JP2020023192A - プリンター - Google Patents

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Abstract

【課題】カッターの可動刃用開口部から侵入した液体による回路基板などの故障防止を図り、且つ、プリンターの小型化および軽量化を図ること。【解決手段】携帯型プリンター1に搭載されたカッター10は、固定刃11と、可動刃ユニット12を備える。可動刃ユニット12の下方および側方は、可動刃用開口部13fを除き、防水ケース13で囲まれる。防水ケース13の上部開口は、上ケース4およびその裏面から突出する防水壁4aで覆われる。防水ケース13の第1側壁13bの上端と上ケース4の間に、固定刃11に向けて可動刃31が出入りする可動刃用開口部13fが設けられる。記録紙排出口8から侵入した液体が可動刃用開口部13fに流れ込んだ場合でも、液体は防水ケース13内に保持されて回路基板22などの電子部品に掛からない。防水ケース13には、液体を排出する排水路90が形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、可動刃を固定刃に対して移動させて媒体を切断するカッターを搭載するプリンターに関する。
固定刃と、可動刃と、固定刃に対して可動刃を直線的に進退させるカッター駆動機構を有するカッターが特許文献1に記載されている。同文献のカッター駆動機構は、駆動源となるモーターと、モーターからの駆動力が伝達される2つのカッター駆動歯車と、可動刃を進退方向に案内するガイドを備える。可動刃は、固定刃と重なる切断位置と、固定刃との間に隙間が形成される待機位置との間を移動する。
また、特許文献2には可動刃をその一端を中心として回動させる鋏式のカッターを搭載したプリンターが記載されている。特許文献2のカッターは、携帯型のプリンターにおいて、紙などの印刷媒体を排出する排出口に設置され、排出される印刷媒体の切断に用いられる。
特開平10−217182号公報 特開2005−88350号公報
プリンターに水などの液体が掛かると、印刷媒体を排出する排出口からプリンター内部に液体が侵入するおそれがある。特に、排出口の近くにカッターを配置した場合には、カッターの可動刃が出入りする可動刃用開口部が排出口の近くにあるため、ここからプリンター内部に液体が侵入するおそれが高い。液体の侵入を防止するためには、排出口や可動刃用開口部を開閉蓋で塞ぐ手段がある。しかしながら、開閉蓋を設けても、印刷媒体を切断するときには蓋が開くため、その間は液体の侵入を防止できない。従って、防水性能が十分とはいえない。
プリンターの内部に侵入した水等の液体が回路基板などの電子部品に掛かると、電子部品が故障するおそれがある。これを回避するためには、回路基板などの電子部品が配置された空間と、液体が侵入する空間とを防水壁で仕切るという手段がある。例えば、特許文献2では、排出口(紙出口)の直下の直下領域とその後方に位置する領域(防滴領域)とが防滴壁によって仕切られている。このため、排出口から水などが侵入しても、防滴領域には水が浸入しない。従って、基板等に水が掛かって故障することを回避できる。
しかしながら、特許文献2では、カッターの可動刃用開口部からの液体の侵入を防ぐ手段は設けられていない。従って、可動刃用開口部から侵入した液体がカッターを経由して防滴領域内へ流れ込むおそれがあり、防水性能が十分とはいえない。回路基板の周囲を全て防水壁で囲んでしまえば回路基板に水がかかることを回避できるが、このためには防水壁を配置するスペースを広く確保しなければならず、重量も増加する。従って、プリンターの小型化、軽量化に不利である。
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、カッターの可動刃用開口部から侵入した液体による回路基板などの電子部品の故障防止と、プリンターの小型化および軽量化を両立することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は、印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドによる印刷位置を通過した記録媒体を切断するカッターと、前記カッターによる切断位置を通過した前記記録媒体を排出する媒体排出口を備える外装ケースと、を有するプリンターであって、前記カッターは、固定刃および可動刃と、前記固定刃に対して前記可動刃を進退させるカッター駆動機構と、前記可動刃および前記カッター駆動機構を収容しており、前記可動刃が出入りする可動刃用開口部が設けられた可動刃ユニットケースと、を備え、前記媒体排出口を基準として前記固定刃および前記可動刃が位置する方向を第1方向とするとき、前記可動刃および前記カッター駆動機構の少なくとも前記第1方向および前記第1方向と交差する方向は、前記可動刃用開口部を除き、前記可動刃ユニットケースで囲まれることを特徴とする。
本発明は、このように、印刷が施された記録媒体をカッターで切断できる。そして、カッターの可動刃ユニットケースは、可動刃用開口部を除き、少なくとも媒体排出口と逆の側である第1方向、および第1方向と交差する方向で可動刃およびカッター駆動機構を囲んでいる。従って、可動刃用開口部から可動刃ユニットケース内に液体が侵入した場合に、可動刃ユニットケース内で液体を保持でき、可動刃ユニットに対して媒体排出口と逆の側に位置する部品に液体が掛かることを防止あるいは抑制できる。よって、可動刃ユニットケースの外部(特に、可動刃ユニットケースに対して媒体排出口と逆の側)に回路基板などの電子部品が配置された場合に、これらに水などの液体が掛かって故障や劣化などの不具合が発生するおそれが少ない。また、回路基板などの電子部品を囲むように防水壁を設置する必要がない。従って、プリンターの小型化、軽量化に有利である。
本発明において、前記可動刃ユニットケースは、前記可動刃ユニットケース内の液体を排出する排水路を備えることが望ましい。このようにすると、可動刃用開口部から可動刃ユニット内に侵入した液体を決まった位置に排出できる。従って、電子部品などに掛かるおそれの低い経路で液体を排出できる。
本発明において、前記外装ケースは、前記排水路から前記外装ケース内に排出される前記液体を外部に排出する排水口を備えることが望ましい。このようにすると、可動刃ユニットから排出された液体を電子部品などに掛かるおそれの低い経路でプリンターの外部に排出できる。従って、外装ケース内で電子部品が設置されたエリアに液体が侵入するおそれが少ない。
本発明において、前記可動刃ユニットケースの少なくとも一部が、前記外装ケースと一体に形成されていることが望ましい。このようにすると、可動刃ユニットケースを外装ケースと別体にする場合と比較して、外装ケース内における可動刃ユニットケースの設置スペースを小さくすることができる。従って、プリンターの小型化、軽量化に有利である。
本発明において、前記可動刃ユニットケースは、前記可動刃および前記カッター駆動機構に対して前記第1方向に位置する第1壁、および、前記第1壁の外周縁から前記第1方向と逆方向に立ち上がる周壁の一部を備える第1ケースと、前記可動刃および前記カッター駆動機構に対して前記第1方向と逆方向に位置する第2壁を備える第2ケースと、を有する構成にすることができる。このようにすると、可動刃用開口部から侵入した液体を第1ケース内に保持できる。また、第1ケースの開口を第2ケースで塞ぐことができる。従って、可動刃ユニットケース内に液体が侵入した状態でプリンターを傾けたとしても、可動刃ユニットケースから液体が流出するおそれが少ない。よって、可動刃ユニットケース外に配置された電子部品に液体が掛かるおそれをより少なくすることができる。
本発明において、前記カッター駆動機構を駆動するモーターを有し、前記モーターは、前記第1ケースに形成された装着穴にシール部材を介して装着されていることが望ましい。このようにすると、可動刃ユニットケースによる防水機能を損なうことなく、第1ケースの装着穴にモーターを装着できる。従って、可動刃ユニットケースおよびモーターをコンパクトに配置でき、プリンターの小型化に有利である。
本発明の実施の形態に係る携帯型プリンターの斜視図である。 図1の携帯型プリンターの断面図およびその部分拡大図である。 ケースを取り外した携帯型プリンターを上方から見た斜視図である。 下ケースおよびバッテリー装着部を取り外した携帯型プリンターを下方から見た斜視図である。 カッター駆動機構の説明図である。 可動刃、カッター駆動板、および、カッターフレームの説明図である。 カッターおよび防水ケースの説明図である。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる携帯型プリンターを説明する。
(全体構成)
図1は本発明の実施の形態に係る携帯型プリンターの斜視図であり、図2(a)は図1の携帯型プリンターの断面図(C−C断面図)、図2(b)はその部分拡大図(図2(a)の領域Dの拡大図)である。以下の説明においては、図1に示すように、便宜上、携帯型プリンター1の幅方向をX、前後方向をY、上下方向をZとする。また、携帯型プリンター1の左右は、携帯型プリンター1を、その前方から見た場合における左右とする。
図1に示すように、携帯型プリンター1は全体として直方体形状をしたプリンターケース2を有する。プリンターケース2(外装ケース)は、上方に開口した下ケース3と、下ケース3における前側部分に上側から被せた上ケース4と、下ケース3における後側部分に上側から被せた開閉カバー5を備える。開閉カバー5は、その後端部を中心として、上方に開けることができる。図2(a)に示すように、携帯型プリンター1は、開閉カバー5の下方にロール紙収納部7を備える。開閉カバー5を開けると、ロール紙収納部7が開放状態となり、ロール紙収納部7への記録紙ロール100の装填が可能となる。
開閉カバー5と上ケース4の間には、幅方向Xに延びる記録紙排出口8が上方に開いている。開閉カバー5において記録紙排出口8を規定する前端縁部分の内側には、カッター10を構成する固定刃11が取り付けられている。
図1に示すように、下ケース3の前側の右側面部分には開口部15が設けられている。また、下ケース3には、この開口部15を開閉する第2の開閉カバー16が取り付けられている。開口部15は、携帯型プリンター1の前側部分に設けられたバッテリー装着部17に連通する。バッテリー装着部17には、開口部15を介して直方体形状のバッテリー18が装着される。図2(a)に示すように、バッテリー装着部17の下方には、回路基板22が配置されている。
図3は上ケース4および下ケース3を取り外した携帯型プリンター1を上方から見た斜視図であり、開閉カバー5の上面外装板21およびロール紙収納部7を省略して示す。また、図4は下ケース3およびバッテリー装着部17を取り外した携帯型プリンター1を下方から見た斜視図である。図2〜図4に示すように、携帯型プリンター1の前側部分におけるバッテリー装着部17の上方には、固定刃11とともにカッター10を構成する可動刃ユニット12が配置されている。可動刃ユニット12は、その下側が箱型の防水ケース13により覆われ、上側が上ケース4および後述する防水壁4aにより覆われている。
図2(a)に示すように、前後方向Yにおけるバッテリー装着部17とロール紙収納部7の間には、印刷ヘッド23が後方(ロール紙収納部7側)を向く状態に配置されている。印刷ヘッド23は、例えば、サーマルヘッドである。また、前後方向Yにおけるバッテリー装着部17とロール紙収納部7の間には、ロール紙収納部7から、印刷ヘッド23による印刷位置Aおよびカッター10によるカット位置Bをこの順番に経由して記録紙排出口8に至る記録紙搬送路25が形成されている。
印刷ヘッド23のヘッド面に対しては、後側から、幅方向Xに掛け渡したプラテンローラー26が対峙する。プラテンローラー26は開閉カバー5に搭載されている。開閉カバー5を開けると、印刷ヘッド23からプラテンローラー26が離れて記録紙搬送路25が開放される。従って、記録紙ロール100から引き出した記録紙101を記録紙搬送路25にセットすることが可能となる。プラテンローラー26は、バッテリー18からの電力によって駆動される不図示の紙送りモーターによって回転駆動される。プラテンローラー26は、記録紙搬送路25に沿って記録紙ロール100から繰り出される記録紙101を搬送する搬送機構27を構成する。記録紙搬送路25を搬送される記録紙101は、印刷位置Aを通過する際に、印刷ヘッド23により印刷が施される。また、記録紙101において印刷が施された印刷済み部分がカット位置Bを通過すると、可動刃ユニット12が駆動され、印刷済み部分がカッター10により切断される。
(カッター)
図2、図3に示すように、カッター10は、固定刃11と、固定刃11と対峙する可動刃ユニット12を備える。図2(b)の部分拡大図は、カッター10を構成する可動刃ユニット12の断面構成を拡大して示したものである。可動刃31の進退方向は携帯型プリンター1の前後方向Yである。固定刃11は開閉カバー5に固定され、可動刃ユニット12は上ケース4の裏側(下側)に固定されている。後述するように、可動刃ユニット12は、可動刃ユニット12を下側から覆う防水ケース13と、上ケース4の防水ケース13に対峙する部分と、上ケース4の裏面から下側に突出する防水壁4aによって構成される可動刃ユニットケース14に収容される。
図3に示すように、固定刃11は板状であり、左右対称の平面形状を備える。固定刃11は、前側(可動刃ユニット12の側)の端縁の中央において幅方向Xに直線状に延びる刃部11aを備える。また、固定刃11は、刃部11aの幅方向Xの両側で可動刃ユニット12の側に突出する被乗り上げ部37を備える。さらに、固定刃11は、各被乗り上げ部37の幅方向Xの外側で被乗り上げ部37よりもさらに可動刃ユニット12の側に突出する固定刃側突部38を備える。
可動刃31は板状であり、左右対称の平面形状を備える。可動刃31は、後側(固定刃11の側)の端縁に、その幅方向Xの中央が前方(固定刃11から離れる方向)に後退したV字形状の刃部31aを備える。また、可動刃31は、刃部31aの両側で固定刃11の側に突出する乗り上げ部41を備える。各乗り上げ部41は、可動刃31が待機位置31Aにある状態では固定刃11の被乗り上げ部37と対峙する。
可動刃ユニット12は、可動刃31、可動刃31を固定刃11に接近する方向および離間する進退方向に移動させるカッター駆動機構32(図5(a)(b)参照)、カッター駆動機構32の駆動源となるカッターモーター33(図4、図5(a)参照)、可動刃31の位置を検出するための位置検出機構34(図5(b)参照)、および、これらを搭載するユニットフレーム35(図2(b)、図5(a)(b)参照)を備える。
カッターモーター33はDCモーターである。カッターモーター33が駆動されてカッター駆動機構32が動作すると、図3に示すように、可動刃31は、その刃部31aと固定刃11の刃部11aとの間に隙間が形成された待機位置31Aと、その刃部31aが固定刃11の刃部11aと重なる切断位置31Bとの間を往復する。可動刃31が待機位置31Aから切断位置31Bに移動する途中で、可動刃31の乗り上げ部41が固定刃11の被乗り上げ部37に乗り上げる。
図5はカッター駆動機構32の説明図であり、図5(a)は、可動刃ユニット12から可動刃31を取り除いた場合の斜視図であり、図5(b)は可動刃ユニット12から可動刃31およびカッターフレーム53を取り除いた場合の平面図である。また、図6は、可動刃31、カッター駆動板54、および、カッターフレーム53の説明図であり、図6(a)はこれらを上方から観た場合の斜視図、図6(b)はこれらを下方から観た場合の斜視図である。
図2(b)、図3、図6に示すように、可動刃31は、可動刃側案内穴42、駆動ピン挿入穴43、可動刃側ガイドピン44、および2つの可動刃側長穴45を備える。可動刃側案内穴42は可動刃31の進退方向(前後方向Y)に延在する。2つの可動刃側長穴45は、可動刃31の幅方向Xの中央を通り前後方向Yに延びる中心線を基準として対称に配置され、前後方向Yでは可動刃側案内穴42と駆動ピン挿入穴43の間に位置する。
図5(a)、図5(b)に示すように、カッター駆動機構32は、2つのカッター駆動歯車51と、2つのカッター駆動歯車51のうちの一方のカッター駆動歯車51(1)にカッターモーター33の回転を減速して伝達する減速輪列52と、2つのカッター駆動歯車51と可動刃31の間に配置されたカッターフレーム53およびカッター駆動板54を備える。
2つのカッター駆動歯車51は、幅方向Xに配列されて、互いに噛合する。2つのカッター駆動歯車51は、同一の歯数を備えており、一方のカッター駆動歯車51(1)に伝達された回転により、互いに同期して反対方向に回転する。各カッター駆動歯車51は、上側の円形端面51aの中心から外れた位置に当該カッター駆動歯車51の回転軸線L方向に突出する駆動ピン55を備える。
カッターフレーム53は、板状であり、ユニットフレーム35に固定されている。カッターフレーム53は、各カッター駆動歯車51が回転したときに各駆動ピン55が移動する移動軌跡を包含する2つの円形開口部62を備える。さらに、カッターフレーム53は、フレーム側案内穴63と、フレーム側ガイドピン64と、貫通穴65を備える。図2(b)、図6(b)に示すように、フレーム側案内穴63は前後方向Yに延びており、ここに可動刃31から下方に延びる可動刃側ガイドピン44が挿入される。また、貫通穴65の下側には、カッターフレーム53を切り起こした切り起こし部分の先端に固定されたボルト係止板67が配置される。ボルト係止板67に形成されたネジ穴70に、可動刃31の可動刃側案内穴42に上方から挿入されるボルト68の先端が螺合される。カッターフレーム53の下面とボルト係止板67の間にはコイルバネ71が配置されている。ボルト係止板67とボルト68は、可動刃31の脱落を防止する脱落防止機構66を構成する。
図5(a)に示すように、カッター駆動板54は、カッターフレーム53の上面に載置され、スライド可能な状態でカッターフレーム53に支持される。カッター駆動板54は、カッターフレーム53の円形開口部62を介して上方に突出するカッター駆動歯車51(1)、51(2)の駆動ピン55がそれぞれ挿入される2つの駆動板側長穴75を備える。2つの駆動板側長穴75は幅方向Xに配列され、各駆動板側長穴75は幅方向Xに延在する。駆動ピン55は、幅方向Xに移動可能な状態で、駆動板側長穴75と係合する。また、カッター駆動板54は、その幅方向Xの中央から上方に突出する円柱形状の可動刃駆動ピン76を備える。
図3、図6(a)に示すように、可動刃31は、カッター駆動板54の上方から、カッターフレーム53にスライド可能に取り付けられる。可動刃31とカッターフレーム53の間には、摺動抵抗が低い樹脂製のスライダー79が介在する。スライダー79は、カッターフレーム53の後側の幅方向Xの両端部分と、カッターフレーム53の前端における幅方向Xの中央部分の3箇所に配置される。カッターフレーム53のフレーム側ガイドピン64と可動刃31の可動刃側案内穴42、および、可動刃31の可動刃側ガイドピン44とカッターフレーム53のフレーム側案内穴63はそれぞれ係合して、可動刃31を前後方向Y(進退方向)に案内するガイド機構81を構成する。
可動刃31の駆動ピン挿入穴43には、カッター駆動板54の可動刃駆動ピン76が挿入される。これにより、可動刃駆動ピン76はその軸線L1回りに回転可能な状態で、駆動ピン挿入穴43と係合する。一方、可動刃31の可動刃側長穴45は、カッター駆動板54の駆動板側長穴75と上下方向Zに重なるが、駆動板側長穴75に係合している駆動ピン55は可動刃側長穴45内に達する位置まで延びていない。つまり、カッター駆動歯車51(1)、51(2)の駆動ピン55は、可動刃31の可動刃側長穴45と係合していない。
(カッターによる記録紙の切断動作)
印刷位置Aにおいて印刷が施された記録紙101がカット位置Bを通過すると、カッターモーター33が駆動されて、各カッター駆動歯車51を1回転させる。これにより可動刃31は、待機位置31Aと切断位置31Bの間を1往復し、切断位置31Bにおいて記録紙101を切断する。
より具体的には、カッターモーター33が駆動されると、カッターモーター33の回転は減速輪列52を介して2つのカッター駆動歯車51に伝達される。2つのカッター駆動歯車51が回転すると、各駆動ピン55は、駆動板側長穴75内を幅方向Xに移動しながら固定刃11に接近する方向(後方)に移動する。このとき、各駆動ピン55は、カッター駆動板54における各駆動板側長穴75の後側の開口縁に当接して、カッター駆動板54を後方に移動させる。2つのカッター駆動歯車51からカッター駆動板54に伝達された動力は、可動刃駆動ピン76を介して可動刃31に伝達される。従って、可動刃31はカッター駆動板54の移動に伴って後方に移動し、切断位置31Bに到達する。
可動刃31が切断位置31Bに到達した後に、更に2つのカッター駆動歯車51が回転すると、各駆動ピン55は、駆動板側長穴75内を幅方向Xに移動しながら固定刃11から離間する方向(前方)に移動する。このとき、各駆動ピン55は、カッター駆動板54における各駆動板側長穴75の前側の開口縁に当接して、カッター駆動板54を前方に移動させる。また、2つのカッター駆動歯車51からカッター駆動板54に伝達された動力は、可動刃駆動ピン76を介して可動刃31に伝達される。従って、可動刃31はカッター駆動板54の移動に伴って前方に移動し、待機位置31Aに戻る。位置検出機構34は、可動刃31が待機位置31Aにあることを検出する。
(防水構造)
図7はカッター10および防水ケース13の説明図であり、図7(a)はカッター10および防水ケース13を下方から見た斜視図、図7(b)は防水ケース13を上方から見た斜視図である。図7(a)(b)に示すように、可動刃ユニット12の下側を覆う防水ケース13は、可動刃31およびカッター駆動機構32の下方に位置する第1壁13aと、第1壁13aの後側(ロール紙収納部7の側)の端縁から上方に立ち上がる第1側壁13bと、第1壁13aの前側の端縁から上方に立ち上がる第2側壁13cと、第1壁13aにおける幅方向Xの両側の端縁からそれぞれ立ち上がる第3側壁13d、第4側壁13eを備える箱型のケースである。第3側壁13dにおいて、第1側璧13bと接続される角部に沿った部分には、排水路90が形成されている。排水路90は、防水ケース13に囲まれた空間とその外部空間を連通させる溝である。
本明細書において、プリンターケース2に設けられた記録紙排出口8を基準として、可動刃31およびカッター駆動機構32が位置する側を第1方向Z1とする(図2(b)、図7(a)参照)。図1〜図7に示す上下方向Zは、記録紙排出口8が上下方向Zの上方に開口し、且つ、下ケース3が上下方向Zの下側に位置するようにプリンター1を配置した状態であることを前提としているが、この場合、第1方向Z1は上下方向Zの下方を向く方向となる。防水ケース13の第1壁13aは、可動刃31およびカッター駆動機構32に対して第1方向Z1に位置する。
図2(b)に示すように、防水ケース13が上ケース4の裏側に取り付けられたとき、第1側壁13bの上端と上ケース4の裏面(下面)との間には隙間が形成される。この隙間は、固定刃11に面しており、固定刃11に対して可動刃31が前後方向Yに進退移動するとき、可動刃31が出入りする可動刃用開口部13fとなっている。第1側壁13bの上端における幅方向Xの中央には、可動刃用開口部13fの下側において後側(固定刃11の側)に延びる延出片13gが形成されている。一方、上ケース4の裏面からは、防水ケース13の他の3方向の側壁(第2側壁13c、第3側壁13d、第4側壁13e)の上端に向けて防水壁4aが突出している。上ケース4は、可動刃31およびカッター駆動機構32に対して、第1方向Z1と逆方向に位置する部分である第2壁4b(図2参照)を備える。第2壁4bは防水壁4aに囲まれる部分であり、防水ケース13の第1壁13aと対向する。
防水ケース13(第1ケース)と、防水壁4aおよび防水壁4aに囲まれた上ケース4の第2壁4b(第2ケース)は、カッター10の可動刃ユニット12を収容する可動刃ユニットケース14を構成する。すなわち、図2(b)、図4に示すように、防水ケース13は、上ケース4の裏側に取り付けられたとき、第2側壁13c、第3側壁13d、第4側壁13eの上端が防水壁4aの下端と嵌合する。第1側壁13b、第2側壁13c、第3側壁13d、第4側壁13eは、防水ケース13の第1壁13aの外周縁から第1方向Z1と逆方向に立ち上がる周壁19の下側部分を構成する。また、第2側壁13c、第3側壁13d、第4側壁13eの上端と嵌合する防水壁4aは、この周壁19の上側部分を構成する。
防水ケース13の第1壁13aおよび周壁19は、可動刃用開口部13fを除き、可動刃31およびカッター駆動機構32を第1方向Z1および第1方向Z1と交差する方向(すなわち、前後方向Yの両側および幅方向Xの両側)で囲んでいる。そして、周壁19は、可動刃用開口部13fが設けられた位置を除く3方向で、防水ケース13の第1壁13aと上ケース4とを接続する。従って、防水ケース13と上ケース4の間の空間は、上述した可動刃用開口部13fおよび排水路90を除き、密閉空間となる。そして、この密閉空間に、可動刃ユニット12の可動刃31、カッター駆動機構32、位置検出機構34、およびユニットフレーム35が収容される。また、カッターモーター33は、防水ケース13の第1壁13aに形成されたモーター装着穴13hにシールゴムなどの不図示のシール部材を介して装着される。カッターモーター33は、出力軸が設けられた上側の部分が防水ケース13の内側に配置され、下側の部分はモーター装着穴13hから防水ケース13の下側に突出する。
図2(a)に示すように、可動刃ユニットケース14の可動刃用開口部13fは、記録紙排出口8の下側で開口している。可動刃用開口部13fのさらに下側に、印刷ヘッド23とプラテンローラー26が配置され、その下側に、ロール紙収納部7の底部を構成するホルダー部材の一端が配置されている。
携帯型プリンター1では、記録紙排出口8から水などの液体がプリンターケース2の内部に侵入した場合、液体は、ホルダー部材の上に流れ落ちてロール紙収納部7に侵入するか、あるいは、可動刃用開口部13fから可動刃ユニット12の上に侵入する。しかしながら、可動刃ユニット12の下側と、可動刃ユニット12の幅方向の両側および前側は防水ケース13によって囲まれているため、可動刃用開口部13fから可動刃ユニット12側に液体が侵入したとしても、その液体はバッテリー装着部17や回路基板22の上に流れ落ちることはなく、防水ケース13内に保持される。また、防水ケース13の上部開口は、上ケース4および防水壁4aによって塞がれているため、防水ケース13の上側から液体が流れ出すこともない。
防水ケース13内に入った液体が流れ出す経路は、可動刃用開口部13fと排水路90であるが、可動刃用開口部13fから流れ出た場合はホルダー部材を経由してロール紙収納部7の上に流れ落ちる。このため、バッテリー装着部17やその下側の回路基板22に液体が掛かるおそれは低い。また、排水路90は、図3に示すように、防水ケース13の第3側壁13dの最も後方側(ロール紙収納部7側)の位置に開口している。プリンターケース2の下ケース3には、図3において破線で示す位置に、排水路90のほぼ真下で開口する排水口91が形成されている。排水路90および排水口91は、バッテリー装着部17およびその下側に配置された回路基板22よりも後方側に位置する。従って、排水路90から液体が流れ出た場合も、バッテリー装着部17や回路基板22が配置されたエリアに液体が流れ込むおそれは少ない。排水路90から下ケース3の上に流れ落ちた液体は、排水口91からプリンターケース2の外部に排出される。なお、排水口91をこれと異なる位置に形成し、排水路90から排出された液体を排水口91に流す排水路を設けてもよい。
以上のように、本形態の携帯型プリンター1は、可動刃用開口部13fから可動刃ユニット12側に液体が侵入した場合に、その液体を防水ケース13内に保持できる。従って、バッテリー装着部17や回路基板22などの電子部品の上に液体が掛かって故障や劣化などの不具合が発生することを防止あるいは抑制できる。また、防水ケース13内に保持した液体は、排水路90および排水口91を経由して、バッテリー装着部17や回路基板22などの電子部品に掛かるおそれの低い経路でプリンターケース2の外部に排出される。
また、本形態では、防水ケース13の上部開口をプリンターケース2の上ケース4および上ケース4と一体に形成された防水壁4aで塞いでおり、可動刃ユニットケース14の上部をプリンターケース2の一部で構成している。従って、可動刃ユニットケース14の設置スペースが小さく、携帯型プリンター1の小型化、軽量化に有利である。特に、回路基板22などの電子部品全体を防水壁で囲む構造と比較した場合、防水壁の設置スペースが少なくて済み、省スペースで軽量である。さらに、カッターモーター33を防水ケース13のモーター装着穴13hにシール部材を介して装着しているため、防水機能を損なうことなく、可動刃ユニットケース14およびカッターモーター33をコンパクトに設置できる。この点でも、プリンター1の小型化および軽量化に有利である。
1…携帯型プリンター、2…プリンターケース(外装ケース)、3…下ケース、4…上ケース、4a…防水壁(第2ケース)、4b…第2壁(第2ケース)、5…開閉カバー、7…ロール紙収納部、8…記録紙排出口(媒体排出口)、10…カッター、11…固定刃、11a…刃部、12…可動刃ユニット、13…防水ケース(第1ケース)、13a…第1壁、13b…第1側壁、13c…第2側壁、13d…第3側壁、13e…第4側壁、13f…可動刃用開口部、13g…延出片、13h…モーター装着穴、14…可動刃ユニットケース、15…開口部、16…開閉カバー、17…バッテリー装着部、18…バッテリー、19…周壁、21…上面外装板、22…回路基板、23…印刷ヘッド、25…記録紙搬送路、26…プラテンローラー、27…搬送機構、31…可動刃、31a…刃部、31A…待機位置、31B…切断位置、32…カッター駆動機構、33…カッターモーター、34…位置検出機構、35…ユニットフレーム、37…被乗り上げ部、38…固定刃側突部、41…乗り上げ部、42…可動刃側案内穴、43…駆動ピン挿入穴、44…可動刃側ガイドピン、45…可動刃側長穴、51、51(1)、51(2)…カッター駆動歯車、51a…円形端面、52…減速輪列、53…カッターフレーム、54…カッター駆動板、55…駆動ピン、62…円形開口部、63…フレーム側案内穴、64…フレーム側ガイドピン、65…貫通穴、66…脱落防止機構、67…ボルト係止板、68…ボルト、70…ネジ穴、71…コイルバネ、75…駆動板側長穴、76…可動刃駆動ピン、79…スライダー、81…ガイド機構、90…排水路、91…排水口、100…記録紙ロール、101…記録紙(記録媒体)、A…印刷位置、B…カット位置、L、L1…軸線、X…幅方向、Y…前後方向、Z…上下方向、Z1…第1方向

Claims (6)

  1. 記録媒体を搬送する搬送機構と、
    前記記録媒体に印刷する印刷ヘッドと、
    前記記録媒体の搬送方向において前記印刷ヘッドより下流に設けられており、前記記録媒体を切断するカッターと、
    前記搬送機構、前記印刷ヘッド、及び、前記カッターを収容する外装ケースと、を備えるプリンターであって、
    前記カッターは、
    第1刃と、
    前記第1刃とは異なる第2刃と、
    前記第1刃を駆動するカッター駆動機構と、
    前記カッター駆動機構を収容する第1ケースと、を備え、
    前記第1刃は、少なくとも一部が、
    前記外装ケースと、前記第1ケースとの間にある、プリンター。
  2. 前記第1ケースは、前記第1ケース内の液体を排出可能な排水路を備える、請求項1に記載のプリンター。
  3. 前記外装ケースは、前記液体を前記外装ケースの外部に排出する排水口を備えることを特徴とする請求項2に記載のプリンター。
  4. 前記第1ケースの少なくとも一部は、前記外装ケースと一体的に繋がる、請求項1ないし3のいずれかの項に記載のプリンター。
  5. 前記第1ケースは、
    第1壁と、
    前記第1壁と交差する方向に延びる周壁と、を備える、請求項1ないし4のいずれかの項に記載のプリンター。
  6. 前記カッター駆動機構を駆動するモーターを有し、
    前記モーターは、前記第1ケースの装着穴にシール部材を介して装着する、請求項5に記載のプリンター。
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