JP2020026087A - 包装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】デジタル印刷が施される表面に対するデジタル印刷層の密着性と、ガスバリア性の両方を十分に高水準に達成できる包装材を提供する。【解決手段】本発明に係る包装材は、基材フィルムと、ガスバリア層と、コート層とをこの順序で含む積層構造を有し、上記コート層は、平均粒子径Dが5nm〜100nmの粒子を含み、且つ、原子間力顕微鏡で測定される最大高さ粗さRzが100nm〜1000nmである印刷面を有し、この印刷面上にデジタル印刷層が形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は包装材に関し、より詳しくは、デジタル印刷によって形成される印刷層を含む包装材に関する。
従来、軟包装の印刷は、主にグラビア印刷やフレキソ印刷などの版を用いた印刷方式で行われてきた。近年、小ロット印刷の需要に対応できるデジタル印刷が注目を集めている。デジタル印刷の場合、版を作製する必要がなく、また色合わせも不要である。そのため、特に小ロットの印刷(例えば、バリアブル印刷)をする場合に低コスト化が可能であり、また、準備時間が削減できるのでリードタイムの短縮にもつながる。
特許文献1は、液体電子写真(LEP)方式を用いたフレキシブルパッケージ及びその製造方法を開示する。特許文献2は、インクジェット方式によって軟包装に印刷するのに適した下塗り組成物を開示する。
国際公開第2016/074716号 特開2016−69654号公報
ところで、食品の包装に用いられる包装材に対しては、内容物の変質を防止することが求められる。食品用の包装材として、酸素や水蒸気に対するバリア性を有する層(ガスバリア層)を含む積層フィルムが広く用いられている。長期保存に適した食品包装として、レトルト処理やボイル処理などの加熱による殺菌処理が行われたものも知られている。近年、フードロスの削減やサステナビリティなどの社会課題から、ガスバリア性を有する包装材の要求も高まっている。レトルト用包装材によって、食品の保存性を高めることは上記要求に応えるものである。レトルト食品は、100℃以上の温度で加圧加熱殺菌を施す工程を経て製造されるものであるため、これに用いられる包装材として、かかる環境に対する耐性を有するものが採用される。
本発明者らの検討によると、上述のデジタル印刷各方式は、使用されるインク材料が限られているために、従来のガスバリア性を有する包装材はデジタル印刷が施される表面(印刷面)に対するインク(印刷層)の密着性が不十分である。特に、レトルト処理に耐え得るデジタル印刷向けのバリアフィルムは市場に出ていない。その原因の一つとして、ガスバリア層を含むバリアフィルムは、基材フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)と印刷適性が異なることが挙げられる。
本発明はデジタル印刷が施される表面に対するデジタル印刷層の密着性と、ガスバリア性の両方を十分に高水準に達成できる包装材を提供することを目的とする。
本発明に係る包装材は、基材フィルムと、ガスバリア層と、コート層とをこの順序で含み、上記コート層は、平均粒子径Dが5nm〜100nmの粒子を含み、且つ、原子間力顕微鏡で測定される最大高さ粗さRzが100nm〜1000nmである印刷面を有し、この印刷面上にデジタル印刷層が形成されている。コート層が所定の範囲の平均粒子径の粒子を含み且つ主にこれに起因して所定の範囲の最大高さ粗さRzを有する印刷面を有することで、この印刷面にデジタル印刷(例えば、電子写真方式及びインクジェット方式)によって印刷した場合であっても、印刷面とデジタル印刷層の優れた密着性を達成できる。これは投錨効果によるものと本発明者らは推察する。
コート層における上記粒子の含有率は、例えば、当該コート層の質量基準で50質量%以上とすることができる。原子間力顕微鏡で測定される印刷面の算術平均粗さRaと、上記粒子の平均粒子径Dとの比Ra/Dは0.25〜4であることが好ましい。比Ra/Dをこの範囲とすることで、粒子の凝集によるコート層の厚さの変動を抑制できるとともに、粒子の脱落及びこれに伴う印刷層の剥離を抑制できる。
本発明において、コート層はレトルト臭吸着性能を有するものであってもよい。具体的には、コート層は、上記粒子として、亜鉛粒子及び亜鉛化合物粒子の少なくとも一方を含むものであってもよい。タンパク質を構成するアミノ酸には硫黄を含む含硫アミノ酸(メチオニン、シスチン、システインなど)がある。含硫アミノ酸を多く含む肉製品及び卵製品はレトルト処理やボイル処理など加熱後に不快なレトルト臭を発生する。レトルト臭は、加熱処理に伴う含硫アミノ酸の加水分解によって発生する硫黄化合物(硫化水素、メチルメルカプタンなど)に由来する。なお、一般にレトルト臭とは、いわゆるレトルト食品での特有の臭いをいうが、ここではボイル処理を施した食品においても認められる同様の臭いも含めてレトルト臭と称する。
本発明によれば、デジタル印刷が施される表面に対するデジタル印刷層の密着性と、ガスバリア性の両方を十分に高水準に達成できる包装材が提供される。
図1は、本発明に係る包装材の製造に用いられるガスバリア積層体の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示すガスバリア積層体を含む包装材の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図3(a)はガスバリア積層体の他の実施形態を模式的に示す断面図であり、図3(b)は図3(a)に示すガスバリア積層体を含む包装材の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図4(a)〜図4(d)は実施例に係るガスバリア積層体の印刷面の原子間力顕微鏡画像である。 図5(a)〜図5(d)は比較例に係るガスバリア積層体の印刷面の原子間力顕微鏡画像である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<デジタル印刷用ガスバリア積層体>
図1に示すように、本実施形態に係るガスバリア積層体10Aは、基材フィルム1の上に密着層2、第一のガスバリア層3a、第二のガスバリア層3b及びコート層5を順次積層してなることを特徴とする。
基材フィルム1としては特に限定されるものではなく、透明で加熱温度200℃以上でも形態を保つものならば公知のものを使用することができる。例えば、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系フィルム(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリスチレン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、アクリル系フィルム、セルロース系フィルム(トリアセチルセルロース又はジアセチルセルロース等)などが挙げられる。特に限定されないが、熱収縮率が低いフィルムが好ましい。
実際的には、用途や要求物性により、適宜、基材フィルム1の選定をすることが望ましく、医療用品、薬品、食品等の包装には、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドなどを用いることができる。また、基材フィルム1の厚さは、特に限定されない。用途に応じて6μmから200μm程度の厚さのものを使用することができる。
基材フィルム1の積層面にバリア性能を損なわない範囲でコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの各種前処理、易接着層などのコート層を設けても構わない。
密着層2は「アンカー層」又は「アンカーコート層」とも称される層である。密着層2は、基材フィルム1上に設けられ、基材フィルム1と第一のガスバリア層3aとの間の密着性能を向上させるとともに、表面を平滑にすることで次工程の第一のガスバリア層3a(無機蒸着層)を欠陥なく均一製膜し、さらに蒸着膜の微小なバリア欠陥を補助し高いバリア性能を発現することの二つの効果を得ることを目的としている。なお、基材フィルム1の積層面に上述の各種前処理を施す等により充分な密着性が得られる場合には必ずしも密着層2は設けなくてもよい。
上記の効果を奏する密着層2を構成する材料としては非水性樹脂が好ましく、例えばシランカップリング剤や有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノールなどが挙げられる。密着層2の耐熱水性を考慮すると、ウレタン結合及びウレア結合を一つ以上有する有機高分子が含まれることがより好ましい。
上記ウレタン結合及びウレア結合はあらかじめ重合段階で導入したポリマーを使用しても、アクリル及びメタクリル系ポリオールなどのポリオールとイソシアネート基を持つイソシアネート化合物、あるいは、アミノ基を持つアミン樹脂とエポキシ基及びグリシジル基を持つエポキシ化合物などを反応させてウレタン結合を形成させたものや、イソシアネート化合物と水又は酢酸エチル等の溶剤、又はアミノ基を持つアミン樹脂との反応によりウレア結合をさせたものを使用してもよい。これらのうち、密着層2を構成する非水性樹脂としてはアクリルポリオールとポリエステルポリオール及びイソシアネート化合物、シランカップリング剤等との複合物がより好ましい。
アクリルポリオールとは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物もしくは、アクリル酸誘導体モノマー及びその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。またポリエステルポリオールとは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びこれらの反応性誘導体等の酸原料と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等のアルコール原料から周知の製造方法で得られたポリエステル系樹脂の内末端に2個以上のヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。
イソシアネート化合物は、アクリルポリオール及びポリエステルポリオールと反応してできるウレタン結合により基材や無機酸化物との密着性を高めるために添加されるもので主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。これを達成するためにイソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサレンジイソシアネート(HMDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が用いられ、これらが単独かまたは混合物等として用いられる。
シランカップリング剤としては、任意の有機官能基を含むシランカップリング剤を用いることができ、例えばエチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤あるいはその加水分解物の1種ないしは2種以上を用いることができる。
密着層2は基材フィルム1の表面上にコーティング液を塗布する工程を経て形成される。塗布方法としては、通常用いられるキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等の従来公知の方法を用いることが可能である。コーティング液の塗布によって形成された塗膜を加熱乾燥させることで密着層2が形成される。密着層2の厚さは例えば0.01μm〜2μm程度である。
第一のガスバリア層3aは、無機物の蒸着によって形成される層である。酸素ガスバリア性の高い材料として酸化アルミニウム(AlOx)、酸化珪素(SiOx)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化マグネシウム(MgO)又はインジウム−スズ酸化物(ITO)などを用いることができる。材料コスト、バリア性能、透明性から無機酸化物である酸化アルミニウムもしくは酸化珪素が好ましい。
第一のガスバリア層3aの厚さは使用用途によって適宜設定すればよいが、好ましくは10nm〜300nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。第一のガスバリア層3aの厚さを10nm以上とすることで第一のガスバリア層3aの連続性を十分なものとしやすく、他方、300nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なバリア性能及び可撓性を達成しやすい。
第一のガスバリア層3aは、真空成膜手段によって成膜できる。酸素ガスバリア性能や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで制御し易いことや蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
第二のガスバリア層3bは、第一のガスバリア層3aの表面上に、ポリカルボン酸系重合体をコーティングすることによって形成された層である。ポリカルボン酸系重合体は、分子内に二個以上のカルボキシル基を有する重合体である。ポリカルボン酸系重合体の具体例は、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の単独重合体;少なくとも二種類のα、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合体;α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和単量体の共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類である。これらのポリカルボン酸系重合体は、それぞれ単独で、又は少なくとも二種を混合して用いられる。
α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸である。α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和単量体の具体例は、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類、アルキルイタコネート類、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、スチレンである。
ポリカルボン酸系重合体が、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸と酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類との共重合体の場合には、ポリカルボン酸系重合体はケン化され、飽和カルボン酸ビニルエステル部分がビニルアルコールに変換される。
ポリカルボン酸系重合体が、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とその他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である場合には、ガスバリア性、耐水性の観点から、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合割合は60モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
ポリカルボン酸系重合体が、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる重合体の場合には、当該重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体の重合によって得られる。当該重合体は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる少なくとも1種の単量体の重合によって得られる。当該重合体は、より好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸及び/又はそれらの混合物の重合によって得られる。
ポリカルボン酸系重合体が酸性多糖類の場合には、モノマー成分としてアルギン酸が好ましく用いられる。ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量は、特に限定されない。好ましい数平均分子量は、コーティング性の観点から2,000〜10,000,000の範囲であり、更に好ましい数平均分子量は5,000〜1,000,000である。他の重合体が、本発明の包装材料の酸素ガスバリア性を損なわない範囲で、ポリカルボン酸系重合体に混合され得る。
ポリカルボン酸系重合体を含む樹脂層が、ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類の混合物からなるものであってもよい。ポリアルコール類は、分子内に二個以上の水酸基を有する低分子化合物からアルコール系重合体を含む。ポリアルコール類は、ポリビニルアルコール(PVA)、糖類および澱粉類を含む。分子内に二個以上の水酸基を有する低分子量化合物の具体例は、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ペンタエリトリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールである。PVAのケン化度は95%以上、好ましくは98%以上であり、PVAの平均重合度は300〜1500である。ポリカルボン酸系重合体との相溶性の観点から、ビニルアルコールを主成分とするビニルアルコール−ポリ(メタ)アクリル酸共重合体が、ポリアルコール類として用いられる。単糖類、オリゴ糖類および多糖類が、糖類として使用される。これらの糖類は、特開平7−165942号公報に記載のソルビトール、マンニトール、ズルシトール、キシリトール、エリトリトール等の糖アルコール、糖アルコールの置換体、糖アルコールの誘導体を包含する。好ましい糖類は、水、アルコール、あるいは水とアルコールの混合溶剤に溶解する。澱粉類は、多糖類に含まれる。澱粉類の具体例は、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉などの生澱粉(未変性澱粉)、各種の加工澱粉である。加工澱粉の具体例は、物理的変性澱粉、酵素変性澱粉、化学変性澱粉、澱粉類にモノマーをグラフト重合したグラフト澱粉である。これらの澱粉類の中でも、馬鈴薯澱粉が酸で加水分解された水可溶性加工澱粉、澱粉の末端基(アルデヒド基)が水酸基に置換された糖アルコールが好ましい。澱粉類は、含水物であってもよい。これらの澱粉類は、それぞれ単独で、又は二種以上を組み合わせて使用される。
ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類との混合比(質量比)は、高湿度条件下でも優れた酸素ガスバリア性を有する成形物を得るという観点から、好ましくは99:1〜20:80、さらに好ましくは95:5〜40:60、最も好ましくは95:5〜50:50である。
ポリカルボン酸系重合体と溶媒を含むコーティング液A、又は、ポリカルボン酸系重合体、ポリアルコール類と溶媒を含むコーティング液Bが第一のガスバリア層3a上にコーティングされ、次いで、溶媒が蒸発乾燥される。上記工程により、第一のガスバリア層3a上にポリカルボン酸系重合体を含む樹脂層が形成される。ポリカルボン酸系重合体と溶媒を含むコーティング液Aが第一のガスバリア層3a上にコーティングされる方法は、単量体を含むコーティング液が第一のガスバリア層3a上にコーティングされて紫外線又は電子線が照射されて重合が行われポリカルボン酸系重合体を含む層が形成される方法、単量体が基材上に蒸着されると同時に電子線が照射されて重合が行われポリカルボン酸系重合体を含む層が形成される方法が含まれる。
ポリカルボン酸系重合体と溶媒を含むコーティング液Aは、ポリカルボン酸系重合体が溶媒に溶解又は分散されて調製される。溶媒はポリカルボン酸系重合体を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。溶媒の具体例は、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドである。非水系溶媒又は非水系溶媒と水の混合物が、溶媒として好ましく使用される。当該コーティング液中のポリカルボン酸系重合体の好ましい濃度は0.1〜50質量%である。
ポリカルボン酸系重合体、ポリアルコール類と溶媒を含むコーティング液Bを得る方法は特に限定されない。コーティング液Bを得る方法の具体例は、各成分が溶媒に溶解される方法、各成分の溶液が混合される方法、ポリアルコール類溶液中でカルボキシル基を含有するモノマーが重合され、所望により重合後にアルカリで中和される方法である。溶媒の具体例は、水、アルコール、水とアルコールの混合物である。当該コーティング液中の好ましい固形分濃度は1〜30質量%である。
他の重合体、柔軟剤、可塑剤(分子内に二個以上の水酸基を有する低分子化合物は除く)、安定剤、アンチブロッキング剤、粘着剤、モンモリロナイト等の無機層状化合物等が、本発明の包装材料の酸素ガスバリア性が損なわれない範囲で、上記コーティング液A及びBに適宜添加されてよい。
1価及び/又は2価の金属を含む化合物が、酸素ガスバリア性の観点から、コーティング液Aに添加され得る。1価及び/又は2価の金属の具体例は、ナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、銅である。1価及び/又は2価の金属を含む化合物の具体例は、水酸化ナトリウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、酸化カルシウムである。1価及び/又は2価の金属を含む化合物の好ましい添加量は、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基の0〜70モル%の範囲である。1価及び/又は2価の金属を含む化合物の更に好ましい添加量は、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基の0〜50モル%の範囲である。
ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類を含む樹脂層の酸素ガスバリア性の向上のため、第一のガスバリア層3a上にコーティングされたコーティング液Bが乾燥されて得られた被膜は熱処理され得る。熱処理条件の緩和のため、コーティング液B調製の際に、水に可溶な、アルカリ金属化合物や無機酸または有機酸の金属塩が適宜添加される。金属の具体例は、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属である。無機酸または有機酸の金属塩の具体例は、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ホスフィン酸ナトリウム(次亜リン酸ナトリウム)、亜リン酸水素二ナトリウム、リン酸二ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウムである。これらの例示された金属塩の中で、好ましくは、ホスフィン酸ナトリウム(次亜リン酸ナトリウム)、ホスフィン酸カルシウム(次亜リン酸カルシウム)等のホスフィン酸金属塩(次亜リン酸金属塩)が使用される。無機酸および有機酸の金属塩の添加量は、コーティング液中の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは1〜30質量部である。また、アルカリ金属化合物の具体例は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。アルカリ金属化合物の添加量は、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基の0〜30モル%の範囲内である。
コーティング液A又はBは、第一のガスバリア層3a上に、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディップコーター、ダイコーター、スプレー等の装置、あるいは、それらを組み合わせた装置によりコーティングされる。次いで、コーティング液A又はBに含まれている溶媒が、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤー、赤外線ドライヤーなどの装置、あるいは、それらを組み合わせた装置による熱風の吹き付け、赤外線照射、自然乾燥、オーブン中での乾燥などの乾燥手段により蒸発させられる。その結果、第一のガスバリア層3a上にポリカルボン酸系重合体からなる皮膜が形成される。
第一のガスバリア層3a上にコーティング液A又はBがコーティングされる際、第一のガスバリア層3aとポリカルボン酸系重合体を含む樹脂層又は多価金属化合物を含む層(多価金属化合物含有層)との接着性の向上のため、予め接着剤を第一のガスバリア層3a上にコーティングしてもよい。接着剤は特に限定されない。接着剤の具体例は、ドライラミネート、アンカーコート、プライマーとして用いられている、溶媒に可溶なアルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、硝化綿、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂を含む接着剤である。
第二のガスバリア層3bの厚さは使用用途によって適宜設定すればよいが、好ましくは10μm以下である。第二のガスバリア層3bの厚さを10μm以下とすることでクラックによるバリア性の低下を抑制しやすい。第二のガスバリア層3bの厚さの下限値は、ガスバリア性および塗液の成膜性の観点から、例えば、0.01μmであり、0.03μmであっても0.1μmであってもよい。
コート層5は、平均粒子径Dが5nm〜100nmの粒子を含み、且つ、原子間力顕微鏡で測定される最大高さ粗さRzが100nm〜1000nmである印刷面5fを有する層である。印刷面5fの最大高さ粗さRzが100nm以上あることでデジタル印刷層12(図2参照)を構成するインキがコート層5側に十分に浸透し、これにより、印刷面5fとデジタル印刷層12との優れた密着性を達成できる。印刷面5fの最大高さ粗さRzの下限値は110nmであってもよいし、120nmであってもよい。他方、印刷面5fの最大高さ粗さRzが1000nm以下であることで、粒子の過剰な凝集やコート層5の塗工ムラなどによって、粒子が脱落したりこれに起因するデジタル印刷層12の剥離を十分に抑制できる。印刷面5fの最大高さ粗さRzの上限値は900nmであってもよいし、800nmであってもよい。
粒子の平均粒子径Dが5nm以上であることで、粒子が過度の凝集することを抑制できる。平均粒子径Dの下限値は6nmであってもよいし、7nmであってもよい。他方、粒子の平均粒子径Dが100nm以下であることで、微細な粒子のコート層5上で凝集し、複雑な凹凸面を構成するため、大きなアンカー効果を生じさせることができる。平均粒子径Dの上限値は90nmであってもよいし、80nmであってもよい。なお、ここでいう「平均粒子径」はレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置を用いて求められる値を意味する。
コート層5における粒子の含有率は、例えば、コート層5の質量基準で50質量%以上とすることができる。粒子の含有率が50質量%以上であることで、バインダー樹脂等によるレベリング作用を抑え、最大高さ粗さRzを大きくすることができる。粒子の含有率の下限値は、例えば、60質量%であってもよい。粒子の含有率の上限値は、例えば、95質量%であってもよいし、90質量%であってもよい。粒子の含有率が95質量%以下であることで、粒子の脱落を抑制できる。
原子間力顕微鏡で測定される印刷面5fの算術平均粗さRaと、上記粒子の平均粒子径Dとの比Ra/Dは0.25〜4であることが好ましい。比Ra/Dをこの範囲とすることで、粒子の凝集によるコート層5の厚さの変動を抑制できるとともに、粒子の脱落及びこれに伴う印刷層の剥離を抑制できる。
コート層5の厚さは、0.05〜10μmであることが好ましい。コート層5の厚さを0.05μm以上とすることで、厚さが十分に均一のコート層5を形成しやすい。コート層5の厚さの下限値は0.1μmであってもよいし、0.2μmであってもよい。コート層5の厚さが10μm以下であることで、コート層5の凝集破壊を抑制できる。コート層5の厚さの上限値は5μmであってもよいし、3μmであってもよい。
コート層5は、レトルト臭吸着性能を有するものであってもよい。具体的には、コート層5は、粒子として、亜鉛粒子及び亜鉛化合物粒子の少なくとも一方を含むものであってもよい。亜鉛化合物の例として、亜鉛の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、無機酸塩が挙げられ、好適な具体例として、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛、リン酸亜鉛が挙げられる。亜鉛の毒性は低く、亜鉛がレトルト臭の原因となる硫化水素と反応して生成する硫化亜鉛(白色)は包装体の外観にほとんど影響を与えない。なお、粒子が酸化亜鉛である場合、レトルト時に酸化亜鉛が第二のガスバリア層3bに移行し、これにより、第二のガスバリア層3bに含まれる成分(例えば、ポリカルボン酸系重合体)の重合がさらに進行するようにしてもよい。以下、亜鉛粒子及び/又は亜鉛化合物粒子を「亜鉛含有粒子」という。
コート層5における亜鉛含有粒子の含有量は、コート層5の単位面積(1m)当たり、亜鉛として32.7mg/m以上であることが好ましく、65.4mg/m以上であることがより好ましく、131mg/m以上であることが更に好ましく、196mg/m以上であることが特に好ましい。なお、亜鉛含有粒子の含有量が増大するほどレトルト臭の吸収効果も大きくなるが、内容物の風味が損なわれ得る。例えば、ニンニク調味製品等の含硫化合物に由来する風味が重要な食品が、亜鉛含有粒子が多量に含まれる包装材で包装される場合、当該食品の風味が損なわれる傾向にある。
<デジタル印刷層を含む包装材>
図2は、図1に示すガスバリア積層体10Aを含む包装材の一実施形態を示す断面図である。図2に示すとおり、包装材20Aは、ガスバリア積層体10Aと、コート層5の印刷面5f上に形成されたデジタル印刷層12と、接着層13と、中間樹脂フィルム15と、接着層16と、シーラントフィルム18とをこの順序で備える。中間樹脂フィルム15は耐衝撃性や、突き刺し耐性の向上のために採用されるものである。なお、中間樹脂フィルム15として、二軸延伸ナイロン(ONY)フィルムや二軸延伸ポリプロピレン(OPP)等を採用することができる。シーラントフィルム18はヒートシール性を有するものであり、その具体例として、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムが挙げられる。デジタル印刷層12と中間樹脂フィルム15は接着層13を介して貼り合わされており、中間樹脂フィルム15とシーラントフィルム18は接着層16を介して貼り合わされている。
デジタル印刷層12は、デジタル印刷によって形成される層である。適用できるデジタル印刷の方式として、液体電子写真(LEP)方式及びインクジェット(IJ)方式が挙げられる。いずれの方式においても、ガスバリア積層体10Aのコート層5の印刷面5f上に無版でデジタル印刷層がパターン形成される。コート層と、デジタル印刷層の密着性を向上させるためにコート層とデジタル印刷層の間にプライマー層を形成してもよい。プライマー層は、パターニングされていてもよいし、ベタ(全面)に形成されていてもよい。密着層2と同様膜厚は0.02〜2μm程度であり、透明であるのでデジタル印刷層の視認性に影響を与えない。材料としては密着層と同様のものを用いることができる。
電子写真印刷は、複写機をはじめ、店頭端末印刷機、ファクシミリ、少部数印刷機など様々な分野に適用されている。電子写真印刷に使用されるトナーは、乾式トナーと湿式トナー(電子写真用インク)に大別される。電子写真用インクは、乾式トナーと比べて、トナー粒子の飛散が少ないこと、またトナー粒子が微細化できることから高精度の印刷に好適である。この電子写真用インクを用いたものが液体電子写真(LEP)方式と呼ばれている。LEP方式のデジタル印刷装置として、ヒューレット・パッカード社のIndigoが知られている。
LEP方式の場合、LEP用インク及びプライマー層の組成物としては、例えば国際公開第2016/074716号に例示されているものを使用できる。LEP用インクの組成物は、例えば、顔料又は染料などの着色剤、LEP用インクを帯電させるためのイオン性化合物(チャージディレクタ)、アクリル樹脂などの樹脂組成物、溶剤、その他の添加物を含む。
インクジェット(IJ)方式は、被印刷物に直接インクを吐出してパターニングする方式である。本実施形態では、コート層5上に直接インクを吐出してデジタル印刷層12を形成すればよい。IJ用のインクとしては、UVインクを用いることが好ましい。耐熱性に優れるためである。IJ用インクの組成物として、UVインクが挙げられる。UVインクは、例えば、アクリレート化合物等の重合成モノマー、光重合開始剤、顔料又は染料などの着色剤、分散剤、その他の添加物を含む。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、さほど高いガスバリア性を必要としない用途に用いる場合、ガスバリア積層体は、図3(a)に示すように、基材フィルム1の表面上にガスバリア層3が直接形成された態様であってもよい。この図に示すガスバリア積層体10Bは、基材フィルム1、ガスバリア層3及びコート層5によって構成されている。ガスバリア層3は、第一のガスバリア層3aと同様の構成であってもよいし、第二のガスバリア層3bと同様の構成であってもよい。図3(b)は、図3(a)に示すガスバリア積層体10Bを含む包装材の一実施形態を示す断面図である。図3(b)に示すとおり、包装材20Bは、ガスバリア積層体10Bと、コート層5の印刷面5f上に形成されたデジタル印刷層12と、接着層13と、中間樹脂フィルム15と、接着層16と、シーラントフィルム18とをこの順序で備える。なお、包装材20Aと同様、包装材20Bにおいても中間樹脂フィルム15として、二軸延伸ナイロン(ONY)フィルムや二軸延伸ポリプロピレン(OPP)等を採用することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例]
<密着層形成用塗液>
三井化学(株)製接着剤溶液(主剤:タケラックA−525/硬化剤:タケネートA−52/溶媒:酢酸エチル)を使用して密着層形成用塗液(固形分濃度3質量%)を調製した。塗液を調製するにあたり、A−525:A−52:酢酸エチルの質量比は9:1:165とした。
<ポリカルボン酸含有塗液>
数平均分子量200000のポリアクリル酸水溶液(東亞合成製、アロンA−10H、固形分濃度:25質量%)20gを蒸留水58.9gで溶解した。これにアミノプロピルトリメトキシシラン(アルドリッチ製)0.44gを添加した後、攪拌することによってポリカルボン酸含有塗液を得た。
<コート層形成用塗液>
コート層形成用塗液として、微粒子酸化亜鉛分散液(住友大阪セメント製、ZS303、平均粒子径:20nm、固形分濃度:30質量%、分散溶剤:トルエン)を準備した。
<ガスバリア積層体の作製>
基材フィルムとしての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET:東レ製、ルミラー(登録商標)P60、厚さ12μm)のコロナ処理側に、上記密着層形成用塗液を用いて乾燥後の膜厚が0.2μmとなるようにバーコーターを用いて塗工し、150℃で1分間乾燥させることによって密着層を形成した。
この密着層の上に電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、酸化アルミニウムを蒸着して厚さ20nmの無機蒸着層(第一のガスバリア層)を形成した。
次に、この無機蒸着層上に、上記ポリカルボン酸含有塗液を、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、80℃で5分間乾燥し、その後、50℃で3日間熟成処理し、更に200℃で5分間熱処理を施すことによって、ポリカルボン酸含有層(第二のガスバリア層)を形成した。
更に、このポリカルボン酸含有層上に、酸化亜鉛粒子含有塗液を、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、90℃で2分間乾燥させることによって、酸化亜鉛粒子含有層(コート層)を形成した。酸化亜鉛粒子含有層における酸化亜鉛粒子の含有率は80質量%であった。
[比較例]
上記実施例のガスバリア層の代わりに、テトラエトキシシランの加水分解物とポリビニルアルコールを混合させた有機無機ハイブリッド膜(粒子を含有しない膜)を形成し、ガスバリア層としたことの他は、上記実施例と同様にしてガスバリア積層体を作製した。
<印刷面の表面粗さの測定>
実施例及び比較例で得られたガスバリア積層体のコート層の表面(印刷面)の表面粗さを原子間力顕微鏡(SPM、MFP−3D(アサイラムリサーチ社製))を用いて測定した。原子間力顕微鏡は走査プローブ型顕微鏡(SPM)の一種である。図4及び図5に実施例及び比較例に係る印刷層のSPM画像(N1〜N4の四箇所)をそれぞれ示す。表1に算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzの測定結果(N1〜N4の四箇所の平均値)を示す。なお、測定結果には傾き補正を実施した。
・カンチレバー:OMCL−AC160TS(オリンパス社製)
・測定モード:ACモード
・測定範囲:2μm×2μm
・測定周波数:1Hz(実施例)、0.5Hz(比較例)
<デジタル印刷の実施>
実施例及び比較例で得られたガスバリア積層体のコート層の表面(印刷面)にデジタル印刷を施した。このデジタル印刷は、ヒューレット・パッカード社のIndigo(エレクトロインキを用いたLEP方式の印刷技術)によって実施した。
<デジタル印刷インキ密着性評価>
実施例及び比較例におけるデジタル印刷のインキ密着性を以下のようにして評価した。すなわち、デジタル印刷を施した面に粘着テープ(ニチバン製、幅:15mm)を貼り付け、指で3回押し付けた。その後、この粘着テープを剥がし、粘着テープにインキが転写される程度を以下の基準に従って目視により評価した。この評価をデジタル印刷の直後、3日後及び5日後にそれぞれ実施した。表1に結果を示す。
A:インキが粘着テープに全く転写されなかった。
B:インキが粘着テープにわずかに転写された。
C:インキの半分程度が粘着テープに転写された。
D:インキの大部分が粘着テープに転写された。
E:インキが粘着テープに完全に転写された。
1…基材フィルム、2…密着層、3…ガスバリア層、3a…第一のガスバリア層、3b…第二のガスバリア層、5…コート層、5f…印刷面、10A,10B…ガスバリア積層体、12…デジタル印刷層、20A,20B…包装材

Claims (4)

  1. 基材フィルムと、
    ガスバリア層と、
    コート層と、
    をこの順序で含む積層構造を有し、
    前記コート層は、平均粒子径Dが5nm〜100nmの粒子を含み、且つ、原子間力顕微鏡で測定される最大高さ粗さRzが100nm〜1000nmである印刷面を有し、
    前記印刷面上にデジタル印刷層が形成されている、包装材。
  2. 前記コート層における前記粒子の含有率が当該コート層の質量基準で50質量%以上である、請求項1に記載の包装材。
  3. 原子間力顕微鏡で測定される前記印刷面の算術平均粗さRaと、前記粒子の平均粒子径Dとの比Ra/Dが0.25〜4である、請求項1又は2に記載の包装材。
  4. 前記コート層は、前記粒子として、亜鉛粒子及び亜鉛化合物粒子の少なくとも一方を含む、請求項3に記載の包装材。
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