JP2020023457A - (メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ化合物、および(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents
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酸脱離性基を有する単量体として、特許文献1、2には、エステル部位がシクロアルキル基を含む炭化水素基であり、エステル結合を構成する酸素原子とシクロアルキル基との結合部位に第3級炭素原子を有する(メタ)アクリル酸エステルが記載されている。
本発明は、親水性に優れる(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法、および前記製造方法に用いられるヒドロキシ化合物の提供を目的とする。
[1]下記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル。
[2]下記式(4)で表されるヒドロキシ化合物。
[3]前記[2]に記載のヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸塩化物とを反応させて、下記式(5)で表される(メタ)アクリル酸エステルを得る、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
本発明のヒドロキシ化合物は、(メタ)アクリル酸エステルの中間体として有用である。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
本明細書において、式(1)で表される化合物を、化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本発明の(メタ)アクリル酸エステルは下記式(1)で表される化合物(1)である。化合物(1)は、酸脱離性基を有する単量体として有用である。
R21、R22、R23のうちの1つは炭素数1〜20のアルコキシ基、他の1つは炭素数1〜20アルキル基、残りの1つは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキル基である。
すなわち、前記R21、R22、R23のうちの1つはアルコキシ基、他の1つはアルキル基、残りの1つは水素原子またはアルコキシ基であることが好ましい。
前記アルキル基は直鎖状でもよく、分岐状でもよく、シクロアルキル基でもよい。直鎖状または分岐状アルキル基の炭素数は1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
シクロアルキル基の炭素数は3〜8が好ましく、5または6がより好ましい。
Z1が2価の鎖式炭化水素基であるとき、直鎖状でもよく、分岐状でもよい。2価の鎖式炭化水素基としてはアルキレン基が好ましい。置換基としては−O−、−S−、−NH−、−PH−が挙げられる。炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
Z1が2価の環式炭化水素基であるとき、単環式でもよく、多環式でもよい。環式炭化水素基としては環式の飽和炭化水素基が好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が挙げられる。環を構成する炭素原子に置換基が結合していてもよい。置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。アルキル基は直鎖状でもよく、分岐状でもよい。
Z1は、レジスト材料の現像液への溶解性を高める点で単結合が好ましい。
nは0〜3の整数であり、0〜2が好ましく、0または1がより好ましい。
環式炭化水素基の炭素数には(R21R22R23)C−が結合している炭素原子も含まれる。
炭素数3〜10の単環の炭化水素からなる環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクタジエニル基等が挙げられる。これらの中でも入手容易性の点からシクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
炭素数3〜10の多環の炭化水素からなる環式炭化水素基としては、例えばビシクロ[4.3.0]ノナニル基、ナフタレニル基、デカヒドロナフタレニル基、ボルニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ノルアダマンチル基等が挙げられる。これらの中でも入手容易性の点からノルボルニル基、アダマンチル基が好ましい。
R1は水素原子またはメチル基であり、Z3は(R21R22R23)C−が結合している炭素原子とともに、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基を形成する原子団であり、R21、R22およびR23が、メトキシ基、メチル基および水素原子の任意の組み合わせ、2つのメトキシ基およびメチル基の任意の組み合わせ、またはメトキシ基および2つのメチル基の任意の組み合わせであり、Z1が単結合であり、n=0である化合物。
ヒドロキシ化合物(4)は、下記式(2)で表されるエステル化合物(2)に、下記式(3)で表される化合物(3)を反応させて製造できる。
式(2)において、R11はアルキル基である。アルキル基は直鎖状でもよく、分岐状でもよく、シクロアルキル基でもよい。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等が挙げられる。これらの中でも入手容易性の点からメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
Y1のアルキレン基は直鎖状でもよく分岐状でもよい。例えばエチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基等が挙げられる。これらの中でも入手容易性の点からブチレン基、ペンチレン基が好ましい。
化合物(2)の1モル当たり、化合物(3)は0.5〜5モルが好ましく、0.8〜4モルがより好ましく、1〜3モルがさらに好ましい。
反応時間は、反応温度等によって異なるため適宜決めればよい。例えば0.5〜30時間程度が好ましい。
精製方法は、生成物の物性、原料の種類および量、溶剤の種類等を考慮して、アルカリ水洗、水洗、蒸留、晶析、濾過等の公知の精製方法を、適宜組み合わせることができる。
(メタ)アクリル酸塩化物は、市販品でも別途合成したものを使用してもよい。(メタ)アクリル酸塩化物の使用量は、特に限定されないが、化合物(5)を収率よく得る点から、化合物(4)の1モル当たり0.5モル以上が好ましく、(メタ)アクリル酸塩化物由来の重合を防止する点では、4モル以下が好ましい。
化合物(4)の1モル当たり、アクリル酸塩化物は0.5〜4モルが好ましく、0.7〜3モルがより好ましく、0.9〜2.5モルがさらに好ましい。
塩基の使用量としては、反応収率の点から、化合物(4)の1モル当たり0.1モル以上が好ましく、反応後の処理工程への負荷を抑制する点から、3モル以下が好ましい。
化合物(4)の1モル当たり、塩基は0.1〜3モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。
反応時間は、反応温度等によって異なるため適宜決めればよい。例えば、0.5〜20時間程度が好ましい。
態様(1):下記エステル化合物(2−1)に、前記式(3)においてY1がブチレン基であり、M2、M3がそれぞれMgBrである化合物(3−1)を反応させて、下記ヒドロキシ化合物(4−1)を得て、ヒドロキシ化合物(4−1)と(メタ)アクリル酸塩化物とを反応させて、下記化合物(5−1)を得る方法。
なお、化合物(3−1)は1,4−ジブロモブタンと金属Mgとの反応物である。
<実施例1>
前記態様(1)の方法で化合物(5−1)を製造した。
[工程1]
ガラス製のフラスコに、60質量%水素化ナトリウム2.54g(63mmol)、テトラヒドロフラン50mLを加え、0℃に冷却した。テトラヒドロフラン28mLに溶解させた乳酸エチル5.00g(42mmol)を加え、0℃にて20分間撹拌した。ヨードメタン4.0mL(63mmol)を加え、室温にて2.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液85mLを加え分液した。水層をジイソプロピルエーテル60mLで3回抽出し、有機層に飽和食塩水20mLを加え洗浄した。硫酸マグネシウムを用いて乾燥させたのち、溶媒を留去し、化合物(2−1)2.97gを得た。
次に、ガラス製のフラスコに、削り状マグネシウム1.52g(63mmol)、テトラヒドロフラン25mLを加え、室温にて、テトラヒドロフラン26mLに溶解させた1,4−ジブロモブタン2.7mL(23mmol)を1.3時間で滴下した。その後、3時間撹拌し、−10℃に冷却し、テトラヒドロフラン23mLに溶解させた化合物(2−1)2.97g(22mmol)を0.5時間で滴下した。−10℃にて、1時間撹拌した後、室温にて終夜撹拌した。20質量%塩化アンモニウム水溶液50mLを加え分液した。水層を酢酸エチル60mLで2回抽出し、有機層に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mL、続いて飽和食塩水20mLを加え洗浄した。硫酸マグネシウムを用いて乾燥させたのち、溶媒を留去し、目的の化合物2.80gを得た。
1H−NMR分析により、得られた化合物が化合物(4−1)であることを確認した。
1H−NMR(270MHz、CDCl3):δ3.38ppm(s、3H)、3.23ppm(q、1H)、2.11ppm(s、1H)、1.84−1.51ppm(m、8H)、1.15ppm(d、3H)。
ガラス製のフラスコに、上記で得た化合物(4−1)2.80g(19mmol)、テトラヒドロフラン46mLを加え、窒素フロー下、−40℃に冷却した。n−ブチルリチウム20mL(15質量%ヘキサン溶液、32mmol)を滴下し、0℃で1時間撹拌した。再び−40℃に冷却し、メタクリル酸クロライド4.0mL(42mmol)を滴下した後、0℃で1.5時間撹拌した。10質量%水酸化リチウム水溶液19.45gを加え50℃で2時間撹拌した後、分液した。水層を酢酸エチル20mLで3回抽出し、有機層に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30mL、続いて飽和食塩水15mLを加え洗浄した。硫酸マグネシウムを用いて乾燥させたのち、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的の化合物3.34gを得た。
1H−NMR分析により、得られた化合物が化合物(5−1)であることを確認した。
1H−NMR(270MHz、CDCl3):δ6.03ppm(m、1H)、5.50ppm(m、1H)、4.17ppm(q、1H)、3.36ppm(s、3H)、1.90ppm(s、1H)、2.14−1.56ppm(m、8H)、1.09ppm(d、3H)。
前記態様(2)の方法で化合物(5−2)を製造した。
実施例1の工程1において、乳酸エチルを2−ヒドロキシイソ酪酸メチルに変更した以外は同様にして、化合物(2−2)を得た。
実施例1の工程2において、化合物(2−1)の代わりに上記で得た化合物(2−2)を用いた以外は同様にして、化合物(4−2)を得た。1H−NMR分析により、得られた化合物が化合物(4−2)であることを確認した。
1H−NMR(270MHz、CDCl3):δ3.24ppm(s、3H)、2.36ppm(s、1H)、1.90−1.54ppm(m、8H)、1.17ppm(s、6H)。
1H−NMR分析により、得られた化合物が化合物(5−2)であることを確認した。
1H−NMR(270MHz、CDCl3):δ6.00ppm(m、1H)、5.48ppm(m、1H)、3.25ppm(s、3H)、1.91ppm(s、1H)、2.06−1.56ppm(m、8H)、1.24ppm(d、3H)。
比較化合物としてイソプロピルシクロペンチルメタクリレート(国際公開第2011/062168号の段落0245に記載されている化合物、表1に構造式を示す。)を用いた。
三口フラスコにシクロペンタノン(8.4g)、テトラヒドロフラン(200mL)を加え0℃に冷却した。ランタントリクロリドビスリチウムクロリド錯体(0.6mol/Lテトラヒドロフラン溶液)166mLを0℃で滴下し、30分時間攪拌した。次いでイソプロピルマグネシウムブロミド(1.0mol/Lテトラヒドロフラン溶液)100mLを0℃で滴下し2時間攪拌した。続いて、飽和塩化アンモニウム水溶液100mLを添加し、水相を酢酸エチル200mLで2回抽出し、有機相をまとめ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、1−イソプロピルシクロペンタノール11.4gを得た(収率88%)。
1−イソプロピルシクロペンタノール(11.4g)をテトラヒドロフラン200mLに加え、−40℃に冷却した。ノルマルブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液)55mLを−40℃で滴下し、0℃で1時間攪拌した。反応液を再び−40℃に冷却した後、メタクリル酸クロライド8.4gを滴下し、室温まで昇温した。1時間攪拌後、0℃まで冷却し、水100mLを添加した。水相を酢酸エチル200mLで2回抽出し、有機相をまとめ、水、飽和食塩水で洗浄した後、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、イソプロピルシクロペンチルメタクリレート(12.3g)を得た(収率86%)。
比較化合物としてt−ブチルシクロペンチルメタクリレート(特開2015−141353号公報の段落0408に記載されている化合物、表1に構造式を示す。)を用いた。
比較例1において、イソプロピルマグネシウムブロミドの代わりに、t−ブチルマグネシウムブロミドを用いた以外は比較例1と同様に実施し、t−ブチルシクロペンチルメタクリレートを得た。
上記実施例および比較例で得たメタクリル酸エステルを試料とし、炭素数18の炭化水素基で表面処理したシリカゲルをカラム充填材として用いて、逆相液体クロマトグラフィー測定を、下記の条件で行った。
[測定条件]
装置:ウォーターズ社製、液体クロマトグラフィーシステム ACQUITY UPLC H−Class(製品名)。
カラム:ウォーターズ社製、ACQUITY UPLC BEH C18(製品名)、1.7μm(粒径)。
移動層:アセトニトリル/水=3/1。
流量:0.5mL/min。
UV検出波長:220nm。
保持時間の測定結果を表1に示す。
Claims (3)
- 下記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル。
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