本発明に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10を、図1から図10を用いて説明する。図1に示す眼科装置10は、被検眼E(図6等参照)の光学特性(眼特性)を測定する眼特性測定部を備える。本実施例では、眼科装置10は、被検眼Eの眼圧を測定する眼圧測定部40(図6、図7参照)を備える眼科装置である。その被検眼Eについては、図6および図7において、眼底(網膜)Efおよび角膜(前眼部)Ecを模式的に示している。また、図2は、可動機構部12の構成の理解を容易なものとするために作成したものであって、必ずしも実際の可動機構部12における構成と一致するものではない。さらに、図4は、ストッパ機構21の作用およびベースステージ12aに対するZ移動ステージ12bの移動の態様の理解を容易なものとするために作成したものであって、X移動ステージ12cをZ移動ステージ12bに一体化させて当該Z移動ステージ12bとして示している。
この眼科装置10は、図1に示すように、ベース11に可動機構部12(図2参照)を介して装置本体部13が移動可能に設けられて構成されている。その装置本体部13には、内方に後述する眼圧測定部40(その光学系(図6、図7参照))が設けられ、外方に表示部14が設けられている。また、眼科装置10では、装置本体部13から見た表示部14とは反対側に顎受部15および額当部16が設けられ、表示部14側にコントロールレバー17およびセーフティレバー18が設けられている。
その表示部14は、液晶ディスプレイで形成されており、後述する制御部31(図5参照)の制御下で、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)の画像(前眼部像E´)や各種の操作画面や測定結果等を表示面14aに表示させる(図8等参照)。表示部14は、本実施例では、タッチパネルの機能を搭載しており、光学特性(眼特性)を測定するための操作や、前眼部(角膜Ec)を撮影するための操作等を行うことが可能とされている。また、表示部14は、タッチパネルの機能を利用して、上述した各操作のためのアイコンとしての各種の記号(図8等参照)を表示し、当該各記号に触れることによる操作を可能としている。このため、後述するアイコンとしての各種の記号(図8の符号B1からB12参照)は、表示部14に設けられた操作部として機能する。
顎受部15および額当部16は、測定時に装置本体部13に対して被検者(患者)の顔すなわち被検眼Eの位置を固定するものであり、ベース11に固定されて設けられている。その顎受部15は、被検者が顎を載せる箇所となり、額当部16は、当該被検者が額を宛がう箇所となる。装置本体部13では、顎受部15と額当部16とにより被検者の顔を固定すると、当該被検者の被検眼Eが後述するノズル突起部41i(気流吹付ノズル41b(図6および図7参照))に対向される。このため、眼科装置10(その眼圧測定部40)の光学系による被検眼Eの適切な測定が可能となる。
この眼科装置10では、表示部14と、顎受部15および額当部16と、が、装置本体部13を挟んで両側に設けられており、通常の使用時(図1参照)において、表示部14(その表示面14a)が検者の側となり、顎受部15および額当部16が被検者の側となる。その表示部14は、回転支持機構部14rを介して装置本体部13に回転自在に支持されており、表示面14aの向きを変更すること、例えば、表示面14aを被検者側に向けることや、表示面14aを側方(X軸方向)に向けることが可能とされている。
そして、装置本体部13には、表示部14(表示面14a)が装置本体部13に対して検者の側に位置する接近作用姿勢であることを検知する姿勢検知センサ13bが設けられている。その接近作用姿勢は、後述するように表示部14に設けられた操作部への押圧力を、当該表示部14を介して装置本体部13を被検眼E側(Z軸方向正側)へと移動させるべく装置本体部13に作用させる姿勢である。換言すると、表示部14は、接近作用姿勢であると操作部への押圧力を被検眼E側(Z軸方向正側)へと移動させるように装置本体部13に作用させ、それ以外の姿勢であると操作部への押圧力を被検眼E側(Z軸方向正側)へと移動させるようには装置本体部13に作用させない。接近作用姿勢は、本実施例では、図1に示すように、装置本体部13における検者の側(Z軸方向負側)で、当該装置本体部13(その外形形状を形作る筐体13aの表面)に沿って表示部14を存在させるものとしている。姿勢検知センサ13bは、後述する制御部31に接続されており(図5参照)、表示部14(表示面14a)が接近作用姿勢であることを検知すると、その旨を示す姿勢検知信号を制御部31に出力する。このため、表示部14は、検者の側に向けられた接近作用姿勢であることが、制御部31により検知可能とされている。その装置本体部13(その眼圧測定部40)は、可動機構部12(図2参照)により、ベース11に対して移動すること、すなわち顎受部15と額当部16とにより固定された被検眼E(被検者の顔)に対して移動することが可能とされている。
その可動機構部12は、ベース11に対して装置本体部13を移動可能に支持するものであり、電力を用いた駆動力を必要とすることなくベース11に対して装置本体部13を移動させることを可能とする。すなわち、眼科装置10では、手動(例えば、後述するコントロールレバー17を介して与えられた移動操作力)でのみ、ベース11に対して装置本体部13が移動されるものとされている。可動機構部12は、装置本体部13をベース11に対して、上下方向(Y軸方向)と、前後方向(Z軸方向(通常の使用時に表示部14と、顎受部15および額当部16と、が並ぶ方向であって、眼圧測定部40の主光軸O1と平行な方向))と、それらに直交する左右方向(X軸方向)と、に移動させる。なお、この実施例では、上下方向の上側をY軸方向の正側とし、前後方向の被検者側(図1を正面視して左奥側)をZ軸方向の正側とし、左右方向において図1を正面視して奥側をX軸方向の正側とする(図1の矢印参照)。本実施例では、可動機構部12は、図2に示すように、ベースステージ12aとZ移動ステージ12bとX移動ステージ12cとY移動機構部12dとを有する。
ベースステージ12aは、ベース11(図1参照)に固定されて設けられる。このベースステージ12aには、Z軸方向と平行に伸びる一対のZ軸案内溝12eと、その間を部分的に凹ませる受入凹所12fと、が設けられている。この各Z軸案内溝12eは、Z移動ステージ12bの裏面(Y軸方向負側の面)に設けられた図示を略す案内突起を、Z軸方向に移動可能に受け入れることが可能とされている。ベースステージ12aは、対応するZ軸案内溝12eで当該各案内突起を受け入れることにより、ベース11に対してZ軸方向に移動(変位)可能にZ移動ステージ12bを保持する。受入凹所12fは、後述する設定板部材22の干渉部22a(図3参照)を受け入れることにより、当該干渉部22a(設定板部材22)のベースステージ12aに対するZ軸方向への移動を可能とする。そして、受入凹所12fは、Z軸方向正側の端部がXY平面と平行な規制壁部12gとされており、その規制壁部12gに後述する設定板部材22の干渉部22aが付き当たることが可能とされている(図4(b)、(d)参照)。
このベースステージ12aには、フォトインタラプタ19が設けられている。このフォトインタラプタ19は、装置本体部13がベース11に対してZ軸方向負側の所定の位置まで後退したか否かを検知すべく設けられている。フォトインタラプタ19は、本実施例では、ベースステージ12aに対してZ移動ステージ12bがZ軸方向負側の所定の位置となったか否かを検知することにより、ベース11に対して装置本体部13がZ軸方向負側の所定の位置となったか否かを検知する。そのフォトインタラプタ19は、検出光を出射する発光箇所が一端に設けられ、その検出光を受光する受光箇所が一端と対向する他端に設けられたU字形状を呈する。フォトインタラプタ19は、一端(発光箇所)と他端(受光箇所)との間に後述する遮光片12iを受け入れること(図4(a)参照)が可能とされており、当該遮光片12iにより検出光が遮られたか否かを検出することができる。このフォトインタラプタ19は、本実施例では、Z移動ステージ12bがベースステージ12aに対するZ軸方向での移動可能な範囲におけるZ軸方向負側の端部に位置すると、遮光片12iを受け入れる位置関係とされている(図4(a)参照)。すなわち、本実施例では、ベースステージ12aに対するZ移動ステージ12bのZ軸方向で見た所定の位置を、Z軸方向負側の端部としている。このため、フォトインタラプタ19は、ベースステージ12aに対してZ移動ステージ12bが、すなわちベース11に対して装置本体部13が、最もZ軸方向負側に位置された(眼圧測定部40が被検眼Eから最も後退された)か否かを検知することができる。なお、このフォトインタラプタ19は、ベースステージ12aに対するZ移動ステージ12bの位置を判断するものとされていることから、後述するようにX移動ステージ12cおよびY移動機構部12dによる装置本体部13のX軸方向およびY軸方向での移動に拘わらず、装置本体部13が最もZ軸方向負側に位置されたことを検知することができる。
そのZ移動ステージ12bには、X軸方向と平行に伸びる一対のX軸案内溝12hと、遮光片12iと、が設けられている。この各X軸案内溝12hは、X移動ステージ12cの裏面(Y軸方向負側の面)に設けられた図示を略す案内突起を、X軸方向に移動可能に受け入れることが可能とされている。Z移動ステージ12bは、対応するX軸案内溝12hで当該各案内突起を受け入れることにより、X軸方向に移動(変位)可能にX移動ステージ12cを保持する。このため、X移動ステージ12cは、ベースステージ12aすなわちベース11に対して、Z移動ステージ12bとともにZ軸方向に移動することでき、かつX軸方向に移動することができる。遮光片12iは、Z移動ステージ12bにおけるZ軸方向負側の端面から突出する板状を呈し、X軸方向で見てフォトインタラプタ19と重なる位置に設けられている。
そのX移動ステージ12cには、Y移動機構部12dが設けられている。そのY移動機構部12dは、X移動ステージ12cとY移動ステージ12kとのY軸方向で見た間隔を変化させることが可能とされている。Y移動機構部12dは、後述するようにコントロールレバー17から伝達された回転操作を、X移動ステージ12cに対するY移動ステージ12kのY軸方向への移動動作に変換することが可能とされている。そのY移動ステージ12kは、眼圧測定部40(その光学系(図6、図7参照))が設置される箇所であり、その眼圧測定部40とともに筐体13aで覆われることにより装置本体部13を構成する。このため、Y移動機構部12dは、X移動ステージ12cに対して、Y移動ステージ12kをY軸方向へと移動(変位)させることにより、そこに設定される眼圧測定部40とともに装置本体部13をY軸方向へと移動(変位)させる。
このため、可動機構部12は、ベース11に対して装置本体部13(眼圧測定部40)を、前後方向(Z軸方向)、左右方向(X軸方向)および上下方向(Y軸方向)、に適宜移動(変位)させることが可能とされている。換言すると、可動機構部12は、ベース11に対して装置本体部13(眼圧測定部40)を適宜移動(変位)させることにより、ベース11に固定された顎受部15および額当部16に対して装置本体部13(眼圧測定部40)を適宜移動(変位)させることができる。可動機構部12は、ベース11に対して装置本体部13を移動(変位)させるために要する移動操作力の低減が図られており、手動で装置本体部13を移動させる際の検者の負担を軽減させて使い勝手を向上させている。
その可動機構部12では、ベース11に対して装置本体部13を移動(変位)させる移動操作力を受けるためのコントロールレバー17がX移動ステージ12cに設けられている。そのコントロールレバー17は、装置本体部13をベース11に対して手動で移動させるための操作部である。コントロールレバー17は、前後方向および左右方向(XZ平面と平行な方向)の移動操作力を受けると、その移動操作力をX移動ステージ12cに作用させることにより、ベース11に固定されたベースステージ12aに対するZ移動ステージ12bのZ軸方向への移動操作力を作用させ、かつZ移動ステージ12bに対するX移動ステージ12cのX軸方向への移動操作力を作用させる。このコントロールレバー17は、本実施例では、前後方向および左右方向へと傾倒可能に設けられており、傾倒しつつ移動操作力を受けるものとされている。
また、コントロールレバー17は、その伸びる方向を回転中心として回転操作することが可能とされている。このコントロールレバー17は、X移動ステージ12cにおいて例えば歯車を介してY移動機構部12dと結合されており、自らに為された回転操作をY移動機構部12dに伝達することが可能とされている。伝達された回転操作は、Y移動機構部12dによりX移動ステージ12cに対するY移動ステージ12kのY軸方向への移動動作に変換される。このため、コントロールレバー17では、一方の方向に回転されるとY移動ステージ12kをY軸方向正側へと移動(変位)させる移動操作力をY移動機構部12dに作用させ、他方の方向に回転されるとY移動ステージ12kをY軸方向負側へと移動(変位)させる移動操作力をY移動機構部12dに作用させる。さらに、コントロールレバー17には、コントロールレバー17に押し込む操作が可能とされたスタートボタン17aが設けられている。そのスタートボタン17aは、眼圧測定部40による被検眼Eの眼圧の測定を実行させるのに用いる。スタートボタン17aは、コントロールレバー17に押し込むことにより操作されるものであることから、ベース11に対する装置本体部13の移動操作力を生じさせることなく操作することが可能とされている。
可動機構部12では、ベース11に対する装置本体部13のZ軸方向正側への移動を制限する位置を設定するために、セーフティレバー18がX移動ステージ12cに設けられている。このセーフティレバー18は、ストッパ機構21(図3参照)におけるベース11に対する装置本体部13のZ軸方向正側への移動制限位置を設定すべく操作されるものである。セーフティレバー18は、図3に示すように、回転軸18aを回転中心として回転操作可能に設けられている。このセーフティレバー18には、操作片部18bが設けられており、操作片部18bを掴むことにより回転軸18a回りの回転操作を容易なものとしている。
そのストッパ機構21は、セーフティレバー18の操作に応じて、ベース11に対する装置本体部13のZ軸方向正側への移動を制限する位置を設定するものであり、設定板部材22と位置決めバネ部材23とを有する。その設定板部材22は、長尺な板状を呈し、一端が屈曲されて干渉部22aが設けられ、それ以外の箇所に長尺方向に連続して位置決め孔22bが設けられている。設定板部材22は、干渉部22aをZ軸方向正側に位置させつつその干渉部22aをZ移動ステージ12bからY軸方向負側に突出させて、Z移動ステージ12bに設けられている。その設定板部材22は、Z移動ステージ12bにおいて、所定の範囲内でZ軸方向に移動可能とされており、図示を略す弾性部材によりZ軸方向正側へと変位させる弾性力が与えられている。すなわち、設定板部材22は、何らの制限が与えられないと、Z軸方向正側に片寄せられるものとされている。その設定板部材22は、干渉部22aが、ベースステージ12aに設けられた受入凹所12f内に位置する位置関係とされており、その受入凹所12fの規制壁部12gに付き当たることが可能とされている。
位置決めバネ部材23は、長尺な板バネ部材で形成されており、一端に位置決めピン23aが設けられている。その位置決めバネ部材23は、位置決めピン23aが設けられた一端を設定板部材22に押し当てるように、他端がセーフティレバー18の近傍に固定されている。その位置決めピン23aは、設定板部材22に設けられた各位置決め孔22bに通すことが可能な径寸法とされている。この位置決めバネ部材23は、位置決めピン23aをいずれか1つの位置決め孔22bに通すことにより、Z移動ステージ12bに対する設定板部材22のZ軸方向での位置を固定する。この位置決めバネ部材23は、操作片部18bを押し下げるようにセーフティレバー18が回転されると、一端が設定板部材22から離れる方向に撓み変形されて、その一端に設けられた位置決めピン23aが設定板部材22の位置決め孔22bから引き抜かれる。そして、位置決めバネ部材23は、操作片部18bを押し上げるようにセーフティレバー18が回転されると、一端を設定板部材22から離れる方向に撓み変形されることが解除されて、自らの弾性力により一端を設定板部材22に押し当てて位置決めピン23aを位置決め孔22bに挿入させる。
このストッパ機構21では、位置決めピン23aをいずれか1つの位置決め孔22bに通した位置決めバネ部材23によりZ移動ステージ12bに対する設定板部材22のZ軸方向での位置を固定した状態において、その干渉部22aを受入凹所12fの規制壁部12gに付き当てることで、Z移動ステージ12bのベースステージ12aに対するZ軸方向正側への移動を制限する(図4(b)参照)。そのストッパ機構21では、次のようにベース11に対する装置本体部13のZ軸方向正側への移動を制限する位置を設定することができる。
この一例として、Z軸方向で見て、例えば、ベースステージ12aに対してZ移動ステージ12bが、図4(c)に示すような位置関係とされたものとする。この位置関係において、操作片部18bを押し下げてセーフティレバー18を回転させると、位置決めバネ部材23の一端の位置決めピン23aが設定板部材22の位置決め孔22bから引き抜かれる。すると、設定板部材22は、図示を略す弾性部材によりZ軸方向正側へと変位させる弾性力が与えられていることから、Z移動ステージ12bに対してZ軸方向へと移動されて、干渉部22aが受入凹所12fの規制壁部12gに付き当てられる(図4(d)参照)。その後、ストッパ機構21では、操作片部18bを押し上げるようにセーフティレバー18が回転させると、干渉部22aを受入凹所12fの規制壁部12gに付き当てた位置で設定板部材22をZ移動ステージ12bに対して固定することができる。このため、ストッパ機構21では、図4(d)に示すように、その固定された設定板部材22の干渉部22aが受入凹所12fの規制壁部12gに付き当たることで、Z移動ステージ12bは図示の状態からベースステージ12aに対してZ軸方向正側へと移動することを制限する。
このように、ストッパ機構21では、ベースステージ12aに対してZ移動ステージ12bをZ軸方向で見た所望の位置、すなわちベース11に対して装置本体部13をZ軸方向で見た所望の位置とした際に、操作片部18bを押し下げてセーフティレバー18を回転させ、その後に操作片部18bを押し上げてセーフティレバー18が回転させることにより、その所望の位置をベース11に対する装置本体部13のZ軸方向正側への移動制限位置とすることができる。
なお、図2に示す可動機構部12では、ベースステージ12aとZ移動ステージ12bとX移動ステージ12c(そこに設けられたY移動機構部12d)とをY軸方向に積層して構成しているが、Y軸方向に直交する方向で見て各部が互いに重なり合わせて構成する等のように完全にY軸方向に分割されて構成されていなくてもよく、本実施例に限定されるものではない。また、図2に示す可動機構部12では、上記した構成とされていたが、ベース11に対して装置本体部13を前後方向(Z軸方向)、左右方向(X軸方向)および上下方向(Y軸方向)、に適宜移動(変位)させるものであれば、他の構成とされていてもよく、図2に示す構成に限定されるものではない。
次に、眼科装置10の制御系の構成を説明する。眼科装置10は、図5に示すように、制御部31と、合焦判断回路32と、アライメント判定回路33と、プリンタ機構34と、を有する。制御部31は、表示部14への操作に基づいて、あるいは内蔵する記憶部31aに格納されたプログラムにより眼科装置10の各部を統括的に制御する。また、制御部31は、後述するように、表示部14におけるタッチパネルの機能を利用して触れることによる選択(切替)操作を可能とするアイコンとしての各種記号(図8参照)を表示させる。制御部31は、後述するように、合焦判断回路32からの検出結果(その信号)に基づいて合焦判断記号(図示せず)を生成する。また、制御部31は、後述するように、アライメント判定回路33からの検出結果(その信号)に基づいてアライメントマークMa(図8参照)を生成する。さらに、制御部31は、後述するように、プリンタ機構34を駆動することにより、当該プリンタ機構34から測定結果(眼圧の数値等)を印字した記録紙を出力させる。ついで、制御部31は、眼科装置10に無線あるいは有線により接続された外部接続機器に、測定結果(眼圧の数値等)等のデータを転送することができる。
その制御部31は、後述する前眼部観察光学系41の前眼部照明光源41a、XYアライメント指標投影光学系42のXYアライメント用光源42a、固視標投影光学系43の固視標用光源43a、およびZアライメント指標投影光学系45のZアライメント用光源45aに、それぞれに対応する点灯制御を行うためのドライバ(駆動機構)を介して接続されており、これらの各光源の発光を適宜制御する。また、制御部31は、後述する圧平検出光学系44のセンサ44c、およびZアライメント検出光学系46のセンサ46cに接続されており、これらが取得した画像等に基づく信号を取得することができる。そして、制御部31は、後述する前眼部観察光学系41の合焦駆動機構41Dに接続されており、その合焦駆動機構41Dを介して前眼部観察光学系41のCCDカメラ41hを適宜移動させることができる。
この制御部31には、後述する前眼部観察光学系41のCCDカメラ41h(図6等参照)が接続されており、そのCCDカメラ41hの受光に基づく信号、すなわち被検眼Eの前眼部の画像(前眼部像E´(図8参照))としての信号等が伝送される。その被検眼Eには、後述するXYアライメント指標光による輝点像S(図8参照)や、Z方向検出輝点像(図示せず)が形成されることから、前眼部の画像(前眼部像E´)とともにそれらの像としての信号が制御部31に伝送される。そして、制御部31は、表示部14に接続されており、CCDカメラ41hからの受光信号に基づいて適宜画像信号を生成し、CCDカメラ41hからの受光信号に基づく画像を表示部14(その表示面14a)に適宜表示させる(図8参照)。また、制御部31は、後述するアライメントマークMa(図8参照)や合焦判断記号(図示せず)を表示部14(その表示面14a)に表示させる。
加えて、制御部31は、後述する気流吹付機構49の空気圧縮駆動部49bと圧力センサ49dとに接続されている。これにより、制御部31は、後述するように、空気圧縮駆動部49bを駆動することにより、気流吹付機構49の気流吹付ノズル41bから被検眼Eの角膜Ecに向けて気流を吹き付けることができる。また、制御部31は、圧力センサ49dからの信号を取得することにより、空気圧縮室49aの圧力を検出することができる。
さらに、制御部31は、上述したフォトインタラプタ19に接続されており、そのフォトインタラプタ19からの検知信号を取得可能とされている。制御部31は、フォトインタラプタ19から検知信号が出力されたか否かを判断することにより、ベース11に対して装置本体部13が後述する安全領域Paまで後退されたか否かを判断する。そして、制御部31は、フォトインタラプタ19からの検知信号に基づいて、表示部14に表示させた各種記号を用いた選択(切替)操作の可否を設定(後述する操作部制限制御処理(図10のフローチャート参照))する。この選択(切替)操作の可否の設定(操作部制限制御処理)については、後に詳細に説明する。
ついで、制御部31は、上述した姿勢検知センサ13bに接続されており、その姿勢検知センサ13bからの検知信号を取得可能とされている。制御部31は、姿勢検知センサ13bから検知信号が出力されたか否かを判断することにより、装置本体部13に対して表示部14(表示面14a)が検者の側に位置する接近作用姿勢(図1参照)であるか否かを判断することができる。そして、制御部31は、姿勢検知センサ13bからの検知信号を、表示部14に表示させた各種記号を用いた選択(切替)操作の可否の設定(操作部制限制御処理)に用いる。
制御部31は、上述したコントロールレバー17に設けられたスタートボタン17aに接続されており、そのスタートボタン17aに操作が為されたこと(それを示す信号)の取得が可能とされている。制御部31は、スタートボタン17aに操作が為されると、後述するように眼圧測定部40(その各部)を駆動して当該眼圧測定部40による被検眼Eの眼圧の測定を実行させる。
合焦判断回路32は、後述する眼圧測定部40の光学的な構成(図6、図7参照)が被検眼E(その眼底Efあるいは前眼部(角膜Ec))に合焦しているか否か、すなわち眼圧測定部40(それを収容する装置本体部13)の前後方向(Z軸方向)のズレ量が許容範囲内であるか否かを検出する。この合焦判断回路32では、その合焦(ズレ量)の判断に、後述するZアライメント検出光学系46のセンサ46c(図6参照)からの検出信号を用いる。そして、合焦判断回路32は、その検出結果(その信号)を制御部31に出力する。すると、制御部31は、図示を略す合焦判断記号を生成して表示部14(その表示面14a)に表示させる。その合焦判断記号は、合焦完了位置(ズレ量が許容範囲内である位置)であることを示すとともに、その合焦完了位置に対して前側(Z軸方向正側)にズレているのか後側(Z軸方向負側)にズレているのかと、そのズレ量とを示すことが可能とされている。また、合焦判断記号は、合焦判断回路32で前後方向(Z軸方向)でのズレ量を判断することができない場合、すなわちセンサ46cで後述するZアライメント指標投影光学系45から出射されたZアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を受光出来ない場合、表示部14(その表示面14a)に表示されない。換言すると、合焦判断記号は、合焦判断回路32による前後方向(Z軸方向)でのズレ量の判断が可能な範囲(検出可能範囲)となると、表示部14(その表示面14a)に表示される。このため、検者は、当該合焦判断記号が合焦完了位置であることを示す状態となるように、コントロールレバー17を介してベース11に対する装置本体部13のZ軸方向での位置を調整することにより、眼圧測定部40の光学的な構成(装置本体部13)を被検眼E(その眼底Efあるいは前眼部(角膜Ec))に合焦する位置とすることができる。
アライメント判定回路33は、後述する眼圧測定部40の光学的な構成(図6、図7参照(装置本体部13))の主光軸O1と被検眼Eの光軸とのX−Y平面に沿う方向(以下では、XY方向ともいう)のズレ量が許容範囲内であるか否かを検出するものである。そのズレ量は、例えば、左右方向(X軸方向)でのズレ量およびその方向と、上下方向(Y軸方向)でのズレ量およびその方向と、で表すことができる。このアライメント判定回路33では、そのズレ量の判断に、被検眼Eの前眼部(前眼部像E´)において、後述するようにXYアライメント指標投影光学系42により形成されるXYアライメント指標像(輝点像S)(その画像)の、前眼部観察光学系41のCCDカメラ41hで取得した信号を用いる(図7参照)。すなわち、アライメント判定回路33では、XY方向で見て、輝点像Sの位置と後述する眼圧測定部40の光学的における主光軸O1の位置とのズレ量が許容範囲内であるか否かを判断することにより、当該主光軸O1と被検眼Eの光軸とのズレ量が許容範囲内であるか否かを検出する。そして、アライメント判定回路33では、その検出結果(その信号)を制御部31に出力する。ここで、制御部31は、アライメントマークMa(図8参照)を生成して表示部14(その表示面14a)に表示させる。そのアライメントマークMaは、後述する眼圧測定部40の光学的における主光軸O1の位置を示すとともに、その主光軸O1の位置に対するXYアライメント指標像としての輝点像Sの位置のズレ量の許容範囲を示すことが可能とされている。そして、アライメントマークMaは、主光軸O1の位置に対する輝点像Sの位置のズレ量が、許容範囲内となったことの認識が可能とされている。このため、検者は、アライメントマークMaが示す許容範囲の中に輝点像Sが位置する状態となるように、コントロールレバー17を介してベース11に対する装置本体部13のXY方向での位置を調整することにより、眼圧測定部40の光学的な構成の主光軸O1を被検眼Eに形成された輝点像Sの位置に略一致させることができる。
プリンタ機構34は、制御部31の制御下で、眼圧測定部40を用いた被検眼Eの測定結果(眼圧の数値等)を記録紙に印字し、その記録紙を出力するものである。そのプリンタ機構34は、本実施例では、眼科装置10のベース11の内方に設けられており、ベース11に開閉可能に設けられたプリンタカバー34a(図1参照)を開けることにより記録紙を出力することが可能となる。制御部31は、本実施例では、後述するプリントボタンB11(図8参照)に触れられたことを検知すると、プリンタ機構34を駆動して眼圧測定部40を用いた被検眼Eの測定結果(眼圧の数値等)を記録紙に印字して出力させる。
この眼科装置10の装置本体部13には、上述したように、外形形状を形作る筐体13aの内方に眼科装置10における光学的な構成、すなわち眼圧測定部40としての光学系が設けられている。この眼圧測定部40(眼科装置10)は、被検眼Eの光学特性(眼特性)を測定することが可能とされており、本実施例では、被検眼Eの眼圧を測定することが可能とされている。
次に、図6および図7を用いて、眼圧測定部40(眼科装置10)の光学的な構成を説明する。その眼圧測定部40は、非接触式の眼圧計である。眼圧測定部40は、前眼部観察光学系41とXYアライメント指標投影光学系42と固視標投影光学系43と圧平検出光学系44とZアライメント指標投影光学系45とZアライメント検出光学系46とを備える。
その前眼部観察光学系41は、眼圧測定部40における観察光学系を構成するものであり、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)を観察する。XYアライメント指標投影光学系42は、XY方向でのアライメント状態を検出するために、指標光を被検眼Eに向けて投影する。固視標投影光学系43は、被検眼Eを固視させるために、その被検眼Eの眼底Efに固視のための視標(固視標)を投影(提示)する。圧平検出光学系44は、角膜Ecの表面が平らとされたこと(圧平)を検知する。Zアライメント指標投影光学系45は、XY方向でのアライメント状態を検出するために、Z軸方向のアライメント指標光を被検眼Eに投影する。Zアライメント検出光学系46は、Z軸方向のアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を受光する。
その前眼部観察光学系41は、被検眼Eの前眼部の観察およびXYアライメント(X−Y平面に沿う方向におけるアライメント)をするために設けられている。この前眼部観察光学系41は、前眼部照明光源41a(図6参照)が設けられるとともに、主光軸O1上に、気流吹付ノズル41bと前眼部窓ガラス41c(図7参照)とチャンバー窓ガラス41dとハーフミラー41eとハーフミラー41fと対物レンズ41gとCCDカメラ41hとが設けられて構成されている。前眼部照明光源41aは、前眼部窓ガラス41c(図7参照)の周囲に位置されており(図6参照)、被検眼Eの前眼部を直接照明すべく複数個(図6には2つのみ示す)設けられている。気流吹付ノズル41bは、被検眼E(その前眼部)に気流を吹き付けるためのノズルであり、後述する気流吹付機構49の空気圧縮室49a(図7参照)に設けられている。
CCDカメラ41hは、受光面に形成された画像(前眼部像等)に基づく画像信号を生成するものであり、生成した画像信号を制御部31(図5参照)へと出力する。このCCDカメラ41hより取得された画像は、制御部31の制御下で、表示部14(図1参照)に適宜表示されるとともに、図示を略す外部機器へと適宜出力される。CCDカメラ41hは、図7に示すように、合焦駆動機構41Dにより主光軸O1に沿って移動可能とされている。合焦駆動機構41Dは、制御部31(図5参照)の制御下で、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントを合わせるべくCCDカメラ41hを適宜移動させる。制御部31は、合焦駆動機構41Dを介して、眼圧測定部40すなわち装置本体部13の位置に応じて、CCDカメラ41hの主光軸O1上での位置を変化させることにより、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントを合わせる。この合焦駆動機構41Dは、少なくとも眼圧測定部40(装置本体部13)を、被検眼Eの眼圧の測定を実行することを可能とする位置、すなわち被検眼Eの前眼部(角膜Ec)から作動距離とした際に、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントを合わせることが可能とされている。その眼圧測定部40は、本実施例では、その被検眼Eの眼圧の測定を実行することを可能とする位置が、気流吹付ノズル41bの先端から被検眼Eまでの距離(間隔)すなわち作動距離を11mmとする位置に設定されている。
なお、この合焦駆動機構41Dは、眼圧測定部40(装置本体部13)を、被検眼E(被検者)から十分に離した位置とした際に、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)にピントを合わせることを可能とすべく移動可能なものとされていてもよい。これは、眼圧測定部40に測定を開始する際、当該眼圧測定部40(装置本体部13)を、先ず被検眼Eから十分に離した位置においてY軸方向へと移動して被検眼Eに対応する高さ位置としてから、Z軸方向へと移動させて被検眼Eに近付けていくことによる。このような移動は、被検眼Eに極めて近付けられる気流吹付ノズル41b(その先端)が、誤って被検眼Eと接触することを防止するために行われる。または、測定対象とする被検眼Eを被検者の左右眼で切り換える際、眼圧測定部40(装置本体部13)を、一方の眼圧を測定した位置から先ず後退(Z軸方向負側)し、左右方向(X軸方向)へと移動して、他方の被検眼Eに近付く方向へと移動させながらアライメントを行うことにもよる。このような動作は、眼圧測定部40の気流吹付ノズル41bの先端が、誤って被検者(その鼻等)に接触することを防止するために行われる。
この前眼部観察光学系41では、前眼部照明光源41a(図6参照)で被検眼E(その前眼部)を照明しつつ、その被検眼Eの前眼部像をCCDカメラ41hで取得する。その前眼部像(その光束)は、気流吹付ノズル41bの外を通り、前眼部窓ガラス41c(後述するガラス板49cも含む)、チャンバー窓ガラス41d、ハーフミラー41eおよびハーフミラー41fを透過し、対物レンズ41gにより集束されて、CCDカメラ41h(その受光面)上に形成される。このCCDカメラ41h(前眼部観察光学系41)は、形成された前眼部像の受光に基づく信号を制御部31(図5参照)へと出力する。その制御部31は、CCDカメラ41h(前眼部観察光学系41)で取得した前眼部の画像(前眼部像E´)を表示部14に適宜表示させる(図8参照)。
また、前眼部観察光学系41では、後述するようにXYアライメント指標投影光学系42により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、CCDカメラ41h(その受光面)へと進行させる。詳細には、前眼部観察光学系41では、当該反射光束を、気流吹付ノズル41bの内部を通り、チャンバー窓ガラス41d、ハーフミラー41eおよびハーフミラー41fを透過させて対物レンズ41gへと至らせる。そして、前眼部観察光学系41では、当該反射光束を対物レンズ41gで集束して、CCDカメラ41hへと進行させる。すると、そのCCDカメラ41h(その受光面)上には、装置本体部13(眼圧測定部40)と角膜EcとのXY方向の位置関係に応じた位置に輝点像Sが形成される。このCCDカメラ41h(前眼部観察光学系41)は、形成された輝点像Sの受光に基づく信号を制御部31(図5参照)へと出力することができる。その輝点像Sは、被検眼Eの角膜Ec上に形成されるものである。このため、制御部31は、輝点像Sが形成された前眼部(角膜Ec)の画像(そのデータ)を取得することができ、表示部14に輝点像Sが形成された前眼部(角膜Ec)の画像(前眼部像E´)を適宜表示させることができる(図8参照)。なお、その表示部14では、制御部31によって生成されたアライメントマークMaも前眼部(角膜Ec)の画像(前眼部像E´)に重ねて表示される(図8参照)。
XYアライメント指標投影光学系42は、図7に示すように、指標光を被検眼Eの角膜Ecに正面から投影する。その指標光は、XY方向で見た被検眼E(その前眼部(角膜Ec))の眼圧測定部40に対する位置の調節、いわゆるXY方向のアライメントを可能とする機能を有する。また、当該指標光は、被検眼Eの角膜Ecの変形量(変形の度合(圧平))の検出を可能とする機能も有する。このXYアライメント指標投影光学系42は、XYアライメント用光源42aと集光レンズ42bと開口絞り42cとピンホール板42dとダイクロイックミラー42eと投影レンズ42fとを有し、前眼部観察光学系41とハーフミラー41fを共用している。XYアライメント用光源42aは、赤外光を出射する光源とされている。投影レンズ42fは、ピンホール板42dに焦点を一致させるように、XYアライメント指標投影光学系42の光路上に配置されている。
このXYアライメント指標投影光学系42では、XYアライメント用光源42aから出射した赤外光を、集光レンズ42bにより集束させつつ開口絞り42cを通過させて、ピンホール板42d(その穴部)へと進行させる。XYアライメント指標投影光学系42では、ピンホール板42d(その穴部)を通過した光束を、ダイクロイックミラー42eで反射して投影レンズ42fへと進行させ、その進行した赤外光を投影レンズ42fで平行光束として、ハーフミラー41fへと進行させる。そして、XYアライメント指標投影光学系42では、ハーフミラー41fで反射することで平行光束を前眼部観察光学系41の主光軸O1上に進行させる。その平行光束は、ハーフミラー41eおよびチャンバー窓ガラス41dを透過して、気流吹付ノズル41bの内部へと進行し、当該気流吹付ノズル41bの内部を通過することでXYアライメント指標光として被検眼Eに至る。このように、XYアライメント指標投影光学系42では、XYアライメント指標光を被検眼Eの角膜Ecに向けて投影する。そのXYアライメント指標光束は、その被検眼Eの角膜Ecにおいて反射されることで、被検眼Eの内方における角膜Ecの角膜頂点Eaと当該角膜Ecの曲率中心との中間位置に、XYアライメント指標像としての輝点像Sを形成する。なお、開口絞り42cは、投影レンズ42fに関して角膜Ecの角膜頂点Eaと共役な位置に設けられている。
このため、前眼部観察光学系41によりCCDカメラ41h(その受光面)上に輝点像Sが形成された前眼部(角膜Ec)の像を形成することで、表示部14に輝点像S(その像)が形成された前眼部の画像(前眼部像E´)を表示させることができる。XYアライメント指標投影光学系42は、後述するように、形成したXYアライメント指標像としての輝点像Sを用いることで、XY方向での位置の調節、いわゆるXYアライメントを可能とする。このため、XYアライメント指標投影光学系42は、眼圧測定部40において被検眼Eの前眼部(前眼部像E´)の画像上にアライメント目標としてのXYアライメント指標像(輝点像S)を形成するアライメント光投影光学系(アライメント光学系)として機能する。
固視標投影光学系43は、被検眼Eに固視標を投影(提示)する。その固視標投影光学系43は、固視標用光源43aとピンホール板43bとを有し、XYアライメント指標投影光学系42とダイクロイックミラー42eおよび投影レンズ42fを共用するとともに前眼部観察光学系41とハーフミラー41fを共用している。その固視標用光源43aは、可視光を出射する光源とされている。この固視標投影光学系43では、固視標用光源43aから出射した固視標光をピンホール板43b(その穴部)へと進行させ、そのピンホール板43b(その穴部)を通過しダイクロイックミラー42eを透過させて、投影レンズ42fへと進行させる。その固視標光(その光束)は、投影レンズ42fにより略平行光とされてハーフミラー41fへと進行し、そのハーフミラー41fで反射されることで前眼部観察光学系41の主光軸O1上を進行する。その光束は、ハーフミラー41eおよびチャンバー窓ガラス41dを透過して、気流吹付ノズル41bの内部へと進行し、当該気流吹付ノズル41bの内部を通過して被検眼Eに至る。固視標投影光学系43は、この被検眼Eに投影した固視標を、被検者に固視目標として注視させることにより、当該被検者の視線を固定する。
圧平検出光学系44は、XYアライメント指標投影光学系42により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を受光して、その角膜Ecの表面の変形量(圧平)を検出する。この圧平検出光学系44は、レンズ44a、ピンホール板44bおよびセンサ44cを有し、前眼部観察光学系41とハーフミラー41eを共用する。レンズ44aは、角膜Ecの表面が平らとされた際に、XYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、ピンホール板44bの中央の穴に集光させる。そのピンホール板44bは、レンズ44aによる上述した集光位置に、中央の穴を位置させて設けられている。センサ44cは、光量検出の可能な受光センサであって、受光した光量に応じた信号を出力するものであり、本実施例ではフォトダイオードを用いる。このセンサ44c(圧平検出光学系44)は、受光した光量に応じた信号を制御部31に出力する。
上述したように、被検眼Eの角膜Ecの表面(角膜表面)で反射されたXYアライメント指標光の反射光束は、気流吹付ノズル41bの内部を通り、チャンバー窓ガラス41dを透過してハーフミラー41eに至る。圧平検出光学系44では、その一部をハーフミラー41eで反射してレンズ44aへと進行させ、そのレンズ44aで集束して、ピンホール板44bへと進行させる。ここで、被検眼Eでは、後述する気流吹付機構49(図7等参照)により気流吹付ノズル41bから角膜Ecに向けて気流が吹き付けられることで、角膜Ecの表面が変形して徐々に平らな状態とされていく。そのとき、圧平検出光学系44では、上述した設定により、角膜Ecの表面が平らとされると進行してきた反射光束の全体がピンホール板44bの穴を通してセンサ44cに到達し、その他の状態ではピンホール板44bで部分的に遮られつつセンサ44cに到達する。このため、圧平検出光学系44では、センサ44cで受光した光量が最大となった時点を検出することにより、角膜Ecの表面が平らとされたこと(圧平)を検知することができる。これにより、圧平検出光学系44では、流体の吹き付けにより変形した角膜Ecの表面の形状(圧平)を検出することができ、センサ44cがその検出のために角膜Ecからの反射光(反射光束)を受光する受光部として機能する。
Zアライメント指標投影光学系45は、図6に示すように、被検眼Eの角膜Ecに、斜めからZ軸方向のアライメント指標光(アライメント用指標平行光束)を投影する。このZアライメント指標投影光学系45は、光軸O2上に、Zアライメント用光源45aと集光レンズ45bと開口絞り45cとピンホール板45dと投影レンズ45eとが設けられて構成されている。そのZアライメント用光源45aは、赤外光(例えば波長860nm)を出射する光源とされている。開口絞り45cは、投影レンズ45eに関して角膜Ecの角膜頂点Eaと共役な位置に設けられている。その投影レンズ45eは、ピンホール板45d(その穴部)に焦点を一致させて配置されている。Zアライメント指標投影光学系45では、Zアライメント用光源45aから出射した赤外光(その光束)を、集光レンズ45bにより集光させつつ開口絞り45cを通過させてピンホール板45dへと進行させる。このZアライメント指標投影光学系45では、ピンホール板45d(その穴部)を通過させた光束を投影レンズ45eへと進行させ、投影レンズ45eで平行光として角膜Ecへと進行させる。その赤外光(その光束(Zアライメント指標光))は、被検眼Eの内方に位置する輝点像を形成するようにして、角膜Ecの表面で反射される。
Zアライメント検出光学系46は、Zアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、前眼部観察光学系41の主光軸O1に対して対称な方向から受光して、装置本体部13(眼圧測定部40)と角膜EcとのZ軸方向での位置関係を検出する。そのZアライメント検出光学系46は、光軸O3上に、結像レンズ46aとシリンドリカルレンズ46bとセンサ46cとが設けられて構成されている。シリンドリカルレンズ46bは、Y軸方向にパワーを持つものとされている。センサ46cは、受光面における受光位置を検出可能な受光センサであり、ラインセンサやPSDを用いて構成することができ、本実施例ではラインセンサを用いる。このセンサ46cは、図示は略すが合焦判断回路32に接続されている。
このZアライメント検出光学系46では、Zアライメント指標投影光学系45によりアライメント指標光が投影されて角膜Ecの表面で反射された反射光束が、結像レンズ46aへと進行される。Zアライメント検出光学系46では、反射光束を結像レンズ46aで集束し、シリンドリカルレンズ46bへと進行させ、そのシリンドリカルレンズ46bでY軸方向に集光してセンサ46c上に輝点像を形成する。このセンサ46cは、X−Z平面内において、Zアライメント指標投影光学系45により被検眼Eの内方に形成された上述した輝点像と結像レンズ46aに関して共役な位置関係にあり、Y−Z平面内において、角膜頂点Eaと結像レンズ46aおよびシリンドリカルレンズ46bに関して共役な位置関係にある。すなわち、センサ46cは、開口絞り45cと共役関係にあり(このときの倍率は開口絞り45cの像がセンサ46cの大きさより小さくなるように設定している)、Y軸方向に角膜Ecがずれたとしても当該角膜Ecの表面における反射光束は効率良くセンサ46cに入射する。このセンサ46c(Zアライメント検出光学系46)は、形成された輝点像の受光に基づく信号を、合焦判断回路32へと出力する。
この眼圧測定部40では、光学的な構成に関連して気流吹付機構49(図7参照)が設けられている。その気流吹付機構49は、図7に示すように、空気圧縮室49aを有し、そこに連結されて空気圧縮駆動部49b(図5参照)が設けられて構成されている。その空気圧縮駆動部49bは、装置本体部13の内方に設けられており、空気圧縮室49aの内方で移動可能なピストンと、そのピストンを移動させる駆動部と、を有する。空気圧縮駆動部49bは、制御部31(図5参照)の制御下で駆動されることで、空気圧縮室49a内の空気を圧縮する。その空気圧縮室49aには、透明なガラス板49cを介して気流吹付ノズル41bが取り付けられているとともに、そこと対向してチャンバー窓ガラス41dが設けられている。このため、空気圧縮室49aは、前眼部観察光学系41における上述した機能を妨げることが防止されている。なお、その気流吹付ノズル41bおよび前眼部窓ガラス41cは、装置本体部13(その筐体13a)から部分的に突出されて設けられたノズル突起部41i(図1参照)に収容されている。
また、空気圧縮室49aには、当該空気圧縮室49aの圧力を検出する圧力センサ49dが設けられている。この圧力センサ49dは、制御部31に接続されており、検出した圧力に応じた信号を制御部31に出力する(図5参照)。この気流吹付機構49では、制御部31の制御下で、空気圧縮駆動部49bが空気圧縮室49a内の空気を圧縮することにより、気流吹付ノズル41bから被検眼Eの角膜Ecに向けて気流を吹き付けることができる。また、気流吹付機構49では、圧力センサ49dで空気圧縮室49a内の圧力を検出することにより、気流吹付ノズル41bから気流を吹き付けた際の圧力(それに応じた信号)を取得することが可能とされている。なお、気流吹付機構49では、圧力センサ49dを設けることに替えて、吹き付ける気流において、時間に対する圧力の変化が予め定められた特性とするものとしてもよい。
眼科装置10では、制御部31(図5参照)の制御下で、図8に示すように、表示部14の表示面14aに、被検眼Eの前眼部(前眼部像E´)の画像に加えて、表示部14におけるタッチパネルの機能を利用して触れることによる選択(切替)操作を可能とするアイコンとしての各種記号を表示させる。このアイコンとしての各種記号は、表示部14に設けられた操作部として機能する。本実施例では、表示部14の表示面14aにおいて、中央の画像表示領域14bを前眼部(前眼部像E´)等の画像を表示する表示領域としている。また、表示部14の表示面14aにおいて、画像表示領域14bの左側の左側記号表示領域14cと右側の右側記号表示領域14dと下側の下側記号表示領域14eとを、各種記号を表示させる表示領域としている。
その画像表示領域14bでは、上述したアライメントマークMaや合焦判断記号(図示せず)が、適宜前眼部像E´に重ねて表示される。また、画像表示領域14bでは、図示は略すが、測定結果やその他検査に関連する文字、記号、符号、図形等が、適宜前眼部像E´に重ねて表示される。
左側記号表示領域14cでは、各種記号として、IDボタンB1と、RボタンB2と、拡大縮小ボタンB3と、が表示される。そのIDボタンB1は、患者のIDを入力するのに用いる。RボタンB2は、測定対象として被検者の右側の被検眼E(右眼)を選択するのに用いる。拡大縮小ボタンB3は、前眼部(前眼部像E´)を拡大表示するか否かを選択するのに用いる。
右側記号表示領域14dでは、各種記号として、セットアップボタンB4と、LボタンB5と、スタートボタンB6と、が表示される。そのセットアップボタンB4は、セットアップ画面を表示するのに用いる。LボタンB5は、測定対象として被検者の左側の被検眼E(左眼)を選択するのに用いる。スタートボタンB6は、眼圧測定部40による被検眼Eの眼圧の測定を実行させるのに用いる。このスタートボタンB6は、コントロールレバー17に設けられたスタートボタン17aと同様の機能を有する。これは、スタートボタンB6は、後述するように、表示部14が接近作用姿勢である場合には、眼圧測定部40を作動距離とすると他の記号と共に無効状態とされることによる。換言すると、このスタートボタンB6は、表示部14が接近作用姿勢ではない姿勢とされている際に用いることができる。
下側記号表示領域14eでは、各種記号として、IOLボタンB7と、30/60ボタンB8と、測定回数切替ボタンB9と、全データ表示ボタンB10と、プリントボタンB11と、全測定値クリアボタンB12と、が表示される。そのIOLボタンB7は、眼内レンズ(IOL(Intraocular lens))が装着されている被検眼Eを測定対象とする際に用いる。30/60ボタンB8は、眼圧測定部40において測定することのできる被検眼Eの眼圧の範囲(レンジ)を、30(mmHg)までのモード(1〜30(mmHg))と、60(mmHg)までのモード(1〜60(mmHg))と、で切り替えるために用いる。測定回数切替ボタンB9は、眼圧測定部40による被検眼Eの眼圧の測定を、1回行うのか、予め設定された回数だけ連続して行うのか、を選択するのに用いる。全データ表示ボタンB10は、表示部14(その表示面14a)における表示を、全データ表示画面に切り替えるために用いる。プリントボタンB11は、測定結果をプリントアウトする際に用いるものであり、測定結果が無い場合には紙送りをするのに用いる。全測定値クリアボタンB12は、全測定値のデータを消去(クリア)するのに用いる。この他にも、無線あるいは有線により眼科装置10に接続された外部接続機器へと、測定結果(眼圧の数値等)等のデータの転送を行うためのデータ転送ボタンを設けるものとしてもよい。
次に、上述した眼圧測定部40を用いて被検眼Eの眼圧を測定する際の概略的な動作について説明する。なお、眼圧測定部40における下記の動作は、制御部31(図5参照)の制御下で実行される。先ず、眼科装置10の電源スイッチを投入し、表示部14に眼圧測定部40を用いて測定を行う旨の操作を行う。すると、眼圧測定部40では、前眼部照明光源41aとXYアライメント用光源42aと固視標用光源43aとZアライメント用光源45aとを適宜点灯させる。このとき、眼圧測定部40では、各光源42a、43a、45aをそれぞれ異なる周期で点滅を繰り返させるものとし、いずれの光源からの光であるかの識別を可能としてもよい。
眼圧測定部40では、図7に示すように、固視標投影光学系43の固視標用光源43aを点灯することで、固視標を被検眼Eに投影して、その被検眼Eを固視させるすなわち被検者の視線を固定する。また、眼圧測定部40では、XYアライメント指標投影光学系42のXYアライメント用光源42aを点灯することで、平行光束を角膜Ecに投影する。眼圧測定部40では、その角膜Ecで反射された反射光束を、前眼部観察光学系41のCCDカメラ41hと、圧平検出光学系44のセンサ44cと、により受光する。さらに、眼圧測定部40では、図6に示すように、Zアライメント指標投影光学系45のZアライメント用光源45aを点灯することで、Z軸方向のアライメント用の平行光束を角膜Ecに投影する。眼圧測定部40では、その角膜Ecで反射された反射光束を、Zアライメント検出光学系46のセンサ46cで受光する。
眼圧測定部40では、前眼部観察光学系41の前眼部照明光源41aを点灯することで、被検眼Eの前眼部を照明し、その被検眼Eの前眼部像をCCDカメラ41h上に結像させる。このとき、眼圧測定部40では、合焦駆動機構41D(図7参照)を介してCCDカメラ41hを主光軸O1上で適宜移動させ、かつCCDカメラ41hから出力された画像信号に基づく画像の生成処理を行い、かつその生成した画像を表示部14(その表示面14a)に適宜表示させる。このとき、眼圧測定部40では、Zアライメント検出光学系46のセンサ46cの受光信号を用いて合焦判断回路32(図5参照)が判断した前後方向(Z軸方向)でのズレ量に基づいて合焦判断記号を生成する。また、眼圧測定部40では、前眼部観察光学系41のCCDカメラ41hで取得した信号を用いてアライメント判定回路33が判断した上下左右方向(XY方向)でのズレ量に基づいてアライメントマークMa(図8参照)を生成する。そして、眼圧測定部40では、図8に示すように、表示部14(表示面14a)に、XYアライメント指標光の輝点像Sが形成された被検眼Eの前眼部像(前眼部像E´)と、アライメントマークMaと、を表示させる。また、眼圧測定部40では、図示は略すが表示部14(表示面14a)に、合焦判断記号を適宜表示させる。さらに、眼圧測定部40では、表示部14(表示面14a)に、アイコンとしての各種記号(B1からB12)を適宜表示させる。
ここで、検者は、アライメントを実行する前に、ストッパ機構21(図3参照)によりZ軸方向正側への移動制限位置を設定する。すなわち、先ず、被検眼Eに装置本体部13が接触することを防止しつつ眼圧測定部40による被検眼Eの眼圧の測定を行うことのできる位置まで、装置本体部13をベース11に対してZ軸方向正側へと移動させる。そして、その位置でセーフティレバー18(図1参照)を操作することにより、当該位置をストッパ機構21(図3参照)によるZ軸方向正側への移動制限位置とする。本実施例では、眼圧測定部40の作動距離(気流吹付ノズル41bの先端から被検眼Eまでの距離)が11mmとされていることから、調整代を含めて被検眼Eから気流吹付ノズル41b(その先端)までが11mm以下となるように移動制限位置を設定する。その後、検者は、この表示部14(表示面14a)を見ながらコントロールレバー17(図1参照)を操作して、輝点像SがアライメントマークMaの中心箇所内に位置するように装置本体部13を上下左右方向に移動させることで、XYアライメントを行うことができる。また、検者は、表示部14(表示面14a)を見ながらコントロールレバー17(図1参照)を操作して、図示を略す合焦判断記号が合焦完了位置であることを示すように装置本体部13を前後に移動させることで、Zアライメントを行うことができる。そして、検者は、アライメントが完了したものと判断すると、表示部14に設けられたスタートボタンB6(図8参照)あるいはコントロールレバー17に設けられたスタートボタン17a(図1参照)に測定を行うための操作を行う。
すると、眼圧測定部40では、図7に示すように、気流吹付機構49を作動させて、気流吹付ノズル41bから被検眼Eの角膜Ecに向けて気流を吹き付ける。これにより、被検眼Eでは、角膜Ecの表面が変形して徐々に平らな状態(圧平)とされていく。角膜Ecが徐々に平らな状態(圧平)とされていく過程において、角膜Ecの表面が平らと(圧平)されると圧平検出光学系44のセンサ44cでの受光量が最大となる。このため、眼圧測定部40では、センサ44cの受光量の変化に基づいて、角膜Ecの表面が平らと(圧平)されたことを制御部31が判断する。すなわち、圧平検出光学系44(センサ44c)では、角膜Ecの圧平を検出することができる。そして、眼圧測定部40では、制御部31が、圧力センサ49dからの出力(吹き付けた気流の圧力)に基づいて、被検眼Eの眼圧を求め(眼圧値を算出し)、その算出結果を表示部14に表示させる。なお、制御部31では、気流吹付ノズル41b(気流吹付機構49)による気流の吹き付けを開始時点から角膜Ecの表面が平らと(圧平)されたことを検知した時点までの時間に基づいて、被検眼Eの眼圧を求める(眼圧値を算出する)ものであってもよい。
このように、制御部31は、眼圧測定部40を用いて被検眼Eの眼圧の測定を実行する。なお、制御部31は、測定結果を記憶部(図示を略す)に適宜格納する。これにより、眼科装置10では、被検眼Eの眼圧を測定することができる。そして、眼科装置10では、上記した動作を被検者の双方の眼に対して実行することにより、双方の眼の眼圧を測定することができる。このとき、眼科装置10では、被検者が測定を実行している被検眼Eとは反対側の眼を覆ったり当該眼を瞑ったりすることなく、被検眼Eの上記した測定を行うことができる。
次に、本発明に係る本実施例の眼科装置10の特徴的な構成について、図1から図8に加えて、図9および図10を用いて説明する。この眼科装置10(眼圧測定部40)では、制御部31の制御下で、表示部14に設けられた操作部に為された操作に基づいて、各種の動作を行う。その操作部は、表示部14に設けられていることから、為される操作における力が、表示部14自体を押すように作用する(以下では押圧力ともいう)。この表示部14に設けられた操作部は、本実施例では、表示部14の表示面14aに表示されたアイコンとしての各種記号(図8の符号B1〜B12参照)である。このため、表示部14では、操作部への操作が為されることにより、押圧力が作用して押されることとなる。
ここで、表示部14は、上述したように、回転支持機構部14rを介して装置本体部13に回転自在に支持されており、表示面14aの向きを変更することが可能とされている。そして、表示部14は、装置本体部13に対して検者の側に位置する接近作用姿勢とされると、自らに作用する押圧力を、ベース11に対して装置本体部13をZ軸方向正側へと移動させるように当該装置本体部13に作用させてしまう。このため、装置本体部13は、表示部14に設けられた操作部(本実施例では各種記号(図8の符号B1〜B12参照))への操作による押圧力により、ベース11に対してZ軸方向正側へと移動してしまう虞がある。ここで、可動機構部12では、上述したように、ベース11に対して装置本体部13を移動(変位)させるために要する移動操作力の低減が図られている。このことから、装置本体部13は、操作部(各種記号(図8の符号B1〜B12参照))への操作による押圧力が小さいものであっても、ベース11に対してZ軸方向正側へと移動してしまう可能性が高まってしまう。
ここで、眼科装置10では、被検者の顔を固定するために設けられた顎受部15および額当部16が、装置本体部13に対してZ軸方向正側でベース11に固定されて設けられている。このため、表示部14に設けられた操作部(各種記号(図8の符号B1〜B12参照))を操作することに起因して意図せず装置本体部13がZ軸方向正側に移動すると、この装置本体部13を被検者の顔、特に測定のために装置本体部13に対向される被検眼Eに接触させてしまう虞がある。特に、本実施例の眼科装置10では、被検眼Eの光学特性(眼特性)を測定する眼特性測定部として、被検眼Eの眼圧を測定する眼圧測定部40とされており、その眼圧測定部40の作動距離(気流吹付ノズル41bの先端から被検眼Eまでの距離)が11mmとされている。このため、本実施例の眼科装置10では、眼圧測定部40により被検眼Eの測定を行っている際には、被検眼Eに眼圧測定部40の気流吹付ノズル41b(その先端)を極めて接近(11mmの間隔)してZ軸方向で対向させている。このことから、眼圧測定部40により被検眼Eの測定を行っている際、表示部14に設けられた操作部(各種記号(図8の符号B1〜B12参照))を操作することに起因して意図せず装置本体部13がZ軸方向正側に移動すると、その移動量が僅かであっても眼圧測定部40の気流吹付ノズル41b(その先端)を被検眼Eに接触させてしまう虞がある。
ここで、本実施例の眼科装置10では、上述したようにセーフティレバー18(図1参照)を操作してストッパ機構21(図3参照)によるZ軸方向正側への移動制限位置を設定することにより、眼圧測定部40の気流吹付ノズル41b(その先端)が被検眼Eに接触することを防止している。ところが、検者が、ストッパ機構21によりZ軸方向正側への移動制限位置を設定することを失念してしまった場合、表示部14に設けられた操作部(各種記号(図8の符号B1〜B12参照))を操作することに起因して、眼圧測定部40の気流吹付ノズル41b(その先端)を被検眼Eに接触させてしまう虞が生じる。
本願発明はこのことを鑑みて為されたものであり、表示部14に設けられた操作部(各種記号(図8の符号B1〜B12参照))を操作することに起因して、装置本体部13が被検者(その顔)に接触してしまうことを防止するものである。詳細には、眼科装置10では、装置本体部13がベース11に対して安全領域Paまで後退(Z軸方向負側へと移動)したときに、表示部14に設けられた操作部(各種記号(図8の符号B1〜B12参照))を有効状態とし、それ以外の場面では当該操作部を無効状態とする。その安全領域Paは、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を操作することに起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動してしまった場合であっても、その装置本体部13が被検者(その顔)に接触することを確実に防止することのできる位置に設定している。また、操作部(B1〜B12)の有効状態とは、当該操作部に対する操作を受け付ける状態、すなわち当該操作部を設定にしたがって機能させることができる状態とすることをいう。本実施例では、操作部(B1〜B12)の有効状態では、有効状態であること、すなわち当該操作部に対する操作を受け付ける状態であることの認識を可能とする。さらに、操作部の無効状態とは、当該操作部に対する操作を受け付けない状態、すなわち当該操作部を設定にしたがって機能させることができない状態とすることをいう。本実施例では、操作部(B1〜B12)の無効状態では、無効状態であること、すなわち当該操作部に対する操作を受け付けない状態であることの認識を可能とする。
本実施例では、図8に示すように、操作部としての各種記号(B1〜B12参照)を、表示部14(その表示面14a)においてはっきりと視認可能な状態(輪郭を明瞭とした状態)で表示させることにより、操作部が有効状態であることの認識を可能とする。また、本実施例では、図9に示すように、操作部としての各種記号(B1〜B12参照)を、表示部14(その表示面14a)において半透明な状態で表示させることにより、操作部が無効状態であることの認識を可能とする。なお、操作部としての各種記号(B1〜B12参照)を、表示部14(その表示面14a)に表示させないことにより、操作部が無効状態であることの認識を可能とするものとしてもよい。
このように、眼科装置10では、装置本体部13がベース11に対して安全領域Paまで後退(Z軸方向負側へと移動)されていると、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を有効状態とする。このため、検者は、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を用いた操作が可能であることを認識することができ、その操作部(B1〜B12)を用いた操作を行うことができる。この場合、装置本体部13が安全領域Paとされていることから、表示部14に設けられた操作部を操作することに起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動してしまった場合であっても、装置本体部13(眼圧測定部40)が被検者(その被検眼E)に接触することを防止することができる。
また、眼科装置10では、装置本体部13がベース11に対して安全領域Paまで後退(Z軸方向負側へと移動)されていないと、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を無効状態とする。このため、検者は、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を用いた操作ができないことを認識することができる。このことから、眼科装置10では、検者が表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を用いた操作が行われることを防止することができ、当該操作部を操作することに起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動することを防止することができる。
これに加えて、本実施例の眼科装置10では、表示部14の姿勢に基づいて、上述したように操作部を無効状態とする制御を行うか否かを判断する。これは、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を操作することに起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動するのは、当該表示部14が装置本体部13に対して検者の側に位置する接近作用姿勢である場合に限られることによる。すなわち、表示部14は、回転支持機構部14rを介して装置本体部13に回転自在に支持されることにより、接近作用姿勢とは異なる姿勢とすること、例えば、表示面14aを被検者側に向けることや、表示面14aを側方(X軸方向)に向けることが可能とされている。このように、表示部14では、接近作用姿勢とは異なる姿勢とされていると、操作が為されることによる押圧力が作用しても、その押圧力は装置本体部13をX軸方向やZ軸方向負側へと移動させるように当該装置本体部13に作用する。このため、操作部を操作することに起因して装置本体部13が移動した場合であっても、その装置本体部13(眼圧測定部40)が被検者(被検眼E)と接触する虞はない。このことから、本実施例の眼科装置10では、表示部14が接近作用姿勢とされている場合のみ、装置本体部13が安全領域Paまで後退されていない場合に操作部を無効状態とする。
次に、制御部31(図5参照)において実行される操作部制限制御処理について、図10を用いて説明する。その図10は、本実施例における制御部31にて実行される操作部制限制御処理(操作部制限制御方法)を示すフローチャートである。この操作部制限制御処理(操作部制限制御方法)は、上述した考え方に基づいて、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を、場面に応じて無効状態と有効状態とで切り替えるものである。操作部制限制御処理(操作部制限制御方法)は、制御部31の内蔵する記憶部31aもしくは当該制御部31の外部に設けられた記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、制御部31が実行する。以下では、この操作部制限制御処理(操作部制限制御方法)としての図10のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。このフローチャートは、眼科装置10の電源スイッチが投入されることにより開始される。
ステップS1では、表示部14が接近作用姿勢であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS2へ進み、Noの場合はステップS3へ進む。このステップS1では、姿勢検知センサ13b(図1参照)からの姿勢検知信号により、表示部14が接近作用姿勢であるか否かを判断する。そして、表示部14が接近作用姿勢である場合には、その表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)への操作に起因して装置本体部13を被検者に接触させる虞があることから、その接触を防止すべくステップS2へ進む。また、表示部14が接近作用姿勢ではない場合には、その表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)への操作に起因して装置本体部13を被検者に接触させる虞はないことから、その操作部の制限を行わないためにステップS3へ進む。
ステップS2では、ステップS1での表示部14が接近作用姿勢であるとの判断に続き、装置本体部13が安全領域Paまで後退されているか否かを判断し、Yesの場合はステップS3へ進み、Noの場合はステップS4へ進む。このステップS2では、フォトインタラプタ19(図2参照)から検知信号が出力されたか否かを判断することにより、ベース11に対して装置本体部13が安全領域Paまで後退されているか否かを判断するものとしている。換言すると、本実施例では、安全領域Paを、ベースステージ12aに対してZ移動ステージ12bを、すなわちベース11に対して装置本体部13を、最もZ軸方向負側に位置させる(被検眼Eから最も後退させる)ものとしている。このため、本実施例では、フォトインタラプタ19が、眼特性測定部としての眼圧測定部40が安全領域Paまで後退されたことを検知する後退検知部として機能する。
ステップS3では、ステップS2での装置本体部13が安全領域Paまで後退されているとの判断、あるいは、ステップS1での表示部14が接近作用姿勢ではないとの判断に続き、表示部14に設けられた操作部を有効状態として、ステップS5へ進む。このステップS3では、前眼部観察光学系41のCCDカメラ41hから出力された画像信号に基づく画像の生成処理を行い、その生成した画像を表示部14(その表示面14a)に表示させる。また、ステップS3では、表示部14の表示面14aに、その生成した画像に加えて、操作部としての各種記号(B1〜B12)を、触れることでの選択(切替)操作を可能としつつ表示させる。このステップS3では、その操作部(B1〜B12)を、表示部14(その表示面14a)においてはっきりと視認可能な状態(輪郭を明瞭とした状態)で表示させる(図8参照)。
ステップS4では、ステップS2での装置本体部13が安全領域Paまで後退されていないとの判断に続き、表示部14に設けられた操作部を無効状態として、ステップS5へ進む。このステップS4では、前眼部観察光学系41のCCDカメラ41hから出力された画像信号に基づく画像の生成処理を行い、その生成した画像を表示部14(その表示面14a)に表示させる。また、ステップS4では、表示部14の表示面14aに、その生成した画像に加えて、操作部としての各種記号(B1〜B12)を、触れても選択(切替)操作ができないものとしつつ表示させる。このステップS4では、その操作部(B1〜B12)を、表示部14(その表示面14a)において半透明な状態で表示させる(図9参照)。
ステップS5では、ステップS3での表示部14に設けられた操作部を有効状態とすること、あるいは、ステップS4での表示部14に設けられた操作部を無効状態とすることに続き、眼科装置10の電源スイッチが切られたか否かを判断し、Yesの場合は操作部制限制御処理を終了し、Noの場合はステップS1に戻る。このステップS5では、眼科装置10の電源スイッチが切られたか否か、すなわち表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)への操作が為され得る場面であるか否かを判断する。ステップS5では、電源スイッチが切られた場合、操作部(B1〜B12)への操作が為され得る場面ではないことから、操作部制限制御処理を終了する。また、ステップS5では、電源スイッチが切られていない場合、操作部(B1〜B12)への操作が為され得る場面であることから、この操作部制限制御処理を続行すべくステップS1に戻る。
次に、眼科装置10を使用する際の当該眼科装置10における動作について説明する。先ず、表示部14を接近作用姿勢(図1参照)として、装置本体部13が被検眼Eから最も後退されている(図4(a)参照)ものとする。すなわち、前回の使用時において装置本体部13を被検眼Eから最も後退させて、接近作用姿勢である表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)への操作を行った後に、電源スイッチが切られた場面であるとする。これは、表示部14が接近作用姿勢である場合、装置本体部13が被検眼Eから最も後退されていないと、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)への操作が行えないことによる。
この場合、電源スイッチを投入すると、図10のフローチャートにおいて、ステップS1へと進むことにより、表示部14が接近作用姿勢であると判断する。その後、図10のフローチャートにおいて、ステップS2へと進むことにより装置本体部13が被検眼Eから最も後退されている、すなわち安全領域Paまで後退されていると判断する。すると、図10のフローチャートにおいて、ステップS3へと進むことにより、表示部14(その表示面14a)に、被検眼Eの前眼部像(前眼部像E´)を表示させるとともに、選択(切替)操作を可能としつつはっきりと視認可能な状態で操作部(B1〜B12)を表示させる(図8参照)。これにより、検者は、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を適宜用いて眼圧測定部40による測定のための各種の設定を行うことができる。このときは、装置本体部13が安全領域Paまで後退されていることから、当該操作部への操作に起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動してしまっても、装置本体部13(眼圧測定部40)が被検者(被検眼E)に接触することが防止される。
その後、眼圧測定部40により被検眼Eの眼圧を測定すべく、コントロールレバー17を介してベース11に対する装置本体部13のアライメントを行う。これにより、眼圧測定部40を被検眼Eに対して作動距離とすることから、装置本体部13が被検眼Eから最も後退されていないものとなる。すると、図10のフローチャートにおいて、ステップS5→ステップS1→ステップS2へと進むことにより、装置本体部13が被検眼Eから最も後退されてはいない、すなわち安全領域Paまで後退されてはいないと判断する。このため、図10のフローチャートにおいて、ステップS4へと進むことにより、表示部14(その表示面14a)に、被検眼Eの前眼部像(前眼部像E´)を表示させるとともに、選択(切替)操作ができないものとしつつ半透明な状態で操作部(B1〜B12)を表示させる(図9参照)。これにより、検者は、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を用いた操作ができないことを認識する。このことから、検者が操作部(B1〜B12)を用いた操作を行うことはないので、当該操作部を操作することに起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動することが防止される。このため、装置本体部13(眼圧測定部40)が被検者(被検眼E)に接触することが防止される。
その後、検者は、アライメントが完了すると、表示部14に設けられた操作部としてのスタートボタンB6を用いた操作ができないことから、コントロールレバー17に設けられたスタートボタン17aに測定を行うための操作を行う。これにより、眼圧測定部40を用いた被検眼Eの眼圧の測定が実行される。ここで、適切に測定が実行できなかったものとして、検者が、眼圧の範囲(レンジ)を、30(mmHg)までのモード(1〜30(mmHg))から60(mmHg)までのモード(1〜60(mmHg))に切り替えようと考えたものとする。このとき、装置本体部13が眼圧測定部40を被検眼Eに対して作動距離とする位置とされているままであると、図10のフローチャートにおいて、ステップS5→ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5へと進むことを繰り返すことにより、操作部(B1〜B12)を、選択(切替)操作ができないものとしつつ半透明な状態で表示部14(その表示面14a)に表示させている(図9参照)。このため、検者は、表示部14に設けられた操作部としての各種記号のうちの30/60ボタンB8を用いた操作ができないことを認識する。
このことから、検者は、コントロールレバー17を介して装置本体部13を被検眼Eから最も後退させる。すると、図10のフローチャートにおいて、ステップS5→ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進むことにより、操作部(B1〜B12)を、選択(切替)操作を可能としつつはっきりと視認可能な状態で表示部14(その表示面14a)に表示させる(図8参照)。これにより、検者は、表示部14に設けられた操作部としての30/60ボタンB8を用いて、眼圧の範囲(レンジ)を切り替えることができる。このため、眼圧測定部40(装置本体部13)が被検眼Eに対して作動距離とする位置とされている状態では、表示部14に設けられた操作部が操作されることを防止することができ、装置本体部13が意図せずにZ軸方向正側へと移動することを防止することができる。そして、眼圧測定部40(装置本体部13)を被検眼Eから最も後退させることにより、操作部(B1〜B12)を用いた操作を可能とするので、装置本体部13が意図せずにZ軸方向正側へと移動しても、装置本体部13(眼圧測定部40)が被検者(被検眼E)に接触することが防止される。このことは、表示部14に設けられた操作部としての各種記号(B1〜B12)のいずれに対しても同様である。
その後、検者は、再びアライメントを行って、コントロールレバー17に設けられたスタートボタン17aに測定を行うための操作を行い、眼圧測定部40を用いた被検眼Eの眼圧の測定を実行させる。ここで、適切に測定が実行できたものとして、検者が、測定結果を記録紙に印字して、その記録紙を出力しようと考えたものとする。このとき、装置本体部13が眼圧測定部40を被検眼Eに対して作動距離とする位置とされているままであると、図10のフローチャートにおいて、ステップS5→ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5へと進むことを繰り返すことにより、操作部(B1〜B12)を、選択(切替)操作ができないものとしつつ半透明な状態で表示部14(その表示面14a)に表示させている(図9参照)。このため、検者は、表示部14に設けられた操作部としての各種記号のうちのプリントボタンB11を用いた操作ができないことを認識する。このことから、検者は、コントロールレバー17を介して装置本体部13を被検眼Eから最も後退させる。すると、図10のフローチャートにおいて、ステップS5→ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進むことにより、操作部(B1〜B12)を、選択(切替)操作を可能としつつはっきりと視認可能な状態で表示部14(その表示面14a)に表示させる(図8参照)。これにより、検者は、表示部14に設けられた操作部としてのプリントボタンB11を用いて、測定結果をプリントアウトする旨の操作を行うことができる。すると、プリンタ機構34(図1参照)が駆動されて、眼圧測定部40を用いた被検眼Eの測定結果(眼圧の数値等)が記録紙に印字されて出力される。
なお、上記した動作において、検者が、表示部14を接近作用姿勢から他の姿勢へと表示面14aの向きを変更したものとする。すると、図10のフローチャートにおいて、ステップS5→ステップS1→ステップS3へと進むことにより、ベース11に対する装置本体部13の位置に拘わらず、操作部(B1〜B12)を、選択(切替)操作を可能としつつはっきりと視認可能な状態で表示部14(その表示面14a)に表示させる(図8参照)。これにより、検者は、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を用いた操作を行うことができ、そのことを認識することができる。このときは、表示部14が接近作用姿勢とはされていないことから、操作が為されることによる押圧力が表示部14に作用しても、その押圧力は装置本体部13をZ軸方向正側へと移動させるようには当該装置本体部13に作用しない。このため、当該操作部への操作に起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動することはないので、装置本体部13が被検者(その顔)に接触することが防止される。このことは、電源スイッチを投入した当初から、表示部14が接近作用姿勢ではなく他の姿勢へと表示面14aの向きを変更されていた場合であっても同様である。
本発明に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10では、装置本体部13が安全領域Paまで後退されていないと、表示部14に設けられた操作部(上記した実施例では各種記号(図8の符号B1〜B12参照))を無効状態とする。このため、眼科装置10では、装置本体部13が安全領域Paまで後退されていない場合には、操作部(B1〜B12)への操作が為されることを防止することができる。これにより、眼科装置10では、操作部(B1〜B12)の操作に起因して装置本体部13が被検者(その顔)に接触してしまう虞がある場合には、操作部(B1〜B12)を操作することに起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動することを防止することができる。よって、眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の操作に起因して装置本体部13すなわちその中に設けられた眼特性測定部としての眼圧測定部40が被検者の被検眼Eに接触することを防止することができる。
また、眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の無効状態において、当該操作部に対する操作を受け付けない状態であることの認識を可能とする。このため、検者は、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を用いた操作ができないことを認識することができる。このことから、眼科装置10では、操作部(B1〜B12)の操作に起因して装置本体部13が被検者(その顔)に接触してしまう虞がある場面では、検者により当該操作部を用いた操作が行われることをより確実に防止することができ、当該操作部を操作することに起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動することを防止することができる。よって、眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の操作に起因して装置本体部13(眼圧測定部40)が被検眼Eに接触することを防止することができる。
さらに、眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の無効状態において、当該操作部に対する操作を受け付けない状態であることの認識を可能とすることにより、検者により操作部(B1〜B12)を用いた操作が行われることを防止する。このため、眼科装置10では、検者に何らの負担を課すことなく、確実に操作部(B1〜B12)が無効状態であることを認識させることができる。これは、検者は、操作部(B1〜B12)を用いる際には、当該操作部(B1〜B12)が設けられる表示部14(その表示面14a)を必ず見ることによる。これにより、眼科装置10では、使い勝手を損なうことなく、操作部(B1〜B12)の操作に起因して眼圧測定部40(装置本体部13)が被検眼Eに接触することを防止することができる。
眼科装置10では、装置本体部13が安全領域Paまで後退されていると、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を有効状態とする。このため、眼科装置10では、装置本体部13が安全領域Paまで後退されている場合には、操作部(B1〜B12)を用いて各種操作を行うことを可能とする。この場合、装置本体部13が安全領域Paとされていることから、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を操作することに起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動してしまった場合であっても、装置本体部13が被検者(その被検眼E)に接触することを防止することができる。このことから、眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の操作に起因して装置本体部13すなわちその中に設けられた眼特性測定部としての眼圧測定部40が被検眼Eに接触することを防止することができる。
眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の有効状態において、当該操作部に対する操作を受け付ける状態であることの認識を可能とする。このため、検者は、操作部(B1〜B12)を用いた操作ができることを認識することができ、操作部(B1〜B12)を用いて各種操作を行うことができる。これにより、眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を操作することに起因して眼圧測定部40(装置本体部13)が被検眼Eに接触する虞が無い場面では、直ちに検者に操作部(B1〜B12)を用いて各種操作を行わせることができる。このことから、眼科装置10では、眼特性測定部としての眼圧測定部40が被検眼Eに接触することを防止しつつ、操作部(B1〜B12)を用いて各種操作を可能として使い勝手を向上させることができる。
眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を無効状態としていても、装置本体部13が安全領域Paまで後退されると操作部(B1〜B12)を有効状態とする。このため、検者は、操作部(B1〜B12)を用いた操作ができないことを認識すると、装置本体部13を安全領域Paまで後退させることで、操作部(B1〜B12)を有効状態とすることができる。これにより、眼科装置10では、眼特性測定部(眼圧測定部40)が被検眼Eに接触することを防止しつつ、被検眼Eの光学特性(眼特性(上記した実施例では眼圧))の測定に要する時間が増加してしまうことを抑制することができる。
眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を有効状態としていても、装置本体部13が前進(Z軸方向正側へ移動)されて安全領域Paではなくなると、操作部(B1〜B12)を無効状態とする。このため、検者は、眼特性測定部(眼圧測定部40)による測定を行うべく装置本体部13を移動させて安全領域Paではなくなった場合、操作部(B1〜B12)が無効状態とされていることを認識することができ、当該操作部(B1〜B12)を用いた操作を行うことが防止される。これにより、眼科装置10では、検者に安全領域Paであるか否かを意識させることなく、眼特性測定部(眼圧測定部40)が被検眼Eに接触することを防止することができる。
眼科装置10では、操作部(B1〜B12)を無効状態とすると、操作部(B1〜B12)を半透明状態で半透明な状態で表示部14(その表示面14a)に表示させる。このため、眼科装置10では、表示部14(その表示面14a)を一見しただけで、操作部(B1〜B12)が無効状態であることを把握させることができる。これにより、眼科装置10では、使い勝手を向上させつつ、眼特性測定部(眼圧測定部40)が被検眼Eに接触することを防止することができる。
眼科装置10では、次の被検者の被検眼Eを測定すべく表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を用いて各種の設定を行うためには、装置本体部13を安全領域Paまで後退させる必要がある。このため、眼科装置10では、次の被検者の被検眼Eの測定を開始する際には、装置本体部13が安全領域Paまで後退されているので、被検者の被検眼Eの測定をより効率良く行うことができるとともに、眼特性測定部(眼圧測定部40)が被検眼Eに接触することを防止することができる。これは、被検眼Eの測定を開始する際には、眼特性測定部(眼圧測定部40)が被検眼Eに接触することを防止すべく、一度装置本体部13を後退させてから被検眼Eに近付けていくことによる。
眼科装置10では、表示部14を接近作用姿勢から他の姿勢へと表示面14aの向きが変更されている場合には、装置本体部13が安全領域Paまで後退されているか否かに拘わらず、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を有効状態とする。このように、表示部14が接近作用姿勢とはされていないと、操作部(B1〜B12)に操作が為されることによる押圧力が表示部14に作用しても、その押圧力は装置本体部13をZ軸方向正側へと移動させるようには当該装置本体部13に作用しない。このため、眼科装置10では、操作部(B1〜B12)を操作することに起因して装置本体部13が移動してしまった場合であっても、装置本体部13が被検者(その顔)に接触することを防止することができる場面では操作部(B1〜B12)を用いた操作を行うことを可能としている。これにより、眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の使用が制限される場面を減らすことができ、使い勝手を向上させている。
眼科装置10では、安全領域Paを、ベースステージ12aに対してZ移動ステージ12bを、すなわちベース11に対して装置本体部13を、最もZ軸方向負側に位置させる(被検眼Eから最も後退させる)ものとしている。このため、検者は、操作部(B1〜B12)を用いた操作ができないことを認識すると、装置本体部13を最も後退させることで、操作部(B1〜B12)を有効状態とすることができる。このことから、眼科装置10では、無効状態とされた操作部(B1〜B12)を用いる場合には、装置本体部13の位置の調節(後退量)を考えることなく最も後退させるだけで良いので、使い勝手を向上させることができるとともに迅速に操作部(B1〜B12)を有効状態とすることができる。これにより、眼科装置10では、眼特性測定部(眼圧測定部40)が被検眼Eに接触することを防止しつつ、被検眼Eの光学特性(眼特性(上記した実施例では眼圧))の測定に要する時間が増加してしまうことを抑制することができる。
眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を無効状態とした場合であっても、その表示部14(その表示面14a)に前眼部像E´(被検眼Eの前眼部の画像)を表示させる。すなわち、眼科装置10では、操作部(B1〜B12)を無効状態とするか有効状態とするかに拘わらず、表示部14における表示を継続させる。このため、眼科装置10では、眼特性測定部としての眼圧測定部40のアライメント動作や当該眼圧測定部40による測定の際の使い勝手を損なうことなく、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の操作に起因して眼特性測定部(眼圧測定部40)が被検眼Eに接触することを防止することができる。
眼科装置10では、コントロールレバー17に、眼特性測定部としての眼圧測定部40による被検眼Eの眼圧の測定を実行させるためのスタートボタン17aを設けている。このため、眼科装置10では、眼特性測定部(眼圧測定部40)を作動距離とすべく装置本体部13を移動させることにより、当該装置本体部13が安全領域Paまで後退されていないものとなっても、眼特性測定部(眼圧測定部40)による測定を実行させることができる。
眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の1つとして、眼特性測定部としての眼圧測定部40による被検眼Eの眼圧の測定を実行させるためのスタートボタンB6を設けている。このため、眼科装置10では、表示部14を接近作用姿勢から他の姿勢へと表示面14aの向きが変更されている場合には、表示部14に設けられた操作部の1つであるスタートボタンB6を用いて眼特性測定部(眼圧測定部40)による測定を実行させることができる。このように、眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の操作に起因して眼特性測定部(眼圧測定部40)が被検眼Eに接触することを防止しつつ、装置本体部13に回転自在に支持された表示部14の機能を活かした多様な使い方を可能とすることができる。
したがって、本発明に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の操作に起因して眼特性測定部としての眼圧測定部40(その気流吹付ノズル41b)が被検眼Eに接触してしまうことを防止することができる。
なお、上記した実施例では、本発明に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10について説明したが、被検眼の光学特性を測定する眼特性測定部と、前記被検眼に対して前記眼特性測定部を移動可能に支持する可動機構部と、前記被検眼の画像を取得する観察光学系と、前記観察光学系で取得した前記被検眼の画像を表示する表示部と、前記表示部に設けられた操作部と、前記眼特性測定部と前記観察光学系と前記表示部と前記操作部とを制御する制御部と、前記眼特性測定部が安全領域まで後退されたことを検知する後退検知部と、を備え、前記制御部は、前記後退検知部により前記眼特性測定部が前記安全領域まで後退されていることを検知すると前記操作部を有効状態とし、前記後退検知部により前記眼特性測定部が前記安全領域まで後退されていないことを検知すると前記操作部を無効状態とする眼科装置であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、無効状態において、操作部(B1〜B12)に対する操作を受け付けない状態とするとともに、その状態であることの認識を可能とするものとしていたが、単に操作部(B1〜B12)に対する操作を受け付けない状態とするだけであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。しかしながら、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の操作に起因して眼特性測定部(上記した実施例では眼圧測定部40)が被検眼Eに接触してしまうことを確実に防止する観点からは、上記した状態であることの認識を可能とすることが望ましい。
さらに、上記した実施例では、操作部(B1〜B12)を半透明状態で半透明な状態で表示部14(その表示面14a)に表示させること、あるいは操作部(B1〜B12)を表示させないことにより無効状態としている。しかしながら、無効状態では、操作部(B1〜B12)に対する操作を受け付けない状態であることの認識を可能とするものであれば、例えば、異なる方法で表示の態様を変化させるものであってもよく、操作部が無効状態である旨の文字列等を表示面14aに表示するものであってもよく、他の方法であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、表示部14に設けられた操作部を、表示部14におけるタッチパネルの機能を利用して触れることによる選択(切替)操作を可能とするアイコンとしての各種記号(B1〜B12)としていた。しかしながら、この操作部は、表示部14に設けられたものであれば、例えば、図11に示すように、表示部14´の表示面14aを取り囲む周縁部14sに各種操作のために設けたスイッチ14tであってもよく、他の構成であってもよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。その各スイッチ14tは、図11に示す例では、上記した実施例における表示面14aに表示された各種記号(図8の符号B1〜B12)と同様の機能を有するものとされており、14tの符号の横の括弧内に対応する各種記号の符号(B1〜B12)を付して示している。このような構成とする場合、各スイッチ14tを点灯可能な構成として、各スイッチ14t(操作部)を有効状態とする際には点灯し、かつ各スイッチ14t(操作部)を無効状態とする際には消灯することとすると、各スイッチ14t(操作部)に対する操作を受け付けない状態であることの認識を可能とすることができる。また、各スイッチ14tを少なくとも2つの異なる色で点灯可能な構成として、各スイッチ14t(操作部)を有効状態とする際には一方の色で点灯し、かつ各スイッチ14t(操作部)を無効状態とする際には他方の色で点灯することとすると、各スイッチ14t(操作部)に対する操作を受け付けない状態であることの認識を可能とすることができる。さらに、各スイッチ14tにおける機能を示す機能表示部を表示面14a内に表示させるものとして、その機能表示部を上記した実施例の各種記号(図8の符号B1〜B12)と同様の態様(半透明もしくは非表示)で表示させるものとすると、各スイッチ14t(操作部)に対する操作を受け付けない状態であることの認識を可能とすることができる。
上記した実施例では、安全領域Paを、ベース11に対して装置本体部13を最もZ軸方向負側に位置させる(装置本体部13を被検眼Eから最も後退させる)ものとしていたが、表示部14に設けられた操作部を操作することに起因して装置本体部13がZ軸方向正側へと移動してしまった場合であっても、その装置本体部13が被検者(その顔)に接触することを確実に防止することのできる位置であれば、適宜設定すればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、表示部14における接近作用姿勢を、装置本体部13における検者の側(Z軸方向負側)で、当該装置本体部13(その外形形状を形作る筐体13aの表面)に沿って表示部14が存在されるもの(図1参照)としていた。しかしながら、接近作用姿勢は、表示部14に設けられた操作部への押圧力を、当該表示部14を介して装置本体部13を被検眼E側(Z軸方向正側)へと移動させるべく装置本体部13に作用させる姿勢であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、装置本体部13が安全領域Paまで後退されたか否かの判断に加えて、表示部14の姿勢も考慮して操作部(B1〜B12)を有効状態とするか無効状態とするかの判断を行っていた。しかしながら、装置本体部13が安全領域Paまで後退されている場合には表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を有効状態とし、装置本体部13が安全領域Paまで後退されていない場合には操作部(B1〜B12)を無効状態とするものであれば、他の要素は考慮しないものとしてもよく、表示部14の姿勢とは別の要素を考慮するものとしてもよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。表示部14の姿勢とは別の要素としては、例えば、顎受部15に被検者の顎が載せられたことや、額当部16に被検者の額が宛がわれたことがあげられる。この顎受部15に被検者の顎が載せられたことや額当部16に被検者の額が宛がわれたことは、装置本体部13のZ軸方向正側に被検眼E(被検者(その顔))が存在していることを意味する。このような構成とすると、被検眼E(被検者(その顔))が存在している場合には上記した実施例と同様の制御を行い、被検眼E(被検者(その顔))が存在していない場合には他の要素に拘わらず操作部(B1〜B12)を有効状態とするものとすることで、操作部(B1〜B12)を操作することに起因して眼特性測定部(眼圧測定部40)が被検眼Eに接触することを防止しつつ、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)の使用が制限される場面をより減らすことができる。その顎受部15に被検者の顎が載せられたことや額当部16に被検者の額が宛がわれたことの検出は、顎受部15や額当部16に感圧式のセンサや静電式のセンサ等の被検者の顔が存在することを検出可能なセンサを設けることや、顎受部15や額当部16に関連して被検者の顔が存在することを検出可能とした光学式のセンサやカメラ等を設けることにより行うことができる。このことは、表示部14の姿勢とともに考慮するものとしてもよい。
上記した実施例では、眼科装置10に眼圧測定部40が設けられていたが、被検眼Eの光学特性(眼特性)を測定するものであれば、被検眼Eの眼屈折力を測定する眼屈折力測定部が設けられているものであっても良く、眼圧測定部40と眼屈折力測定部との双方が設けられているものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、被検眼Eの眼圧を測定するために眼圧測定部40を設けていたが、被検眼Eの眼圧を測定するものであれば、光学的な構成、各光学部材の配置および測定原理が異なるものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、表示部14に設けられた操作部(B1〜B12)を一括して無効状態とするものとしていたが、眼特性測定部(眼圧測定部40)による被検眼Eの測定を実行している際に操作される可能性のある操作部のみを無効状態とするものとしてもよく、上記した実施例に限定されるものではない。その操作される可能性のある操作部としては、図8に示す例では、例えば、拡大縮小ボタンB3、スタートボタンB6、IOLボタンB7、30/60ボタンB8等があげられる。特に、スタートボタンB6は、眼特性測定部(眼圧測定部40)による測定を実行させる際に操作されるものであることから、必ず無効状態とする必要がある。このことは、表示部14に設けられた操作部として各スイッチ14t(図11参照)を設けた場合であっても同様である。
上記した実施例では、眼圧測定部40が設けられた眼科装置10を示していたが、被検眼Eの前眼部の画像を取得する観察光学系を有し、被検眼Eを観察する観察光学部(上記した実施例では眼圧測定部40が相当する)を備えるものであれば、例えば、OCT(Optical Coherence Tomography)としての眼科装置であってもよく、眼底カメラとしての眼科装置であってもよく、SLO(レーザー走査型検眼鏡)としての眼科装置であってもよく、その他の網膜等を撮影する眼科撮影装置としての眼科装置であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
以上、本発明の眼科装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。