JPH11203944A - 導電性接続具及び導電性接続具の塗膜形成方法 - Google Patents

導電性接続具及び導電性接続具の塗膜形成方法

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JPH11203944A
JPH11203944A JP707898A JP707898A JPH11203944A JP H11203944 A JPH11203944 A JP H11203944A JP 707898 A JP707898 A JP 707898A JP 707898 A JP707898 A JP 707898A JP H11203944 A JPH11203944 A JP H11203944A
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澄典 石川
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一昭 佐野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化に起因する塗膜のクラックを防止す
る。 【解決手段】 塗装前のバスバー(導電性接続具)10
の被塗面14には鋼球を吹き付けるブラスト処理が施さ
れ、これにより被塗面14は平滑化されている。したが
って、金属製のバスバー10と樹脂製の塗膜15との間
で温度変化に伴う伸縮量に差があっても、塗膜15がバ
スバー10によって面方向に引っ張られたり圧縮された
りする虞がない。したがって、塗膜15のクラック発生
が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性接続具及び
導電性接続具の塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】導電路を構成するバスバー(導電性接続
具)が別の導電路の近くに配置される場合には、そのバ
スバーの表面に絶縁性樹脂からなる塗料を塗布し、双方
の導電路間の絶縁状態を保つことが行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように塗装が施
されたバスバーが温度変化の激しい環境下で使用される
場合、次のような問題が生じる。即ち、金属製のバスバ
ーと樹脂製の塗膜とは熱膨張率が異なり、バスバーの伸
縮量に比べると塗膜の伸縮量は小さいという事情があ
る。そのため、伸縮する際にバスバーが塗膜を面方向に
引っ張ったり圧縮したりして、その結果塗膜にクラック
が発生するのである。本願発明は上記事情に鑑みて創案
され、温度変化に起因する塗料のクラックを防止するこ
とを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、導電
性金属材料からなる導電性接続具の表面のうち相手側接
続部材との接続部を除いた領域に、その導電性接続具を
取り囲むようにして絶縁性樹脂材料からなる塗膜を形成
する導電性接続具の塗膜形成方法であって、塗装前の被
塗面に対してブラスト処理を施すことでその被塗面を平
滑にする構成とした。請求項2の発明は、導電性金属材
料からなり、表面のうちの相手側接続部材との接続部を
除いた領域に絶縁性樹脂材料からなる塗膜が取り囲むよ
うに形成されている導電性接続具であって、塗装前の被
塗面にブラスト処理を施すことでその被塗面が平滑化さ
れている構成とした。
【0005】
【発明の作用及び効果】<請求項1及び請求項2の発明
>導電性接続具の被塗面にブラスト処理を施すと、微小
径の粒体が吹き付けられることよってその被塗面が平滑
化され、塗膜との密着性が低下する。尚、密着性が低下
しても、塗膜は導電性接続具を取り囲むように形成され
ているので、塗膜が導電性接続具から剥がれる虞はな
い。金属製の導電性接続具と樹脂製の塗膜との間では温
度変化に伴う伸縮量に差があるが、本願発明では、被塗
面の平滑化により導電性接続具と塗膜との間での滑りを
可能としているので、塗膜が導電性接続具によって面方
向に引っ張られたり圧縮されたりする虞がなく、これに
より塗膜のクラック発生が防止される。
【0006】
【発明の実施の形態】<実施形態1>以下、本発明を具
体化した実施形態1を図1乃至図3を参照して説明す
る。本実施形態のバスバー(本発明の構成要件である導
電性接続具)10は、銅材(C1020P)をプレスに
より所定形状に打ち抜くとともに曲げ加工を施して成形
され、細長い板状をなす連結部11と、この連結部11
の一端(図1における右上端)から上方に立ち上がる第
1の接続部12と、連結部11の他端(図1における左
下端)からL字形に延出する第2の接続部13とからな
る。第1の接続部12と第2の接続部13には、夫々、
取付孔12H,13Hが形成され、この取付孔12H,
13Hにボルト(図示せず)を貫通させて(図示せず)
ナットを締め付けることにより両接続部が相手側部材に
接続される。かかるバスバー10の表面のうち両接続部
12,13を除いた領域(以下、被塗面14という)に
は、絶縁性のエポキシ樹脂系の塗料からなる塗膜15
が、バスバー10を全周に亘って筒状に取り囲むように
形成されている。
【0007】次に、バスバー10に塗膜15を形成する
工程について説明する。塗装前の表面処理工程として、
バスバー10の表面の油や汚れを除去するための脱脂洗
浄、防錆用のメッキ処理、バスバー10の表面特に被塗
面14を平滑化するためのブラスト処理を順に行う。ブ
ラスト処理として、本実施形態では、粒径が0.3〜
0.4mmの多数個の鋼球を3〜4分間バスバー10の
表面に吹き付ける。このブラスト処理により、被塗面1
4のうちの平坦な領域では、細かい凹凸(図示せず)が
あってもその凸部が鋼球の衝突により凹部と同じ高さに
潰されることにより平滑度が高められる。また、角部に
おいては、プレスの際にバリ(図示せず)が発生してい
る場合にはそのバリは鋼球の衝突により潰され又は折ら
れて除去され、バリが発生していない領域では鋭いエッ
ジの尖端が鋼球により潰される。その結果、角部は、僅
かに面取りされたようになり、長手方向において滑らか
に連続するとともに、上記平坦面とも滑らかに連なるよ
うになる。
【0008】表面処理が済んだ後は、両接続部12,1
3の先端側部分をテーピングによりマスキングし、熱風
循環炉にて300℃で20分間予備加熱し、静電粉体塗
装法によりバスバー10の被塗面14に塗料を塗着させ
る。本実施形態では、塗料として、住友スリーエム株式
会社3M製の「スコッチキャスト(登録商標) 粉体レ
ジンNo.260」を用いた。塗料を塗着させた後は、
乾燥させずに、熱風循環炉にて150℃で30分間後加
熱し、塗料15を熱硬化させる。以上により、バスバー
10の表面のうち、接続部12,13を除いた被塗面1
4のみに絶縁性の塗膜15が形成される。本実施形態で
は、塗膜15の厚さは0.345〜0.680mmとな
っている。
【0009】上記のようにブラスト処理を施した本実施
形態のバスバー10とブラスト処理を施さないバスバー
(図示せず)についてサーマルショック試験を行ったと
ころ、次のような結果が得られた。サーマルショック試
験では、120℃の雰囲気中と40℃の雰囲気中に夫々
30分間ずつ曝すことを1サイクルとし、これを500
サイクル繰り返した。その結果、ブラスト処理を施して
いないバスバーでは塗膜にクラックが発生したが、ブラ
スト処理を施した本実施形態のバスバー10の塗膜には
クラックが発生しなかった。
【0010】上述のように、本実施形態のバスバー10
は塗装前の被塗面14にバリや細かい凹凸等があっても
ブラスト処理を施すことによりその被塗面14を平滑化
しているので、バスバー10と塗膜15との間では面方
向の引っ掛かりが殆どない状態、即ち密着性が低い状態
とされている。したがって、温度が変化した際に、熱膨
張率の高い金属製のバスバー10と熱膨張率の低い樹脂
製の塗膜15との間で面方向の伸縮量、特に連結部11
の長手方向の伸縮量に差が生じるという事情があって
も、塗膜15がバスバー10によって面方向に引っ張ら
れたり圧縮されたりする虞はない。これにより、塗膜1
5にクラックが発生し難くなっている。そして、このク
ラックの発生し難さは、上記のサーマルショック試験に
よって実証されている。尚、連結部11の幅方向におけ
る伸縮量の差については、連結部11の幅寸法が比較的
小さいため、伸縮量の差は塗膜15にクラックを発生さ
せる程には大きくない。
【0011】なお、被塗面14を平滑化して塗膜15と
の密着性を低下させたことで、塗膜15の剥がれやズレ
の発生が懸念されるが、本実施形態では塗膜15がバス
バー10を全周に亘って取り囲むように筒状に形成され
ているので、塗膜15の剥がれの虞はなく、また、塗膜
15の幅方向へのズレの虞もない。さらに、塗膜15
は、連結部11だけでなくその両端の屈曲した接続部1
2,13の基端部にも連なって形成されているので、連
結部11の長手方向においても塗膜15がズレを生じる
虞はない。
【0012】<他の実施形態>本発明は上記記述及び図
面によって説明した実施形態に限定されるものではな
く、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に
含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内
で種々変更して実施することができる。 (1)上記実施形態ではブラスト処理において直径0.
3〜0.4mmの鋼球を3〜4分間被塗面に吹き付ける
場合について説明したが、本発明によれば、粒体として
鋼球以外の金属球体や非金属材料の粒体を用いてもよ
く、また、その直径も上記実施形態以外の寸法としても
よく、さらに、吹き付けの時間も上記実施形態以外の時
間としてもよい。
【0013】(2)上記実施形態ではバスバーが銅材
(C1020P)である場合について説明したが、本発
明は、バスバーが銅以外の導電性材料である場合にも適
用することができる。 (3)上記実施形態では塗料がエポキシ樹脂製である場
合について説明したが、本発明は、塗料がエポキシ樹脂
以外の絶縁性樹脂からなる場合にも適用することができ
る。 (4)上記実施形態では塗膜がバスバーの全周に亘って
筒状に取り囲む形態で形成されている場合に対して説明
したが、本発明によれば、図4に示すように塗膜15を
概ね断面C字形の領域のみに形成してもよい。 (5)上記実施形態では導電性接続具がバスバーとして
用いられる場合について説明したが、本発明は、導電性
接続具がバスバー以外の場合にも適用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のバスバーの斜視図
【図2】実施形態1のバスバーの部分拡大断面図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】他の実施形態の部分拡大断面図
【符号の説明】
10…バスバー(導電性接続具) 14…被塗面 15…塗膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01R 43/16 H01R 43/16 (72)発明者 佐野 一昭 愛知県名古屋市南区菊住一丁目7番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性金属材料からなる導電性接続具の
    表面のうち相手側接続部材との接続部を除いた領域に、
    その導電性接続具を取り囲むようにして絶縁性樹脂材料
    からなる塗膜を形成する導電性接続具の塗膜形成方法で
    あって、 塗装前の被塗面に対してブラスト処理を施すことでその
    被塗面を平滑にすることを特徴とする導電性接続具の塗
    膜形成方法。
  2. 【請求項2】 導電性金属材料からなり、表面のうちの
    相手側接続部材との接続部を除いた領域に絶縁性樹脂材
    料からなる塗膜が取り囲むように形成されている導電性
    接続具であって、 塗装前の被塗面にブラスト処理を施すことでその被塗面
    が平滑化されていることを特徴とする導電性接続具。
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