[レーザ手術装置の構成]
図1は、第1実施形態のレーザ手術装置10の外観斜視図である。このレーザ手術装置10は、後述の図2に示すように被検者H1の被検眼E1内の治療部位に治療用のレーザ光L2を照射して治療するレーザ手術に用いられる。なお、図中のX軸方向は術者H2(図2参照)を基準とした左右方向(被検眼E1の眼幅方向)であり、Y軸方向は上下方向であり、Z軸方向は被検者H1に近づく前方向と被検者H1から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)である。
図1に示すように、レーザ手術装置10はテーブル11上に設けられている。このテーブル11上には、レーザ手術装置10の他に顔支持部12とモニタ13とが設けられている。また、テーブル11の下方には2種類のフットスイッチ14及びフットスイッチ15が設けられている。
顔支持部12は、テーブル11上において被検者H1(図2参照)とレーザ手術装置10との間の位置に設けられている。この顔支持部12は、図中Z軸方向に位置調整可能な額当て12a及び顎受け12bを有しており、被検者H1の顔を支持する。
モニタ13は、テーブル11上においてレーザ手術装置10の側方に配置されており、レーザ手術装置10に接続されている。モニタ13としては、例えばタッチパネル式の液晶表示装置が用いられる。このモニタ13は、被検者H1(図2参照)の情報、及びレーザ手術装置10の各種設定画面を表示する。そして、術者H2(図2参照)がモニタ13上の設定画面に対してタッチ操作を行うことにより、レーザ手術装置10の各種設定が行われる。
フットスイッチ14及びフットスイッチ15は、それぞれレーザ手術装置10に接続されており、それぞれ術者H2(図2参照)の足による入力操作(以下、足操作という)を受け付ける。なお、図中ではフットスイッチ14及びフットスイッチ15が一体に形成されているが、両者が別体に設けられていてもよい。
フットスイッチ14は、本発明のフットスイッチに相当するものであり、後述の照明光学系21の照明光源28と、レーザ光照射光学系22のレーザ光源32及び光走査部33と、画像出射光学系25のマイクロディスプレイ46と、に対する操作指示の入力に用いられる。このフットスイッチ14は、術者H2(図2参照)により足操作される足操作用レバー14a、決定ボタン14b、及びキャンセルボタン14cを備える。
フットスイッチ15は、後述のレーザ光照射光学系22(図2参照)による被検眼E1(図2参照)への治療用のレーザ光L2の照射開始操作に用いられる。このフットスイッチ15は、術者H2(図2参照)により足操作(押下操作)される操作ペダル15aと、操作ペダル15a上に置かれた術者H2の足を検知する足検知センサ15bと、を備える。なお、足検知センサ15bとしては、公知の非接触型のセンサ又は接触型のセンサが用いられる。
レーザ手術装置10は、テーブル11上に設けられたベース16(基台ともいう)と、ベース16上に設けられた移動機構17及び操作レバー18と、移動機構17上に設けられた手術装置本体19と、を備える。
移動機構17は、ベース16上において手術装置本体19をXYZ軸の各軸方向に移動自在に保持している。この移動機構17は、後述の操作レバー18の操作に応じて手術装置本体19をXYZ軸の各軸方向に手動移動させる手動移動機構(例えば特開2003-235803号公報参照)、又は後述の操作レバー18の操作に応じて後述のコンピュータ55(図2参照)の制御の下、ベース16に対して手術装置本体19を既述の各軸方向にそれぞれ移動させる自動移動機構17が用いられる。これにより、被検眼E1(図2参照)に対する手術装置本体19の位置調整が可能となる。
操作レバー18は、ベース16上の術者H2(図2参照)側の端部に設けられている。操作レバー18は、手術装置本体19をXYZ軸の各軸方向に手動で移動操作するための操作部である。例えば、操作レバー18をその長手軸周りに回転(時計回り又は反時計回りに回転)操作することで、移動機構17により手動又は自動で手術装置本体19がZ軸方向(上下方向)に移動される。操作レバー18をX軸方向又はZ軸方向に傾倒操作することで、移動機構17により手動又は自動で手術装置本体19がX軸方向又はZ軸方向に移動される。
手術装置本体19は、被検眼E1の照明機能と、被検眼E1の観察機能と、被検眼E1への照準用(エイミング用)のレーザ光L2及び治療用のレーザ光L2の照射機能と、を有する。また、手術装置本体19には接眼部20が設けられている。術者H2(図2参照)は、接眼部20を通して被検眼E1の観察像50等を両眼視する。
[手術装置本体の構成]
図2は、レーザ手術装置10の手術装置本体19の構成、特に手術装置本体19に設けられている各種光学系の概略図である。図2に示すように、手術装置本体19には、照明光学系21と、レーザ光照射光学系22と、観察光学系23と、撮影光学系24と、画像出射光学系25と、を備える。
照明光学系21は、被検者H1の被検眼E1を照明光L1で照明する。この照明光学系21は、照明光源28と、レンズ29と、ミラー30と、を備える。
照明光源28は、例えばハロゲンランプ等が用いられ、照明光L1をレンズ29に向けて出射する。レンズ29は、照明光源28から入射した照明光L1を集光してミラー30に入射させる。ミラー30は、照明光源28から入射した照明光L1をコンタクトレンズ31に向けて反射する。コンタクトレンズ31は、レーザ手術装置10によるレーザ手術時に用いられるものであり、被検眼E1に当接した状態で術者H2の一方の手に保持されている。コンタクトレンズ31は、ミラー30から入射した照明光L1、及び後述のレーザ光照射光学系22から入射した照準用及び治療用のレーザ光L2を被検眼E1の眼底に照射する。
レーザ光照射光学系22は、被検眼E1に対して照準用のレーザ光L2を照射し、且つ術者H2による操作ペダル15aの足操作に応じて、被検眼E1の眼底上で且つ照準用のレーザ光L2の照射位置に治療用のレーザ光L2を照射する。このレーザ光照射光学系22は、レーザ光源32、光走査部33、ミラー35、及び対物レンズ36を備える。
レーザ光源32は、操作ペダル15aの足操作に応じて、被検眼E1の治療部位を光凝固させる治療用のレーザ光L2を光走査部33に向けて出射する。また、レーザ光源32は、操作ペダル15aの足操作に応じて治療用のレーザ光L2を出射可能な作動モードになった場合に、照準用のレーザ光L2を光走査部33に向けて出射する。照準用のレーザ光L2は、被検眼E1に対する治療用のレーザ光L2の照射位置を示すものであって、且つこの治療用のレーザ光L2の治療部位への位置合わせに用いられる。
治療用及び照準用のレーザ光L2はスポット光である。そして、レーザ光源32は、コンピュータ55の制御の下、直径(スポット径)の異なる複数種類の治療用及び照準用のレーザ光L2を選択的に出射する。
光走査部33(光スキャナともいう)は、例えばガルバノスキャナであり、図示は省略するが、互いに直交する揺動軸を中心として揺動する2枚のガルバノミラー(偏向ミラー)を近接配置した構造を有する。2枚のガルバノミラーの一方の揺動角度を変化させることで、被検眼E1の眼底に照射される各レーザ光L2がX軸方向に走査される。また、2枚の他方の揺動角度を変化させることで、被検眼E1の眼底に照射される照準用及び治療用のレーザ光L2がY軸方向に走査される。
従って、光走査部33は、被検眼E1の眼底に照射される各レーザ光L2を2次元方向(XY軸方向)に高速走査することができる。その結果、光走査部33を制御することで、観察光学系23の視野R(図3参照)の範囲内で被検眼E1の眼底に対する各レーザ光L2の照射位置と照射パターン52(図3参照)のパターン形状及び姿勢とを任意に変化させることができる。すなわち、視野Rの範囲を変えることなく、レーザ光L2の照射位置及び照射パターン52だけを変化させることができる。
また、光走査部33及び既述のレーザ光源32を制御することで、各レーザ光L2の照射パターン52(図3参照)の大きさを変化させることができる。例えば、光走査部33により照射パターン52(図3参照)の各スポットのピッチ間隔を大きくすると共に、レーザ光源32から出射される照準用のレーザ光L2の直径を拡大することで、照射パターン52が拡大される(図12参照)。逆に、光走査部33により照射パターン52の各スポットのピッチ間隔を小さくすると共に、レーザ光源32から出射される照準用のレーザ光L2の直径を縮小することで、照射パターン52が縮小される(図12参照)。
なお、光走査部33は、ガルバノスキャナに限定されるものではなく、共振型スキャナ(レゾナントスキャナ)及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナなどの各レーザ光L2を2次元方向で高速走査可能な各種スキャナを用いてもよい。また、光走査部33は、レーザ光源32から対物レンズ36までの間の各レーザ光L2の光路中であれば任意の位置に配置してもよい。
ミラー35は、例えばダイクロイックミラー又はハーフミラー等が用いられる。ミラー35は、光走査部33から入射した各レーザ光L2を対物レンズ36に向けて反射すると共に、対物レンズ36から入射する後述の眼底反射光L3を透過してミラー37に向けて出射する。なお、ミラー35は、各レーザ光L2に対応する波長域の光については一部を透過し一部を反射する。
対物レンズ36は、ミラー35から入射した各レーザ光L2をコンタクトレンズ31に向けて出射する。これにより、各レーザ光L2は、コンタクトレンズ31を経て被検眼E1の眼底に照射される。
観察光学系23は、被検眼E1の眼底で反射された照明光L1及び照準用のレーザ光L2の反射光である眼底反射光L3と、後述の画像出射光学系25から入射した蛍光眼底画像51の光束と、を接眼レンズ39,40に導く。この観察光学系23は、既述のミラー35及び対物レンズ36の他に、ミラー37と、保護フィルタ37Pと、ミラー38と、を備える。
ミラー37は、例えばビームスプリッタが用いられる。ミラー37は、対物レンズ36及びミラー35を介して入射した眼底反射光L3の一部をそのまま透過して保護フィルタ37Pに向けて出射すると共に、眼底反射光L3の残りを撮影光学系24に向けて反射する。保護フィルタ37Pは、治療用のレーザ光L2の波長域に対応する光をカットする。この保護フィルタ37Pは、ミラー37から入射した眼底反射光L3をミラー38に向けて出射する。
ミラー38は、例えばダイクロイックミラー又はハーフミラー等が用いられる。このミラー38は、保護フィルタ37Pから入射した眼底反射光L3の少なくとも一部をそのまま透過して接眼レンズ39,40に向けて出射すると共に、後述の画像出射光学系25から入射した蛍光眼底画像51及び操作画面79(図3参照)の光束の少なくとも一部を接眼レンズ39,40に向けて反射する。
接眼レンズ39,40は、既述の接眼部20に設けられている。術者H2の観察眼E2は、接眼レンズ39,40を通して、ミラー38を透過した眼底反射光L3に基づき形成される被検眼E1の眼底の観察像50と、ミラー38にて反射された画像出射光学系25からの光束に基づき形成される蛍光眼底画像51及び操作画面79とを観察する。なお、本実施形態では、眼底反射光L3の光軸が接眼レンズ39,40のレンズ中心に対してX軸方向(Y軸方向でも可)にシフトしている。このため、観察光学系23の視野R(図3参照)内において、観察像50の中心位置が視野Rの中心に対してX軸方向にシフトしている。
撮影光学系24は、レンズ42と撮像素子43とを備える。レンズ42は、ミラー37により反射された眼底反射光L3を撮像素子43の撮像面に結像させる。撮像素子43は、例えばCMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(Charge Coupled Device)型のイメージセンサが用いられる。この撮像素子43は、撮像面に結像された眼底反射光L3、すなわち被検眼E1の眼底の観察像50を撮像して、この観察像50の撮像画像データを後述のコンピュータ55へ出力する。
画像出射光学系25は、マイクロディスプレイ46(マイクロディスプレイプロジェクタともいう)と、レンズ47とを備える。
マイクロディスプレイ46は、各種画像の光束を出射する画像出射部であり、例えば反射型液晶パネル(Liquid crystal on silicon)、DMD(Digital Micro mirror Device)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ELディスプレイ(electroluminescence display)、透過型液晶ディスプレイ、及び画像生成用のマイクロスキャナなどが用いられる。なお、マイクロディスプレイ46には、例えばヘッドアップディスプレイのように各種画像を出射するためのリレー光学系、及びコリメーションレンズ又は投影レンズが含まれていてもよい。
マイクロディスプレイ46は、本発明の画像(眼底画像)の光束として、フルオレセイン蛍光眼底造影検査で予め得られた被検眼E1の蛍光眼底画像51の光束をレンズ47に向けて出射する。なお、ここでいう蛍光眼底画像51には、蛍光眼底画像51のサムネイル画像51S(図3参照)、サムネイル画像51Sを拡大した拡大画像51E(蛍光眼底画像51の原画像を含む、図7参照)、及び蛍光眼底画像51を基に作成された血管強調画像(不図示)等が含まれる。
蛍光眼底画像51は、被検眼E1の眼底内の血管の位置を示す画像である。レーザ手術装置10では、眼底内の血管への治療用のレーザ光L2の照射を避ける必要がある。このため、術者H2は、被検眼E1の眼底への治療用のレーザ光L2の照射前に、被検眼E1の蛍光眼底画像51の確認を行う。
また、マイクロディスプレイ46は、本発明の画像の光束として、蛍光眼底画像51の光束の他に、操作画面79の光束を出射する。操作画面79は、照明光学系21の照明光源28と、レーザ光照射光学系22のレーザ光源32及び光走査部33と、画像出射光学系25のマイクロディスプレイ46とに対する操作指示を、術者H2がハンズフリー操作、すなわちフットスイッチ14に対する足操作で入力するための画面である。マイクロディスプレイ46から出射された蛍光眼底画像51及び操作画面79の光束は、レンズ47に向けて出射される。
レンズ47は、マイクロディスプレイ46から入射した蛍光眼底画像51及び操作画面79の光束を集光して観察光学系23のミラー38に向けて出射する。これにより、蛍光眼底画像51及び操作画面79の光束が観察光学系23に合流する。その結果、術者H2は、接眼レンズ39,40を通して、被検眼E1の観察像50と蛍光眼底画像51と操作画面79との合成画像(並列画像又は重畳画像)を確認することができる(図3参照)。
図3は、観察光学系23の視野Rの範囲内に表示される被検眼E1の観察像50とサムネイル画像51Sと操作画面79との合成画像の一例を示した説明図である。なお、ここでいう表示とは、接眼レンズ39,40等を通して術者H2の観察眼E2で観察可能な状態になることを指す。
図3に示すように、操作画面79には、「Micro」欄と、「明るさ」欄と、「エイミング」欄とが設けられている。「Micro」欄には、照明光源28及びマイクロディスプレイ46の動作に係る操作指示が入力される。「明るさ」欄には、マイクロディスプレイ46から出射される蛍光眼底画像51の画質(明るさ)の調整に係る操作指示が入力される。「エイミング」欄には、被検眼E1の眼底に対する照準用のレーザ光L2の照射位置及び照射パターン52を変化させるための操作指示が入力される。
操作画面79では、術者H2のフットスイッチ14に対する足操作により、複数種類の操作指示(図5参照)として、「オンオフ指示」、「切替指示」、「選択指示」、「決定指示」、「強調指示」、「サムネイル画像確認指示」、「明るさ調整指示」、及び「エイミング調整指示」等が入力可能になっている。
「オンオフ指示」は、マイクロディスプレイ46の電源をオンオフする操作指示である。「切替指示」は、照明光源28から被検眼E1への照明光L1の入射と、マイクロディスプレイ46からの蛍光眼底画像51の出射との切り替えを行う操作指示である。「選択指示」は、視野R内に表示されている複数のサムネイル画像51Sの中で拡大するものを選択するための操作指示である。「決定指示」は、既述の「選択指示」で選択されたサムネイル画像51Sの拡大実行を決定する操作指示である。「強調指示」は、術者H2が既述の血管強調画像の確認を行うための操作指示である。「サムネイル画像確認指示」は、術者H2が複数のサムネイル画像51Sの確認を行うための操作指示である。
操作画面79の「Micro」欄には、「オンオフ指示」を入力するためのアイコン「ON」及び「OFF」と、「切替指示」を入力するためのアイコン「Change」と、「選択指示」を入力するためのアイコン「Up」及び「Down」と、「決定指示」を入力するためのアイコン「決定」と、「強調指示」を入力するためのアイコン「強調」と、「サムネイル画像確認指示」を入力するためのアイコン「サムネイル」と、が設けられている。
「明るさ調整指示」は、マイクロディスプレイ46から出射される蛍光眼底画像51の明るさを調整する操作指示である。この明るさ調整指示には、マイクロディスプレイ46から出射される蛍光眼底画像51の光束の明るさを増加させる「明るさ増加指示」と、蛍光眼底画像51の光束の明るさを減少させる「明るさ減少指示」と、が含まれる。操作画面79の「明るさ」欄には、「明るさ増加指示」を入力するためのアイコン「Up」と「明るさ減少指示」を入力するためのアイコン「Down」とが設けられている。
なお、本実施形態では、観察像50と蛍光眼底画像51とのコントラスト差を拡大するために、マイクロディスプレイ46から出射される蛍光眼底画像51の光束の明るさの増減に応じて、照明光源28から出射される照明光L1(観察像50)の明るさを減増させる。このため、「明るさ」欄には、蛍光眼底画像51の光束のみの明るさを増減させる操作指示を入力するためのアイコン「Micro」と、照明光L1のみの明るさを増減させる操作指示を入力するためのアイコン「View」と、が設けられている。
「エイミング調整指示」は、被検眼E1の眼底に対する照準用のレーザ光L2の照射位置及び照射パターン52を変化させるための操作指示である。この「エイミング調整指示」には、「オンオフ指示」と「上下移動指示」と「左右移動指示」と「右回転指示」と「左回転指示」と「形状変更指示」と「拡大指示」と「縮小指示」とが含まれる(図5参照)。なお、「上下移動指示」及び「左右移動指示」が照準用のレーザ光L2の照射位置を変化させるための操作指示であり、他の指示が照準用のレーザ光L2の照射パターン52を変化させるための操作指示である。
「エイミング調整指示」の「オンオフ指示」は、被検眼E1の眼底に対する照準用のレーザ光L2の照射、すなわちレーザ光源32からの照準用のレーザ光L2の出射をオンオフするための操作指示である。操作画面79の「エイミング」欄には、「オンオフ指示」を入力するためのアイコン「ON/OFF」が設けられている。
「上下移動指示」は、照準用のレーザ光L2の照射位置を観察光学系23の視野Rの範囲内でY軸方向(上下方向)に移動させるための操作指示である。「左右移動指示」は、照準用のレーザ光L2の照射位置を視野Rの範囲内でX軸方向(左右方向)に移動させるための操作指示である。操作画面79の「エイミング」欄には、「上下移動指示」を入力するためのアイコン「上」及びアイコン「下」と、「左右移動指示」を入力するためのアイコン「左」及びアイコン「右」とが設けられている。
「左回転指示」は、照準用のレーザ光L2の照射パターン52を視野Rの範囲内で左回転させるための操作指示である。また、「右回転指示」は、照射パターン52を視野Rの範囲内で右回転させるための操作指示である。操作画面79の「エイミング」欄には、「左回転指示」を入力するためのアイコン「左回」と、「右回転指示」を入力するためのアイコン「右回」とが設けられている。
「形状変更指示」は、照射パターン52の形状を変更させるための操作指示である。操作画面79の「エイミング」欄には、「形状変更指示」を入力するためのアイコン「Change」が設けられている。
「拡大指示」は、視野Rの範囲内で照射パターン52を拡大させるための操作指示である。また、「縮小指示」は、視野Rの範囲内で照射パターン52を縮小させるための操作指示である。操作画面79の「エイミング」欄には、「拡大指示」を入力するためのアイコン「拡大」と、「縮小指示」を入力するためのアイコン「縮小」とが設けられている。
操作画面79には、各アイコンの他に、カーソル80が表示(重畳)されている。カーソル80は、術者H2による操作画面79上での操作指示の入力、具体的には操作画面79上でのアイコンの選択及び決定に用いられる。このカーソル80は、初期状態(レーザ手術装置10の電源オン時)において、操作画面79上の初期位置(例えば図中の位置)に表示される。
また、カーソル80は、術者H2がフットスイッチ14の足操作用レバー14aを足操作により傾倒(以下、足傾倒操作)させた場合に、足操作用レバー14aの傾倒方向に対応した方向(X軸及びY軸を含む面に平行な方向:Z軸に垂直な方向)に移動する。これにより、術者H2はカーソル80を所望のアイコンに合せることができる。そして、この状態で術者H2が決定ボタン14bを足操作で押下すると、アイコンに対応した操作指示の入力が実行される。また、術者H2がキャンセルボタン14cを足操作で押下した場合、操作指示の入力がキャンセルされる。
なお、各アイコンの表示位置及び表示態様は、図中に示した表示位置及び表示態様にそれぞれ限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
観察像50の中心位置は、既述の通り、視野Rの中心に対してX軸方向(左右方向)にシフトしている。この観察像50内には、照準用のレーザ光L2の照射パターン52が表示される。また、視野R内の観察像50に隣り合う位置には所定数(1又は複数)のサムネイル画像51Sが表示される。これにより、術者H2の観察眼E2にて観察像50と各サムネイル画像51Sとを同時確認することができる。
また、視野R内には、視野R内に表示されていない他のサムネイル画像51Sを視野R内に表示させるための切替アイコン75と、後述の拡大制御の対象となるサムネイル画像51Sを示す画像選択アイコン76と、が表示される。視野R内に切替アイコン75を表示させることで術者H2は他のサムネイル画像51Sの存在を認識することができ、視野R内に画像選択アイコン76を表示させることで、術者H2は拡大制御の対象となるサムネイル画像51Sを判別することができる。
図2に戻って、移動機構17(自動移動機構)、照明光源28、レーザ光源32、光走査部33、撮像素子43、及びマイクロディスプレイ46の制御(駆動)は、レーザ手術装置10の内部(外部でも可)に設けられたコンピュータ55(演算処理装置)により行われる。コンピュータ55は、レーザ手術装置10の各部の動作を制御する。
コンピュータ55には、既述のモニタ13、操作レバー18(操作レバー18の回転操作及び傾倒操作を検出するポテンショメータ)、フットスイッチ14、フットスイッチ15、移動機構17(自動移動機構)、照明光源28、レーザ光源32、光走査部33、撮像素子43、及びマイクロディスプレイ46の他に、画像データベース57が接続されている。
画像データベース57は、患者である被検者H1の診療情報等を格納した医療支援用のデータベース(サーバ)である。この画像データベース57は、被検眼E1をフルオレセイン蛍光眼底造影検査して得られた複数の蛍光眼底画像51及びこれら蛍光眼底画像51を基に作成された複数の血管強調画像を、被検者H1の固有識別情報(被検者H1の氏名及び患者番号等)に関連付けて記憶している。
[コンピュータの構成]
図4は、第1実施形態のコンピュータ55の機能ブロック図である。図4に示すように、コンピュータ55は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、コンピュータ55の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
コンピュータ55は、上述の演算回路によって実現、或いは演算回路が制御プログロム(ソフトウェア等)を実行することにより実現される統括制御部61と、画像取得部62と、観察像取得部63と、操作検出部64Aと、操作指示検出部65Aと、を備える。なお、本実施形態において「〜部」として説明するものは「〜回路」、「〜装置」、又は「〜機器」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、及びハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで構成されても構わない。
統括制御部61には、モニタ13、フットスイッチ14、フットスイッチ15、操作レバー18、画像取得部62、観察像取得部63、操作検出部64A、操作指示検出部65A、及び操作指示データベース66Aが接続されている。そして、統括制御部61は、これら各部からの指示及び情報(画像)に基づき、照明光源28、レーザ光源32、光走査部33、及びマイクロディスプレイ46の制御を行う。
画像取得部62は、画像データベース57に接続した各種のインタフェースを有する。この画像取得部62は、統括制御部61(後述のマイクロディスプレイ制御部73)の制御の下、被検眼E1に対応する蛍光眼底画像51(血管強調画像を含む)を画像データベース57から取得して統括制御部61へ出力する。例えば、術者H2がタッチパネル式のモニタ13にて被検者H1の氏名及び患者番号をタッチ操作で入力すると、統括制御部61の制御の下、画像取得部62は、被検者H1の氏名及び患者番号に対応する蛍光眼底画像51を画像データベース57から取得して統括制御部61へ出力する。
観察像取得部63は、撮像素子43に接続した各種のインタフェースを有する。この観察像取得部63は、撮像素子43から被検眼E1の観察像50の撮像画像データを取得して統括制御部61へ出力する。観察像50の撮像画像データは、不図示の記憶部に記憶される。そして、術者H2がタッチパネル式のモニタ13にて画像表示操作を行うと、統括制御部61が画像表示操作に対応する撮像画像データを記憶部から読み出してモニタ13に表示させる。
操作検出部64Aは、既述のフットスイッチ14と、後述の操作指示検出部65A及び操作指示データベース66Aと共に、本発明の操作受付部を構成する。
操作検出部64Aは、術者H2によるフットスイッチ14に対する操作入力、すなわち足操作用レバー14aに対する足傾倒操作(傾倒方向及び傾倒角度)と、決定ボタン14b及びキャンセルボタン14cに対する押下操作を検出する。この操作検出部64Aは、足操作用レバー14aに対する足傾倒操作を検出する直動型のポテンショメータ(不図示)と、決定ボタン14bと、キャンセルボタン14cとにそれぞれ接続している。なお、操作検出部64Aは、フットスイッチ14と一体に設けられていてもよい。
操作検出部64Aは、足操作用レバー14aのポテンショメータの検出結果に基づき、操作画面79内でのカーソル80の移動方向及び移動量を決定し、さらに決定した移動方向及び移動量に対応したカーソル80の操作画面79内での位置座標を決定する。そして、操作検出部64Aは、決定したカーソル80の位置座標を、操作指示検出部65Aと統括制御部61(後述のマイクロディスプレイ制御部73)とに出力する。そして、操作検出部64Aは、カーソル80の移動方向及び移動量の決定と、カーソル80の位置座標の決定及び出力と、を常時行う。
また、操作検出部64Aは、決定ボタン14bの押下操作を検出した場合にはその旨を示す決定信号を操作指示検出部65Aへ出力し、キャンセルボタン14cの押下操作を検出した場合にはその旨を示すキャンセル信号を操作指示検出部65Aへ出力する。
操作指示検出部65Aは、操作検出部64Aの検出結果に基づき、術者H2がフットスイッチ14に対して足操作(ハンズフリー操作)で入力した既述の操作指示を検出する。この操作指示検出部65Aには、統括制御部61及び操作検出部64Aの他に、操作指示データベース66Aが接続している。
図5は、第1実施形態の操作指示データベース66Aの一例を説明するための説明図である。図5に示すように、操作指示データベース66Aには、既述の図3に示した操作画面79内の各アイコンの位置座標と、各アイコンにそれぞれ対応する操作指示の種類と、操作指示の種類に対応した照明光源28、レーザ光源32、光走査部33、及びマイクロディスプレイ46の制御内容と、が対応付けて記憶されている。
なお、各アイコンの位置座標(X1,Y1)〜(X20,Y20)は、それぞれ1点の位置座標を示すものではなく、既述の図3に示した操作画面79内において各アイコンがそれぞれ占める範囲を示す位置座標範囲である。
位置座標(X1,Y1)は「Micro」欄のアイコン「ON」の位置座標であり、位置座標(X2,Y2)は「Micro」欄のアイコン「OFF」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「ON」「OFF」に対応した操作指示「オンオフ指示」と制御内容「ディスプレイオンオフ制御」とが設定されている。「ディスプレイオンオフ制御」は、マイクロディスプレイ46の電源をオンオフする制御である。
位置座標(X3,Y3)は「Micro」欄のアイコン「Change」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「Change」に対応した操作指示「切替指示」と制御内容「切替制御」とが設定されている。「切替制御」は、照明光源28からの照明光L1の出射と、マイクロディスプレイ46からの蛍光眼底画像51の光束の出射との切り替えを行う制御である。
位置座標(X4,Y4)は「Micro」欄のアイコン「Up」の位置座標であり、位置座標(X5,Y5)は「Micro」欄のアイコン「Down」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「Up」及びアイコン「Down」にそれぞれ対応した操作指示「選択指示」と制御内容「選択制御」とが設定されている。「選択制御」は、視野R内に表示されている複数のサムネイル画像51Sの中から1つのサムネイル画像51Sを選択する制御である。
位置座標(X6,Y6)は「Micro」欄のアイコン「決定」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「決定」に対応した操作指示「決定指示」と制御内容「決定制御」とが設定されている。「決定制御」は、既述の「選択指示」で選択されたサムネイル画像51Sの拡大画像51Eの光束をマイクロディスプレイ46から出射させる制御である。
位置座標(X7,Y7)は「Micro」欄のアイコン「強調」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「強調」に対応した操作指示「強調指示」と制御内容「強調制御」とが設定されている。「強調制御」は、マイクロディスプレイ46から血管強調画像(不図示)の光束を出射させる制御である。
位置座標(X8,Y8)は「Micro」欄のアイコン「サムネイル」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「サムネイル」に対応した操作指示「サムネイル画像確認指示」と制御内容「サムネイル画像表示制御」とが設定されている。「サムネイル画像表示制御」は、マイクロディスプレイ46から所定数のサムネイル画像51Sの光束を出射させる制御である。
位置座標(X9,Y9)は「明るさ」欄のアイコン「Up」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「Up」に対応した操作指示「明るさ増加指示」と制御内容「明るさ増加制御」とが設定されている。「明るさ増加制御」は、マイクロディスプレイ46から出射される蛍光眼底画像51の光束の明るさを増加させる制御である。
位置座標(X10,Y10)は「明るさ」欄のアイコン「Down」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「Down」に対応した操作指示「明るさ減少指示」と制御内容「明るさ減少制御」とが設定されている。「明るさ減少制御」は、マイクロディスプレイ46から出射される蛍光眼底画像51の光束の明るさを減少させる制御である。
位置座標(X11,Y11)は「エイミング」欄のアイコン「ON/OFF」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「ON/OFF」に対応した操作指示「オンオフ指示」と制御内容「レーザ光オンオフ制御」とが設定されている。「レーザ光オンオフ制御」は、レーザ光源32による照準用のレーザ光L2の出射をオンオフする制御である(図8参照)。
位置座標(X12,Y12)は「エイミング」欄のアイコン「上」の位置座標であり、位置座標(X13,Y13)は「エイミング」欄のアイコン「下」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「上」「下」に対応した操作指示「上下移動指示」と制御内容「上下移動制御」とが設定されている。「上下移動制御」は、視野Rの範囲内での照準用のレーザ光L2の照射位置をY軸方向(上下方向)に移動させる制御である(図9参照)。
位置座標(X14,Y14)は「エイミング」欄のアイコン「左」の位置座標であり、位置座標(X15,Y15)は「エイミング」欄のアイコン「右」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「左」及びアイコン「右」に対応した操作指示「左右移動指示」と制御内容「左右移動制御」とが設定されている。「左右移動制御」は、視野Rの範囲内での照準用のレーザ光L2の照射位置をX軸方向(左右方向)に移動させる制御である(図9参照)。
位置座標(X16,Y16)は「エイミング」欄のアイコン「左回」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「左回」に対応した操作指示「左回転指示」と制御内容「左回転制御」とが設定されている。「左回転制御」は、各レーザ光L2の照射パターン52の姿勢を視野Rの範囲内で左回転させる制御である(図10参照)。
位置座標(X17,Y17)は「エイミング」欄のアイコン「右回」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、アイコン「右回」に対応した操作指示「右回転指示」と制御内容「右回転制御」とが設定されている。「右回転制御」は、各レーザ光L2の照射パターン52の姿勢を視野Rの範囲内で右回転させる制御である(図10参照)。
位置座標(X18,Y18)は「エイミング」欄のアイコン「Change」の位置座標(範囲)である。操作指示データベース66Aには、このアイコン「Change」に対応した操作指示「形状変更指示」と制御内容「パターン形状変更制御」とが設定されている。「パターン形状変更制御」は、各レーザ光L2の照射パターン52のパターン形状を変更するための制御である(図11参照)。
位置座標(X19,Y19)は「エイミング」欄のアイコン「拡大」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、このアイコン「拡大」に対応した操作指示「拡大指示」と制御内容「パターン拡大制御」とが設定されている。「パターン拡大制御」は、各レーザ光L2の照射パターン52の大きさを視野Rの範囲内で拡大させる制御である(図12参照)。
位置座標(X20,Y20)は「エイミング」欄のアイコン「縮小」の位置座標である。操作指示データベース66Aには、このアイコン「縮小」に対応した操作指示「縮小指示」と制御内容「パターン縮小制御」とが設定されている。「パターン縮小制御」は、各レーザ光L2の照射パターン52の大きさを視野Rの範囲内で縮小させる制御である(図12参照)。
図4に戻って、操作指示検出部65Aは、操作検出部64Aから入力される決定信号とカーソル80の位置座標とに基づき、操作指示データベース66Aを参照して、決定信号が入力された際のカーソル80の位置座標が各アイコンのいずれかの位置座標に合致する場合、この位置座標(アイコン)に対応する操作指示が入力されたと判定する。これにより、操作指示検出部65Aは、術者H2がフットスイッチ14を足操作(足傾倒操作及び押下操作等)して入力した操作指示の種類を検出することができる。
そして、操作指示検出部65Aは、操作指示データベース66Aを参照して、検出した操作指示に対応した照明光源28、レーザ光源32、光走査部33、及びマイクロディスプレイ46の制御内容を決定する。次いで、操作指示検出部65Aは、決定した制御内容を統括制御部61に出力する。
[統括制御部の機能]
統括制御部61は、不図示のメモリ等から読み出した制御プログラムを実行することにより、駆動制御部70、照明光源制御部71、治療光照射制御部72、マイクロディスプレイ制御部73、及び照準光照射制御部74として機能する。
駆動制御部70は、移動機構17として既述の自動移動機構を用いた場合に、この移動機構17の駆動を制御して、ベース16に対して手術装置本体19を相対移動させる。例えば、駆動制御部70は、操作レバー18の前後方向及び左右方向の傾倒操作を不図示の直動型ポテンショメータで検出した結果に基づき、移動機構17を制御して、ベース16に対して手術装置本体19をZ軸方向(前後方向)及びX軸方向(左右方向)に相対移動させる。また、駆動制御部70は、操作レバー18の回転操作を不図示のロータリーポテンショメータで検出した結果に基づき、移動機構17を制御して、ベース16に対して手術装置本体19をY軸方向(上下方向)に相対移動させる。なお、移動機構17として既述の手動移動機構を用いた場合には駆動制御部70は省略される。
照明光源制御部71は、照明光源28の電源のオンオフを制御する。具体的に、照明光源制御部71は、レーザ手術装置10の電源のオンオフに応じて照明光源28の電源をオンオフする。また、照明光源制御部71は、操作指示検出部65Aから「切替制御」の制御内容の入力を受けた場合、後述のマイクロディスプレイ制御部73によるマイクロディスプレイ46の電源のオンオフに応じて照明光源28の電源をオフオンする。
治療光照射制御部72は、レーザ光源32からの治療用のレーザ光L2の出射を制御する。この治療光照射制御部72は、フットスイッチ15の操作ペダル15aの押下操作に応じて、レーザ光源32から治療用のレーザ光L2を出射させる。
マイクロディスプレイ制御部73は、マイクロディスプレイ46の制御を行う。なお、マイクロディスプレイ制御部73は、初期状態において、既述の図3に示したように、複数のサムネイル画像51S、操作画面79、切替アイコン75、及び画像選択アイコン76の各画像の光束をマイクロディスプレイ46から出射させる。
具体的に、マイクロディスプレイ制御部73は、画像取得部62が取得した被検眼E1の複数の蛍光眼底画像51をそれぞれ縮小したサムネイル画像51Sを生成し、所定数のサムネイル画像51Sをマイクロディスプレイ46から出射させる。これにより、複数のサムネイル画像51Sが視野R内に表示される。
また、マイクロディスプレイ制御部73は、予め記憶されている操作画面79、切替アイコン75、及び画像選択アイコン76の各画像の光束をマイクロディスプレイ46から出射させる。これにより、視野R内に観察像50、操作画面79、切替アイコン75、及び画像選択アイコン76をそれぞれ個別に表示させることができる。
この際に、マイクロディスプレイ制御部73は、操作画面79内のアイコン「ON」及びアイコン「OFF」と、アイコン「決定」と、アイコン「強調」と、アイコン「サムネイル」とについては、現在選択されている制御内容に対応するものを、他とは異なる表示態様で表示させる。例えば既述の図3では、マイクロディスプレイ46の電源がONされ且つマイクロディスプレイ46から各サムネイル画像51Sの光束が出射されているので、アイコン「ON」及びアイコン「サムネイル」の表示態様が変更されている。
なお、初期状態において、視野R内にサムネイル画像51Sを表示させる代わりに、後述の拡大画像51E等の他の画像を表示してもよい。また、初期状態ではマイクロディスプレイ46の電源をオフにしてもよい。
マイクロディスプレイ制御部73は、マイクロディスプレイ46からカーソル80の光束を出射させると共に、初期状態においてこのカーソル80が操作画面79上に重畳表示されるように、マイクロディスプレイ46からのカーソル80の光束の出射位置を制御する。
そして、マイクロディスプレイ制御部73は、既述の操作検出部64Aから逐次入力されるカーソル80の位置座標に基づき、マイクロディスプレイ46からのカーソル80の光束の出射位置を変更する。その結果、術者H2よるフットスイッチ14の足操作用レバー14aの足傾倒操作に連動して、視野R内の操作画面79上でのカーソル80の表示位置が移動する。従って、術者H2は、足操作用レバー14aの足傾倒操作を行うことで、カーソル80を操作画面79内の所望のアイコンに合せることができる。また、術者H2は、カーソル80を所望のアイコンに合せた状態で決定ボタン14bを押下することで、操作指示を入力することができる。
さらに、マイクロディスプレイ制御部73は、カーソル80が操作画面79内の各アイコンのいずれかに合せられたこと、及びこの状態で決定ボタン14bの押下操作が行われたこと(すなわち操作指示が入力されたこと)を、術者H2が認識できるように、これら各段階に応じて操作画面79内のアイコンの表示態様を変化させる。
図6は、操作画面79内のアイコンの表示態様の変化を説明するための説明図である。図6の符号VIAに示すように、マイクロディスプレイ制御部73は、操作検出部64Aから逐次入力されるカーソル80の位置座標と、操作指示データベース66Aにアクセスして取得した各アイコンの位置座標とを比較する。
そして、マイクロディスプレイ制御部73は、上述の比較結果に基づき、図6の符号VIBに示すように、カーソル80が各アイコンのいずれか(ここではアイコン「ON/OFF」)に合せられたと判断した場合、マイクロディスプレイ46を制御して、該当するアイコンの表示態様を1段階変化させる。次いで、マイクロディスプレイ制御部73は、図6の符号VICに示すように、アイコンにカーソル80が合せられている状態で、操作指示検出部65Aから制御内容(ここではレーザ光オンオフ制御)の入力を受けた場合、マイクロディスプレイ46を制御して、該当するアイコンの表示態様をもう1段回変化させる。これにより、術者H2は、カーソル80が操作画面79内の各アイコンのいずれかに合せられたこと、及びこの状態で決定ボタン14bの押下操作が行われたこと(すなわち操作指示が入力されたこと)を認識できる。
なお、マイクロディスプレイ制御部73は、表示態様を変化させたアイコンが、「Micro」欄のアイコン「Up」,「Down」,「Change」,「強調」と、「明るさ」欄の各アイコンと、「エイミング」欄の各アイコンとのいずれかである場合、対応する制御内容(拡大制御)が実行された後でアイコンの表示態様を元に戻す。
図3から図5に戻って、マイクロディスプレイ制御部73は、既述の操作指示検出部65Aから入力される制御内容の決定結果に基づき、マイクロディスプレイ46の各種制御を行う。
具体的に、マイクロディスプレイ制御部73は、操作指示検出部65Aからの「オンオフ制御」の制御内容の入力を受けて、マイクロディスプレイ46の電源がオフの場合には電源をオンし、逆に電源がオンの場合には電源をオフする。これにより、視野R内において各サムネイル画像51Sの表示がオンオフされる。
マイクロディスプレイ制御部73は、操作指示検出部65Aから「切替制御」の制御内容の入力を受けた場合、照明光源制御部71による照明光源28の電源のオンオフに応じてマイクロディスプレイ46の電源をオフオンする。これにより、操作指示検出部65Aから「切替制御」の制御内容が照明光源制御部71及びマイクロディスプレイ制御部73の双方に入力される毎に、照明光源28による被検眼E1への照明光L1の出射とマイクロディスプレイ46からの各種画像の光束の出射とが切り替えられる。すなわち、視野R内において観察像50と各サムネイル画像51S等とが交互に表示される。
マイクロディスプレイ制御部73は、操作指示検出部65Aから「選択制御」の制御内容の入力を受ける毎に、マイクロディスプレイ46を制御して、視野R内において画像選択アイコン76が示すサムネイル画像51Sを別のサムネイル画像51S(視野R内に表示されていないものを含む)に切り替える。これにより、術者H2は、所望のサムネイル画像51Sを後述の拡大制御の対象として選択することができる。
図7は、マイクロディスプレイ制御部73による「拡大制御」を説明するための説明図である。図7に示すように、マイクロディスプレイ制御部73は、操作指示検出部65Aから「拡大制御」の制御内容の入力を受けた場合、既述の「選択制御」で拡大制御の対象として選択されたサムネイル画像51Sの拡大画像51Eを生成し、この拡大画像51Eの光束をマイクロディスプレイ46から出射させる。なお、拡大画像51Eは、縮小前の蛍光眼底画像51、すなわち原画像であってもよい。これにより、視野R内に拡大画像51Eが表示される。その結果、術者H2は、サムネイル画像51Sよりも詳細な情報[治療部位の位置、眼底上の血管の位置等]を確認することができる。
また、マイクロディスプレイ制御部73は、視野R内に拡大画像51Eが表示されている状態で、操作指示検出部65Aから「強調制御」の制御内容の入力を受けた場合、拡大画像51Eに対応する血管強調画像(不図示)を画像取得部62から取得する。そして、マイクロディスプレイ制御部73は、拡大画像51Eに代えて血管強調画像の光束をマイクロディスプレイ46から出射させる。これにより、視野R内に血管強調画像が表示されるので、術者H2は被検眼E1内の血管の位置をより正確に把握することができる。
さらに、マイクロディスプレイ制御部73は、視野R内において拡大画像51E(血管強調画像を含む)が表示されている状態で、操作指示検出部65Aから「サムネイル画像出射制御」の制御内容の入力を受けた場合、複数のサムネイル画像51Sの光束をマイクロディスプレイ46から出射させる。これにより、視野R内の表示を既述の図3に示した初期状態に戻すことができる。
さらにまた、マイクロディスプレイ制御部73は、視野R内に拡大画像51E(血管強調画像を含む)が表示されている状態で、操作指示検出部65Aから「明るさ増加制御」又は「明るさ減少制御」の制御内容の入力を受けた場合、マイクロディスプレイ46から出射される拡大画像51Eの光束の明るさを所定量増加又は所定量減少させる。これにより、視野R内に表示される拡大画像51Eの明るさを任意に調整することができる。
なお、既述の照明光源制御部71は、観察像50と拡大画像51Eとのコントラスト差を拡大させるため、マイクロディスプレイ46から出射される拡大画像51Eの明るさの増減に応じて、照明光源28が出射する照明光L1の明るさを減増させる。
さらにまた、マイクロディスプレイ制御部73は、足検知センサ15bからの検知信号の入力を受けた場合、マイクロディスプレイ46から警告画像(不図示)の光束を出射させる。これにより、視野R内に警告画像が表示されるため、術者H2は自身の足が操作ペダル15a上に置かれていることを認識できる。その結果、誤って治療用のレーザ光L2の出射が実行されることが防止される。
図4に戻って、照準光照射制御部74は、本発明の照射制御部に相当するものであり、操作指示検出部65Aから入力される制御内容に基づき、レーザ光照射光学系22(レーザ光源32及び光走査部33)による照準用のレーザ光L2の照射を制御する。具体的に、照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Aから入力される制御内容に応じて、照準用のレーザ光L2の照射位置と、照射パターン52(オンオフ、パターン形状、姿勢、及び大きさ)と、を制御する。
図8は、照準光照射制御部74による「レーザ光オンオフ制御」を説明するための説明図である。図8に示すように、照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Aから「レーザ光オンオフ制御」の制御内容の入力を受けた場合、レーザ光源32による照準用のレーザ光L2の出射をオンオフする。これにより、図8の符号VIIIAに示すようにレーザ光源32から照準用のレーザ光L2が出射されている場合、すなわち被検眼E1の眼底にレーザ光L2の照射パターン52が照射されている場合には、図8の符号VIIIBに示すように照準光照射制御部74がレーザ光源32からの照準用のレーザ光L2の出射をオフさせる。その結果、術者H2は、被検眼E1の眼底における照射パターン52の照射部位(治療部位)の状態を確認することができる。
また逆に、レーザ光源32からの照準用のレーザ光L2の出射がオフされている場合(図8の符号VIIIB参照)には、照準光照射制御部74がレーザ光源32からの照準用のレーザ光L2の出射、すなわち眼底への照射パターン52の照射を実行させる(図8の符号VIIIA参照)。
図9は、照準光照射制御部74による「上下移動制御」及び「左右移動制御」を説明するための説明図である。
図9の符号IXAに示すように、照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Aから「上下移動制御」又は「左右移動制御」の制御内容の入力を受けた場合、光走査部33を制御して、視野Rの範囲内で照準用のレーザ光L2の照射パターン52の照射位置を制御内容に対応する方向(図中の矢印方向のいずれか)に変化させる。これにより、図9の符号IXBに示すように、視野Rを移動させることなく、照射パターン52の照射位置を上下左右方向のいずれかに移動させることができる。その結果、術者H2は、被検眼E1の眼底における照射パターン52の照射部位(治療部位)の状態を確認することができる。
図10は、照準光照射制御部74による「右回転制御」及び「左回転制御」を説明するための説明図である。
図10の符号XAに示すように、照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Aから「右回転制御」又は「左回転制御」の制御内容の入力を受けた場合、光走査部33を制御して、視野Rの範囲内で照準用のレーザ光L2の照射パターン52の姿勢を変化させる。
例えば照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Aから「右回転制御」の制御内容の入力を受けた場合には、光走査部33を制御して、図10の符号XBに示すように照射パターン52の姿勢を右回転させる。また逆に、照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Aから「左回転制御」の制御内容の入力を受けた場合には、光走査部33を制御して、図10の符号XCに示すように照射パターン52の姿勢を左回転させる。これにより、視野Rを移動させたり回転させたりすることなく、被検眼E1の眼底の治療部位の形状及び血管の配置等に応じて照射パターン52の姿勢を任意に調整することができる。
図11は、照準光照射制御部74による「パターン形状変更制御」を説明するための説明図である。図11の符号XIA、符号XIB、符号XIC、及び符号XIDに示すように、照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Aから「パターン形状変更制御」の制御内容の入力を受けるごとに、光走査部33を制御して、視野Rの範囲内で照準用のレーザ光L2の照射パターン52のパターン形状を変化させる。これにより、被検眼E1の眼底の治療部位の形状及び血管の配置等に応じて最適な照射パターン52のパターン形状を選択することができる。
なお、図11では4種類の照射パターン52のパターン形状を例に挙げて説明したが、照射パターン52のパターン形状はこれらに限定されるものではなく他の形状を選択することもできる。
図12は、照準光照射制御部74による「パターン拡大制御」及び「パターン縮小制御」を説明するための説明図である。図12に示すように、照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Aから「パターン拡大制御」又は「パターン縮小制御」の制御内容の入力を受けた場合、レーザ光源32を制御して照準用のレーザ光L2の直径を変化させると共に、光走査部33を制御して照射パターン52の各スポットのピッチ間隔を変化させる。これにより、被検眼E1の眼底に照射されるレーザ光L2の照射パターン52の大きさを変化させることができる。
例えば、照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Aから「パターン拡大制御」の制御内容が入力された場合には、図12の符号XIIAに示すようにレーザ光源32から出射される各レーザ光L2の直径を拡大すると共に光走査部33により照射パターン52の各スポットのピッチ間隔を大きくすることで、照射パターン52を拡大させる。また逆に、照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Aから「パターン縮小制御」の制御内容が入力された場合には、図12の符号XIIBに示すようにレーザ光源32から出射される各レーザ光L2の直径を縮小すると共に光走査部33により照射パターン52の各スポットのピッチ間隔を小さくすることで、照射パターン52を縮小させる。これにより、被検眼E1の眼底の治療部位の形状及び血管の配置等に応じて照射パターン52の大きさを任意に調整することができる。
[第1実施形態のレーザ手術装置の作用]
図13は、第1実施形態のレーザ手術装置10による被検眼E1のレーザ手術の流れ(本発明のレーザ手術装置の作動方法)の一例を示すフローチャートである。
図13に示すように、術者H2がレーザ手術装置10の電源をオンすると、統括制御部61の照明光源制御部71は、照明光源28からの照明光L1の出射を開始させる(ステップS1)。
また、レーザ手術装置10の電源がオンされると、照準光照射制御部74は、レーザ光源32を既述の作動モードに切り替えて、このレーザ光源32からの照準用のレーザ光L2の出射を開始させる(ステップS2)。
また、術者H2は、予めタッチパネル式のモニタ13を介して被検者H1の氏名及患者番号を入力する。これにより、画像取得部62は、被検者H1の氏名及び患者番号に対応する複数の蛍光眼底画像51(血管強調画像を含む)を画像データベース57から取得して各蛍光眼底画像51を統括制御部61(マイクロディスプレイ制御部73)へ出力する。
次いで、マイクロディスプレイ制御部73が、画像取得部62から取得した複数の蛍光眼底画像51のサムネイル画像51Sを生成し、所定数のサムネイル画像51Sの光束をマイクロディスプレイ46から出射させる。また、マイクロディスプレイ制御部73は、予め記憶している操作画面79等の画像をマイクロディスプレイ46から出射させる(ステップS3)。これにより、複数のサムネイル画像51S及び操作画面79等の光束が、画像出射光学系25と観察光学系23の一部とを介して接眼レンズ39,40まで導かれる。
術者H2は、顔支持部12の額当て12a及び顎受け12bの位置調整と、操作レバー18の傾倒操作及び回転操作による手術装置本体19の位置調整とを行って、被検眼E1と手術装置本体19との位置関係を調整する(ステップS4)。この調整が完了すると、照明光源28から出射された照明光L1が照明光学系21及びコンタクトレンズ31を介して被検眼E1の眼底に照射されると共に、レーザ光源32から出射された照準用のレーザ光L2の照射パターン52がレーザ光照射光学系22及びコンタクトレンズ31を介して眼底に照射される。
そして、被検眼E1の眼底にて反射された眼底反射光L3(照明光L1及び照準用のレーザ光L2)がコンタクトレンズ31及び観察光学系23を経て接眼レンズ39,40まで導かれる。これにより、接眼レンズ39,40を通して、既述の図3に示したように、術者H2が観察像50及び照射パターン52を確認することができる。その結果、視野R内において観察像50、各サムネイル画像51S、及び操作画面79等が合成表示される。
術者H2は、既述の図5に示した照明光源28、レーザ光源32、光走査部33、及びマイクロディスプレイ46の各種制御内容のいずれかを実行させる場合、実行する制御内容に対応する操作指示の入力を、フットスイッチ14に対して足操作(ハンズフリー操作)で行う(ステップS5)。具体的には、術者H2が足操作用レバー14aの足傾倒操作によりカーソル80を操作画面79内の所望のアイコンに合せた後、術者H2が決定ボタン14bを足操作により押下すると、操作検出部64Aから操作指示検出部65Aに向けて決定信号及びカーソル80の位置座標が出力される。
操作検出部64Aから決定信号及びカーソル80の位置座標の入力を受けた操作指示検出部65Aは、操作指示データベース66Aを参照して、決定信号が入力された際のカーソル80の位置座標が各アイコンのいずれかの位置座標(範囲)に合致する場合、この位置座標にあるアイコンに対応する操作指示が入力されたと判定する。これにより、操作検出部64Aは、術者H2がフットスイッチ14を足操作して入力した操作指示の種類を検出すると共に、操作指示データベース66Aを参照して、検出した操作指示に対応した各部の制御内容を決定する(ステップS6)。なお、ステップS5及びステップS6が本発明の操作受付工程に相当する。
次いで、操作指示検出部65Aは、決定した制御内容を照明光源28、レーザ光源32、光走査部33、及びマイクロディスプレイ46の少なくともいずれか一つに出力する。
操作指示検出部65Aから制御内容の入力を受けた照明光源制御部71は、この制御内容に従って照明光源28の制御(既述の切替制御等)を実行する(ステップS7)。また、操作指示検出部65Aから制御内容の入力を受けたマイクロディスプレイ制御部73は、この制御内容に従ってマイクロディスプレイ46の制御(既述のオンオフ制御、切替制御、拡大制御、及び強調制御等)を実行する(ステップS7)。
操作指示検出部65Aから制御内容の入力を受けた照準光照射制御部74は、この制御内容に従って、レーザ光源32及び光走査部33の制御(既述のレーザ光オンオフ制御、上下・左右移動制御、左・右回転制御、パターン形状変更制御、及びパターン拡大・縮小制御)を実行する(ステップS7)。この場合、ステップS7は本発明の照射制御工程に相当する。
例えば、照準光照射制御部74がレーザ光オンオフ制御(図8参照)又は上下・左右移動制御(図9参照)を実行した場合、被検眼E1の眼底に対する照準用のレーザ光L2の照射パターン52の照射が停止されたり、或いは照射パターン52の照射位置が移動されたりする。これにより、視野Rを固定した状態で、被検眼E1の眼底上における照射パターン52の照射部位(治療部位)の状態を術者H2が確認することができる。
また、照準光照射制御部74が左・右回転制御(図10参照)、パターン形状変更制御(図11参照)、及びパターン拡大・縮小制御(図12参照)のいずれかを実行した場合、照準用のレーザ光L2の照射パターン52の姿勢、パターン形状、及び大きさが変化する。これにより、被検眼E1の眼底の治療部位の形状及び血管の配置等に応じて、照射パターン52の姿勢、パターン形状、及び大きさを任意に変化させることができる。
この際に、上述の各制御は、術者H2が足操作でフットスイッチ14に入力した操作指示に基づき実行される。このため、術者H2は、一方の手でコンタクトレンズ31を持ち、且つ他方の手で操作レバー18を把持している状態でも、接眼部20から観察眼E2を離すことなく各制御をハンズフリー操作で実行させることができる。
以下、治療用のレーザ光L2の照射準備、例えば被検眼E1の眼底の治療部位と照準用のレーザ光L2の照射位置との位置調整等が完了するまで、前述のステップS4からステップS7の処理が繰り返し実行される(ステップS8でNO)。
術者H2は、治療用のレーザ光L2の照射準備が完了すると、フットスイッチ15の操作ペダル15aを押下する(ステップS8でYES)。これにより、治療光照射制御部72がレーザ光源32から治療用のレーザ光L2を出射させる(ステップS9)。この治療用のレーザ光L2がレーザ光照射光学系22及びコンタクトレンズ31を介して被検眼E1の眼底における照準用のレーザ光L2の照射位置、すなわち治療部位に照射される。
なお、被検眼E1の眼底の他の治療部位のレーザ手術を行う場合には、上述のステップS4からステップS9までの処理が繰り返し実行される。
[本実施形態の効果]
以上のように、本実施形態のレーザ手術装置10では、術者H2がフットスイッチ14に対して足操作(ハンズフリー操作)で入力した操作指示に基づき、この操作指示に対応したレーザ光照射光学系22の各種の制御内容を実行することができる。これにより、術者H2の両手が塞がっていたとしても、レーザ手術装置10の操作性を著しく向上させることができる。
[第2実施形態のレーザ手術装置]
図14は、第2実施形態のレーザ手術装置10Aの概略図である。上記第1実施形態のレーザ手術装置10では、術者H2によるハンズフリー操作での操作指示の入力方法としてフットスイッチ14に対する足操作を例に挙げて説明したが、第2実施形態のレーザ手術装置10Aでは操作指示の入力を観察眼E2の視線入力で行う。
図14に示すように、第2実施形態のレーザ手術装置10Aは、フットスイッチ14の代わりに視線入力検出光学系26を備える点を除けば上記第1実施形態のレーザ手術装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
視線入力検出光学系26は、ミラー38IRと、赤外LED101と、ピンホール102と、集光レンズ103と、ミラー104と、結像レンズ105と、ミラー106と、撮像素子107と、半導体位置検出素子(Position Sensitive Detector)であるPSD108と、を備える。なお、視線入力検出光学系26は、観察眼E2の左右両眼にそれぞれ対応させて2個設けたり、或いは左右眼の一方に対応させて1個だけ設けたりしてもよい。
ミラー38IRは、観察光学系23のミラー38と接眼レンズ39との間に配置されており、例えばダイクロイックミラーが用いられる。このミラー38IRは、ミラー38から入射した眼底反射光L3、蛍光眼底画像51の光束、及び操作画面79の光束等をそのまま透過して接眼レンズ39,40に向けて出射すると共に、後述のミラー104から入射した近赤外光IRを接眼レンズ39,40に向けて反射する。
赤外LED101は、近赤外光IRをピンホール102に向けて出射する。ピンホール102は、赤外LED101から入射した近赤外光IRを点光源とした後、この点光源の近赤外光IRを集光レンズ103に向けて出射する。集光レンズ103は、ピンホール102から入射した点光源の近赤外光IRをミラー104に向けて出射する。
ミラー104は、例えばハーフミラーが用いられる。このミラー104は、集光レンズ103から入射した点光源の近赤外光IRの一部を既述の観察光学系23のミラー38IRに向けてそのまま透過させる。これにより、ミラー104を透過した点光源の近赤外光IRは、ミラー38IRにより接眼レンズ39,40に向けて反射され、接眼レンズ39,40を通して観察眼E2に入射する。そして、観察眼E2にて反射された点光源の近赤外光IRの反射光IR1が、接眼レンズ39,40を通してミラー38IRに入射し、このミラー38IRによりミラー104に向けて反射される。ミラー104は、ミラー38IRから入射した反射光IR1の一部を結像レンズ105に向けて反射する。
結像レンズ105は、ミラー104から入射した反射光IR1をミラー106に向けて出射する。ミラー106は、結像レンズ105から入射した反射光IR1の一部を撮像素子107に向けて反射すると共に、結像レンズ105から入射した反射光IR1の残りをそのまま透過させてPSD108に向けて出射する。
撮像素子107は、CMOS型又はCCD型のイメージセンサであり、その撮像面にはミラー106によって反射された反射光IR1が観察眼E2の像として結像する。撮像素子107は、撮像面に結像された観察眼E2の像を撮像して、この観察眼E2の撮像画像データ110を出力する。
PSD108の受光面には、ミラー106から入射した反射光IR1が入射する。PSD108は、その受光面における反射光IR1の受光位置を検出可能なセンサであり、受光位置を示す受光信号を出力する。なお、PSD108の代わりにラインセンサを用いてもよい。
図15は、第2実施形態のコンピュータ55の機能ブロック図である。図15に示すように、第2実施形態のコンピュータ55は、第1実施形態の操作検出部64A、操作指示検出部65A、及び操作指示データベース66Aの代わりに、視線入力検出部64Bと操作指示検出部65Bと操作指示データベース66Bとを備える点を除けば、既述の図4に示した第1実施形態のコンピュータ55と基本的に同じ構成である。なお、既述の視線入力検出光学系26、視線入力検出部64B、操作指示検出部65B、及び操作指示データベース66Bは、本発明の操作受付部を構成する。
視線入力検出部64Bは、既述の視線入力検出光学系26と共に本発明の視線入力検出部を構成するものであり、既述の撮像素子107とPSD108とにそれぞれ接続している。視線入力検出部64Bは、撮像素子107から入力される観察眼E2の撮像画像データ110と、PSD108から入力される受光信号とに基づき、観察眼E2の視線入力を検出、具体的には観察眼E2が注視している操作画面79上の注視点の位置座標を検出する。
図16は、プルキンエ像110pを利用する視線入力検出部64Bの視線入力検出方法(角膜検出方式)を説明するための説明図である。図16の符号XVIAに示すように、観察眼E2の角膜表面上には、点光源の近赤外光IRの入射により、近赤外光IRの反射像であるプルキンエ像110pが生じる。このプルキンエ像110pの位置は、観察眼E2の視線方向の変化に応じて変化する。
従って、図16の符号XVIBに示すように、視線入力検出部64Bは、撮像素子107から入力される観察眼E2の撮像画像データ110と、PSD108から入力される受光信号とに基づき、観察眼E2におけるプルキンエ像110pの位置座標C1を検出する。そして、視線入力検出部64Bは、位置座標C1が示すプルキンエ像110pの位置と瞳孔中心との相対位置に基づいて、観察眼E2の視線方向を検出する。なお、プルキンエ像110pを利用した視線方向の検出方法は公知技術であり、その詳細な説明は省略する。また、本実施形態ではPSD108を用いているが、PSD108を省略して、撮像素子107から入力される撮像画像データ110のみに基づいてプルキンエ像110pの位置座標C1を検出してもよい。
図17は、観察眼E2の撮像画像データ110に基づき観察眼E2の視線方向を検出する方法(強膜反射方式、暗瞳孔法)を説明するための説明図である。なお、この方法では観察眼E2への点光源の近赤外光IRの入射は省略することができる。視線入力検出部64Bは、図17のXVIIAに示すように撮像素子107から観察眼E2の撮像画像データ110を取得した後、図17のXVIIBに示すように、観察眼E2の撮像画像データ110を所定の輝度しきい値で二値化する。観察眼E2の瞳孔はその周囲の領域と比較して低輝度であるので、撮像画像データ110を二値化すると、観察眼E2の瞳孔に対応する領域が黒画素領域となり、瞳孔の周囲の領域が白画素領域となる。これにより、観察眼E2の撮像画像データ110から観察眼E2の瞳孔領域を特定することができる。
そして、図17のXVIICに示すように、視線入力検出部64Bは、二値化された観察眼E2の撮像画像データ110から、観察眼E2の瞳孔領域(黒画素領域)の中心座標C2を求め、求めた中心座標C2と既知の眼球の幾何学的構造とに基づいて、観察眼E2の視線方向を検出する。なお、強膜反射方式(暗瞳孔法)による視線方向の検出は公知技術であるので、その詳細な説明は省略する。
図15に戻って、視線入力検出部64Bは、検出した観察眼E2の視線方向と、既知の観察光学系23の観察倍率とに基づき、観察眼E2が注視している操作画面79上の注視点の位置座標を検出し、この注視点の位置座標の検出結果を操作指示検出部65Bと統括制御部61(後述のマイクロディスプレイ制御部73)とにそれぞれ出力する。
操作指示検出部65Bは、視線入力検出部64Bから入力される操作画面79上の注視点の位置座標に基づき、操作指示データベース66Bを参照することで、術者H2の観察眼E2での視線入力により入力された操作指示の種類を検出すると共に、検出した操作指示に対応した既述の制御内容(図5参照)を決定する。ここで、操作指示データベース66Bは、既述の図5に示した第1実施形態の操作指示データベース66Aと基本的に同じものである。
操作指示検出部65Bは、視線入力検出部64Bから入力される操作画面79上の注視点の位置座標に基づき、操作指示データベース66Bを参照して、注視点の位置座標が各アイコンのいずれかの位置座標(範囲)に合致し、この状態が所定時間以上継続した場合、この位置座標(アイコン)に対応する操作指示が入力されたと判定する。これにより、操作指示検出部65Bは、術者H2の観察眼E2での視線入力により入力された操作指示の種類を検出できる。そして、操作指示検出部65Bは、操作指示データベース66Bを参照して、検出した操作指示に対応した照明光源28、レーザ光源32、光走査部33、及びマイクロディスプレイ46の制御内容を決定し、決定した制御内容を統括制御部61に出力する。
第2実施形態の統括制御部61は、照明光源制御部71による照明光源28の制御、マイクロディスプレイ制御部73によるマイクロディスプレイ46の制御、及び照準光照射制御部74によるレーザ光照射光学系22の制御が一部異なる点を除けば、第1実施形態の統括制御部61と基本的に同じである。
第2実施形態の照明光源制御部71は、操作指示検出部65Bから入力される制御内容に基づき、第1実施形態と同様に、照明光源28からの照明光L1の出射を制御する。
第2実施形態のマイクロディスプレイ制御部73は、既述の視線入力検出部64Bから逐次入力される注視点の位置座標に基づき、マイクロディスプレイ46から出射されるカーソル80の光束の出射位置を変更する。その結果、観察眼E2の視線方向の変化に連動して、視野R内の操作画面79上でのカーソル80の表示位置が移動する。これにより、観察眼E2が操作画面79内の所望のアイコンを注視するだけで、カーソル80を操作画面79内の所望のアイコンに合せることができる。そして、観察眼E2で操作画面79内の所望のアイコンを注視する状態を所定時間継続することで、操作指示を視線入力することができる。なお、所定時間未満で注視点の位置がアイコンから外れた場合には、操作指示の視線入力がキャンセルされる。
また、第2実施形態のマイクロディスプレイ制御部73は、操作指示検出部65Bから入力される制御内容に基づき、第1実施形態と同様に、マイクロディスプレイ46の制御を行う。
第2実施形態の照準光照射制御部74は、操作指示検出部65Bから入力される制御内容に基づき、第1実施形態と同様に、レーザ光照射光学系22(レーザ光源32及び光走査部33)による照準用のレーザ光L2の照射を制御する(図8から図12参照)。
なお、第2実施形態のレーザ手術装置10Aによる被検眼E1のレーザ手術の流れについては、既述の図13に示した第1実施形態のフローチャートと基本的に同じである。ただし、第2実施形態のステップS5では、術者H2が操作指示の入力を視線入力(ハンズフリー操作)で行う。そして、第2実施形態のステップS6では、視線入力検出部64Bによる観察眼E2の視線方向の検出及び操作画面79上の注視点の位置座標の検出と、操作指示検出部65Bによる操作指示の検出及び制御内容の決定と、が実行される。
以上のように、第2実施形態のレーザ手術装置10Aにおいても、術者H2が視線入力(ハンズフリー操作)で入力した操作指示に基づき、この操作指示に対応したレーザ光照射光学系22の各種の制御内容を実行することができる。これにより、術者H2の両手が塞がっていたとしてもレーザ手術装置10の操作性を著しく向上させることができる。
なお、上記第2実施形態では、視線入力検出部64Bによる視線入力検出方法として、既述の図16で説明したプルキンエ像110pを利用する方法、及び既述の図17で説明した強膜反射方式(暗瞳孔法)を例に挙げて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、術者H2の目頭等の基準点と観察眼E2の虹彩等の動点との位置関係を用いる方法、及び眼電位センサを用いて観察眼E2の動きを検出する方法などの公知の視線入力検出方法を用いることができる。
[第3実施形態のレーザ手術装置]
図18は、第3実施形態のレーザ手術装置10Bの概略図である。上記各実施形態のレーザ手術装置10では、術者H2によるハンズフリー操作での操作指示の入力方法としてフットスイッチ14に対する足操作を例に挙げて説明したが、第3実施形態のレーザ手術装置10Bでは操作指示の入力を音声入力で行う。
図18に示すように、第3実施形態のレーザ手術装置10Bは、フットスイッチ14の代わりに音声マイク56を備える点を除けば上記第1実施形態のレーザ手術装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
音声マイク56は、本発明の音声入力検出部を構成するものであり、手術装置本体19における術者H2の近傍位置に設けられている。この音声マイク56には、術者H2から発せられた音声により、既述の図5に示した操作指示が音声入力される。なお、音声マイク56として、例えば術者H2の喉の振動を検出するものを用いてもよい。そして、音声マイク56は、術者H2により音声入力された操作指示を、不図示のA/D変換器(Analog to Digital Conversion)を介してコンピュータ55へ出力する。A/D変換器は、音声マイク56に音声入力された術者H2の操作指示を音声データに変換してコンピュータ55へ出力する。
図19は、第3実施形態のコンピュータ55の機能ブロック図である。図19に示すように、第3実施形態のコンピュータ55は、第1実施形態の操作検出部64A、操作指示検出部65A、及び操作指示データベース66Aの代わりに、音声認識部64Cと操作指示検出部65Cと操作指示データベース66Cとを備える点を除けば、既述の図4に示した第1実施形態のコンピュータ55と基本的に同じ構成である。なお、既述の音声マイク56、音声認識部64C、操作指示検出部65C、及び操作指示データベース66Cは、本発明の操作受付部を構成する。
音声認識部64Cは、音声マイク56から上述のA/D変換器を介して入力された操作指示の音声データをテキストデータに変換し、この操作指示のテキストデータを操作指示検出部65Cへ出力する。なお、音声データをテキストデータに変換する方法は公知技術であるので、具体的な説明は省略する。
操作指示検出部65Cには、音声認識部64C及び統括制御部61の他に、操作指示データベース66Cが接続している。この操作指示検出部65Cは、音声認識部64Cからテキストデータが入力された場合に、操作指示データベース66Cを参照することで既述の操作指示(図5参照)の種類を検出する。
図20は、第3実施形態の操作指示データベース66Cの一例を説明するための説明図である。図20に示すように、操作指示データベース66Cには、操作指示の音声データ(テキストデータ)と、操作指示の種類(図5参照)と、各操作指示に対応した既述の制御内容(図5参照)と、が対応付けて記憶されている。
音声データ「Micro ON」、「Micro ON」には、操作指示「オンオフ指示」と制御内容「ディスプレイオンオフ制御」とが設定されている。音声データ「Change」には、操作指示「切替指示」と制御内容「切替制御」とが設定されている。音声データ「Up」及び「Down」には、操作指示「選択指示」と制御内容「選択制御」とが設定されている。音声データ「決定」には、操作指示「決定指示」と制御内容「決定制御」とが設定されている。音声データ「強調」には、操作指示「強調指示」と制御内容「強調制御」とが設定されている。音声データ「サムネイル」には、操作指示「サムネイル画像確認指示」と制御内容「サムネイル画像表示制御」とが設定されている。
音声データ「bright Up」には、操作指示「明るさ増加指示」と制御内容「明るさ増加制御」とが設定されている。音声データ「bright Down」には、操作指示「明るさ減少指示」と制御内容「明るさ減少制御」とが設定されている。
音声データ「パターンON」、「パターンOFF」には、操作指示「オンオフ指示」と制御内容「レーザ光オンオフ制御」とが設定されている。音声データ「パターン上」、「パターン下」には、操作指示「上下移動指示」と制御内容「上下移動制御」とが設定されている。音声データ「パターン左」、「パターン右」には、操作指示「左右移動指示」と制御内容「左右移動制御」とが設定されている。音声データ「パターン左回転」には、操作指示「左回転指示」と制御内容「左回転制御」とが設定されている。音声データ「パターン右回転」には、操作指示「右回転指示」と制御内容「右回転制御」とが設定されている。音声データ「パターン変更」には、操作指示「形状変更指示」と制御内容「パターン形状変更制御」とが設定されている。音声データ「パターン拡大」には、操作指示「拡大指示」と制御内容「パターン拡大制御」とが設定されている。音声データ「パターン縮小」には、操作指示「縮小指示」と制御内容「パターン縮小制御」とが設定されている。
図19に戻って、操作指示検出部65Cは、音声認識部64Cから入力されるテキストデータに基づき、操作指示データベース66Cを参照することで、音声マイク56に対して術者H2が音声入力した操作指示の種類を検出すると共に、検出した操作指示に対応した制御内容を決定する。そして、操作指示検出部65Cは、決定した制御内容を統括制御部61に出力する。
第3実施形態の統括制御部61は、操作指示検出部65Cから入力される制御内容に基づき、照明光源制御部71による照明光源28の制御、マイクロディスプレイ制御部73によるマイクロディスプレイ46の制御、及び照準光照射制御部74によるレーザ光照射光学系22の制御がそれぞれ実行される点を除けば、第1実施形態の統括制御部61と基本的に同じである。
第3実施形態のレーザ手術装置10Bによる被検眼E1のレーザ手術の流れについては、既述の図13に示した第1実施形態のフローチャートと基本的に同じである。ただし、第3実施形態のステップS5では、術者H2が操作指示の入力を音声入力(ハンズフリー操作)で行う。そして、第3実施形態のステップS6では、音声認識部64Cによる操作指示のテキストデータへの変換と、操作指示検出部65Cによる操作指示の検出及び制御内容の決定と、が実行される。
以上のように、第3実施形態のレーザ手術装置10Bにおいても、術者H2が音声入力(ハンズフリー操作)で入力した操作指示に基づき、この操作指示に対応したレーザ光照射光学系22の各種の制御内容を実行することができる。これにより、術者H2の両手が塞がっていたとしてもレーザ手術装置10の操作性を著しく向上させることができる。
上記第2実施形態のレーザ手術装置10Bでは、術者H2が音声マイク56に対して操作指示を音声入力しているが、レーザ手術装置10Bでは被検者H1と術者H2との間の距離が短いため、術者H2が発した音声(操作指示)が被検者H1に聞こえてしまう。その結果、被検者H1に不審に思われるおそれがある。そこで、読唇技術(読唇画像認識)を利用して術者H2の口から発せられた操作指示を検出してもよい。
図21は、読唇技術(読唇画像認識)を利用して術者H2の口から無声で発せられた操作指示を検出するレーザ手術装置10Bの構成を示す概略図である。図21に示すように、レーザ手術装置10Bは、音声マイク56(図18参照)の代わりにカメラ81が設けられ、音声認識部64C(図19参照)の代わりに読唇処理部82が設けられている点を除けば、上記第3実施形態のレーザ手術装置10Bと基本的に同じ構成である。
カメラ81は、術者H2の顔、特に口唇を撮影し、術者H2の口唇の撮影画像データをコンピュータ55内の読唇処理部82へ出力する。
読唇処理部82は、カメラ81から入力された術者H2の口唇の撮影画像データを読唇画像認識により解析して、術者H2の口唇(口唇の動き)の解析結果から操作指示の内容を判別する。
例えば、読唇処理部82は、術者H2の口唇の撮影画像データから検出(判別)した術者H2の口唇の動きパターンと、予め記憶されている術者H2の使用言語に対応した口唇の動きパターンとのパターンマッチング処理を行うことにより、カメラ81で撮影された術者H2の口唇の動きパターンに対応する文字を認識する。これにより、読唇処理部82は、術者H2の口から無声で発せられた操作指示の内容を判別し、この操作指示のテキストデータを操作指示検出部65Cへ出力することができる。なお、読唇処理部82による術者H2の口唇の撮像画像データの解析方法は上述の方法に限定されず、公知の各種方法を用いてよい。
これ以降の処理は、上記第3実施形態と同じであるので具体的な説明は省略する。
以上のように、読唇技術を利用することで術者H2は操作指示を音声マイク56に音声入力することなく、口唇の動きだけで操作指示を行うことができる。これにより、術者H2の口から発した音声(操作指示)が被検者H1に聞こえてしまうことが防止されるため、被検者H1に不審に思われることが防止される。
[その他]
上記各実施形態の照準光照射制御部74は、術者H2によりハンズフリー操作で入力された操作指示に基づき、照準用のレーザ光L2の照射位置及び照射パターン52を変化させているが、照射位置及び照射パターン52のいずれか一方のみを変化させてもよい。
上記各実施形態では、術者H2によりハンズフリー操作で入力される操作指示の種類と、操作指示ごとの制御内容の種類について既述の操作指示データベース66A〜66Cを用いて説明したが、操作指示及び制御内容の種類は操作指示データベース66A〜66Cに挙げられているものに限定されず、他の操作指示及び制御内容が含まれていてもよい。
上記各実施形態では、画像出射光学系25(マイクロディスプレイ46)を用いて視野R内に蛍光眼底画像51及び操作画面79等の表示を行っているが、例えば、観察光学系23に設けられた変調素子(DMD或いは透過型液晶パネル)を用いて視野R内に蛍光眼底画像51及び操作画面79等の表示を行ってもよい。
上記各実施形態では、照準光照射制御部74が「パターン拡大制御」及び「パターン縮小制御」をレーザ光源32及び光走査部33に実行させているが(図12参照)、例えば、レーザ光照射光学系に変倍レンズ(ズームレンズ)系を設けることにより、照準光照射制御部74が上述の両制御を変倍レンズ系に実行させてもよい。
上記各実施形態では、レーザ光照射光学系22の1つのレーザ光源32から照準用のレーザ光L2と治療用のレーザ光L2とを出射させているが、レーザ光照射光学系22に照準用のレーザ光L2を出射するレーザ光源32と治療用のレーザ光L2を出射するレーザ光源32とを個別に設けてもよい。
上記各実施形態では、マイクロディスプレイ46を用いて視野R内に蛍光眼底画像51(サムネイル画像51S、拡大画像51E、及び血管強調画像)を表示しているが、例えばOCT(Optical Coherene Tomography)検査で予め得られた被検眼E1の網膜の断層像などの被検眼E1に関連する情報を示す画像を視野R内に表示してもよい。また、血管強調画像の代わりに、被検眼E1の血管以外の他の特徴部分(黄斑等)を強調した画像を視野R内に表示してもよい。