JP2007051183A - 炭素繊維強化複合材料およびその成形物 - Google Patents

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光広 矢田
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Abstract

【課題】 短時間での硬化が可能で、かつマトリックス樹脂と炭素繊維との接着性が良好である炭素繊維強化複合材料、および強度、弾性率、耐熱性に優れた成形物を提供する。
【解決手段】 (A)ラジカル重合性不飽和基およびエポキシ基を有する樹脂材料と、(B)サイジング剤が表面に付着した炭素繊維とを含有する炭素繊維強化複合材料;および、炭素繊維強化複合材料を硬化させてなる成形物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素繊維強化複合材料およびこれを硬化してなる成形物に関する。
炭素繊維は、軽量で、比強度、比弾性率に特に優れていることから、繊維強化複合材料の強化材として有効であり、広範囲に用いられている。炭素繊維の特性を生かすためには、複合材料における炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が重要である。通常、炭素繊維は、表面処理を施さないとマトリックス樹脂に対する接着性が充分でない。そのため、炭素繊維に表面処理を施さない場合、炭素繊維強化複合材料からなる成形物の強度が低下し、所望の物性が得られない。
炭素繊維は、本質的に剛直で脆く、高次加工工程において毛羽、糸切れ等を発生しやすい。よって、これらの不都合を軽減するため、従来から炭素繊維に対して各種サイジング剤が付与されている。サイジング剤は、炭素繊維の取り扱い性を向上させるために、また、マトリックス樹脂と炭素繊維との接着性を向上させるために使用されるものであり、マトリックス樹脂の炭素繊維への含浸性を向上させ、さらに、接着性を向上させる等の効果を発揮する。
炭素繊維強化複合材料のマトリックス樹脂としては、通常、エポキシ樹脂が用いられている。エポキシ樹脂は、炭素繊維との接着性が良好であり、よって、エポキシ樹脂を用いた炭素繊維強化複合材料からなる成形物は、高い物性を発現する。しかし、エポキシ樹脂は、硬化に時間がかかる、高粘度であるため作業性、取り扱い性等が悪い、という問題を有している。また多くの場合、成形物に所望の物性を発現させるために高温加熱硬化が必要である。
一方、マトリックス樹脂として、低コストであり、かつ速硬化性であるため成形サイクルが短いといった観点から、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等のラジカル重合性樹脂が、近年注目されている。しかし、ラジカル重合性樹脂は、従来のエポキシ樹脂用サイジング剤で処理された炭素繊維とのなじみが、エポキシ樹脂に比べて低く、炭素繊維との接着性に乏しい。その結果、得られる成形物の強度が低くなり、所望の特性を発現させることができず、実用的でないという問題がある。そのため、ラジカル重合性樹脂となじみの良いサイジング剤が施された炭素繊維が必要である。
そこで、炭素繊維とラジカル重合性樹脂とのなじみを良くし、接着性を向上させるサイジング剤が開示されている。例えば、分子内に少なくとも3つのエポキシ基を有するエポキシ化合物とビニル基含有カルボン酸との反応生成物を主成分とするサイジング剤(特許文献1等参照)、不飽和基を有するウレタン化合物(特許文献2〜4等参照)等が挙げられる。これらは、サイジング剤にカップリング剤の役割を持たせることによって、炭素繊維と不飽和ポリエステル樹脂との接着性を向上させるものである。
しかし、不飽和ポリエステル樹脂用サイジング剤またはビニルエステル樹脂用サイジング剤で処理された炭素繊維を使用しても、炭素繊維とラジカル重合性樹脂との接着性がエポキシ樹脂を使用した場合と比較して充分でなく、成形物の強度が劣る等の問題点は未解決である。
特開昭55−84476号公報 特開昭56−167715号公報 特開平11−93078号公報 特開2000−355881号公報
よって、本発明の目的は、短時間での硬化が可能で、かつマトリックス樹脂と炭素繊維との接着性が良好である炭素繊維強化複合材料、および強度、弾性率、耐熱性に優れた成形物を提供することにある。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、(A)ラジカル重合性不飽和基およびエポキシ基を有する樹脂材料と、(B)サイジング剤が表面に付着した炭素繊維とを含有することを特徴とする。
本発明の成形物は、本発明の炭素繊維強化複合材料を硬化させてなるものであることを特徴とする。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、短時間での硬化が可能で、かつマトリックス樹脂と炭素繊維との接着性が良好である。よって、本発明の炭素繊維強化複合材料によれば、強度、弾性率、耐熱性に優れる成形物を生産性よく製造できる。
本発明の成形物は、強度、弾性率、耐熱性に優れる。
<樹脂材料(A)>
(A)ラジカル重合性不飽和基およびエポキシ基を有する樹脂材料(以下、樹脂材料(A)とも記す。)としては、(A−I)分子中にエポキシ基およびラジカル重合性不飽和基を有する樹脂、(A−II)エポキシ樹脂とラジカル重合性樹脂とをブレンドしたもの、が挙げられる。
(A−I)としては、エポキシ基とラジカル重合性不飽和基との当量比(エポキシ基/ラジカル重合性不飽和基)が、0.95/0.05〜0.05/0.95となるように、エポキシ樹脂中のエポキシ基をビニルエステル化した樹脂が好ましい。該樹脂は、例えば、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和カルボン酸とを、エポキシ基1当量に対してラジカル重合性不飽和カルボン酸を0.05〜0.95当量の割合で反応させることにより得られる。
エポキシ樹脂としては、公知の方法により製造されるものでよく、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する熱硬化性エポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、エーテル型のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、エステル系の芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エーテル・エステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、これらのハロゲン化物、フェノール類、二塩基酸で分子鎖延長したもの等が挙げられる。これらのうち、靭性と耐熱性とのバランスを取る点では、エーテル型のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、この2種の併用、フェノールノボラックで変性したエーテル型のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールで変性したノボラック型エポキシ樹脂等が好ましい。これらエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性不飽和カルボン酸としては、ラジカル重合性不飽和基およびカルボキシル基を有する化合物であればよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。エポキシ基とラジカル重合性不飽和カルボン酸との反応比は、エポキシ基1当量に対して0.05〜0.95当量であり、0.2〜0.8当量が好ましい。
(A−II)としては、エポキシ基とラジカル重合性不飽和基との当量比(エポキシ基/ラジカル重合性不飽和基)が、0.95/0.05〜0.05/0.95となるように、エポキシ樹脂およびラジカル重合性樹脂を混合したものが好ましい。
エポキシ樹脂としては、上述の(A−1)に使用するエポキシ樹脂と同様のものが挙げられる。
ラジカル重合性樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等の公知のラジカル重合性樹脂が挙げられる。ビニルエステル樹脂としては、特公昭45−40069号公報等に記載のものが挙げられる。不飽和ポリエステル樹脂としては、特開平09−169862号公報等に記載のものが挙げられる。ウレタンアクリレート樹脂としては、特開平09−031184号公報、特開平09−031184号公報等に記載のものが挙げられる。これらのラジカル重合性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂とラジカル重合性樹脂との混合比は、エポキシ基とラジカル重合性不飽和基との当量比(エポキシ基/ラジカル重合性不飽和基)が、0.95/0.05〜0.05/0.95となる範囲が好ましく、0.2/0.8〜0.8/0.2となる範囲はより好ましい。
樹脂材料(A)におけるエポキシ基とラジカル重合性不飽和基との当量比(エポキシ基/ラジカル重合性不飽和基)は、0.95/0.05〜0.05/0.95が好ましく、0.2/0.8〜0.8/0.2がより好ましい。ラジカル重合性不飽和基が0.05当量未満の場合には、硬化速度がエポキシ樹脂とほとんどかわらず、硬化に長時間を要すため、成形サイクルが長くなり、成形にかかるコストが高くなる。ラジカル重合性不飽和基が0.95当量を超える場合には、炭素繊維への接着性がビニルエステル樹脂とほとんどかわらず、炭素繊維との接着性が不充分となる。
<希釈剤>
樹脂材料(A)は、粘度の調整のために希釈剤を含んでいてもよい。希釈剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する希釈剤(以下、ラジカル重合性希釈剤とも記す。)および/またはエポキシ基を有する希釈剤(以下、エポキシ希釈剤とも記す。)が挙げられる。
ラジカル重合性希釈剤としては、通常、ラジカル重合性樹脂に使用されるものが挙げられる。具体的には、スチレンモノマー、(メタ)アクリル基を有するラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。スチレンモノマー以外のラジカル重合性不飽和単量体の具体例としては、スチレンのα−,o−,m−,p−アルキル,ニトロ,シアノ,アミド,エステル誘導体、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−i−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド化合物;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。
エポキシ希釈剤としては、分子内にグリシジルエーテルタイプのエポキシ基または脂環式のエポキシ基を有する化合物であればよく、公知のものを使用することができる。
グリシジルエーテルタイプのエポキシ基を有する化合物としては、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等の公知の単官能エポキシ希釈剤;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多官能エポキシ希釈剤が挙げられる。
脂環式のエポキシ基を有する化合物(以下、脂環式エポキシ化合物とも記す。)としては、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキレート、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2:8,9ジエポキシリモネン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等が挙げられる。
これらの化合物は1種を単独でもちいてもよく、2種以上併用してもよい。脂環式エポキシ化合物の商品としては、例えば、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2021、2081、2000、3000、サイクロマーM100等が挙げられる。
ラジカル重合性希釈剤は、樹脂材料(A)中のラジカル重合性不飽和基とラジカル重合し、エポキシ希釈剤は、樹脂材料(A)中のエポキシ基とともに重合反応により硬化する。
希釈剤の添加量は、ラジカル重合性不飽和基および/またはエポキシ基を有する樹脂の合計100質量部に対して、0〜200質量部が好ましく、0〜150質量部が好ましい。希釈剤の添加量が200質量を超えると、硬化収縮率が大きくなり、成形物の強度が充分に発現しないおそれがある。
<炭素繊維(B)>
炭素繊維(B)は、炭素繊維表面にサイジング剤がコーティング等により付着したものである。
炭素繊維としては、パン系、ピッチ系等の公知の炭素繊維が挙げられる。炭素繊維の形態としては、長繊維、短繊維、一軸および/または多軸を有するもの等が挙げられる。
一軸および/または多軸を有する炭素繊維としては、織物、編み物、不織布、マット、これらを組み合わせたもの等が挙げられる。織物の組織としては、平織り、綾織り、朱子織り、これら組織を変化させたもの等が挙げられる。また、緯糸および経糸ともに炭素繊維でもよく、複数種類の炭素繊維の混織または炭素繊維と炭素繊維以外の繊維との混織でもよい。炭素繊維以外の繊維としては、ガラス繊維、チラノ繊維、SiC繊維等の無機繊維;アラミド樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル樹脂、ポリイミド、ビニロン等の有機繊維等が挙げられる。また、2種以上からなる複合織物でもよい。
サイジング剤は、マトリックス樹脂と親和性を示す官能基を有する化合物である。官能基としては、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、アミノ基、イソシアネート基、スルホ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基から選ばれたものが好ましい。
サイジング剤としては、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、アミノ基、イソシアネート基、スルホ基から選ばれる少なくとも1種の官能基と、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基から選ばれる少なくとも1種の官能基とを分子内に有する二官能性化合物が特に好ましい。
エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールAから得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂およびその水素添加物、ビスフェノールFから得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂およびその水素添加物、ビスフェノールSから得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAから得られるテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールADから得られるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナジルアミン、o−トルイジンのジグリシジルアミン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルエオレンのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のイソシアネート変性品、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、1,4−ジ−tert−ブチル−2,5−ビス(2,3−エポキシブロポキシ)−ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルフィドとクロロメチルオキシランとの反応生成物、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)とクロロメチルオキシランとの反応生成物、分子内に2個の二重結合を有する化合物を酸化して得られるポリエポキシド、トリス(p−ヒドロキシフェノール)メタンのトリグリシジルエーテルおよびその誘導体、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテルおよびその誘導体、グリセリンのトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールのテトラグリシジルエーテル、フェノール、アルキルフェノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール誘導体から得られるノボラックのグリシジルエステル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
水酸基を有する化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールAのプロピレンオキシドまたはエチレンオキシド付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール等の脂肪族アルコール、これらのプロピレンオキシドまたはエチレンオキシド付加物等が挙げられる。
アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングルリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)のジメタアクリレート、1,3−ブチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等、分子中にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物が挙げられる。
カルボキシル基または酸無水物基を有する化合物としては、ドデセニルコハク酸、ポリアジピン酸、ポリアゼライン酸、ポリセバシン酸、フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらの酸無水物等が挙げられる。
エポキシ基を有する二官能性化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド 1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ジエポキシと不飽和酸との付加物、ジエポキシと不飽和アルコールとの付加物等が挙げられる。ジエポキシとしては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等が挙げられる。不飽和酸としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。不飽和アルコールとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する二官能性化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、グリセリンモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基を有する二官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸等が挙げられる。
アミド結合を有する二官能性化合物としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等が挙げられる。
スルホ基を有する二官能性化合物としては、ビスフェノールS型ジグリシジルジアクリレート、ビスフェノールS型ジグリシジルジメタクリレート等が挙げられる。
他のサイジング剤としては、不飽和アルコールまたは不飽和カルボン酸と、イソシアネート化合物とを反応させた化合物等、公知の不飽和ポリウレタン化合物が挙げられる。具体的には、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネート化合物、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトリレンジイソシアネート化合物、ペンタエリスリトールアクリレートヘキサメチレンジイソシアネート化合物、フェニルグリシジルエーテルトリアクレートイソホロンジイソシアネート化合物、グリセリンジメタクリレートトリレンジイソシアネート化合物、グリセリンジメタクリレートイソホロンジイソシアネート化合物、ペンタエリスリトールトリアクリレートトリレンジイソシアネート化合物、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネート、トリアリルイソシアヌレート化合物等が挙げられる。
サイジング剤は、樹脂材料(A)に合わせて適したものが選択される。サイジング剤は、1類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
サイジング剤は、炭素繊維に一様に被覆、コーティングされていることが好ましい。
サイジング剤の付着量は、炭素繊維表面におけるサイジング剤の高分子量化による皮膜を均一にし、かつ樹脂材料(A)との接着性を改善し、サイジング剤の高分子量化による炭素繊維の収束が硬くならないようにする観点から、炭素繊維(100質量部)に対し、0.02〜5質量部が好ましく、0.05〜2質量部がより好ましい。
サイジング剤には、炭素繊維の取り扱い性、収束性を向上させるために、乳化剤、界面活性剤、ポリウレタン、ポリエステルやエポキシ樹脂等、他の化合物を加えてもよい。
<炭素繊維強化複合材料>
本発明の炭素繊維強化複合材料は、(A)ラジカル重合性不飽和基およびエポキシ基を有する樹脂材料と、(B)サイジング剤が表面にコーティングされた炭素繊維とを含有するものである。
炭素繊維(B)の量は、樹脂材料(A)(希釈剤を含む)100質量部に対して、10〜1000質量部が好ましい。
本発明の炭素繊維強化複合材料には、必要に応じて、ラジカル重合開始剤、エポキシ硬化剤、促進剤、その他公知の添加剤等を添加してもよい。
<成形物>
本発明の成形物は、本発明の炭素繊維強化複合材料を硬化させてなるものである。
本発明の成形物は、航空機、宇宙機の翼、胴体部等;車輌のフレーム、エアロパーツ等;船体;土木建築用構造部材(例えば各種タンク、FRP筋、大型構造部材)等に好適である。
本発明の成形物は、RTM法、フィラメントワインディング法、引き抜き成形法、マッチドダイ法、ハンドレイアップ法等の公知の成形方法によって製造される。RTM法とは、炭素繊維(B)またはそのプリフォームを型内に設置し、その型内に液状の樹脂材料(A)を注入し、炭素繊維(B)に含浸させて、炭素繊維強化複合材料を調製した後、樹脂材料(A)を硬化させて炭素繊維強化複合材料からなる成形物を得る方法である。
以上説明した本発明の炭素繊維強化複合材料にあっては、樹脂材料(A)がラジカル重合性不飽和基を有しているので、硬化をエポキシ樹脂に比べて低温で短時間で行うことができる。よって、成形サイクルを短くすることができ、成形物を生産性よく製造できる。
また、樹脂材料(A)がエポキシ基を有しているので、炭素繊維(B)との接着性が良好である。よって、樹脂材料(A)と炭素繊維(B)とが強靭に接着することから、強度、弾性率、耐熱性に優れる成形物を製造できる。
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例と比較例における樹脂材料(A)、成形物等の諸特性値を以下の方法により測定した。また、各例中の「部」、「%」は質量基準を示す。
(樹脂のエポキシ当量)
樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236に準拠して測定した。
1000cm3 のフラスコに6×10-4〜9×10-4モルのエポキシ基に相当する試料をはかり採り(Wr )、クロロホルム10cm3 を加えた。マグネチックスターラーで資料を溶解させた後、室温まで冷やし、酢酸20cm3 を加えた。さらに臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液10cm3 を加え、過塩素酸酢酸溶液で滴定を行った。エポキシ当量Ee を下式(1)より算出した。
e =1000×Wr /[(Vs −V0 )×{1−(t0 −ts )/1000}]×Cs ・・・(1)
(式中、Ee :エポキシ当量、Vs :終点までに滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(cm3 )、V0 :空試験における終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(cm3 )、t0 :試験および空試験時の過塩素酸酢酸溶液の温度(℃)、ts :標定時の過塩素酸酢酸溶液の温度(℃)、Cs :標定時の過塩素酸酢酸溶液の濃度(モル/dm3 )である。)なお、過塩素酸酢酸溶液の膨張係数(1.07 ×10-3-1)による補正が必要である。これは1℃あたりの体積膨張率に相当する。恒温室で試験を実施する場合は不要である。
(80℃高温硬化特性)
80℃高温硬化特性は、JIS K 6901に規定される常温硬化特性の測定方法を参考にして測定した。
硬化剤をビーカーにはかり採り、これに15〜30℃の温度の試料(50±1)gを加え、ガラス棒で均一になるまでよくかき混ぜて溶かし、直ちにこの試料を試験管に深さ100mmまで入れ、試料中心部に熱電対の側温接点部を保持した。この試験管を(80±0.5)℃に保持した恒温漕に、試料の表面が浴液面下約10mmとなるように固定し、試料の温度が65℃から85℃になるまでの時間(ゲル化時間)、試料の温度が65℃から最高発熱温度になるまでの時間(最小硬化時間)、および最高発熱温度を測定した。所定の最高発熱温度があって、最高発熱温度に達するまでの時間がより短い試料が、速硬化性に優れたものであると言える。
(常温硬化特性)
常温硬化特性は、JIS K 6901に規定される常温硬化特性の測定方法を参考にして測定した。
150cm3 のビーカーに試料50gを上皿はかりではかり採り、これに所定量の促進剤を加えてガラス棒で均一にかき混ぜた後、(25±0.2)℃の恒温槽中に、試料の表面が浴液面下約10mmに位置するように固定した。試料の温度が(25±0.2)℃になったとき、所定量の硬化剤を加えてよくかき混ぜ、(25±0.2)℃の恒温槽中にあらかじめ設置した試験管に、試料を100mmの高さになるように注ぎ、試料中心部に熱電対を固定した。試料に硬化剤を混合してから試料の温度が30℃になるまでの時間をゲル化時間とし、最高温度になるまでの時間を最小硬化時間とし、最高温度を最高発熱温度とした。所定量の促進剤および硬化剤で容易にゲル化時間および最小硬化時間を調整することができ、かつ所定量の最高発熱温度を示す試料が、硬化性制御に優れたものであると言える。
(硬化性の総合評価)
80℃硬化特性および常温硬化特性の結果から、試料の硬化性を以下の基準で評価した。
○:速硬化性(ビニルエステル樹脂と同等)。
×:遅硬化性。
(成形物の曲げ強度)
曲げ強度は、JIS K 7074に準拠して測定した。
(成形物の曲げ弾性率)
曲げ弾性率は、JIS K 7074に準拠して測定した。
(成形物のガラス転移温度)
ガラス転移温度(Tg)は、成形した試験片を長さ60mm、厚さ3mm、幅5mmに切り出し、動的粘弾性試験機を用いて昇温速度2℃〜5℃/分、曲げモード(測定周波数1Hz)で測定した。ガラス転移温度は損失正接(tanδ)の最大値から求めた。
(成形物の物性の総合評価)
曲げ強度、曲げ弾性率およびガラス転移温度の結果から、成形物の物性を以下の基準で評価した。
○:曲げ強度が950MPa以上、曲げ弾性率が45GPa以上、ガラス転移温度が130℃以上。
○〜△:曲げ強度が850MPa以上950MPa未満、曲げ弾性率が45GPa以上、ガラス転移温度が130℃以上。
△:曲げ強度が750MPa以上850MPa未満、曲げ弾性率が45GPa以上、ガラス転移温度が130℃以上。
△〜×:曲げ強度が650MPa以上750MPa未満、曲げ弾性率が45GPa以上、ガラス転移温度が130℃以上。
×:曲げ強度が650MPa未満、曲げ弾性率が45GPa以上、ガラス転移温度が130℃以上。
(製造例1)
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「アラルダイトAER2603」(旭化成エポキシ(株)製エポキシ樹脂、エポキシ当量189、1当量=189g)189部、メタクリル酸43部(0.5当量)、ナフテン酸クロム0.8部、ハイドロキノン0.07部を仕込み、空気を吹き込みながら100℃で10時間反応させ、酸価が0mgKOH/gになった時点で反応を終了し、ラジカル重合性不飽和基およびエポキシ基を有する樹脂を得た。ラジカル重合性不飽和基/エポキシ基は、0.5/0.5(当量)であった。
(製造例2)
製造例1で得られた樹脂100部に、スチレンモノマー25部を混合し、ラジカル重合性希釈剤であるスチレンモノマーを20%含む、ラジカル重合性不飽和基およびエポキシ基を有する樹脂材料(A−1)を得た。
(製造例3)
製造例1で得られた樹脂100部に、脂環式エポキシ化合物である3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業(株)製、商品名「セロキサイド2021」)25部を加え、エポキシ希釈剤であるセロキサイド2021を20%含む、ラジカル重合性不飽和基およびエポキシ基を有する樹脂材料(A−2)を得た。
(製造例4)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂「アラルダイトAER2603」(旭化成エポキシ(株)製エポキシ樹脂、エポキシ当量189、1当量=189g)100部に、「R−806」(昭和高分子(株)製ビニルエステル樹脂)100部を混合し、ブレンド型のラジカル重合性不飽和基およびエポキシ基を有する樹脂材料(A−3)を得た。ラジカル重合性不飽和基/エポキシ基は、0.25/0.75(当量)であった。
(製造例5)
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置に、ノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンN740」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量180、1当量=180g)180部に、ビスフェノールA(1当量=114g)34.2部(0.3当量)、トリエチルアミン0.44部を仕込み、130℃で5時間反応させ、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂を得た。ついで、反応系内を100℃まで冷却し、スチレンモノマー25部、メタクリル酸30.1部(0.35当量)、ナフテン酸クロム0.75部、ハイドロキノン0.075部を仕込み、100℃で10時間反応させ、酸価が0mgKOH/gになった時点で反応を終了し、ラジカル重合性不飽和基およびエポキシ基を有する樹脂材料(A−4)を得た。ラジカル重合性不飽和基/エポキシ基=0.5/0.5(当量)であった。
(実施例1)
製造例2で得られた樹脂材料(A−1)100部に、ラジカル重合開始剤として「カドックスB−CH50」(化薬アクゾ(株)製、50%希釈ベンゾイルパーオキシド)2.0部、エポキシ硬化剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール2.0部、内部離型剤として「モールドウィズINT−1846N」(アクセルプラスチック(株)製)0.5部を配合した後、充分攪拌を行い、樹脂組成物を調製した。また、表面にサイジング剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ樹脂用サイジング剤)を、炭素繊維100部に対して1.5部付着させた炭素繊維(B−1)を用意した。樹脂組成物100部と、炭素繊維(B−1)300部とを用い、金型長70cm、金型温度150℃、引き抜き速度35cm/分の条件で、直径6mmの棒状引き抜き成形物を製造した。得られた成形物を120℃/2時間、加熱処理し、その後、常温で一昼夜放置し、物性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
製造例3で得られた樹脂材料(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
製造例4で得られた樹脂材料(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
製造例5で得られた樹脂材料(A−4)を用いた以外は、実施例1と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2007051183
(実施例5)
表面にサイジング剤として3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(ダイセル化学(株)製、ビニルエステル樹脂・不飽和ポリエステル樹脂用サイジング剤)を、炭素繊維100部に対して1.5部付着させた炭素繊維(B−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表2に示す。
(実施例6)
製造例3で得られた樹脂材料(A−2)を用いた以外は、実施例5と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表2に示す。
(実施例7)
製造例4で得られた樹脂材料(A−3)を用いた以外は、実施例5と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表2に示す。
(実施例8)
製造例5で得られた樹脂材料(A−4)を用いた以外は、実施例5と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表2に示す。
Figure 2007051183
(比較例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂「アラルダイトAER2603」(旭化成エポキシ(株)製エポキシ樹脂、エポキシ当量189、1当量=189g)100部に、脂環式エポキシ化合物である3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業(株)製、商品名「セロキサイド2021」)25部を加え、エポキシ希釈剤であるセロキサイド2021を20%含む樹脂材料(A−5)を調製した。
樹脂材料(A−5)100部に、エポキシ硬化剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール4.0部、内部離型剤として「モールドウィズINT−1846N」(アクセルプラスチック(株)製)0.5部を配合した後、充分攪拌を行い、樹脂組成物を調製した。樹脂組成物100部と、炭素繊維(B−1)300部とを用い、金型長70cm、金型温度180℃、引き抜き速度35cm/分の条件で、直径6mmの棒状引き抜き成形物を製造した。得られた成形物を140℃/2時間、加熱処理し、その後、常温で一昼夜放置し、物性を測定した。結果を表3に示す。
(比較例2)
「R−806」(昭和高分子(株)製ビニルエステル樹脂)100部に、ラジカル重合開始剤として「カドックスB−CH50」(化薬アクゾ(株)製、50%希釈ベンゾイルパーオキシド)2.0部、内部離型剤として「モールドウィズINT−1846N」(アクセルプラスチック(株)製)0.5部を配合した後、充分攪拌を行い、樹脂組成物を調製した。樹脂組成物100部と、炭素繊維(B−1)300部とを用い、金型長70cm、金型温度150℃、引き抜き速度35cm/分の条件で、直径6mmの棒状引き抜き成形物を製造した。得られた成形物を120℃/2時間、加熱処理し、その後、常温で一昼夜放置し、物性を測定した。結果を表3に示す。
(比較例3)
炭素繊維(B−2)を用いた以外は、比較例1と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表3に示す。
(比較例4)
炭素繊維(B−2)を用いた以外は、比較例2と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表3に示す。
Figure 2007051183
(実施例9)
製造例2で得られた樹脂材料(A−1)100部に、ラジカル重合開始剤として「パーメックN」(日本油脂(株)製、55%希釈メチルエチルケトンパーオキシド)1.5部、ナフテン酸コバルト0.5部、エポキシ硬化剤としてジメチルアミノエチルメタクリレート(共栄社(株)製)2.0部を配合した後、充分攪拌を行い、樹脂組成物を調製した。ついで、炭素繊維(B−1)で織られた炭素繊維クロスを9プライ(200部)、アルミニウム製の下型にセットし、その上にアルミニウム製の上型をセットし、注入口および出口を上型と下型との中間に設けた。ついで、樹脂組成物100部を注入し、60分後に脱型して成形物を得た。得られた成形物を120℃/2時間、加熱処理し、その後、常温で一昼夜放置し、物性を測定した。結果を表4に示す。
(実施例10)
炭素繊維(B−2)で織られた炭素繊維クロスを用いた以外は、実施例9と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表4に示す。
Figure 2007051183
(比較例5)
樹脂材料(A−5)100部に、エポキシ硬化剤としてジメチルアミノエチルメタクリレート4.0部を配合した後、充分攪拌を行い、樹脂組成物を調製した。ついで、炭素繊維(B−1)で織られた炭素繊維クロスを9プライ(200部)、50℃に加温したアルミニウム製の下型にセットし、その上にアルミニウム製の上型をセットし、注入口および出口を上型と下型との中間に設けた。ついで、40℃に加温した樹脂組成物100部を注入し、60分後に脱型して成形物を得た。得られた成形品を140℃/2時間、加熱処理し、その後、常温で一昼夜放置し、物性を測定した。結果を表5に示す。
(比較例6)
「R−806」(昭和高分子(株)製ビニルエステル樹脂)100部に、ラジカル重合開始剤として「パーメックN」(日本油脂(株)製、55%希釈メチルエチルケトンパーオキシド)1.5部、ナフテン酸コバルト0.5部を配合した後、充分攪拌を行い、樹脂組成物を調製した。ついで、炭素繊維(B−1)で織られた炭素繊維クロスを9プライ(200部)、アルミニウム製の下型にセットし、その上にアルミニウム製の上型をセットし、注入口および出口を上型と下型との中間に設けた。ついで、樹脂組成物100部を注入し、60分後に脱型して成形物を得た。得られた成形物を120℃/2時間、加熱処理し、その後、常温で一昼夜放置し、物性を測定した。結果を表5に示す。
(比較例7)
炭素繊維(B−2)で織られた炭素繊維クロスを用いた以外は、比較例5と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表5に示す。
(比較例8)
炭素繊維(B−2)で織られた炭素繊維クロスを用いた以外は、比較例6と同様にして成形物を製造し、評価した。結果を表5に示す。
Figure 2007051183
本発明の炭素繊維強化複合材料からなる成形物は、高強度が必要とされる用途、例えば、航空機、宇宙機の翼、胴体部等;車輌のフレーム、エアロパーツ等;船体;土木建築用構造部材(例えば各種タンク、FRP筋、大型構造部材)等に好適である。

Claims (2)

  1. (A)ラジカル重合性不飽和基およびエポキシ基を有する樹脂材料と、
    (B)サイジング剤が表面に付着した炭素繊維と
    を含有することを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
  2. 請求項1に記載の炭素繊維強化複合材料を硬化させてなる成形物。
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