JP2020032713A - 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】相互に隣り合う圧力室間を隔てる壁部の変形を抑制することを目的とする。【解決手段】液体を噴射する第1ノズルに連通する第1圧力室と、液体を噴射する第2ノズルに連通する第2圧力室と、前記第1圧力室と前記第2圧力室との間を隔てる第1壁部と、前記第1圧力室の圧力を変動させる第1駆動素子と、前記第2圧力室の圧力を変動させる第2駆動素子とを含む噴射部と、前記噴射部のうち前記第1ノズルおよび前記第2ノズルとは反対側に設置される保護基板と、前記保護基板のうち前記噴射部側の表面から当該噴射部にかけて形成される支持部とを具備し、前記支持部は、前記保護基板に垂直な方向からみた平面視において前記第1壁部に重なり、前記支持部のうち前記噴射部の表面に接触する部分の幅は、前記第1壁部の幅よりも大きい液体噴射ヘッド。【選択図】図4

Description

本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
インク等の液体を複数のノズルから噴射する液体噴射ヘッドが従来から提案されている。例えば特許文献1には、インクを噴射するノズルに連通し、液室隔壁により区画される各個別液室が形成された流路基板を具備するインクジェットヘッドが開示されている。個別液室内の圧力を圧電素子により変動させることで、当該個別液室に連通するノズルからインクが噴射される。
特開2012−61750号公報
しかし、特許文献1の技術では、個別液室内の圧力の変動により液室隔壁が変形し、当該液室隔壁を挟んで隣り合う個別液室の圧力が変動するという現象(以下「クロストーク」という)が発生する。したがって、インクの噴射量または噴射速度等の噴射特性に誤差が生じる。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体噴射ヘッドは、液体を噴射する第1ノズルに連通する第1圧力室と、液体を噴射する第2ノズルに連通する第2圧力室と、前記第1圧力室と前記第2圧力室との間を隔てる第1壁部と、前記第1圧力室の圧力を変動させる第1駆動素子と、前記第2圧力室の圧力を変動させる第2駆動素子とを含む噴射部と、前記噴射部のうち前記第1ノズルおよび前記第2ノズルとは反対側に設置される保護基板と、前記保護基板のうち前記噴射部側の表面から当該噴射部にかけて形成される支持部とを具備し、前記支持部は、前記保護基板に垂直な方向からみた平面視において前記第1壁部に重なり、前記支持部のうち前記噴射部の表面に接触する部分の幅は、前記第1壁部の幅よりも大きい。
第1実施形態に係る液体噴射装置の構成図である。 液体噴射ヘッドの分解斜視図である。 液体噴射ヘッドの断面図である。 図3におけるIV-IV線の断面図である。 第1実施形態の他の態様における液体噴射ヘッドの断面図である。 第2実施形態に係る液体噴射ヘッドの断面図である。 第3実施形態に係る液体噴射ヘッドの断面図である。 第4実施形態に係る液体噴射ヘッドの断面図である。 第5実施形態に係る基準電圧と駆動波形との波形図である。 第6実施形態に係る複数の液体噴射ヘッドの平面図である。 第7実施形態に係る複数の液体噴射ヘッドの平面図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の好適な形態に係る液体噴射装置100を例示する構成図である。本実施形態の液体噴射装置100は、液体の例示であるインクを媒体(噴射対象)12に噴射するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体12として利用される。図1に例示される通り、液体噴射装置100には、インクを貯留する液体容器14が設置される。例えば液体噴射装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、またはインクを補充可能なインクタンクが液体容器14として利用される。
図1に例示される通り、液体噴射装置100は、制御ユニット20と搬送機構22と移動機構24と液体噴射ヘッド26とを具備する。制御ユニット20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体噴射装置100の各要素を統括的に制御する。搬送機構22は、制御ユニット20による制御のもとで媒体12をY方向に搬送する。
移動機構24は、制御ユニット20による制御のもとで液体噴射ヘッド26をX方向に往復させる。X方向は、媒体12が搬送されるY方向に直交する方向である。典型的には、Y方向に直交する方向がX方向である。第1実施形態の移動機構24は、液体噴射ヘッド26を収容する略箱型の搬送体242と、搬送体242が固定された搬送ベルト244とを具備する。なお、複数の液体噴射ヘッド26を搬送体242に搭載した構成、または、液体容器14を液体噴射ヘッド26とともに搬送体242に搭載した構成も採用され得る。
液体噴射ヘッド26は、液体容器14から供給されるインクを制御ユニット20による制御のもとで複数のノズルから媒体12に噴射する。搬送機構22による媒体12の搬送と搬送体242の反復的な往復とに並行して各液体噴射ヘッド26が媒体12にインクを噴射することで、媒体12の表面に所望の画像が形成される。
図2は、液体噴射ヘッド26の分解斜視図であり、図3は、図2におけるIII-III線の断面図である。図2に例示される通り、X-Y平面に垂直な方向を以下ではZ方向と表記する。各液体噴射ヘッド26によるインクの噴射方向がZ方向に相当する。典型的には鉛直方向がZ方向である。X-Y平面は、例えば媒体12の表面に平行な平面である。
図2および図3に例示される通り、液体噴射ヘッド26は、ノズルNから液体を噴射させる噴射部40を具備する。噴射部40は、流路基板32と圧力室基板34と振動板36と複数の圧電素子38とノズル板46と吸振体48とを具備する。流路基板32は、Y方向に長尺な略矩形状の板状部材である。流路基板32のうちZ方向における負側の面上に、圧力室基板34と振動板36と複数の圧電素子38と筐体部42と保護基板44とが設置される。他方、流路基板32のうちZ方向における正側の面上に、が設置される。液体噴射ヘッド26の各要素は、概略的には流路基板32と同様にY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤を利用して相互に接合される。
図2に例示される通り、ノズル板46は、Y方向に配列する複数のノズルNが形成された板状部材である。各ノズルNは、インクが通過する貫通孔である。なお、流路基板32と圧力室基板34とノズル板46とは、例えばシリコン(Si)の単結晶基板をエッチング等の半導体製造技術により加工することで形成される。ただし、液体噴射ヘッド26の各要素の材料や製法は任意である。Y方向は、複数のノズルNが配列する方向とも換言され得る。
流路基板32は、インクの流路を形成するための板状部材である。図2および図3に例示される通り、流路基板32には、開口部322と供給流路324と連通流路326とが形成される。開口部322は、複数のノズルNにわたり連続するようにZ方向からの平面視でY方向に沿う長尺状に形成された貫通孔である。他方、供給流路324および連通流路326は、ノズルN毎に個別に形成された貫通孔であり、ノズルNと圧力室Cとを連通する。また、図3に例示される通り、流路基板32のうちZ方向における正側の表面には、複数の供給流路324にわたる中継流路328が形成される。中継流路328は、開口部322と複数の供給流路324とを連通させる流路である。
筐体部42は、例えば樹脂材料の射出成形で製造された構造体であり、流路基板32のうちZ方向における負側の表面に固定される。図3に例示される通り、筐体部42には収容部422と導入口424とが形成される。収容部422は、流路基板32の開口部322に対応した外形の凹部であり、導入口424は、収容部422に連通する貫通孔である。図3から理解される通り、流路基板32の開口部322と筐体部42の収容部422とを相互に連通させた空間が液体貯留室(リザーバー)Rとして機能する。液体容器14から供給されて導入口424を通過したインクが液体貯留室Rに貯留される。
吸振体48は、液体貯留室R内の圧力変動を吸収するための要素であり、例えば弾性変形が可能な可撓性のシート部材(コンプライアンス基板)を含んで構成される。具体的には、流路基板32の開口部322と中継流路328と複数の供給流路324とを閉塞して液体貯留室Rの底面を構成するように、流路基板32のうちZ方向における正側の表面に吸振体48が設置される。
図2および図3に例示される通り、圧力室基板34は、相異なるノズルNに対応する複数の圧力室Cが形成された板状部材である。複数の圧力室Cは、Y方向に沿って配列する。各圧力室C(キャビティ)は、平面視でX方向に沿う長尺状の開口である。X方向の正側における圧力室Cの端部は平面視で流路基板32の1個の供給流路324に重なり、X方向の負側における圧力室Cの端部は平面視で流路基板32の1個の連通流路326に重なる。
圧力室基板34のうち流路基板32とは反対側の表面には振動板36が設置される。振動板36は、弾性的に変形可能な板状部材である。例えば、振動板36は、酸化ケイ素(SiO)で形成された第1層と酸化ジルコニウム(ZrO)で形成された第2層との積層で構成される。
図3から理解される通り、流路基板32と振動板36とは、各圧力室Cの内側で相互に間隔をあけて対向する。圧力室Cは、流路基板32と振動板36との間に位置し、当該圧力室C内に充填されたインクに圧力を付与するための空間である。液体貯留室Rに貯留されたインクは、中継流路328から各供給流路324に分岐して複数の圧力室Cに並列に供給および充填される。圧力室Cは、流路基板32を介してノズルNと連通する。以上の説明から理解される通り、振動板36は、圧力室Cの一部の壁面を構成する。具体的には、圧力室Cの上面を振動板36が構成する。
図2および図3に例示される通り、振動板36のうち圧力室Cとは反対側の表面(すなわち第2振動層362の表面)には、相異なるノズルNに対応する複数の圧電素子38が設置される。各圧電素子38は、圧力室Cの圧力を変動させる駆動素子である。具体的には、圧電素子38は、駆動波形の供給により変形するアクチュエーターであり、平面視でX方向に沿う長尺状に形成される。複数の圧電素子38は、複数の圧力室Cに対応するようにY方向に配列する。圧電素子38の変形に連動して振動板36が振動すると、圧力室C内の圧力が変動することで、圧力室Cに充填されたインクが連通流路326とノズルNとを通過して噴射される。
図2および図3の保護基板44は、複数の圧電素子38を保護するとともに圧力室基板34および振動板36の機械的な強度を補強する板状部材である。すなわち、噴射部40のうち複数のノズルNとは反対側に保護基板44が設置される。保護基板44と振動板36との間に複数の圧電素子38が設置される。保護基板44は、例えばシリコン(Si)で形成される。第1実施形態では、保護基板44と振動板36との間隔Dは、振動板36に平行な方向(すなわちY方向)にわたり一定である。保護基板44と振動板36との間隔Dは、保護基板44のうち噴射部40側の表面から、振動板36のうち噴射部40側の表面までの距離である。
図3に例示される通り、振動板36の表面には、例えば配線基板50が接合される。配線基板50は、制御ユニット20または電源回路(図示略)と液体噴射ヘッド26とを電気的に接続するための複数の配線(図示略)が形成された実装部品である。例えばFPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板50が好適に採用される。図3に例示される通り、液体噴射ヘッド26は、配線基板50に実装される駆動回路62を具備する。駆動回路62は、圧電素子38を駆動するための電圧を各圧電素子38に供給する。
図4は、図3におけるIV-IV線の断面図である。図4に例示される通り、圧電素子38は、概略的には、第1電極51と圧電体層52と第2電極53との積層で構成され薄膜型の能動素子である。なお、本明細書において「要素Aと要素Bとが積層される」という表現は、要素Aと要素Bとが直接的に接触する構成に限定する趣旨ではない。すなわち、要素Aと要素Bとの間に他の要素Cが介在する構成も、「要素Aと要素Bとが積層される」という概念に包含される。また、「要素Aの面上に要素Bが形成される」という表現も同様に、要素Aと要素Bとが直接的に接触する構成には限定されない。すなわち、要素Aの表面に要素Cが形成され、要素Cの表面に要素Bが形成された構成でも、要素Aと要素Bとの少なくとも一部が平面視で重なる構成であれば、「要素Aの面上に要素Bが形成される」という概念に包含される。
第1電極51は、振動板36の面上に形成される。第1電極51は、圧電素子38毎に相互に離間して形成された個別電極である。具体的には、X方向に延在する複数の第1電極51が、相互に間隔をあけてY方向に配列する。各圧電素子38の第1電極51には、当該圧電素子38に対応するノズルNからのインクの噴射を制御するための駆動波形が配線基板50を介して印加される。圧電体層52は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛等の強誘電性の圧電材料により第1電極51の面上に形成される。第2電極53は、圧電体層52の面上に形成される。具体的には、第2電極53は、複数の圧電素子38にわたり連続するようにY方向に延在する帯状の共通電極である。第2電極53には所定の基準電圧が印加される。
第1電極51に供給される駆動波形と第2電極53に印加される基準電圧との電圧差に応じて圧電体層52が変形する。すなわち、第1電極51と第2電極53とが圧電体層52を挟んで相互に対向する部分が圧電素子38として機能する。圧力室C毎に圧電素子38が個別に形成される。具体的には、X方向に長尺状に形成された複数の圧電素子38が、相互に間隔をあけてY方向に配列する。各圧電素子38のY方向の寸法(すなわち幅)は、圧力室CのY方向の寸法を下回る。
図4に例示される通り、圧力室基板34は、相互に隣り合う圧力室C間を隔てる壁部341を具備する。壁部341は、第1壁部の例示である。第1実施形態では、壁部341の幅W1は、Z方向の全体にわたり一定である。壁部341のうちY方向の寸法が壁部341の幅W1である。
液体噴射ヘッド26は、保護基板44のうち噴射部40側の表面から当該噴射部40にかけて形成される支持部60を具備する。支持部60のうち噴射部40側の表面が、噴射部40の表面に例えば接着剤で接合される。具体的には、第1実施形態の支持部60は、噴射部40のうち第2電極53の表面に接触する。第1実施形態では、支持部60と保護基板44とは同材料で一体に形成される。
保護基板44に垂直なZ方向からみた平面視において壁部341に重なるように支持部60が形成される。具体的には、保護基板44から圧電素子38の第2電極53の表面にかけて延在する支持部60が形成される。すなわち、支持部60の一方の端部は、保護基板44の表面に接触し、他方の端部は、噴射部40の表面に接触する。具体的には、第2電極53のうち圧電体層52が形成されていない部分の表面に支持部60の他方の端部が接触する。図4に例示される通り、振動板36のうち圧電体層52が形成されていない部分を挟んで、支持部60と壁部341とが相互に対向する。相互に隣り合う支持部60間に圧電素子38が設置される。支持部60の熱伝導率は、圧電体層52の熱伝導率よりも高い。したがって、例えば圧電素子38で発生した熱が支持部60を介して放熱される。
第1実施形態では、支持部60の幅W0は、Z方向の全体にわたり一定である。支持部60におけるY方向の寸法が支持部60の幅W0である。図4に例示される通り、支持部60の幅W0は、壁部341の幅W1よりも大きい。Z方向からみて、支持部60のうちY方向の一方側の壁面と他方側の壁面との間に壁部341が位置する。
流路基板32は、相互に隣り合う連通流路326間を隔てる壁部321を具備する。壁部321は、第2壁部の例示である。保護基板44に垂直なZ方向からみた平面視において壁部341に重なるように壁部321が形成される。壁部341の一方の端部(Z方向の負側の端部)が振動板36に接触し、他方の端部(Z方向の正側の端部)が壁部321に接触する。第1実施形態では、壁部321の幅W2は、Z方向の全体にわたり一定である。壁部321におけるY方向の寸法が壁部321の幅W2である。図4に例示される通り、壁部321の幅W2は、壁部341の幅W1よりも大きい。Z方向からみて、壁部321のうちY方向の一方側の壁面と他方側の壁面との間に壁部341が位置する。すなわち、第1実施形態では、Z方向からの平面視において、壁部341が全体にわたり支持部60および壁部321に重なる。
相互に隣り合う任意の2つの圧力室Cは、液体を噴射する第1ノズルに連通する第1圧力室と、液体を噴射する第2ノズルに連通する第2圧力室として表現される。また、相互の隣り合う2つの連通流路326は、第1ノズルと第1圧力室とを連通する第1連通流路と、第2ノズルと第2圧力室とを連通する第2連通流路として表現される。すなわち、第1実施形態の噴射部40は、第1圧力室と、第2圧力室と、第1圧力室の圧力を変動させる第1駆動素子と、第2圧力室の圧力を変動させる第2駆動素子と、第1圧力室と第2圧力室との間を隔てる壁部341と、第1連通流路と、第2連通流路と、第1連通流路と第2連通流路の間を隔てる壁部321とを含む要素として表現される。
ここで、液体噴射ヘッド26に支持部60が存在しない構成(以下「比較例1」という)では、圧力室C内の圧力の変動により壁部341が変形し、当該壁部341を挟んで隣り合う圧力室Cにクロストークが発生する。クロストークの発生により噴射特性に誤差が生じる。それに対して、第1実施形態では、保護基板44に垂直な方向からみた平面視において壁部341に重なる支持部60が形成されるから、壁部341の変形を支持部60により抑制できる。すなわち、壁部341が支持部60により支持される。したがって、比較例1と比較して、相互に隣り合う圧力室Cで発生するクロストークが低減される。
第1実施形態では特に、支持部60の幅W0が壁部341の幅W1よりも大きいから、支持部60の幅W0が壁部341の幅W1より小さい構成と比較して、壁部341の変形を抑制できるという効果が顕著である。また、第1実施形態では、保護基板44に垂直なZ方向からみた平面視において壁部341に重なるように壁部321が形成されるから、壁部341の変形が支持部60と壁部321とにより抑制される。したがって、クロストークが低減されるという効果が顕著である。さらに、壁部321の幅W2が壁部341の幅W1よりも大きいから、壁部341の変形を抑制できるという効果が顕著である。ただし、壁部321の幅W2を壁部341の幅W1よりも大きくする構成は必須ではない。
なお、支持部60は、図5に例示される通り、保護基板44と別体に形成してもよい。例えば噴射部40と保護基板44とに接着剤により支持部60が接着される。支持部60は、例えば金属で形成され、保護基板44よりも硬質である。具体的には、支持部60のヤング率は、保護基板44のヤング率よりも大きい。以上の構成によれば、壁部341の変形を抑制できるという効果が顕著である。ただし、支持部60が保護基板44よりも軟質であってもよい。また、光を照射することで硬化する感光性樹脂により支持部60を形成してもよい。支持部60を感光性樹脂により形成する構成によれば、保護基板44に対する支持部60の位置を高精度に定めることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図6は、第2実施形態に係る液体噴射ヘッド26の断面図である。支持部60以外の構成については、第1実施形態と同様である。図6に例示される通り、第2実施形態の支持部60は、第1部分61と第2部分62とを含む。支持部60のうち噴射部40側に第1部分61が位置し、支持部60のうち保護基板44側に第2部分62が位置する。第1部分61は、支持部60のうち噴射部40の表面に接触する部分である。第2部分62は、支持部60のうち保護基板44の表面に接触する部分である。噴射部40の表面から保護基板44までの途中にわたり第1部分61が形成される。具体的には、振動板36の表面に対する第1部分61の上面の高さ(すなわちZ方向の位置)が、振動板36の表面に対する圧電素子38の上面の高さを下回るように、噴射部40の表面から第1部分61が形成される。他方、第1部分61の表面から保護基板44の表面にかけて第2部分62が形成される。第1部分61の幅Waは、Z方向の全体にわたり一定であり、壁部341の幅W1よりも大きい。第2部分62の幅Wbは、Z方向の全体にわたり一定であり、第1部分61の幅Waよりも小さい。ただし、第2部分62の幅Wbと壁部341の幅Waとの大小関係は任意である。第1部分61の形成には、例えばスパッタリングまたはめっき加工等の公知の成膜技術が採用される。第2部分62と保護基板44とは一体に形成される。なお、第2部分62と保護基板44とを別体に形成してもよい。
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。例えば支持部60のうち噴射部40の表面に接触する第1部分61の幅Waが壁部341の幅W1よりも小さい構成(以下「比較例2」という)では、壁部341の変形を十分に抑制できないという問題がある。それに対して、支持部60のうち噴射部40の表面に接触する第1部分61の幅Waが壁部341の幅W1よりも大きい第2実施形態の構成によれば、比較例2と比較して、壁部341の変形を十分に抑制できる。したがって、クロストークを低減できる。以上の説明から理解される通り、クロストークを低減するという観点からは、支持部60のうち噴射部40の表面に接触する第1部分61の幅Waが壁部341の幅W1よりも大きい構成であれば、支持部60の全体にわたり幅が壁部341の幅W1よりも大きいことは必須ではない。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る液体噴射ヘッド26の断面図である。図7に例示される通り、第3実施形態の支持部60は、第2実施形態と同様に、第1部分61と第2部分62とを含む。ただし、第3実施形態では、振動板36の表面に対する第1部分61の上面の高さ(すなわちZ方向の位置)が、振動板36の表面に対する圧電素子38の上面の高さを上回るように、噴射部40の表面から第1部分61が形成される。第1部分61は、第2部分62とは別体で形成されて噴射部40の表面に接合される。第3実施形態においても第2実施形態と同様の効果が実現される。
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態に係る液体噴射ヘッド26の断面図である。第1実施形態では、保護基板44と振動板36との間隔がY方向に沿って一定である構成を例示したが、第2実施形態では、保護基板44と振動板36との間隔DがY方向に沿って変化する構成を例示する。間隔Dは、Y方向に沿って支持部60から離れた位置ほど大きい。具体的には、間隔Dは、支持部60側において最小になり、圧電素子38の中心部分において最大になる。例えば、図8に例示される通り、支持部60側から圧電素子38の中心部分にかけて曲線に沿って間隔Dが大きくなる。したがって、相互に隣り合う支持部60間において、一方の支持部60側から他方の支持部60側にかけて保護基板44のうち噴射部40側の表面が円弧状の曲面になるように間隔Dが設定される。
第4実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第4実施形態では、Y方向に沿って支持部60から離れた位置ほど間隔Dが大きいから、圧電素子38を収容する空間を十分に確保しつつ、壁部341の変形を支持部60が抑制できる。なお、Y方向に沿って支持部60から離れた位置ほど大きくなるように間隔Dが設定されれば、例えば、支持部60側から圧電素子38の中心部分にかけて段階的に間隔Dが大きくなる構成、または、支持部60から圧電素子38の中心部分にかけて直線的に間隔Dが大きくなる構成でもよい。
<第5実施形態>
図9は、圧電素子38の第1電極51に供給される駆動波形Pと、圧電素子38の第2電極53に印加される基準電圧Vaとの波形図である。図9に例示される通り、駆動波形Pは、基準電圧Vaとは異なる電圧Vbから電圧が変動する波形である。具体的には、駆動波形Pは、電圧Vbに維持される期間と、電圧Vbから変動した電圧Vcに維持される期間とを含む。基準電圧Vaは、第1電圧の例示であり、電圧Vbは、第2電圧の例示である。駆動波形Pおよび基準電圧Vaは、駆動回路62から各圧電素子38に供給される。
基準電圧Vaと電圧Vbとの差分に相当する電圧δVが定常的に、各圧電素子38の第1電極51と第2電極53との間に印加される。電圧δVの印加による圧電素子38の変形により、壁部341には定常的に引張または圧縮の応力が作用している状態にある。したがって、駆動波形Pの供給時以外には圧電素子38に電圧が印加されない構成と比較して、相互に隣り合う2個の圧電素子38の一方に駆動波形Pを供給して他方に駆動波形Pを供給しない場合に、壁部341が変形し易い。すなわち、クロストークが発生し易い。したがって、壁部341の変形が抑制される構成は、第5実施形態の構成に特に有効である。
<第6実施形態>
第6実施形態の液体噴射装置100は、複数の液体噴射ヘッド26を具備する。各液体噴射ヘッド26の構成は、前述の各形態と同様である。図10は、第6実施形態に係る複数の液体噴射ヘッド26をZ方向の負側からみた場合の平面図である。第6実施形態では、液体噴射ヘッド26におけるノズルNが配列するY方向に交差するX方向に沿って、複数の液体噴射ヘッド26が併設される。各液体噴射ヘッド26は、複数のノズルNが形成される噴射面Sを有する。すなわち、ノズル板46における圧力室Cとは反対側の面が噴射面Sである。
図10に例示される通り、第6実施形態の液体噴射装置100は、噴射面Sに付着したインクを払拭する払拭部80を具備する。液体噴射ヘッド26のクリーニングに払拭部80が利用される。例えば弾性材料により長方形状に成形された板状部材が払拭部80として利用される。払拭部80は、噴射面Sに接触した状態で当該噴射面Sのインクを払拭する。制御ユニット20は、液体吐出ヘッド26の噴射面Sに接触した払拭部80を、噴射面Sに対してX方向に沿って相対的に移動させる。したがって、噴射面Sの全域に付着したインクが払拭部80により払拭される。
払拭部80が噴射面Sのインクを払拭する動作において、払拭部80により噴射面Sが押圧されることで振動板36または圧電素子38が変形する可能性がある。第6実施形態の液体噴射ヘッド26には支持部60が形成されるから、払拭部80が噴射面Sのインクを払拭する場合に、振動板36または圧電素子38の変形を抑制することができる。また、液体噴射装置100が具備する液体噴射ヘッド26の個数が複数である第6実施形態の構成によれば、液体噴射装置100が具備する液体噴射ヘッド26の個数が1個である構成と比較して、液体噴射装置100の強度が高くなるという利点がある。
<第7実施形態>
第7実施形態の液体噴射装置100は、第6実施形態と同様に、複数の液体噴射ヘッド26を具備する。図11は、第7実施形態に係る複数の液体噴射ヘッド26をZ方向の負側からみた場合の平面図である。図11に例示される通り、第7実施形態の液体噴射装置100は、封止体91とポンプ92とを具備する。封止体91およびポンプ92は、液体噴射ヘッド26のクリーニングに利用される。封止体91は、噴射面Sに当接することで各液体噴射ヘッド26の複数のノズルNを封止する。例えば噴射面Sに密着する弾性体が封止体91として利用される。複数の液体噴射ヘッド26が封止体91の内周面の内側に位置するように、当該封止体91が噴射面Sに当接する。ポンプ92は、封止体91の内部を吸引する。具体的には、ポンプ92は、封止体91が各液体噴射ヘッド26のノズルNを封止した状態で、当該液体吐出ヘッド26の内部のインクを吸引する。したがって、複数のノズルNからインクを強制的に排出させることができる。なお、液体噴射ヘッド26内のインクの乾燥を防止するために、液体噴射装置100が印刷を停止している待機状態においても封止体91により噴射面Sを封止してもよい。
封止体91およびポンプ92によりノズルNからインクを強制的に排出させる動作では、ポンプ92による吸引により振動板36または圧電素子38が変形する可能性がある。第7実施形態の液体噴射ヘッド26には支持部60が形成されるから、インクを強制的に排出させる場合に、振動板36または圧電素子38の変形を抑制することができる。
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)前述の各形態において、噴射部40の構成は任意である。例えば、流路基板32、圧力室基板34、振動板36および圧電素子38とは異なる他の要素を含む構成、または、流路基板32および圧力室基板34が一体の構成も採用される。
また、前述の各形態では、第1電極51が個別電極であり第2電極53が共通電極である構成を例示したが、第1電極51を、複数の圧電素子38にわたり連続する共通電極とし、第2電極53を圧電素子38毎に個別の個別電極としてもよい。また、第1電極51および第2電極53の双方を個別電極としてもよい。第1電極51を共通電極とし、第2電極53を個別電極とする構成では、支持部60は第1電極51の表面に接触する。また、第1電極51および第2電極53の双方を個別電極とする構成では、支持部60は振動板36の表面に接触する。以上の説明から理解される通り、噴射部40のうち支持部60が接触する部分は、噴射部40の構成に応じて適宜に変更し得る。
(2)前述の各形態において、支持部60のうち噴射部40に接触する部分の幅が壁部341の幅W1よりも大きければ、支持部60の形状は任意である。例えば、噴射部40側から保護基板44側にかけて幅W0が連続的または段階的に増加する形状でもよい。また、支持部60のうち噴射部40に接触する部分以外の幅W0が壁部341の幅W1よりも小さい構成も採用される。
(3)第2実施形態および第3実施形態では、支持部60を第1部分61および第2部分62で構成したが、第1部分61および第2部分62とは異なる要素を支持部60が含んでもよい。
(4)圧力室C内の液体(例えばインク)をノズルNから噴射させる駆動素子は、前述の各形態で例示した圧電素子38に限定されない。例えば、加熱により圧力室Cの内部に気泡を発生させて圧力を変動させる発熱素子を駆動素子として利用することも可能である。以上の例示から理解される通り、駆動素子は、圧力室C内の液体をノズルNから噴射させる要素(典型的には圧力室Cの内部に圧力を付与する要素)として包括的に表現され、動作方式(圧電方式/熱方式)や具体的な構成の如何は不問である。
(5)前述の各形態では、液体噴射ヘッド26を搭載した搬送体242を往復させるシリアル方式の液体噴射装置100を例示したが、複数のノズルNが媒体12の全幅にわたり分布するライン方式の液体噴射装置にも本発明を適用することが可能である。
(6)前述の各形態で例示した液体噴射装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体噴射装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。
100…液体噴射装置、12…媒体、14…液体容器、20…制御ユニット、22…搬送機構、24…移動機構、242…搬送体、244…搬送ベルト、26…液体噴射ヘッド、32…流路基板、321…壁部、322…開口部、324…供給流路、326…連通流路、328…中継流路、34…圧力室基板、341…壁部、36…振動板、362…振動層、38…圧電素子、40…噴射部、42…筐体部、422…収容部、424…導入口、44…保護基板、46…ノズル板、48…吸振体、50…配線基板、51…第1電極、52…圧電体層、53…第2電極、60…支持部、80…払拭部、91…封止体、92…ポンプ。

Claims (11)

  1. 液体を噴射する第1ノズルに連通する第1圧力室と、
    液体を噴射する第2ノズルに連通する第2圧力室と、
    前記第1圧力室と前記第2圧力室との間を隔てる第1壁部と、
    前記第1圧力室の圧力を変動させる第1駆動素子と、
    前記第2圧力室の圧力を変動させる第2駆動素子とを含む噴射部と、
    前記噴射部のうち前記第1ノズルおよび前記第2ノズルとは反対側に設置される保護基板と、
    前記保護基板のうち前記噴射部側の表面から当該噴射部にかけて形成される支持部とを具備し、
    前記支持部は、前記保護基板に垂直な方向からみた平面視において前記第1壁部に重なり、前記支持部のうち前記噴射部の表面に接触する部分の幅は、前記第1壁部の幅よりも大きい
    液体噴射ヘッド。
  2. 前記支持部は、前記保護基板よりもヤング率が大きい
    請求項1の液体噴射ヘッド。
  3. 前記噴射部は、前記第1圧力室および前記第2圧力室の壁面の一部を構成する振動板を含み、
    前記保護基板と前記振動板との間隔は、前記振動板に平行な方向に沿って前記支持部から離れた位置ほど大きい
    請求項1または請求項2の液体噴射ヘッド。
  4. 前記噴射部は、
    前記第1ノズルと前記第1圧力室とを連通する第1連通流路と、
    前記第2ノズルと前記第2圧力室とを連通する第2連通流路と、
    前記第1連通流路と前記第2連通流路との間を隔てる第2壁部とを含み、
    前記第2壁部は、前記保護基板に垂直な方向からみた平面視において前記壁部に重なり、前記第2壁部のうち前記噴射部に接触する部分の幅は、前記壁部の幅よりも大きい
    請求項1から請求項3の何れかの液体噴射ヘッド。
  5. 前記第1圧電素子および前記第2圧電素子は、第1電極と圧電体層と第2電極とが
    積層された薄膜型の圧電素子であり、
    前記第1電極および前記第2電極の一方には、第1電圧が供給され、
    前記第1電極および前記第2電極の他方には、前記第1電圧とは異なる第2電圧か
    ら電圧が変動する駆動波形が供給される
    請求項1から請求項4の何れかの液体噴射ヘッド。
  6. 前記支持部は、前記圧電体層よりも熱伝導率が高い
    請求項5の液体噴射ヘッド。
  7. 前記支持部は、感光性樹脂により形成される
    請求項1から請求項6の何れかの液体噴射ヘッド。
  8. 請求項1から請求項7の何れかに記載された1以上の液体噴射ヘッドと、
    前記液体噴射ヘッドを駆動する駆動回路と
    を具備する液体噴射装置。
  9. 前記液体噴射ヘッドは、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルが形成される噴射面を有し、
    前記噴射面に付着した前記液体を払拭する払拭部を具備する
    請求項8の液体噴射装置。
  10. 前記液体噴射ヘッドは、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルが形成される噴射面を有し、
    噴射面に当接することで前記第1ノズルおよび前記第2ノズルを封止する封止体と、
    前記封止体の内部を吸引するポンプとを具備する
    請求項8の液体噴射装置。
  11. 前記1以上の液体噴射ヘッドは、複数の液体噴射ヘッドであり、
    前記第1ノズルと第2ノズルとが配列する方向に交差する方向に沿って前記複数の液体噴射ヘッドが併設される
    請求項8から請求項10の何れかの液体噴射装置。
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