JP2020023722A - 縮合硬化性シリコーン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
(A)ケイ素原子に結合している加水分解性基を2個以上有し、(R1SiO3/2)単位及び(SiO4/2)単位のうち1以上を有する、分岐鎖状又は網目状オルガノポリシロキサン(前記式においてR1は互いに独立に、水素原子、または置換又は非置換の、炭素数1〜12の一価炭化水素基である)
100質量部、
(B)分子鎖の両末端にあるケイ素原子の各々に少なくとも1個の加水分解性基が結合している、直鎖状オルガノポリシロキサン 5〜500質量部、及び
(C)下記一般式(3)、下記一般式(5)、又は下記一般式(6)で表されるシラザン化合物から選ばれる少なくとも1種 (A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.02〜30質量部
(A)成分は、ケイ素原子に結合している加水分解性基を2個以上有し、(R1SiO3/2)単位及び(SiO4/2)単位のうち1以上を有する、分岐鎖状又は網目状オルガノポリシロキサンである。前記においてR1は互いに独立に、水素原子、または置換又は非置換の、炭素数1〜12の一価炭化水素基である。該分岐鎖状又は網目状オルガノポリシロキサンは従来公知のものであってよく、ケイ素原子に結合している加水分解性基を2個以上、好ましくは2〜100個で有すればよい。該加水分解性基としては、水酸基及び炭素数1〜6のアルコキシ基及びアルコキシアルキル基が挙げられる。該分岐鎖状又は網目状オルガノポリシロキサンは好ましくは、(R1SiO3/2)単位[T単位]及び/又は(SiO4/2)単位[Q単位]を分子中に合計3〜500個有する。また(R1 3SiO1/2)単位[M単位]を0〜500個、及び(R1 2SiO2/2)単位[D単位]を0〜1000個で有してもよい。該オルガノポリシロキサンは25℃で固体、半固体、又は液体のいずれであってもよい。尚、半固体とは、室温である程度の流動性を有するが極めて高粘稠を有し室温で回転粘度計による粘度測定が困難であるもの、あるいは室温で固体状態ではないが流動性を有しない程度の形状保持性を有するものをいう。
(B)成分は、分子鎖の両末端にあるケイ素原子の各々に少なくとも1個の加水分解性基が結合している、直鎖状オルガノポリシロキサンである。該直鎖状オルガノポリシロキサンは25℃で液体である。該直鎖状オルガノポリシロキサンは従来公知の物であってよい。加水分解性基としては、水酸基及び炭素数1〜6のアルコキシ基及びアルコキシアルキル基が挙げられる。該直鎖状オルガノポリシロキサンは、好ましくは(R1 2SiO2/2)で表されるシロキサン単位を1〜2,000個、好ましくは10〜1,000個有する。前記においてR1は互いに独立に、水素原子、または置換又は非置換の、炭素数1〜12の一価炭化水素基であるのがよい。
本発明は、上記(A)成分及び(B)成分の縮合触媒が下記一般式(3)、下記一般式(5)、又は下記一般式(6)で表されるシラザン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。従来、シラザン化合物は無機充填材の表面処理剤として用いられていた。本発明は、上記特定のシラザン化合物が(A)成分及び(B)成分の縮合反応触媒として好適に機能し、速やかに反応させて硬化物を与えることを見出し、成されたものである。該シラザン化合物は加熱時に分解してアミン化合物を生じ、該アミン化合物が触媒として作用すると考えられる。該シラザン化合物を用いることにより、シリコーン樹脂組成物の縮合触媒として従来使用されていた有機金属触媒やアミン化合物系触媒を使用しなくとも、十分な硬化速度にて上記シリコーン樹脂組成物を硬化することができる。また従来、有機金属触媒やアミン化合物系触媒を含有するシリコーン組成物を硬化すると、硬化物中に触媒が残存するため、得られる硬化物は耐熱性及び耐光性が劣化する問題があった。これに対し本発明におけるシラザン化合物は、硬化時に速やかに加水分解されて窒素原子がアンモニアになり揮発する。そのため、得られる硬化物中に触媒が残存することはなく、高い耐熱性と耐光性を有する硬化物を与えることができる。さらに、シリコーン樹脂組成物を取扱う際の粘度変化を少なくすることができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物はさらに、任意で希土類元素化合物を含んでいてよい。該希土類元素化合物を含むことにより、耐熱性及び耐光性が求められる条件下での使用において硬化物の劣化がより抑えられることができる。該希土類元素化合物としては、希土類元素有機錯体、希土類元素アルコキシド、および希土類元素有機酸塩が挙げられ、これらの中から選ばれる1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
実施例及び比較例にて使用した(A)〜(C)成分は以下の通りである。下記においてMeはメチル基、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、Phはフェニル基を意味する。また、下記のオルガノポリシロキサンが有する括弧内に示される各シロキサン単位の結合順序は、下記の記載に制限されるものではない。
(A−1)下記式で表される分岐状オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
(Me3SiO1/2)4(PhSiO3/2)16(O1/2H)4
(A−2)下記式で表される分岐状オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
(Me3SiO1/2)5(Me2SiO2/2)100(PhSiO3/2)15(O1/2H)4
(A−3)下記式で表される分岐状オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
(Me3SiO1/2)30(SiO4/2)45(O1/2R)6
RがHまたはiPrである化合物の混合物
(A−4)下記式で表される分岐状オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
(Me3SiO1/2)180(SiO4/2)180(O1/2R)60
RがHまたはEtである化合物の混合物
(A−5)下記式で表される分岐状オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
(Me3SiO1/2)30(Me2SiO2/2)30(MeSiO3/2)190(O1/2R)50
RがHまたはMeである化合物の混合物
(B−1)下記式で表される直鎖状オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
HO1/2−(PhMeSiO2/2)30−O1/2H
(B−2)下記式で表される直鎖状オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
RO1/2−(Me2SiO2/2)300−O1/2R
RがHまたはMeである化合物の混合物
(B−3)下記式で表される直鎖状オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
RO1/2−(Me2SiO2/2)1980−O1/2R
RがHまたはMeである化合物の混合物
(B−4)下記式で表される直鎖状オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
(RO)3SiO1/2−(Me2SiO2/2)200−O1/2Si(OR)3 R=Me
(C−1)ヘキサメチルシクロトリシラザン(信越化学工業株式会社製)
上記括弧内に示されるシラザンの結合順序は上記に制限されるものでない
(C−6)下記シラザン単位で構成される有機ポリシラザン(信越化学工業株式会社製)
上記括弧内に示されるシラザンの結合順序は上記に制限されるものでない
(C’)比較用縮合反応触媒
(C’−1)ヘプチルアミン(東京化成工業株式会社製)
(C’−2)オルガチックスTC−750(マツモトファインケミカル(株)製、Ti含有量11.2質量%)
(A)及び(B)成分を表1に記載の配合量で混合した後、(C)又は(C’)成分を加えて更に混合し、縮合硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。実施例及び比較例で調製した縮合硬化性シリコーン樹脂組成物について、以下に示す試験を行った。
縮合硬化性シリコーン樹脂組成物の粘度を、JIS Z 8803:2011に準じ、B型粘度計を用いて23℃で測定した(初期粘度)。また、大気雰囲気下、23℃で4時間放置した後の粘度を再度測定した。[4時間後の粘度]/[初期粘度]を計算することで粘度の増加率を求めた。結果を表2に記載する。
JIS K 6910:2007記載の方法に従い、150℃に加熱したホットプレート上に約0.5gの縮合硬化性シリコーン樹脂組成物(以下、試料という)乗せると同時に、ストップウォッチをスタートした。また、試料をホットプレート上に乗せた後、速やかに、試料を金属へら(長さ約10cm、幅約1.25cm)の端で前後に素早く往復させ、4cm×7.5cm程度の面積になるよう均一に広げ、軽く押さえながら3秒間で1往復、往復運動を行った。試料が糸を引かなくなった時点を終点とし、その時の時間を硬化時間とした。上記の測定を3回行った。硬化時間の平均値を表2に記載する。
50mm径×10mm厚のアルミシャーレに縮合硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込み、60℃×1時間、100℃×1時間、次いで150℃×4時間の順でステップキュアして、硬化物を得た。該硬化物の硬さ(TYPE A)をJIS K 6253−3:2012に準拠して測定した。結果を表2に記載する。
50mm×20mm×1mm厚のスライドガラス2枚の間に凹型の1mm厚テフロン(登録商標)スペーサーを挟み、それらを固定した後、硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込み、60℃×1時間、100℃×1時間、次いで150℃×8時間の順でステップキュアして、硬化物を得た。得られた硬化物の450nmにおける光透過率を分光光度計U−4100(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)にて測定した。結果を表2に記載する。
上記(4)で作成した硬化物を大気雰囲気下200℃にて1,000時間放置した後、450nmにおける光透過率を分光光度計U−4100(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)にて測定した。結果を表2に記載する。
150mm×200mm×2mm厚の凹型テフロン(登録商標)金型に縮合硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込み、60℃×1時間、100℃×1時間、次いで150℃×8時間の順でステップキュアして、硬化物を得た。該硬化物の引張強さ及び切断時伸びを、JIS K 6251:2010に準拠して、EZ TEST(EZ−L、株式会社島津製作所製)を用いて、試験速度500mm/min、つかみ具間距離80mm、及び標点間距離40mmの条件で測定した。結果を表2に記載する。
Tiger3528パッケージ(信越化学工業株式会社製)に縮合硬化性シリコーン樹脂組成物をディスペンスし、60℃×1時間、100℃×1時間、次いで150℃×8時間の順でステップキュアし、硬化物でパッケージを封止した試験体を製造した。該試験体の20個について、−50℃〜140℃、1,000回のサーマルサイクル試験(TCT)を行い、封止物にクラックが生じた試験体の数を計測した。結果を表2に記載する。
Claims (5)
- 下記(A)〜(C)成分を含む、縮合硬化性シリコーン樹脂組成物
(A)ケイ素原子に結合している加水分解性基を2個以上有し、(R1SiO3/2)単位及び(SiO4/2)単位のうち1以上を有する、分岐鎖状又は網目状オルガノポリシロキサン(前記式においてR1は互いに独立に、水素原子、または置換又は非置換の、炭素数1〜12の一価炭化水素基である)
100質量部、
(B)分子鎖の両末端にあるケイ素原子の各々に少なくとも1個の加水分解性基が結合している、直鎖状オルガノポリシロキサン 5〜500質量部、及び
(C)下記一般式(3)、下記一般式(5)、又は下記一般式(6)で表されるシラザン化合物から選ばれる少なくとも1種 (A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.02〜30質量部
- 下記(A)成分及び(B)成分及び触媒を含む縮合硬化性シリコーン樹脂組成物において、該(A)成分及び(B)成分を触媒存在下で反応させて該縮合硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化して硬化物を製造する方法であって、
(A)ケイ素原子に結合している加水分解性基を2個以上有し、(R1SiO3/2)単位及び(SiO4/2)単位のうち1以上を有する、分岐鎖状又は網目状オルガノポリシロキサン(前記式においてR1は互いに独立に、水素原子、または置換又は非置換の、炭素数1〜12の一価炭化水素基である)、
(B)分子鎖の両末端にあるケイ素原子の各々に少なくとも1個の加水分解性基が結合している、直鎖状オルガノポリシロキサン、
前記触媒が、下記一般式(3)、下記一般式(5)、又は下記一般式(6)で表されるシラザン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、前記製造方法
- 前記(C)成分の量が(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.02〜30質量部である、請求項4記載の製造方法。
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