JP2020029308A - 金属製キャップ - Google Patents

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Abstract

【課題】キャップ本体とは分離(非接着状態)しながらもキャップ本体に保持されるライナーを、キャップ本体の成形及びライナーの型押成形における一連の作業によって成形可能な金属製キャップを提供すること。【解決手段】キャップ本体2のスカート壁6の上端部に形成された半径方向外側に突出する円弧状のライナー保持部14の下部に保持突起14aを規定し、ライナー3は、キャップ本体2の天面壁5の内面上で、外周突部23がライナー保持部14の内面に接触された状態に押圧型成形され、冷却されると伸縮する層20を含むようにし、この層20が冷却されて外径が低減した状態において、層20の外径は保持突起14aの内径よりも大きくなるようにする。【選択図】 図1

Description

本発明は、シール性及び開封性のよいライナーを備えた金属製キャップに関する。
金属、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂あるいはガラスから形成された飲料用容器の口頸部に装着されるキャップとして、円形天面壁及びこの天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有し、アルミニウム基合金薄板、クロム酸処理鋼薄板或いはブリキ薄板の如き金属薄板から形成されたキャップ本体を具備する金属製キャップが、広く使用されている。
キャップ本体の天面壁の内面には、ポリプロピレンなど合成樹脂から成形されたライナーが配設されている。
このような、金属製キャップは、容器に内容物を充填した後に口頸部に金属製キャップを被嵌し、ライナーを口頸部に押圧させて口頸部を密封した状態で、口頸部の雄螺条に沿ってスカート壁の主部に雌螺条を形成すると共にスカート壁の下端部を半径方向内側に変形せしめて環状あご部に係止させ、かくして口頸部に金属製キャップを装着し、口頸部を密封する。
特許4585126号公報 特開2013−189254号公報
キャップの性能として、開封性及び密封性が要求される。ポリプロピレンなどの合成樹脂製ライナーは、容器の口頸部を密封させるために用いられるが、一般に密封性を良くするとその反面開封性が損なわれ、開封が困難となり、特に回転直前の初期開栓トルクが高くなる。一方、開けやすいように開封性を向上させると、シール力が失われるという、両者は相受け入れないとする性質を有する。
特許文献1によると、金属製キャップのキャップ本体の天面壁の内面に、金属製の円形薄板状の補強部材を設け、補強部材の片面側に合成樹脂製のライナーを型押成形し、天面壁側には、補強部材を天面壁に接着させることなく配設し、容器の口頸部にはライナーを接触させている。よって、合成樹脂製ライナーによって、口頸部の密閉性を維持させ、開封時においては、天面壁の内面と金属製補強板との間を非接着状態にしたことによって、天面壁との金属製補強板との接触面の摩擦力を軽減させて開封力の軽減を図っている。
特許文献2によると、金属製キャップのキャップ本体の天面壁の内面に、合成樹脂製ライナーを配設している。この合成樹脂製ライナーは、天面壁の内面に接して配設されたポリプロピレンなどからなる硬質シートと、硬質シートの一方に面に樹脂成型によって積層された軟質層との多層からなる。このようなライナーは、硬質シートを天面壁に接着させることなく配設し、容器の口頸部には軟質層を接触させている。よって、軟質層によって口頸部の密閉性を維持させ、開封時においては、天面壁の内面と硬質シートとの接触面の
摩擦力を軽減させて開封力の軽減を図っている。
しかしながら、特許文献1の金属製キャップについては、金属製の円板薄板状の補強部材を使用するので、合成樹脂のみで形成するものよりコストがかかるという問題点がある。また、キャップ本体の成形、ライナーの型押成形という一連の製造過程の他に、ライナーを型成形した補強部材をキャップ本体の内部に挿入するというセット工程作業が加わっていた。
特許文献2の金属製キャップについても同様に、硬質シートと軟質層からなるライナーをキャップ本体の内部に後から挿入しなければならず、成形作業以外のセット工程作業が加わっていった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その主たる技術的課題は、キャップ本体とは分離(非接着状態)しながらもキャップ本体に保持されるライナーを、キャップ本体の成形及びライナーの型押成形における一連の作業によって成形可能な金属製キャップを提供することである。
本発明者等は、鋭意検討の結果、キャップ本体のスカート壁の上端部に形成された半径方向外側に突出する円弧状のライナー保持部の下部に保持突起を規定し、ライナーは、キャップ本体の天面壁の内面上で、外周突部がライナー保持部の内面に接触された状態に押圧型成形され、冷却されると伸縮する層を含むようにし、この層が冷却されて外径が低減した状態において、層の外径は保持突起の内径よりも大きくなるようにすることで、上記主たる技術的課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決する金属製キャップとして、円形天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有する金属薄板製キャップ本体と、該天面壁の内面に配設された合成樹脂製ライナーとを具備する金属製キャップにおいて、
該キャップ本体の該スカート壁の上端部には半径方向外側に円弧状に突出したライナー保持部が形成されており、該ライナー保持部の下部には保持突起が規定されており、
該ライナーは、該キャップ本体の該天面壁の内面上で、外周突部が該ライナー保持部の内面に接触された状態に押圧型成形され、冷却されると収縮する層を含み、
該層が冷却されて該層の外径が低減した状態において、該層の外径は該保持突起の内径よりも大きい、ことを特徴とする金属製キャップが提供される。
好ましくは、該キャップ本体が容器の口頸部に装着されていない状態で、該ライナーは該天面壁に対して回転可能である。この場合には、該層は、押圧型成形により成形された時点においては該天面壁の内面に弱接着されているが、冷却されて収縮することによって該天面壁の内面に対して非接着状態にせしめられるのがよい。該層はバリア層であり、該ライナーはバリア層上で押圧型成形された密封層を含むようにすることができる。
本発明の金属製キャップにおいては、ライナーは、キャップ本体の天面壁の内面上で押圧型成形され、冷却されると収縮する層を含んでおり、それ故に、金属製薄板及び硬質シートに樹脂製ライナーを成形してこれをキャップ本体に押し込む従来の形式のものと比べて、製造工程を短くすることができ、製造コストを低減させることができる。さらに、上記層が冷却されてその外径が低減した状態において、上記層の外径は、キャップ本体のスカート壁の上端部に形成されたライナー保持部の下部に規定された保持突起の内径よりも大きく、ライナーはキャップ本体に対し非接着状態でこれに保持されるため、開栓トルクが小さい。
本発明の第1の実施形態による金属製キャップの部分破断正面図である。 Aは、図1の金属製キャップの天面壁周辺の成形時における拡大断面図、Bは成形後の拡大断面図である。 図1の金属製キャップの巻締め前の部分破断正面図である。 図1の金属製キャップのライナーの型成形前の部分破断正面図である。 図1の金属製キャップのバリア層の成形手順を示し、Aは天面壁にバリア材が投下された状態の断面図、Bはバリア材を圧縮成形によって引き延ばしている状態の断面図、Cは圧縮成形によってバリア材がバリア層に成形された状態の断面図である。 図1の金属製キャップの密封層の成形手順を示し、Aは天面壁にバリア材の上に密封材が投下された状態の断面図、Bは密封材を圧縮成形によって引き延ばしている状態の断面図、Cは圧縮成形によって密封材が密封層に成形された状態の断面図である。 図1の金属製キャップのライナー保持部周辺の拡大断面図である。 図1のキャップを開栓している状態の部分破断正面図である。 本発明の第2の実施形態による金属製キャップの天面壁とスカート壁の境界部の断面図である。 図2の金属製キャップの成形手順を示し、Aはキャップ本体を成形した状態の断面図、BはAのキャップ本体にバリア層を成形した状態の断面図、CはBのキャップ本体に内方突出部を形成した状態の断面図、DはCに形成したバリア層面に密封層を成形した状態の断面図である。 本発明の実施形態による試験例を示す線図である。
以下、本発明に係る金属製キャップの製造方法の第1の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照して、本発明に係る金属製キャップについて説明する。金属製キャップ1は、キャップ本体2と、ライナー3を備えている。キャップ本体2は、円形の天面壁5と、天面壁5の周縁から垂下する円筒形スカート壁6とを有する。スカート壁6の下部には半径方向外側に幾分膨出させられた環状膨出部7が形成されている。環状膨出部7の軸方向中央部分には周方向に破断ライン8が形成されている。スカート壁6は破断ライン8よりも上方の主部9と破断ライン8よりも下方のタンパーエビデントバンド10とに区画されている。破断ライン8は、周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリット11と、スリット11間に位置する破断可能な複数個の橋絡部12とから構成されている。
スカート壁6の上端部には、半径方向外側に円弧状に突出したライナー保持部14が形成されており、ライナー保持部14の下部には保持突起14aが規定されている。保持突起14aの下方には、周方向に刻設した切断線15の下方側の領域を半径方向内側に突出させることによって内方突出部16(図3参照)が形成されており、その上端の切断線15は実質上水平に延びる開口17(図3参照)となる。開口17は、容器口頸部外周面に洗浄水を流すために開けられている。内方突出部16よりも下方のスカート壁主部9には、ねじ形成領域18が存在する。
キャップ本体2の天面壁5の内表面は、コーティング層26が塗布されている(図2参照)。
金属製キャップ1が被せられる容器31は金属製容器であり、口頸部32の上端部には、半径方向外側に、かつほぼ円形断面に湾曲させたカール部34を形成し、口頸部32の下部には、下方側が半径方向内側へ湾曲する顎部33が形成され、顎部33にはタンパーエビデントバンド10の下端部が係止されている。
ライナー3は、キャップ本体2の天面壁5の内面上で、外周突部23がライナー保持部14の内面に接触された状態に押圧型成形され、冷却されると収縮する層を含んでいる。本実施形態のライナー3は、天面壁5側に位置するバリア層20と、天面壁5とは反対側のバリア層20の面上に形成される密封層21との二層構造で形成されており、上記層はバリア層20である。
本実施形態では、バリア層20は、ポリプロピレンを主成分として形成され、密封層21はエラストマーを主成分として形成され、これらの二層は一体となって形成されている。
バリア層20の形状は、天面壁5に合わせて、全体が円形であって、中央側の薄い円板部22と外周側の外周突部23とによって形成されている。外周突部23は円環形状であって、キャップ本体2のライナー保持部14の内面形状に沿って、断面がほぼ円弧形状に形成され、下端部はバリア層20の内周側の面よりも下方に突出する。バリア層20の外径は、ライナー保持部14の最大外径よりも小さく、ライナー保持部14の下部の保持突起14a(図4参照)の内径よりも大きく形成されていることが重要である。
密封層21は、バリア層20の下面上に型成形され、バリア層20に対して一体となって形成されている。密封層21の外径はバリア層20よりも小さく、容器31の口頸部32の内周側に位置する内環状シール24とその外周側に位置する外環状シール25とを備え、これらの内外環状シール24,25は、キャップ本体2の巻締め前では、下向きに突出している(図3参照)。そして、巻締め後にカール部34に密着する。
本発明のライナー3については、図3に示すライナー3の成形後、キャップ本体2の巻締め前では、天面壁5に非接着状態で配設されている。(具体的な製造方法については後述する)ライナー3が成形後に非接着状態となるのは、ライナー3の自然冷却による収縮によって、弱接着剤27から離脱し、ライナー保持部14との間に僅かな隙間が形成されるからである。
よって、ライナー3は天面壁5に対し、上述したように物理的に隙間28が形成されるが、ライナー3の型成形後は、接触状態にあっても接着されておらず、外周突部23がライナー保持部14に保持されて、ライナー3はキャップ本体2に収容される。そして、キャップ本体2が容器31の口頸部32に装着されていない状態では、ライナー3は天面壁5に対して、相対的に回動が可能であり、装着後における開栓直後では、キャップ本体2がライナー3と相対的に回転し、容器31の口頸部32に対して回転しない。開栓が進むにつれて、ライナー3はキャップ本体2及び口頸部32に対してフリーとなり、ライナー3は、保持突起14aによって外周突部23が持ち上げられ、口頸部32から離脱する。
こうして、密封力の大きな口頸部32に対してライナー3が回転することなく、金属製キャップ1の開栓ができる。よって、ライナー3の密封力を大きくできる。
次に、本発明の金属製キャップのライナーの製造手順について図4〜図6を参照にして説明する。なお、図4〜図6のキャップ本体2の形状は、巻締め前であるので図1の巻締
め後のキャップ本体2とは形状が異なっている。
本実施形態における金属製キャップは各種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板等の従来公知の金属素材から成るものを好適に用いることができる。またこの金属素材にコーティング剤を施した樹脂被覆金属板を用いることもできる。
本実施形態では、図2に示すように金属板の内面に、少なくともバリア層20が形成される部位にコーティング層26が塗布され、更にその上に弱接着剤が塗布された状態の金属板を予め作成し、その後、キャップ形状に打ち抜きプレス成形することで図4に示す金属製キャップ1を得た。もちろん、キャップ本体2を成形した後にコーティング剤及び弱接着剤を施すこともできる。なお、コーティング剤は、エポキシフェノール、ポリエステル、ポリエステルフェノールアミドなどを主成分とする熱可塑性樹脂フィルム等が使用できる。
弱接着剤は、アルキッド系樹脂、石油系炭化水素、アルキルベンゼンなどの溶媒を用いることができ、これらの溶媒に対するポリプロピレンの接着成分を1〜18重量%、さらに好ましくは1〜10重量%を含有させたものを用いることができる。前記接着成分の粒径は6〜22μmであることが好適である。
[バリア層成形金型の構造]
図5を参照にして、ライナー3のバリア層を成形する第1成形工具41は、それぞれ金属製の中央パンチ42、中間押圧スリーブ43及び周縁スリーブ44を備えている。キャップ本体2は天面壁5を下に向けて配置される。また、キャップ本体2には、予めライナー保持部14、保持突起14a及び内方突出部16が形成されている。
有底円筒形の中央パンチ42は、中間押圧スリーブ43の内周面43aに軸方向に相対移動可能に嵌合される。円筒形の中間押圧スリーブ43は、周縁スリーブ44の内周面44aに設けられ、同じく円筒形の周縁スリーブ44はキャップ本体2の周壁に臨んで配設される。中間押圧スリーブ43は、周縁スリーブ44に対して軸方向に相対的に移動可能である。周縁スリーブ44の先端部44bの外周面は、先端側が小径となるテーパ面が形成され、ライナー保持部14の保持突起14a(図4参照)の内面と隙間なく当接する形状に形成されている。中央パンチ42及びスリーブ43,44の先端面は、天面壁5の内面と平行になるよう平坦に形成されている。
[バリア層の成形]
ライナー3のバリア層20を成形するには、キャップ本体2のコーティング層26の面上に弱接着剤27を塗布する。
弱接着剤27は、バリア層20の材料となるバリア材46が中央パンチ42によって押圧されるまでに、移動しないようにする役割を果たし、弱接着剤27を塗布する領域は、図5Aに示すとおり、中央から天面壁の半径R方向にR/2以上の領域となるようにする。これは、押圧成形前におけるキャップ本体2内面への溶融樹脂塊を落下させる領域から決定したものである。ただし、天面壁5の内面全体に塗布する必要はない。本実施形態では、弱接着剤27は、アルキッド系樹脂溶媒内にポリプロピレン接着成分1〜10%を含有する物を使用する。
成形時には、溶融されたバリア材46を天面壁5の中央に目がけて弱接着剤27上に載置させる。弱接着剤27は、キャップ本体2が移動中にもバリア材46を保持できる程度の接着力を有する。なお、転がり防止手段は、回転移動されているキャップ本体内において、供給されたバリア材46が転がらなければよく、例えば、弱接着剤の他に、キャップ本体の天面壁の内面に設けた摩擦材及び微少な突起などの係止手段であってもよい。
そして、中間押圧スリーブ43及び周縁スリーブ44を降下させ、これらのスリーブ43,44の先端面が天面壁5との間にバリア層20の厚さ分だけ隙間ができるようにする。次いで、中央パンチ42を降下させ、バリア材46を圧縮成形する。バリア材46は、中央パンチ42が降下されるにしたがって、半径方向外側へ拡がり、中央パンチ42がスリーブ43,44と同じ位置まで降下されると、バリア材46は天面壁5のライナー保持部14まで回り込み、周縁スリーブ44の外周側まで充填され、バリア層20の円板部22及び外周突部23が形成される。外周突部24の外周面はライナー保持部14の内周面に沿った形状に形成される。また、外周突部23の内周側には、円板部22から垂下する円環状の垂直面20aが形成される(図7参照)。
この際、バリア材46は、弱接着剤27によって、コーティング層26を介して天面壁5の内面に接着されている。バリア材46は、弱接着剤27とは接着力が弱いながらも接着するが、コーティング層26には接着しない。よって、バリア材46によって形成されたバリア層20は、弱接着剤27のある部分では、天面壁5と結合するが、弱接着剤27が塗布されていない部分では、天面壁5に接触しているが、接着剤による連結はない。バリア層20の成形が終了すると、中央パンチ42、中間押圧スリーブ43及び周縁スリーブ44が上昇しキャップ本体2から離形させる。
[密封層の成形金型の構造]
ライナー3の密封層21を成形する第2成形工具51は、それぞれ金属製の中央パンチ52、中間押圧スリーブ53及び周縁スリーブ54を備えている。有底円筒形の中央パンチ52は、中間押圧スリーブ53の内周面53aに軸方向に相対移動可能に嵌合される。円筒形の中間押圧スリーブ53は、周縁スリーブ54の内周面54aに設けられ、同じく円筒形の周縁スリーブ54はキャップ本体2の周壁に臨んで配設される。中間押圧スリーブ53は、周縁スリーブ54に対して軸方向に相対的に移動でき、その先端部53bの形状は、密封層21の内外環状シール24,25間の内面を形成するよう、それに対応する形状に形成されている。周縁スリーブ54は、中間押圧スリーブ53に対して軸方向に相対移動可能に嵌合された内周面54aを備え、その先端部54bの外周面は、先端側が小径となるテーパ面が形成され、ライナー保持部14の保持突起14a(図4参照)の内面と隙間なく当接する形状に形成されている。
[密封層の成形]
ライナー3の密封層21を成形するには、キャップ本体2の天面壁5上に成形されたバリア層20の面上の中央に密封材47を載置させる。密封材47は、主成分がエラトラマーである。
密封層21の成形時には、溶融された密封材47を天面壁5の中央に目がけてバリア層20上に載置させる。そして、中間押圧スリーブ53及び周縁スリーブ54を降下させる。これらのスリーブ53,54はバリア層20の面まで降下させ、周縁スリーブ54の先端部54bの外周面は、バリア層20の外周突部23の内周に当接している。
中央パンチ52を下降させると、密封材47が半径方向外側へ拡がり、この際、中間押圧スリーブ53を少し上昇させて、先端部54bとバリア層20との間に隙間を形成し、周縁スリーブ54の内周面まで密封材47を充填させる。中央パンチ52側では、密封層21の円板部22が形成され、中間押圧スリーブ53側では、内外環状シール24,25が形成される。また、外環状シール25には、密封層21の外周部から垂下する円環状の垂直面21aが形成され、垂直面21aはバリア層20の垂直面20aの内側に間隔を空けて形成される(図7参照)。
なお、バリア層20と密封層21は、接着剤なしに結合される。
こうして、バリア層20と密封層21の2層からなるライナー3が成形される。密封層21の成形が終了したら、中央パンチ52、中間押圧スリーブ53及び周縁スリーブ54を上昇させ、キャップ本体2から離形させる。
バリア層20及び密封層21の連続成形によって形成されたライナー3は、成形時には高い温度に維持されているが、型成形以後、常温(空気)環境による自然冷却によって温度降下される。ポリプロピレン及びエラストマーは、冷却によって収縮する性質があり、天面壁5の内面にコーティング層26を介して接着されていたバリア層20は、やがて収縮する。
一般的に成形時においては、天面壁若しくは中栓(特許文献1参照)の薄板面に、成形後もライナーを継続させて付着させるため接着力が大きい。本実施形態では、成形時において、バリア層20を天面壁5にコーティング層26を介して付着させ、さらに成形後に接着剤が剥離する弱接着剤27を使用しており、接着を時間に対して限定的に行っている。
すなわち、コーティング層26は接着剤とは接着するが、バリア層20を形成するポリプロピレンとは接着しにくい材料で形成され、一方弱接着剤27もまた、接着力が通常のものよりも弱い材料を用いている。そして、ライナー3(特にバリア層20)が収縮すると、弱接着剤27の接着力に抗して、弱接着剤27がバリア層20から剥離する。すると、ライナー3と天面壁5との接着関係はなく、また、ライナー3は収縮しているので、天面壁5及びライナー保持部14との間に、物理的に僅かな隙間が形成される(図7参照)。この隙間によって、キャップ本体2に対して、ライナー3が周方向へ相対的に回転が可能となる。
本発明の金属製キャップにおいては、バリア層20が冷却されてバリア層20の外径が低減した状態において、バリア層20の外径は保持突起14aの内径よりも大きいことが重要である。これにより、バリア層20が収縮してライナー3が天面壁5に対して非接着状態となった後も、自然(無負荷)の状態であれば、ライナー3は、その外周部が保持突起14aに係止され、ライナー保持部14から脱落することはない。
このように、本願発明は、キャップ本体2の成形時にライナー保持部14を予め形成し、ライナー3の成形時では剥離可能な接着剤を用いて、キャップ本体2とライナー3との分離を図っている。そして、キャップ本体2とライナー3の一連の成形のみで、金属製キャップ2と分離したライナー3を金属製キャップ2に保持させることができる。よって、ライナーを金属製キャップに挿入するセット工程を必要としない。
図3は、型成形後で巻き締め前のキャップ本体2とライナー3からなる金属製キャップ1を示す。したがって、この時点では、金属製キャップ1はネジ形成領域におけるネジも形成されていない。金属製キャップ1を容器口頸部32に巻き締めるためには、金属製キャップ1を口頸部32に被せるが、この状態では、口頸部32の上端内周に前述したライナー3の内環状シール24が配設され、外周に外環状シール25が配設され、これらの環状シール24,25間に口頸部32が位置する。
このような状態で、巻き締めが行われる。即ち、口頸部32に被せられた金属製キャップ1を、押圧具(図示せず)で口頸部32の上端に押さえ付けながら、押圧具で肩部13を変形させ、この状態で、キャップ本体2のスカート壁6に螺子形成用ローラ(図示せず)を押し付けながら且つ口頸部32のネジに沿って回転させていくことにより、スカート壁6の螺子形成領域に口頸部32に対応するネジを形成する。
同時に、キャップ本体2のタンパーエビデントバンド10の下端は、タンパーエビデント形成ローラが口頸部32の下側に押し付けられ、顎部33の下側に沿って変形する。
こうして、図1に示すように、巻き締め後の金属製キャップ1となり、金属製キャップ1は、容器31内を密封する。
巻き締め後の金属製キャップ1は、上述したように、押圧具で金属製キャップ1の肩部13を変形させるが、肩部13の変形時では、ライナー3の外周突部23と内外環状シール24,25が口頸部32に押付けられ、この巻き締めによって、外周突部23が内側に変形され、バリア層20と密封層21の垂直面20a,21a同士が接触し、外環状シール25が口頸部32の上端開口カール部34に圧接変形されて、口頸部32がシールされ
る。一方、バリア層20は外周部で、キャップ本体2の肩部13によって押圧して圧接される状態となり、相対的回転はできない。しかしながら、上述したように、接着による接合はされていない。
図8を参照にして、金属製キャップ1の開栓時においては、これを開栓方向に回転させていくことにより、スカート壁6が上昇して口頸部32から取り除かれるが、この際、タンパーエビデントバンド10は、その下端が口顎部32の下側に係合するために、その上昇が制限され、この結果、橋絡部12が破断し、タンパーエビデントバンド10がスカート壁6から切り離され、金属製キャップ1は口頸部32から取り外すことができる。
この開栓時においては、金属製キャップ1が口頸部32に対して相対的に回転するが、口頸部32と接触状態にある密封層21は、巻き締めによって内外環状シール24,25が口頸部32の上端に密着され、一方、キャップ本体2の内面側に接触するバリア層20は、それらの密着力よりも摩擦力が小さく、上述したように、接着剤などにより接着されていない。
よって、ライナー3は、キャップ本体2の開栓時に、口頸部32側に密着し、キャップ本体2が静止しているライナー3に対して、相対的に回動する。バリア層20は、材質がポリプロピレンであり、アルミニウムなどの金属製のキャップ本体2に対して摩擦力も小さく、キャップ本体2が回転するまで、ライナー3の回転が阻止される。そして、キャップ本体2の上昇により、ライナー3と口頸部32との密着力が失われるまで、ライナー3とキャップ本体2との供回りは阻止される。このように、バリア層20と天面壁5とが接着されていないので、ライナー3が口頸部32の密着力(シール性)を大きくしても、開栓力について及ぼす影響が小さくなる。
ライナー3は、キャップ本体2が上昇しても、バリア層20の外周突部23がライナー保持部14に保持されているので、口頸部32に残ることがない。
次に、本発明の第2の実施形態の金属製キャップについて説明する。なお、上記第1の実施形態と同一名称の構成物については、同一の符号を付して説明する。
上記第1の実施形態では、ライナー保持部14の下部の保持突起14aがライナー3を保持し開栓時にライナーを持ち上げることになるが、ライナー保持部14の保持突起14aは、図1に示す巻き締め後の金属製キャップ1を参照して理解できるように、金属製キャップ1の肩部を形成する際、変形が生じてしまい、収縮後のライナー3の外径と保持突起14aの内径(最小径部)との差が少なくなってしまう場合がある。換言すると両者の係合が弱くなってしまう場合がある。
本発明の第2の実施形態では、上記のような保持突起14aの係止量が少なくなった場合、金属製キャップ1の開栓時に、保持突起14aでのライナー3の持上げが不十分となるおそれもある。このような場合でも、ライナー3を確実に持ち上げることができる金属製キャップを提供する。
図9は、金属製キャップ1の天面壁5とスカート壁6の境界部周辺の拡大断面図である。本実施形態における金属製キャップ1は、キャップ本体2と、ライナー3を備えている。キャップ本体2は、円形の天面壁5と、天面壁5の周縁から垂下する円筒形スカート壁6とを有する。
キャップ本体2は、上記第1の実施形態に対して内方突出部16の形態が異なる。この内方突出部16について説明すると、内方突出部16は、スカート壁6の周方向に間隔を空けて刻設された切断線15によって形成される。そして、その切断線15よりも下方領域を半径方向内側に突出させることによって舌片状の突出部が、周方向に複数個が形成され、その上端の切断線15は実質上内方突出部16の先端部16aとなる。そして、その先端部16aはライナー保持部14の下部に近接した位置に配置されている。
また、内方突出部16は、図9の断面形状に示すように基端側からキャップ本体2の半径方向内側へ斜め上方に向かって延び、途中から先端側が垂直方向に延びている。そして、内方突出部16の複数の先端部16aは保持突起14aよりも半径方向内側に突出するよう形成されている。内方突出部16の先端部16aは、全てが、保持突起14aよりも内側に突出する必要はなく、例えば、1つ置き若しくは複数置きに位置する先端部16aを保持突起14aよりも内側に突出させてもよい。
ライナー3は、天面壁5側のバリア層20とバリア層20の面上に装着される密封層21からなり、バリア層20と密封層21の材質については、上記第1の実施形態と同じである。また、バリア層20の形状については、上記実施形態と同じであり、自然冷却による収縮によって、天面壁5から剥がれるように形成され、その外周突部23がキャップ本体2のライナー保持部14に保持される。密封層21の形状については、本実施形態では、内環状シール24が外環状シール25の高さよりも大きく形成されていることが、上記第1の実施形態と異なる。なお、密封層21の形状については、上記第1の実施形態と同じであってもよい。
このように内方突出部16は、容器口頸部32の外周面に洗浄水を流すための開口17を形成するために開けられているが、本実施形態ではライナー保持部の補助的役割も果たす。
すなわち、金属製キャップの巻締め時の際、キャップの肩部を形成する際の変形によって、収縮後のライナー3の外径と保持突起14aの内径(最小径部)との差が少なくなってしまう場合でも、内方突出部16の先端部16aが保持突起14aの最小径部よりもさらに内側に位置しているので、金属製キャップ1の開栓時において、たとえ、保持突起14aでのライナー3の持上げ不十分となったとしても、内方突出部16の先端部16aによって確実に保持、持上げがなされるので、容器31の口部にライナー3が残ってしまう不具合が防止される。
このように、本実施形態によれば、開栓時における金属製キャップ1に対してライナー3は外れることなく安定して保持できる。
次に、天面壁5の内面へのライナー3の成形方法について説明する。
上記第1の実施形態では、図4に示すように、キャップ本体2において切断線15と、内方突出部16を形成してあるものを用いる。これに対して、本第2実施形態では、図10のAに示すように、キャップ本体2に対して、切断線15と内方突出部16が形成されていないものを用いる。そして、図10のBに示すように、バリア層20を形成する。バリア層20の成形方法は、図5に示す手順と同じである。また予め弱接着剤が塗布されたキャップ本体を用いる点も同じである。
バリア層20を形成した後は、図10のCに示すように、カッターによって切断線15を形成し、同時にスカート壁の切断線15より下方領域を半径方向内側に押し込み成形をして内方突出部16を形成する。押込量は、内方突出部16の先端部16aの位置がライナー保持部14の保持突起14aの最小径部よりもさらに内側に入り込むように形成する。
なお、上記第1の実施形態では、切断線、内方突出部を先に形成した後に、バリア層の成形を行っている。しかしながら、第1の実施形態のように、内方突出部16を先に形成すると、内方突出部16が保持突起14aよりも内側に突出しているので、周縁スリーブ44を下降させると、内方突出部16と周縁スリーブ44とが干渉してしまう。よって、本実施形態では、バリア層20を形成した後で密封層21を形成する前に、切断線15及び内方突出部16を形成するようにした。
内方突出部16が形成されると、次に、密封層21を形成する。図10のDを参照にして、ライナー3の密封層21を成形する第2成形工具51は、内側から外側へ向かって、中央パンチ52、中間押圧スリーブ53及び周縁スリーブ54を備えている。
これらのうち、周縁スリーブ54が実質的に上記第1の実施形態の周縁スリーブと異なっており、上記第1の実施形態では、周縁スリーブの外周面を保持突起の内周面に当接させていたが、本第2の実施形態では、周縁スリーブ54の外周面を内方突出部16の内側面に当接させていることが異なる。
すなわち、周縁スリーブ54の下方の先端側外周面54cは、内方突出部16の内側面に当接するよう形成され、その上方では、内方突出部16の内側面形状に沿ってやや湾曲し、内方突出部16より上はスカート壁6の内面に沿って延在するように形成されている。また、周縁スリーブ54の先端部54bの先端面はバリア層20の表面に当接させ、その先端側内周面54aは密封層21を形成する際に密封材47(図6参照)が、周縁スリーブ54の外周側に漏れないように堰となる。
中間押圧スリーブ53の先端面は、内環状シール24、外環状シール25の表面形状に対応するよう形成され、また、中央パンチ52は密封層21の中央部の厚みを規定する。こうして、キャップ本体2にバリア層20、密封層21が形成される。
図11に本実施形態における金属製キャップのファースト開栓時の開栓力の試験結果を示す。
縦軸に金属製キャップの巻締め後の初期開栓トルク(N・cm)を示し、横軸にアルキッド系樹脂溶媒に対するポリプロピレンの接着成分の重量%を示す。
線図中に三角形で示すものがキャップ本体側にライナーが接着されたままの状態で剥離不能となったもの、丸で示すものがキャップ本体からライナーが剥離したものである。ポリプロピレンの接着成分が1重量%未満であれば、接着力が弱く、成形時にバリア材46を仮係止(仮固定)することができない。また、接着成分が18重量%を超えるとライナーはキャップ本体から剥離されず、初期開栓トルクが著しく高くなってしまう。接着成分が1重量%以上10重量%以下の範囲であると、確実にライナーが剥離され適正な初期開栓トルクを示しており、この範囲がもっとも好ましい。
以上のべたとおり、本発明の金属製キャップにおいては、ライナーは、キャップ本体の天面壁の内面上で押圧型成形され、冷却されると収縮する層を含んでおり、それ故に、金属製薄板及び硬質シートに樹脂製ライナーを成形してこれをキャップ本体に押し込む従来の形式のものと比べて、製造工程を短くすることができ、製造コストを低減させることができる。さらに、上記層が冷却されてその外径が低減した状態において、上記層の外径は、キャップ本体のスカート壁の上端部に形成されたライナー保持部の下部に規定された保持突起の内径よりも大きく、ライナーはキャップ本体に対し非接着状態でこれに保持されるため、開栓トルクが小さい。
以上、本発明を実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の変形あるいは変更が可能である。
上記第2の実施形態において、内方突出部16を形成する工程については、バリア層20と密封層21を形成する工程の間に、その工程を含む順番で説明をしているが、例えば、バリア層20及び密封層21を形成した後に、さらに内方突出部16を成形してもよい。なお、切断線15については、押圧による内方突出部16の成形を同時に伴う場合は、内方突出部16の成形に伴って形成するが、同時に伴わないときのみには、バリア層20を成形する前に予め形成しておいてもよい。
さらに、上記第1の実施形態においては、内方突出部16を形成してから、バリア層20を形成したが、上記第2の実施形態のように、内方突出部を形成する工程がバリア層を型成形する工程と密封層を型成形する工程との間に行うこともでき、内方突出部を形成する工程は密封層を型成形する工程の後に行うこともできる。
また、コーティング剤の素材、弱接着剤の素材、バリア層の素材、密着シートの素材については、上記実施形態に例をあげたものは、その一例であって、それらに限定されるものではない。
上記実施形態では、弱接着剤をコーティング層側に付着させたが、バリア層側に付着するものであってもよい。
1 金属製キャップ
2 キャップ本体
3 ライナー
5 天面壁
6 スカート壁
13 肩部
14 ライナー保持部
14a 保持突起
15 切断線
16 内方突出部
20 バリア層
21 密封層
23 外周突部
24 内環状シール
25 外環状シール
26 コーティング層
27 弱接着剤
31 容器
32 口頸部
33 顎部
46 バリア材
47 密封材

Claims (4)

  1. 円形天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有する金属薄板製キャップ本体と、該天面壁の内面に配設された合成樹脂製ライナーとを具備する金属製キャップにおいて、
    該キャップ本体の該スカート壁の上端部には半径方向外側に円弧状に突出したライナー保持部が形成されており、該ライナー保持部の下部には保持突起が規定されており、
    該ライナーは、該キャップ本体の該天面壁の内面上で、外周突部が該ライナー保持部の内面に接触された状態に押圧型成形され、冷却されると収縮する層を含み、
    該層が冷却されて該層の外径が低減した状態において、該層の外径は該保持突起の内径よりも大きい、ことを特徴とする金属製キャップ。
  2. 該キャップ本体が容器の口頸部に装着されていない状態で、該ライナーは該天面壁に対して回転可能である、請求項1に記載の金属製キャップ。
  3. 該層は、押圧型成形により成形された時点においては該天面壁の内面に弱接着されているが、冷却されて収縮することによって該天面壁の内面に対して非接着状態にせしめられる、請求項2に記載の金属製キャップ。
  4. 該層はバリア層であり、該ライナーはバリア層上で押圧型成形された密封層を含む、請求項1又は2記載の金属製キャップ。
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