JP2020033450A - 電子線硬化性樹脂組成物、繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性に優れるとともに、繊維強化複合材料におけるマトリックス樹脂としたときには強化繊維との界面せん断強度を十分に得ることができ、なおかつ短時間の成形が可能な電子線硬化性樹脂組成物、並びに、それを用いた繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法を提供すること。【解決手段】 電子線硬化性樹脂組成物は、強化繊維基材とマトリックス樹脂とを含む繊維強化複合材料のマトリックス樹脂の形成に用いられる樹脂組成物であって、(A)橋かけ環構造を有する脂環式炭化水素骨格及びアクリロイル基を有するアクリレートと、(B)芳香環構造及び2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートとを含む。【選択図】なし
Description
本発明は、電子線硬化性樹脂組成物、繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法に関する。
強化繊維及びマトリックス樹脂から構成される繊維強化複合材料は、機械的強度、剛性及び耐衝撃性などの機械特性に優れることから、ラケット及びゴルフシャフトなどのスポーツ用部材、自動車用部材並びに航空機用構造材料等の様々な用途に利用されている。
通常、マトリックス樹脂の形成には硬化性の樹脂組成物が用いられている。硬化性樹脂組成物としては機械的強度に優れる繊維強化複合材料を得る観点から熱硬化性樹脂組成物が用いられていることが多い(例えば、下記特許文献1を参照)。しかし、熱硬化性樹脂組成物を用いてマトリックス樹脂を形成する場合、硬化温度まで昇温する時間、樹脂組成物を十分に硬化させるための加熱時間、硬化物を型から取り出し可能な温度まで冷却する時間等の成形に要する時間が長く、生産性を高めにくい。
生産性を高めるために、エネルギー線の照射によって樹脂組成物を硬化させることで硬化に要する時間を短縮することが検討されている。例えば、下記特許文献2には、強化繊維に所定のラジカル重合性樹脂組成物を含浸させたプリプレグに紫外線を照射して成形体を製造する方法が提案されている。また、下記特許文献3には、強化繊維材料と、所定のラジカル反応性樹脂を含有する樹脂組成物とが含まれる繊維強化樹脂複合材料製造用組成物を、電離放射線の照射によって硬化させて、繊維強化樹脂複合材料を製造する方法が提案されている。
航空機及び車両等のように高い水準の物性値が要求される分野では、更に高水準の耐熱性が求められている。耐熱性の向上には、樹脂硬化物に芳香環構造を導入することが考えられる。しかし、芳香環構造を有するモノマーが含まれる樹脂組成物を繊維上で電子線照射により硬化させると、十分な界面せん断強度が得られない場合があることが本発明者らの検討により判明した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れるとともに、繊維強化複合材料におけるマトリックス樹脂としたときには強化繊維との界面せん断強度を十分に得ることができ、なおかつ短時間の成形が可能な電子線硬化性樹脂組成物、並びに、それを用いた繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の2種類のアクリレートを組み合わせて配合した樹脂組成物が、電子線の照射によって高いTgを有する樹脂硬化物を形成できるとともに、複合材料界面特性評価において十分な界面せん断強度を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一側面は、強化繊維基材とマトリックス樹脂とを含む繊維強化複合材料の前記マトリックス樹脂の形成に用いられる樹脂組成物であって、(A)橋かけ環構造を有する脂環式炭化水素骨格及びアクリロイル基を有するアクリレートと、(B)芳香環構造及び2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートとを含む電子線硬化性樹脂組成物に関する。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物は、耐熱性に優れるとともに、繊維強化複合材料におけるマトリックス樹脂としたときには強化繊維との界面せん断強度を十分に得ることができ、なおかつ短時間の成形が可能である。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物において、耐熱性と界面せん断強度とを高水準で両立させる観点から、上記(A)成分の含有量が、樹脂組成物の全量を基準として、10〜50質量%であり、上記(B)成分の含有量が、樹脂組成物の全量を基準として、40〜90質量%であることが好ましい。
本発明の別の一側面は、強化繊維基材とマトリックス樹脂とを含み、マトリックス樹脂が、上記本発明に係る電子線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む繊維強化複合材料に関する。
本発明の繊維強化複合材料は、短時間での成形が可能であるとともに、耐熱性及び機械的強度に優れたものになり得る。
本発明の更に別の一側面は、強化繊維基材に含浸させた上記本発明に係る電子線硬化性樹脂組成物を電子線の照射により硬化する工程を備える繊維強化複合材料の製造方法に関する。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法によれば、耐熱性及び機械的強度に優れた繊維強化複合材料を生産性よく製造することができる。
本発明によれば、耐熱性に優れるとともに、繊維強化複合材料におけるマトリックス樹脂としたときには強化繊維との界面せん断強度を十分に得ることができ、なおかつ短時間の成形が可能な電子線硬化性樹脂組成物、並びに、それを用いた繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な一実施形態について説明する。
本実施形態に係る電子線硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう)は、(A)橋かけ環構造及びアクリロイル基を有するアクリレート(以下、(A)成分ともいう)と、(B)芳香環構造及び2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート(以下、(B)成分ともいう)とを含む。
本実施形態の樹脂組成物は、強化繊維基材とマトリックス樹脂とを含む繊維強化複合材料のマトリックス樹脂の形成に用いることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物に含まれる(A)成分について以下に詳述する。
(A)成分としては、橋かけ環構造を有する脂環式炭化水素骨格を少なくとも1個と、アクリロイル基を少なくとも1個と有するアクリレートを挙げることができる。
橋かけ環構造を有する脂環式炭化水素骨格としては、例えば、イソボルニル、ノルボルナン、ノルボルネン、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、アダマンチル等における炭素水素骨格を挙げることができる。
橋かけ環構造を有する脂環式炭化水素骨格は、1価の基又は2価以上の基として含まれていてもよい。また、これらの基の結合手の位置については特に限定されない。
(A)成分が有する上記骨格の個数は、化合物の入手容易性の観点から、1〜3個であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
(A)成分が有するアクリロイル基の個数は、反応制御の観点から、3個以下であることが好ましく、硬化時の反応性の観点から、1又は2個であることが好ましく、得られる繊維強化複合材料の耐熱性向上の観点から、2個であることが更に好ましい。
(A)成分としては、例えば、イソボルニルアクリレート;ノルボルナンアクリレート、ノルボルナンジアクリレート;ノルボルネンアクリレート、ノルボルネンジアクリレート、5−ノルボルネン−2−メチロールアクリレート;ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート;ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート;3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、1,5−アダマンチルジアクリレート、3−ヒドロキシ−1,5−アダマンチルジアクリレート、アダマンチルトリアクリレート等を挙げることができる。得られる繊維強化複合材料の耐熱性向上の観点から、イソボルニルアクリレート及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレートが好ましい。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、本実施形態に係る樹脂組成物に含まれる(B)成分について以下に詳述する。
(B)成分としては、芳香環構造を少なくとも1個、及びアクリロイル基を2個以上有する多官能アクリレートを挙げることができる。
芳香環構造としては、例えば、ベンゼン環骨格、ビフェニル骨格及びフルオレン骨格等の芳香族炭化水素における炭素骨格、並びに、ビスフェノール骨格(ビスフェノール類の化合物からOHを除いた基)が挙げられる。芳香環構造は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性及び機械的強度を一層向上させる観点から、ジフェニルメタン骨格及びフルオレン骨格であることが好ましい。上記の炭素骨格は炭化水素基等の置換基を有していてもよい。
芳香環構造は、1価の基又は2価以上の基として含まれていてもよい。また、これらの基の結合手の位置については特に限定されない。
(B)成分が有する芳香環構造の個数は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性及び機械的強度を向上させる観点から、1又は2個であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
(B)成分が有するアクリロイル基の個数は、反応制御の観点から、3個以下であることが好ましく、硬化時の反応性、並びに得られる繊維強化複合材料の耐熱性及び機械的強度を一層向上させる観点から、2個であることがより好ましい。
(B)成分が芳香環構造としてベンゼン環骨格を有する場合、そのような(B)成分としては、例えば、下記一般式(B−1)で表されるジアクリレート(以下、化合物(B−1)ともいう)等が挙げられる。
R11及びR12の炭素数は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性向上の観点から、2又は3であることが好ましい。
n1及びm1は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性の耐熱性向上の観点から、1〜6の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましい。
(B)成分が芳香環構造としてビフェニル骨格を有する場合、そのような(B)成分としては、例えば、下記一般式(B−2)で表されるジアクリレート(以下、化合物(B−2)ともいう)等が挙げられる。
R21及びR22の炭素数は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性向上の観点から、2又は3であることが好ましい。
n2及びm2は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性向上の観点から、1〜6の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましい。
(B)成分が芳香環構造としてビスフェノール骨格を有する場合、そのような(B)成分としては、例えば、下記一般式(B−3)表されるジアクリレート及び下記式(B−4)で表されるジアクリレート(以下、それぞれ、化合物(B−3)及び化合物(B−4)ともいう)等が挙げられる。
[式(B−3)中、R31及びR32はそれぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基を示し、n3及びm3はそれぞれ独立に0〜10の整数を示し、Y3は−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−SO2−、−O−又は−S−を示す。]
R31及びR32の炭素数は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性向上の観点から、2又は3であることが好ましい。
n3及びm3は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性向上の観点から、1〜6の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましい。
Y3は、得られる繊維強化複合材料の機械的強度及び耐熱性を向上させる観点から、−C(CH3)2−又は−SO2−であることが好ましい。
n4は、得られる繊維強化複合材料の機械的強度向上の観点から、1又は2の整数であることが好ましい。
Y4は、得られる繊維強化複合材料の機械的強度向上の観点から、−C(CH3)2−又は−SO2−であることが好ましい。
上記一般式(B−3)で表されるジアクリレートとしては、例えば、下記一般式(b−1)で表されるビスフェノールAエチレンオキサイド(4モル)付加物のジアクリレート(以下、化合物(b−1)ともいう)等が挙げられる。
上記一般式(B−4)で表されるジアクリレートとしては、例えば、下記一般式(b−2)で表される化合物(以下、化合物(b−2)ともいう)等が挙げられる。
化合物(b−2)は、市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば、ビスコート#540(大阪有機化学株式会社製、製品名)等が挙げられる。
(B)成分が芳香環構造としてフルオレン骨格を有する場合、そのような(B)成分としては、例えば、下記一般式(B−5)で表されるジアクリレート(以下、化合物(B−5)ともいう)等が挙げられる。
R51及びR52の炭素数は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性向上の観点から、それぞれ2又は3であることが好ましい。
n5及びm5は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性向上の観点から、それぞれ1〜6の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましい。
Z51及びZ52における芳香族炭素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環等が挙げられる。化合物の入手容易性の観点から、Z51及びZ52における芳香族炭素環は、それぞれベンゼン環であることが好ましい。
上記一般式(B−5)で表されるジアクリレートとしては、例えば、下記式(b−3)で表される9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下、化合物(b−3)ともいう)等が挙げられる。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。得られる繊維強化複合材料の機械的強度及び耐熱性を向上させる観点から、(B)成分は2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
(B)成分を2種以上組み合わせて用いる場合、その組み合わせとしては、例えば、化合物(B−1)と化合物(B−2)との組み合わせ、化合物(B−1)と化合物(B−3)との組み合わせ、化合物(B−1)と化合物(B−4)との組み合わせ、化合物(B−1)と化合物(B−5)との組み合わせ、化合物(B−2)と化合物(B−3)との組み合わせ、化合物(B−2)と化合物(B−4)との組み合わせ、化合物(B−2)と化合物(B−5)との組み合わせ、化合物(B−3)と化合物(B−4)との組み合わせ、化合物(B−3)と化合物(B−5)との組み合わせ、及び化合物(B−4)と化合物(B−5)との組み合わせ等が挙げられる。得られる繊維強化複合材料の耐熱性及び機械的強度が一層向上することから、化合物(B−3)と化合物(B−5)との組み合わせ、及び化合物(B−4)と化合物(B−5)との組み合わせが好ましく、化合物(B−4)と化合物(B−5)との組み合わせがより好ましい。
より具体的な(B)成分の組み合わせとしては、例えば、化合物(b−1)と化合物(b−2)との組み合わせ、化合物(b−1)と化合物(b−3)との組み合わせ、及び化合物(b−2)と化合物(b−3)との組み合わせ等が挙げられる。得られる繊維強化複合材料の耐熱性及び機械的強度が一層向上することから、化合物(b−1)と化合物(b−2)との組み合わせ、及び化合物(b−2)と化合物(b−3)との組み合わせが好ましく、化合物(b−2)と化合物(b−3)との組み合わせがより好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分以外の、(C)アクリロイル基を3個以上有するアクリレート(以下、(C)成分ともいう)を更に含んでいてもよい。
(C)成分としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有するアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のジペンタエリスリトール骨格を有するアクリレート、プロピオン酸変性トリペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、及びトリペンタエリスリトールオクタアクリレート等のトリペンタエリスリトール骨格を有するアクリレート、テトラペンタエリスリトールペンタアクリレート、テトラペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラペンタエリスリトールヘプタアクリレート、テトラペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールノナアクリレート、テトラペンタエリスリトールノナアクリレート、及びテトラペンタエリスリトールデカアクリレート等のテトラペンタエリスリトール骨格を有するアクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカアクリレート及びペンタペンタエリスリトールドデカアクリレート等のペンタペンタエリスリトール骨格を有するアクリレート、並びにこれらのエチレンオキサイド(EO)付加物及びプロピレンオキサイド(PO)付加物等が挙げられる。
(C)成分は、ペンタエリスリトール骨格を有するアクリレートであることが好ましい。この場合、得られる繊維強化複合材料の耐熱性が一層向上し、かつ、硬化後の樹脂の架橋密度が増大するため機械的強度にも一層優れる。
ペンタエリスリトール骨格を有するアクリレートとしては、下記式(c−1)で表されるペンタエリスリトールトリアクリレート及び下記式(c−2)で表されるペンタエリスリトールテトラアクリレートであることが好ましい。この場合、得られる繊維強化複合材料の耐熱性が一層向上し、かつ、硬化後の樹脂の架橋密度が増大するため機械的強度にも一層優れる。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、フィラー、可塑剤、硬化助剤、希釈剤等を更に含んでいてもよい。
フィラーとしては、無機質フィラー、有機質フィラーが挙げられ、強度向上の観点から無機質フィラーが好ましい。無機質フィラーとしては、ジルコニア、チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、ガラス粉、シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、セメント等が挙げられ、難燃性付与の観点から水酸化アルミニウムが好ましい。これらのフィラーは、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
可塑剤としては、耐衝撃性能向上、クラック抑制、硬化収縮抑制の観点から、フタル酸エステルやエラストマーが好ましい。エラストマーとしては、天然ゴム、合成ゴム等の加硫ゴム;ウレタンゴム、シリコーンゴム等の熱硬化性樹脂系ゴム;スチレン系、オレフィン系、塩ビ系等の熱可塑性樹脂系ゴムが挙げられる。これらの可塑剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
硬化助剤としては、硬化率の向上、強度・耐衝撃性の向上の観点から、ラジカル系光重合開始剤、ラジカル系可視光重合開始剤、ラジカル系熱重合開始剤が好ましい。
ラジカル系光重合開始剤としては、紫外線領域から近赤外領域に感光性を有する公知のものが挙げられる。具体的には、ベンゾイン類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ベンゾフェノン類等が挙げられ、ベンゾイン類としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等の誘導体が挙げられる。アセトフェノン類としては、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等の誘導体が挙げられる。アントラキノン類としては、2−メチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン等の誘導体が挙げられる。チオキサントン類としては、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等の誘導体が挙げられる。ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン等の誘導体が挙げられる。その他としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等の公知のラジカル系光重合開始剤が挙げられる。
ラジカル系可視光重合開始剤としては、380〜780nmの波長域に感光性を有するものが挙げられる。具体的には、カンファーキノン、ベンジル、トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、メチルチオキサントン、ビスペンタジエニルチタニウム−ジ(ペンタフルオロフェニル)(山岡ら、「表面」、27(7)、548(1989)、佐藤ら、「第3回ポリマー材料フォーラム要旨集」、1BP18(1994))が挙げられ、有機過酸化物触媒/色素系、ジフェニルヨードニウム塩/色素、ビイミダゾール/ケト化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物/水素供与性化合物、メルカプトベンゾチアゾール/チオピリリウム塩、金属アレーン/シアニン色素、ヘキサアリールビイミダゾール/ラジカル発生剤(特公昭45−37377号公報)等の公知の複合開始剤系を挙げられる。
ラジカル系熱重合開始剤としては、公知の有機過酸化物やアゾ化合物が挙げられる。有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートが挙げられる。これら硬化助剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本実施形態の樹脂組成物においては、樹脂組成物の貯蔵安定性が低下しにくくなり、ポットライフの発生を防止できるとの観点から、硬化助剤を含まないことが好ましい。
希釈剤としては、樹脂組成物の低粘度化による操作性改良とボイド(気泡)の軽減、樹脂組成物との相溶性の観点から、ラジカル重合性希釈剤が好ましく、例えば、スチレンモノマー類、ジエン類、アクリルモノマー類、ビニル化合物等を挙げることができる。このような希釈剤の粘度は、樹脂組成物の粘度を低下させる観点から、25℃で10000mPa・s以下が好ましく、5000mPa・s以下がより好ましい。
スチレンモノマー類としては、スチレン、スチレンのアルキル、ニトロ、シアノ、ハロゲン等の各誘導体、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
ジエン類としては、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
アクリルモノマー類としては、炭素数1〜18の分岐又は直鎖のアルキル基を有するアクリル酸、炭素数5〜10の二環系炭化水素基を有するアクリル酸、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有するアクリル酸、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有するアクリル酸のAO付加物(AOはアルキレンオキシを意味する。以下同様)、アクリル酸アリル、アクリル酸プロパギル、アクリル酸ピペロニル、アクリル酸サリチル、アクリル酸フリル、アクリル酸フルフリル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ピラニル、アクリル酸フェネチル、アクリル酸クレジル、アクリル酸トリフェニルメチル、アクリル酸クミル、アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸トリシクロデカンジオール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン(AO0〜15付加物)、トリアクリル酸ペンタエリスリトール(AO0〜15付加物)、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール(AO0〜20付加物)、テトラアクリル酸ジトリメチロールプロパン(AO0〜20付加物)、ヘキサアクリル酸ジペンタエリスリトール(AO0〜30付加物)、アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、アクリル酸パーフルオルエチル、アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、アクリル酸パーフルオロ−i−プロピル等のアクリル酸エステル類;アクリル酸アミド、アクリル酸N,N−ジメチルアミド、アクリル酸N,N−ジエチルアミド、アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、アクリル酸N,N−ジ−i−プロピルアミド、アクリル酸アントラセニルアミド等のアクリル酸アミド;アクリル酸アニリド、アクリロイルニトリル、アクロレイン等が挙げられる。
ビニル化合物としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等が挙げられ、その他、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどのモノマレイミド化合物、N−アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。中でも本実施形態に係る樹脂組成物との相容性、蒸気圧、皮膚刺激、樹脂組成物の低粘度化の観点からアクリル酸ベンジル(AO0〜5付加物)、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸トリシクロデカンジオール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン(AO0〜5付加物)、トリアクリル酸ペンタエリスリトール(AO0〜5付加物)、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール(AO0〜5付加物)、テトラアクリル酸ジトリメチロールプロパン、ヘキサアクリル酸ジペンタエリスリトール、スチレンが好ましい。希釈剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、樹脂組成物における(A)成分の含有量は、樹脂組成物の全量を基準として、10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることが好ましい。(A)成分の含有量が10質量%以上であれば、強化繊維基材への樹脂組成物の含浸性が一層向上し得られる繊維強化複合材料の機械的強度が一層向上する傾向にある。(A)成分の含有量が50質量%以下であれば、得られる繊維強化複合材料の耐熱性が一層向上する傾向にある。
更に、樹脂組成物における(B)成分の含有量は、樹脂組成物の全量を基準として、40〜90質量%であることが好ましく、55〜75質量%であることが好ましい。(B)成分の含有量が40質量%以上であれば、得られる繊維強化複合材料の機械的強度が一層向上する傾向にある。(B)成分の含有量が90質量%以下であれば、強化繊維基材に対する含浸性が一層向上するため、得られる繊維強化複合材料の機械的強度が一層向上する傾向にある。
また、本実施形態に係る樹脂組成物が(C)成分を含む場合、樹脂組成物における(C)成分の含有量は、樹脂組成物の全量を基準として、1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。(C)成分の含有量が上記範囲にあると、樹脂組成物を硬化させる際の体積収縮率が小さくなるため、得られる繊維強化複合材料の寸法安定性が一層向上する傾向にある。
樹脂組成物における(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性及び機械的強度を向上させる観点から、樹脂組成物の全量を基準として90質量%以上であることが好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物の25℃における粘度は、500〜10000mPa・sであることが好ましく、1000〜5000mPa・sであることがより好ましく、2100〜3000mPa・sであることが更に好ましい。樹脂組成物の粘度が500mPa・s以上であれば、強化繊維基材に対して樹脂組成物を必要量付与することが一層容易となる傾向にあり、10000mPa・s以下であれば強化繊維基材中に樹脂組成物が一層浸透し易い傾向にある。なお、樹脂組成物の25℃における粘度は、B型粘度計及び4号ローターを用いて、回転数が6rpmで樹脂組成物を撹拌し、測定温度25℃、測定時間を1分間とする条件で測定される値を指す。
次に、本実施形態に係る繊維強化複合材料の製造方法について説明する。本実施形態に係る繊維強化複合材料の製造方法は、強化繊維基材に含浸された上記本実施形態の電子線硬化性樹脂組成物を電子線の照射により硬化する工程を備える。
上記工程は、例えば、強化繊維基材と、該強化繊維基材に含浸された電子線硬化性樹脂組成物とを含む繊維強化複合材料前駆体を用意し、この前駆体に対して、電子線を照射することができる。前駆体は、プリプレグ等であってもよい。
強化繊維基材は、特に限定はなく、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、高強度ポリエチレン繊維、タングステンカーバイド繊維、PBO繊維、ガラス繊維及び金属繊維等が挙げられる。中でも、引張強度、及び軽量性の観点から炭素繊維及び黒鉛繊維が好ましい。また、これらの強化繊維基材は複数種を組み合わせて用いることもできる。
強化繊維基材の形状は、特に限定はなく、強化繊維フィラメントを収束させた強化繊維トウや、強化繊維トウを一方向に引き揃えた一方向材、製織した織物又は短く裁断した強化繊維からなる不織布、糸等が挙げられる。
繊維強化複合材料前駆体は、上述した樹脂組成物を強化繊維基材に含浸することで得ることができる。樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させる方法としては、特に限定はなく、ハンドレイアップ法、真空含浸法、スプレー法、液浸法、転写法、移送法など公知の方法を採用できる。中でも、汎用性、効率性、付与の均一性の観点から、ハンドレイアップ法、真空含浸法が好ましい。
繊維強化複合材料前駆体における強化繊維基材の含有率(Wf値)は、強化繊維基材の種類、形態、樹脂組成物の性状などにより適宜選択されるが、10〜85質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。強化繊維材料の含有率が10質量%以上であれば繊維強化複合材料の一層の軽量化を図ることができ、85質量%以下であれば繊維強化複合材料の引張強度が一層向上する傾向にある。
繊維強化樹脂複合材料は、ある一定の形に形作るために、繊維強化複合材料前駆体を型等に入れて硬化することで得ることができる。繊維強化複合材料前駆体を形作るために用いられる成形方法は、特に限定はなく、強化繊維基材に本実施形態の樹脂組成物を含浸させたプリプレグと称される中間材料を用いて、オートクレーブ成形、真空バック成形、プレス成形等により硬化成形する方法や、本実施形態の樹脂組成物を含浸した繊維材料(ロービング)を、金属や熱可塑性樹脂の駆体に巻き付け、硬化させるフィラメントワインディング法、補強基材(例えば、補強繊維基材)を配置した成形型内へ強化繊維基材及び樹脂組成物を注入して硬化させる樹脂含浸成形法など、公知の方法を採用できる。
本実施形態で用いられる電子線とは、電離放射線の一種であり、電離放射線とは、電離放射線を照射した経路の媒質の電離・励起をもたらす放射線である。電離放射線には、電子線やα線のように粒子に属するものと、X線やγ線のように電磁波に属するものがある。この中でも、指向性、高いエネルギー付与率(照射した物質に与えるエネルギーの割合が高い)、反応制御の容易性(電子エネルギーの強度が容易に調整できる、電離放射線照射の開始/停止が容易にできる等)及び放射性同位元素の場合における放射能汚染の心配がない等取り扱いが容易という観点から電子線を用いる。
電子線は、電子を例えば電子加速器を使用して高電圧で加速することによって得られる非常に大きなエネルギーを持った電子の流れであり、電子加速器の照射装置を用い照射することができる。電子線のエネルギーは200keV〜10MeVが好ましい。電子線のエネルギーが200keV未満では樹脂組成物の硬化が不十分となる傾向にあり、10MeVを超える場合は照射装置が大規模となる傾向にある。
硬化される樹脂組成物に対する電子線の総吸収線量は10〜500kGyが好ましく、10〜200kGyがより好ましい。総吸収線量が10kGy未満では樹脂組成物の硬化が不十分となる傾向にあり、500kGyを超える場合は、着色、劣化、コスト高になる傾向にある。電子線の吸収線量は、放射線照射により吸光度が直線的に増加することを利用した三酢酸セルロース(CTA)線量計を用いて測定することができる。
電子線の照射は、真空条件、減圧条件、空気、又は窒素等の不活化ガス条件下に置かれた繊維強化複合材料前駆体に、直接照射することができる。また、繊維強化複合材料前駆体は型にはめられた状態であってもよい。
次に、本実施形態に係る繊維強化複合材料について説明する。本実施形態に係る繊維強化複合材料は、強化繊維基材と、上述した樹脂組成物の硬化物とを含む。
本実施形態に係る繊維強化複合材料は、上述した方法により製造することができる。
本実施形態に係る繊維強化複合材料のガラス転移点(Tg)は、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。ガラス転移点は、上述した樹脂組成物の硬化物に対して粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製、型番:DMS6100)を用いて測定した値を指す。測定の条件は、測定温度範囲−50〜300℃、昇温速度10℃/分、測定周波数10Hzである。
本実施形態に係る繊維強化複合材料の界面せん断強度は、50MPa以上であることが好ましく、60MPa以上であることがより好ましい。界面せん断強度は、複合材料界面特性評価装置(東栄産業(株)製、型番:HM410)を使用し、マイクロドロップレット試験により測定される値を指す。
本実施形態に係る繊維強化複合材料は、スポーツ用部材、鉄道車両用部材、建築部材、自動車用部材、航空機用構造材料及びその他一般産業用途に好適に用いられ、特に自動車用部材及び航空機用構造材料に有用である。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら制限されるものではない。
[電子線硬化性樹脂組成物の調製]
(実施例1)
表1に示す成分を、同表に示す配合量(単位:質量部)で混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の25℃における粘度は、2100mPa・sであった。なお、粘度は、樹脂組成物をガラス瓶に充填し、樹脂組成物を25℃に保ち、B型粘度計及び4号ローターを用いて回転数6rpmで撹拌し、測定時間を1分間として測定した。
(実施例1)
表1に示す成分を、同表に示す配合量(単位:質量部)で混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の25℃における粘度は、2100mPa・sであった。なお、粘度は、樹脂組成物をガラス瓶に充填し、樹脂組成物を25℃に保ち、B型粘度計及び4号ローターを用いて回転数6rpmで撹拌し、測定時間を1分間として測定した。
表1に示した成分の詳細は以下の通りである。
(A)成分
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名「NKエステル A−DCP」)
(B)成分
・ビスコート#540(大阪有機化学株式会社製、製品名)
・9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(4モル)付加物のジアクリレート
(C)成分
・ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート混合物(ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、ペンタエリスリトールトリアクリレート:ペンタエリスリトールテトラアクリレート=6:4(モル比))
その他成分
・エトキシ化フェニルアクリレート(アクリル酸2−フェノキシエチル)
(実施例2)
表1に示す成分を、同表に示す配合量で混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の25℃における粘度は、2500mPa・sであった。
(A)成分
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名「NKエステル A−DCP」)
(B)成分
・ビスコート#540(大阪有機化学株式会社製、製品名)
・9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(4モル)付加物のジアクリレート
(C)成分
・ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート混合物(ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、ペンタエリスリトールトリアクリレート:ペンタエリスリトールテトラアクリレート=6:4(モル比))
その他成分
・エトキシ化フェニルアクリレート(アクリル酸2−フェノキシエチル)
(実施例2)
表1に示す成分を、同表に示す配合量で混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の25℃における粘度は、2500mPa・sであった。
(実施例3)
表1に示す成分を、同表に示す配合量で混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の25℃における粘度は、2500mPa・sであった。
表1に示す成分を、同表に示す配合量で混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の25℃における粘度は、2500mPa・sであった。
(比較例1)
表1に示す成分を、同表に示す配合量で混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の25℃における粘度は、2000mPa・sであった。
表1に示す成分を、同表に示す配合量で混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の25℃における粘度は、2000mPa・sであった。
(比較例2)
表1に示す成分を、同表に示す配合量で混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の50℃における粘度は、15000mPa・sであった。なお、粘度は、樹脂組成物を50℃に保ったこと以外は実施例1と同様にして測定した。
表1に示す成分を、同表に示す配合量で混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の50℃における粘度は、15000mPa・sであった。なお、粘度は、樹脂組成物を50℃に保ったこと以外は実施例1と同様にして測定した。
[電子線硬化性樹脂組成物の評価]
実施例1〜3並びに比較例1及び2で得られた樹脂組成物について、下記の評価をおこなった。
実施例1〜3並びに比較例1及び2で得られた樹脂組成物について、下記の評価をおこなった。
(1)ガラス転移点(Tg)
樹脂組成物をステンレスの箱中に流し込んだ。次いで、樹脂組成物に対して電子線を照射することで樹脂組成物を硬化させ、厚さ約0.3mmのフィルムを作製した。電子線の照射条件は、電子線エネルギー10MeV、1回の照射、及び総吸収線量25kGyとした。
樹脂組成物をステンレスの箱中に流し込んだ。次いで、樹脂組成物に対して電子線を照射することで樹脂組成物を硬化させ、厚さ約0.3mmのフィルムを作製した。電子線の照射条件は、電子線エネルギー10MeV、1回の照射、及び総吸収線量25kGyとした。
得られたフィルムに対して、粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製、型番:DMS6100)を用いてガラス転移点(tanδピーク)の測定を行った。測定の条件は、測定温度範囲−50〜300℃、昇温速度10℃/分、測定周波数10Hzとした。ガラス転移点が高いほど硬化物の耐熱性が高いと判断した。
(2)界面せん断強度(マイクロドロップレット試験)
複合材料界面特性評価装置(東栄産業(株)製、型番:HM410)を使用し、以下に示すマイクロドロップレット試験により界面せん断強度を測定した。
複合材料界面特性評価装置(東栄産業(株)製、型番:HM410)を使用し、以下に示すマイクロドロップレット試験により界面せん断強度を測定した。
まず、強化繊維束より強化繊維の単糸を取り出し、複合材料界面特性評価装置に配置した。強化繊維束としては、炭素繊維を用いた。次いで、樹脂組成物を加熱して溶融させ、しずく状の樹脂組成物を単糸上に付着させた。そして、単糸上の樹脂組成物に対して電子線を照射し、しずく状の樹脂組成物を硬化し、測定用の試料を得た。測定試料を装置に再度配置し、しずく状の樹脂組成物の硬化物を装置ブレードで挟んだ。そして、単糸を装置上で0.06mm/分の速度で走行させ、しずく状の樹脂組成物の硬化物を引き抜く際の最大引抜荷重f(N)を測定した。測定した最大引抜荷重fを下記式(1)に代入することで、界面せん断強度τを算出した。
τ=f/π・R・l (1)
[τ:界面せん断強度(MPa)、f:最大引抜荷重(N)、R:連続強化繊維単糸径(m)、l:ドロップの引き抜き方向の粒子径(m)]
界面せん断強度が大きいほど、得られる繊維強化複合材料の強度が高いと判断した。
τ=f/π・R・l (1)
[τ:界面せん断強度(MPa)、f:最大引抜荷重(N)、R:連続強化繊維単糸径(m)、l:ドロップの引き抜き方向の粒子径(m)]
界面せん断強度が大きいほど、得られる繊維強化複合材料の強度が高いと判断した。
Claims (4)
- 強化繊維基材とマトリックス樹脂とを含む繊維強化複合材料の前記マトリックス樹脂の形成に用いられる樹脂組成物であって、
(A)橋かけ環構造を有する脂環式炭化水素骨格及びアクリロイル基を有するアクリレートと、(B)芳香環構造及び2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートと、を含む、電子線硬化性樹脂組成物。 - 前記(A)成分の含有量が、樹脂組成物の全量を基準として、10〜50質量%であり、
前記(B)成分の含有量が、樹脂組成物の全量を基準として、40〜90質量%である、請求項1に記載の電子線硬化性樹脂組成物。 - 強化繊維基材と、マトリックス樹脂と、を含み、
前記マトリックス樹脂が、請求項1又は2に記載の電子線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、繊維強化複合材料。 - 強化繊維基材に含浸させた請求項1又は2に記載の電子線硬化性樹脂組成物を電子線の照射により硬化する工程を備える、繊維強化複合材料の製造方法。
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JP2018160769A JP2020033450A (ja) | 2018-08-29 | 2018-08-29 | 電子線硬化性樹脂組成物、繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法 |
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