JP2020024321A - トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分散媒体として二酸化炭素を用いる溶解懸濁法において、粒度分布がシャープ、且つ、シェル厚みが均一で、低温定着性に優れるコアシェル型のトナー粒子を、大量生産を念頭においた温度条件で得るための製造方法を提供する。【解決手段】トナーの製造方法で、a)樹脂微粒子、有機溶媒A、及び結着樹脂Rを、二酸化炭素を含む分散媒体と混合し、表面が樹脂微粒子で覆われた結着樹脂Rを含有する液滴が、分散媒体中に分散した分散体を調製する工程、b)分散体に加圧状態の二酸化炭素を流通させ、液滴及び分散媒体に含まれる有機溶媒Aを除去する工程、を有し、結着樹脂Rが結晶性樹脂であり、樹脂微粒子は酸性官能基を含有し、樹脂微粒子の酸価が2.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下であり、有機溶媒AのSP値が19.0(J/cm3)0.5以上45.0(J/cm3)0.5以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真及び静電印刷などの画像形成方法に用いられるトナーの製造方法に関する。
近年、複写機やプリンター、ファックス等の画像形成装置を開発する上で、高画質化と省エネルギー化が大きな技術的課題としてとらえられている。高画質化を可能にする手段の1つとして、トナー粒子の粒度分布をシャープにする方法がある。また、省エネルギー化を可能にする手段の1つとして、結着樹脂として結晶性樹脂を用いることで低温定着性を向上させたトナー粒子が提案されている。
トナー粒子の粒度分布をシャープにするための比較的容易な製法として、「溶解懸濁法」が知られている。近年、分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法が精力的に研究されはじめている。この理由は、分散媒体として水を用いる一般的な溶解懸濁法に対し、分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法では、洗浄工程や乾燥工程が必要ないため、省エネルギー、且つ、低コストでトナー粒子を製造できるからである。また、別の理由として、分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法が、結晶性樹脂を有するトナー粒子の製造方法として好適と考えられている点が挙げられる。このような考えは、高圧状態の二酸化炭素に結晶性樹脂をさらすことによって、その結晶化度を極めて短時間で高めることができるという研究報告に基づいたものである。
分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法に関する報告例の多くは、分散剤として樹脂微粒子を用いている。分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法において、樹脂微粒子が分散剤として機能するための要件は4点ある。1つは、トナー粒子の主成分である結着樹脂を溶解させるための有機溶媒、及び、二酸化炭素に対して耐溶剤性を有することである。もう1つは、有機溶媒中で凝集しないこと、さらにもう1つは、前記結着樹脂に対して親和性を有すること、さらにもう1つは、二酸化炭素に対して親和性を有することである。
分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法において、樹脂微粒子を分散剤として用いる場合、結着樹脂を主成分とするコアと樹脂微粒子から成るシェルを有するコアシェル型のトナー粒子が得られる。ここで述べるシェルとは、コア表面に樹脂微粒子が集積したものに加え、コア正面に集積した樹脂微粒子を何らかの方法でレベリングして層状にしたものも含む。
特許文献1では、分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法において、二酸化炭素に親和性のある有機ポリシロキサン構造を有する櫛形構造の樹脂から成る樹脂微粒子を分散剤として用いることで、粒度分布がシャープなトナー粒子を得られることが開示されている。
特開2013−137535号公報
特許文献1に記載の方法に基づいて、本発明者らがトナー粒子を得ようと試みたところ、室温近傍の温度条件においては、粒度分布がシャープなトナー粒子を得ることができた。しかしながら、室温近傍の温度条件においては、造粒時の粘度が極めて高く、造粒するために用いた撹拌装置の駆動部に対する負荷が極めて大きく、トナー粒子を大量生産するには、高出力、且つ、高耐久の撹拌装置を新たに開発する必要があった。しかし、高出力の撹拌装置を開発し、用いることは、分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法の利点の1つである省エネルギーを損なう可能性がある。そこで、本発明者等は、省エネルギーの利点を享受しつつ撹拌装置の駆動部に対する負荷を減じるため、わずかに加温した条件、具体的には温度条件を40℃に変更し、造粒時の粘度を下げた条件で特許文献1をトレースした。ところが、この温度条件においては、トナー粒子の粒度分布がブロード化したことに加え、シェル厚みが不均一なコアシェル型のトナー粒子が得られた。本発明者らがこの現象について調べたところ、特許文献1で分散剤として用いられた樹脂微粒子は、コアの主成分である結着樹脂を溶解させるための有機溶媒に対し、40℃では耐溶剤性が十分でなく、さらに有機溶媒中で部分的に凝集することが明らかになった。
本発明は、これらの背景技術、及び、課題を鑑みてなされたものである。具体的には、本発明の目的は、分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法において、粒度分布がシャープ、且つ、シェル厚みが均一で、低温定着性に優れるコアシェル型のトナー粒子を、大量生産を念頭においた温度条件で得るための製造方法を提供することにある。
即ち、本発明はトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
(a)樹脂微粒子、有機溶媒A、及び結着樹脂Rを、二酸化炭素を含む分散媒体と混合し、表面が前記樹脂微粒子で覆われた前記結着樹脂Rを含有する液滴が、前記分散媒体中に分散した分散体を調製する工程、
(b)前記分散体に加圧状態の二酸化炭素を流通させ、前記液的及び前記分散媒体に含まれる前記有機溶媒Aを除去する工程、
を有し、
前記結着樹脂Rが結晶性樹脂であり、
前記樹脂微粒子は、構造Aと構造Cを有する樹脂Y、構造Bと構造Cを有する樹脂Zを含有し、また、前記樹脂微粒子は酸性官能基を含有し、
前記構造Aは、結晶構造を取り得る部位を有し、
前記構造Aのみで構成される樹脂A、及び前記構造Bのみで構成される樹脂Bが、前記有機溶媒Aに対して可溶であり、
前記構造Cのみで構成される樹脂Cが、前記有機溶媒Aに対して不溶であり、
前記樹脂微粒子の酸価が2.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下であり、
前記有機溶媒AのSP値が19.0(J/cm30.5以上45.0(J/cm30.5以下であることを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明によれば、粒度分布がシャープ、且つ、シェル厚みが均一で、低温定着性に優れるコアシェル型のトナー粒子を有するトナーを、大量、且つ安定して得ることができる、トナーの製造方法を提供することができる。
樹脂Yの構造パターン(1)〜(4)を示すモデル図である。 樹脂Zの構造パターン(5)〜(8)を示すモデル図である。 トナーの製造装置の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳しく説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施形態に限定されない。
本発明では、分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法によって、トナー粒子、及び、トナーを製造する。溶解懸濁法において分散媒体として二酸化炭素を用いることの意義は、背景技術に記載した通りである。
本発明の最大の特徴は、分散剤として用いる樹脂微粒子の材料構成、及び、樹脂微粒子の材料構成と結着樹脂の組み合わせ、及び、樹脂微粒子の材料構成と結着樹脂を溶解させるための有機溶媒Aの組み合わせを定義している点にある。
即ち、本発明はトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
(a)樹脂微粒子、有機溶媒A、及び結着樹脂Rを、二酸化炭素を含む分散媒体と混合し、表面が前記樹脂微粒子で覆われた前記結着樹脂Rを含有する液滴が、前記分散媒体中に分散した分散体を調製する工程、
(b)前記分散体に加圧状態の二酸化炭素を流通させ、前記液滴及び前記分散媒体に含まれる前記有機溶媒Aを除去する工程、
を有し、
前記結着樹脂Rが結晶性樹脂であり、
前記樹脂微粒子は、構造Aと構造Cを有する樹脂Y、構造Bと構造Cを有する樹脂Zを含有し、また、前記樹脂微粒子は酸性官能基を含有し、
前記構造Aは、結晶構造を取り得る部位を有し、
前記構造Aのみで構成される樹脂A、及び前記構造Bのみで構成される樹脂Bが、前記有機溶媒Aに対して可溶であり、
前記構造Cのみで構成される樹脂Cが、前記有機溶媒Aに対して不溶であり、
前記樹脂微粒子の酸価が2.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下であり、
前記有機溶媒AのSP値が19.0(J/cm30.5以上45.0(J/cm30.5以下であることを特徴とするトナーの製造方法である。
分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法において、樹脂微粒子が分散剤として機能するための要件は4点ある。1つは、トナー粒子の主成分である結着樹脂Rを溶解させるための有機溶媒A、及び、二酸化炭素に対して耐溶剤性を有することである。もう1つは、結着樹脂Rを溶解させるための有機溶媒A中で凝集しないこと、さらにもう1つは、結着樹脂Rに対して親和性を有すること、さらにもう1つは、二酸化炭素に対して親和性を有することである。
本発明の樹脂微粒子の構成部位が担う機能について説明する。
本発明の樹脂微粒子は、少なくとも2種類以上の樹脂から構成されることを特徴とする。1つは、構造Aと構造Cを有する樹脂Y、もう1つは、構造Bと構造Cを有する樹脂Zである。ここで、構造Cは、結着樹脂Rを溶解させるための有機溶媒Aに対して不溶であるため、本発明の樹脂微粒子は、前記有機溶媒Aに対して耐溶剤性を有する。
構造Aは、結晶構造を取り得る部位を有することが特徴であり、結晶性樹脂である結着樹脂Rと共晶作用による親和性を有するため、構造Aを有する本発明の樹脂微粒子は、結着樹脂Rに対して親和性を有する。
構造Bは、二酸化炭素に親和性を有する部位であり、構造Bを有する本発明の樹脂微粒子は、二酸化炭素に対して親和性を有する。
一般に、有機溶媒中で樹脂微粒子の分散安定性を長時間維持することは難しい。そこで、本発明では、結着樹脂Rを溶解させるための有機溶媒Aとして、極性を有する有機溶媒Aを使用するとともに、本発明の樹脂微粒子に酸性官能基を含有させることによって前記有機溶媒A中での分散安定性を向上させようとした。本発明者らが検討したところ、樹脂微粒子が前記有機溶媒Aに可溶な構造Aと構造Bを有し、且つ、酸性官能基を含有することによってはじめて、樹脂微粒子が極性を有する有機溶媒A中で、分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法に適用する分散剤として十分な分散安定性を維持できることを見出した。構造Aと構造Bは前記有機溶媒A中で排除堆積効果を発現することによって樹脂微粒子の分散安定性に寄与し、酸性官能基は前記有機溶媒A中で静電斥力効果を発現することによって樹脂微粒子の分散安定性に寄与したと考えている。
分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法において、樹脂微粒子を分散剤として用いる場合、結着樹脂を主成分とするコアと樹脂微粒子から成るシェルを有するコアシェル型のトナー粒子が得られる。ここで述べるシェルとは、コア表面に樹脂微粒子が集積したものに加え、コア正面に集積した樹脂微粒子を何らかの方法でレベリングして層状にしたものも含む。即ち、本発明のように、分散安定性に優れる樹脂微粒子を分散剤として用いることによってはじめて、シェル厚みが均一なコアシェル型のトナー粒子を得ることができる。
本発明では、結着樹脂Rとして結晶性樹脂を用いることにより、低温定着性に優れるトナー粒子を得ることを意図している。この点に関し、本発明の樹脂微粒子が、少なくとも2種類以上の樹脂から構成されることは、大きな利点を有する。特許文献1のように櫛形構造の樹脂から成る樹脂微粒子を分散剤として用いた場合、櫛形構造の樹脂はその合成技術的な制約から高分子量に成りやすいため、櫛形構造の樹脂から成る樹脂微粒子から構成されるシェルが、コアシェル型のトナー粒子の低温定着性を阻害する可能性がある。一方、本発明の樹脂微粒子は、2種類以上の樹脂から構成されており、櫛形構造の樹脂を用いることは必須でないため、本発明の樹脂微粒子から構成されるシェルを有するコアシェル型のトナー粒子は低温定着性において有利である。
本発明における分散媒体として二酸化炭素を用いることを特徴とする溶解懸濁法によってトナー粒子が得られるメカニズムを詳細に説明する。
本発明の工程(a)では、まず結着樹脂Rを有機溶媒Aに溶解させた結着樹脂R溶液を耐圧容器に投入し、撹拌を施しながら二酸化炭素を混合することで前記耐圧容器内を加圧していく。二酸化炭素をある量まで混合していくと、結着樹脂Rと有機溶媒Aと二酸化炭素を含有する液相と、有機溶媒Aと二酸化炭素を含有する液相に相分離する。この時に分散剤として樹脂微粒子を介在させることで、樹脂微粒子に被覆された結着樹脂Rと有機溶媒Aと二酸化炭素を含有する液滴が形成され、二酸化炭素と有機溶媒Aを含む分散媒体中に前記液滴が分散した分散体が得られる。
本発明の工程(b)では、二酸化炭素と有機溶媒Aを含む分散媒体中に前記液滴が分散した分散体に対して、二酸化炭素をさらに加えることで、前記液滴から有機溶剤Aが抽出され結着樹脂Rを含有するトナー粒子が形成される。次いで、有機溶媒Aを含んだ高圧状態の二酸化炭素を耐圧容器外にフローすることで、分散体中に含まれる有機溶媒Aが除去される。最後に脱圧により高圧状態から大気圧になることで、トナー粒子を完粉として取り出すことができる。
工程(a)において、結着樹脂R溶液を調整する時に必要に応じて着色剤やワックスなど先に加えおいてもよい。また、結着樹脂R溶液をより簡便に得るために、例えば、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機などの分散機を用いても構わない。
二酸化炭素は単体で分散媒体として用いてもよく、他の成分として有機溶媒A、或いは有機溶媒と異なる有機溶媒が含まれていてもよい。また、分散媒体中の二酸化炭素の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。また、前記結着樹脂R溶液に二酸化炭素を導入する方法は、本発明の目的を達成できる範囲であれば特に限定されない。具体例としては、結着樹脂R溶液を入れた耐圧容器に二酸化炭素を含有する分散媒体を導入する方法や、二酸化炭素を含有する分散媒体を入れた耐圧容器に結着樹脂R溶液を高圧ポンプを用いて導入する方法などが挙げられる。
さらに、分散剤として用いる樹脂微粒子の投入形態は本発明の目的を達成可能な範囲において特に限定されない。例えば、結着樹脂R溶液を調整する時にすでに投入しておいてもよく、有機溶媒A、または有機溶媒Aと二酸化炭素の混合物に分散させた状態で投入してもよい。本発明では、二酸化炭素を含まない大気圧下で調製できるという点で、有機溶媒Aに分散させた分散液の状態で樹脂微粒子を投入することが好ましい。有機溶媒A、または有機溶媒Aと二酸化炭素の混合物に分散させた樹脂微粒子を投入する方法としては、具体的に下記の方法が挙げられる。
(1)結着樹脂R溶液に二酸化炭素を加えた第1の耐圧容器と、樹脂微粒子を有機溶媒Aに分散させた分散液に二酸化炭素を加えることで第1の耐圧容器よりも高圧状態の第2耐圧容器を準備し、第1の耐圧容器へ圧力差を利用することで樹脂微粒子の分散液を投入する。
(2)結着樹脂R溶液に二酸化炭素を加えた耐圧容器に、高圧ポンプ等を用いて樹脂微粒子の分散液を投入する。
樹脂微粒子の添加量は、結着樹脂R100.0質量部に対して3.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、液滴の安定性や所望する粒径に合わせて適宜調整することができる。
工程(b)において、液滴から有機溶剤Aを抽出して結着樹脂Rを含有するトナー粒子が形成される時の耐圧容器内の圧力は、3.0MPa以上15.0MPa以下であることが好ましい。二酸化炭素をフローする量が十分でなく、トナー粒子中に有機溶媒Aが残留した状態であると、トナー粒子を回収する際にトナー粒子が再溶解したり、凝集したりする場合がある。従って、二酸化炭素による有機溶媒Aの除去は、有機溶媒Aが完全に除去されるまで行うことが好ましい。フローさせる二酸化炭素の量は、分散媒体の体積に対して1倍以上100倍以下が好ましく、より好ましくは1倍以上50倍以下であり、さらに好ましくは1倍以上30倍以下である。耐圧容器を減圧し、トナー粒子が分散した二酸化炭素を含む分散体からトナー粒子を取り出す際は、一気に常圧まで減圧してもよいが、独立に圧力制御された耐圧容器を多段に設けることによって段階的に減圧してもよい。
本発明で用いる構造Aについて説明する。構造Aは、分散剤である樹脂微粒子が結着樹脂Rを含有する液滴に吸着するために必要である。本発明では、樹脂微粒子が液滴に吸着する駆動力として、結着樹脂として結晶性樹脂である結着樹脂Rと結晶構造を取り得る部位を有する構造Aの共晶現象を利用している。さらに好ましくは、下記式(1)を満たす場合に構造Aと結着樹脂Rの親和性をより高めることができるため、樹脂微粒子の液滴に対する吸着性を向上させることができる。
|SPR−SPA|≦2.0 式(1)
(式(1)において、SPAは構造AのSP値を、SPRは結着樹脂RのSP値を表す。)
ここで、SP値は、溶解度パラメータともいい、ある物質がある物質にどの程度溶解するかを示す溶解性や親和性の指標として用いられる数値である。SP値が近いもの同士は溶解性や親和性が高く、SP値が離れているものは溶解性や親和性が低い。SP値は、溶解度パラメータ計算ソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice)により算出することができる。本発明におけるSP値の単位は、(J/m30.5であるが、1(cal/cm30.5=2.046×103(J/m30.5によって(cal/cm30.5の単位に換算することができる。
本発明における構造Bについて説明する。構造Bは、樹脂微粒子に二酸化炭素を含む分散媒体への親和性を付与する機能を有するものである。この機能を果たすために、構造Aと構造BのSP値が下記式(2)を満たすことが好ましい。
3.0≦(SPA−SPB) 式(2)
(式(2)において、SPAは構造AのSP値を、SPBは構造BのSP値を表す。)
構造Bが、式(2)を満たすことで、SPBはSPAに比べ十分に小さい値となることから、結着樹脂Rや構造Aに比べSP値が小さい二酸化炭素に対して値が近くなる。よって構造Bは二酸化炭素を含む分散媒体に対して高い親和性を示す。
本発明の結着樹脂Rについて説明する。本発明における結着樹脂Rは結晶性樹脂であれば特に限定されない。本発明における結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)を用いた示差走査熱量測定において、明瞭な融点ピークを示すものである。結着樹脂Rが結晶性樹脂であることで、溶融後の粘性が低下し良好な低温定着性を発現することができる。本発明では、低温定着性を達成するという観点から、結晶性樹脂の融点が50.0℃以上80.0℃以下であることが好ましい。
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル、結晶性ポリカプロラクトン、結晶性ポリウレタン、結晶性ポリウレアが挙げられ、これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明における結着樹脂Rは、結晶性樹脂を有するセグメントと、非晶性樹脂を有するセグメントを化学的に結合したブロックポリマーを使用することも好ましい形態の1つである。
ブロックポリマーは、結晶性樹脂を有するセグメントと非晶性樹脂を有するセグメントから構成されるジブロックポリマー、トリブロックポリマー、トリブロックポリマー、マルチブロックポリマーが挙げられ、どの形態も使用可能である。
本発明において、ブロックポリマーを調製する方法としては、例えば、結晶性樹脂を有するセグメントと非晶性樹脂を有するセグメントを別々に調製し、両者を結合する方法が挙げられる。その他の方法であっても、本発明の目的を達成できる範囲であれば、特に限定なく用いてよい。結晶性樹脂を有するセグメントと非晶性樹脂を有するセグメントを別々に調整し、これらは結合する方法によってブロックポリマー調整する場合、それぞれのセグメントの末端に結合に関与する官能基を導入しておくとよい。
本発明におけるブロックポリマーは、それぞれのセグメントが有する末端官能基の反応性を考慮して種々の方法より選択してブロックポリマーとすることができる。
結晶性樹脂、及び非晶性樹脂がともにポリエステル樹脂の場合は、結晶性樹脂と非晶性樹脂を別々に調製した後、必要に応じて結合剤を用いて結合することにより調製することができる。また、片方のポリエステルの酸価が高く、もう一方のポリエステルの水酸基価が高い場合は、結合剤を用いることなく結合させることができる。このとき反応温度は200℃付近で行うのが好ましい。
結合剤を使用する場合は、以下の結合剤が挙げられる。多価カルボン酸、多価アルコール、多価イソシアネート、多官能エポキシ、多価酸無水物。これらの結合剤を用いて、脱水反応や付加反応によって合成することができる。
一方で、結晶性樹脂がポリエステル樹脂であり、非晶性樹脂がポリウレタン樹脂の場合では、ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂を別々に調製した後、ポリエステル樹脂のアルコール末端とポリウレタン樹脂のイソシアネート末端とをウレタン化反応させることにより調製できる。また、アルコール末端を持つポリエステル樹脂と、ポリウレタン樹脂を構成するジオール、ジイソシアネートを混合し、加熱することによっても合成が可能である。ジオール及びジイソシアネート濃度が高い反応初期はジオールとジイソシアネートが選択的に反応してポリウレタン樹脂となり、ある程度分子量が大きくなった後にポリウレタン樹脂のイソシアネート末端とポリエステル樹脂のアルコール末端とのウレタン化反応が起こり、ブロックポリマーとすることができる。特に、本発明における結着樹脂Rは、結晶性ポリエステルとポリウレタン樹脂から構成させるブロックポリマーが好ましい。その理由は、分散剤として用いる樹脂微粒子が含有する酸性官能基とポリウレタン樹脂との相互作用により液滴に対する樹脂微粒子の吸着性が向上するからである。
結晶性樹脂を有するセグメント、及び非晶性樹脂を有するセグメントがともにビニル樹脂であるブロックポリマーを結着樹脂として用いる場合は、一方の樹脂を重合した後、そのビニルポリマーの末端からもう一方の樹脂を重合開始させることにより調製することができる。
前記ブロックポリマー中の結晶性樹脂、即ち結晶構造を取り得る部位の割合は50.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、70.0質量%以上85.0質量%以下であることがより好ましい。
また、本発明の目的を達成可能な範囲において、本発明の工程(a)における結着樹脂R溶液に非結晶樹脂を加えておいても構わない。非晶性樹脂としては特に限定はないが、具体例としては、非晶性ポリエステル、非晶性ポリウレタン、非晶性ポリウレア、非晶性のポリビニル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、弾性を維持することができるという観点から、非晶性ポリエステル、非晶性ポリビニル、非晶性ポリウレタンが好ましい。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、低温定着性を向上させる観点から、非晶性樹脂のガラス転移点は、40.0℃以上100.0℃以下であることが好ましく、50.0℃以上80.0℃以下であることがより好ましい。
本発明の樹脂微粒子は、構造Aと構造Cを有する樹脂Y、及び構造Bと構造Cを有する樹脂Zを含有することが特徴である。
構造Aは、結晶構造を取り得る部位を有することが特徴であり、結晶性樹脂である結着樹脂Rとの共晶作用により親和性を有するため、構造Aを有する本発明の樹脂微粒子は結着結着樹脂Rに対して親和性を有する。
構造Bは、二酸化炭素に親和性を有する部位であり、構造Bを有する本発明の樹脂微粒子は、二酸化炭素に対して親和性を有する。
構造Cは、有機溶媒Aに対して不溶であるため、本発明の樹脂微粒子は有機溶媒Aに対して耐溶剤性を有する。
一般に、分散剤とは分散質に対する親和性と分散媒体に対する親和性を有し、これらのバランスが最適化された場合に、その機能を発揮する。本発明における樹脂微粒子は、分散質に対する親和性を有する部位として構造A、また分散媒体に対する親和性を有する部位として構造Bを別々に設計することができる。そのため、構造Aと構造Bの含有比率を、樹脂Yと樹脂Zの混合比率を変えることにより容易に制御することができる利点がある。さらに、櫛形構造の樹脂から成る樹脂微粒子は、可溶分が一般的な高分子分散剤のように様々なサイズの液滴を安定化させる性質をもつため、粒度分布のブロードなトナー粒子が得られる懸念がある。一方で、本発明の樹脂微粒子は、可溶分が樹脂Yまたは樹脂Zであるため、これらは液滴を安定化させる性質がない。そのため、本発明の樹脂微粒子を分散剤として用いることで、粒度分布がシャープなトナー製造に寄与するという利点もある。
本発明において、樹脂微粒子が有機溶媒A中で凝集せずに十分な分散安定性を維持させるためには、樹脂微粒子に酸性官能基を導入することで酸価をもたせることが好ましい。本発明者らが鋭意検討を行った結果、本発明で用いる樹脂微粒子の酸性官能基に由来する酸価は、2.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下の適切な範囲で含有させることで、樹脂微粒子が有機溶媒A中でより高い分散安定性を得ることができることを見出した。樹脂微粒子の酸価が2.0mgKOH/g未満のとき、樹脂微粒子が有機溶媒Aに対して十分な分散安定性を維持しにくくなり、樹脂微粒子が一部凝集した状態でシェルを形成してしまう場合がある。その結果、トナー粒子のシェル厚みが不均一になる場合がある。樹脂微粒子の酸価が20.0mgKOH/gよりも大きいとき、樹脂微粒子の酸価が過剰となり樹脂微粒子同士が凝集してしまうことで、樹脂微粒子が一部凝集した状態でシェルを形成してしまう場合がある。その結果、トナー粒子のシェル厚みが不均一になる場合がある。本発明における樹脂微粒子の酸価は、5.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下の範囲で含有することが好ましい。
本発明で樹脂微粒子に含有させる酸性官能基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられるが、上述のように樹脂微粒子が有機溶媒Aに対して高い分散安定性を得ることができれば、特に限定はない。
本発明における樹脂微粒子の有機溶媒Aに対する不溶分率は、65.0質量%以上であることが好ましい。不溶分率を65.0質量%以上に設計することで、樹脂微粒子が有機溶媒Aに対して耐溶剤性を有することができる。不溶分率は、75.0質量%以上であることがより好ましく、80.0質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明における樹脂微粒子の体積平均粒径は、50nm以上300nm以下であることが好ましい。樹脂微粒子の体積平均粒径が50nmより小さい樹脂微粒子を分散剤として用いると、トナー粒子の造粒性が損なわれる場合があることがわかっている。一方、本発明の樹脂微粒子は、マイクロメートルオーダーの樹脂粒子を得る際に用いる分散剤として用いることを想定しており、300nmより大きい樹脂微粒子を用いると、トナー粒子が目的よりも粗大化してしまう場合がある。発明者等の検討によれば、特に、体積平均粒径が80nm以上250nm以下の樹脂微粒子を分散剤として用いた場合に、トナー粒子を安定に造粒できることがわかっている。したがって、良好な粒度分布のトナー粒子を得るためには、樹脂微粒子の体積平均粒径を上記の範囲に制御することが好ましい。また、樹脂微粒子の体積平均粒径は、80nm以上250nm以下であることがより好ましい。
樹脂微粒子の製造方法は、本発明の目的を達成できる範囲であれば特に限定されない。例えば、樹脂Y及び樹脂Zを分子レベルで混合させた混合物を粉砕する方法や、樹脂Y及び樹脂Zを良溶媒に溶解させて、これに樹脂Y及び樹脂Zに共通する貧溶媒を添加することで析出させる方法や、有機溶媒に樹脂Y及び樹脂Zを溶解させた後、水中で乳化工程を経て脱溶剤することで樹脂微粒子を得るなどの方法がある。このとき、公知の界面活性剤や分散剤を用いることができる。
本発明における構造Aの具体例について説明する。構造Aは結晶構造を取り得る部位を有するもので、且つ、有機溶媒Aに可溶であれば特に限定なく用いることができる。具体的には、前述した結着樹脂Rに用いることのできる樹脂として列挙した化合物などが挙げられる。
本発明において、樹脂微粒子が含有する構造Aの含有率は、樹脂微粒子を構成する全樹脂に対し10.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。このような範囲に設計することで、結着樹脂Rを含有する液滴に対して十分な吸着性が担保される。より好ましくは、15.0質量%以上35.0質量%以下である。
本発明における構造Bの具体例について説明する。構造Bは、有機溶媒Aに可溶であり、且つ、二酸化炭素に親和性を有する部位であれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、下記式(3)に示される有機ポリシロキサン構造を有することが好ましい。
Figure 2020024321
(式(3)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1以上3以下のアルキル基を表し、nは2以上150以下の整数である。)
有機ポリシロキサン構造は二酸化炭素を含有する分散媒体に対して高い親和性を有するため、有機ポリシロキサン構造を有するユニットを含む樹脂微粒子は、分散媒体中で凝集せず、分散安定を維持することができる。さらに、式(3)における有機ポリシロキサン構造を有するユニットのR1及びR2は、メチル基であることが好ましい。
本発明における樹脂微粒子は、有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子を5.0質量%以上30.0質量%以下含有することが好ましく、7.0質量%以上18.0質量%以下含有することがより好ましい。このような範囲に設計することで、構造Bが二酸化炭素の分散媒体に対し親和性が高まることで液滴の分散安定性が向上する。
本発明における構造Cの具体例について説明する。本発明の構造Cは、有機溶媒Aに対して不溶であれば特に限定なく用いることができる。本発明において、有機溶媒Aに対して不溶とは、40℃の条件で樹脂の有機溶媒に対する不溶分率が90.0質量%以上であることをいう。不溶分率をこのように高く設計することで、樹脂Cの構成材料である構造Cを樹脂微粒子に導入したときに、有機溶媒Aに対して耐溶剤性を発現できるようになる。
一般に、樹脂微粒子に耐溶剤性を付与するためには、樹脂微粒子中に化学架橋構造を形成させる方法が挙げられる。しかしながら、トナー用途においては、前記樹脂の架橋密度が大き過ぎる場合、低温定着性を阻害する恐れがある。一方、樹脂の架橋密度が小さすぎる場合、有機溶媒に対する耐溶剤性が高くなりにくい。
これに対して、樹脂微粒子に有機溶媒Aに対する耐溶剤性を発現するための構造Cを含有させることで、化学架橋に依らなくても高い耐溶剤性を有する樹脂微粒子を得ることができる。
本発明における構造Cは、低温定着性を達成するという観点から、構造Cが結晶性樹脂であることが好ましい。樹脂微粒子に有機溶媒Aに対する耐溶剤性を付与する構造Cが結晶性樹脂であれば、トナーの低温定着性を阻害しにくくすることができる。
トナーの低温定着性を阻害しにくくする観点から、結晶性樹脂の融点は、70℃以上120℃以下が好ましく、75℃以上100℃以下がより好ましい。結晶性樹脂の融点が70℃以上である場合、前記樹脂微粒子の有機溶媒Aに対する耐溶剤性をより高めることができる。
本発明において、構造Cに用いる結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル、結晶性アルキル樹脂、結晶性ポリウレタン、結晶性ポリウレアなどが挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、低温定着性を向上させる観点から結晶性ポリエステルが好ましい。
結晶性ポリエステルとしては、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を反応させて得られるポリエステル樹脂、あるいは脂肪族ラクトンを開環重合して得られるポリエステル樹脂を挙げることができる。脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を反応させて得られるポリエステル樹脂としては、炭素数6以上20以下の脂肪族ジオールと炭素数6以上20以下の脂肪族ジカルボン酸との縮重合体が好ましい。
前記脂肪族ジオールは直鎖型であることが好ましい。直鎖型であることで、より結晶性の高いポリエステルが得られる。すなわち、炭素数6以上20以下の直鎖型脂肪族ジオールが好ましい。このようなジオールは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明で用いるジオールは、有機溶媒Aへ耐溶剤性を付与するという観点から、以下のものがより好ましい。1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−イコサンジオール。
前記脂肪族ジカルボン酸は、より結晶性の高いポリエステルが得られるという観点から、直鎖型であることが好ましい。すなわち、炭素数6以上20以下の直鎖型脂肪族ジカルボン酸が好ましい。脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルや酸無水物も使用できる。
アジピン酸、セバシン酸、及び1,10−デカンジカルボン酸、並びにそれらの低級アルキルエステルや酸無水物がより好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、芳香族カルボン酸を用いることもできる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
また、前記脂肪族ラクトンとしては、例えば、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ω−ペンタデカンラクトン、グリコリッド、ラクタイド、などが挙げられる。これらの中でも、ω−ペンタデカンラクトンが、有機溶媒Aへの耐溶剤性を付与する観点から好ましい。
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、ジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させる一般的なポリエステルの重合法を用いて製造することができる。例えば、直接重縮合法又はエステル交換法を、単量体の種類に応じて使い分けて製造することができる。結晶性ポリエステルの製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことが好ましい。
結晶性ポリエステルの製造時に使用可能な触媒としては、例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド及びチタンテトラブトキシド等のチタン触媒、又は、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド及びジフェニルスズオキシド等のスズ触媒等が挙げられる。
結晶性アルキル樹脂としては、直鎖型アルキル基を分子構造に含むビニル単量体を重合した樹脂が挙げられる。直鎖型アルキル基を分子構造に含むビニル単量体としては、アルキル基の炭素数が12以上であるアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートが好ましい。例えば、以下のものが挙げられる。ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルアクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、エイコシルアクリレート、エイコシルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレート等。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
樹脂微粒子を構成する全樹脂に対する構造Cの含有率は、30.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましい。このような範囲に設計することで、樹脂微粒子の有機溶媒Aへの耐溶剤性を維持することができる。
ここからは、樹脂Y及び樹脂Zの構造と製造方法について詳細に説明する。
本発明における樹脂Yは、図1の(1)〜(4)のいずれかのポリマーであることが好ましい。
(1)構造Aと構造Cを枝部位として有するグラフトポリマー
(2)構造Aを幹部位とするセグメントと、構造Cを枝部位として有するグラフトポリマーからなるセグメントとが、結合したコポリマー
(3)構造Cを幹部位とするセグメントと、構造Aを枝部位として有するグラフトポリマーからなるセグメントとが、結合したコポリマー
(4)構造Aを幹部位とするセグメントと、構造Cを幹部位とするセグメントとが、結合したコポリマー
また、本発明における樹脂Zは、図2の(5)〜(8)のいずれかのポリマーであることが好ましい。
(5)構造Bと構造Cを枝部位として有するグラフトポリマー
(6)構造Bを幹部位とするセグメントと、構造Cを枝部位として有するグラフトポリマーからなるセグメントとが、結合したコポリマー
(7)構造Cを幹部位とするセグメントと、構造Bを枝部位として有するグラフトポリマーからなるセグメントとが、結合したコポリマー
(8)構造Bを幹部位とするセグメントと、構造Cを幹部位とするセグメントのコポリマー
本発明において、樹脂微粒子が含有する樹脂Yと樹脂Zの組合せについては、本発明の課題を解決できるものであれば、どのような組合せでもよく、樹脂Y及び樹脂Zを2種以上含んでいてもよい。また、本発明の目的を達成可能な範囲において、その他の樹脂を含有させてもよい。
枝部位を含む主鎖には、構造Aを含むモノマーに由来するユニットのほかに、スチレンやメチルメタクリレートのような分子量が200以下の低分子量モノマーに由来するユニットを含んでもよい。これらの低分子量モノマーは、液滴表面への吸着する機能を有さないが、ランダムに構造Aを有するモノマーと共重合されることで、主鎖全体として液滴表面へ吸着する機能を有する部位として作用するためである。
また、前記枝部位を含む主鎖には、構造Bを含むモノマーに由来するユニットのほかに、スチレンやメチルメタクリレートのような分子量が200以下の低分子量モノマーに由来するユニットを含んでもよい。これらの低分子量モノマーは単独では分散能を有さないが、構造Bを含むモノマーとランダムに共重合されることで、主分散媒体に安定に分散する機能を有する部位として作用するためである。
以下、樹脂Y及び樹脂Zの製造方法例を詳細に説明するが、本発明の目的を達成可能な範囲であれば、これらに限定されない。
樹脂Yの構成パターンのうち、図1(1)に示すグラフトポリマー、及び樹脂Zの構成パターンのうち図2(5)に示すグラフトポリマーは、一般的なラジカル重合により合成することができる。本発明では、
樹脂Yのグラフトポリマーを構成するモノマーとして、構造A、及びCを含むマクロモノマーを用いることが好ましい。
樹脂Zのグラフトポリマーを構成するモノマーとして、構造B、及びCを含むマクロモノマーを用いることが好ましい。
構造Aには、前記式(1)を満たす構造Aを有するマクロモノマーを用いることができる。市販のマクロモノマーとしては、例えば、AS−6(スチレンマクロモノマー、東亜合成社製)、AA−6(メチルメタクリレートマクロモノマー、東亜合成社製)、AN−6(スチレン−アクリロニトリルマクロモノマー、東亜合成社製)、AB−6(ブチルアクリレートマクロモノマー、東亜合成社製)などが挙げられる。また、前記式(1)を満たす構造Aを含むポリマーに重合性不飽和基を導入して得られるマクロモノマーを用いることもできる。
例えば、ポリエステル構造の末端に重合性不飽和基を導入してマクロモノマーを得る方法として、以下の方法が挙げられる。
1.ラクトン環の開環重合により製作したポリエステルとラジカル重合性化合物とをカップリングさせる方法。
より具体的には、
1−1 ラクトン化合物を開環重合して得られる末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、カルボキシ基と重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物とを、縮合反応によってカップリングさせる方法。
1−2 ラクトン化合物を開環重合して得られる末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、酸ハロゲン化物を脱塩酸反応によってカップリングさせる方法。
前記1−1で使用するカルボキシ基と重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2−メタクリロキシエチルサクシニク酸、2−メタクリロキシエチルヘキサハイドロフタル酸、2−メタクリロキシエチルグルタレート;(無水)マレイン酸,フマル酸,(無水)イタコン酸のようなジカルボン酸及びその無水物;モノメチルマレイン酸、モノエチルマレイン酸、モノブチルマレイン酸、モノオクチルマレイン酸、モノメチルフマル酸、モノエチルフマル酸、モノブチルフマレイン酸、モノオクチルフマル酸、モノメチルイタコン酸、モノエチルイタコン酸、モノブチルイタコン酸、モノオクチルイタコン酸等のジカルボン酸のモノアルキルエステル等が挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。
カルボキシ基と重合性不飽和基を有する前記ラジカル重合性化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記1−2で使用する前記酸ハロゲン化物は、例えば、カルボン酸塩化物としてアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドが挙げられる。
また、ポリエステル構造の片末端に重合性不飽和基を導入してマクロモノマーを得る別の方法としては、以下の方法が挙げられる。
2.ジカルボン酸とジオールの重縮合により作製したポリエステルとラジカル重合性化合物をカップリングさせる方法。
前記2.のカップリングでは、ポリエステルの末端官能基との反応が可能な官能基を含有するラジカル重合性化合物を直接カップリングさせてもよい。また、ポリエステルの末端を、ラジカル重合性化合物が含有する官能基との反応が可能になるよう、結合剤を用いて修飾してカップリングさせてもよい。
より具体的には、
2−1 末端にカルボキシル基を有するポリエステルと、ヒドロキシ基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物とを、縮合反応によってカップリングさせる方法。
この場合、ポリエステルの調製ではジカルボン酸とジオールのモル比(ジカルボン酸/ジオール)は1.02以上1.20以下であることが好ましい。
2−2 末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、イソシアネート基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物とを、ウレタン化反応によってカップリングさせる方法。
2−3 末端にヒドロキシ基を有するポリエステルと、ヒドロキシル基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物を、結合剤であるジイソシアネートを用いてウレタン化反応によってカップリングさせる方法。
2−2及び2−3で使用するポリエステルの調製ではジカルボン酸とジオールのモル比(ジオール/ジカルボン酸)は1.02以上1.20以下であることが好ましい。
ヒドロキシ基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物としては、ヒドロキシスチレン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリルアルコール、メタアリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、好ましいものはヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートである。
イソシアネート基及び重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物としては、以下のものが挙げられる。2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート。これらの中でも、特に好ましいものは2−イソシアナトエチルアクリレート及び2−イソシアナトエチルメタクリレートである。
ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6以上20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート、及びこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物。以下、変性ジイソシアネートともいう)。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば以下のものが挙げられる。m−及び/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート。
脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート。
脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート。
これらのうちで好ましいものは、XDI及びHDI、IPDIである。
構造Bを含むマクロモノマーとしては、二酸化炭素のような疎水性媒体に対して高い親和性を有する有機ポリシロキサン構造を用いることが好ましい。有機ポリシロキサン構造を有するマクロモノマーとしては、例えば、X−22−2475(信越化学工業社製)、X−22−174ASX(信越化学工業社製)、MCR−M07(azmax社製)、MCR−M11(azmax社製)、FM−0711(JNC社製)、FM−0721(JNC社製)、FM−0725(JNC社製)などが挙げられる。また、これらの有機ポリシロキサン構造を有するマクロモノマーを2種類以上併用することもできる。
構造Cは、上述のとおり有機溶媒Aに対する耐溶剤性を有する。そのため、構造Cを含むマクロモノマーとしては、有機溶媒Aに対して耐溶剤性を有する高融点の結晶性樹脂をマクロモノマー化したものを用いることができる。
また、構造Cの分子量については、耐溶剤性及び重合反応性の観点から、構造Cを有するマクロモノマーの分子量としては、数平均分子量(Mn)で3,000以上30,000以下が好ましく、より好ましくは3,000以上15,000以下である。
結晶性樹脂として、例えば結晶性ポリエステルをマクロモノマー化する方法としては、構造Aで述べた方法と同様に用いることができる。
マクロモノマーを用いて、樹脂Yを得る方法としては、構造A、及び構造Cを含むマクロモノマー2種類を重合溶媒に溶解させ、ラジカル重合開始剤を導入して重合させることで、樹脂Yのグラフトポリマーを得ることができる。
マクロモノマーを用いて、樹脂Zを得る方法としては、構造B、及び構造Cを含むマクロモノマー2種類を重合溶媒に溶解させ、ラジカル重合開始剤を導入して重合させることで、樹脂Zのグラフトポリマーを得ることができる。
また、マクロモノマーに加えて、スチレンやメチルメタクリレートのような分子量が200以下の低分子量モノマーを用いてもよい。低分子量モノマーは、マクロモノマーの重合反応性を向上させ、重合転化率の向上に寄与するためである。また、2種類以上の低分子量モノマーを併用することもできる。
重合溶媒としては、マクロモノマーを溶解可能で、ラジカル重合阻害性の低い重合溶媒であれば、特に問題なく用いることができ、例えば、トルエンが例示できる。
ラジカル重合開始剤は、加熱や光照射等の外部刺激によってラジカルを生成し、重合性組成物の重合を促進する化合物であり、従来公知のラジカル重合開始剤を適用できる。
ラジカル重合開始剤の具体例として、例えば、アゾ系のラジカル重合開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。また、過酸化物系のラジカル重合開始剤として、ジベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、過酸化アセチル、過酸エステル(例えばt−ブチルペルオクテート、α−クミルペルオキシピバレートおよびt−ブチルペルオクテート、t−ブチルパーオキシピバレート)等が挙げられる。
また、樹脂Yのうち幹部位を含むコポリマー(図1(2)、(3))、及び樹脂Zのうち幹部位を含むコポリマー(図2(6)、(7))の合成法について詳細に記載する。具体的には、マクロ開始剤によるラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)や原子移動ラジカル重合(ATRP)などの精密重合により得ることができる。
例えば(2)を合成するためには、構造Aにフリーラジカルを発生する官能基を付与し、構造Aを有するマクロ開始剤を作製する。その後、前記マクロ開始剤と構造Cを含む単量体を重合溶媒に溶解させ、重合することで(2)を得ることができる。
また、(3)においても同様に、構造Cにフリーラジカルを発生する官能基を付与することで、(2)と同様に樹脂Yを得ることができる。
すなわち、樹脂Yを得る方法としては、
構造A及びフリーラジカルを発生する官能基を有するマクロ開始剤を用いて、構造Cを有する単量体をラジカル重合して樹脂Yを得る工程、
構造C及びフリーラジカルを発生する官能基を有するマクロ開始剤を用いて、構造Aを有する単量体をラジカル重合して樹脂Yを得る工程を有することが好ましい。
ここでフリーラジカルを発生する官能基とは、熱や光によって分解し、分解部位にフリーラジカルを発生し、単量体が存在するとその部位より重合を開始することができる官能基である。例えば−N=N−構造を有するアゾ系官能基、−O−O−構造を有する過酸化物系官能基、ハロゲン−ハロゲン結合を有するジハロゲン系官能基が挙げられる。
マクロ開始剤は、上記のようなフリーラジカルを発生する官能基を有し、かつ構造A、構造B又は構造Cを分子内に有する化合物である。マクロ開始剤存在下で、マクロモノマーをラジカル重合する場合、まず、マクロ開始剤内の官能基が分解しラジカルが発生する。そして発生したラジカル部位より重合が開始され、マクロモノマーが付加、伸長していく。その結果、構造A、B又はCを幹部位とするセグメントと、マクロモノマーが重合して得られるグラフトポリマーからなるセグメントが結合したコポリマーを得ることができる。
一般的にマクロモノマーの反応率は低分子量モノマーに比べて低く、分子量や転化率を向上させることが難しい。前記(2)〜(4)のように、ポリマー構造が幹部位を含むことで重合時に用いるマクロモノマーの数をグラフトポリマーの時よりも減らすことができることから、分子量制御性や重合転化率の向上が容易になる。
マクロ開始剤については、市販のマクロ開始剤を用いてもよく、例えば、ポリジメチルシロキサンユニット含有高分子アゾ重合開始剤(VPS−1001、和光純薬社製)は構造Bを含むマクロ開始剤として用いることができる。
また、例えば以下に示す方法によってマクロ開始剤を製造することもできる。
・ヒドロキシ基を有する構造A、構造B又は構造Cと、カルボキシル基を有し、かつフリーラジカルを発生する官能基を有する化合物とをエステル化することによってカップリングさせる方法。
・カルボキシ基を有する構造A、構造B又は構造Cと、ヒドロキシ基を有し、かつフリーラジカルを発生する官能基を有する化合物とをエステル化することによってカップリングさせる方法。
ヒドロキシ基とカルボキシル基をエステル化するためには、脱水縮合剤を利用することができる。脱水縮合剤としては、例えば、カルボジイミド系、イミダゾール系、トリアジン系、ホスホニウム系、ウロニウム系、ハロウロニウム系等が挙げられる。
さらに、(2)を合成する別の方法として、例えばRAFT重合を用いることができる。まず、RAFT剤存在下で構造Aを合成することで、構造Aの末端にRAFT剤が付与したRAFTマクロモノマーを得ることができる。その後、構造Aを含むRAFTマクロモノマーと、構造Cを含むマクロモノマーを重合溶媒に溶解させ、重合開始剤を用いて重合することで(2)を得ることができる。上記のような構造をRAFT剤存在下で合成することができれば、(2)だけでなく(3)、(6)、(7)についても同様の方法により得ることができる。
RAFT剤としては、例えば、一般的なRAFT剤であるジチオエステルやジチオカルバメート、トリチオカルボナート、キサンタートなどのチオカルボニルチオ化合物を用いることができる。
次に、樹脂Yの別の構成パターンである幹部位を含むコポリマー(図1(4))、及び樹脂Zの別の構成パターンである幹部位を含むコポリマー(図2(8))は、マクロ開始剤によるラジカル重合や各構造の縮合反応により得ることができる。
例えば、構造Cにフリーラジカルを発生する官能基を付与し、構造Cを有するマクロ開始剤を作製する。その後、前記マクロ開始剤と構造Aを構成するモノマーを重合溶媒に溶解させ、重合することで(4)を得ることができる。
(4)を合成する別の方法として、前記(2)と同様に、例えばRAFT重合を用いることができる。まず、RAFT剤存在下で構造Cを合成することで、構造Cの末端にRAFT剤が付与したRAFTマクロモノマーを得ることができる。その後、構造Cを含むRAFTマクロモノマーと、構造Aを構成するモノマーを重合溶媒に溶解させ、重合開始剤を用いて重合することで(4)を得ることができる。
また、(8)については、末端にヒドロキシ基を有する構造Cと末端にカルボキシ基を有する構造Bを縮合反応によってカップリングすることで合成することができる。
前記(2)〜(4)、(6)〜(8)のように、幹部位を含むことで重合時に用いるマクロモノマーの数をグラフトポリマーの時よりも減らすことができることから、分子量制御性や転化率の向上が可能になる。特に、構造Cを有するマクロ開始剤を用いる(3)や(7)などは、ポリマー中に一定量の構造Cを導入することができることから、樹脂Yや樹脂Zの不溶分率をより高くすることが可能となり、樹脂微粒子の溶剤耐性をより高めることが可能となる。
樹脂Yのうち幹部位を含むコポリマー(図1(2)〜(4))、及び樹脂Zのうち幹部位を含むコポリマー(図2(6)〜(8))に用いられるマクロ開始剤は、市販のものを用いてもよいし、前述の方法で製造してもよい。また、前述と同様にRAFT重合を用いることもできる。
本発明における樹脂Yの分子量は数平均分子量で15000以上40000以下であることが好ましい。数平均分子量が15000以上であると、樹脂微粒子の耐熱性が十分で定着時にオフセットが生じ難い。また、数平均分子量が40000以下であると、樹脂微粒子の融点が高くならず、低温定着性が阻害されない。
樹脂Zの製造方法としては、前記樹脂Yの時と同様に、
構造B及びフリーラジカルを発生する官能基を有するマクロ開始剤を用いて、構造Cを有する単量体をラジカル重合して樹脂Zを得る工程、又は
構造C及びフリーラジカルを発生する官能基を有するマクロ開始剤を用いて、構造Bを有する単量体をラジカル重合して樹脂Zを得る工程を有することが好ましい。
本発明における樹脂Zの分子量は数平均分子量で10000以上30000以下であることが好ましい。数平均分子量が10000以上であると、樹脂微粒子の耐熱性が十分で定着時にオフセットが生じ難い。また、数平均分子量が30000以下であると、樹脂微粒子の融点が高くならず、低温定着性が阻害されない。
本発明における酸性官能基は、樹脂微粒子に含有されていれば、結合位置や導入方法に関して特に限定されない。例えば、構造Aの末端や樹脂Yの主鎖内などが挙げられる。また、樹脂微粒子中の構造Y及び構造Zとは別に、酸性官能基を有するポリマーをさらに加えてもよい。
本発明においては、樹脂微粒子がより液滴に対してより吸着しやすくするという観点から、酸性官能基は構造Aの末端に化学的に結合していることが好ましい。酸性官能基が構造Aの末端に結合した樹脂Yを含む樹脂微粒子を分散剤として用いることで、粒径分布のシャープなトナー粒子製造に寄与する。この理由は、本発明者らの検討で、酸性官能基が構造Aの末端に化学的に結合していることで、樹脂微粒子の有機溶媒A中での分散安定性が有利になることが分かっているためである。
本発明で用いる有機溶媒Aは、結着樹脂を溶解させ、さらに樹脂微粒子が含有する酸性官能基との静電斥力効果により樹脂微粒子の分散安定性を向上させるという目的から、極性溶媒を用いることが必須である。具体的には、本発明で用いる有機溶媒AのSP値は、19.0(J/cm30.5以上45.0(J/cm30.5以下である。SP値がこのような範囲である極性溶媒を用いることで、樹脂微粒子が含有する酸性官能基と有機溶媒Aとの静電斥力効果が良好となるため、樹脂微粒子が有機溶媒Aに対して、凝集体を形成せず、より高い分散安定性を得ることができる。有機溶媒AのSP値が、19.0(J/cm30.5未満のとき、樹脂微粒子が含有する酸性官能基と有機溶媒Aとの静電斥力効果が十分ではなく、樹脂微粒子が有機溶媒Aに対して分散安定性を維持することができない場合がある。その結果、シェル厚みが不均一なトナー粒子が得られやすい。
本発明で用いる有機溶媒Aの具体例としては、以下のものが挙げられる。アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンのようなエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒。
これらの中でも、アセトン、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましく、特にアセトンが好ましい。また、有機溶媒Aは2種類以上の混合溶媒として用いてもよく、結着樹脂Rを溶解し、且つ、樹脂微粒子が含有する構造A、及び構造Bを溶解させ、さらに構造Cを溶解させないものであれば、特に限定はない。
さらに、SP値が上記の規定範囲外の有機溶媒であっても、例えば、規定範囲の下限を下回る有機溶媒と規定範囲の上限を上回る有機溶媒とを混合することで規定範囲内に入れば、混合溶媒として用いてよい。
トナー粒子には必要に応じてワックスを含有してもよい。ワックスとして、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系エステルワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
溶解懸濁法においては、脂肪族炭化水素系ワックス及びエステルワックスがより好ましい。ワックス分散液が作製しやすい、ワックスが作製した樹脂粒子中へ取り込まれやすい、並びに定着時におけるトナー粒子からの染み出し性及び離型性に優れるためである。
エステルワックスは、天然エステルワックス、及び合成エステルワックスのいずれを用いてもよい。
合成エステルワックスとしては、長鎖直鎖飽和脂肪酸と長鎖直鎖飽和脂肪族アルコールとから合成されるモノエステルワックスが挙げられる。
長鎖直鎖飽和脂肪酸は一般式Cn2n+1COOHで表され、nが5以上28以下のものが好ましく用いられる。また長鎖直鎖飽和脂肪族アルコールはCn2n+1OHで表され、nが5以上28以下のものが好ましく用いられる。
また、天然エステルワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス及びそれらの誘導体が挙げられる。
また、炭化水素系ワックスを使用することも好ましい形態の一つである。
トナー粒子中におけるワックスの含有量は、トナー粒子中の樹脂成分100.0質量部に対して、好ましくは、1.0質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以上15.0質量部以下である。
ワックスは、示差走査熱量測定(DSC)において、60.0℃以上120.0℃以下に最大吸熱ピークのピーク温度を有することが好ましい。より好ましくは60.0℃以上90.0℃以下である。
また、上記のワックスは、本発明の目的を達成できる範囲であれば、投入タイミングに制約はない。例えば、本発明の工程(a)の結着樹脂R溶液を調整する時に投入しても構わない。
トナー粒子は、着色剤を含有してもよい。好ましくは、有機顔料、有機染料、無機顔料、及び黒色用着色剤としてのカーボンブラック、及び磁性粉体が挙げられ、公知の着色剤を用いることができる。
イエロー用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168及び180が好適に用いられる。
マゼンタ用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン用着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、並びに、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
これらの着色剤は単独又は混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。また、使用する着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性及びトナー粒子組成物中での分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、樹脂成分100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。黒色用着色剤としてカーボンブラックを用いる場合も同様である。
また、上記の着色剤は、本発明の目的を達成できる範囲であれば、投入タイミングに制約はない。例えば、本発明の工程(a)の結着樹脂R溶液を調整する時に投入しても構わない。
トナーには荷電制御剤を用いてもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化し、現像システムに応じた最適な摩擦帯電量のコントロールが可能となる。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、四級アンモニウム塩、高級脂肪酸の金属塩、ジオルガノスズボレート類、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤の好ましい配合量は、トナー粒子100.0質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
上記の荷電制御剤は、本発明の目的を達成できる範囲であれば、投入タイミングに制約はない。例えば、本発明の工程(a)の結着樹脂R溶液を調整する時に投入してもよく、トナー粒子を製造した後に固着させても構わない。
トナー粒子には流動性向上剤として、無機微粒子を添加することが好ましい。トナー粒子に添加する無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複酸化物微粒子などの微粒子が挙げられる。前記無機微粒子の中でも、シリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が好ましい。
前記シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。なかでも、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタンのような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
前記無機微粒子を疎水化処理することによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるため、疎水化処理された無機微粒子を用いることがより好ましい。
前記無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いられてもよい。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粒子が好ましい。より好ましくは、無機微粒子をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したシリコーンオイル処理された疎水化処理無機微粒子が高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
無機微粒子の添加量は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1質量部以上4.0質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.2質量部以上3.5質量部以下である。
<各種物性の測定及び評価方法>
(酸価の測定方法)
酸価は、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。樹脂の酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定した。具体的には、以下の手順に従って測定した。
(1−1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて液量を100mlとすることで、フェノールフタレイン溶液を得た。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて液量を1lとした。次に、この溶液を炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得た。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管した。なお、前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/lの塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定したときに、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求めた。このとき用いた0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いた。
(1−2)操作
(A)本試験
粉砕した樹脂の試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン:エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解させる。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン:エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(1−3)
得られた結果を下記式(4)に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S (4)
式(4)において、Aは酸価(mgKOH/g)を表し、Bは空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)を表し、Cは本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)を表す。fは、水酸化カリウム溶液のファクターを表し、Sは、試料の量(g)を表す。
(樹脂の有機溶媒Aに対する不溶分率の測定方法)
樹脂の有機溶媒Aに対する不溶分率は、以下のようにして測定する。まず、乾燥した0.1gの樹脂と10.0gの有機溶媒Aを混合した混合液を40.0℃で4.5時間保持する。そして、遠心分離操作によって、樹脂の一部の成分が溶解した有機溶媒Aと、有機溶媒Aに対して溶解しない樹脂微粒子の成分とを分離する。有機溶媒Aに対して溶解しない樹脂微粒子の成分を乾燥した後、この成分の質量W(g)を秤量し、下記の式から不溶分率を算出することができる。
樹脂の不溶分率[%]=W/0.1×100
(融点の測定方法)
樹脂の融点は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定することができる。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約2mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、リファレンスとして空の銀製のパンを用い、示差走査熱量測定を行う。測定は、一度180℃まで昇温させ、続いて20℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度20℃から180℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを示す温度を融点とする。上記最大吸熱ピークとは、ピークが複数存在する場合には、最も吸熱量の大きいピークをいう。
(数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)の測定方法)
樹脂の分子量(Mn、Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの溶剤耐性を有するメンブランフィルター「マイショリディスク」(商品名、東ソー(株)製)で濾過して、サンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(商品名、東ソー(株)製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(商品名、昭和電工(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の各分子量の算出にあたっては、例えば下記の標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
・標準ポリスチレン樹脂(商品名:TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500、東ソー(株)製)
(樹脂微粒子の粒子径の測定方法)
樹脂微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(商品名、日機装(株)製)を用い、0.001μm〜10μmのレンジ設定で測定を行い、体積平均粒径(μm又はnm)として測定する。なお、希釈溶剤としては水を用いる。
(樹脂微粒子の式(3)の有機ポリシロキサン構造を有するユニットに由来するケイ素原子の含有量の測定方法)
式(3)の有機ポリシロキサン構造を有するユニットに由来するケイ素原子の含有量は、蛍光X線分析(XRF)により、以下のようにして測定する。
まず、乾燥した樹脂微粒子をペレット状に固化して得た試料に、波長分散型蛍光X線分析装置Axios advanced(PANalytical社製)を用いてHe雰囲気下にてX線を照射し、発生する特性X線(蛍光X線)を分光素子にて分光する。
次に、樹脂微粒子に含まれる各元素固有の波長に対応する角度に分光された蛍光X線の強度を、FP法(ファンダメンタルパラメータ法)により分析し、樹脂微粒子に含まれる各元素の含有比率を分析結果として得て、樹脂微粒子のケイ素原子の含有量を求める。この樹脂微粒子のケイ素原子の含有量を、樹脂微粒子の式(3)の有機ポリシロキサン構造を有するユニットに由来するケイ素原子の含有量とみなす。
(樹脂粒子及びトナー粒子の重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法及び粒度分布の評価方法)
樹脂粒子及びトナー粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(商品名、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(商品名、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して、濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(商品名、ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に、分散剤として、下記の希釈液を約0.3mL加える。
・希釈液:「コンタミノンN」(商品名、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈したもの
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(商品名、日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、前記超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、樹脂粒子またはトナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となるように適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いて樹脂粒子またはトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)装置付属の前記専用ソフトにて測定データを解析し、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。また、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
(8)前記(7)の解析データにおける、D4をD1で除した値D4/D1を粒度分布とする。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<結着樹脂Rの作製>
<結着樹脂R1の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・セバシン酸 125.0質量部
・1,6−ヘキサンジオール 75.0質量部
・ジブチルスズオキシド 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて6時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、更に2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、結晶性ポリエステル1を合成した。結晶性ポリエステル1の分子量はMn6000、Mw13000、融点は69.0℃であった。
次に、加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・キシリレンジイソシアネート(XDI) 55.5質量部
・シクロヘキサンジメタノール(CHDM) 34.5質量部
・テトラヒドロフラン(THF) 80.0質量部
これを、50℃まで加熱し、10時間かけてウレタン化反応を施した。その後、上記結晶性ポリエステル1、210.0質量部をTHF220.0質量部に溶解させた溶液を徐々に添加し、更に50℃にて5時間撹拌を行った。その後、室温まで冷却し、溶媒であるTHFを留去することで、CPES−ウレタンブロックポリマーを合成し、これを結着樹脂R1とした。結着樹脂R1の分子量は、Mn17200、融点は62.0℃であった。また、結着樹脂R1の溶解度パラメータ(SP値)を溶解度パラメータ計算ソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice)により、算出した結果18.5(J/cm30.5であった。これらの物性をまとめたものを表1に示した。
<結着樹脂R2の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ε−カプロラクトン 21.0質量部
・ステアリルアルコール 4.3質量部
・酸化ジブチルスズ 0.11質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて3時間撹拌を行った。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、片末端にヒドロキシ基を有する結晶性ポリカプロラクトンを合成した。結晶性ポリカプロラクトンの分子量は、Mn10,700、融点は79.5℃であり、これを結着樹脂R2とした。結着樹脂R2の分子量、融点、及びSP値を結着樹脂R1と同様に測定し、まとめたものを表1に示した。
<結着樹脂R3の合成>
先に合成した結晶性ポリエステル1を結着樹脂R3として準備した。結着樹脂R3の分子量、融点、及びSP値を結着樹脂R1と同様に測定し、まとめたものを表1に示した。
Figure 2020024321
<樹脂Y及び樹脂Zに使用する構造A〜構造Cを含有する樹脂の作製>
<構造Aを含有する樹脂の作製>
<樹脂A1:結晶性ポリエステル>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・1,6−ヘキサンジオール 11.2質量部
・セバシン酸 18.8質量部
・ジブチルスズオキシド 0.001質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、160℃にて3時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて180℃まで徐々に昇温し、更に2時間保持した。加熱を止めて反応を停止させることで結晶性ポリエステルを合成しこれを結晶性ポリエステル2とした。結晶性ポリエステル2の分子量は、Mn4,980であり、SP値は18.1(J/cm30.5であった。
<マクロモノマーA1の準備>
結晶性ポリエステル2に、脱水クロロホルム100.0質量部を加えて溶解させ、トリエチルアミン25.9質量部を加えた。その後、氷浴下でアクリル酸クロリド38.8質量部をゆっくりと滴下した。滴下終了後、氷浴下で3時間撹拌し、さらに12時間撹拌した。溶媒留去、メタノールでの再沈を行うことで、マクロモノマーA1を得た。得られたマクロモノマーA1の分子量とSP値を測定し、まとめたものを表2に示した。
<マクロモノマーA2の準備>
市販のスチレンマクロモノマー(AS−6 東亜合成社製)を用意し、マクロモノマーA2として使用した。マクロモノマーA2は、ポリスチレンの片末端にメタクリロイル基を有するものである。マクロモノマーA2の分子量とSP値を測定し、まとめたものを表2に示した。
<構造Bを含有する樹脂の作製>
<マクロモノマーB1の準備>
市販のビニル変性有機ポリシロキサン(X−22−2475 信越化学工業社製)を用意し、マクロモノマーB1として使用した。マクロモノマーB1の構造は、下記式(5)で表され、R3、R4、R6はメチル基であり、R5はプロピレン基であり、重合度mの値は3である。分子量は420であり、SP値は13.5(J/cm30.5であった。
Figure 2020024321
<マクロモノマーB2の準備>
市販のビニル変性有機ポリシロキサン(X−22−174DX 信越化学工業社製)を用意し、マクロモノマーB2として使用した。マクロモノマーB2の構造は、前記式(5)で表され、R3、R4、R6はメチル基であり、R5はプロピレン基であり、重合度mの値は60である。マクロモノマーB2の分子量とSP値をまとめたものを表2に示した。
Figure 2020024321
<構造Cを含有する樹脂の作製>
<樹脂C1:結晶性ポリエステル3>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ε−カプロラクトン 6.0質量部
・ω−ペンタデカノラクトン 25.3質量部
・ステアリルアルコール 3.2質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて3時間撹拌を行った。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、結晶性ポリエステルを合成し、これを結晶性ポリエステル3とした。結晶性ポリエステル3の分子量は、Mn4700であり。融点は78.0℃であった。
<樹脂C2:結晶性ポリエステル4>
上記結晶性ポリエステル3の合成において、ω−ペンタデカノラクトンの仕込み量を15.0質量部に変更した以外はすべて同様にして結晶性ポリエステルを合成し、これを結晶性ポリエステル4とした。結晶性ポリエステル4の分子量は、Mn4100であり。融点は72℃であった。
<アクリル酸ベヘニルの準備>
市販のアクリル酸ベヘニル(東京化成工業社製)をモノマーとして用意した。アクリル酸ベヘニルの分子量はMn380、融点は46.8℃であった。
<樹脂C3:ポリベへニルアクリレート>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料とトルエン100.0質量部を仕込んだ。
・アクリル酸ベヘニル 50.0質量部
・重合開始剤VA−086(和光純薬社製) 5.0質量部
上記組成物を250rpmで撹拌しながら、30分間窒素バブリングした後、70℃で加熱し、6時間反応させ、さらに80℃に加熱し、1時間反応を行った。次に、空冷した後、混合したトルエンの5倍量のメタノールで再沈し、回収した沈殿物を乾燥することにより片末端にヒドロキシ基を有するポリベへニルアクリレートを作製し、これを樹脂C3とした。樹脂C3の分子量は、Mn8,200、融点は66.0℃であった。
<樹脂C4:スチレン−ベへニルアクリレートコポリマー>
上記樹脂C3の作製において、原料としてさらにスチレン7.5質量部を追加した以外は、同様の作製法により、片末端にヒドロキシ基を有するスチレン−ベへニルアクリレートコポリマーを作製し、これを樹脂C4とした。樹脂C4の分子量は、Mn7,800、融点は62.0℃であった。
<樹脂C5:スチレン−ベへニルアクリレートコポリマー>
上記樹脂C4の作製において、スチレンの仕込み部数を10.0質量部に変更した以外は、同様の作製法により、片末端にヒドロキシ基を有するスチレン−ベへニルアクリレートコポリマーを作製し、これを樹脂C5とした。樹脂C5の分子量は、Mn8,400、融点は60.0℃であった。
<樹脂C6:片末端にヒドロキシ基を有するポリスチレン>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・スチレン 100.0質量部
・アセトン 100.0質量部
窒素によるバブリング操作を30分行った後、0℃に冷却し、2,2’−アゾビス[(2−ヒドロキシメチル)プロピオニトリル](和光純薬工業社製)を4.0質量部滴下し、紫外線を照射しながら3日間撹拌した。反応液を大量にメタノールに投入し、沈殿物を回収、乾燥することで片末端にヒドロキシ基を有するポリスチレンを作製し、これを樹脂C6とした。樹脂C6の分子量Mnは13,900でった。
<マクロ開始剤C1の作製>
加熱乾燥した二口フラスコに、前記結晶性ポリエステル3を30.0質量部入れ、フラスコ内を窒素置換した。その後、脱水テトラヒドロフラン100.0質量部を加えて溶解させ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩5.75質量部を加えた。さらに、4,4‘−アゾビス(4−シアノ吉草酸)8.4部を加え、その後、氷浴下で4−ジメチルアミノピリジン0.36質量部加えた。その後、氷浴下で3時間撹拌し、さらに常温で12時間撹拌した。溶媒留去、メタノールでの再沈を行うことで、マクロ開始剤C1を得た。得られたマクロ開始剤C1の分子量と融点をまとめたものを表3に示した。
<マクロ開始剤C2の作製>
マクロ開始剤C1の作製において、結晶性ポリエステル3を前記結晶性ポリエステル4に変更した以外はマクロ開始剤C1と同様にすることで、マクロ開始剤C2を得た。得られたマクロ開始剤C2の分子量と融点をまとめたものを表3に示した。
<マクロ開始剤C3の作製>
マクロ開始剤C1の作製において、結晶性ポリエステル3を樹脂C3に変更した以外はマクロ開始剤C1と同様にすることで、マクロ開始剤C3を得た。得られたマクロ開始剤C3の分子量と融点をまとめたものを表3に示した。
<マクロ開始剤C4の作製>
マクロ開始剤C1の作製において、結晶性ポリエステル3を樹脂C4に変更した以外はマクロ開始剤C1と同様にすることで、マクロ開始剤C4を得た。得られたマクロ開始剤C4の分子量と融点をまとめたものを表3に示した。
<マクロ開始剤C5の作製>
マクロ開始剤C1の作製において、結晶性ポリエステル3を樹脂C5に変更した以外はマクロ開始剤C1と同様にすることで、マクロ開始剤C5を得た。得られたマクロ開始剤C5の分子量と融点をまとめたものを表3に示した。
<マクロ開始剤C6の作製>
片末端にヒドロキシ基を有するポリスチレンのマクロ開始剤
マクロ開始剤C1の作製において、結晶性ポリエステル3を樹脂C6に変更した以外はマクロ開始剤C1と同様にすることで、マクロ開始剤C6を得た。得られたマクロ開始剤C6の分子量を表3に示した。
Figure 2020024321
<樹脂Dの合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料とトルエン150.0質量部とN,N−ジメチルホルムアミド50.0質量部を混合し、モノマー組成物を調製した。
・メタクリル酸 10.0質量部
・アクリル酸ブチル 38.0質量部
・スチレン 52.0質量部
上記モノマー組成物を250rpmで撹拌しながら、30分間窒素バブリングした後、重合開始剤としてアゾビスメトキシジメチルバレロニトリルを0.6部混合した。その後、70℃で加熱し、5時間反応させ、さらに80℃に加熱し、1時間反応を行った。次に、空冷した後、混合したトルエンの5倍量のメタノールで再沈し、回収した沈殿物を乾燥することにより樹脂Dを得た。樹脂Dの分子量は、Mn23,500であった。
<樹脂Yの合成>
<樹脂Y1の合成>
・樹脂A1 50.0質量部
・樹脂C1 50.0質量部
・キシリレンジイソシアネート(XDI) 2.0質量部
・トルエン 400.0質量部
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器中に、窒素置換をしながら上記を仕込んだ。80℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を施し、構造A1および構造C1からなるブロックポリマーを得た。
・1,4−ジヒドロキシ安息香酸 10.0質量部
・キシリレンジイソシアネート(XDI) 4.0質量部
上記材料を更に添加し、80℃にて2時間反応させた。溶媒であるトルエンを留去し、樹脂Y1を得た。Y1の物性を表4に示す。
<樹脂Y2、Y6〜Y13、Y15、Y17、Y18の合成>
樹脂Y1の合成において、構造Aに関わる原料と仕込み部数、構造Cに関わる原料と仕込み部数、及び酸性官能基に関わる材料と仕込み部数を表4のように変更した以外は、樹脂Y1と同様にして、樹脂Y2、Y6〜Y13、Y15、Y17、及びY18を合成した。
<樹脂Y3の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料とトルエン100.0質量部を仕込んだ。
・マクロモノマーA1 50.0質量部
・マクロ開始剤C1 50.0質量部
・メタクリル酸 18.0質量部
・スチレン 10.0質量部
上記単量体組成物を250rpmで撹拌しながら、30分間窒素バブリングした後、70℃で加熱し、6時間反応させ、さらに80℃に加熱し、1時間反応を行った。次に、空冷した後、混合したトルエンの5倍量のメタノールで再沈し、回収した沈殿物を乾燥することにより樹脂Y3を得た。
<樹脂Y4、Y5、Y14,Y16の合成>
樹脂Y3の合成において、構造Aに関わる原料と仕込み部数、構造Cに関わる原料と仕込み部数、及び酸性官能基に関わる材料と仕込み部数を表4のように変更した以外は、樹脂Y3と同様にして樹脂Y4、Y5、Y14,Y16を合成した。
Figure 2020024321
<樹脂Zの合成>
<樹脂Z1の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料とトルエン100.0質量部を仕込んだ。
・マクロモノマーB1 50.0質量部
・マクロ開始剤C1 50.0質量部
・メチルメタクリレート 10.0質量部
上記単量体組成物を250rpmで撹拌しながら、30分間窒素バブリングした後、70℃で加熱し、6時間反応させ、さらに80℃に加熱し、1時間反応を行った。次に、空冷した後、混合したトルエンの5倍量のメタノールで再沈し、回収した沈殿物を乾燥することにより樹脂Z1を得た。
<樹脂Z2〜Z10、及び樹脂Z12及び、Z13の合成>
樹脂Z1の合成において、構造Bに関わる原料と仕込み部数、構造Cに関わる原料と仕込み部数を表5のように変更した以外は、樹脂Z1と同様にして樹脂Z2〜Z10、及び樹脂Z12及び、Z13を合成した。
<樹脂Z11の合成>
・樹脂C1 50.0質量部
・X−22−170DX(信越シリコーン社製) 50.0質量部
・キシリレンジイソシアネート(XDI) 1.8質量部
・トルエン 400.0質量部
撹拌装置及び温度計を備えた反応容器中に、窒素置換をしながら上記を仕込んだ。80℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を施した。溶媒であるトルエンを留去し、樹脂C1および有機ポリシロキサン部位からなる樹脂Z11を得た。
Figure 2020024321
<樹脂微粒子1の作製>
ビーカーに以下の原料を仕込んで樹脂Y1及び樹脂Z1を溶解させ、油相1を得た。
・樹脂Y1 15.0質量部
・樹脂Z1 15.0質量部
・トルエン 150.0質量部
また、フラスコ内に以下の原料を仕込み、水相を得た。
・イオン交換水 570.0質量部
・ドデシル硫酸ナトリウム 3.0質量部
前記水相を撹拌しながら、油相1を水相中に滴下した。その後、超音波ホモジナイザー(UH−300、エスエムティー社製)で5分間処理することで水相中にサブマイクロメーターサイズの油相1の液滴を形成させた。その後、油相1中に含まれるトルエンをエバポレータにより除去することで樹脂Y1及び樹脂Z1からなる樹脂微粒子1の水分散液を得た。水分散液中の過剰ドデシル硫酸ナトリウムを除去するために限外濾過を行い、凍結乾燥により水分を除去することで完粉状態の樹脂微粒子1を得た。
得られた樹脂微粒子1に含まれる各構造の比率、不溶分率について表6に記載した。各構造の比率は1H−NMRを用いて算出した。また、不溶分率は前述の方法で測定を行った。
<樹脂微粒子2〜20、及び樹脂微粒子22〜25の作製>
樹脂微粒子1の作製における樹脂Y1及び樹脂Z1を、表7のように変更する以外は同様にして樹脂微粒子2〜20、及び樹脂微粒子22〜25を得た。得られた樹脂微粒子の組成に関する物性などを表6に記載した。
Figure 2020024321
<樹脂微粒子21の作製> 酸ポリマーを追加導入
樹脂微粒子1の作製において、原料として仕込んだ樹脂Y及び樹脂Zとは別に、さらに前記樹脂Dを10.0質量部追加した以外は樹脂微粒子1と同様の作製法により、完粉状態の樹脂微粒子21を作製した。作製した樹脂微粒子21の構造A含有率は21.5質量%、Si原子含有量は10.5質量%、酸価は15.3mgKOH/g、不溶分率は80.0質量%であった。
次に、樹脂微粒子1の作製において、原料として仕込んだ樹脂Y1を樹脂Y17に変更し、樹脂Z1を樹脂Z12に変更した以外は、樹脂微粒子1と同様の作製法により樹脂微粒子の作製を試みた。その結果、樹脂Y17と樹脂Z12の不溶分率が不十分であったため、樹脂微粒子を形成することができなかった。
<樹脂微粒子分散液1の作製>
撹拌装置のついたビーカーに、有機溶媒Aとしてアセトン100.0質量部と樹脂微粒子1を10.0質量部投入し、超音波ホモジナイザーで2分間分散処理をすることで、固形分濃度9.1質量%の樹脂微粒子分散液1を作製した。作製した樹脂微粒子分散液1の体積平均粒径を前述の測定方法で測定したところ、155nmであった。
<樹脂微粒子分散液2〜27の作製>
樹脂微粒子分散液1の調製において、樹脂微粒子に含まれる樹脂Y、樹脂Z、及び有機溶媒Aの種類と仕込み部数を表7のように変更した以外は、樹脂微粒子分散液1の時と同様にして、樹脂微粒子分散液2〜27を作製した。作製した樹脂微粒子分散液2〜27の体積平均粒径を測定した結果をまとめたものを表7に示した。
Figure 2020024321
<樹脂Y及び樹脂Zを含む樹脂微粒子を用いたトナーの作製>
[実施例1]
(樹脂溶液R1の作製)
撹拌装置のついたビーカーに、アセトン141.0質量部と、結着樹脂R1:100.0質量部とを投入し、温度40℃で完全に溶解するまで撹拌を続け、固形分濃度41.5質量%の樹脂溶液R1を調製した。
(着色剤分散液の調製)
・C.I.Pigment Blue15:3 100.0質量部
・アセトン 150.0質量部
・ガラスビーズ(直径1mm) 300.0質量部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカー(東洋精機製作所社製)にて5時間分散を行い、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積平均粒径が200nm、固形分濃度が40.0質量%の着色剤分散液を得た。
(ワックス分散液の調製)
・ジペンタエリスリトールパルチミン酸エステルワックス 16.0質量部
・ワックス分散剤 8.0質量部
(ポリエチレン15.0質量部の存在下、スチレン50.0質量部、n−ブチルアクリレート25.0質量部、アクリロニトリル10.0質量部をグラフト共重合させた、ピーク分子量8,500の共重合体)
・アセトン 76.0質量部
上記の材料を撹拌羽根付きのガラスビーカー(IWAKIガラス製)に投入し、系内を50℃に加熱することによりワックスをアセトンに溶解させた。ついで、系内を50rpmの条件にて緩やかに撹拌しながら徐々に冷却し、3時間かけて25℃まで冷却させ、乳白色の液体を得た。この液体を1mmのガラスビーズ20.0質量部とともに耐熱性の容器に投入し、ペイントシェーカーにて3時間分散を行った。その後、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積平均粒径が270nm、固形分濃度が24.0質量%のワックス分散液を得た。
<トナー粒子の作製>
(トナー粒子1の製造)
・樹脂溶液R1 241.0質量部
・着色剤分散液 12.0質量部
・ワックス分散液 20.0質量部
を容器に投入し、ディスパー(特殊機化社製)を用い1000rpmで1分間撹拌することにより樹脂組成物1を得た。
図3に示す装置において、バルブV1、V2、及び圧力調整バルブV3を閉じた状態で造粒タンクt1に、樹脂組成物1を投入し、40℃に温調した。造粒タンクt1の内部を回転速度300rpmで撹拌しながら、バルブV1を開き、ボンベB1から二酸化炭素(純度99.99%)を造粒タンクt1に導入し、この時の内部圧力が2.0MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。
次に、分散剤導入タンクt2に、樹脂微粒子分散液1を110.0部仕込んだ後、内部温度を40℃に調整した。バルブV4を開き、分散剤導入タンクt2の内部圧力を2.5MPaにした後、バルブV4を閉じた。バルブV2を開き、造粒タンクt1の内部を1000rpmで撹拌しながら、ポンプP2を用いて分散剤導入タンクt2内の樹脂微粒子分散液1を全て造粒タンクt1内に導入した。そして、混合液を全て導入し終えたところで、バルブV2を閉じ、ポンプP2を停止した。導入後の、造粒タンクt1の内部圧力は2.2MPaとなった。造粒タンクt1内の温度が40.0℃であることを確認し、回転速度1000rpmで10分間撹拌して造粒を行い、液滴の調製を行った。
次に回転速度を300rpmまで落とし、バルブV1を開き、造粒タンクt1内の圧力を5.0MPaにした後、バルブV1を閉じた。5分後、バルブV1を開け、ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素を造粒タンクt1内に導入した。この際、圧力調整バルブV3を8.0MPaに設定し、造粒タンクt1の内部圧力を8.0MPaに保持しながら、さらに二酸化炭素をフローさせた。この操作により、造粒後の液滴中から抽出された有機溶剤を含む二酸化炭素を、溶媒回収タンクt3に排出し、アセトンと二酸化炭素を分離した。
1時間後にポンプP1を停止し、バルブV1を閉じ、圧力調整バルブV3を少しずつ開き、造粒タンクt1の内部圧力を大気圧まで減圧することで、フィルターに捕捉されているトナー粒子1を回収した。
(トナー1の製造)
トナー粒子1について、トナー粒子100.0質量部に対して一次粒子の個数平均粒径が40nmのシリカ微粒子1.0質量部を加え、FMミキサ(日本コークス工業製)を用いて混合しトナー1を得た。
[実施例2〜25及び比較例1〜5]
(トナー2〜30の製造)
使用する樹脂と樹脂微粒子の種類を表8のように変更した以外は、トナー粒子及びトナーの製造と同様にしてシアン色のトナー2〜30を得た。
Figure 2020024321
(トナーの評価)
得られた樹脂粒子について、粒度分布の評価を行った。評価結果を表9に示す。なお、評価基準は以下のとおりである。
A:粒度分布が1.15未満である。
B:粒度分布が1.15以上1.20未満である。
C:粒度分布が1.20以上1.30未満である。
D:粒度分布が1.30以上1.40未満である。
E:粒度分布が1.40以上である。
(トナーの低温定着性の評価)
得られたトナーについて、以下の示す方法で低温定着性の評価を行った。定着ユニットを外したカラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(HP Laser Jet90、HP社製、90g/m2)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを250mm/sに設定し、初期温度を90℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下の通りである。低温側定着開始点とは、低温オフセット現象(トナーの一部が定着器に付着してしまう現象)が観察されない下限温度のことである。評価結果を表9に示す。
A:低温側定着開始点が110℃以下(低温定着性が特に優れている)
B:低温側定着開始点が115℃以上125℃以下(低温定着性に優れている)
C:低温側定着開始点が130℃以上140℃以下(低温定着性が良い)
D:低温側定着開始点が145℃以上155℃以下(低温定着性にやや劣る)
E:低温側定着開始点が160℃以上(低温定着性に劣る)
(シェルの均一性評価)
得られたトナーの断面観察を行い、以下の評価方法でシェルの均一性を評価した。ここでは、トナー表面の樹脂微粒子の凝集個数とトナー内部に埋もれている樹脂微粒子の個数の2つを評価した。評価結果を表9に示す。
トナー表面の樹脂微粒子の凝集個数
A:トナー表面の樹脂微粒子の凝集個数が5個未満(シェルの均一性が特に優れている)
B:トナー表面の樹脂微粒子の凝集個数が5個以上8個未満(シェルの均一性が優れている)
C:トナー表面の樹脂微粒子の凝集個数が8個以上10個未満(シェルの均一性が良い)
D:トナー表面の樹脂微粒子の凝集個数が10個以上15個未満(シェルの均一性にやや劣る)
E:トナー表面の樹脂微粒子の凝集個数が15個以上(シェルの均一性に劣る)
トナー内部に埋もれている樹脂微粒子
A:トナー内部に埋もれている樹脂微粒子の個数が5個未満(シェルの均一性が特に優れている)
B:トナー内部に埋もれている樹脂微粒子の個数が5個以上8個未満(シェルの均一性が優れている)
C:トナー内部に埋もれている樹脂微粒子の個数が8個以上10個未満(シェルの均一性が良い)
D:トナー内部に埋もれている樹脂微粒子の個数が10個以上15個未満(シェルの均一性にやや劣る)
E:トナー内部に埋もれている樹脂微粒子の個数が15個以上(シェルの均一性に劣る)
Figure 2020024321
t1 造粒タンク、t2 分散剤導入タンク、t3 溶媒回収タンク、B1 ボンベ、P1 ポンプ、P2 ポンプ、V1 バルブ、V2 バルブ、V4 バルブ、V3 圧力調整バルブ

Claims (13)

  1. トナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    a)樹脂微粒子、有機溶媒A、及び結着樹脂Rを、二酸化炭素を含む分散媒体と混合し、表面が前記樹脂微粒子で覆われた前記結着樹脂Rを含有する液滴が、前記分散媒体中に分散した分散体を調製する工程、
    b)前記分散体に加圧状態の二酸化炭素を流通させ、前記液滴及び前記分散媒体に含まれる前記有機溶媒Aを除去する工程、
    を有し、
    前記結着樹脂Rが結晶性樹脂であり、
    前記樹脂粒子は、構造Aと構造Cを有する樹脂Y、構造Bと構造Cを有する樹脂Zを含有し、また、前記樹脂微粒子は酸性官能基を含有し、
    前記構造Aは、結晶構造を取り得る部位を有し、
    前記構造Aのみで構成される樹脂A、及び前記構造Bのみで構成される樹脂Bが、前記有機溶媒Aに対して可溶であり、
    前記構造Cのみで構成される樹脂Cが、前記有機溶媒Aに対して不溶であり、
    前記樹脂微粒子の酸価が2.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下であり、
    前記有機溶媒AのSP値が19.0(J/cm30.5以上45.0(J/cm30.5以下
    であることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記構造AのSP値をSPAとし、前記結着樹脂RのSP値をSPRとし、前記構造BのSP値をSPBとしたときに、下記式(1)及び(2)を満たす
    請求項1に記載のトナーの製造方法。
    |SPR−SPA|≦2.0 式(1)
    3.0≦(SPA−SPB) 式(2)
  3. 前記酸性官能基が、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基のいずれかを有する請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記樹脂微粒子中の前記構造Aの含有率が、前記樹脂微粒子を構成する全樹脂に対し10.0質量%以上40.0質量%以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記構造Bは、下記式(3)で示される有機ポリシロキサン構造を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
    Figure 2020024321
    (式(3)において、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素数1以上3以下のアルキル基を表し、nは2以上150以下の整数である。)
  6. 前記式(3)のR1及びR2がメチル基であり、
    前記樹脂微粒子は、前記有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子を5.0質量%以上30.0質量%以下含有する請求項5に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記構造Cは、結晶性樹脂を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  8. 前記結晶性樹脂の融点が70℃以上である請求項7に記載のトナーの製造方法。
  9. 前記結晶性樹脂は、結晶性ポリエステルを含む請求項7または8に記載のトナーの製造方法。
  10. 前記樹脂微粒子の前記有機溶媒Aに対する不溶分率が65.0質量%以上である請求項1〜9のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  11. 前記樹脂Yが、下記(1)〜(4)から選択される少なくとも一つのポリマーであり、
    (1)前記構造Aと前記構造Cを枝部位として有するグラフトポリマー
    (2)前記構造Aを幹部位とするセグメントと、前記構造Cを枝部位として有するグラフトポリマーからなるセグメントとが、結合したコポリマー
    (3)前記構造Cを幹部位とするセグメントと、前記構造Aを枝部位として有するグラフトポリマーからなるセグメントとが、結合したコポリマー
    (4)前記構造Aを幹部位とするセグメントと、前記構造Cを幹部位とするセグメントとが、結合したコポリマー
    前記樹脂Zが、下記(5)〜(8)から選択される少なくとも一つのポリマーである請求項1〜10のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
    (5)前記構造Bと前記構造Cを枝部位として有するグラフトポリマー
    (6)前記構造Bを幹部位とするセグメントと、前記構造Cを枝部位として有するグラフトポリマーからなるセグメントとが、結合したコポリマー
    (7)前記構造Cを幹部位とするセグメントと、前記構造Bを枝部位として有するグラフトポリマーからなるセグメントとが、結合したコポリマー
    (8)前記構造Bを幹部位とするセグメントと、前記構造Cを幹部位とするセグメントのコポリマー
  12. 前記結着樹脂Rが、結晶性ポリエステルとジオールとジイソシアネートを反応して得られるポリウレタンとを化学的に結合したブロックポリマーである請求項1〜11のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  13. 前記酸性官能基が、前記構造Aの末端に化学的に結合している請求項1〜12のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
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