JP2020019398A - 車両用シートレール取り付け構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、シートレールを車室のフロアに取り付ける構造の機械的強度を高めることを目的とする。【解決手段】シートレール取り付け構造は、車室のフロアを形成するフロアパネル18、フロアパネル18の上面に配置されたシートレール20a、およびフロアパネル18を挟んで上方にシートレール20aがある位置でフロアパネル18を支持するリテーナ16bを備えている。シートレール20a、フロアパネル18、およびリテーナ16bは、これらが重なる位置でボルト38およびナット40(第1接合部)によって接合されている。また、第1接合部から離れた位置における溶接部42(第2接合部)で、フロアパネル18およびリテーナ16bが溶接されている。リテーナ16bには、第1接合部と第2接合部との間にビード48aが形成されている。ビード48aは、シートレール20aの長手方向に沿って延びている。【選択図】図5

Description

本発明は、車両用シートレール取り付け構造に関し、特に、シートレールを車室のフロアに取り付ける構造に関する。
自動車のシートを車体に取り付ける構造につき広く研究開発が行われている。シートには、車室のフロア(床面)に固定されたシートレールに取り付けられ、シートレールに沿って位置が調整自在なものがある。このような構造では、自動車の走行中にシートの慣性によって、シートからシートレールを介してフロアに力が加えられる。そのため、自動車の運転が繰り返されるうちに、フロアやその周辺部材が変形したり、シートレールの位置がずれたりすることがある。そこで、シートレールをフロアに取り付ける構造の機械的強度を高める技術が提案されている。
例えば、以下の特許文献1には、シートレールとフロアとを結合するためのシートブラケットが記載されている。このシートブラケットは、フロアに形成された段差における斜めの側面に接合され、その側面の上方でシートレールを支持する。特許文献1では、上方に引っ張られる力に対する強度が高いシートブラケットの形状が提案されており、この形状によってシートレールの位置ずれが防止されることが述べられている。
また、特許文献2には、運転席の取り付け部位に生じるねじれ変形を抑制するフロアアンダーカバーが記載されている。フロアアンダーカバーは、フロアパネルの下方に取り付けられたパネル状の部材である。特許文献2には、フロアアンダーカバーに交差形状の補強部材を取り付けることで、運転席の取り付け部位に生じるねじれ変形を抑制することが記載されている。また、フロアアンダーカバーによって、運転操作性が向上するとの記載がある。
特開2007−176226号公報 特開2016−124436号公報
一般に、車室のフロアは、金属板等を材料とするフロアパネルによって形成されている。フロアパネルには、車両底部の空間に橋渡された骨格部材の上に固定されたものがある。このようなフロアパネルでは、骨格部材が直下にある位置と、骨格部材が直下にない位置とでたわみ易さが異なる。そのため、シートレールの位置やシートレールをフロアパネルに固定する構造によっては、シートレールからフロアパネルに与えられる力によって、フロアパネルが変形してしまうことがある。
本発明は、シートレールを車室のフロアに取り付ける構造の機械的強度を高めることを目的とする。
本発明は、車室のフロアを形成するフロアパネルと、前記フロアパネルの上面に配置されたシートレールと、前記フロアパネルを挟んで上方に前記シートレールがある位置で前記フロアパネルを支持するリテーナと、前記シートレール、前記フロアパネル、および前記リテーナが重なる位置で、前記シートレール、前記フロアパネル、および前記リテーナを接合する第1接合部と、前記第1接合部から離れた位置で、前記フロアパネルおよび前記リテーナを接合する第2接合部と、を備え、前記リテーナは、前記第1接合部と前記第2接合部との間に設けられたビードであって、前記シートレールの長手方向に沿って延びるビードを有することを特徴とする。
望ましくは、複数の前記第1接合部および複数の前記第2接合部が、前記シートレールの長手方向に沿って配列されており、前記ビードは、複数の前記第1接合部と複数の前記第2接合部との間で前記シートレールの長手方向に沿って延びている。
望ましくは、前記シートレールは、車両前後方向に沿って延びており、前記第2接合部は、前記第1接合部に対し左側または右側に離れた位置に設けられている。
望ましくは、前記シートレールの長手方向に交わる方向に配列され、車両底部の骨格部材と前記リテーナとを接合する複数のリテーナ接合部を備え、前記ビードは、複数の前記リテーナ接合部のうちの隣接する2つの間に設けられている。
望ましくは、前記ビードは、前記第1接合部と前記第2接合部との間を通って、複数の前記リテーナ接合部のうちの隣接する2つの間に至る。
望ましくは、複数の前記第1接合部および複数の前記第2接合部が、前記シートレールの長手方向に沿って配列されており、前記ビードは、複数の前記第1接合部と複数の前記第2接合部との間を通って、複数の前記リテーナ接合部のうちの隣接する2つの間に至る。
望ましくは、前記リテーナは、車両底部の骨格部材に固定される領域と、前記骨格部材から張り出す領域と、を有し、前記骨格部材から張り出す領域が前記フロアパネルを支持し、前記ビードは、前記骨格部材から前記リテーナが張り出す方向に沿って延びている。
望ましくは、前記第1接合部は、前記リテーナ、前記フロアパネルおよび前記シートレールに開けられた穴を通る締結部品を有し、前記第2接合部は、前記フロアパネルと前記リテーナとが溶接された溶接部を有する。
本発明によれば、シートレールを車室のフロアに取り付ける構造の機械的強度を高めることができる。
車両の底部における骨格構造を例示する図である。 クロスメンバおよびリテーナの斜視図である。 シートレール取り付け構造の斜視図である。 図3に示されたAA線における断面を示す図である。 図4に示されたBB線における断面を示す図である。 図4に示されたCC線における断面が示されている。 1本のシートレールが固定されるシートレール取り付け構造の断面を示す図である。 1本のシートレールが固定されるシートレール取り付け構造の断面を示す図である。
各図を参照して本発明の実施形態に係るシートレール取り付け構造について説明する。本願明細書に示された前後上下左右等の用語は、車両の乗員から見た方向を示す。また、複数の図面に示された同一の構成要素については同一の符号を付して説明の重複を避ける。
図1には、シートレール取り付け構造のうち、車両の底部における骨格構造が例示されている。骨格構造10は、帯状または棒状の骨格部材(フレーム)が車両の底部の空間に橋渡された構造を有している。二点鎖線で示されているように、骨格構造10の上側がフロアパネル18で覆われることで車室のフロアが形成される。フロアにはシートレール20a〜20dが固定され、車室のシートは、各シートレールを介して前後方向に摺動自在にフロアに固定される。
骨格構造10は、前後方向に延びる骨格部材として、車両左側のサイドメンバ12a、および車両右側のサイドメンバ12bを備えている。サイドメンバ12aおよび12bは、前方に向かうにつれて左右方向の間隔が短くなる区間を有し、中央付近に比べて前方の方が間隔が狭くなっている。前方におけるサイドメンバ12aの左側と、前方におけるサイドメンバ12bの右側には前輪50aが位置する。また、サイドメンバ12aおよび12bは、後方に向かうにつれて左右の間隔が短くなる区間を有し、中央付近に比べて後方の方が間隔が狭くなっている。後方におけるサイドメンバ12aの左側と、後方におけるサイドメンバ12bの右側には後輪50bが位置する。
骨格構造10は、左右方向に延びる骨格部材として、前後方向に並べられたクロスメンバ14a〜14gを備えている。クロスメンバ14a〜14gのそれぞれは、サイドメンバ12aとサイドメンバ12bとの間に橋渡されている。
前方から5番目のクロスメンバ14eにはリテーナ16a,16b,16dおよび16eが取り付けられ、前方から6番目のクロスメンバ14fにはリテーナ16cおよび16fが取り付けられている。各リテーナは、金属等の剛性材料で形成された板片状の部材であり、骨格構造10と共にフロアパネル18を支持する。
クロスメンバ14eの左側には、リテーナ16aおよび16bが取り付けられている。リテーナ16aは、その一部の領域がクロスメンバ14eの下面に固定され、前方に張り出している。リテーナ16bは、その一部の領域がクロスメンバー14eの下面に固定され、後方に張り出している。クロスメンバ14fの左側には、リテーナ16cが取り付けられている。リテーナ16cは、その一部の領域がクロスメンバ14fの下面に固定され、前方に張り出している。
リテーナ16dおよび16eは、それぞれ、リテーナ16aおよび16bと同様の構造を有し、リテーナ16aおよび16bと同様の姿勢で、クロスメンバ14eの右側に取り付けられている。リテーナ16fは、リテーナ16cと同様の構造を有し、リテーナ16cと同様の姿勢で、クロスメンバ14fの右側に取り付けられている。
クロスメンバ14eとクロスメンバ14fとの間の領域はフロアパネル18で覆われる。リテーナ16a〜16fはフロアパネル18の下面に接触し、骨格構造10と共にフロアパネル18を支持する。フロアパネル18の上面には、直下にリテーナ16a〜16cがある位置に、長手方向を前後に向けてシートレール20aおよび20bが並べて配置される。また、直下にリテーナ16d〜16fがある位置に、長手方向を前後に向けてシートレール20cおよび20dが並べて配置される。各シートレールは、後方の端がクロスメンバ14gの上に位置し、前後方向に延びてクロスメンバ14eおよび14fに交差する。
骨格構造10は、ミニバン等、リアシートの位置を調整自在とする車両に用いられる。シートレール20a〜20dは、リアシートをフロアパネル18の上面で支持する。すなわち、左側に配置された一対のシートレール20aおよび20bはリアシートの左側を摺動自在に支持し、右側に配置された一対のシートレール20cおよび20dはリアシートの右側を摺動自在に支持する。リアシートをこれらのシートレール上で摺動させることで、リアシートの位置が調整される。
図2には、クロスメンバ14eおよびリテーナ16bの斜視図が示されている。クロスメンバ14eは、断面がU字形状を有し左右方向に延びるU字溝部32、U字溝部32の前方の縁から前方に張り出した前方フランジ34、およびU字溝部32の後方の縁から後方に張り出した後方フランジ36から構成されている。リテーナ16bは、長方形の周辺の一部が切り欠かれた略長方形の本体領域24と、本体領域24の短辺から突出した突出領域22から構成されている。リテーナ16bの突出領域22の一部は、後方フランジ36の下面に重ねられ、後方フランジ36の下面に溶接によって接合(固定)されている。突出領域22は、後方フランジ36から後方に張り出している。突出領域22の幅は、後方フランジ36から本体領域24に向かうにつれて広がっており、本体領域24との境界で本体領域24の幅と等しくなる。なお、クロスメンバ14eは、U字溝部32を有さない平坦な帯形状であってもよい。また、クロスメンバ14eは複数のU字溝部が平行に並べられた形状であってもよい。
本体領域24には、2つの膨らみ部28aおよび28bが形成されている。膨らみ部28aおよび28bは、上方向に膨らんで前後方向に延び、左右に並んでいる。左側の膨らみ部28aには、フロアパネルおよびシートレールを固定するための2つのボルト穴30aが前後方向に並べて開けられている。同様に、右側の膨らみ部28bにも、フロアパネルおよびシートレールを固定するための2つのボルト穴30bが前後方向に並べて開けられている。
膨らみ部28aの左側には、前後方向に延びる平坦領域26aが形成されている。同様に、右側の膨らみ部28bの右側にも、前後方向に延びる平坦領域26bが形成されている。これらの平坦領域は、上方を覆うフロアパネルに接触し溶接される。
左側の膨らみ部28aと平坦領域26aとの間にはビード48aが形成されている。ビードとは、板状の部材における、ある方向に延びた凹んだ領域、あるいは、ある方向に延びた膨らんだ領域をいう。図2に示されたビード48aは下方向に凹み、本体領域24から突出領域22に亘って前後方向に延びている。同様に、右側の膨らみ部28bと平坦領域26bとの間にもビード48bが形成されている。ビード48bは下方向に凹み、本体領域24から突出領域22に亘って前後方向に延びている。なお、リテーナ16bに形成されるビード48aおよび48bは、上方向に膨らんだものでもよい。
後述するように、リテーナ16bにビード48aおよび48bが形成されることで、外部から与えられる上下方向の力に対するリテーナ16bの強度が高まる。さらに、リテーナ16bに重なるフロアパネルについても、上下方向の力に対する強度が高まる。これによって、シートレールから与えられる力に対するフロアパネルおよびリテーナ16bの機械的強度が高まる。
図3には、シートレール取り付け構造の斜視図が示されている。ただし、この図では、シートレール20aに関する構造が抜き出して描かれている。フロアパネル18およびシートレール20aは、リテーナ16bに設けられた各ボルト穴に重なるボルト穴を有している。リテーナ16b、フロアパネル18およびシートレール20aのそれぞれのボルト穴が重ねられた状態で、各ボルト穴にボルト38が下から挿入され、ボルト38の上方から螺合したナット40が締め付けられている。これによって、リテーナ16b、フロアパネル18およびシートレール20aが接合されている。また、リテーナ16bの左右の平坦領域26aおよび26bは、前後方向に配列された複数の溶接部42で、フロアパネル18の下面に溶接されている。
このように、本実施形態に係るシートレール取り付け構造は、車室のフロアを形成するフロアパネル18と、フロアパネル18の上面に配置されたシートレール20aとを備えている。さらに、本実施形態に係るシートレール取り付け構造は、フロアパネル18を挟んで上方にシートレール20aがある位置でフロアパネル18を支持するリテーナ16bを備えている。リテーナ16bは、車両底部の骨格部材としてのクロスメンバ14eに一部の領域が固定されている。リテーナ16bは、クロスメンバ14eから張り出しており、クロスメンバ14eから張り出した領域がフロアパネル18の下面に接触し、フロアパネル18を支持している。
図4には、図3に示されたAA線における断面が示されている。リテーナ16bの突出領域22の一部は、クロスメンバ14eの後方フランジ36の下面に重ねられ、後方フランジ36の下面に溶接部44dで溶接されている。リテーナ16bは、後方フランジ36の後方に張り出し、この図に現れている断面では、膨らみ部28aを形成する部分が後方斜め上方に延びた後、前後方向に延びている。リテーナ16bが前後方向に広がる領域には、フロアパネル18およびシートレール20aが重なる。リテーナ16b、フロアパネル18およびシートレール20aに開けられた各ボルト穴には、下方からボルト38が貫通し、ボルト38の上方から螺合したナット40が締め付けられる。これによって、リテーナ16b、フロアパネル18およびシートレール20aが接合されている。
図5には、図4に示されたBB線における断面が示されている。リテーナ16bの左側の縁から右側に広がる平坦領域26aの上面は、フロアパネル18の下面に溶接部42で溶接されている。同様に、リテーナ16bの右側の縁から左側に広がる平坦領域26bの上面も、フロアパネル18の下面に溶接部42で溶接されている。膨らみ部28aの上面ではフロアパネル18およびシートレール20aが重なっており、これらの部材がボルト38およびナット40によって接合されている。同様に、膨らみ部28bの上面でもフロアパネル18およびシートレール20bが重なっており、これらの部材がボルト38およびナット40によって接合されている。
このように、リテーナ16bとフロアパネル18は、シートレール20aおよび20bが重なる各位置(ボルト締結位置)で、ボルト38およびナット40で接合される他、左右の縁近傍の平坦領域26aおよび26bで溶接されている。リテーナ16bの左右のそれぞれには、フロアパネル18との溶接位置とボルト締結位置との間にビード48aおよび48bが形成されている。
すなわち、本実施形態に係るシートレール取り付け構造は、各シートレール(20a,20b)、フロアパネル18、およびリテーナ16bが重なる位置で、これらの部材を接合する第1接合部としてボルト38およびナット40を備えている。さらに、本実施形態に係るシートレール取り付け構造は、ボルト38およびナット40から離れた位置でフロアパネル18およびリテーナ16bを接合する第2接合部として溶接部42を備えている。溶接部42は、リテーナ16bの平坦領域26aおよび26bがフロアパネル18の下面に溶接された部分である。リテーナ16bは、その左側において、ボルト38およびナット40と溶接部42との間に設けられたビード48aを有している。また、リテーナ16bは、その右側において、ボルト38およびナット40と溶接部42との間に設けられたビード48bを有している。図3に示されているように、ビード48aおよび48bのそれぞれは、シートレール20aおよび20bの長手方向、すなわち、クロスメンバ14eからリテーナ16bが張り出した方向に沿って延びている。また、各シートレールは前後方向(車両前後方向)に沿って延びており、第2接合部としての溶接部42は、第1接合部としてのボルト38およびナット40に対し左側または右側(車幅方向側)に離れた位置に設けられている。図3に示されている例では、第2接合部は、第1接合部に対し、シートレール20aから見て車幅方向外側に設けられている。
一般に、ビードが形成された板状の部材は、ビードの両側が広がらないように他の部材に固定された場合、ビードの膨らみ方向または凹み方向に与えられた力に対する強度が高くなる。さらに、このような板状の部材は、ビードの長手方向から反れる方向に曲がり難くなる。
したがって、本実施形態に係るシートレール取り付け構造では、上下方向に加えられる力に対するリテーナ16bの強度が、ビードが形成されていない場合に比べて高い。また、張り出し方向(シートレールの長手方向)から反れる方向に曲がる力に対するリテーナ16bの強度がビードが形成されていない場合に比べて高い。さらに、リテーナ16bの機械的強度が高まることで、リテーナ16bの上側に接合されたフロアパネル18の機械的強度も高まる。これによって、シートレール20aまたは20bから上下方向にフロアパネル18およびリテーナ16bに加えられる力によって、フロアパネル18およびリテーナ16bが変形することが防止される。また、必ずしもリテーナ16b、フロアパネル18等を厚くしなくても各シートレールが取り付けられる構造の機械的強度が高められる。
図6には、図4に示されたCC線における断面が示されている。リテーナ16bとクロスメンバ14eは、左右方向に並ぶ5つの位置で溶接され、リテーナ16bとクロスメンバ14eとの間には、5つの溶接部44a〜44eが形成されている。5つの溶接部のうち最も左側の溶接部44aと、この溶接部44aの右側に隣接する溶接部44bとの間にはビード48aが形成されている。同様に、5つの溶接部のうち最も右側の溶接部44eと、この溶接部44eの左側に隣接する溶接部44dとの間にもビード48bが形成されている。ビード48aおよび48bは、それぞれ、図5に示されたビード48aおよび48bが、リテーナ16bの本体領域から突出領域に向かって延びたものである。
フロアパネル18は、リテーナ16bとクロスメンバ14eとが重なる領域の上方では、上側に膨らみを帯びているが、リテーナ16bとクロスメンバ14eとが重なっていない左右の領域でクロスメンバ14eに接近し、左右の溶接部46で溶接されている。
このように、本実施形態に係るシートレール取り付け構造は、リテーナ16bの張り出し方向(シートレールの長手方向)に交わる方向に配列された複数の溶接部44a〜44e(リテーナ接合部)で、リテーナ16bとクロスメンバ14eとが接合されている。各ビード(48a,48b)は、これら複数のリテーナ接合部のうちの隣接する2つの間に設けられている。
この構造では、リテーナ16bが各ビードの両側でクロスメンバ14eに固定されている。したがって、リテーナ16bにおけるクロスメンバ14eに重なる部分の強度がビードが形成されていない場合に比べて高まる。これによって、リテーナ16bとクロスメンバ14eとが固定された部分を軸としてリテーナ16eを搖動させる力に対して、リテーナ16bの強度が高まる。
また、本実施形態に係るシートレール取り付け構造では、図3に示されているように、複数組のボルト38およびナット40(複数の第1接合部)が、リテーナ16bの張り出し方向、すなわち、シートレール20aの長手方向に沿って配列されている。さらに、フロアパネル18とリテーナ16bとが溶接された複数の溶接部42(複数の第2接合部)がシートレール20aの長手方向に沿って配列されている。左側のビード48aは、左側の複数の第1接合部と左側の複数の第2接合部との間でシートレール20aの長手方向に沿って延びている。さらに、左側のビード48aは、左側の複数の第1接合部と左側の複数の第2接合部との間を通って、図6に示される複数の溶接部44a〜44e(リテーナ接合部)のうちの隣接する2つの間(溶接部44aおよび44bの間)に至る。右側のビード48bは、右側の複数の第1接合部と右側の複数の第2接合部との間でシートレール20bの長手方向に沿って延びている。さらに、右側のビード48bは、右側の複数の第1接合部と右側の複数の第2接合部との間を通って、図6に示される複数の溶接部44a〜44eのうちの隣接する2つの間(溶接部44dおよび44eの間)に至る。この構造では、シートレール20aおよび20bがフロアパネル18に接触する前後に延びた広い範囲で、リテーナ16bおよびフロアパネル18の機械的強度が高まる。
図3には、1本のシートレールにつき2組のボルト38およびナット40が用いられた例が示されているが、3組以上のボルト38およびナット40が用いられてもよい。また、図3には、4つの溶接部42がシートレール20aの長手方向に沿って配列された例が示されているが、溶接部42の数は任意である。
なお、本実施形態に係るシートレール取り付け構造は、リアシートの他、フロントシート等、その他のシートが取り付けられるシートレールに用いられてもよい。フロントシートのシートレール取り付け構造の場合、図1に示されるクロスメンバ14cおよび14dにリテーナが取り付けられ、リテーナの上側から覆われたフロアパネルの上にシートレールが配置される。クロスメンバ、リテーナ、フロアパネルおよびシートレールを接合する構造は、リアシート用のシートレールと同様である。
また、上記では、シートの片側が2本のシートレールによって支持される場合のシートレール取り付け構造について説明した。シートの片側は1本のシートレールによって支持されてもよい。この場合、例えば、図2および図3のリテーナ16bに形成された膨らみ部28aの右側の構造を、左側と同様の構造とすればよい。
図7には、1本のシートレール20が固定されるシートレール取り付け構造について、リテーナ16の膨らみ部28近傍の断面が示されている。この構造は、ボルト38およびナット40によってシートレール20、フロアパネル18、およびリテーナ16が接合される位置よりも右側の構造を左側の構造と同一としたものである。
図8には、1本のシートレール20が固定されるシートレール取り付け構造について、リテーナ16とクロスメンバ14とが接合される部分の断面が示されている。左側のビード48aの左右両側でリテーナ16およびクロスメンバ14が溶接され、右側のビード48bの左右両側でリテーナ16およびクロスメンバ14が溶接されている。図7および図8には、左右対称の構造が示されているが、フロアパネル18やリテーナ16の形状や溶接部44の位置等は、設計条件に応じて左右非対称としてもよい。
上記では、各部材を溶接によって接合する実施形態について説明した。各部材の接合には、ボルトおよびナット等の締結部品やリベット等が用いられてもよい。また、上記では、シートレール、フロアパネルおよびリテーナを接合する締結部品として、ボルトおよびナットが用いられた実施形態について説明した。このようにボルトとナットの組を用いる代わりにボルトのみを用いてもよい。この場合、リテーナのボルト穴はネジ山が形成されたものとし、シートレールおよびフロアパネルのボルト穴から挿入されたボルトが、リテーナのボルト穴に締結される。あるいは、シートレールのボルト穴をネジ山が形成されたものとし、リテーナおよびフロアパネルのボルト穴から挿入されたボルトが、シートレールのボルト穴に締結されてもよい。また、上記では、シートレールの長手方向に沿って配列された複数の接合部(溶接部、またはボルトおよびナットの組)によって各部材を接合する実施形態について説明した。各部材を接合する構成はこれに限られず、シートレールの長手方向に連続的に延びた溶接部等の接合部によって各部材が接合されてもよい。
10 骨格構造、12a,12b サイドメンバ、14,14a〜14g クロスメンバ(骨格部材)、16、16a〜16f リテーナ、18 フロアパネル、20,20a〜20d シートレール、22 突出領域、24 本体領域、26a,26b 平坦領域、28,28a,28b 膨らみ部、30a,30b ボルト穴、32 U字溝部、34 前方フランジ、36 後方フランジ、38 ボルト(第1接合部)、40 ナット(第1接合部)、42 溶接部(第2接合部)、44,44a〜44e 溶接部(リテーナ接合部)、46 溶接部、48a,48b ビード、50a 前輪、50b 後輪。

Claims (8)

  1. 車室のフロアを形成するフロアパネルと、
    前記フロアパネルの上面に配置されたシートレールと、
    前記フロアパネルを挟んで上方に前記シートレールがある位置で前記フロアパネルを支持するリテーナと、
    前記シートレール、前記フロアパネル、および前記リテーナが重なる位置で、前記シートレール、前記フロアパネル、および前記リテーナを接合する第1接合部と、
    前記第1接合部から離れた位置で、前記フロアパネルおよび前記リテーナを接合する第2接合部と、を備え、
    前記リテーナは、
    前記第1接合部と前記第2接合部との間に設けられたビードであって、前記シートレールの長手方向に沿って延びるビードを有することを特徴とする車両用シートレール取り付け構造。
  2. 請求項1に記載の車両用シートレール取り付け構造において、
    複数の前記第1接合部および複数の前記第2接合部が、前記シートレールの長手方向に沿って配列されており、
    前記ビードは、複数の前記第1接合部と複数の前記第2接合部との間で前記シートレールの長手方向に沿って延びていることを特徴とする車両用シートレール取り付け構造。
  3. 請求項1または2に記載の車両用シートレール取り付け構造において、
    前記シートレールは、車両前後方向に沿って延びており、
    前記第2接合部は、前記第1接合部に対し左側または右側に離れた位置に設けられていることを特徴とする車両用シートレール取り付け構造。
  4. 請求項1に記載の車両用シートレール取り付け構造において、
    前記シートレールの長手方向に交わる方向に配列され、車両底部の骨格部材と前記リテーナとを接合する複数のリテーナ接合部を備え、
    前記ビードは、複数の前記リテーナ接合部のうちの隣接する2つの間に設けられていることを特徴とする車両用シートレール取り付け構造。
  5. 請求項4に記載の車両用シートレール取り付け構造において、
    前記ビードは、前記第1接合部と前記第2接合部との間を通って、複数の前記リテーナ接合部のうちの隣接する2つの間に至ることを特徴とする車両用シートレール取り付け構造。
  6. 請求項4に記載の車両用シートレール取り付け構造において、
    複数の前記第1接合部および複数の前記第2接合部が、前記シートレールの長手方向に沿って配列されており、
    前記ビードは、複数の前記第1接合部と複数の前記第2接合部との間を通って、複数の前記リテーナ接合部のうちの隣接する2つの間に至ることを特徴とする車両用シートレール取り付け構造。
  7. 請求項1に記載の車両用シートレール取り付け構造において、
    前記リテーナは、
    車両底部の骨格部材に固定される領域と、
    前記骨格部材から張り出す領域と、を有し、
    前記骨格部材から張り出す領域が前記フロアパネルを支持し、
    前記ビードは、
    前記骨格部材から前記リテーナが張り出す方向に沿って延びていることを特徴とする車両用シートレール取り付け構造。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の車両用シートレール取り付け構造において、
    前記第1接合部は、前記リテーナ、前記フロアパネルおよび前記シートレールに開けられた穴を通る締結部品を有し、
    前記第2接合部は、前記フロアパネルと前記リテーナとが溶接された溶接部を有することを特徴とする車両用シートレール取り付け構造。
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