第三電極63がエレクトレット膜42の中央部42aと対向している。第四電極64は、エレクトレット膜42の中央部42aに対して回転方向CWの前方に位置している。第二電極62は、エレクトレット膜42の中央部42aに対して回転方向CWの後方に位置している。つまり、第一電極61および第三電極63が対向電極であり、第二電極62および第四電極64が隣接電極である。
この状態において、制御回路20は、第一電極61および第三電極63を正極とし、第二電極62および第四電極64を負極とする。第一電極61および第三電極63は、エレクトレット膜42に対して静電引力を作用させる。なお、第一電極61の位相と第三電極63の位相には位相差がある。このため、第一電極61は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWへ向かう静電引力F11を作用させる。一方、第三電極63は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWとは逆方向の静電引力F12を作用させる。これらの静電引力F11,F12は、回転方向CWにおいて互いに相殺される。つまり、回転子40は、静電引力F11,F12が釣り合う位置で停止する。
第二電極62は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWに向かう静電斥力F21を作用させる。一方、第四電極64は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWとは逆方向の静電斥力F22を作用させる。これらの静電斥力F21,F22は、互いに相殺される。つまり、回転子40は、静電斥力F21,F22が釣り合う位置で停止する。
本実施形態の制御回路20は、停止モードにおいて、昇圧回路15による昇圧を停止させ、静電モータ11に対して電源17の電圧を供給する。制御回路20は、停止モードにおいて昇圧回路15による昇圧を停止させ、第三スイッチ27をオンとする。第三スイッチ27を介して電源17と静電モータ駆動回路13とが接続される。これにより、電源17の電圧が静電モータ駆動回路13に供給される。制御回路20は、昇圧回路15による昇圧を停止させる場合、第一スイッチ25および第二スイッチ26をオフとしてもよい。
昇圧回路15による昇圧が停止されることで、昇圧回路15における電力消費が低減される。よって、本実施形態の電子時計1は、停止モードにおいて秒針2の指針位置を保持しつつ消費電力を低減することができる。
なお、制御回路20は、停止モードにおいて、静電モータ11に対して電源17の電圧よりも低い電圧を供給してもよい。例えば、停止モードにおいて、定電圧源14の出力電圧が静電モータ駆動回路13に供給されてもよい。この場合、例えば、第一スイッチ25c、第二スイッチ26dが、定電圧源14と静電モータ駆動回路13とを接続するように配置される。
なお、図17に示す停止モードでは、回転子40は、静電引力F11,F12が釣り合う位置で停止していたが、図18に示す静電力によって回転子40が停止させられてもよい。図18に示す停止モードでは、第三電極63がエレクトレット膜42に対して静電引力F13を作用させ、第一電極61、第二電極62、および第四電極64がエレクトレット膜42に対して静電斥力F23,F24,F25,F26を作用させる。より詳しくは、第一電極61は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWとは逆方向の静電斥力F23を作用させる。第二電極62は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWの静電斥力F24を作用させる。第四電極64は、エレクトレット膜42に対して回転方向CWの静電斥力F25および回転方向CWとは逆方向の静電斥力F26を作用させる。回転子40は、回転方向CWの二つの静電斥力F24,F25と、逆方向の二つの静電斥力F23,F26とが釣り合う位置において停止する。
以上説明したように、第2実施形態に係る制御回路20は、停止モードにおいて昇圧回路15による昇圧を停止させ、静電モータ11に対して電源17の電圧以下の電圧を供給することによって回転子40に静電引力F11,F12,F13、静電斥力F21,F22,F23,F24,F25,F26を印加しつつ、停止モードにおいて昇圧回路15の消費電力を低減させる。
[実施形態の第1変形例]
上記第1実施形態および第2実施形態の第1変形例について説明する。図19は、実施形態の第1変形例に係る昇圧回路を示す図、図20は、実施形態の第1変形例の昇圧回路における昇圧動作を説明する図である。実施形態の第1変形例に係る昇圧回路15において、上記第1実施形態の昇圧回路15と異なる点は、第四スイッチ28および第五スイッチ29を有する点である。
昇圧回路15は、第四スイッチ28として、二つのスイッチ28a,28bを有する。スイッチ28aは、定電圧源14の出力と、第一コンデンサ21の第一電極21aとを接続および遮断するスイッチである。スイッチ28bは、第一コンデンサ21の第二電極21bと第四コンデンサ24の第二電極24bとを接続および遮断するスイッチである。第五スイッチ29は、スイッチ26aと第一コンデンサ21の第二電極21bとを接続および遮断するスイッチである。運針モードでは、第四スイッチ28がオフとされ、かつ第五スイッチ29がオンとされる。この場合、第一スイッチ25がオンとされ、第二スイッチ26がオフとされることで、昇圧回路15は、図7に示す回路と等価な回路となる。また、第一スイッチ25がオフとされ、第二スイッチ26がオンとされることで、昇圧回路15は、図8に示す回路と等価な回路となる。
一方、停止モードでは、第四スイッチ28がオンとされ、かつ第五スイッチ29がオフとされる。この場合、第一スイッチ25がオンとされ、かつ第二スイッチ26がオフとされることで、昇圧回路15は図7に示す回路と等価な回路となる。また、第一スイッチ25がオフとされ、かつ第二スイッチ26がオンとされることで、昇圧回路15は、図20に示す回路と等価な回路となる。図20に示す回路では、第二コンデンサ22および第三コンデンサ23は、定電圧源14に対して直列に接続される。第一コンデンサ21は、定電圧源14に対して並列に接続される。従って、定電圧源14の電圧が三倍に昇圧されて第四コンデンサ24に蓄電される。つまり、第四スイッチ28および第五スイッチ29のオン/オフに応じて、昇圧回路15における昇圧倍率が三倍または四倍に切り替わる。
本変形例の制御回路20は、運針モードでは昇圧回路15の昇圧倍率を四倍とし、停止モードでは昇圧回路15の昇圧倍率を三倍とする。つまり、制御回路20は、停止モードにおける昇圧回路15の昇圧倍率を運針モードにおける昇圧回路15の昇圧倍率よりも低くする。停止モードにおける昇圧倍率が低くされることで、貫通電流も電圧に比例して下がるため、停止モードにおける昇圧回路15の消費電力が低減される。
なお、運針モードの昇圧倍率と停止モードの昇圧倍率との比率は、例示した比率には限定されない。例えば、停止モードの昇圧倍率は、運針モードの昇圧倍率の半分や1/3とされてもよい。
[実施形態の第2変形例]
上記第1実施形態および第2実施形態の第2変形例について説明する。図21は、実施形態の第2変形例に係る昇圧回路を示す図である。第2変形例の昇圧回路15は、昇圧電圧が蓄電されるコンデンサが切り替え可能である。第2変形例の昇圧回路15は、第四コンデンサ24として、二つのコンデンサ241,242を有する。二つのコンデンサ241,242は、並列に接続されている。一方のコンデンサ241の容量は、他方のコンデンサ242の容量よりも大きい。昇圧回路15は、第六スイッチ30Aおよび第七スイッチ30Bを有する。第六スイッチ30Aは、一方のコンデンサ241の第一電極24aと、スイッチ26dおよび静電モータ駆動回路13とを接続および遮断する。第七スイッチ30Bは、他方のコンデンサ242の第一電極24aと、スイッチ26dおよび静電モータ駆動回路13とを接続および遮断する。昇圧回路15は、運針モードでは第六スイッチ30Aをオンとし、かつ第七スイッチ30Bをオフとする。これにより、昇圧電圧が一方のコンデンサ241に蓄電される。昇圧回路15は、停止モードでは第六スイッチ30Aをオフとし、かつ第七スイッチ30Bをオンとする。これにより、昇圧電圧が他方のコンデンサ242に蓄電される。
停止モードにおいて小容量のコンデンサ242に昇圧電圧が蓄電されることで、電荷のリーク等による損失が低減される。よって、第2変形例の昇圧回路15は、停止モードにおける消費電力を低減させることができる。
[実施形態の第3変形例]
上記第1実施形態および第2実施形態の第3変形例について説明する。エレクトレット膜42は、プラスの電位に帯電していてもよい。この場合、停止モードにおいて、対向電極が負極とされ、隣接電極が正極とされる。
なお、対向電極の極性および隣接電極の極性の組み合わせは、例示した組み合わせには限定されない。すなわち、回転子40を停止させておく静電力を発生できるように、対向電極および隣接電極の極性および電位の大きさが適宜定められればよい。
[実施形態の第4変形例]
静電モータ11によって駆動される指針は、秒針2には限定されない。静電モータ11によって駆動される指針は、クロノグラフ用の指針であってもよい。この場合、クロノグラフ機能が使用されない間は、クロノグラフ用の指針が静電モータ11によって停止される。つまり、クロノグラフ機能が使用されないときの制御モードが上記の停止モードに相当する。また、クロノグラフ機能が使用されるときの制御モードが上記の運針モードに相等する。
電子時計1は、秒針2に加えて、分針3や時針4を静電モータ11によって駆動するように構成されてもよい。この場合、停止モードでは、秒針2に加えて分針3や時針4が停止される。
電子時計1は、電磁モータ12に代えて、第二の静電モータによって分針3および時針4を駆動するように構成されてもよい。この場合、制御回路20は、停止モードにおいて第二の静電モータによって分針3および時針4を運針させ、静電モータ11を停止させる。
上記の各実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。例えば、上記第1実施形態の電子時計1において、停止モードでは昇圧回路15による昇圧を停止させ、静電モータ11に対して電源17の電圧以下の電圧を供給するようにしてもよい。第1実施形態の電子時計1において、停止モードの昇圧倍率が運針モードの昇圧倍率よりも低くされてもよい。第2実施形態の電子時計1において、停止モードでは昇圧回路15の昇圧クロック数を運針モードの昇圧クロック数よりも低くしてもよい。