基板にレーザ光を照射して改質領域を形成した場合、改質領域周辺の基板にクラックが発生することがある。基板に貫通孔が設けられている場合、改質領域周辺に発生したクラックが貫通孔と繋がって基板が割れてしまうことがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板の割れを抑制することを目的とする。
本発明は、第1面と第2面との間を貫通する貫通孔を有する基板であって、前記貫通孔との間隔が最も狭い側面には前記基板の材料が改質した複数の改質領域が前記基板の厚さ方向に交差する方向に並んだグループを1行とした場合に前記基板の厚さ方向に1又は複数の行で設けられていて、前記1又は複数の行のうちの少なくとも1つの行では、前記側面に前記貫通孔を投影した第1領域以外の領域である第2領域には前記複数の改質領域が設けられていて、前記第1領域には前記複数の改質領域が設けられていない又は前記第1領域には前記複数の改質領域のうちの前記第2領域に設けられた改質領域よりも小さな改質領域が設けられている前記基板と、前記基板に設けられた機能部と、を備える電子部品である。
上記構成において、前記側面は、前記第1領域を含む第3領域と、前記基板の厚さ方向に交差する方向で前記第3領域の両側に位置する第4領域と、を有し、前記第3領域に対応する前記基板の前記第1面又は前記第2面に設けられ、前記第4領域に対応する前記基板の前記第1面又は前記第2面に設けられていない保護膜を備える構成とすることができる。
上記構成において、前記側面は、前記第1領域を含む第3領域と、前記基板の厚さ方向に交差する方向で前記第3領域の両側に位置する第4領域と、を有し、前記第3領域に対応する前記基板の前記第1面又は前記第2面の表面粗さは、前記第4領域に対応する前記基板の前記第1面又は前記第2面の表面粗さに比べて大きい構成とすることができる。
上記構成において、前記貫通孔は前記基板の前記第1面から前記第2面に向かって直径が大きくなり、前記複数の改質領域は前記基板の厚さ方向に複数の行で設けられていて、前記複数の改質領域のうちの前記第1領域で前記基板の厚さ方向に並んだ改質領域は、前記基板の前記第1面側から前記第2面側に向かって徐々に小さくなっている構成とすることができる。
上記構成において、前記貫通孔は前記基板の前記第1面から前記第2面に向かって直径が大きくなり、前記複数の改質領域は、前記基板の厚さ方向に複数の行で設けられているとともに、前記複数の行のうちの前記基板の前記第1面に最も近い行では前記第1領域及び前記第2領域に設けられ、前記基板の前記第2面に最も近い行では前記第2領域に設けられ且つ前記第1領域には設けられていない構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の改質領域は、前記1又は複数の行のうちの少なくとも1つの行において、前記第2領域では前記基板の厚さ方向に交差する方向に等間隔で設けられ且つ前記第1領域には設けられていない構成とすることができる。
上記構成において、前記改質領域は、非晶質である構成とすることができる。
本発明は、第1面と第2面との間を貫通する貫通孔を有する基板であって、前記貫通孔との間隔が最も狭い側面は前記側面に前記貫通孔を投影した第1領域と前記第1領域以外の領域であって前記第1領域よりも表面粗さが大きい第2領域とを有する前記基板と、前記基板に設けられた機能部と、を備える電子部品である。
上記構成において、前記基板は、圧電基板、又は、支持基板の上面に圧電基板が接合された接合基板であり、前記圧電基板は、タンタル酸リチウム基板又はニオブ酸リチウム基板であり、前記支持基板は、サファイア基板、スピネル基板、石英基板、又は水晶基板である構成とすることができる。
上記構成において、前記基板の前記第1面又は前記第2面のうちの一方の面に設けられた弾性波素子である前記機能部を囲んで前記一方の面に設けられた環状金属層と、前記環状金属層上に設けられ、前記機能部を封止する封止部材と、前記基板の前記第1面又は前記第2面のうちの他方の面に設けられた端子と、前記貫通孔に設けられ、前記環状金属層と前記端子とを接続するビア配線と、を備える構成とすることができる。
本発明は、第1面と第2面との間を貫通する貫通孔を有し且つ機能部が形成された基板を準備する工程と、前記基板の切断領域に沿ってレーザ光を照射することで、前記切断領域のうちの前記切断領域との間隔が最も狭い前記貫通孔を前記切断領域に投影した第1領域以外の第2領域に前記基板の材料が改質した改質領域を形成し、前記第1領域には前記改質領域を形成しない又は前記第2領域よりも小さな前記改質領域を形成する工程と、前記基板を前記切断領域に形成した前記改質領域にて割断する工程と、を備える電子部品の製造方法である。
上記構成において、前記基板を準備する工程は、レーザ光を照射することで形成した前記貫通孔を有する前記基板を準備する構成とすることができる。
上記構成において、前記改質領域を形成する前に、前記基板の前記第1面又は前記第2面に前記第1領域を覆う保護膜を形成する工程を備え、前記改質領域を形成する工程は、前記第1領域では前記保護膜に前記レーザ光を照射することで、前記第1領域には前記改質領域を形成しない又は前記第2領域よりも小さな前記改質領域を形成する構成とすることができる。
上記構成において、前記基板の前記第1面又は前記第2面のうちの前記機能部が形成された面とは反対側の面に端子を形成する工程を備え、前記保護膜を形成する工程は、前記基板の前記第1面又は前記第2面のうちの前記反対側の面に前記端子の形成と同時に前記端子と同じ材料で前記保護膜を形成する構成とすることができる。
本発明によれば、基板の割れを抑制することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
図1(a)は、実施例1に係る弾性波デバイスの平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A間の断面図、図1(c)は、実施例1における基板の側面図である。図1(a)及び図1(b)のように、実施例1の弾性波デバイス100では、基板10は支持基板11aと圧電基板11bとを有する。支持基板11aは、例えばサファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板、石英基板、水晶基板、又はシリコン基板である。圧電基板11bは、例えばタンタル酸リチウム基板又はニオブ酸リチウム基板である。圧電基板11bは支持基板11aの上面に接合されている。圧電基板11bと支持基板11aの接合面は平面であり平坦である。
基板10の上面12に機能部20が設けられている。機能部20は、例えば弾性表面波共振器であり、基板10の上面12に形成されたIDT(Interdigital Transducer)22と反射器28とを含む。IDT22は互いに対向する1対の櫛型電極24を有する。櫛型電極24は、複数の電極指26aと、複数の電極指26aを接続するバスバー26bと、を有する。反射器28はIDT22の両側に設けられている。IDT22は圧電基板11bに弾性表面波を励振する。反射器28は弾性表面波を反射する。IDT22及び反射器28は、例えばアルミニウム膜又は銅膜などの金属膜で形成されている。
基板10の下面14に端子36が設けられている。端子36は機能部20を外部と接続するためのフットパッドである。基板10の上面12に配線30が設けられている。配線30の一端は機能部20に接続され、他端はパッド32となっている。パッド32に基板10を貫通するビア配線34が接続されている。ビア配線34は、基板10を貫通する貫通孔18に埋め込まれて形成されている。配線30、ビア配線34、及び端子36は、例えば銅層、アルミニウム層、又は金層などの金属層である。配線30及びビア配線34は、機能部20と端子36とを電気的に接続する。
基板10の上面12には、基板10の複数の側面のうちの貫通孔18との間隔が最も狭い側面16近傍に保護膜38が設けられている。保護膜38は、基板10の側面16に最も近い貫通孔18と側面16との間の基板10の上面12に設けられている。保護膜38は、その端面が基板10の側面16と略同一面となっていてもよいし、側面16から離れていてもよい。保護膜38は、例えば酸化クロムなどの絶縁膜であってもよいし、金、アルミニウム、チタン、又はニッケルなどの金属膜、或いは、シリコンなどの導電性膜であってもよい。
実施例1の弾性波デバイスの各材料及び寸法の一例を下記に示す。支持基板11aは、膜厚が100μmのサファイア基板である。圧電基板11bは、膜厚が20μmのタンタル酸リチウム基板である。支持基板11aの線膨張係数が圧電基板11bよりも小さい場合、機能部20の弾性波素子の周波数温度依存性が小さくなる。IDT22及び反射器28は、膜厚が150nmのアルミニウム層である。配線30は、膜厚が1μmの金層である。ビア配線34は、銅ビア配線である。端子36は、支持基板11a側から膜厚が2μmの銅層、膜厚が5μmのニッケル層、膜厚が0.5μmの金層の積層金属層である。保護膜38は、膜厚が0.1〜3μmの金層である。
図1(c)のように、基板10の側面16において、側面16に最も近い貫通孔18を側面16に投影した投影領域を符号40で表し、投影領域40以外の非投影領域を符号42で表す。図1(c)では、投影領域40をクロスハッチで表している。また、投影領域40を含む投影含有領域を符号41で表し、基板10の厚さ方向に交差する方向である側面16の長手方向で投影含有領域41の両側に位置する両側領域を符号43で表す。保護膜38は、投影含有領域41に対応して基板10の上面12に設けられ、両側領域43に対応する基板10の上面12には設けられていない。
基板10の側面16には、基板10の材料が改質した複数の改質領域44が設けられている。改質領域44は、例えば支持基板11a内に支持基板11aの材料が改質されて形成されている。改質領域44は、非晶質となっている。複数の改質領域44は、基板10の厚さ方向に交差する方向(例えば直交する方向)に間隔をあけて並んで形成されている。複数の改質領域44は、改質領域44が基板10の厚さ方向に交差する方向に並んだグループを1行とした場合に、基板10の厚さ方向に1又は複数の行で設けられている。実施例1では、改質領域44が1行だけ設けられている場合を例に示す。
複数の改質領域44が並んで設けられた1つの行において、改質領域44は、非投影領域42に設けられ、投影領域40には設けられていない。例えば、改質領域44は、非投影領域42では等間隔に並んで設けられている。
図2(a)から図3(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す平面図である。図4(a)から図4(e)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。図4(a)は、図2(a)のA−A間の断面図である。図4(b)は、図2(b)のA−A間の断面図である。図4(c)は、図3(a)のA−A間の断面図、図4(d)は、図3(a)のB−B間の断面図である。図4(e)は、図3(b)のA−A間の断面図である。
図2(a)及び図4(a)のように、機能部20、配線30、ビア配線34、及び端子36が形成された基板10を準備する。基板10は支持基板11aと圧電基板11bが接合された接合基板である。支持基板11aと圧電基板11bとは、その界面において支持基板11aを構成する原子と圧電基板11bを構成する原子とがアモルファス層を形成することにより強固に接合されている。機能部20、配線30、及び端子36は、例えば蒸着法及びリフトオフ法を用いて形成される。ビア配線34は、例えばレーザ光を照射して形成した貫通孔18にメッキ法などを用いて金属膜を埋め込むことで形成される。貫通孔18を形成するときに、基板10にクラック60が発生することがある。レーザ光を用いて貫通孔18を形成した場合に、貫通孔18の周囲にクラック60が発生し易いが、エッチングなどの他の方法で貫通孔18を形成した場合にも、貫通孔18の周囲にクラック60が発生することがある。クラック60の長さは、例えば10μm〜20μmである。なお、図4(a)では、支持基板11aにクラック60が発生している場合を例に示したが、支持基板11a及び圧電基板11bの材料によっては、圧電基板11bにクラック60が発生する場合や支持基板11a及び圧電基板11bの両方にクラック60が発生する場合がある。
図2(b)及び図4(b)のように、基板10の上面12のうちの基板10を切断する切断領域50(スクライブライン)上に保護膜38を形成する。保護膜38は、切断領域50のうちの切断領域50との間隔が最も狭い貫通孔18を切断領域50に投影した投影領域52(図2(b)にてクロスハッチで図示した箇所)を覆って形成される。
図3(a)、図4(c)、及び図4(d)のように、レーザ照射装置56を用い、切断領域50に沿って基板10内にレーザ光58を照射する。レーザ光58が照射された部分は、レーザ光58の熱により基板10の材料が改質して改質領域44となる。基板10のうちの保護膜38の下側に位置する部分はレーザ光58が保護膜38で遮られるために改質領域44が形成されず、保護膜38の下側以外の部分にはレーザ光58が照射されて改質領域44が形成される。すなわち、切断領域50のうちの投影領域52には基板10内に改質領域44は形成されず、投影領域52以外の他の領域54には基板10内に改質領域44が形成される。
改質領域44は、レーザ光58が基板10に照射されることで形成されるため、レーザ光58の熱の影響が改質領域44の周囲の基板10に及ぶ。このため、改質領域44の周囲の基板10にクラック62が発生することがある。クラック62の長さは、例えば10μm〜20mである。レーザ光58は、例えばグリーンレーザ光であり、例えばNd:YAGレーザの第2高調波である。波長が500nm程度のレーザ光58を用いることにより支持基板11aがサファイア基板である場合に効率よく改質領域44を形成できる。なお、レーザ光58の波長は、支持基板11a及び圧電基板11bの材料に応じ適宜設定できる。
図3(b)及び図4(e)のように、切断領域50に沿ってブレードを押し当て、改質領域44にて基板10を割断する。これにより、基板10が個片化されて実施例1の弾性波デバイス100が形成される。
図5は、改質領域を説明するための断面図である。なお、図5では、図の明瞭化のために、ハッチングを省略している。図5のように、改質領域44の幅Wは、例えば1μm〜3μmである。改質領域44の高さHは、例えば3μm〜8μmである。基板10の厚さ方向に交差する方向で隣接する改質領域44の中心間の距離Xは、例えば10μm〜30μmである。基板10の上面12と改質領域44の中心(基板10の厚さ方向に複数の改質領域44が形成されている場合では上面12に最も近い改質領域44の中心)の間の距離Lは、例えば30μm〜50μmである。改質領域44を形成するために基板10に照射するレーザ光58の基板10の上面12での直径Dは、例えば20μm〜35μmである。
実施例1の弾性波デバイス100の効果を説明するにあたり、比較例の弾性波デバイスについて説明する。図6(a)及び図6(b)は、比較例に係る弾性波デバイスの製造方法を示す平面図である。図7(a)から図7(c)は、比較例に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。図7(a)は、図6(a)のA−A間の断面図である。図7(b)は、図6(b)のA−A間の断面図、図7(c)は、図6(b)のB−B間の断面図である。
図6(a)及び図7(a)のように、機能部20、配線30、ビア配線34、及び端子36が形成された基板10を準備する。図2(a)及び図4(a)で説明したように、貫通孔18を形成するときに、貫通孔18周囲の基板10にクラック60が発生することがある。
図6(b)、図7(b)、及び図7(c)のように、レーザ照射装置56を用い、基板10の切断領域50に沿って基板10内にレーザ光58を照射する。比較例では、基板10の上面12に保護膜38が形成されていない。このため、レーザ光58は切断領域50全体に照射され、切断領域50全体に改質領域44が形成される。すなわち、切断領域50に最も近い貫通孔18の傍にも改質領域44が形成される。図3(a)、図4(c)、及び図4(d)で説明したように、改質領域44を形成するときに、改質領域44周囲の基板10にクラック62が発生することがある。改質領域44を形成した後は、図3(b)及び図4(e)で説明したように、切断領域50に沿ってブレードを押し当て、改質領域44にて基板10を割断する。
比較例では、図6(b)及び図7(b)のように、切断領域50に最も近い貫通孔18の傍にも改質領域44が形成される。このため、改質領域44の周囲に発生したクラック62が貫通孔18の周囲に発生したクラック60に繋がることがある。クラック62がクラック60を介して貫通孔18に繋がることで、例えば基板10の割断工程などにおいて、基板10が切断領域50以外の部分で割れてしまうことがある。なお、貫通孔18の形成方法及び/又は条件などによっては貫通孔18の周囲にクラック60が発生しない場合がある。この場合でも、改質領域44の周囲に発生したクラック62が貫通孔18に繋がることで、基板10が割れてしまうことがある。
一方、実施例1によれば、図3(a)、図4(c)、及び図4(d)のように、切断領域50のうちの投影領域52以外の他の領域54に改質領域44を形成し、投影領域52には改質領域44を形成しない。図4(e)のように、基板10を切断領域50に形成した改質領域44にて割断する。したがって、図1(c)のように、複数の改質領域44が並んで設けられた1つの行において、改質領域44は、投影領域40以外の非投影領域42に設けられ、投影領域40には設けられない。これによれば、貫通孔18の傍に改質領域44が形成されないため、改質領域44の周囲に発生したクラック62が貫通孔18の周囲に発生したクラック60を介して貫通孔18に繋がることが抑制される。よって、基板10に割れが発生することを抑制できる。
図2(b)及び図4(b)のように、改質領域44を形成する前に、切断領域50のうちの投影領域52を覆う保護膜38を基板10の上面12に形成する。図3(a)、図4(c)、及び図4(d)のように、切断領域50のうちの投影領域52ではレーザ光58を保護膜38に照射することで改質領域44を形成せず、投影領域52以外の他の領域54ではレーザ光58を基板10に照射することで改質領域44を形成する。したがって、図1(c)のように、保護膜38は、投影領域40を含む投影含有領域41に対応する基板10の上面12に設けられ、投影含有領域41の両側に位置する両側領域43に対応する基板10の上面12には設けられない。これにより、基板10の割れを抑制することが可能の構造である、非投影領域42に改質領域44が設けられ且つ投影領域40には改質領域44が設けられていない構造を容易に得ることができる。
改質領域44は非晶質である。これにより、改質領域44にて基板10を割断することを容易に行うことができる。
圧電基板11bはタンタル酸リチウム基板又はニオブ酸リチウム基板であり、支持基板11aはサファイア基板、スピネル基板、石英基板、又は水晶基板である場合、基板10が硬いため、貫通孔18の周囲にクラック60及び改質領域44の周囲にクラック62が発生し易い。したがって、この場合に、図1(c)のように、投影領域40には改質領域44が設けられない場合が好ましい。
保護膜38は、金属膜であってもよいし、絶縁膜であってもよい。実施例1のように、保護膜38が基板10の上面12に設けられる場合では、保護膜38が金属膜である場合、レーザ光58が保護膜38に照射されることで発生するデブリが配線30などに付着して短絡が生じることがある。したがって、保護膜38が基板10の上面12に設けられる場合では、保護膜38は絶縁膜である場合が好ましい。なお、保護膜38が金属膜及び絶縁膜のいずれであったとしても、レーザ光58の焦点は基板10内であることから保護膜38からのデブリの発生は抑えられる。
図8は、実施例1における基板の側面の表面粗さを説明するための図である。図8のように、基板10の側面16のうちの投影領域40(粗めのクロスハッチで図示)における表面粗さは、投影領域40以外の領域である領域46(細かめのクロスハッチで図示)における表面粗さよりも小さい。このように、投影領域40における表面粗さが領域46よりも小さいのは以下の理由によるものと考えられる。すなわち、領域46は改質領域44が形成されているため、基板10を割断する際に改質領域44の影響によって表面粗さが大きくなったものと考えられる。これに対し、投影領域40は改質領域44が形成されていないため、基板10を割断する際の改質領域44の影響が小さく、その結果、投影領域40の表面粗さは大きくならなかったものと考えられる。このように、基板10の側面16に表面粗さの大きな領域が形成されることで、スプリアスを低減する効果が得られる。
図9は、保護膜の位置関係を示した模式図である。図9のように、切断領域50が伸びた方向における保護膜38の長さLは、改質領域44の周囲に発生するクラック62が貫通孔18の周囲に発生するクラック60又は貫通孔18に繋がることを抑制する点から、貫通孔18の最小直径A以上である場合が好ましく、最大直径B以上である場合がより好ましい。また、保護膜38の長さLは、1行に並んで設けられる改質領域44の個数が少なくなって基板10が割断され難くなることを抑制する点から、貫通孔18の最大直径Bの1.5倍以下である場合が好ましく、1.2倍以下である場合がより好ましい。なお、貫通孔18の最小直径Aは、例えば20μm〜30μmであり、最大直径Bは、例えば40μm〜50μmである。貫通孔18と切断領域50との間隔Cは、改質領域44の周囲に発生するクラック62が貫通孔18の周囲に発生するクラック60又は貫通孔18と繋がることを抑制する点から、例えば40μm〜50μmである場合が好ましい。
図10(a)は、実施例1の変形例1に係る弾性波デバイスの断面図、図10(b)は、実施例1の変形例1における基板の側面図である。図10(c)は、実施例1の変形例2に係る弾性波デバイスの断面図、図10(d)は、実施例1の変形例2における基板の側面図である。図10(a)及び図10(b)のように、実施例1の変形例1の弾性波デバイス110では、複数の改質領域44が基板10の厚さ方向に複数の行となって形成されている。また、圧電基板11bに溝13が形成されていて、溝13内で支持基板11aの上面に保護膜38が設けられている。その他の構成は、実施例1の図1(b)及び図1(c)と同じであるため説明を省略する。図10(c)及び図10(d)のように、実施例1の変形例2の弾性波デバイス120では、複数の改質領域44が基板10の厚さ方向に複数の行となって形成されている。また、保護膜38は基板10の下面14に設けられている。その他の構成は、実施例1の図1(b)及び図1(c)と同じであるため説明を省略する。
実施例1の変形例1のように、側面16の長手方向で投影含有領域41よりも長い溝13が圧電基板11bに形成され、保護膜38は溝13内で投影含有領域41に対応する支持基板11aの上面に設けられていてもよい。実施例1の変形例2のように、保護膜38は投影含有領域41に対応する基板10の下面14に設けられていてもよい。実施例1の変形例2では、基板10の下面14側からレーザ光58を基板10に照射することで、非投影領域42に改質領域44が設けられ、投影領域40には改質領域44が設けられない構造となる。基板10の下面14側からレーザ光58を基板10に入射させるため、レーザ光58が保護膜38に照射されることで発生するデブリが配線30などに付着することが抑制される。したがって、保護膜38を基板10の下面14に形成する場合には、保護膜38にレーザ光58を効果的に遮ることが可能な金属膜を用いることができる。
なお、実施例1の変形例1及び変形例2では、複数の改質領域44が基板10の厚さ方向に並んだ複数の行の全てで、非投影領域42に改質領域44が設けられ、投影領域40には改質領域44が設けられていない場合を例に示したが、この場合に限られるわけではない。複数の行の少なくとも1つの行で、非投影領域42に改質領域44が設けられ、投影領域40には改質領域44が設けられていない場合でもよい。
図11(a)は、実施例1の変形例3に係る弾性波デバイスの断面図、図11(b)は、実施例1の変形例3における基板の側面図である。図11(a)及び図11(b)のように、実施例1の変形例3の弾性波デバイス130では、基板10は圧電基板11bからなる。改質領域44は、圧電基板11b内に圧電基板11bの材料が改質して形成されている。その他の構成は、実施例1の図1(b)及び図1(c)と同じであるため説明を省略する。
実施例1では、基板10は支持基板11aの上面に圧電基板11bが接合された接合基板の場合を例に示したが、実施例1の変形例3のように、基板10は圧電基板11bからなる場合でもよい。
図12(a)は、実施例2に係る弾性波デバイスの平面図、図12(b)は、図12(a)のA−A間の断面図、図12(c)は、実施例2における基板の側面図である。図12(a)から図12(c)のように、実施例2の弾性波デバイス200では、基板10の上面12に保護膜38が設けられていない。投影含有領域41に対応する基板10の上面12の表面粗さが、両側領域43に対応する基板10の上面12の表面粗さよりも粗くなっている。その他の構成は、実施例1の図1(a)から図1(c)と同じであるため説明を省略する。
図13(a)から図13(c)は、実施例2に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。まず、実施例1の図4(a)で説明したように、機能部20、配線30、ビア配線34、及び端子36が形成された基板10を準備する。図13(a)のように、切断領域50のうちの投影領域52を含む領域における基板10の上面12を、例えばサンドブラストなどによって粗くして粗面とする。
図13(b)及び図13(c)のように、レーザ照射装置56を用い、切断領域50に沿って基板10内にレーザ光58を照射する。切断領域50のうちの投影領域52における基板10の上面12は粗面となっているため、投影領域52ではレーザ光58は基板10の上面12で散乱され、基板10内に改質領域44が形成されない。投影領域52以外の他の領域54では基板10の上面12は平坦面となっているためレーザ光58が基板10内に照射されて基板10内に改質領域44が形成される。改質領域44を形成した後、実施例1の図3(b)及び図4(e)で説明したように、切断領域50に沿ってブレードを押し当て、改質領域44にて基板10を割断する。
実施例2によれば、図13(a)のように、改質領域44を形成する前に、切断領域50のうちの投影領域52を含む領域における基板10の上面12を粗面とする。図13(b)及び図13(c)のように、切断領域50のうちの投影領域52ではレーザ光58を粗化された基板10の上面12で散乱させることで改質領域44を形成せず、投影領域52以外の他の領域54ではレーザ光58を基板10に照射することで改質領域44を形成する。したがって、図12(c)のように、投影含有領域41に対応する基板10の上面12の表面粗さは、投影含有領域41の両側に位置する両側領域43に対応する基板10の上面12の表面粗さに比べて大きい。これにより、基板10の割れを抑制することが可能の構造である、非投影領域42に改質領域44が設けられ且つ投影領域40には改質領域44が設けられていない構造を容易に得ることができる。
なお、実施例2において、投影含有領域41に対応する基板10の下面14の表面粗さが、投影含有領域41の両側に位置する両側領域43に対応する基板10の下面14の表面粗さに比べて大きい場合でもよい。この場合でも、基板10の下面14側からレーザ光58を照射することで、基板10の割れを抑制することが可能な構造である、非投影領域42に改質領域44が設けられ且つ投影領域40には改質領域44が設けられていない構造を容易に得ることができる。
図14(a)は、実施例3に係る弾性波デバイスの平面図、図14(b)は、図14(a)のA−A間の断面図、図14(c)は、実施例3における基板の側面図である。図14(a)から図14(c)のように、実施例3の弾性波デバイス300では、複数の改質領域44が基板10の厚さ方向に複数の行となって形成されている。また、基板10の上面12に、保護膜38に代わって保護膜38aが設けられている。保護膜38aは、例えばシリコンである。複数の改質領域44が基板10の厚さ方向に並んだ複数の行のうちの少なくとも1つの行において、投影領域40には非投影領域42に設けられた改質領域44よりも小さな改質領域44が設けられている。その他の構成は、実施例1の図1(a)から図1(c)と同じであるため説明を省略する。
図15(a)から図15(c)は、実施例3に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。まず、実施例1の図4(a)で説明したように、機能部20、配線30、ビア配線34、及び端子36が形成された基板10を準備する。図15(a)のように、切断領域50のうちの投影領域52を覆う保護膜38aを基板10の上面12に形成する。
図15(b)及び図15(c)のように、レーザ照射装置56を用い、切断領域50に沿って基板10内にレーザ光58を照射する。切断領域50の投影領域52に形成された保護膜38aは、レーザ光58の一部を透過し、残りを反射する。このため、投影領域52の基板10内には、投影領域52以外の他の領域54の基板10内に形成される改質領域44よりも小さな改質領域44が形成される。改質領域44を形成した後、実施例1の図3(b)及び図4(e)で説明したように、切断領域50に沿ってブレードを押し当て、改質領域44にて基板10を割断する。
実施例3によれば、図14(c)のように、複数の改質領域44が並んだ少なくとも1つの行において、投影領域40には非投影領域42に設けられた改質領域44よりも小さな改質領域44が設けられている。投影領域40に設けられた改質領域44が小さいと、図15(b)のように、改質領域44の周囲に発生したクラック62が貫通孔18に繋がることが抑制されるため、基板10に割れが発生することを抑制できる。また、投影領域40に改質領域44が設けられている場合は、図3(b)及び図4(e)における基板10の割断が良好に行われるようになる。
実施例1から実施例3では、基板10は圧電基板11bを含み、機能部20は圧電基板11b上に形成された弾性表面波共振器である場合を例に示したが、この場合に限られるわけではない。例えば、基板10はシリコン基板などからなり、機能部20は基板10上に形成された圧電薄膜共振器からなる場合でもよい。図16は、機能部が圧電薄膜共振器である場合の断面図である。図16のように、基板10上に圧電膜72が設けられている。圧電膜72を挟むように下部電極70及び上部電極74が設けられている。下部電極70と基板10との間に空隙76が形成されている。下部電極70及び上部電極74は、圧電膜72内に厚み縦振動モードの弾性波を励振する。下部電極70及び上部電極74は、例えばルテニウム膜などの金属膜である。圧電膜72は、例えば窒化アルミニウム膜である。
図17(a)は、実施例4に係る弾性波デバイスの断面図、図17(b)は、実施例4における基板の側面図である。図17(a)及び図17(b)のように、実施例4の弾性波デバイス400では、基板80がバンプ82を介して基板10の上面12にフリップチップ実装(フェースダウン実装)されている。バンプ82は、例えば金バンプ、半田バンプ、又は銅バンプである。基板80の下面には機能部84と配線86が設けられている。基板80は、シリコン基板又はガラス基板などの絶縁基板、若しくは、半導体基板である。機能部84は、例えば圧電薄膜共振器である。配線86は、例えば銅層、アルミニウム層、又は金層などの金属層である。バンプ82は、配線30と配線86とを接続する。機能部84は、基板10の下面14に設けられた端子36を介して外部と接続する。
基板10の外周部において圧電基板11bが除去され、支持基板11a上に環状金属層87が設けられている。環状金属層87の膜厚は、例えば圧電基板11bの膜厚と同じである。環状金属層87は、例えば銅層、アルミニウム層、又は金層である。基板10の外縁であって環状金属層87上に環状電極88が設けられている。環状金属層87及び環状電極88は、機能部20の周りを完全に囲んで設けられている。環状電極88は、例えばニッケル層、銅層、アルミニウム層、又は金層などの金属層である。
基板10上に、機能部20を囲むように封止部材90が設けられている。封止部材90は、例えば半田などの金属部材である。封止部材90は、環状電極88に接合されている。基板80の上面及び封止部材90の上面に平板状のリッド92が設けられている。リッド92は金属板又は絶縁板である。リッド92及び封止部材90を覆う金属膜又は絶縁膜からなる被覆膜が設けられていてもよい。
機能部20及び84は、空隙94を介して対向している。空隙94は、封止部材90、基板10、基板80、及びリッド92により封止されている。バンプ82は空隙94で囲まれている。環状金属層87は、ビア配線34を介して端子36に電気的に接続されている。このため、環状金属層87が電気的に接続されている端子36にグランド電位を供給すると、封止部材90は接地される。
基板10の下面14には、基板10の複数の側面のうちの貫通孔18との間隔が最も狭い側面16近傍に保護膜38が設けられている。保護膜38は、投影含有領域41に対応して基板10の下面14に設けられ、両側領域43に対応する基板10の下面14には設けられていない。
図18(a)及び図18(b)は、実施例4における基板の平面図である。図18(a)は、基板10の平面図であり、図18(b)は、基板80の平面図である。なお、図18(b)は、図18(a)との対応を分かり易くするため、基板80の上から透視した平面図としている。図18(a)のように、基板10上に、複数の機能部20、配線30、及び環状電極88が設けられている。機能部20は、直列共振器S11及びS12と並列共振器P11及びP12とを有する。配線30上にバンプ82が設けられている。基板10内に配線30又は環状電極88に接続するビア配線34が形成されている。ビア配線34のうち「A」、「T」、「R」、及び「G」はそれぞれ共通端子、送信端子、受信端子、及びグランド端子に接続される。「Ga」はグランド端子に接続される。共通端子Aと送信端子Tとの間に直列共振器S11及びS12が配線30を介し直列に接続されている。共通端子Aと送信端子Tとの間に並列共振器P11及びP12が配線30を介し並列に接続されている。並列共振器P11及びP12は配線30を介しグランド端子Gに接続されている。このように、基板10にはラダー型フィルタ21が設けられている。
図18(b)のように、基板80上に複数の機能部84、配線86、及びバンプ82が設けられている。バンプ82のうち「A」、「R」、及び「G」はそれぞれ共通端子、受信端子、及びグランド端子に接続される。共通端子Aと受信端子Rとの間に直列共振器S21からS24が配線86を介し直列に接続されている。共通端子Aと受信端子Rとの間に並列共振器P21からP23が配線86を介し並列に接続されている。並列共振器P21からP23は配線86を介しグランド端子Gに接続されている。このように、基板80にはラダー型フィルタ81が設けられている。
図19(a)から図20(c)は、実施例4に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。図21(a)及び図21(b)は、実施例4に係る弾性波デバイスの製造方法を示す平面図である。図19(a)のように、機能部20、配線30、ビア配線34、端子36、環状金属層87、及び環状電極88が形成された基板10を準備する。環状金属層87は、例えばエッチング法などで形成した圧電基板11bに形成した開口内にメッキ法などによって金属膜を埋め込むことで形成される。環状電極88は、例えばチタン膜とニッケル膜の積層膜であり、蒸着法及びリフトオフ法によって形成される。
図19(b)のように、基板10上に基板80をフリップチップ実装する。基板80は個片化後のチップであり、基板80の下面にバンプ82として金スタッドバンプが形成されている。
図19(c)のように、基板10上に基板80を覆うように半田板を配置する。半田板上にリッド92を配置する。リッド92で半田板を基板10側に押圧し半田板の融点以上に加熱する。これにより、半田板が溶融し封止部材90が形成される。環状電極88の上面は半田の濡れ性が良いため封止部材90は環状電極88を介し基板10に接合する。基板80の表面は半田の濡れ性が良くないため、封止部材90は基板80の側面に接触したとしても接合しない。リッド92は半田の濡れ性が良いため、封止部材90はリッド92に接合する。リッド92は、基板80の上面に接触するが接合しない。
図20(a)及び図21(a)のように、基板10の切断領域50上であって隣接する基板80の間に位置するリッド92及び封止部材90に対してハーフダイシングを行って溝を形成する。切断領域50のうちの切断領域50との間隔が最も狭い貫通孔18(ここでは、環状金属層87に接続するビア配線34が形成される貫通孔18)を切断領域50に投影した投影領域52を覆う保護膜38を基板10の下面14に形成する。
図20(b)及び図21(b)のように、レーザ照射装置56を用い、基板10の下面14側から切断領域50に沿って基板10内にレーザ光58を照射する。基板10のうちの保護膜38の上側に位置する部分はレーザ光58が保護膜38で遮られるために改質領域44が形成されず、保護膜38の上側以外の部分には切断領域50に沿って改質領域44が形成される。すなわち、切断領域50のうちの投影領域52には基板10内に改質領域44は形成されず、投影領域52以外の他の領域54で基板10内に改質領域44が形成される。
図20(c)のように、切断領域50に沿ってブレードを押し当て、改質領域44にて基板10を割断する。これにより、基板10が個片化されて実施例4の弾性波デバイス400が形成される。
実施例4によれば、図17(a)及び図17(b)のように、基板10の上面12に、弾性波素子である機能部20を囲んで環状金属層87が設けられている。環状金属層87に接合する封止部材90が機能部20を囲んで設けられている。環状金属層87と基板10の下面14に設けられた端子36とは、基板10を貫通する貫通孔18に埋め込まれたビア配線34で接続されている。このように、シールド効果が発揮されるよう、封止部材90がビア配線34を介してグランドに接続される端子36に電気的に接続される場合、このビア配線34が形成される貫通孔18は基板10の側面近傍に形成され易い。したがって、環状金属層87に接続するビア配線34が形成される貫通孔18との間隔が最も狭い基板10の側面16における投影領域40に改質領域44が設けられていない場合が好ましい。これにより、改質領域44の周囲に発生するクラック62が貫通孔18の周囲に発生するクラック60又は貫通孔18に繋がることが抑制されるため、環状金属層87に接続するビア配線34を基板10の側面16に寄せて設けることができる。よって、機能部20などを形成することが可能な領域を広げることができる。
また、実施例4によれば、基板10は支持基板11aと圧電基板11bとの接合基板であり、環状金属層87は圧電基板11bが除去された領域で支持基板11a上に設けられている。環状金属層87と端子36とを接続するビア配線34は支持基板11aを貫通する貫通孔18に埋め込まれて設けられている。このような構造の場合、図19(a)のように、支持基板11aにクラック60が発生し易い。したがって、このような場合に、基板10の側面16における投影領域40に改質領域44が設けられていない場合が好ましい。
図19(a)及び図20(a)のように、基板10の下面14に形成する端子36と保護膜38とは別々に形成する場合を例に示したが、この場合に限られるわけではない。図22は、保護膜の他の形成方法を示す平面図である。図22のように、基板10の下面14にメッキ法などによって端子36を形成するときに保護膜38を同時に形成してもよい。この場合、保護膜38は端子36と同じ材料で形成された金属膜となる。これにより、端子36と保護膜38を別々に形成する場合に比べて、製造工程数を削減することができる。また、保護膜38が金属膜で形成されることで、レーザ光58を効果的に遮ることができ、基板10のうちの保護膜38と重なる位置に改質領域が形成されないようにできる。
実施例1から実施例4では、基板10の側面16の投影含有領域41に対応する基板10の上面12又は下面14に保護膜38を設ける、若しくは、投影含有領域41に対応する基板10の上面12又は下面14を粗面とすることで、投影領域40に改質領域44が形成されない又は小さな改質領域44が形成される場合を例に示した。しかしながら、この場合に限られず、レーザ照射装置56を制御することで、投影領域40に改質領域44が形成されない又は小さな改質領域44が形成されるようにしてもよい。また、実施例1から実施例4では、電子部品が弾性波デバイスである場合を例に示したが、弾性波デバイス以外の電子部品の場合でもよい。
図23(a)から図23(d)は、貫通孔及びビア配線の例を示す断面図である。図23(a)のように、貫通孔18は、基板10の上面12から下面14に向かって徐々に広がる形状であってもよい。図23(b)のように、貫通孔18は、基板10の上面12から下面14に向かって徐々に狭まる形状であってもよい。図23(c)のように、貫通孔18は、基板10の上面12から下面14に向かって一定の幅を有する形状であってもよい。貫通孔18に形成されるビア配線34は、図23(a)から図23(c)のように、貫通孔18を完全に埋め込んで形成されていてもよいし、図23(d)のように、貫通孔18の側面に沿って延在していてもよい。
図24(a)から図24(d)は、改質領域の例を示す側面図である。図24(a)のように、貫通孔18の直径が基板10の上面12から下面14に向かって徐々に小さくなっている。複数の改質領域44が基板10の厚さ方向に複数の行となって形成されている。このような場合、投影領域40で基板10の厚さ方向で並んだ改質領域44は、基板10の下面14から上面12に向かって徐々に小さくなっている場合でもよい。図24(b)のように、貫通孔18の直径が基板10の上面12から下面14に向かって徐々に大きくなっている。複数の改質領域44が基板10の厚さ方向に複数の行となって形成されている。このような場合、投影領域40で基板10の厚さ方向で並んだ改質領域44は、基板10の上面12から下面14に向かって徐々に小さくなっている場合でもよい。貫通孔18の直径が大きい部分でクラック60が発生し易い及び/又は発生したクラック60が長くなり易いため、改質領域44の周辺に発生したクラック62がクラック60に繋がり易い。このため、図24(a)及び図24(b)のように、投影領域40で基板10の厚さ方向に並んだ改質領域44を、基板10の上面12及び下面14のうちの貫通孔18の直径が小さい側の面から大きい側の面に向かって徐々に小さくする。これにより、改質領域44で発生したクラック62が貫通孔18で発生したクラック60に繋がることを抑制できる。
図24(c)のように、基板10の厚さ方向と交差する方向において、非投影領域42に形成される改質領域44を投影領域40に向かって徐々に小さくしてもよい。この場合、貫通孔18の周りには比較的小さい改質領域44が形成されるため、改質領域44で発生するクラック62が貫通孔18で発生するクラック60に繋がることを抑制できる。
図24(d)のように、貫通孔18の直径が基板10の上面12から下面14に向かって小さくなっている。複数の改質領域44が基板10の厚さ方向に複数の行となって形成されている。このような場合、複数の行のうちの基板10の下面14に最も近い側の行では投影領域40及び非投影領域42に改質領域44が設けられ、基板10の上面12に最も近い側の行では非投影領域42に改質領域44が設けられ、投影領域40では改質領域44が設けられていない場合でもよい。この場合でも、改質領域44で発生するクラック62が貫通孔18で発生するクラック60に繋がることを抑制できる。
図24(a)から図24(d)のように、投影領域40にも改質領域44が設けられていることで、製造工程において基板10を良好に割断することができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。