JP2020035575A - 絶縁バスバーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特性の良好な絶縁バスバーの製造方法を提供する。【解決手段】(a)導体1を第1温度に予備加熱した状態で、導体1の外周に粉体PPを塗布することにより、粉体PPの硬化物を含む被膜2aを形成し、(b)被膜2aが形成された導体1に第2温度で熱処理を施すことにより、粉体PPの硬化物よりなる絶縁層2を形成する。そして、(a)工程の後、(b)工程の前において、被膜2aの硬化度が10%以上70%未満である。かかる方法によれば、導体1を予め予備加熱し、導体1の近傍に位置する粉体PPの熱硬化物よりなる第1膜2a1と、未硬化の粉体PPよりなる第2膜2a2とからなる被膜2aを形成した後、第2膜2a2を熱硬化させることにより、ボイドや空洞が少ない良好な絶縁層2を形成することができる。また、絶縁破壊耐圧の大きい良好な絶縁層2を形成することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、絶縁バスバーの製造方法に関するものである。
従来、例えばインバーターやコンバーター等の電力変換装置内にて電流を伝送するための配線部材としてバスバーが用いられている。バスバーは、板状の導体に絶縁処理を施して絶縁バスバーとすることが多い。この絶縁処理としては、絶縁テープを巻き付ける方法、熱収縮チューブを被せる方法、樹脂モールドする方法、絶縁紙または樹脂フィルムで覆う方法などがあるが、近年、塗装技術を用いて絶縁層を形成する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、通電装置を構成しているバスバーの表面に、電着塗装によって付着された絶縁性塗料を形成する技術が開示されている。
また、特許文献2には、流動浸漬装置を用いて、バスバー本体に粉体塗料を塗装する技術が開示されている。この装置は、バスバー本体を加圧状態下に、通電加熱して、所定表面温度を有するバスバー本体とする第1の加熱装置と、加熱されたバスバー本体を、粉体塗料の中に浸漬させて、表面に対して、粉体塗料を塗装する流動浸漬装置と、粉体塗料を硬化させる第2の加熱装置と、硬化した粉体塗料からなる塗膜を部分的に除去する機械加工装置と、を有する。
また、特許文献3には、ばね部材を加熱する加熱工程と、ばね部材の表面温度T(℃)がT−20≦T<T+20(T:熱硬化性粉体塗料の硬化完了点温度(℃))に達した状態で、熱硬化性粉体塗料をばね部材の表面に付着させる塗装工程と、付着した熱硬化性粉体塗料を硬化させる硬化工程と、を有するばね部材の粉体塗装方法が開示されている。
特開2006−24449号公報 特開2016−172245号公報 特開2012−530号公報
しかしながら、本発明者らが、静電粉体塗装により、帯電させた粉体を被塗物に吹きかけ、被塗物に塗膜(塗布膜)を形成することにより絶縁バスバーを形成したところ、絶縁層内にボイド(空隙)が生じる場合があることが判明した。特に、塗膜の表面側から熱を加えて硬化させる際に、内部にボイドが残りやすく、このようなボイドが生じると絶縁層の絶縁強度が低下してしまう。
そこで、本発明は、導体と絶縁層の界面近傍および絶縁層の内部のボイドを低減し、絶縁層の絶縁強度を向上させることができる絶縁バスバーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の絶縁バスバーの製造方法は、(a)導体を第1温度に加熱した状態で、前記導体の外周に粉体塗料を塗布することにより、前記粉体塗料の硬化物を含む被膜を形成する工程と、(b)前記被膜が形成された導体に第2温度で熱処理を施すことにより、前記粉体塗料の硬化物よりなる絶縁層を形成する工程と、を有する。そして、前記(a)工程の後、前記(b)工程の前において、前記被膜の硬化度が10%以上70%未満である。
前記(a)工程の後の前記被膜は、前記導体近傍に位置する前記硬化物よりなる第1膜と、未硬化の前記粉体塗料よりなる第2膜とからなる。
前記第1温度および前記第2温度は、前記粉体塗料の熱硬化開始温度以上の温度である。
前記導体は、板状の金属導体である。
前記導体は、Cuを含有する金属導体である。
前記粉体塗料は、熱硬化性樹脂を含有する。
前記粉体塗料は、エポキシ樹脂を含有する。
前記絶縁層の絶縁耐圧は、2kV以上である。
本発明の絶縁バスバーの製造方法によれば、導体と絶縁層との界面および絶縁層内のボイドを抑制し、絶縁層の絶縁強度を向上させた絶縁バスバーを得ることができる。
実施の形態の絶縁バスバーの構成を示す図である。 実施の形態の絶縁バスバーの製造工程を示す図である。 比較例の絶縁バスバーの絶縁層の形成状態を模式的に示す図である。 実施の形態の絶縁バスバーの絶縁層の形成状態を模式的に示す図である。 水中破壊試験の様子を示す図である。 評価サンプルS1〜S4の静電粉体塗装後、熱硬化前の被膜について顕微鏡観察写真である。 熱硬化後の評価サンプルS1〜S4の導体上の絶縁層の断面の顕微鏡観察写真である。
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
(絶縁バスバーの構成)
図1は、本実施の形態の絶縁バスバーの構成を示す図である。図1(a)は、本実施の形態の絶縁バスバーの構成を示す上面図であり、図1(b)および図1(c)は、本実施の形態の絶縁バスバーの構成を示す断面図である。例えば、図1(b)および図1(c)は、それぞれ、図1(a)のA−A断面部、B−B断面部と対応する。
図1(a)〜図1(c)に示すように、絶縁バスバー10は、板状の導体(バスバー本体)1と、導体1上に設けられた絶縁層2と、を有する。また、絶縁バスバー10は、板状の導体(バスバー本体)1が露出した接続部1aを有する。この接続部1aには、例えば、螺子穴1bが設けられている。この接続部1a(螺子穴1b)において、被接続体の端子と接続され、被接続体と絶縁バスバー10が電気的に接続される。
なお、図1に示す絶縁バスバー10は、略コの字(角を有するU字状)であるが、絶縁バスバー10の形状は、種々の変形が可能である。例えば、複数の接続部1aを設けてもよく、また、被接続体の形状に合わせた屈曲部を有していても良い。絶縁バスバー10は、例えばインバーターやコンバーター等の電力変換装置内にて、各部位(被接続体)に連結され、電流を伝送する配線部材(絶縁被覆導体)として用いられる。
導体1は、金属などの導電性材料よりなる。導体としては、アルミニウムや銅などを用いることができる。特に、銅(Cu)を含有する金属導体(例えば、銅自体、銅とアルミニウムのクラッド材など)を用いることで、低抵抗で、電気伝導性が良好な絶縁バスバーとすることができる。
絶縁層2は、樹脂(塗料)よりなる。例えば、エポキシ、エポキシポリエステル、ポリエステル、フッ素樹脂などの熱硬化性樹脂よりなる。後述するように、この絶縁層2は、静電粉体塗装法を用いて導体1の表面(外周)に形成される。例えば、上記熱硬化性樹脂材を細かく砕いた粉体塗料を導体の表面に付着させ、この粉体塗料を熱硬化させることにより、絶縁層2を形成する。
(絶縁バスバーの製造方法)
次いで、絶縁バスバーの製造方法を説明するとともに、絶縁バスバーの構成をより明確にする。
図2は、本実施の形態の絶縁バスバーの製造工程を示す図である。まず、図2(a)に示す板状の導体1を準備する。この導体1は、銅製であり、コの字状に加工されている。また、導体1の端部には、螺子穴1bを有する接続部(1a)が設けられている。そして、この導体1は、エッジ部をラウンド加工及び面取り加工したものである(図1(c)参照)。このような加工により、エッジ部への電界集中を低減することができる。また、後述する静電粉体塗装において、粉体塗料の付き回りを向上させることができる。なお、銅の表面の酸化を防止するため、銅以外の金属によりその表面をメッキした導体を用いてもよい。メッキ材料としては、Sn、Niなどが挙げられる。
次いで、図2(b)に示すように、導体1の端部にマスキング処理を施す。即ち、導体1の螺子穴1bの近傍(接続部(1a))をマスキング材料3で覆う。マスキング材料3としては、ポリイミド、シリコン、綿布、ポリエステル等のテープ材を用いることができる。マスキング材料3としては、後述する予備加熱、熱硬化時の熱負荷に耐え得るものを選択する。例えば、マスキング材料3の耐熱温度としては、260℃以上のものを用いることが好ましい。
次いで、導体1を予備加熱装置100の内部に搬入し、常温(25℃)から第1温度まで昇温する。第1温度は、粉体塗料の熱硬化開始温度以上の温度であり、かつ、後述する静電粉体塗装後、熱硬化前の被膜の硬化度が10%以上となる温度である。後述する実施例においては、例えば、160℃を超え、かつ、260℃以下である。
次いで、予備加熱装置100から導体1を取り出し、図2(c)に示すように、静電粉体塗装を行う。この静電粉体塗装は、常温(25℃)で行う。即ち、スプレーガン20などの静電粉体塗装装置を用いて、導体1の表面に粉体塗料(以下、単に“粉体”とも言う)を付着させる。より具体的には、スプレーガン20に高電位を印加し、充填された粉体PPを帯電させ、粉体PPをアース(接地)された導体1に向けて噴出することで、導体1の表面に粉体PPを付着させる。このように、導体1をアースすることでプラスの電気を帯びた導体1に、マイナスの電気を帯びた粉体PPを静電気力により付着させる。このような静電粉体塗装によれば、導体1に直接粉体PPを付着させることができ、例えば、溶媒に溶かした塗料を吹き付ける方法より、厚い膜を形成することができ、また、膜の特性を向上させることができる。
粉体PPとしては、エポキシ、エポキシポリエステル、ポリエステル、フッ素樹脂などの熱硬化性樹脂を微細化したものを用いることができる。特に、絶縁層に耐熱性が要求される場合はエポキシ系粉体を用いることが望ましい。
ここで、本実施の形態においては、導体1が予備加熱されているため、図2(d)に示すように、導体1には、導体1の近傍に位置する粉体PPの熱硬化物よりなる第1膜2a1と、未硬化の粉体PPよりなる第2膜2a2とからなる被膜2aが形成される。未硬化の粉体PPよりなる第2膜2a2は、粉体PPの積層物や粉体PPの溶融物よりなる。そして、この被膜2aの硬化度は10%以上とすることが望ましい。
このような被膜2aを予め形成することにより、この後、未硬化の粉体PPよりなる第2膜2a2を熱硬化させても内部に、ボイドや空洞が少ない良好な絶縁層2を形成することができる。また、絶縁破壊耐圧の大きい良好な絶縁層2を形成することができる。
次いで、図2(e)に示すように、導体1を加熱装置200の内部に搬入し、導体1を第2温度まで加熱し、一定時間保持する。第2温度は、粉体塗料の熱硬化開始温度以上の温度である。この加熱により、未硬化の粉体PPよりなる第2膜2a2が熱硬化し、絶縁層2が形成される(図2(f)参照)。この際の加熱温度(第2温度)は、後述する実施例においては、180℃である。
この後、導体1の加熱を停止して温度を徐々に下げ、絶縁層2を冷却する。次いで、螺子穴1bの近傍(接続部(1a))を保護していたマスキング材料3を除去する。これにより、導体1を絶縁層2で覆った絶縁バスバーを形成することができる(図2(f))。絶縁層2の膜厚は、例えば、100μm〜200μm程度である。
このように、本実施の形態によれば、導体1を予め予備加熱し、導体1の近傍に位置する粉体PPの熱硬化物よりなる第1膜2a1と、未硬化の粉体PPよりなる第2膜2a2とからなる被膜2aを形成した後、第2膜2a2を熱硬化させることにより、ボイドや空洞が少ない良好な絶縁層2を形成することができる。また、絶縁破壊耐圧の大きい良好な絶縁層2を形成することができる。
これに対し、導体1に予備加熱を行わず、導体1の近傍に付着した粉体PPの積層物よりなる膜を直接加熱装置内で熱硬化した比較例の場合には、絶縁層2中にボイドや空洞が生じ、絶縁破壊耐圧が低下してしまう。図3は、比較例の絶縁バスバーの絶縁層の形成状態を模式的に示す図であり、図4は、本実施の形態の絶縁バスバーの絶縁層の形成状態を模式的に示す図である。
比較例の場合は、図3(a)に示すように、静電粉体塗装により導体1に粉体PPの積層物を付着させた後、加熱装置の内部に搬入し、加熱する(図3(b))。この場合、粉体PPの積層物の表面側(導体1と逆側)から熱が加わり、図3(c)に示すように、粉体PPの積層物の表面側が熱硬化する。ここで、粉体PPの積層物に取り込まれていた空気(air)は、加熱により粉体PPの積層物の表面側から放出されるものの、粉体PPの積層物の表面側の熱硬化が進むと、空気の放出量が少なくなり、硬化物に覆われた積層物中に取り込まれてしまい、ボイドBとなる(図3(d)、図3(e))。その結果、粉体PPが熱硬化した絶縁層2中にボイドが形成されてしまう(図3(f))。
これに対し、本実施の形態によれば、図4(a)に示すように、導体1に予め予備加熱処理が施されているため、静電粉体塗装された粉体PPが直ちに溶融(ML1)し、熱硬化(HL1)する(図4(b)〜図4(d))。この際、粉体PPの積層物に取り込まれていた空気(air)は、粉体PPの熱硬化物で閉じ込められることなく速やかに放出される。そして、この熱硬化物HL1の上にさらに、粉体PPが付着し(図4(e))、付着した粉体PPが溶融(ML2)し(図4(f))、熱硬化し、熱硬化物HLとなる(図4(g))。
その後、熱硬化物HL上に、付着した粉体PPは未硬化の状態(NHL)に留まる。即ち、粉体PPの溶融状態または粉体PPの積層物の状態になるに留まるようになり(図4(h))、静電粉体塗装の終了時点では、図4(i)に示すように、粉体PPの熱硬化部(HL)と、その上の未硬化部(NHL)との積層状態となる。別の言い方をすれば、導体1上の粉体PPの熱硬化物よりなる第1膜2a1と、未硬化の粉体PPよりなる第2膜2a2とからなる被膜2aが形成される。
このように、本実施の形態によれば、予備加熱により、導体1に付着した粉体PPが順次溶融、熱硬化するため、ボイドBの取り込みを低減することができる。また、被膜2aの表面は、未硬化の粉体PPの積層物よりなるため、内部の空気(air)の放出を阻害することがない。また、導体1側から粉体PPの熱硬化が進行するため、その後の、被膜2aの熱硬化処理においても、導体1と絶縁層2との界面におけるこれらの密着性が良くなり、絶縁層2の特性を向上させることができる。このように、ボイドや空洞のない、絶縁破壊耐圧の大きい良好な絶縁層を形成することができる。
なお、ボイドの部分においては、電子機器の使用時において、絶縁バスバーのボイドの部分では、樹脂などの有機物で満たされた部分の電界より高くなり、かつボイドの部分の絶縁破壊強度は有機物の破壊強度の1/10以下となる。このように、ボイドにより、絶縁層の特性が著しく低下してしまう。しかしながら、本実施の形態によれば、ボイドの取り込みを低減することができ、絶縁破壊耐圧を向上させることができる。
また、導体1を加熱する方法としては、加熱装置での加熱に限らず、導体1に大電流を通電しジュール熱で加熱する方法や、高周波電源とコイルにより誘導電流により加熱する方法、遠赤外線等により加熱する方法などを用いてもよい。
以下に、本実施の形態の実施例を説明する。以下の実施例は一例であって、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
コの字状の導体を準備し、以下のようにして導体の周囲に絶縁層を形成した(図2参照)。
導体材料としては、銅(タフピッチ銅)製のもので、幅20mm、厚さ2mm、エッジ部がR0.8mmにラウンド加工されたものを用いた。このような平角導体を、450mmの長さとなるように切断し、一辺が150mmになるようにコの字の形状に曲げた。導体の両端に位置する接続部にマスキング処理を施した。マスキング材としては耐熱温度260℃以上のものを用いた。
次いで、導体を熱風槽に入れ、予備加熱を行った。
予備加熱(第1加熱)を行った後、静電粉体塗装を行った。予備加熱された導体を熱風槽から取り出し、常温(25℃)の塗装ブースに搬送し、固定し、アース接続した。粉体塗装材料としては、熱硬化性のエポキシ系粉体を用いた。このエポキシ系粉体の熱硬化開始温度は、80℃程度であり、熱硬化完了温度は、190℃程度である。
スプレーガンを用い、導体の第1面について、一方の端部から他方の端部まで、コの字状の導体に沿ってエポキシ系粉体を噴出し、導体に被膜を形成した(導体をエポキシ系粉体でコートした)。次いで、導体の第2面について、一方の端部から他方の端部まで、コの字状の導体に沿ってエポキシ系粉体を噴出し、導体に被膜を形成した。
この後、再び、第1面について、同様のエポキシ系粉体でのコートを行い、さらに、第2面について、同様のエポキシ系粉体でのコートを行った。スプレーガンの動作条件は、電圧100kV、吐出量60g/minとした。また、導体へのエポキシ系粉体のコート量は、後述する熱硬化後の膜厚が、100〜200μm程度となる量であった。また、コート開始時から終了時までの時間は1分〜2分程度であり、コート終了時の導体の温度は、40℃〜50℃程度の低下に留まった。
このようにして、評価サンプルS0〜S7を得た。なお、評価サンプルS0は、予備加熱を行っていないものである。このような評価サンプルS0〜S7を複数部形成し、その一部については、後述する試験1を行った。また、残りの評価サンプルS0〜S7については、以下の処理を行った。
次いで、被膜が形成された導体(評価サンプルS0〜S7)に熱処理(本加熱、第2加熱)を施し、被膜中のエポキシ系粉体を熱硬化させた。ここでは、180℃、15分の熱処理を施し、導体の周囲に絶縁層を形成した。これにより、絶縁バスバーを形成した。
(試験)
(試験1;静電粉体塗装後、熱硬化前)
上記静電粉体塗装後、熱硬化前の評価サンプルS0〜S7について、導体上の被膜の断面を顕微鏡により観察した。
また、被膜の状態を数値化するために、導体から剥ぎ取った被膜に対し、DSCにより発熱量を求め下記数式により硬化度を求めた。
示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)は、一定の熱を与えながら、基準物質と評価サンプル(ここでは、被膜)の温度を測定して、評価サンプル(ここでは、被膜)の熱物性を温度差(発熱量差)等として測定するものである。
ここでは、基準物質として、エポキシ系粉体を用いることで、評価サンプル(ここでは、被膜)との発熱量の割合から熱硬化反応の程度、即ち、熱硬化度(単に、硬化度(硬化率)ともいう)を求めた。
熱硬化度の算出式を以下に示す。
(試験2;熱硬化後)
絶縁バスバー(評価サンプルS0〜S7)について、絶縁層の表面の外観を観察した。また、導体から絶縁層を剥離し、絶縁層の状態(剥離面のボイドや空洞)を観察した。また、熱硬化後の評価サンプルS0〜S7について、導体上の絶縁層の断面を顕微鏡により観察した。
また、絶縁バスバー(評価サンプルS0〜S7)について、水中破壊試験を行った。図5は、水中破壊試験の様子を示す図である。図5に示すように、絶縁バスバー10を水Wの中に浸漬し、水Wと絶縁バスバー10の接続部1a(導体1)との間に交流高電圧(V)を印加する。高電圧により絶縁層2が破壊し、水Wと導体1がショートする電圧(絶縁破壊電圧、絶縁耐圧)を測定した。
(結果)
(結果1;試験1(静電粉体塗装後、熱硬化前))
(顕微鏡観察)
評価サンプルS1〜S4の静電粉体塗装後、熱硬化前の被膜について顕微鏡観察を行ったところ、図6に示すとおりであった。なお、図中右側の図は、左側の写真を模写した図である。
(硬化度)
評価サンプルS0〜S7の静電粉体塗装後、熱硬化前の被膜について硬化度(%)を測定したところ、表1に示すとおりであった。
(結果2;試験2(熱硬化後))
熱硬化後の評価サンプルS1〜S4の導体上の絶縁層の断面を顕微鏡により観察したところ、図7に示すとおりであった。なお、図中右側の図は、左側の写真を模写した図である。
評価サンプルS0〜S7の熱硬化後の絶縁層について絶縁破壊電圧、絶縁層の外観、絶縁層の状態(剥離面のボイドや空洞)を調べたところ、表1に示すとおりであった。
(結果のまとめ)
予備加熱を行わなかったもの、予備加熱温度が140℃、160℃の評価サンプルS0〜S2については、絶縁破壊電圧が0kVのものがあり、絶縁破壊電圧が最高の物でも6kV程度であった(表1)。また、外観についても、表面のざらつき(肌荒れ)や、凸部、導体露出部が確認された。また、剥離した絶縁層において、剥離面に、多数のボイドや巨大な空洞Eが確認された(表1、図7の(S1)、(S2)参照)。よって、評価サンプルS0〜S2については、いずれの指標も不合格(×)であり、総合評価も不合格(×)であった。
一方、予備加熱温度が160℃を超える評価サンプルS3〜S7については、絶縁破壊電圧が10kVを超えるものが多数あり、少なくとも7kVの絶縁破壊電圧を確保することができた。
また、外観についても、表面のざらつき(肌荒れ)や、凸部、導体露出部などは、確認されず(異常なし)、良好であった。また、剥離した絶縁層において、剥離面に、微小なボイドは確認されるものの、その数が少なく、また、巨大な空洞は確認されなかった(図7)。よって、評価サンプルS3〜S7については、いずれの指標も合格(○)であり、総合評価も合格(○)であった。
良好な特性が得られた評価サンプルS3〜S7について、静電粉体塗装後、熱硬化前の硬化度(%)は、10%以上であった。これに対し、不合格の評価サンプルS0〜S2について、静電粉体塗装後、熱硬化前の硬化度(%)は、10%未満であった。
また、図6に示す評価サンプルS1〜S4の被膜の断面写真から、静電粉体塗装後、熱硬化前の状態において被膜2aは、導体近傍に位置する硬化物よりなる第1膜2a1と、未硬化の粉体よりなる第2膜2a2の積層膜(複合膜、複合被膜)となっていることが分かる。
そして、予備加熱温度が140℃から200℃に上昇するにしたがって、硬化物よりなる第1膜の膜厚が大きくなる傾向にあることが伺える。また、この傾向は、表1に示す硬化度(%)からも明らかである。このように、上記硬化度(%)の測定結果から、10%以上の硬化度となるように予備加熱することが好ましいことが分かる。
以上の結果から、次のことが考察される。
評価サンプルS1、S2については、静電塗装時に粉体が付着・溶融するが、硬化している粉体(樹脂)の割合が極めて小さく、また、導体1と絶縁層2との界面におけるこれらの密着性が悪く、熱硬化時に外表面の硬化した樹脂に向かって内部の溶融樹脂が流動し、大きな空洞Eが生じると考えられる(図7の(S1)、(S2)参照)。
これに対し、前述したように、被膜の硬化度を10%以上とした場合、絶縁層中に大きなボイドは観測されず、もしくは、観測されても微小なボイドに留まる。また、絶縁破壊電圧も高い水準で安定する。これは、予備加熱により導体に付着した粉体が導体側から順次硬化し、ボイドの発生を抑制するとともに、その硬化度が10%程度と大きくなると、硬化層と導体との化学的な結合の強化により密着性が高まり、また、かつ未硬化の部分が少ないために熱硬化の工程においても溶融樹脂が流動することがなく大きな空洞の発生を抑制できたものと考えられる。
(実施例2)
コの字状の導体を準備し、実施例1と同様にして導体の周囲に絶縁層を形成した(図2参照)。本実施例では、予備加熱温度を280℃とした。
本実施例の静電粉体塗装後、熱硬化前の評価サンプルについて、導体から剥ぎ取った被膜の硬化度を求めたところ70%であった。
また、熱硬化後の評価サンプルについて絶縁破壊電圧を調べたところ、絶縁破壊電圧の最低値が2kVのものが見られた。なお、絶縁破壊電圧が最高値は10kV以上であった。
このように、予備加熱温度を280℃以上となると、粉体PPが直ちに硬化し、その表面が粉体の表面形状を反映し凹凸が大きくなり、さらに、その凹凸状に粉体PPが積層され、さらにその表面の凹凸が大きくなるため、絶縁破壊電圧の低下が見られたと考えられる。
このため、予備加熱温度としては、280℃未満が好ましく、また、被膜の硬化度としては70%未満が好ましい。
本発明は上記実施の形態または実施例に限定されるものでなく、その趣旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
1 導体
1a 接続部
1b 螺子穴
2 絶縁層
2a 被膜
2a1 第1膜
2a2 第2膜
3 マスキング材料
10 絶縁バスバー
20 スプレーガン
100 予備加熱装置
200 加熱装置
air 空気
B ボイド
E 大きな空洞
HL 熱硬化物(熱硬化部)
HL1 熱硬化物(熱硬化部)
ML1 溶融部
ML2 溶融部
NHL 未硬化部
PP 粉体
V 交流高電圧
W 水

Claims (9)

  1. (a)導体を第1温度に加熱した状態で、前記導体の外周に粉体塗料を塗布することにより、前記粉体塗料の硬化物を含む被膜を形成する工程と、
    (b)前記被膜が形成された導体に第2温度で熱処理を施すことにより、前記粉体塗料の硬化物よりなる絶縁層を形成する工程と、
    を有し、
    前記(a)工程の後、前記(b)工程の前において、前記被膜の硬化度が10%以上70%未満である、絶縁バスバーの製造方法。
  2. 請求項1記載の絶縁バスバーの製造方法において、
    前記(a)工程の後の前記被膜は、前記導体近傍に位置する前記硬化物よりなる第1膜と、未硬化の前記粉体塗料よりなる第2膜とからなる、絶縁バスバーの製造方法。
  3. 請求項1記載の絶縁バスバーの製造方法において、
    前記第1温度および前記第2温度は、前記粉体塗料の熱硬化開始温度以上の温度である、絶縁バスバーの製造方法。
  4. 請求項3記載の絶縁バスバーの製造方法において、
    前記第1温度は、前記第2温度より高い、絶縁バスバーの製造方法。
  5. 請求項1記載の絶縁バスバーの製造方法において、
    前記導体は、板状の金属導体である、絶縁バスバーの製造方法。
  6. 請求項5記載の絶縁バスバーの製造方法において、
    前記導体は、Cuを含有する金属導体である、絶縁バスバーの製造方法。
  7. 請求項6記載の絶縁バスバーの製造方法において、
    前記粉体塗料は、熱硬化性樹脂を含有する、絶縁バスバーの製造方法。
  8. 請求項7記載の絶縁バスバーの製造方法において、
    前記粉体塗料は、エポキシ樹脂を含有する、絶縁バスバーの製造方法。
  9. 請求項8記載の絶縁バスバーの製造方法において、
    前記絶縁層の絶縁耐圧は、2kV以上である、絶縁バスバーの製造方法。
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