JP2020018177A - 焼き菓子練り込み用油脂組成物、焼き菓子の製造方法、焼き菓子の外観性の向上方法 - Google Patents

焼き菓子練り込み用油脂組成物、焼き菓子の製造方法、焼き菓子の外観性の向上方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、外観性が良好な焼き菓子が得られる焼き菓子練り込み用油脂組成物を提供することである。【解決手段】本発明は、粉末油脂と、焙煎小麦粉と、を含む、焼き菓子練り込み用油脂組成物を提供する。前記粉末油脂の質量は、前記焙煎小麦粉の質量に対して、0.1倍以上14.0倍以下であってもよい。また、前記粉末油脂中の油脂の質量は、前記焙煎小麦粉の質量に対して、0.1倍以上12.0倍以下であってもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、焼き菓子練り込み用油脂組成物、焼き菓子の製造方法、焼き菓子の外観性の向上方法に関する。
菓子は消費者に幅広く好まれる嗜好品であり、良好な風味等だけではなく、優れた外観性をも備えることが要求され得る。
焼き菓子は、外観性が重視される菓子の1つである。焼き菓子の製造において知られる問題として、菓子表面に焦げや凹凸が生じてしまうこと、つまり保形性の低下によって、商品価値が低下してしまうことが挙げられる。そのため、焼き菓子の保形性を高める技術が各種開発されている(特許文献1等)。
特開2016−163566号公報
しかし、保形性等がより良い、外観性が良好な焼き菓子が得られる技術に対するニーズがある。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、外観性が良好な焼き菓子が得られる焼き菓子練り込み用油脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、焼き菓子の製造時において、生地に、粉末油脂と焙煎小麦粉とを含む組成物を練り込むことで、上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 粉末油脂と、焙煎小麦粉と、を含む、焼き菓子練り込み用油脂組成物。
(2) 前記粉末油脂の質量は、前記焙煎小麦粉の質量に対して、0.1倍以上14.0倍以下である、(1)に記載の油脂組成物。
(3) 前記粉末油脂中の油脂の質量は、前記焙煎小麦粉の質量に対して、0.1倍以上12.0倍以下である、(1)又は(2)に記載の油脂組成物。
(4) 前記焙煎小麦粉は、Lab表色系表現における白色度が90以下である、(1)から(3)のいずれかに記載の油脂組成物。
(5) さらに、澱粉を含む、(1)から(4)のいずれかに記載の油脂組成物。
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の油脂組成物を生地に練り込んだ後、前記生地を焼成する工程を含む、焼き菓子の製造方法。
(7) 前記生地に対して、1.0質量%以上35質量%以下の前記油脂組成物を生地に練り込む、(6)に記載の製造方法。
(8) (1)から(5)のいずれかに記載の油脂組成物を生地に練り込み、この生地を焼成することを特徴とする、焼き菓子の外観性の向上方法。
本発明によれば、外観性が良好な焼き菓子が得られる焼き菓子練り込み用油脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<焼き菓子練り込み用油脂組成物>
本発明の焼き菓子練り込み用油脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、粉末油脂と、焙煎小麦粉と、を少なくとも含む。本発明者の検討の結果、本発明の組成物によれば、これを配合した焼き菓子に対して、良好な保形性、及び比容積を付与でき、外観性が良好な焼き菓子が得られることが見出された。さらに、本発明の組成物によれば、これを配合した焼き菓子に対して、良好な離型性も付与でき得る。
本発明において、「外観性が良好である」とは、焼き菓子表面の割れや凹凸等が抑制され、焼き菓子特有のふっくらとした外観を有することを意味する。
「保形性」は、焼き菓子表面の割れや凹凸等が抑制されているかの指標であり、焼き菓子表面の目視観察に基づいて判定される。
「比容積」は単位質量の物質が占める容積(単位:cm/g)を意味し、焼き菓子が焼き菓子特有のふっくらとした外観を有するかの指標である。比容積が高いほど、ふっくらした外観であることを示す。
さらに、焼き菓子が型を用いて得られるものである場合、本発明の組成物によれば、これを配合した焼き菓子に対して、良好な離型性も付与し得る。「離型性」は、焼き菓子が型通りの形状を有しているかの指標であり、焼成された生地の型離れのよさに基づいて判定される。
また、本発明の組成物は、意外にも、構成粒径のばらつきが少ない傾向にあるという性質を有する。
以下、本発明の組成物の組成について詳述する。
(粉末油脂)
粉末油脂とは、水中油型乳化液、若しくは油中水型乳化液を乾燥粉末化させたもの、又は、油脂を乾燥粉末化させたものである。焼き菓子に対して、特に良好な保形性、及び比容積を付与できる点から、粉末油脂としては水中油型乳化液を乾燥粉末化させたものが好ましい。
本発明において、粉末油脂としては、任意の油相及び水相を含む乳化液から得られたものを使用できる。
乳化液を構成する油相には、油脂、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、大豆レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄レシチン、卵黄リゾレシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、サポニン、脱脂粉乳、カゼイン類、大豆タンパク質、えんどうタンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、アラビアガム、ガティガム、ゼラチン、胆汁末、加工澱粉、スフィンゴ脂質、植物ステロール類、トマト糖脂質等)、抗酸化剤、増粘剤、防腐剤、香料、着色剤等が含まれていてもよい。
乳化液を構成する水相には、水、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、大豆レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄レシチン、卵黄リゾレシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、サポニン、脱脂粉乳、カゼイン類、大豆タンパク質、えんどうタンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、アラビアガム、ガティガム、ゼラチン、胆汁末、加工澱粉、スフィンゴ脂質、植物ステロール類、トマト糖脂質等)、賦形剤(デキストリン等)、抗酸化剤、増粘剤、防腐剤、香料、着色剤等が含まれていてもよい。
水中油型乳化液又は油中水型乳化液は、上記の油相及び水相を、ホモジナイザー等を用いて均質化することで得られる。
乳化液又は油脂の乾燥粉末化は、噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法、真空乾燥法等の公知の方法によって行うことができる。
本発明の組成物における粉末油脂の配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜調整できるが、下限値は、本発明の組成物に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。上限値は、本発明の組成物に対して、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
(焙煎小麦粉)
焙煎小麦粉とは、任意の小麦粉を焙煎加工したものである。
焙煎小麦粉の原料である小麦粉は、強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉のいずれか1種以上であってもよい。
焙煎小麦粉を得るための焙煎方法は、通常の食品製造分野で用いられる任意の方法を採用できる。焙煎における加熱条件等を調整することで、小麦粉の焙煎度を調整することができる。
焙煎小麦粉の焙煎度は、任意の程度に調整されていてもよい。小麦粉の焙煎度は、Lab表色系表現における白色度を指標として特定され得る。焙煎小麦粉の白色度は、未焙煎小麦粉と比較して値が小さい。例えば、本発明の効果が奏されやすいという観点から、本発明における焙煎小麦粉は、Lab表色系表現における白色度が、好ましくは90以下である。焙煎小麦粉の、Lab表色系表現における白色度の下限値は60以上であってもよい。
焙煎小麦粉の白色度は、分光色差計を用いて測定されたwLabとして特定する。
また、小麦粉の焙煎度は、小麦粉の水分量に基づいて特定することもできる。焙煎小麦粉は、未焙煎小麦粉と比較して水分量が低い。例えば、本発明の効果が奏されやすいという観点から、焙煎小麦粉の水分量は、焙煎小麦粉に対して好ましくは10質量%以下である。焙煎小麦粉の水分量の下限値は、焙煎小麦粉に対して2質量%以上であってもよい。
本発明における焙煎小麦粉としては市販品(例えば、下記実施例で用いられたもの)を用いてもよい。
本発明の組成物における焙煎小麦粉の配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜調整できるが、下限値は、本発明の組成物に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。上限値は、本発明の組成物に対して、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
(粉末油脂と焙煎小麦粉との比率)
本発明の組成物においては、粉末油脂と焙煎小麦粉との比率を調整することで、より容易に、得られる焼き菓子の外観性を向上させることができる。
例えば、粉末油脂の質量は、焙煎小麦粉の質量に対して、下限値は、好ましくは0.1倍以上、より好ましくは0.5倍以上、さらに好ましくは2.0倍以上、特に好ましくは4.0以上である。上限値は、好ましくは14.0倍以下、より好ましくは12.0倍以下、さらに好ましくは10.0倍以下、特に好ましくは8.0倍以下である。
例えば、粉末油脂中の油脂の質量は、焙煎小麦粉の質量に対して、下限値は、好ましくは0.1倍以上、より好ましくは0.5倍以上、さらに好ましくは2.0倍以上、特に好ましくは4.0倍以上である。上限値は、好ましくは12.0倍以下、より好ましくは10.0倍以下、さらに好ましくは8.0倍以下、特に好ましくは6.0倍以下である。
(その他の成分)
本発明の組成物には、上記成分のほか、食品に通常配合され得る任意の成分を含んでいてもよい。このような成分として、澱粉、粉末油脂以外の油脂、乳製品、タンパク質、糖質(難消化性デキストリン等)、卵(卵白等)、卵加工品、塩類、乳化剤、ベーキングパウダー、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、アーモンドパウダー、ココナッツパウダー、キャラメルパウダー、コーヒー、茶類(紅茶、抹茶等)、豆類、きな粉、大豆蛋白、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色料、フレーバー、酵素等が挙げられる。これらの成分の種類や量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定できる。
本発明の組成物に澱粉を配合することで、得られる焼き菓子の離型性を向上させやすくなる。本発明における澱粉としては、任意の原料から得られる澱粉及びその加工澱粉、並びにレジスタントスターチ等から選択される1種以上を使用できる。澱粉の原料としては、トウモロコシ、小麦、コメ、ジャガイモ等が挙げられる。本発明における澱粉としてレジスタントスターチを用いることで、得られる焼き菓子の食感が良好となりやすい。
本発明の組成物に澱粉が含まれる場合、その下限値は、本発明の組成物に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。上限値は、本発明の組成物に対して、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
粉末油脂以外の油脂としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、魚油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、及びその分別油又は加工油等が挙げられる。ただし、本発明の組成物を焼き菓子の生地中に分散させやすくなる観点から、本発明の組成物には粉末油脂以外の油脂が含まれないことが好ましい。
本発明の組成物は、好ましくは、粉末油脂と、焙煎小麦粉と、澱粉と、からなる(つまり、これらの3成分以外の成分を含まない。)。
<本発明の組成物の製造方法>
本発明の組成物は、上記の各成分を任意の方法で混合することで得られる。
<焼き菓子>
本発明の組成物を、菓子の生地に練り込み、この生地を焼成することによって、外観性に優れた焼き菓子を得ることができる。本発明の組成物の生地への練り込みや、焼成の方法としては、食品の製造分野で用いられる任意の条件及び方法を採用できる。
焼き菓子の種類としては特に限定されないが、ケーキ(フィナンシェ、バターケーキ、パウンドケーキ、スポンジケーキ、ホットケーキ、ワッフル等)、イースト菓子(シュトーレン、パネトーネ、クグロフ、ブリオッシュ、ドーナツ等)、クッキー、ビスケット、サブレ、パイ、ウエハース、クラッカー等が挙げられる。本発明の組成物によれば、焼き菓子の離型性も向上し得る。そのため、焼き菓子の種類としては、型を用いて得られるもの(フィナンシェ、マドレーヌ、マカロン、ガレット、ダックワーズ等)がより好ましい。
焼き菓子の生地としては、穀粉を主成分とする任意の生地を用いることができる。穀粉としては、焼成品の生地に通常配合されるものであれば特に限定されないが、例えば、未焙煎の小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、アーモンドプードル、大麦粉、全粒粉、米粉、トウモロコシ粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉、雑穀(アワ、ヒエ、アマランサス等)、ジャガイモ粉等が挙げられる。
焼き菓子の生地に配合される穀粉のうち、アーモンドプードルは、焼き菓子に良好な風味や食感を付与できるものの、高価な原料であることが知られる。他方、本発明の組成物は比較的安価に調製できるにもかかわらず、アーモンドプードルを用いた場合と同等の風味や食感を焼き菓子に付与し得る。したがって、本発明の組成物は、アーモンドプードルの代替品として使用してもよい。ただし、本発明の組成物とアーモンドプードルとを併用する態様は本発明から排除されない。例えば、本発明の組成物とアーモンドプードルとを、質量比で1:9〜9:1の割合で併用してもよい。
焼き菓子の生地には、焼き菓子の生地に通常配合される任意の成分を配合してもよい。具体的には、例えば、水、乳製品、タンパク質、糖質(白糖等)、粉末油脂以外の油脂(バター、マーガリン等)、卵(卵白等)、卵加工品、塩類、乳化剤、乳化起泡剤、ベーキングパウダー、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、アーモンドパウダー、ココナッツパウダー、キャラメルパウダー、コーヒー、茶類(紅茶、抹茶等)、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆蛋白、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色料、フレーバー、酵素等が挙げられる。このような成分の種類や量は、焼き菓子の種類や、得ようとする効果等に応じて適宜設定できる。
焼き菓子の生地に対する、本発明の組成物の配合量(つまり、生地への練り込み量)は、焼き菓子の種類等に応じて適宜設定できる。例えば、本発明の組成物の配合量の下限値は、焼き菓子の生地に対して、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であってもよい。本発明の組成物の配合量の上限値は、焼き菓子の生地に対して、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下であってもよい。
<焼き菓子の外観性の向上方法>
上述のとおり、本発明の組成物によれば、これを生地に練り込んで焼成することで得られた焼き菓子に対して、良好な保形性、及び比容積を付与できるので、外観性が良好な焼き菓子が得られる。したがって、本発明の組成物は焼き菓子の外観性を向上させるために好ましく使用できる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<焼き菓子練り込み用油脂組成物及び焼き菓子の作製>
以下の原料を用いて焼き菓子練り込み用油脂組成物、及び該組成物を用いた焼き菓子を作製し、後述する各種評価に供した。
(焼き菓子練り込み用油脂組成物の作製)
以下の[焼き菓子練り込み用油脂組成物の原料]に示す原料を表3及び4に示される割合で用い、各原料を撹拌混合して、焼き菓子練り込み用油脂組成物を作製した。なお、表3及び4中、「粉末油脂/焙煎小麦粉」は、各組成物における焙煎小麦粉の質量に対する粉末油脂全体の質量の比率を意味し、「粉末油脂中の油脂/焙煎小麦粉」は、各組成物における焙煎小麦粉の質量に対する粉末油脂中の油脂の質量の比率を意味する。
[焼き菓子練り込み用油脂組成物の原料]
粉末油脂:表1(表中の数値の単位:質量%)に示す組成を有する粉末油脂を用いた。
液状油脂:菜種油
焙煎小麦粉−1:商品名「ローストフラワーRD」(フレッシュ・フード・サービス株式会社製、焙煎度=中、水分=9.5%、白色度=88.96)
焙煎小麦粉−2:商品名「ローストフラワーRX」(フレッシュ・フード・サービス株式会社製、焙煎度=大、水分=6.0%、白色度=78.91)
焙煎小麦粉−3:焙煎小麦全粒粉(星野物産株式会社製、焙煎度=大、水分=3.1%、白色度=69.61)
未焙煎小麦粉:商品名「バイオレット」(日清製粉株式会社製、 薄力粉、白色度=91.14)
レジスタントスターチ:商品名「HI−MAIZE 1043」(イングレディオン・ジャパン株式会社製)
澱粉:商品名「W−300」(株式会社J−オイルミルズ製)
[粉末油脂の作製方法]
表1に記載の油脂に乳化剤を添加し、70℃に加熱して撹拌後、油相を調製した。該油相と同量の温水(60℃)に乳タンパク質、糖質を添加し、70℃に加熱し、水相を調製した。水相と油相とを混合した後、圧力式ホモジナイザーを用いて150kgf/cmの圧力で均質化し、水中油型乳化物を得た。得られた水中油型乳化物を、ノズル式スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、水分1.2質量%の粉末油脂を得た(噴霧乾燥条件:入口温度210℃)。
Figure 2020018177
[小麦粉の水分の測定]
上記各小麦粉の水分は、水分計(商品名「MOC63u」、株式会社島津製作所製)を用いて、水分率(単位:%)として特定した。
[小麦粉の白色度の測定]
上記各小麦粉の白色度は、分光色差計(商品名「SE 6000」、日本電色工業株式会社製)を用いて、wLabとして特定した。数値が高いほど、白色度が高いことを意味する。
(焼き菓子の作製)
各焼き菓子練り込み用油脂組成物を用いて、表2(表中の数値の単位:質量%)に示す組成を有する焼き菓子(フィナンシェ)を作製した。表2中、「参考例」は、従来の一般的なフィナンシェの配合に相当する。
なお、表3及び4中、「焼き菓子の配合」の項には、表2に示した組成のいずれを用いたかを示した。例えば、「焼き菓子の配合」の項の記載が「1」である場合、表2の「配合1」を用いたことを意味する。
Figure 2020018177
[焼き菓子の作製方法]
ふるいにかけた上白糖及び解凍した卵白を混合し、さらに、ふるいにかけたアーモンドプードル及び/又は各焼き菓子練り込み用油脂組成物、並びにベーキングパウダーを混合した。得られた混合物を撹拌しながら、75℃に溶解したマーガリンを混合し、生地を得た。該生地が冷える前に、フィナンシェの型に30gずつ分注し、上火185℃、下火170℃のオーブンで20分間焼成した。焼成後、型に衝撃を与え、裏返してフィナンシェを取り出した。
<焼き菓子練り込み用油脂組成物及び焼き菓子の評価>
焼き菓子練り込み用油脂組成物及び焼き菓子の諸特性について、以下の評価を行った。
(焼き菓子練り込み用油脂組成物の評価)
以下の方法で、各焼き菓子練り込み用油脂組成物、及び、表2の「参考例」に示す組成物の50%平均径及びダブルピークの有無を評価した。その結果を表3及び4に示す。なお、これらの指標は、いずれも組成物の粒径に関するものである。
組成物の50%平均径が小さすぎると組成物使用時に粉舞いが生じやすく、大きすぎると食感がざらついたものとなりやすい。
組成物の構成粒径にばらつきがあると、粒径の違いによって沈降速度が異なるため、組成物において、粒子の大きさごとに分かれて層ができ、分級してしまう。ダブルピークがないことは、構成粒径のばらつきが小さく、したがって保存時における分級が生じにくく、組成物が均一であることを意味する。そのため、ダブルピークがない組成物は、その使用前における混合・均一化する作業を省くことができる。
[50%平均径]
ロボットシフター(株式会社セイシン企業製)を用いて、各組成物5g(サイロイドなし)の50%平均径(μm)を測定した。
◎+:50%平均径が220μm以上280μm未満である
◎:50%平均径が180μm以上220μm未満、又は280μm以上320μm未満である
○:50%平均径が140μm以上180μm未満、又は320μm以上360μm未満である
△:50%平均径が100μm以上140μm未満、又は360μm以上400μm未満である
×:50%平均径が100μm未満、又は400μm以上である
[ダブルピークの有無]
ロボットシフター(株式会社セイシン企業製)を用いて、各組成物5g(サイロイドなし)の50%平均径を測定した際の粒子径分布の形状を下記基準に従って評価した。
○:粒子径分布におけるピークが1つ以下である(ダブルピークがない)
×:粒子径分布におけるピークが2つ以上である(ダブルピークがある)
(焼き菓子の評価)
以下の方法で、各焼き菓子の保形性、比容積、離型性、並びに、風味及び食感を評価した。その結果を表3及び4に示す。
[保形性]
各フィナンシェを目視で観察し、底面と上部の形状を下記基準に従って評価した。
◎+:底部が平らであり、かつ、上部に釜落ち(表面のへこみ)が認められない
◎:底部がややへこんでいるが、上部に釜落ちが認められない
○:底部がへこんでいるが、上部に釜落ちが認められない
△:上部がやや釜落ちしている、又は、上部がやや割れている
×:上部が釜落ちしている、又は、上部が割れている
[比容積]
各フィナンシェ(10個ずつ)の比容積をレーザー体積計測機(商品名「VolScan600」、英弘精機株式会社製)を用いて測定し、得られた値の平均値を比容積とした。
◎:比容積が1.3cm/g以上である
○:比容積が1.1cm/g以上1.3cm/g未満である
×:比容積が1.1cm/g未満である
[離型性]
生地の焼成後、型(全10個)に衝撃を与え、フィナンシェを取り出した際に、型から離れたフィナンシェの個数を数え、以下の基準に基づき評価した。
◎+:型から離れたフィナンシェの個数が9〜10個である
◎:型から離れたフィナンシェの個数が7〜8個である
○:型から離れたフィナンシェの個数が5〜6個である
△:型から離れたフィナンシェの個数が3〜4個である
×:型から離れたフィナンシェの個数が2個以下である
[風味及び食感]
パネル12名による官能評価を行い、各フィナンシェの風味及び食感を、表2の「参考例」に基づいて得られたフィナンシェの風味及び食感に対して、相対的に評価した。具体的な基準は以下のとおりである。
◎+:参考例のフィナンシェと同等の風味・食感である
◎:参考例のフィナンシェとほぼ同等の風味・食感である
○:参考例のフィナンシェにそこそこ近い風味・食感である
△:参考例のフィナンシェにあまり近くない風味・食感である
×:参考例のフィナンシェと異なる風味・食感である

Figure 2020018177
Figure 2020018177
表3及び4に示されるとおり、本発明の組成物に相当する組成物を用いた各実施例は、従来の配合である参考例や、本発明の組成物に相当しない組成物を用いた各比較例と比較して、保形性及び比容積が良好であり、外観性に優れていた。また、各実施例においては離型性が良好であり、ダブルピークが認められず、均一な組成物が得られた。
比較例1及び2に示されるとおり、組成物に粉末油脂及び焙煎小麦粉のうちいずれかが含まれない場合には、焼き菓子の保形性、さらには風味や食感が損なわれていた。また、比較例2においては、均一な組成物が得られなかった。
比較例3に示されるとおり、粉末油脂の代わりに液状油脂(菜種油)を用いると、焼き菓子の保形性及び比容積、さらには風味や食感が損なわれていた。また、比較例3においては、組成物が粉末状でないため、50%平均径及びダブルピークの有無は測定できなかった。
比較例4に示されるとおり、焙煎小麦粉の代わりに未焙煎小麦粉を用いると、焼き菓子の比容積が損なわれていた。
以上から、本発明の組成物によれば、焼き菓子に対し、良好な保形性及び比容積を付与することで外観性を高めることができ、さらには良好な離型性、風味や食感をも付与し得ることがわかった。

Claims (8)

  1. 粉末油脂と、焙煎小麦粉と、を含む、焼き菓子練り込み用油脂組成物。
  2. 前記粉末油脂の質量は、前記焙煎小麦粉の質量に対して、0.1倍以上14.0倍以下である、請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 前記粉末油脂中の油脂の質量は、前記焙煎小麦粉の質量に対して、0.1倍以上12.0倍以下である、請求項1又は2に記載の油脂組成物。
  4. 前記焙煎小麦粉は、Lab表色系表現における白色度が90以下である、請求項1から3のいずれかに記載の油脂組成物。
  5. さらに、澱粉を含む、請求項1から4のいずれかに記載の油脂組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の油脂組成物を生地に練り込んだ後、前記生地を焼成する工程を含む、焼き菓子の製造方法。
  7. 前記生地に対して、1.0質量%以上35質量%以下の前記油脂組成物を生地に練り込む、請求項6に記載の製造方法。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載の油脂組成物を生地に練り込み、この生地を焼成することを特徴とする、焼き菓子の外観性の向上方法。
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