JP2019155815A - 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境温度が高温に変化した場合に、各部材間の剥離の抑制と各部材の変形の抑制との双方を両立する。【解決手段】液体を噴射するノズルが形成されたノズル板と、前記ノズルに連通する圧力室が形成された流路基板とを含む液体噴射ユニットと、前記流路基板を挟んで前記ノズル板とは反対側に位置し、前記液体噴射ユニットが固定された固定板とを具備する液体噴射ヘッドであって、第1樹脂材料で形成された第1部分と、第2樹脂材料で形成された第2部分とを平面視で異なる位置に含み、前記固定板の表面と液体噴射ユニットの側面とに接触する被覆部を有し、前記第2樹脂材料は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い液体噴射ヘッド。【選択図】図2
Description
本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
インク等の液体を複数のノズルから噴射する液体噴射ヘッドが従来から提案されている。例えば特許文献1には、インク噴射ユニットと、当該インク噴射ユニットが接合されるヘッドケースとを具備する液体噴射ヘッドが開示されている。インク噴射ユニットは、ノズルが形成されたノズルプレートと、圧力室が形成された流路形成基板と、振動板とを含む。ヘッドケースの下面に接合されたインク噴射ユニットの外周に沿って接着剤が塗布されている。
特許文献1の技術のもとでは、接着剤に接触する各部材の線膨張係数が相違するため、例えば環境温度が高温に変化すると、各部材に影響が発生する。具体的には、接着剤が硬質である場合には、各部材の熱変形が接着剤により制限されることで各部材間に剥離が発生する。一方で、接着剤が軟質である場合には、各部材が接着剤により制限されることなく変形する。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体噴射ヘッドは、液体を噴射するノズルが形成されたノズル板と、前記ノズルに連通する圧力室が形成された流路基板とを含む液体噴射ユニットと、前記流路基板を挟んで前記ノズル板とは反対側に位置し、前記液体噴射ユニットが固定された固定板とを具備する液体噴射ヘッドであって、第1樹脂材料で形成された第1部分と、第2樹脂材料で形成された第2部分とを平面視で異なる位置に含み、前記固定板の表面と液体噴射ユニットの側面とに接触する被覆部を有し、前記第2樹脂材料は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置100を例示する構成図である。第1実施形態の液体噴射装置100は、液体の例示であるインクを媒体12に噴射するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体12として利用される。図1に例示される通り、液体噴射装置100には、インクを貯留する液体容器14が設置される。例えば液体噴射装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、または、インクを補充可能なインクタンクが液体容器14として利用される。色彩が相違する複数種のインクが液体容器14には貯留される。
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置100を例示する構成図である。第1実施形態の液体噴射装置100は、液体の例示であるインクを媒体12に噴射するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体12として利用される。図1に例示される通り、液体噴射装置100には、インクを貯留する液体容器14が設置される。例えば液体噴射装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、または、インクを補充可能なインクタンクが液体容器14として利用される。色彩が相違する複数種のインクが液体容器14には貯留される。
図1に例示される通り、液体噴射装置100は、制御ユニット20と搬送機構22と移動機構24と液体噴射ヘッド26とを具備する。制御ユニット20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field
Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体噴射装置100の各要素を統括的に制御する。搬送機構22は、制御ユニット20による制御のもとで媒体12をY方向に搬送する。
Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体噴射装置100の各要素を統括的に制御する。搬送機構22は、制御ユニット20による制御のもとで媒体12をY方向に搬送する。
移動機構24は、制御ユニット20による制御のもとで液体噴射ヘッド26をX方向に往復させる。X方向は、媒体12が搬送されるY方向に交差(典型的には直交)する方向である。第1実施形態の移動機構24は、液体噴射ヘッド26を収容する略箱型の搬送体242(キャリッジ)と、搬送体242が固定された搬送ベルト244とを具備する。なお、複数の液体噴射ヘッド26を搬送体242に搭載した構成や、液体容器14を液体噴射ヘッド26とともに搬送体242に搭載した構成も採用され得る。
液体噴射ヘッド26は、液体容器14から供給されるインクを制御ユニット20による制御のもとで複数のノズル(噴射孔)Nから媒体12に噴射する。搬送機構22による媒体12の搬送と搬送体242の反復的な往復とに並行して液体噴射ヘッド26が媒体12にインクを噴射することで、媒体12の表面に所望の画像が形成される。なお、X-Y平面(例えば媒体12の表面に平行な平面)に垂直な方向を以下ではZ方向と表記する。液体噴射ヘッド26によるインクの噴射方向(典型的には鉛直方向)がZ方向に相当する。
図2は、Z方向の正側(媒体12側)からみた液体噴射ヘッド26の平面図であり、図3は、図2におけるIII−III線の断面図である。図2に例示される通り、液体噴射ヘッド26は、Y方向に配列された複数のノズルNを具備する。第1実施形態の複数のノズルNは、X方向に相互に間隔をあけて並列された第1列L1と第2列L2とに区分される。第1列L1および第2列L2の各々は、Y方向に直線状に配列された複数のノズルNの集合である。なお、第1列L1と第2列L2との間で各ノズルNのY方向の位置を相違させること(すなわち千鳥配置またはスタガ配置)も可能であるが、第1列L1と第2列L2とで各ノズルNのY方向の位置を一致させた構成を以下では便宜的に例示する。図3から理解される通り、第1実施形態の液体噴射ヘッド26は、第1列L1の各ノズルNに関連する要素と第2列L2の各ノズルNに関連する要素とが略線対称に配置された構造である。
図3に例示される通り、液体噴射ヘッド26は、流路基板30を具備する。流路基板30は、複数のノズルNにインクを供給するための流路を形成する構造体である。流路基板30は、Y方向に長尺な板状部材である。流路基板30におけるZ方向の負側の表面に、例えば接着剤により振動板40が設置される。他方、流路基板30におけるZ方向の正側には、ノズル板50が設置される。液体噴射ヘッド26の各要素は、概略的には流路基板30と同様にY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤を利用して相互に接合される。
ノズル板50は、複数のノズルNが形成された板状部材である。複数のノズルNの各々は、インクを通過させる円形状の貫通孔である。第1実施形態のノズル板50には、第1列L1を構成する複数のノズルNと第2列L2を構成する複数のノズルNとが形成される。例えば半導体製造技術(例えばドライエッチングやウェットエッチング等の加工技術)を利用して、ステンレス鋼(SUS:Steel Special Use Stainless)の基板を加工することで、ノズル板50が製造される。ただし、ノズル板50の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図3に例示される通り、流路基板30には、液体貯留室Raと供給流路31と圧力室C(キャビティ)と連通流路33とが、第1列L1および第2列L2の各々について形成される。液体貯留室Raは、複数のノズルNにわたり連続する空間(共通液室)である。供給流路31と圧力室Cと連通流路33とは、ノズルN毎に個別に形成される。流路基板30は、例えば半導体製造技術を利用してシリコン(Si)の単結晶基板を加工することで製造される。ただし、流路基板30の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
液体貯留室Raは、平面視で(すなわちZ方向からみて)Y方向に沿う長尺状に形成された開口であり、複数の圧力室Cに供給されるインクを貯留するリザーバとして機能する。圧力室Cは、流路基板30のうち振動板40側(Z方向の負側)の表面に形成されて、平面視でX方向に沿う長尺状の空間である。液体貯留室Raと圧力室Cとは、供給流路31を介して相互に連通する。供給流路31は、流路基板30のうち振動板40側(Z方向の負側)の表面に形成されて、平面視でX方向に沿う長尺状の空間である。供給流路31の流路幅(Y方向およびZ方向の寸法)は、圧力室Cの流路幅よりも小さい。
圧力室CとノズルNとは、連通流路33を介して相互に連通する。連通流路33は、圧力室Cの底面から流路基板30におけるノズル板50側(Z方向の正側)の表面まで形成されて、断面視で(すなわちY方向からみて)Z方向に沿う長尺状の空間である。連通流路33は、当該連通流路33に対応する1個のノズルNに平面視で重なる。以上の説明から理解される通り、圧力室Cは、連通流路33を介してノズルNに連通し、かつ、供給流路31を介して液体貯留室Raに連通する。
図3に例示される通り、流路基板30においてノズル板50とは反対側の表面に振動板40が設置される。第1実施形態の振動板40は、弾性的に振動可能な板状部材である。ノズル板50と流路基板30と振動板40とを積層した要素は、液体噴射ユニット200として機能する。ノズル板50と流路基板30と振動板40とは、平面視で周縁が一致する。図2に例示される通り、液体噴射ユニット200の平面形状は、X方向に沿う2つの短辺(第2辺の例示)と、Y方向に沿う2つの長辺(第1辺の例示)とで画定される矩形Kである。前述の第1列L1と第2列L2とは、矩形Kの短辺の方向(すなわちX方向)に間隔をあけて並列され、各列(L1,L2)に含まれる複数のノズルNは、矩形Kの長辺の方向(すなわちY方向)に沿って配列される。
図3に例示される通り、振動板40のうち圧力室Cとは反対側の面上には、第1列L1および第2列L2の各々について、相異なるノズルNに対応する複数の圧電素子41が形成される。各圧電素子41は、制御ユニット20から供給される駆動信号により変形する受動素子である。第1実施形態の圧電素子41は、Z方向に沿う長尺状であり、Z方向に伸縮する。
図3に例示される通り、液体噴射ユニット200は固定板60の表面に設置される。固定板60は、液体噴射ユニット200と圧電素子41とを固定するための板状部材であり、流路基板30を挟んでノズル板50とは反対側に位置する。振動板40のうち圧力室Cとは反対側の表面が固定板60に固定される。固定板60には、振動板40に設置された圧電素子41を収容するための空間Rbが形成される。圧電素子41は、空間Rbの内部において支持部43を介して固定板60に固定される。圧電素子41のうち支持部43とは反対側の端部が振動板40に当接する。なお、固定板60は、前述のノズル板50と同様に、例えば半導体製造技術を利用してステンレス鋼(SUS)の基板を加工することで製造される。ただし、固定板60の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図2に例示される通り、固定板60は、平面視で液体噴射ユニット200(ノズル板50)よりも大きい。平面視で液体噴射ユニット200の周縁と固定板60の周縁との間に液体噴射ユニット200の全周にわたり間隔があくように、液体噴射ユニット200と固定板60とは接合される。図2および図3に例示される通り、固定板60のうち液体噴射ユニット200側の表面には、液体噴射ユニット200の周縁に沿って被覆部80が形成される。図2においては被覆部80に便宜的に網掛が付加されている。第1実施形態の被覆部80は、液体噴射ユニット200の全周にわたる環状(具体的には矩形の枠状)に形成される。図3に例示される通り、被覆部80は、固定板60の表面からZ方向の正側に向かって形成される。具体的には、固定板60の表面から液体噴射ユニット200(具体的にはノズル板50)の側面にわたり被覆部80が形成される。すなわち、被覆部80は、固定板60の表面と液体噴射ユニット200の側面とに接触する。被覆部80の高さ(最大値)は、液体噴射ユニット200の高さ(Z方向の寸法)を下回る。
図2に例示される通り、被覆部80は、第1部分81と第2部分82とを平面視で異なる位置に含む。矩形Kにおける一方の対辺に沿って第1部分81が形成され、他方の対辺に沿って第2部分82が形成される。第1実施形態では、第1部分81は、矩形Kの長辺に沿って形成され、第2部分82は、矩形Kの短辺に沿って形成される。第1部分81は、第1樹脂材料で形成される。第2部分82は、第1樹脂材料よりも硬度が低い第2樹脂材料で形成される。第1樹脂材料は、例えばエポキシ系樹脂であり、第2樹脂材料は、例えばシリコン系樹脂である。樹脂材料の硬度は、当該樹脂材料の硬化後の硬さである。なお、矩形Kの各角部は、第1樹脂材料で形成してもよいし、第2樹脂材料で形成してもよい。
ノズル板50と流路基板30と固定板60とは、線膨張係数が相違する。具体的には、ステンレス鋼で形成されたノズル板50と固定板60とは、シリコン単結晶で形成された流路基板30よりも線膨張係数が大きい。なお、ノズル板50と固定板60との線膨張係数の異同は不問である。
図3に例示される通り、液体噴射ヘッド26は、固定板60および液体噴射ユニット200を保護するためのカバー部材70を具備する。図3に例示される通り、カバー部材70は、平板部71と側壁部72とを具備する。平板部71は、X方向に沿う平板状の部材であり、被覆部80を挟んで固定板60とは反対側に位置する。すなわち、平面視で平板部71が固定板60に重なる。平板部71は、被覆部80に接触する。第1実施形態の平板部71は、ノズル板50に対応する外形の開口部Oを有する。図2に例示される通り、ノズル板50に形成された複数のノズルNが開口部Oから露出する。開口部Oは、平面視でノズル板50より大きく、ノズル板50を全面にわたり露出させる。すなわち、平板部71は、平面視でノズル板50の外周を包囲するように環状に形成される。図3に例示される通り、平板部71のうち固定板60とは反対側の表面と、ノズル板50のうち固定板60とは反対側の表面とが同一平面内に位置する。被覆部80は、平板部71の内周と液体噴射ユニット200と外周との間の空間まで充填される。第1実施形態の被覆部80は、平板部71に接触することでカバー部材70の接着にも利用される。
図3に例示される通り、側壁部72は、平板部71からZ方向の負側に延在する平板状の部分であり、液体噴射ユニット200および固定板60の側面に対向する。液体噴射ユニット200および固定板60の側面を包囲するように側壁部72が形成される。
以下、第1実施形態の効果を説明する。図4は、対比例における液体噴射ヘッド26の概略的な断面図である。対比例1と対比例2とについて、環境温度が高温(60℃以上)に変化した場合の液体噴射ヘッド26の状態が図示されている。なお、カバー部材70や振動板40の図示は便宜的に省略した。対比例1および対比例2は、被覆部80が平面視において全体にわたり同一の樹脂材料で形成される構成である。対比例1においては、被覆部80の全体が第2樹脂材料(シリコン系樹脂)で形成される。対比例2においては、被覆部80の全体が第1樹脂材料(エポキシ系樹脂)で形成される。図4に例示される通り、固定板60とノズル板50とは流路基板30を挟んで反対側に位置し、固定板60とノズル板50とは接着材19により流路基板30に固定される。
各部材は、環境温度が高温に変化すると線膨張係数に応じて変形(伸長)する。前述の通り、ノズル板50と固定板60とは、流路基板30よりも線膨張係数が大きい。したがって、環境温度が変化すると、ノズル板50および固定板60は、流路基板30よりも大きく伸長する。
対比例1においては、第2樹脂材料が第1樹脂材料よりも軟質であるため、被覆部80により各部材(流路基板30,ノズル板50,固定板60)の変形が抑制されない。したがって、各部材が伸長する。各部材(特にノズル板50)が伸長すると、ノズルNが変形してノズルN間で吐出特性(吐出量、吐出速度および吐出方向)に誤差が生じる。
それに対して、対比例2においては、第1樹脂材料は第2樹脂材料よりも硬質であるため、固定板60およびノズル板50の伸長を制限するように作用する。したがって、流路基板30とノズル板50との間に剥離が発生する。各部材間に剥離が発生すると、圧電素子41の振動が流路基板30に伝わらないという理由や、圧力室C内の圧力が不安定になるという理由から、ノズルN間で吐出特性に誤差が生じる。以上に説明した通り、対比例1および対比例2では、ノズルNの吐出特性に誤差が発生するから、インクを正確に媒体12に噴射することができず、印刷ムラが発生し得る。
ただし、第2樹脂材料を被覆部80として利用する対比例1のもとでは、各部材の伸長は制限されないものの、各部材間において剥離は発生しない。また、第1樹脂材料を被覆部80として利用する対比例2のもとでは、各部材間における剥離は発生するものの、各部材の変形は制限される。以上の傾向を踏まえて、第1実施形態では、第1樹脂で形成された第1部分81と第2樹脂で形成された第2部分82とを被覆部80が含む構成を採用した。以上の構成によれば、第1部分81により各部材の変形が抑制され、第2部分82により剥離の発生が抑制される。したがって、対比例1および対比例2と比較して、被覆部80に接触する各部材(流路基板30,ノズル板50,固定板60)の線膨張係数が相違する場合でも、環境温度が高温に変化した場合に、各部材間の剥離の抑制と各部材の変形の抑制との双方を両立することが可能である。なお、第1部分81と第2部分82とを被覆部80が含む構成は、ノズル板50と固定板60とが流路基板30よりも線膨張係数が大きい場合に特に有効である。
第1実施形態では特に、液体噴射ユニット200の外形(矩形K)の長辺に沿って第1部分81が形成され、当該矩形Kの短辺に沿って第2部分82が形成されるから、長辺の方向(すなわちY方向)における各部材(液体噴射ユニット200,固定板60)の変形を抑制できる。つまり、矩形Kの長辺の方向におけるノズルNの変形を抑制できる。したがって、第1列L1および第2列L2のそれぞれについて列内のノズルN間における吐出特性の誤差を低減できる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図5は、第2実施形態に係る液体噴射ヘッド26の平面図である。図5に例示される通り、第2実施形態では、第1部分81が矩形Kの短辺(第1辺の例示)に沿って形成され、第2部分82が矩形Kの長辺(第2辺の例示)に沿って形成される。すなわち、第1部分81と第2部分82との位置関係が第1実施形態の被覆部80とは逆である。液体噴射ヘッド26における被覆部80以外の構成は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、各部材間(流路基板30,ノズル板50,固定板60)の剥離の抑制と各部材の変形の抑制との双方を両立することが可能である。第2実施形態では特に、矩形Kの短辺に沿って第1部分81が形成され、矩形Kの長辺に沿って第2部分82が形成されるから、短辺の方向(すなわちX方向)における各部材(液体噴射ユニット200,固定板60)の変形を抑制できる。したがって、例えば第1列L1と第2列L2との間におけるノズルNの吐出特性の誤差を低減できる。
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る液体噴射ヘッド26の平面図であり、図7は、図6におけるVII−VII線の断面図である。第3実施形態の液体噴射ヘッド26は、第1実施形態の液体噴射ヘッド26に壁部90を追加した構成である。図7に例示される通り、固定板60に壁部90が設けられる。壁部90は、固定板60からカバー部材70の平板部71にわたり形成され、被覆部80の外周に接触する。壁部90の高さ(Z方向の寸法)は、液体噴射ユニット200の高さを下回る。図7に例示される通り、壁部90は、固定板60の表面において被覆部80の外周に沿って設けられる。すなわち、液体噴射ユニット200の側面と壁部90との間に被覆部80が形成される。第3実施形態では、被覆部80の全周にわたり壁部90が設けられる。つまり、壁部90が環状(具体的には矩形の枠状)に形成される。例えばシリコン系樹脂またはエポキシ系樹脂等の樹脂材料を固定板60に塗布することで壁部90が形成される。なお、壁部90を部分的に異なる樹脂材料により形成してもよい。
図6は、第3実施形態に係る液体噴射ヘッド26の平面図であり、図7は、図6におけるVII−VII線の断面図である。第3実施形態の液体噴射ヘッド26は、第1実施形態の液体噴射ヘッド26に壁部90を追加した構成である。図7に例示される通り、固定板60に壁部90が設けられる。壁部90は、固定板60からカバー部材70の平板部71にわたり形成され、被覆部80の外周に接触する。壁部90の高さ(Z方向の寸法)は、液体噴射ユニット200の高さを下回る。図7に例示される通り、壁部90は、固定板60の表面において被覆部80の外周に沿って設けられる。すなわち、液体噴射ユニット200の側面と壁部90との間に被覆部80が形成される。第3実施形態では、被覆部80の全周にわたり壁部90が設けられる。つまり、壁部90が環状(具体的には矩形の枠状)に形成される。例えばシリコン系樹脂またはエポキシ系樹脂等の樹脂材料を固定板60に塗布することで壁部90が形成される。なお、壁部90を部分的に異なる樹脂材料により形成してもよい。
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第3実施形態では、液体噴射ユニット200の側面と、固定板60に設けられた壁部90との間に被覆部80が形成されるから、被覆部80を形成するための樹脂材料が固定板60の外に流出することを低減できる。なお、第2実施形態の構成に壁部90を追加した場合にも、同様の効果が得られる。
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)前述の各形態では、第1樹脂材料としてエポキシ系樹脂を例示し、第2樹脂材料としてシリコン系樹脂を例示したが、第1樹脂材料と第2樹脂材料とは以上の例示に限定されない。第2樹脂材料の硬度が第1樹脂材料の硬度よりも低ければ、第1樹脂材料と第2樹脂材料とは任意である。
(2)前述の各形態では、液体噴射ユニット200の平面形状が矩形Kであったが、液体噴射ユニット200の平面形状は以上の例示に限定されない。液体噴射ユニット200の平面形状は、平面視で第1辺と第2辺とを含む複数の辺で画定される形状として包括的に表現される。第1辺に沿って第1部分81が形成され、第2辺に沿って第2部分82が形成される。なお、第1実施形態および第3実施形態では、液体噴射ユニット200の外形である矩形Kの長辺を第1辺として例示し、矩形Kの短辺を第2辺として例示した。第2実施形態では、矩形Kの短辺を第1辺として例示し、矩形Kの長辺を第2辺として例示した。以上の構成では、液体噴射ユニット200の平面形状が第1辺と第2辺とを含む複数の辺で画定され、第1部分81が第1辺に沿って形成され、第2部分82が第2辺に沿って形成されるから、例えば1つの辺に第1部分81と第2部分82とが混在する構成と比較して、第1部分81と第2部分82との形成が容易になるという利点がある。ただし、1つの辺に第1部分81と第2部分82とが混在する構成も、本願の発明に包含される。
(3)前述の各形態では、矩形Kの短辺と長辺とにわけて第1部分81と第2部分82とを形成したが、例えば一方の短辺と一方の長辺とに第1部分81と形成し、他方の短辺と他方の長辺とに第2部分82を形成してもよい。
(4)前述の各形態では、被覆部80が液体噴射ユニット200の全周にわたり形成される構成を例示したが、液体噴射ユニット200の側面において周方向の一部に被覆部80を形成してもよい。例えば、矩形Kの複数の辺のうち一部の辺に第1部分81と第2部分82とを形成してもよい。同様に、第3実施形態では、液体噴射ユニット200の側面において周方向の一部に壁部90を形成してもよい。
(5)前述の各形態において、流路基板30の側面に凸部35を設けてもよい。図8に例示される通り、凸部35は、流路基板30の側面から突出した部分である。例えば流路基板30の全周にわたり凸部35が設けられる。ただし、流路基板30の側面における周方向の一部に凸部35を設けてもよい。なお、流路基板30をエッチングすると、シリコン単結晶の面方位を反映した傾斜面が側面に形成される。この傾斜面を凸部35として利用してもよい。流路基板30の側面に凸部35を設ける構成によれば、被覆部80を液体噴射ヘッド26に強固に固定することが可能である。
(6)第3実施形態では、固定板60に樹脂材料を塗布することで壁部90を形成したが、固定板60と一体に壁部90を形成してもよい。すなわち、固定板60の一部を壁部90として利用してもよい。以上の構成によれば、固定板60と一体に壁部90が形成されるから、固定板60と壁部90とが別体の構成と比較して、壁部90を固定板60に接着する工程が不要になる。また、例えば射出成形により固定板60とは別個に形成された壁部90を固定板60に接合してもよい。固定板60と一体または別体で形成された壁部90の上面に、例えば接着剤によりカバー部材70が接合される。
(7)圧力室C内の液体(例えばインク)をノズルNから噴射させる駆動素子は、前述の各形態で例示した圧電素子41に限定されない。例えば、加熱により圧力室Cの内部に気泡を発生させて圧力を変動させる発熱素子を駆動素子として利用することも可能である。以上の例示から理解される通り、駆動素子は、圧力室C内の液体をノズルNから噴射させる要素(典型的には圧力室Cの内部に圧力を付与する要素)として包括的に表現され、動作方式(圧電方式/熱方式)や具体的な構成の如何は不問である。
(8)前述の各形態では、液体噴射ヘッド26を搭載した搬送体242を往復させるシリアル方式の液体噴射装置100を例示したが、複数のノズルNが媒体12の全幅にわたり分布するライン方式の液体噴射装置にも本発明を適用することが可能である。
(9)前述の各形態で例示した液体噴射装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示パネル等の表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体噴射装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、生体に関する有機物の溶液を噴射する液体噴射装置は、例えばバイオチップを製造する製造装置として利用される。
100…液体噴射装置、200…液体噴射ユニット、12…媒体、14…液体容器、19…接着材、20…制御ユニット、22…搬送機構、24…移動機構、242…搬送体、244…搬送ベルト、26…液体噴射ヘッド、30…流路基板、31…供給流路、33…連通流路、35…凸部、40…振動板、41…圧電素子、43…支持部、50…ノズル板、60…固定板、70…カバー部材、71…平板部、72…側壁部、80…被覆部、81…第部分、82…第2部分82、90…壁部。
Claims (10)
- 液体を噴射するノズルが形成されたノズル板と、前記ノズルに連通する圧力室が形成された流路基板とを含む液体噴射ユニットと、
前記流路基板を挟んで前記ノズル板とは反対側に位置し、前記液体噴射ユニットが固定された固定板と
を具備する液体噴射ヘッドであって、
第1樹脂材料で形成された第1部分と、第2樹脂材料で形成された第2部分とを平面視で異なる位置に含み、前記固定板の表面と液体噴射ユニットの側面とに接触する被覆部を有し、
前記第2樹脂材料は、前記第1樹脂材料よりも硬度が低い
液体噴射ヘッド。 - 前記ノズル板と前記固定板とは、前記流路基板よりも線膨張係数が大きい
請求項1の液体噴射ヘッド。 - 前記液体噴射ユニットの平面形状は、平面視で第1辺と第2辺とを含む複数の辺で画定され、
前記第1部分は、前記第1辺に沿って形成され、前記第2部分は、前記第2辺に沿って形成される
請求項1または請求項2の液体噴射ヘッド。 - 前記ノズル板には、前記第1辺に沿った複数のノズルを含む第1列と第2列とが、前記第2辺の方向に間隔をあけて並列に形成され、
前記液体噴射ユニットの平面形状は、矩形であり、
前記第1辺は、前記矩形の長辺であり、
前記第2辺は、前記矩形の短辺である
請求項3の液体噴射ヘッド。 - 前記ノズル板には、前記第1辺に沿った複数のノズルを含む第1列と第2列とが、前記第2辺の方向に間隔をあけて並列に形成され、
前記液体噴射ユニットの平面形状は、矩形であり、
前記第1辺は、前記矩形の短辺であり、
前記第2辺は、前記矩形の長辺である
請求項3の液体噴射ヘッド。 - 前記固定板に設けられた壁部を具備し、
前記被覆部は、前記液体噴射ユニットの側面と前記壁部との間に形成される
請求項1から請求項5の何れかの液体噴射ヘッド。 - 前記ノズル板に対応する開口部を有し、平面視で前記固定板に重なる平板部を含むカバー部材を具備し、
前記壁部は、前記固定板と前記平板部とにわたり形成される
請求項6の液体噴射ヘッド。 - 前記壁部は、前記固定板と一体に形成される
請求項6または請求項7の液体噴射ヘッド。 - 前記第1樹脂材料は、エポキシ系樹脂であり、
前記第2樹脂材料は、シリコン系樹脂である
請求項1から請求項8の何れかの液体噴射ヘッド。 - 請求項1から請求項9の何れかの液体噴射ヘッドを具備する
液体噴射装置。
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JP2018048233A JP2019155815A (ja) | 2018-03-15 | 2018-03-15 | 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019155815A true JP2019155815A (ja) | 2019-09-19 |
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Family Applications (1)
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JP2018048233A Pending JP2019155815A (ja) | 2018-03-15 | 2018-03-15 | 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2019155815A (ja) |
-
2018
- 2018-03-15 JP JP2018048233A patent/JP2019155815A/ja active Pending
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