JP2020041370A - 柱梁接合構造 - Google Patents
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ここで、前述した連結部材に代えて、支柱内に上下方向に延びた筒状の補強材を配置し、この補強材にブラケットを介して梁を固定することで支柱と梁を接合する構造を採用し、前述した連結部材を高い位置に持ち上げる必要をなくすことが考えられる。このような構造とする場合には、梁に鉛直荷重が加わる際に支柱が耐えられるように補強材の断面力を十分に発揮可能な柱梁接合構造とすることが望まれる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、本実施形態に係る屋根構造体としてのカーポート1は、駐車スペースに設置される前側二つの支柱2Aおよび後側二つの支柱2Bと、二つの支柱2Aの上部に接合された前側の梁3Aと、二つの支柱2Bの上部に接合された後側の梁3Bと、梁3A,3Bに複数の束4を介して支持された屋根5とを備えている。
以下の説明において、カーポート1の間口方向はX軸方向とし、カーポート1の奥行方向はY軸方向とし、カーポート1の上下方向はZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交している。
支柱2A,2Bは、上下寸法が異なること以外は互いに同様に構成されているので、支柱2Aについて詳細に説明し、支柱2Bについての説明を省略する。
支柱2Aは、図3に示すように、アルミ押出形材によって形成された支柱本体20と、支柱本体20を補強するZ軸方向に延びたスチール製の補強材25とを備えている。支柱本体20は、図4に示すように、前片部21、後片部22および一対の側片部23,24を有して角筒状に形成されており、前片部21、後片部22および側片部23,24によって中空部201が形成されている。Y軸方向に沿った側片部23,24は、後片部22よりも後側に延出しており、これら後部にカバー202が取り付けられることで樋配置用空間が形成されている。側片部23に対してX軸方向外側に位置する側片部24には、後述する第二補強側片部29に当接した凸部241およびビスホール部242が形成されている。
補強材25は、補強前片部26、補強後片部27、第一補強側片部28および第二補強側片部29を有して角丸筒状に形成されており、補強前片部26、補強後片部27、第一補強側片部28および第二補強側片部29によって中空部251が形成されている。補強後片部27は後片部22に沿って当接しており、第一補強側片部28は側片部23に沿って当接しており、第二補強側片部29は、側片部24に沿って配置されていると共に凸部241およびビスホール部242に当接している。
梁3Aは、アルミ押出形材によって形成されて図2に示すようにX軸方向に延びており、図3〜図5に示すように梁上面部31、梁下面部32およびこれらを連結した一対の梁側面部33,34を有して中空枠状に形成されている。梁上面部31のX軸方向における端部には、後述する接合体11がボルト接合される複数の貫通孔35と位置合せ用のガイド孔36とが形成されており、梁下面部32のX軸方向における端部には、接合体11がボルト接合される複数の貫通孔37が形成されている。
複数の補強縦リブ114は、Y軸方向に等間隔を隔てて配置されており、Z軸方向における中間部分が円弧状に窪んで形成されている。複数の補強縦リブ114の間には前述した貫通孔111Aおよび固定孔112A,113Aがそれぞれ配置されている。本実施形態では、接合上片部112には、固定孔112Aの貫通孔35に対する位置合せ用のガイド孔112Bが形成されている。ここで、ガイド孔36,112Bには、位置合せピン(図示省略)が挿入されることで、固定孔112Aの貫通孔35に対する位置合わせを行える構成とされている。
接合縦片部111の貫通孔111Aには、固定具としての固定ボルト51が貫通している。当該固定ボルト51は側片部23および第一補強側片部28を貫通して後述する第一裏当片部141に螺合しており、これにより、接合縦片部111および第一裏当片部141の間に側片部23および第一補強側片部28を挟み込んでいる。
接合上片部112の固定孔112Aには、固定具としての固定ボルト51が螺合している。当該固定ボルト51は後述する補強接合下片部122の貫通孔122Aおよび梁上面部31の貫通孔35に貫通しており、これにより、補強接合下片部122および接合上片部112の間に梁上面部31を挟み込んでいる。
接合下片部113の固定孔113Aには、固定具としての固定ボルト51が螺合している。当該固定ボルト51は後述する梁下面部32の貫通孔37に貫通しており、これにより、接合下片部113は梁下面部32に接合されている。
補強接合縦片部121は、貫通孔121Aに固定具としての固定ボルト51が貫通され、当該固定ボルト51が側片部23および第一補強側片部28を貫通して第一裏当片部141に螺合している。
補強接合下片部122は、貫通孔122Aに固定具としての固定ボルト51が貫通され、当該固定ボルト51が梁上面部31の貫通孔35を貫通して接合上片部112の固定孔112Aに螺合することで、接合上片部112との間に梁上面部31を挟み込んでいる。
第一ケース14は、第一補強側片部28に沿った第一裏当片部141と、第一裏当片部141から後述する第二裏当片部151に向かって延出した上下の第一上接合部142および第一下接合部143とによって構成されている。また、第一裏当片部141の左右の縦縁部には、第二ケース15に向かって延出した縦端リブ144がそれぞれ形成されている。第一裏当片部141には、接合縦片部111の貫通孔111A、側片部23および第一補強側片部28の貫通孔を貫通した第一固定具である固定ボルト51が螺合した複数の第一固定孔141Aが形成されている。
第二ケース15は、第二補強側片部29に沿った第二裏当片部151と、第二裏当片部151から第一裏当片部141に向かって延出した上下の第二上接合部152および第二下接合部153とによって構成されている。また、第二裏当片部151の左右の縦縁部には、第一ケース14に向かって延出した縦端リブ154がそれぞれ形成されており、左右の縦端リブ144にそれぞれ溶接されている。第二裏当片部151には後述する固定板部163が溶接によって固定された複数の溶接孔155(固定孔)が形成されている。
第一上接合部142は第二上接合部152に溶接によって接合されており、第一下接合部143は第二下接合部153に溶接によって接合されている。第二裏当片部151には、ドリルネジ52が螺合した複数の第二固定孔151Aが形成されており、ドリルネジ52によって第二補強側片部29に固定されている。
連結部材16は、第一裏当片部141および第二裏当片部151をつないでいると共にこれらの対向方向に延びた連結片部である二つの縦リブ161,162と、縦リブ161,162に連続した固定板部163によって断面略コ字形状に形成されている。縦リブ161,162は第一裏当片部141に溶接されている。固定板部163は第二裏当片部151の溶接孔155に溶接されている。複数の第一固定孔141Aおよび複数の第二固定孔151Aは、縦リブ161,162間と、縦リブ161および左右一方の縦端リブ144,154間と、縦リブ162および左右他方の縦端リブ144,154間とに配置されている。
前述した裏当体13は、先ず連結部材16の縦リブ161,162を第一裏当片部141に溶接し、次に固定板部163を第二裏当片部151の溶接孔155に溶接することによって組み立てられる。なお、第二裏当片部151の外面には、図9に示すように上下方向に延びた裏板材156が固定されて当該第二裏当片部151の剛性が高められていてもよい。
カーポート1は、接合体11が固定された裏当体13が、補強材25の第一補強側片部28に沿って固定される第一裏当片部141と、第二補強側片部29に沿って固定される第二裏当片部151と、第一裏当片部141および第二裏当片部151を連結した連結片部(第一上接合部142および第二上接合部152、第一下接合部143および第二下接合部153、縦リブ161,162、縦端リブ144,154)とを備えている。このため、梁3A(3B)に鉛直荷重が加わった際に生じる第一補強側片部28に対する引っ張り力を裏当体13を介して第二補強側片部29に伝達でき、これにより、補強材25全体の断面力を十分に発揮させることができる。また、補強材25の内部に前記連結片部を有した裏当体13を配置することで、柱梁接合部分の強度をさらに高めることができる。
このようにカーポート1によれば、支柱2A(2B)と梁3A(3B)との接合強度を向上できる。
前記実施形態では、裏当体13は連結部材16および縦端リブ144,154を備えているが、これら一方または双方の構成を省略してもよい。この場合、第一上接合部142および第二上接合部152と、第一下接合部143および第二下接合部153とが第一裏当片部141および第二裏当片部151を連結する。
逆に、第一上接合部142および第二上接合部152と、第一下接合部143および第二下接合部153とを省略してもよく、この場合、連結部材16および縦端リブ144,154が第一裏当片部141および第二裏当片部151を連結する。
前記実施形態では、第一ケース14および第二ケース15間に二つの縦リブ161,162を備えているが、裏当体13に必要とされる強度に応じて増減してもよい。
前記実施形態では、裏当体13は、縦リブ161,162および固定板部163を有した連結部材16を備えているが、これに代えて、第一ケース14および第二ケース15に直留めされる少なくとも一つの縦リブを備えていてもよい。
前記実施形態では、接合体11には複数の補強縦リブ114が設けられて強度が高められているが、補強縦リブ114がなくても必要強度を得られる場合には補強縦リブ114の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、X軸方向において接合上片部112の延出寸法は接合下片部の延出寸法よりも大きくされているが、これに限らず、同寸法とされてもよく、また、接合下片部の延出寸法が接合上片部112の延出寸法よりも大きくされてもよい。
前記実施形態では、補強接合体12は裏当体13に固定されているが、これに限らず、裏当体13に固定されずに補強材25に固定されていてもよい。また、補強接合体12がなくても必要強度を得られる場合には補強接合体12の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、梁上面部31および接合上片部112に位置合せ用のガイド孔36,112Bが形成されているが、これらの構成を省略してもよい。また、梁上面部31および接合上片部112のガイド孔36,112Bに代えて、または加えて、梁下面部32および接合下片部113にガイドピンが挿入可能な位置合せ用のガイド孔が形成されてもよい。
本発明の柱梁接合構造は、支柱に梁が固定されて構成される柱梁接合構造であって、前記支柱は、筒状の支柱本体と、前記支柱本体内において当該支柱本体を補強する上下方向に延びた補強材とを備えており、前記補強材は、補強前片部、補強後片部、第一補強側片部および第二補強側片部を有していると共に、前記補強前片部、前記補強後片部、前記第一補強側片部および前記第二補強側片部によって中空部を形成しており、前記支柱には、前記梁が接合される接合体が固定されており、前記補強材の中空部には、前記第一補強側片部に沿った第一裏当片部と、前記第一裏当片部につながれていると共に前記第二補強側片部に沿った第二裏当片部とを有した裏当体が配置されており、前記接合体は、前記第一裏当片部との間に前記支柱本体および前記第一補強側片部を挟んで当該第一裏当片部に固定されており、前記第二裏当片部は、前記第二補強側片部に固定されていることを特徴とする。
本発明の柱梁接合構造によれば、接合体が第一裏当片部に支柱本体および第一補強側片部を挟んで当該第一裏当片部に固定されるだけではなく、第二裏当片部が支柱本体との間に第二補強側片部を挟んで当該第二補強側片部に固定されるので、梁に鉛直荷重が加わった際に補強材の第一補強側片部に引っ張り力が加わるだけではなく、第一裏当片部および第二裏当片部を介して第二補強側片部にも引っ張り力が伝達される。このため、例えば接合体との間に支柱本体および第一補強側片部を挟んで当該接合体が固定される裏当板を採用する場合と比べて、補強材全体の断面力を発揮させることができ、支柱と梁の接合強度を向上できる。
このような構成によれば、第一上接合部が第二上接合部に接合され、且つ、第一下接合部が第二下接合部に接合されるので、梁に鉛直荷重が加わった際に第一補強側片部に加わる引っ張り力によって当該第一補強側片部が梁側下方に傾動されようとしても、第一、第二上接合部と第一、第二下接合部と第二裏当片部を介して第二補強側片部によって第一補強側片部の傾動を抑制でき、例えば第一、第二裏当片部の上下方向における中間位置に接合部がある場合よりも、支柱と梁との接合強度を大きくすることができる。
このような構成によれば、前述した縦リブが第一裏当片部および第二裏当片部の対向方向に沿ってこれらを連結するので、裏当体自体の剛性を向上することができ、支柱と梁との接合強度を更に向上できる。
このような構成によれば、先ず他方の裏当片部に縦リブを固定したものを準備し、次に一方の裏当片部を連結部材の固定板部に当てて当該固定板部を固定孔に固定具や溶接等によって固定することで、裏当体を簡単に組み立てることができる。
このような構成によれば、第一裏当片部のうち第一固定具によって接合体が固定される第一固定孔の両サイド部分を二つの縦リブによって補強できると共に、第二裏当片部のうち第二固定具によって第一補強片部に固定される第二固定孔の両サイド部分を二つの縦リブによって補強できる。
このような構成によれば、接合上片部および接合下片部を梁にそれぞれ固定することで支柱に梁を接合でき、また、補強縦リブによって接合上片部および接合下片部がつながれているので、このような補強縦リブがないものと比べて、接合体の剛性を高めることができて支柱と梁との接合強度を更に向上できる。
このような構成によれば、接合下片部を梁下面部に固定し且つ接合上片部を梁上面部に固定することで接合体を梁に固定できるうえ、補強接合下片部を接合上片部との間に梁上面を挟んで当該接合上片部に固定することで、接合上片部の梁上面部に対する固定を補強接合体によって補強でき、支柱と梁との接合強度を更に向上できる。
このような構成によれば、梁のガイド孔と接合上片部および前記接合下片部のうちの少なくとも一方のガイド孔に位置合せピンを挿入することで、例えば梁の貫通孔および固定孔の径寸法を略同じ径寸法にしても、梁の貫通孔に対する固定孔の位置合せを簡単に行うことができ、支柱および梁間のガタツキが少ない柱梁接合構造を構成できる。
Claims (8)
- 支柱に梁が固定されて構成される柱梁接合構造であって、
前記支柱は、筒状の支柱本体と、前記支柱本体内において当該支柱本体を補強する上下方向に延びた補強材とを備えており、
前記補強材は、補強前片部、補強後片部、第一補強側片部および第二補強側片部を有していると共に、前記補強前片部、前記補強後片部、前記第一補強側片部および前記第二補強側片部によって中空部を形成しており、
前記支柱には、前記梁が接合される接合体が固定されており、
前記補強材の中空部には、前記第一補強側片部に沿った第一裏当片部と、前記第一裏当片部につながれていると共に前記第二補強側片部に沿った第二裏当片部とを有した裏当体が配置されており、
前記接合体は、前記第一裏当片部との間に前記支柱本体および前記第一補強側片部を挟んで当該第一裏当片部に固定されており、
前記第二裏当片部は、前記第二補強側片部に固定されている
ことを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項1に記載の柱梁接合構造において、
前記裏当体は、第一ケースおよび第二ケースを備えており、
前記第一ケースは、前記第一裏当片部と、前記第一裏当片部から前記第二裏当片部に向かって延出した上下の第一上接合部および第一下接合部とによって構成されており、
前記第二ケースは、前記第二裏当片部と、前記第二裏当片部から前記第一裏当片部に向かって延出した上下の第二上接合部および第二下接合部とによって構成されており、
前記第一上接合部は前記第二上接合部に接合されており、
前記第一下接合部は前記第二下接合部に接合されている
ことを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項1または請求項2に記載の柱梁接合構造において、
前記第一裏当片部および前記第二裏当片部は、当該第一裏当片部および当該第二裏当片部の対向方向に沿った縦リブによって連結されている
ことを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項3に記載の柱梁接合構造において、
前記裏当体は、少なくとも一つの前記縦リブと、前記第一裏当片部および前記第二裏当片部のうちの一方の裏当片部に固定された固定板部とを有した連結部材を備えており、
前記第一裏当片部および前記第二裏当片部のうちの他方の裏当片部には、前記縦リブが固定されており、
前記一方の裏当片部には、前記固定板部が固定される固定孔が形成されている
ことを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項3または請求項4に記載の柱梁接合構造において、
少なくとも二つの前記縦リブを有しており、
前記第一裏当片部には、前記接合体、前記支柱本体および前記第一補強側片部を貫通した第一固定具が螺合した第一固定孔が形成されており、
前記第二裏当片部には、前記第二補強側片部を貫通した第二固定具が螺合した第二固定孔が形成されており、
前記第一固定孔および前記第二固定孔は、前記二つの縦リブの間に配置されている
ことを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の柱梁接合構造において、
前記接合体は、前記第一裏当片部に固定された接合縦片部と、前記接合縦片部から延出した上下の接合上片部および接合下片部と、前記接合上片部および前記接合下片部をつないだ補強縦リブとを有している
ことを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項6に記載の柱梁接合構造において、
前記支柱に固定された補強接合縦片部と、前記補強接合縦片部から延出した補強接合下片部とを有した補強接合体を更に備えており、
前記梁は、梁上面部と、梁下面部と、前記梁上面部および前記梁下面部を連結した一対の梁側面部とを有しており、
前記接合下片部は前記梁下面部に固定されており、
前記補強接合下片部は、前記接合上片部との間に前記梁上面部を挟んで当該接合上片部に固定されている
ことを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の柱梁接合構造において、
前記接合体は、前記第一裏当片部に固定された接合縦片部と、前記接合縦片部から延出した上下の接合上片部および接合下片部とを有しており、
前記接合上片部および前記接合下片部には、前記梁に形成された貫通孔を貫通した固定具が固定される固定孔が形成されており、
前記梁と前記接合上片部および前記接合下片部のうちの少なくとも一方とには、前記梁の貫通孔に対する前記固定孔の位置合せピンを挿入可能なガイド孔が形成されている
ことを特徴とする柱梁接合構造。
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