JP2020038047A - 乾燥機 - Google Patents
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Abstract
Description
図1および図20は、本発明を実施するための形態に係る乾燥機が用いられる、ペレット製造プラントの概略を示す図である。
図1に示すペレット製造プラントは、被乾燥材料として、可燃性材料の一つである木質バイオマス材料を対象としているが、これに限らず、粉体などが含まれる可燃性材料以外の材料を被乾燥材料の対象とすることも可能である。図1においてペレット製造プラント100は、木質バイオマス材料から得られる木質チップの乾燥処理および木質ペレットの成形、そして成形後の木質ペレットをペレット完成品として袋詰めする梱包を行うために、次の工程部を備えている。すなわち、乾燥処理を行うための工程部には、粉砕済みの木質チップを乾燥工程部102に供給するバイオマス材料導入部101と、ロータリーキルン等の回転可能な筒体1を備えた乾燥工程部102と、乾燥工程に用いる加熱空気の供給部103と、が備えられている。バイオマス材料導入部101は、被乾燥材料導入部に相当している。
乾燥後の木質チップをペレット状に成形するために、例えば、次の工程部が用いられる。
(1)乾燥後の木質チップを再粉砕する2次粉砕工程部104、
(2)含水率が所定値に達していない木質チップを乾燥工程部102にて再乾燥させるとともに、所定値に達している木質チップを成形処理する成形工程部106に向けて搬送する2次供給工程部105、
(3)2次供給工程部105から選別された木質チップをペレット状に成形する成形機106Aを備えた成形工程部106、
である。
成形工程部106を経て木質ペレットとされ、所定形状あるいは所定サイズなどの規定条件を満たしているバイオマス材料は、冷却工程部107において冷却された後、ペレット完成品として袋詰めされるための袋詰め工程部108に搬送される。
バイオマス材料導入部101には、粉砕された木質チップを貯蔵する貯蔵ヤード101A、貯蔵された木質チップを乾燥工程部102の乾燥機に向け搬送する1次供給機101Bおよび搬送ベルトコンベア101Cがそれぞれ備えられている。1次供給機101Bにより搬送される木質チップは、例えば、屋外で破砕された原木などの木質バイオマス材料が所定外径に粉砕されて用いられる。2次粉砕工程部104には、乾燥工程を経た木質チップが所定サイズに粉砕されると共に含水率が所定条件である木質チップを2次供給工程部105に向け搬送するための粉砕機104Aおよび湿度センサ(図示されず)等が備えられている。なお、含水率に関しては、湿度センサを用いることに限らず、作業員が水分計を用いて計測した結果に応じて篩い分け処理を行うことも可能である。粉砕機104Aには、図示しないが、粉砕サイズを規定するフィルターの内側で高速回転するハンマーを備えたハンマーミル等が用いられる。木質チップはハンマーにより粉砕されてフィルターサイズに適合したものが次の行程に搬送される。
冷却工程部107には、成形工程部106を経て木質ペレットとして用いられるバイオマス材料を袋詰め工程部108に向けて搬送する搬送コンベア107A、107Bが備えられている。搬送コンベアの一方107Aの上部には、冷却風を吹き付けるためのノズル107A1,ブロアー107A2が配置されている。
乾燥機10の一例としては、図1乃至4に示すように、軸方向に沿った長手方向を有する回転可能な筒体1を備えている。筒体1は、木質チップなどの乾燥材料となるバイオマス材料を移動させる空間を内部に形成され、長手方向両側に設けられている不動部1A、1A’により支持された回転可能な回転部1Cを備えている。回転部1Cは、外周下面に当接させてあるローラ1Bによって回転できるように支持されている。
筒体1の長手方向一端側の不動部1Aには、図2に示すように、外周上面に貫通する取り込み部1Dが設けられている。取り込み部1Dは、バイオマス材料導入部101(図1参照)に備えられている搬送ベルトコンベア101Cを介して搬送されてくる木質チップを受け入れるために用いられる。
また、筒体1の長手方向一端側には、取り込み部1Dに加えて、加熱空気の供給部103との連通部103Aが接続されている。なお、取り込み部1Dは、筒体1の不動部外周上面に設けることに限らず、図3中、二点鎖線1D’で示すように、端面側に連通させることも可能である。なお、図5,図6は、筒体1の本体のみを対象とした左側および右側の面を示す図であり、図4、図7および図8は、筒体1の本体のみを対象とした正面および平面そして底面を示す図である。
筒体1と送風機2とは、筒体1の長手方向他端側端面に接続された吸引管2Aによって接続されており、筒体1の内部に空気の流れを発生させることができる。従って、加熱空気の供給部103では、火炎部1030において発生した火炎に対して外部からの空気が筒体1側に向けて吸引される過程で加熱空気として生成される。
火炎部1030を通過した空気は、燃焼筒1031,1032を通過する時間を加熱時間に費やされることにより温度を高めたうえで、後段の燃焼筒1032と筒体1との間の連通部103Aに導かれて筒体1内に導入される。
本実施形態では、掬い上げ部材として掬い上げ羽根(便宜上、符号50,50’を用いる)が、回転部1Cの内部に備えられている。なお、図9,図10において符号50’により示されている掬い上げ羽根は、後で説明するが、符号50により示されている掬い上げ羽根と周方向での配置位相が異なっていることを意味させるために異なる表示が用いられている。
図9において、掬い上げ羽根50,50’は、筒体1に用いられる回転部1Cの内周面で周方向に沿って所定間隔の位置に設けられ、かつ、回転部1Cの断面中心に向けて所定長さを持たされて放射状に複数配置されている。この構成を用いることにより、回転部1Cの断面中央部は木質チップおよび加熱空気の混合空間となり、加熱空気により気流搬送される木質チップが掬い上げ羽根により流動方向を変化されて加熱空気と接触できる空間として用いられる。なお、図9において、符号1C1は、回転部1Cの回転駆動に用いられるチェーンホィール部を示している。チェーンホィール部1C1は、駆動モータMによって駆動されるチェーン1C2の動きに従って回転部1Cを回転させるようになっている。
図10は、回転部1Cの長手方向に沿った、各領域Lでの掬い上げ羽根50,50’の配置位相を示す図である。同図において、直接隣り合う領域Lに設けられている、掬い上げ羽根50,50’は、周方向で互いの配置位相が同じではない。つまり、図9および図10中、実線で示す掬い上げ羽根50が位置決めされている配置位相に対して図9および図10中、二点鎖線で示す掬い上げ羽根50’が位置決めされている配置位相が周方向で異なっている。つまり、図9中、符号50’で示されている掬い上げ羽根は、図9および図10において、これの隣の領域に位置して符号50で示されている掬い上げ羽根の配置位相に対して周方向で、これら掬い上げ羽根50の間に位置するように、ずれた関係に決められている。
なお、本実施形態では、配置位相が同じ掬い上げ羽根50,50’のいずれかを備えた領域として、一つ飛びを対象としたが、チップ形状やサイズの一つを決める要素である、粒度の違いによって配置位相の同じ領域の配置間隔を変更することも勿論可能である。
図12は、周方向で掬い上げ羽根50,あるいは50’から振るい落とされるタイミングを異ならせるための構成を示す図である。図9,図10において符号50、50’により示されている掬い上げ羽根は、図12において、その一つ(符号50で示す)の掬い上げ羽根のように、回転部1Cの断面中心に向けて所定長さを持つ方向と直角な厚さ方向の同じ面に複数の掬い上げ部50A、50A’が備えられている。
異なる関係の角度を持つ場合には、第1,第2の掬い上げ部50A、50A’の複数部分から木質チップが同時に纏まった状態で滑落するのではなく、段階的なタイミングで木質チップが滑落される。よって、纏まった状態で滑落する場合に比べて滑落する木質チップの密度が低下した状態となり、個々の木質チップが加熱空気から受ける熱量に関しては、纏まって滑落する場合に比べて多くなる。この結果、加熱空気と接触した際に発生する水分蒸発が促進されることになる。
増量された木質チップを纏めて加熱空気に接触させるのではなく、分散されて段階的に滑落する木質チップに加熱空気が接触すると、纏めて滑落する場合と違って、木質チップへの加熱空気の接触率が高められて水分蒸発を促進できる。
図14は、掬い上げ部材に用いられる掬い上げ羽根51が、図12に示した構成と同様に、板厚方向の同じ面で同じ方向に折り曲げられて独立する片部51A、51Bで構成されている状態を示している。片部51A、51Bは、筒体1の長手方向で隣り合う位置にそれぞれ独立して折り曲げられている。独立する片部51A、51Bは、符号Qで示す共通の屈曲点を基準として屈曲角度θ3,θ4に折り曲げられている。屈曲点Qは、片部51A、51Bが筒体1の内壁面に固定される片部51A、51Bの始端(図14(A)では符号510で示す位置、図14(B)では符号51A1,51B1で示す位置)から片部先端に向けた距離が同じ位置にある。各片部51A、51Bの屈曲角度θ3,θ4は、同じではなく、筒体1の径方向での長さが長い方の片部51Aの屈曲角度θ3が、片部51Aよりも長さが短い片部51Bの屈曲角度θ4よりも大きく決められている(θ3>θ4)。この角度の違いは、木質チップの滑落タイミングをずらすとともに、木質チップの滑落領域をそれぞれ異ならせて拡散させやすくするためである。この点に関しては後で説明する。
図17乃至19には、筒体1への加熱空気の流動方向を変化させるための構成が示されている。具体的には、筒体1内に導入される加熱空気に螺旋流あるいは乱流を生起させるためのガイド機構60を備えていることを特徴としている。図17に示す構成は、ガイド機構60として、筒体1の加熱空気の供給部側内面において周方向に沿って複数配置されているガイド板61を備えている。ガイド板61は、符号γ(H)°で示すように、加熱空気の供給方向に相当する筒体1の長手方向に沿って傾斜し、かつ、符号γ(V)°で示すように、周方向で湾曲した状態の形状を持つ部材である。ガイド板61は、その形状により、筒体1内に供給される加熱空気を、図17において矢印で示すように、螺旋流に変化させることができ、筒体1内で滑落する木質チップとの接触機会を増加させる機能を発揮する。なお、図17(A)中、十字印を内部に有する丸印は、紙面の手前側から裏面側に向け流れる加熱空気の流れ方向を意味している。
図18に示すガイド機構60は、筒体1の加熱空気供給部側の内面において周方向で、たとえば、3等分のように等分された位置で、筒体1の長手方向に沿って所定長さを持つ翼62が用いられる。翼62は、加熱空気の供給方向(図18中、矢印Pで示す方向)の下流側の端部が、該供給方向上流側の上端に設けられた回転軸62Aにより、図中、二点差線で示すように、揺動できるように支持されている。回転軸62Aにより揺動する翼62の揺動方向は、加熱空気の供給方向を横断する方向、つまり、筒体1の径方向を中心にして筒体1の長手方向に沿って傾くように動かせる方向に設定されている。これにより、翼62が揺動した際には、筒体1内に導入される加熱空気が突き当たり、流動方向が変化する。なお、図18(A)において十字印を内部に有する丸印は、図17に示した場合と同様に、紙面手前側から裏面側に向けた加熱空気の流れ方向を意味している。翼62の揺動は、等分位置で個々に選択される場合あるいは、同時に行われることが可能であり、揺動方向も筒体1の内壁面側に向ける方向として加熱空気の分布を均等化できるようにしている。揺動時期や揺動量は、例えば、筒体1内に搬入される木質チップの量に基づき決定される。一例として、木質チップの量が多い場合には、筒体1の内壁面近くまで加熱空気を供給できるように揺動量が多くされて開始されることにより、乱流が大きくなるように設定される。これとは逆に木質チップの量が少ない場合には、揺動しない状態を維持されることがある。これにより、木質チップの搬入量に応じて加熱空気の流動方向を変化させて筒体1内の温度分布を適正化することができる。
本発明者は、一例として、含水率50%の黒松を対象として、乾燥特性に影響する含水率を実験したところ、概ね、ペレット成形時に燃焼性を損ねないで凝縮力が得られる最小限の含水率としての12%程度の含水率まで下げることができるという結果を得た。
1A、1A’ 不動部
1B ローラ
1C 回転部
2 吸引手段としての送風機
10 乾燥機
50,50’ 掬い上げ羽根
50A、50A’ 掬い上げ部
50B,50B’ 貫通部
51 掬い上げ部としての掬い上げ羽根
51A、51B 片部
60 ガイド機構
61 ガイド板
62 翼
62A 回転軸
63 ガイド片
100 ペレット製造プラント
101 バイオマス材料導入部
102 乾燥工程部
103 加熱空気の供給部
L 領域
R 筒体の回転方向
θ1〜θ4 傾斜角度
Claims (14)
- 導入される被乾燥材料を乾燥するための乾燥機であって、
内部に被乾燥材料を移動させる空間を備え、回転可能に設けられている筒体と、
前記筒体の長手方向一端側に設けられている、被乾燥材料導入部および加熱空気の供給部と、
前記筒体の長手方向他端側に設けられて該筒体内の空気を筒体の長手方向一端側から他端側に向けて吸引する手段と、を備え、
前記筒体には、長手方向で前記加熱空気の供給部側および該長手方向に沿った内壁面のいずれかもしくは両方に前記被乾燥材料の流動方向を変化させる部材が設けられていることを特徴とする乾燥機。 - 請求項1記載の乾燥機において、
前記被乾燥材料の流動方向を変化させる部材は、前記筒体の内壁面から筒体の断面中心に向け所定長さを持たせて放射状に複数配置されている掬い上げ羽根が用いられ、
前記掬い上げ羽根は、上記所定長さ方向と直角な厚さ方向の同じ面で、該所定長さ方向先端位置と所定長さ方向始端位置に至る箇所との間にそれぞれ掬い上げ部が設けられていることを特徴とする乾燥機。 - 請求項2記載の乾燥機において、
前記複数配置されている掬い上げ羽根は、同じ向きに折り曲げられた片部で構成されていることを特徴とする乾燥機。 - 請求項2または3に記載の乾燥機において、
前記複数の掬い上げ羽根は、前記所定長さ方向先端位置の角度θ1が前記所定長さ方向始端位置側の角度θ2に対して、θ1>θ2の関係を設定されていることを特徴とする乾燥機。 - 請求項2乃至4のうちの一つに記載の乾燥機において、
前記掬い上げ羽根は、所定長さ方向先端位置の掬い上げ部と前記所定長さ方向始端位置側の掬い上げ部とが設けられ、両方の掬い上げ部が前記筒体の長手方向に沿って隣り合う位置同士で交互に配置されていることを特徴とする乾燥機。 - 請求項1記載の乾燥機において、
前記被乾燥材料の流動方向を変化させる部材は、前記筒体の内壁面から筒体の断面中心に向け所定長さを持たせて放射状に複数配置されている掬い上げ羽根が用いられ、
前記掬い上げ羽根は、上記所定長さ方向と直角な方向の同じ面で前記内壁面側の所定長さ方向始端位置から該所定長さ方向先端位置との間に掬い上げ部を備え、
前記掬い上げ羽根の掬い上げ部は、前記筒体の長手方向で隣り合う位置で独立した片部で構成され、該片部は、前記所定長さ方向始端からの距離が同じ位置を屈曲点としてそれぞれ屈曲角度を異ならせてあることを特徴とする乾燥機。 - 請求項6記載の乾燥機において、
前記掬い上げ羽根の掬い上げ部は、前記筒体の長手方向において所定長さ毎に区切られた領域内で異なる角度の片部を隣り合わせて配置されていることを特徴とする乾燥機。 - 請求項6記載の乾燥機において、
前記掬い上げ羽根の掬い上げ部は、前記筒体の長手方向において所定長さに区切られた領域毎で、隣り合う領域と異なる角度を持つ片部のうちの同じ角度を持つ片部がまとめて配置されていることを特徴とする乾燥機。 - 導入される被乾燥材料を乾燥するための乾燥機であって、
内部に被乾燥材料を移動させる空間を備え、回転可能に設けられている筒体と、
前記筒体の長手方向一端側に設けられている、被乾燥材料導入部および加熱空気の供給部と、
前記筒体の長手方向他端側に設けられて該筒体内の空気を筒体の長手方向一端側から他端側に向けて吸引する手段と、を備え、
前記筒体には、長手方向で少なくとも前記加熱空気の供給部側および該長手方向に沿った内壁面のいずれかもしくは両方に前記被乾燥材料の流動方向を変化させる部材が設けられ、
該被乾燥材料の流動方向を変化させる部材として、前記筒体の長手方向で加熱空気の供給部側には、導入される加熱空気に螺旋流もしくは乱流を生起させるガイド機構が設けられていることを特徴とする乾燥機。 - 請求項9記載の乾燥機において、
前記ガイド機構は、前記筒体の長手方向における加熱空気の供給部側の内面において、該加熱空気の供給方向に沿って傾斜し、前記筒体の周方向に沿って複数配置されたガイド板が用いられることを特徴とする乾燥機。 - 請求項9記載の乾燥機において、
前記ガイド機構は、前記加熱空気の供給部側に配置されて、前記筒体の周方向で等分された位置で筒体の長手方向に沿った所定長さを持つ翼と、この翼を前記筒体の長手方向に沿って揺動、あるいは、長手方向端部を周方向に沿って回転させる回転軸とを備えていることを特徴とする乾燥機。 - 請求項9または11記載の乾燥機において、
前記ガイド機構は、筒体の周方向で等分された位置で筒体の長手方向に沿った所定長さを持つ翼の表面に設けられて、加熱空気の流動方向を変化させる起立部を有するガイド片を備えていることを特徴とする乾燥機。 - 請求項12記載の乾燥機において、
前記ガイド片の起立部は、前記筒体の周方向で等分された位置に設けられている翼表面に複数設置されていることを特徴とする乾燥機。 - 請求項1乃至13のうちの一つに記載の乾燥機において、
前記筒体は、長手方向両側に設けられている不動部に支持されて回転可能な回転部を備え、
前記回転部は、外周下面に配置されたローラに載せられて回転可能に支持されていることを特徴とする乾燥機。
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