JP2020023364A - ブロー成形容器、燃料容器及びブロー成形容器の製造方法 - Google Patents

ブロー成形容器、燃料容器及びブロー成形容器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融成形によるゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥の発生及び着色が抑制され、外観性に優れ、製造の際のセルフパージ性が良好であり、十分な強度等の品質を有し、かつ低コストで製造することが可能なブロー成形容器等、燃料容器及びブロー成形容器の製造方法の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、EVOHを主成分とする第1層を備えるブロー成形容器であって、上記EVOHが、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、窒素雰囲気下、220℃、50時間熱処理後に測定した分子量が、式(1)で表される条件を満たすこと等を特徴とする。(Ma−Mb)/Ma<0.45 ・・・(1)Ma:示差屈折率検出器で測定されるピークの最大値におけるPMMA換算の分子量Mb:紫外可視吸光度検出器で測定される波長220nmでの吸収ピークの最大値におけるPMMA換算の分子量【選択図】図1

Description

本発明は、ブロー成形容器、燃料容器及びブロー成形容器の製造方法に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」ともいう)は、酸素等のガスバリア性、耐油性、非帯電性等に優れた高分子材料である。そのため、EVOH含有樹脂組成物は、容器、フィルム、シート等に成形され、包装材等として広く用いられている。特に、ブロー成形容器としては、上記EVOH含有樹脂組成物からなる層と、耐湿性、耐衝撃性等に優れる他の熱可塑性樹脂の層等とからなる多層構造が広く採用されている。
上記ブロー成形容器の製造においては、一般に溶融成形が行われるが、この溶融成形によりゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥が発生し、成形品の外観性を損ねる場合がある。加えて、上記ゲル状ブツ等は成形品の外観性を損ねるだけでなく性能劣化をも引き起こすため、これらの発生を抑制することが必要とされる。
また、ブロー成形容器の生産工程において、樹脂の切り替え、休日等の生産停止、成形金型の交換作業等のため、溶融成形装置の運転を一旦停止し、一定期間の後に再起動させる必要がある。この場合、溶融成形装置内に残留した少量のEVOH含有樹脂組成物が、この装置の昇温及び降温過程で劣化し、再起動時にゲルとなって、成形品の外観性や強度等の品質を悪化させるという不都合が生じる。そのため、上記装置の再起動後は、一定時間運転してこのようなゲル等の発生がなくなり、成形品の外観性が通常状態に回復するまで待つ必要がある。生産コストの観点からは、上記通常状態に回復するまでにかかる時間が短いこと、即ちセルフパージ性が良好であることが好ましいが、従来のEVOH含有樹脂組成物のセルフパージ性は良好とは言い難い。
そこで、セルフパージ性を改善したEVOH含有樹脂組成物として、(1)EVOH樹脂にポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、炭素数9以下の低級脂肪酸のアルカリ土類金属塩を特定の割合で添加した樹脂組成物(特開平5−255554号公報参照)、(2)分子量が75未満のカルボン酸及びアルカリ土類金属塩を特定の割合で含有し、かつ特定の粘度を有するEVOH含有樹脂組成物(特開2001−234008号公報参照)が知られている。しかし、これらのEVOH含有樹脂組成物はアルカリ土類金属塩を含有するため成形品の着色が起こるおそれがあり、またセルフパージ性も十分とは言えない。特に、上記(1)のEVOH含有樹脂組成物は、ポリオレフィンの添加により、長時間の溶融成形を行っても上記欠陥が発生し難い長時間運転特性(ロングラン性)の低下や色相の悪化が起こるという不都合がある。
特開平5−255554号公報 特開2001−234008号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、溶融成形によるゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥の発生及び着色が抑制され、外観性に優れ、製造の際のセルフパージ性が良好であり、十分な強度等の品質を有し、かつ低コストで製造することが可能なブロー成形容器、燃料容器及びブロー成形容器の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、エチレンとビニルエステルとの共重合体をけん化して得られるエチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分とする第1層(以下、「(1)層」ともいう)を備えるブロー成形容器であって、上記エチレン−ビニルアルコール共重合体が、示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器を備えるゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、窒素雰囲気下、220℃、50時間熱処理後に測定した分子量が、下記式(1)で表される条件を満たすことを特徴とする。
(Ma−Mb)/Ma<0.45 ・・・(1)
Ma:示差屈折率検出器で測定されるピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
Mb:紫外可視吸光度検出器で測定される波長220nmでの吸収ピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
当該ブロー成形容器は、(1)層が上記特定の条件を満たすエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH(I)」ともいう)を含有することで、溶融成形によるゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥の発生及び着色を抑制することができ、外観性に優れる。また、ブロー成形容器の製造工程におけるセルフパージ性にも優れるため、当該ブロー成形容器の製造コストを低減することができる。
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体が、示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器を備えるゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、窒素雰囲気下、220℃、50時間熱処理後に測定した分子量が、下記式(2)で表される条件をさらに満たすとよい。
(Ma−Mc)/Ma<0.45 ・・・(2)
Mc:紫外可視吸光度検出器で測定される波長280nmでの吸収ピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
このように(1)層が上記特定の条件をさらに満たすEVOH(I)を含有することで、溶融成形によるゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥の発生及び着色をより効果的に抑制することができ、外観性をより向上させることができる。また、セルフパージ性にもより優れるため、当該ブロー成形容器の製造コストをより低減することができる。
上記(1)層は有機酸のアルカリ金属塩をさらに含有するとよい。この場合、上記アルカリ金属塩の含有量としては金属換算で1ppm以上1,000ppm以下が好ましい。このように、(1)層が上記特定量のアルカリ金属塩をさらに含有することで、溶融成形時の酸化劣化の抑制により、ゲル状ブツ等の欠陥の発生、着色等をより低減し、外観性をさらに向上することができる。また、上記(1)層が上記特定量のアルカリ金属塩を含有することで、セルフパージ性にもより優れるため、当該ブロー成形容器の製造コストをさらに低減することができる。
上記ビニルエステルが酢酸ビニルであるとよい。この場合、この酢酸ビニルのアセトアルデヒドの含有量としては100ppm未満が好ましい。このように、ビニルエステルをアセトアルデヒドの含有量が上記特定範囲である酢酸ビニルとすることで、ゲル状ブツ等の欠陥の発生、着色等をより低減し、外観性をより向上することができる。
当該ブロー成形容器は、上記(1)層の一方の面側及び他方の面側に配置され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm1/2以下である熱可塑性樹脂を主成分とする一対の第2層(以下、「(2)層」ともいう)、及び上記(1)層と一対の(2)層との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする一対の第3層(以下、「(3)層」ともいう)をさらに備えるとよい。
このように、当該ブロー成形容器が(1)層に加えて、(2)層及び(3)層をさらに備えることで、高湿度下でのガスバリア性、耐油性、耐衝撃性等を向上させることができる。
当該ブロー成形容器は、上記EVOH(I)、上記熱可塑性樹脂及び上記カルボン酸変性ポリオレフィンを含有する第4層(以下、「(4)層」ともいう)を備えるとよい。このように、当該ブロー成形容器が(4)層をさらに有することで、高湿度下でのガスバリア性、耐衝撃性等をより向上させることができる。
(4)層は、ブロー成形容器の製造工程における上記(1)層、(2)層及び(3)層の回収物を用いて形成されるとよい。(4)層が、ブロー成形容器の製造工程における上記(1)層、(2)層及び(3)層の回収物を用いて形成されることで、当該ブロー成形容器の製造工程において発生するバリ、検定の不合格品等が(4)層に再利用され、材料樹脂を無駄なく利用でき、低廉性が向上する。
上記(1)層の平均厚みとしては、全層平均厚みの5.0%以下が好ましい。また、上記(4)層におけるEVOH(I)の含有量としては、9.0質量%以下が好ましい。このように、(1)層の平均厚みが全層平均厚みの5.0%以下であり、かつ上記(4)層におけるEVOH(I)の含有量が9.0質量%以下であることで、優れたガスバリア性、耐油性、外観性、セルフパージ性等を保持しながら、耐衝撃性をより向上させることができる。
当該ブロー成形容器は、燃料容器として使用できる。当該ブロー成形容器はガスバリア性、耐油性等に優れると共に、外観性にも優れるため、燃料容器として好適に用いることができる。
また、本発明は、EVOH(I)を主成分とする樹脂組成物を用いてブロー成形する工程を有し、上記EVOH(I)が示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器を備えるゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、窒素雰囲気下、220℃、50時間熱処理後に測定した分子量が、上記式(1)で表される条件を満たすブロー成形容器の製造方法を含む。当該ブロー成形容器の製造方法によれば、ゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥の発生及び着色が抑制されるため、外観性に優れたブロー成形容器を得ることができる。また、当該ブロー成形容器の製造方法に用いる樹脂組成物は、セルフパージ性に優れるため、製造コストを低減することができる。
本発明のブロー成形容器は、EVOHの特性としての十分なガスバリア性、耐油性を有することに加えて、(1)層が上記特定の条件を満たすEVOH(I)を含有することで、溶融成形によるゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥の発生及び着色が抑制されるため、外観性に優れる。また、当該ブロー成形容器は、(1)層が上記特定の条件を満たすEVOH(I)を含有することで、製造工程におけるセルフパージ性にも優れるため、当該ブロー成形容器の製造コストを低減することができる。そのため、当該ブロー成形容器は、様々な用途に用いられ、特に燃料容器に好適に用いられる。
本発明のブロー成形容器の一実施形態を示す模式的部分断面図である。 EVOHの分子量(対数値)と、示差屈折率検出器で測定されたシグナル値(RI)及び吸光度検出器(測定波長220nm及び280nm)で測定された吸光度(UV)との関係を模式的に示したグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明するが、本発明はこれらに限定されない。また、例示される材料は、特に記載がない限り、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<ブロー成形容器>
当該ブロー成形容器は、EVOH(I)を主成分とする第1層を備える。以下、当該ブロー成形容器について、図1に示すブロー成形容器5を例にとって、具体的に説明する。なお、図1は当該ブロー成形容器5の周壁の部分断面図である。
図1の当該ブロー成形容器5は、
(1)EVOH(I)を主成分とする層1、
(2)(1)層1の一方の面側及び他方の面側に配置され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm1/2以下である熱可塑性樹脂を主成分とする一対の層2、
(3)(1)層1と(2)層2との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする一対の層3、及び
(4)上記EVOH(I)、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm1/2以下である熱可塑性樹脂、及びカルボン酸変性ポリオレフィンを含有する層4を備える。
具体的には、当該ブロー成形容器5は、容器内部表面6から容器外部表面7に向かって、(2)層2、(3)層3、(1)層1、(3)層3、(4)層4、(2)層2の順に積層した多層構造を有する。
当該ブロー成形容器5の全体平均厚みの下限としては、300μmが好ましく、500μmがより好ましく、1,000μmがさらに好ましい。一方、上記全体平均厚みの上限としては、10,000μmが好ましく、8,500μmがより好ましく、7,000μmがさらに好ましい。なお、上記全体平均厚みは当該ブロー成形容器5の胴部における平均厚みをいう。上記全体平均厚みが上記下限より小さいと剛性が保てず、容易に破壊されてしまうおそれがある。逆に、上記全体平均厚みが上記上限を超えると重量が大きくなり、例えば自動車等の燃料容器に使用する場合には燃費に悪影響を及ぼし、容器のコストも上昇するおそれがある。したがって、容量や用途に対応した厚みを設定することが重要である。以下、各層毎に説明する。
[(1)層]
(1)層1は、EVOH(I)を主成分とする層である。また、(1)層1は、有機酸のアルカリ金属塩をさらに含有することが好ましい。さらに、(1)層1は、本発明の効果を損なわない限り、他の任意成分を含有してもよい。ここで、「主成分」とは、質量基準で最も多い成分をいう。また、各成分の含有量を「ppm」で表す場合、この「ppm」は各成分の含有量の質量割合を意味し、1ppmは0.0001質量%である。以下、各成分について詳述する。
(EVOH(I))
EVOH(I)は、エチレンとビニルエステルとの共重合体をけん化したものである。
エチレンとビニルエステルとの共重合方法としては特に限定されず、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バルク重合等の公知の方法を用いることができる。また、上記共重合方法は、連続式及び回分式のいずれであってもよい。
EVOH(I)のエチレン含有量の下限としては、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、25モル%がさらに好ましい。一方、EVOH(I)のエチレン含有量の上限としては、60モル%が好ましく、55モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましく、40モル%が特に好ましい。EVOH(I)は、エチレン含有量が上記下限未満であると、溶融押出時の熱安定性が低下してゲル化しやすくなり、ゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥を発生し易くなるおそれがある。特に、一般的な溶融押出し時の条件よりも高温又は高速の条件下で長時間運転を行うと、ゲル化する可能性が高くなる。一方、エチレン含有量が上記上限を超えると、ガスバリア性等が低下し、EVOH(I)が有する有利な特性を十分に発揮できないおそれがある。
上記ビニルエステルとしては、工業的入手容易さ等の観点から酢酸ビニルが好適に用いられる。この酢酸ビニルは、通常不可避的不純物として少量のアセトアルデヒドを含有する。この酢酸ビニルのアセトアルデヒドの含有量としては、100ppm未満が好ましい。この酢酸ビニルのアセトアルデヒドの含有量の上限としては、60ppmがより好ましく、25ppmがさらに好ましく、15ppmが特に好ましい。酢酸ビニルのアセトアルデヒドの含有量を上記範囲とすることで、後述する式(1)を満たすEVOH(I)を調製し易くなる。
上記EVOH(I)は、エチレン及びビニルエステル以外の単量体に由来する他の構造単位を含んでいてもよい。このような他の構造単位を与える単量体としては、例えばビニルシラン系化合物、その他の重合性化合物等が挙げられる。上記他の構造単位の含有量としては、EVOH(I)の全構造単位に対して、0.0002モル%以上0.2モル%以下が好ましい。
上記EVOH(I)のビニルエステルに由来する構造単位のケン化度の下限としては、通常85モル%であり、90モル%が好ましく、98モル%がより好ましく、98.9モル%がさらに好ましい。このケン化度が上記下限未満であると熱安定性が不十分となるおそれがある。
(1)層1におけるEVOH(I)の含有量の下限としては、通常95質量%であり、98.0質量%が好ましく、99.0質量%がより好ましく、99.5質量%がさらに好ましい。EVOH(I)の含有量を上記下限以上とすることで、当該ブロー成形品はガスバリア性、耐油性等をより向上できる。
(ピークトップ分子量(Ma))
ピークトップ分子量(Ma)は、窒素雰囲気下、220℃で50時間熱処理した後のEVOH(I)をゲルパーミションクロマトグラフィー(以下「GPC」という)を用いて分離し、このときにカラムから溶出されるEVOH(I)の図2に模式的に示すように示差屈折率検出器において測定されるシグナル(図2中の「RI」)のメインピークの最大値に対応する値である。本発明におけるピークトップ分子量(Ma)は、後述の方法により作成される検量線を用いて算出されるポリメタクリル酸メチル換算(以下、「PMMA換算」ともいう)の値である。
ピークトップ分子量(Ma)の下限としては、30,000が好ましく、35,000がより好ましく、40,000がさらに好ましく、50,000が特に好ましい。一方、ピークトップ分子量(Ma)の上限としては、100,000が好ましく、80,000がより好ましく、65,000がさらに好ましく、60,000が特に好ましい。
(吸収ピーク分子量(Mb)及び(Mc))
吸収ピーク分子量(Mb)及び(Mc)は、図2に模式的に示すようにピークトップ分子量(Ma)の測定と同じ条件でGPCによりEVOH(I)を分離し、紫外可視吸光度検出器において測定される特定波長でのシグナル(図2中の「UV」)の吸収ピークの最大値に相当する値である。この吸収ピーク分子量(Mb)及び(Mc)は、ポリメタクリル酸メチル換算の分子量である。なお、波長220nmにおける吸収ピークの分子量は、「Mb」として表記し、波長280nmにおける吸収ピークの分子量は「Mc」として表記する。
吸収ピーク分子量(Mb)の下限としては、30,000が好ましく、35,000がより好ましく、40,000がさらに好ましく、50,000が特に好ましい。一方、吸収ピーク分子量(Mb)の上限としては、75,000が好ましく、60,000がより好ましく、55,000がさらに好ましい。
吸収ピーク分子量(Mc)の下限としては、35,000が好ましく、40,000がより好ましく、45,000がさらに好ましく、48,000が特に好ましい。一方、吸収ピーク分子量(Mc)の上限としては、75,000が好ましく、55,000がより好ましく、50,000がさらに好ましい。
(検量線の作成)
検量線は、例えば標品としてAgilent Technologies社の単分散のPMMA(ピークトップ分子量:1,944,000、790,000、467,400、271,400、144,000、79,250、35,300、13,300、7,100、1,960、1,020、690)を測定し、示差屈折率検出器及び吸光度検出器のそれぞれについて作成する。検量線の作成には、解析ソフトを用いることが好ましい。なお、本測定のPMMAの測定においては、例えば1,944,000と271,400との両分子量の標準試料同士のピークが分離できるカラムを用いる。
(EVOH(I)の分子量相関)
EVOH(I)は、下記式(1)で表される条件を満たすものである。
(Ma−Mb)/Ma<0.45 ・・・(1)
式(1)の左辺(Ma−Mb)/Maとしては、0.40未満であることが好ましく、0.30未満がより好ましく、0.10未満がさらに好ましい。ここで、MaとMbとの差(Ma−Mb)が小さくなれば、図2における示差屈折率検出器から得られるメインピーク(PRI)と紫外可視吸光度検出器から得られる吸収ピーク(PUV(220nm))とが近接していることを意味する。逆に、分子量差(Ma−Mb)の値が大きくなれば、これら両ピーク(PRI、PUV(220nm))が離れていること意味する。すなわち、両ピーク(PRI、PUV(220nm))の分子量差(Ma−Mb)の値が大きい場合には、比較的低分子量の成分に波長220nmの紫外線を吸収する成分が多いことを意味する。そのため、EVOH(I)が上記式(1)を満たさない場合、比較的低分子量の成分に波長220nmの紫外線を吸収する成分が多いことを意味する。そして、この場合、EVOH(I)を含有する樹脂組成物を用いた溶融成形時にEVOH(I)が熱劣化してゲル状ブツ、ストリーク等の発生及び着色が顕在化する傾向にある。
上述の式(1)を満たすことによる効果は、以下の理由により生じると考えられる。すなわち、EVOHは、脱水等の熱劣化を生じることにより、波長220nmの紫外線を吸収する炭素−炭素二重結合やカルボニル基を分子内に生じ、これらの基によって樹脂組成物のゲル化を促進する。上述のゲル化の促進作用は、熱劣化したEVOHの分子量に依存し、熱劣化したEVOHの分子量が大きい場合には上記促進作用が弱く、分子量が小さくなるほど上記促進作用が強くなる。そのため、EVOHが上述の式(1)を満たす場合、つまり熱劣化しても比較的高分子量を維持できる場合、ゲル状ブツ、ストリーク等の発生及び着色を抑制できると考えられる。
EVOH(I)は、好ましくは下記式(2)の条件を満たすものである。
(Ma−Mc)/Ma<0.45 ・・・(2)
式(2)の左辺(Ma−Mc)/Maとしては、0.40未満がより好ましく、0.30未満がさらに好ましく、0.15未満が特に好ましい。ここで、式(2)の左辺(Ma−Mc)/Maの値が大きくなれば、示差屈折率検出器から得られるメインピーク(PRI)と紫外可視吸光度検出器から得られる吸収ピーク(PUV(280nm))とが離れており、比較的低分子量の成分に波長280nmの紫外線を吸収する成分が多くなる。この場合、EVOHが溶融成形時に熱劣化してゲル状ブツ、ストリーク等の発生及び着色が顕在化する傾向にある。
上述の式(2)を満たすことによる効果は、以下の理由により生じると考えられる。すなわち、EVOHは、上述の熱劣化によって炭素−炭素二重結合やカルボニル基が分子内に生じた後、熱劣化がさらに進行することにより、波長280nmの紫外線を吸収する共役二重結合が分子内に生じ、この共役二重結合によって樹脂組成物の黄変を促進する。上述の黄変の促進作用は、上述のゲル化の促進作用と同様に、熱劣化したEVOHの分子量に依存し、熱劣化したEVOHの分子量が大きい場合には上記促進作用が弱く、分子量が小さくなるほど上記促進作用が強くなる。そのため、EVOHが上述の式(2)を満たす場合、つまり熱劣化が進行しても比較的高分子量を維持できる場合、ゲル状ブツ、ストリーク等の発生及び着色をより抑制できると考えられる。
(式(1)で表される条件を満たすEVOH(I)を調製する方法)
式(1)で表される条件を満たすEVOH(I)を調製する方法としては、従来のEVOHの調製において、
(A)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、ビニルエステルに含まれるラジカル重合禁止剤を予め除去する方法、
(B)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、ラジカル重合に用いるビニルエステルに含まれる不純物を特定量とする方法、
(C)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合温度を特定範囲とする方法、
(D)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合工程、又は上記重合工程後に未反応のビニルエステルを回収再利用する工程において有機酸を添加する方法、
(E)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合に用いる溶媒の不純物を特定量とする方法、
(F)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合に用いる溶媒とビニルエステルとの質量比(溶媒/ビニルエステル)を高める方法、
(G)エチレンとビニルエステルモノマーとをラジカル重合する際に使用するラジカル重合開始剤として、アゾニトリル系開始剤又は有機過酸化物系開始剤を用いる方法、
(H)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、ラジカル重合後にラジカル重合禁止剤を添加する場合の添加量を残存する未分解のラジカル重合開始剤に対して特定量とする方法、
(I)残存するビニルエステルが極力除去されたエチレンとビニルエステルとの共重合体のアルコール溶液をけん化反応に用いる方法、
(J)けん化に用いるエチレンとビニルエステルとの共重合体に酸化防止剤を添加する方法等
が挙げられ、(A)〜(J)を適宜組み合わせてもよい。また、(A)〜(J)により、式(2)で表される条件を満たすEVOH(I)を調製することもできる。(A)〜(J)の方法について以下で説明する。
((A)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、ビニルエステルに含まれるラジカル重合禁止剤を予め除去する方法)
上記ラジカル重合禁止剤としては、後述する(H)でラジカル重合後に添加するラジカル重合禁止剤として例示するものと同様のもの等が挙げられる。また、ラジカル重合禁止剤を除去する方法としては、カラムクロマトグラフィーを用いる方法、再沈法、蒸留法等が挙げられ、通常蒸留法が採用される。蒸留法によりラジカル重合禁止剤を除去する場合、ビニルエステルの沸点はラジカル重合禁止剤の沸点よりも低いため、蒸留塔頂部から重合禁止剤が除去されたビニルエステルを得ることができる。
((B)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、ラジカル重合に用いるビニルエステルに含まれる不純物を特定量とする方法)
ラジカル重合に用いるビニルエステルに含まれる不純物の合計含有量の下限としては、1ppmが好ましく、3ppmがより好ましく、5ppmがさらに好ましい。また、上記不純物の合計含有量の上限としては、1,200ppmが好ましく、1,100ppmがより好ましく、1,000ppmがさらに好ましい。
上記不純物としては、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン等のアルデヒド;このアルデヒドが溶媒のアルコールによりアセタール化したアセトアルデヒドジメチルアセタール、クロトンアルデヒドジメチルアセタール、アクロレインジメチルアセタール等のアセタール;アセトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステルなどが挙げられる。
なお、上記不純物のうちアセトアルデヒドは、酢酸ビニルの製造等で生じ易く、かつEVOH(I)が式(1)を満たすことを妨げ易い。そのため、本方法においては、特にアセトアルデヒドの含有量を低減するとよい。
((C)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合温度を特定範囲とする方法)
エチレンとビニルエステルとの共重合体の重合温度の下限としては、20℃が好ましく、40℃がより好ましい。一方、上記重合温度の上限としては、90℃が好ましく、70℃がより好ましい。
((D)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、アルコール溶媒を用い、かつ重合工程、又は重合工程後に未反応のビニルエステルを回収再利用する工程において有機酸を添加する方法)
本方法は、重合系への有機酸の添加により、ビニルエステルのアルコールによる加アルコール分解や微量の水分による加水分解を抑制することで、アセトアルデヒド等のアルデヒドの生成を抑制できる。上記有機酸としては、グリコール酸、グリセリン酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸;マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、シュウ酸、グルタル酸等の多価カルボン酸などが挙げられる。
上記有機酸の添加量の下限としては、1ppmが好ましく、3ppmがより好ましく、5ppmがさらに好ましい。上記有機酸の添加量の上限としては、500ppmが好ましく、300ppmがより好ましく、100ppmがさらに好ましい。
((E)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合に用いる溶媒の不純物を特定量とする方法)
重合に用いる溶媒の不純物の合計含有量の下限としては、1ppmが好ましく、3ppmがより好ましく、5ppmがさらに好ましい。上記不純物の合計含有量の上限としては、1,200ppmが好ましく、1,100ppmがより好ましく、1,000ppmがさらに好ましい。重合に用いる溶媒の不純物としては、例えば上述のビニルエステルに含まれる不純物として例示したもの等が挙げられる。
((F)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合に用いる溶媒とビニルエステルとの質量比(溶媒/ビニルエステル)を高める方法)
上記重合に用いる溶媒とビニルエステルとの質量比(溶媒/ビニルエステル)の下限としては、0.03が好ましい。一方、上記質量比(溶媒/ビニルエステル)の上限としては、例えば0.4である。
((G)エチレンとビニルエステルモノマーとをラジカル重合する際に使用するラジカル重合開始剤として、アゾニトリル系開始剤又は有機過酸化物系開始剤を用いる方法)
アゾニトリル系開始剤としては、例えば2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等が挙げられる。有機過酸化物としては、例えばアセチルパーオキシド、イソブチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
((H)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、ラジカル重合後にラジカル重合禁止剤を添加する場合の添加量を残存する未分解のラジカル重合開始剤に対して特定量とする方法)
ラジカル重合後にラジカル重合禁止剤を添加する場合の添加量としては、残存する未分解のラジカル重合開始剤に対して、5モル当量以下が好ましい。上記ラジカル重合禁止剤としては、例えば共役二重結合を有する分子量1,000以下の化合物であって、ラジカルを安定化させて重合反応を阻害する化合物等が挙げられる。具体的な上記ラジカル重合禁止剤としては、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1−メトキシ−1,3−ブタジエン、2−メトキシ−1,3−ブタジエン、1−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−ニトロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、2−ブロモ−1,3−ブタジエン、フルベン、トロポン、オシメン、フェランドレン、ミルセン、ファルネセン、センブレン、ソルビン酸、ソルビン酸エステル、ソルビン酸塩、アビエチン酸等の2個の炭素−炭素二重結合の共役構造を含む共役ジエン;1,3,5−ヘキサトリエン、2,4,6−オクタトリエン−1−カルボン酸、エレオステアリン酸、桐油、コレカルシフェロール等の3個の炭素−炭素二重結合を含む共役構造を含む共役トリエン;シクロオクタテトラエン、2,4,6,8−デカテトラエン−1−カルボン酸、レチノール、レチノイン酸等の4個以上の炭素−炭素二重結合の共役構造を含む共役ポリエンなどのポリエンが挙げられる。なお、1,3−ペンタジエン、ミルセン、ファルネセン等のように、複数の立体異性体を有するものについては、そのいずれを用いても良い。上記ラジカル重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2−フェニル−1−プロペン、2−フェニル−1−ブテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、3,5−ジフェニル−5−メチル−2−ヘプテン、2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチル−1−ヘプテン、3,5,7−トリフェニル−5−エチル−7−メチル−2−ノネン、1,3−ジフェニル−1−ブテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、3,5−ジフェニル−5−メチル−3−ヘプテン、1,3,5−トリフェニル−1−ヘキセン、2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチル−2−ヘプテン、3,5,7−トリフェニル−5−エチル−7−メチル−3−ノネン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン等の芳香族系化合物も挙げられる。
((I)残存するビニルエステルが極力除去されたエチレンとビニルエステルとの共重合体のアルコール溶液をけん化反応に用いる方法)
残存モノマーの除去率の下限としては、99モル%が好ましく、99.5モル%がより好ましく、99.8モル%がさらに好ましい。残存モノマーを除去する方法としては、例えばカラムクロマトグラフィーを用いる方法、再沈法、蒸留法等が挙げられ、蒸留法が好ましい。蒸留法で残存モノマーを除去する場合、ラシヒリングを充填した蒸留塔の上部からエチレンとビニルエステルとの共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、蒸留塔下部よりメタノール等の有機溶媒蒸気を吹き込む。これにより、蒸留塔頂部より上記有機溶媒と未反応ビニルエステルとの混合蒸気を留出させることができ、蒸留塔底部より未反応のビニルエステルが除去されたエチレンとビニルエステルとの共重合体溶液を取り出すことができる。ここで、「残存モノマーの除去率」とは、エチレンとビニルエステルとの共重合体のアルコール溶液について除去処理前後のモノマー含有量を測定し、以下の式で算出される値である。
残存モノマーの除去率(モル%)={1−(除去後の残存モノマー含有量/除去前の残存モノマー含有量)}×100
((J)けん化に用いるエチレンとビニルエステルとの共重合体に酸化防止剤を添加する方法)
上記酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤としては、これらの中でフェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤がより好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等のアクリレート系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−)ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えばトリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン等のモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジアルキル(炭素数12〜15)ホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(炭素数12〜15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイト等のジホスファイト系化合物などが挙げられる。リン系酸化防止剤としては、これらの中で、モノホスファイト系化合物が好ましい。
硫黄系酸化防止剤としては、例えばジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
エチレンとビニルエステルとの共重合体に酸化防止剤を添加する場合、酸化防止剤の含有量の下限としては、特に限定されないが、上記共重合体100質量部に対して、0.001質量部が好ましく、0.01質量部がより好ましい。一方、酸化防止剤の含有量の上限としては、特に限定されないが、上記共重合体100質量部に対して、5質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。酸化防止剤の含有量が上記下限未満であると、式(1)を満たすEVOH(I)の調製が困難となるおそれがある。逆に、酸化防止剤の含有量が上記上限を超えると、含有量の増加によるコスト上昇等に見合う効果が得られないおそれがある。
なお、上記(A)、(C)〜(J)の方法でEVOH(I)を調製する場合、ビニルエステル(酢酸ビニル)中に含まれるアセトアルデヒドの含有量は上記範囲でなくてもよい。この場合のアセトアルデヒドの含有量の下限としては、150ppmが好ましく、250ppmがより好ましく、350ppmがさらに好ましい。このように、アセトアルデヒドの含有量を上記範囲とすることで、酢酸ビニルからアセトアルデヒドを除去する工程を省略できるため、製造コストを低減できる。なお、この場合のアセトアルデヒドの含有量の上限としては、特に限定されないが、例えば1,000ppmである。
(EVOH(I)の溶融粘度(メルトフローレート))
EVOH(I)のメルトフローレートの下限としては、0.5g/10分が好ましく、1.0g/10分がより好ましく、1.4g/10分がさらに好ましい。一方、EVOH(I)のメルトフローレートの上限としては、30g/10分が好ましく、25g/10分がより好ましく、20g/10分がさらに好ましく、15g/10分が特に好ましく、10g/10分がさらに特に好ましく、1.6g/10分が最も好ましい。EVOH(I)のメルトフローレートが上記下限未満である場合、又は上記上限を超える場合、成形性及び外観性が悪化するおそれがある。
なお、メルトフローレートは、JIS−K7210(1999)に準拠し、温度190℃、荷重2,160gで測定した値である。
(有機酸のアルカリ金属塩)
有機酸のアルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、単独の金属種であってもよく、複数の金属種からなるものであってもよい。上記アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられるが、工業的入手の点からはナトリウム及びカリウムがより好ましい。(1)層1がアルカリ金属塩を含むことで、ロングラン性と多層構造体とした際の層間接着力とが向上する。
上記有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、コハク酸、リノール酸、オレイン酸等の脂肪族カルボン酸;安息香酸、サリチル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸;乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸;エチレンジアミン四酢酸などのカルボン酸やp−トルエンスルホン酸等のスルホン酸などが挙げられる。上記有機酸としては、これらの中でカルボン酸が好ましく、脂肪族カルボン酸がより好ましく、酢酸がさらに好ましい。
上記アルカリ金属塩としては、特に限定されないが、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩などが挙げられる。具体的なアルカリ金属塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、これらの中で、酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムが好ましい。
(1)層1がアルカリ金属塩を含有する場合、このアルカリ金属塩の含有量の下限としては、金属換算で、1ppmが好ましく、5ppmがより好ましく、10ppmがさらに好ましく、80ppmが特に好ましい。一方、アルカリ金属塩の含有量の上限としては、金属換算で、1,000ppmが好ましく、800ppmがより好ましく、550ppmがさらに好ましく、250ppmが特に好ましく、150ppmがさらに特に好ましい。アルカリ金属塩の含有量が上記下限より小さいと、層間接着性が低下するおそれがある。逆に、アルカリ金属塩の含有量が上記上限を超えると、(1)層1の着色の低減が困難となり、外観性が悪化するおそれがある。
(他の任意成分)
他の任意成分としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、高級脂肪族カルボン酸の多価金属塩、ヒンダードフェノール系化合物やヒンダードアミン系化合物等の熱安定剤、ポリアミドやポリオレフィン等の他の樹脂、ハイドロタルサイト化合物等が挙げられる。(1)層1の他の任意成分の合計含有量としては、通常1質量%以下である。
充填剤としては、例えばグラスファイバー、バラストナイト、ケイ酸カルシウム、タルク、モンモリロナイト等が挙げられる。
高級脂肪族カルボン酸の多価金属塩としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
なお、ゲル化対策として、例えば上記熱安定剤として例示したヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物、上記高級脂肪族カルボン酸の多価金属塩、ハイドロタルサイト化合物等を(1)層1に添加してもよい。(1)層1にゲル化対策のための化合物を添加する場合、その添加量としては、通常0.01質量%以上1質量%以下である。
[EVOH含有樹脂組成物の調製方法]
(1)層1は、各成分を含有するEVOH含有樹脂組成物により形成することができる。このEVOH含有樹脂組成物の製造方法としては、例えばEVOH(I)のペレットと共に、必要に応じてアルカリ金属塩、他の任意成分等を混合して溶融混練する方法、EVOH(I)のペレットを各成分が含まれる溶液に浸漬させる方法等が挙げられる。なお、ペレットと他の成分との混合には、例えばリボンブレンダー、高速ミキサーコニーダー、ミキシングロール、押出機、インテンシブミキサー等を用いることができる。
[樹脂組成物の溶融粘度(メルトフローレート)]
上記EVOH含有樹脂組成物のメルトフローレートの下限としては、0.5g/10分が好ましく、1.0g/10分がより好ましく、1.4g/10分がさらに好ましい。一方、上記EVOH含有樹脂組成物のメルトフローレートの上限としては、30g/10分が好ましく、25g/10分がより好ましく、20g/10分がさらに好ましく、15g/10分が特に好ましく、10g/10分がさらに特に好ましく、1.6g/10分が最も好ましい。上記EVOH含有樹脂組成物のメルトフローレートが上記下限未満である場合、又は上記上限を超える場合、成形性及び外観性が悪化するおそれがある。
(1)層1の内側に積層される他の層の合計平均厚みIと、(1)層1の外側に積層される他の層の合計平均厚みOとの厚み比(I/O)の下限としては、1/99が好ましく、30/70がより好ましい。一方、上記比(I/O)の上限としては、70/30が好ましく、55/45がより好ましい。なお、当該ブロー成形容器5の全層及び各層の平均厚みは、ミクロトームを用いて容器胴部より複数箇所の断面を切り出したサンプルについて、光学顕微鏡観察により求め、全層及びそれぞれの層について平均値を算出し、全層平均厚み及び各層の平均厚みとする。
(1)層1の平均厚みの下限としては、特に限定されるものではないが、バリア性及び機械強度等の観点から、全層平均厚みの1.0%が好ましく、1.5%がより好ましい。一方、(1)層1の平均厚みの上限としては、バリア性及び機械強度等の観点から、全層平均厚みの5.0%がより好ましく、4.5%がよりに好ましく、4.0%がさらに好ましい。
[(2)層]
(2)層2は、(1)層1の内面側及び外面側に配置され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm1/2以下である熱可塑性樹脂を主成分とする層である。この式によって算出される溶解性パラメータが11(cal/cm1/2以下である熱可塑性樹脂は、耐湿性に優れる。なお、Fedorsの式から算出される溶解性パラメータとは、(E/V)1/2で表される値である。上記式中、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)であり、E=Σeiで表される。なお、eiは蒸発エネルギーである。また、Vは分子容(cm/mol)であり、V=Σvi(vi:モル体積)で表される。
(2)層2の主成分である上記熱可塑性樹脂としては、上記溶解性パラメータが11(cal/cm1/2以下の熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、例えばポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体、ポリブテンやポリペンテン等のオレフィンの単独重合体又は共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられる。これらのうち、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン及びポリスチレンが好ましく、高密度ポリエチレンがより好ましい。
上記高密度ポリエチレンの密度の下限としては、剛性、耐衝撃性、成形性、耐ドローダウン性、耐ガソリン性等の観点から、0.93g/cmが好ましく、0.95g/cmがより好ましく、0.96g/cmがさらに好ましい。一方、上記高密度ポリエチレンの密度の上限としては、剛性、耐衝撃性、成形性、耐ドローダウン性、耐ガソリン性等の観点から、0.98g/cmが好ましい。
上記高密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)の下限としては、190℃、2,160g荷重下で、0.01g/10分が好ましい。一方、上記MFRの上限としては、0.5g/10分が好ましく、0.1g/10分がより好ましい。
なお、上記高密度ポリエチレンは、通常市販品の中から適宜選択して使用することができる。また、(2)層2は、本発明の効果を損なわない限り、(1)層1と同様の他の任意成分を含んでいてもよい。
(2)層2の平均厚みの下限としては、特に限定されるものではないが、全層平均厚みの5%が好ましく、8%がより好ましく、10%がさらに好ましい。一方、(2)層2の平均厚みの下限としては、特に限定されるものではないが、全層平均厚みの70%が好ましく、60%がより好ましく、50%がさらに好ましい。
[(3)層]
(3)層3は、(1)層1と(2)層2との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする層である。(3)層3は、(1)層1と(2)層2等の他の層との間の接着層として機能させることができる。なお、上記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物を付加反応、グラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシ基又はその無水物基を有するオレフィン系重合体のことをいう。
上記エチレン性不飽和カルボン酸及びその無水物としては、例えばモノカルボン酸、モノカルボン酸エステル、ジカルボン酸、ジカルボン酸モノエステル、ジカルボン酸ジエステル、ジカルボン酸無水物等が挙げられる。具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル等が挙げられる。これらうち、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
ベースポリマーとなる上記オレフィン系重合体としては、例えば
低密度、中密度又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテン等のポリオレフィン;
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のオレフィンとコモノマーとの共重合体などが挙げられる。上記コモノマーとしては、オレフィンと共重合し得るモノマーであれば特に限定されないが、例えばビニルエステル、不飽和カルボン酸エステル等が挙げられる。上記オレフィン系重合体としては、直鎖状低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が5質量%以上55質量%以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体、及びアクリル酸エチル含有量が8質量%以上35質量%以下であるエチレン−アクリル酸エチル共重合体が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン及び酢酸ビニル含有量が5質量%以上55質量%以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
上記カルボン酸変性ポリオレフィンは、例えばキシレン等の溶媒と、過酸化物等の触媒との存在下で、上記オレフィン系重合体に、上記エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物を付加反応又はグラフト反応により導入することにより得られる。このときのカルボン酸又はその無水物のオレフィン系重合体への付加量若しくはグラフト量(変性度)の下限としては、オレフィン系重合体に対して0.01質量%が好ましく、0.02質量%がより好ましい。一方、上記変性度の上限としては、オレフィン系重合体に対して15質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。
なお、(3)層3は、本発明の効果を損なわない範囲で、カルボン酸変性ポリオレフィン以外に、(1)層1と同様のその他の任意成分を含んでいてもよい。
(3)層3の平均厚みの下限としては、特に限定されるものではないが、全層平均厚みの0.3%が好ましく、0.6%がより好ましく、1.2%がさらに好ましい。一方、(3)層3の平均厚みの上限としては、特に限定されるものではないが、12%が好ましく、9%がより好ましく、6%がさらに好ましい。接着性樹脂層としての(3)層3の平均厚みが上記下限より小さいと接着性が低下し、上記上限を超えるとコストが上昇することとなり好ましくない。
[(4)層]
(4)層4は、EVOH(I)、上記熱可塑性樹脂、及び上記カルボン酸変性ポリオレフィンを含有する層である。また、(4)層4は、当該ブロー成形容器5の製造工程における(1)層1、(2)層2及び(3)層3の回収物を用いて形成されることが好ましい。回収物としては、当該ブロー成形容器5の製造工程において発生するバリ、検定の不合格品等が挙げられる。当該ブロー成形容器5がこのような回収層としての(4)層4をさらに有することで、かかるバリや、検定の不合格品を再利用することによって、当該ブロー成形容器5の製造時に使用される樹脂のロスを低減することが可能となる。
(4)層4は、上述の(2)層2の代わりとして用いることも可能であるが、一般的には(2)層2よりも(4)層4の機械的強度が低くなることが多いため、(2)層2と(4)層4とを積層して用いることが好ましい。当該ブロー成形容器5が外部から衝撃を受けた場合には、容器に応力の集中が生じ、応力集中部において衝撃に対する圧縮応力が容器内層側で働き、破損が起こる可能性がある観点から、強度的に弱い(4)層4は(1)層1よりも外層側に配置することが好ましい。また、バリの発生が多い場合等、多量の樹脂をリサイクルする必要がある場合は、(1)層1の両側に(4)層4として回収層を配置することもできる。
(4)層4におけるEVOH(I)の含有量としては、9.0質量%以下が好ましい。(4)層4におけるEVOH(I)の含有量が9質量%を超えると(2)層2との界面でクラックが発生し易くなり、そのクラックを起点として当該ブロー成形容器5全体の破壊が起こるおそれがある。なお、(4)層4におけるEVOH(I)の含有量の下限としては、例えば3.0質量%である。
(4)層4の平均厚みの下限としては、特に限定されるものではないが、全層平均厚みの10%が好ましく、20%がより好ましく、30%がさらに好ましい。一方、(4)層4の平均厚みの上限としては、特に限定されるものではないが、60%が好ましく、55%がより好ましく、50%がさらに好ましい。
<ブロー成形容器の製造方法>
当該ブロー成形容器5は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を主成分とする樹脂組成物を用いてブロー成形する工程を有し、上記EVOH(I)が、示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器を備えるゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、窒素雰囲気下、220℃、50時間熱処理後に測定した分子量が、上記式(1)を満たす製造方法により製造することが好ましい。具体的には、(1)層1を形成する乾燥EVOH含有樹脂組成物ペレット、(2)層2を形成する高密度ポリエチレン等、(3)層3を形成する接着性樹脂、及び(4)層4を形成する回収樹脂等を用い、ブロー成形機にて100℃以上400℃以下の温度で、例えば(2)層2/(3)層3/(1)層1/(3)層3/(4)層4/(2)層2(以下、(内)2/3/1/3/4/2(外)のように表す)の4種6層パリソンを用いてブロー成形し、金型内温度10℃以上30℃以下で10秒以上30分以下冷却し、全層平均厚み300μm以上10,000μm以下の中空容器を成形することができる。
<その他の実施形態>
当該ブロー成形容器は、上述の図1の形態に限定されず、少なくとも(1)層を備えていればよい。具体的には、回収層としての(4)層等を備えなくてもよい。さらに、他の層が積層されてもよい。また、接着性がよい樹脂の組合せを選択することで、接着層としての(3)層を省略してもよい。
当該ブロー成形容器が(2)層を備える場合、(2)層を最外層に配置することが好ましい。すなわち、容器内部表面から容器外部表面に向かって、(内)2/3/1/3/2(外)の配置とすることが耐衝撃性の観点から好ましい。また、回収層等の(4)層を含む場合には、(内)2/3/1/3/4/2(外)、(内)2/4/3/1/3/4/2(外)、(内)4/3/1/3/4(外)の配置が好ましく、(内)2/3/1/3/4/2(外)、(内)2/4/3/1/3/4/2(外)の配置がより好ましい。なお、(2)層の代わりに(4)層を備える構成でもよく、(1)層〜(4)層がそれぞれ複数用いられている配置の場合、それぞれの層を構成する樹脂は同一でも異なっていてもよい。
<燃料容器>
当該燃料容器は、当該ブロー成形容器を備える。当該燃料容器は、フィルター、残量計、バッフルプレート等を備えていてもよい。当該燃料容器は、当該ブロー成形容器を備えることで、外観性、ガスバリア性、耐油性等にも優れるため燃料容器として好適に用いられる。ここで、燃料容器とは、自動車、オートバイ、船舶、航空機、発電機、工業用若しくは農業用機器等に搭載された燃料容器、又はこれら燃料容器に燃料を補給するための携帯用燃料容器、さらには燃料を保管するための容器を意味する。また、燃料としては、ガソリン、特にメタノール、エタノール又はMTBE等をブレンドした含酸素ガソリン等が代表例として挙げられるが、その他、重油、軽油、灯油等も含まれるものとする。これらのうち、当該燃料容器は含酸素ガソリン用燃料容器として特に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[EVOHの合成]
[合成例1]EVOHペレットの合成
(エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合)
ジャケット、攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口及び開始剤添加口を備えた250L加圧反応槽に、酢酸ビニルを83kg、メタノール(以下、MeOHと称する)を14.9kg仕込み、60℃に昇温した後、反応液に窒素ガスを30分間バブリングして反応槽内を窒素置換した。次いで反応槽圧力(エチレン圧力)が4.0MPaとなるようにエチレンを導入した。反応槽内の温度を60℃に調整した後、開始剤として12.3gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社の「V−65」)をメタノール溶液として添加し、重合を開始した。重合中はエチレン圧力を4.0MPaに、重合温度を60℃に維持した。5時間後、酢酸ビニルの重合率が40%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽からエチレンを排気し、さらに反応液に窒素ガスをバブリングしてエチレンを完全に除去した。次いで減圧下で未反応の酢酸ビニルを除去した後、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下EVAcと称する)を得た。合成に使用する酢酸ビニルは下記表1に示す含有量のアセトアルデヒドを添加したものを用いた。
(けん化)
得られたEVAc溶液にメタノールを加えて濃度が15質量%となるように調整した。このEVAcのメタノール溶液253.4kg(溶液中のEVAc 38kg)に、76.6L(EVAc中の酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.4)のアルカリ溶液(水酸化ナトリウムを10質量%含むメタノール溶液)を添加して60℃で4時間撹拌することにより、EVAcのけん化を行った。反応開始から6時間後、酢酸9.2kg及び水60Lを添加して上記反応液を中和し、反応を停止させた。
(洗浄)
中和された反応液を反応器からドラム缶に移して16時間室温で放置し、ケーキ状に冷却固化させた。その後、遠心分離機(国産遠心器株式会社の「H−130」回転数1200rpm)を用いて、上記ケーキ状の樹脂を脱液した。次に、遠心分離機の中央部に、上方よりイオン交換水を連続的に供給しながら洗浄し、上記樹脂を水洗する工程を10時間行った。洗浄開始から10時間後の洗浄液の伝導度は、30μS/cm(東亜電波工業株式会社の「CM−30ET」で測定)であった。
(造粒)
このようにして得られた粉末状のEVOHを乾燥機を用いて60℃、48時間乾燥した。乾燥した粉末状のEVOH20kgを43Lの水/メタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=4/6)に80℃で12時間、撹拌しながら溶解させた。次に、撹拌を止めて溶解槽の温度を65℃に下げて5時間放置し、上述のEVOHの水/メタノール溶液の脱泡を行った。そして、直径3.5mmの円形の開口部を有する金板から、5℃の水/メタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=9/1)中に押出してストランド状に析出させ、切断することで直径約4mm、長さ約5mmの含水EVOHペレットを得た。
(精製)
得られたペレットを遠心分離機で脱液し、さらに大量の水を加え脱液する操作を繰り返し行って洗浄し、EVOHのペレットを得た。得られたEVOHのケン化度は99モル%であった。
[合成例2〜4及び比較合成例1]
酢酸ビニルのアセトアルデヒド含有量及びケン化度が表1に示すものになるようにした以外は合成例1と同様にしてEVOHを合成した。
[合成例5〜8及び比較合成例2]
合成例1〜4及び比較合成例1で得られたEVOHのペレット20kgを酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄した後、酢酸ナトリウムを含む水溶液で浸漬処理を行った。この浸漬処理用水溶液と樹脂組成物チップとを分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で4時間乾燥を行い、さらに100℃で16時間乾燥を行って、樹脂組成物(乾燥EVOHペレット)を得た。この乾燥EVOHペレットを用い、以下に説明する方法にて、表1に示すEVOHのけん化度、エチレン含有量、アルカリ金属含有量等の測定を行った。
[EVOHのエチレン含有量及びけん化度]
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS−Z8801準拠)でふるい分けした。このふるいを通過したEVOH粉末5gを100gのイオン交換水中に浸漬し、85℃で4時間撹拌した後、脱液して乾燥する操作を二回行った。得られた洗浄後の粉末EVOHを用いて、下記の測定条件でH−NMRの測定を行い、下記解析方法でエチレン含有量及びけん化度を求めた。
(測定条件)
装置名 :超伝導核磁気共鳴装置(日本電子株式会社の「Lambda500」)
観測周波数 :500MHz
溶媒 :DMSO−d6
ポリマー濃度 :4質量%
測定温度 :40℃及び95℃
積算回数 :600回
パルス遅延時間:3.836秒
サンプル回転速度:10Hz〜12Hz
パルス幅(90°パルス):6.75μsec
(解析方法)
40℃での測定では、3.3ppm付近に水分子中の水素のピークが観測され、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素のピークのうちの、3.1ppm〜3.7ppmの部分と重なった。一方、95℃での測定では、上記40℃で生じた重なりは解消するものの、4ppm〜4.5ppm付近に存在するEVOHのビニルアルコール単位の水酸基の水素のピークが、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素のピークのうちの、3.7ppm〜4ppmの部分と重なった。すなわち、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素(3.1ppm〜4ppm)の定量については、水又は水酸基の水素のピークとの重複を避けるために、3.1ppm〜3.7ppmの部分については、95℃の測定データを採用し、3.7ppm〜4ppmの部分については40℃の測定データを採用し、これらの合計値として当該メチン水素の全量を定量した。なお、水又は水酸基の水素のピークは測定温度を上昇させることで高磁場側にシフトすることが知られている。従って、以下のように40℃及び95℃の両方の測定結果を用いて解析した。上記の40℃で測定したスペクトルより、3.7ppm〜4ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I)及び0.6ppm〜1.8ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I)を求めた。
一方、95℃で測定したスペクトルより、3.1ppm〜3.7ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I)、0.6ppm〜1.8ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I)及び1.9ppm〜2.1ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I)を求めた。ここで、0.6ppm〜1.8ppmのケミカルシフトのピークは、主にメチレン水素に由来するものであり、1.9ppm〜2.1ppmのケミカルシフトのピークは、未けん化の酢酸ビニル単位中のメチル水素に由来するものである。これらの積分値から下記式(3)によりエチレン含有量を計算し、下記式(4)によりけん化度を計算した。
Figure 2020023364
Figure 2020023364
[アルカリ金属含有量]
アルカリ金属含有量の測定は、分光分析装置を用いて定量した。具体的には、乾燥EVOHペレット0.5gをアクタック社のテフロン(登録商標)製耐圧容器に添加し、硝酸(和光純薬工業社の精密分析用)5mLを添加した。30分放置後、ラプチャーディスク付きキャップリップにて容器に蓋をし、マイクロウェーブ高速分解システム(アクタック社の「スピードウェーブ MWS−2」)にて150℃、10分、次いで180℃、10分の処理を行って乾燥EVOHペレットを分解させた。なお、上述の処理では乾燥EVOHペレットの分解が完了できていない場合、処理条件を適宜調節した。得られた分解物を10mLのイオン交換水で希釈し、全液を50mLのメスフラスコに移しとり、イオン交換水で定容することで分解溶液を得た。ICP発光分光分析装置(パーキンエルマージャパン社の「Optima 4300 DV」)を用い、上記分解溶液をNaの波長589.592nmで定量分析することで、アルカリ金属含有量を測定した。
[溶融粘度(メルトフローレート)]
溶融粘度(メルトフローレート)は、JIS−K7210(1999)に準拠し、温度190℃、荷重2,160gで測定した。
[EVOHの分子量の測定]
(測定サンプルの準備)
測定サンプルは、窒素雰囲気下、EVOHを220℃で50時間加熱することで作製した。
(GPC測定)
GPC測定は、VISCOTECH社の「GPCmax」を用いて行った。分子量は、示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器で検出されるシグナル強度に基づいて算出した。示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器としては、VISCOTECH社の「TDA305」及び「UV Detector2600」を用いた。この吸光度検出器の検出用セルとしては、光路長が10mmのものを用いた。GPCカラムとしては、昭和電工株式会社の「GPC HFIP−806M」を用いた。また、解析ソフトとしては、装置付属の「OmniSEC(Version 4.7.0.406)」を用いた。
(測定条件)
測定サンプルを採取し、トリフルオロ酢酸ナトリウム20mmol/Lを含有するヘキサフルオロイソプロパノール(以下「HFIP」という)に溶解し、0.100wt/vol%溶液を調製した。測定には、0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した溶液を用いた。測定サンプルの溶解は、室温にて一晩静置することで行った。
移動相には、20mmol/Lトリフルオロ酢酸ナトリウム含有HFIPを用いた。移動相の流速は1.0mL/分とした。試料注入量は100μLとし、GPCカラム温度40℃にて測定した。
なお、PVAの粘度平均重合度が2,400を超える試料は、適宜希釈した試料(100μL)を用いてGPC測定を行った。実測値から下記式(5)により、試料濃度が1.00mg/mLの場合における吸光度を算出した。α(mg/mL)は希釈された試料の濃度である。

吸光度=(1.00/α)×吸光度の測定値 ・・・(5)
(検量線の作成)
標品として、Agilent Technologies社のポリメタクリル酸メチル(以下「PMMA」と略記する)(ピークトップ分子量:1,944,000、790,000、467,400、271,400、144,000、79,250、35,300、13,300、7,100、1,960、1,020又は690)を測定し、示差屈折率検出器及び吸光度検出器のそれぞれについて、溶出容量をPMMA分子量に換算するための検量線を作成した。各検量線の作成には、上記解析ソフトを用いた。なお、本測定においてはPMMAの測定において、1,944,000及び271,400の両分子量の標準試料同士のピークが分離できるカラムを用いた。
なお、示差屈折率検出器から得られるピーク強度は、「mV」で表され、標準サンプルとしてAmerican Polymer Standard Corp.社のPMMAサンプル(PMMA85K:重量平均分子量85,450、数平均分子量74,300、固有粘度0.309)を1.000mg/mL濃度として用いた場合のピーク強度は358.31mVであった。
また、紫外可視吸光度検出器から得られるピーク強度は吸光度(アブソーバンスユニット)で表され、紫外可視吸光度検出器の吸光度は解析ソフトにおいて、1アブソーバンスユニット=1,000mVに変換した。
Figure 2020023364
<EVOH含有樹脂組成物の評価>
このようにして得られた各EVOH含有樹脂組成物について、以下のように評価した。評価結果を表2に合わせて示す。また、本実施例における各定量は、以下の方法を用いて行った。
[モータートルク変動]
乾燥樹脂組成物ペレット60gをラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所の「20R200」二軸異方向)100rpm、260℃で混練し、混練開始から5分後のトルク値が1.5倍になるまでの所要時間を測定し、以下の評価基準で評価した。
「良好(A)」:60分以上
「やや良好(B)」:40分以上60分未満
「不良(C)」:40分未満
[回収樹脂の調製]
上記乾燥EVOH樹脂ペレット4質量部、高密度ポリエチレン(三井化学株式会社の「HZ8200B」、190℃、2,160g荷重におけるMFR=0.01g/10分)86質量部、及び接着性樹脂(三井化学株式会社の「ADMER GT−6A」、190℃、2,160gにおけるMFR=0.94g/10分)10質量部をドライブレンド後、二軸押出機(株式会社東洋精機製作所の「2D25W」;25mmφ、ダイ温度220℃、スクリュー回転数100rpm)を用い、窒素雰囲気下で押出しペレット化を行った。さらにモデル回収樹脂を得るために、この押出ペレットをさらに同押出機及び同条件で押出しペレット化を実施、同作業を4回(押出機でのブレンドは計5回)実施し回収樹脂を得た。
<ブロー成形容器の製造>
[実施例1〜4、比較例1]
上記乾燥EVOH樹脂ペレット、上記高密度ポリエチレン、上記接着性樹脂、及び上記回収樹脂を用い、鈴木製工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で、(内側)高密度ポリエチレン/接着性樹脂/EVOH/接着性樹脂/回収樹脂/樹脂組成物(外側)の4種6層パリソンを2時間放流し、2時間加熱状態のまま運転を停止させた。その後運転を再開し、各所定時間後に製造したブロー成形容器を評価した。なお、ブロー成形容器の製造においては、金型内温度15℃で20秒間冷却し、全層平均厚み1,000μm((内側)高密度ポリエチレン/接着性樹脂/EVOH/接着性樹脂/回収樹脂/樹脂組成物(外側)=(内側)340/50/40/50/400/120μm(外側))の3Lタンクを成形した。このタンクの底面平均直径は100mm、平均高さは400mmであった。
<ブロー成形容器の評価>
このようにして得られた各ブロー成形容器について、以下のように評価した。評価結果を表2に合わせて示す。
[外観性の評価]
再立ち上げ40分後に成形した3Lタンクについて、目視にてストリーク及び着色を下記基準にて評価し、外観性の評価とした。
(ストリークの評価基準)
「良好(A)」:ストリークは認められなかった。
「やや良好(B)」:ストリークが確認された。
「不良(C)」:多数のストリークが確認された。
(着色の評価基準)
「良好(A)」:無色
「やや良好(B)」:黄変
「不良(C)」:著しく黄変
[耐衝撃性評価]
再立ち上げ20分後、40分後、及び10時間後にブロー成形した3Lタンクに、プロピレングリコールを2.5L充填し、開口部をポリエチレン40μm/アルミ箔12μm/ポリエチレンテレフタレート12μm構成のフィルムで熱シールして蓋をした。このタンクを−40℃で3日間冷却し、開口部が上になるように6mの高さから落下させ、破壊した個数で評価した(n=10)。再立ち上げ20分後の耐衝撃性がセルフパージ性の指標となる。
(耐衝撃性の評価基準)
「良好(A)」:3個未満
「やや良好(B)」:3個以上6個未満
「不良(C)」:6個以上
Figure 2020023364
表2に示すように、本発明のブロー成形容器は、ストリークの発生及び着色が抑制され、外観性等に優れることがわかった。また、本発明のブロー成形容器は、成形装置の再立ち上げ20分後に成形されたものであっても耐衝撃性に優れていた。本発明のブロー成形容器は、セルフパージ性に優れるEVOH含有樹脂組成物を用いていることで、再立ち上げからわずかな時間で、耐衝撃性を低減させるゲル状ブツ等の発生が起こらなくなることがわかった。
一方、EVOH(I)が上記特定の条件を満たさない比較例は、ストリークの発生及び着色の抑制性、並びに耐衝撃性等が低下することが分かる。
本発明のブロー成形容器は、EVOHの特性としての十分なガスバリア性、耐油性を有することに加えて、(1)層が上記特定の条件を満たすエチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を含有することで、溶融成形によるゲル状ブツ、ストリーク等の欠陥の発生及び着色が抑制されるため、外観性に優れる。また、当該ブロー成形容器は、(1)層が上記特定の条件を満たすエチレン−ビニルアルコール共重合体(I)を含有することで、製造工程におけるセルフパージ性にも優れるため、当該ブロー成形容器の製造コストを低減することができる。そのため、当該ブロー成形容器は、様々な用途に用いられ、特に燃料容器に好適に用いられる。
1 (1)層(エチレン−ビニルアルコール共重合体層)
2 (2)層(熱可塑性樹脂層)
3 (3)層(カルボン酸変性ポリオレフィン層)
4 (4)層(エチレン−ビニルアルコール共重合体、熱可塑性樹脂、カルボン酸変性ポリオレフィンを含有する層)
5 ブロー成形容器
6 容器内部表面
7 容器外部表面

Claims (10)

  1. エチレンとビニルエステルとの共重合体をけん化して得られるエチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分とする第1層を備えるブロー成形容器であって、
    上記エチレン−ビニルアルコール共重合体が、
    示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器を備えるゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、窒素雰囲気下、220℃、50時間熱処理後に測定した分子量が、下記式(1)、(i)及び(ii)で表される条件を満たし、
    上記第1層が有機酸のアルカリ金属塩をさらに含有し、
    上記第1層におけるアルカリ金属塩の含有量が金属換算で10ppm以上250ppm以下であることを特徴とするブロー成形容器。
    (Ma−Mb)/Ma<0.10 ・・・(1)
    Mb≧50,000 ・・・(i)
    Mc≧48,000 ・・・(ii)
    Ma:示差屈折率検出器で測定されるピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
    Mb:紫外可視吸光度検出器で測定される波長220nmでの吸収ピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
    Mc:紫外可視吸光度検出器で測定される波長280nmでの吸収ピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
  2. 上記エチレン−ビニルアルコール共重合体が、
    示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器を備えるゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、窒素雰囲気下、220℃、50時間熱処理後に測定した分子量が、下記式(2)で表される条件をさらに満たす請求項1に記載のブロー成形容器。
    (Ma−Mc)/Ma<0.45 ・・・(2)
  3. 上記第1層におけるアルカリ金属塩の含有量が金属換算で10ppm以上150ppm以下である請求項1又は請求項2に記載のブロー成形容器。
  4. 上記ビニルエステルが酢酸ビニルであり、この酢酸ビニルのアセトアルデヒドの含有量が100ppm未満である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のブロー成形容器。
  5. 上記第1層の一方の面側及び他方の面側に配置され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm1/2以下である熱可塑性樹脂を主成分とする一対の第2層、及び
    上記第1層と一対の第2層との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする一対の第3層
    をさらに備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のブロー成形容器。
  6. 上記エチレン−ビニルアルコール共重合体、上記熱可塑性樹脂及び上記カルボン酸変性ポリオレフィンを含有する第4層を備える請求項5に記載のブロー成形容器。
  7. 上記第4層が、ブロー成形容器の製造工程における上記第1層、第2層及び第3層の回収物を用いて形成される請求項6に記載のブロー成形容器。
  8. 上記第1層の平均厚みが全層平均厚みの5.0%以下であり、かつ
    上記第4層におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量が9.0質量%以下である請求項6又は請求項7に記載のブロー成形容器。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のブロー成形容器を備える燃料容器。
  10. エチレンとビニルエステルとの共重合体をけん化して得られるエチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分とする樹脂組成物を用いてブロー成形する工程を有し、
    上記エチレン−ビニルアルコール共重合体が、
    示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器を備えるゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、窒素雰囲気下、220℃、50時間熱処理後に測定した分子量が、下記式(1)、(i)及び(ii)で表される条件を満たし、
    上記樹脂組成物が有機酸のアルカリ金属塩をさらに含有し、
    上記樹脂組成物におけるアルカリ金属塩の含有量が金属換算で10ppm以上250ppm以下であるブロー成形容器の製造方法。
    (Ma−Mb)/Ma<0.10 ・・・(1)
    Mb≧50,000 ・・・(i)
    Mc≧48,000 ・・・(ii)
    Ma:示差屈折率検出器で測定されるピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
    Mb:紫外可視吸光度検出器で測定される波長220nmでの吸収ピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
    Mc:紫外可視吸光度検出器で測定される波長280nmでの吸収ピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
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