JP2020016012A - 上部構造物のジャッキアップ方法 - Google Patents

上部構造物のジャッキアップ方法 Download PDF

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【課題】ジャッキアップに起因した既存躯体の損傷を抑制できる上部構造物のジャッキアップ方法を提供する。【解決手段】上部構造物30のキャピタル3の周囲に補強装置6を装着し、キャピタル3の相対する一対の側面3S,3Sに圧縮応力を作用させる補強工程と、下部構造物20と上部構造物30との間隙に設置したジャッキ装置7を作動させて上部構造物30をジャッキアップするジャッキアップ工程とを備える。補強装置6は、相対して配置される一対の補強部材61,61と、それらの端部同士を連結する一対の連結部材62,62とを備え、全体として矩形状をなす枠体を構成する。補強工程では、一対の側面3S,3Sに沿って一対の補強部材61,61を配置するとともに、その一対の補強部材61,61を互いに接近させるように連結部材62,62を締め付けることで、一対の側面3S,3Sに補強部材61,61を押し当てる。【選択図】図4

Description

本発明は、免震装置が設置された下部構造物と上部構造物との間隙において上部構造物をジャッキアップする方法に関する。
図7は、下部構造物の躯体である基礎92と、上部構造物の躯体であるキャピタル93との間隙に設置された既設の免震装置91を示している。免震装置91の周辺に設置したジャッキ装置97を作動させて上部構造物をジャッキアップすることで、免震装置91を間隙から取り出せる状態となり、延いては免震装置91の交換を行うことができる。地震などで小さな揺れが発生したときにジャッキ装置97が水平方向に滑動できるよう、基礎92とジャッキ装置97との間には、ステンレス板などで形成されたスライド具94が配置されている。かかる手法は、例えば特許文献1に記載されている。
ジャッキ装置97の受圧面(荷重を受ける面)がキャピタル93の端部近傍に位置していると、上部構造物をジャッキアップする際に、図8のように、ジャッキ装置97の受圧面に圧縮応力が作用すると同時に、柱100に対してジャッキ装置97の受圧面が偏心していることで発生するせん断力によってキャピタル93の下面に引張応力が作用し(図8の下向き矢印は柱軸力を示し、符号Eは偏心量を示す)、キャピタル93の下面にひび割れCなどの損傷を生じる恐れがある。それ故、ジャッキ装置97の受圧面をキャピタル93の内側へ寄せて配置することが望まれるものの、ジャッキ装置97の水平方向の滑動を担保するためには、柱100に対してジャッキ装置97の受圧面が偏心することが避けられない。かかる不都合は、基礎92でも同様に生じうる。
これに対して、例えば特許文献2に記載されているように、増し打ちコンクリートを打設することで既存のキャピタル93を拡張し、ジャッキ装置97の設置スペースを確保する方法が考えられる。しかし、増し打ちコンクリートを利用する場合、工期の長期化、及び、躯体の重量増加が避けられない。また、増し打ちコンクリートを締結緊張するPC鋼棒を取り付けるための孔明け作業や、工事終了後に増し打ちコンクリートを解体するためのハツリ作業により、騒音と振動が発生するという問題もある。
特開2008−163636号公報 特開2000−257273号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ジャッキアップに起因した既存躯体の損傷を抑制できる上部構造物のジャッキアップ方法を提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成することができる。即ち、本発明に係る上部構造物のジャッキアップ方法は、免震装置が設置された下部構造物と上部構造物との間隙に対し、前記上部構造物の躯体の周囲に補強装置を装着し、前記躯体の相対する一対の側面に圧縮応力を作用させる補強工程と、前記下部構造物と前記上部構造物との間隙に設置したジャッキ装置を作動させて前記上部構造物をジャッキアップするジャッキアップ工程と、を備え、前記補強装置が、相対して配置される一対の補強部材と、一対の前記補強部材の端部同士を連結する一対の連結部材とを備え、全体として矩形状をなす枠体を構成するものであり、前記補強工程では、前記躯体の相対する一対の側面に沿って一対の前記補強部材を配置するとともに、その一対の前記補強部材を互いに接近させるように前記連結部材を締め付けることで、前記躯体の相対する一対の側面に前記補強部材を押し当てるものである。
この方法では、ジャッキアップを行う前に、躯体の周囲に装着した補強装置によって躯体の相対する一対の側面に圧縮応力を作用させる。この圧縮応力は、躯体の相対する一対の側面に補強部材を押し当てることによって付与される予圧縮(プレストレス)であり、躯体に作用する水平方向に沿った引張応力を低減する。その結果、ジャッキ装置の受圧面が躯体の端部近傍に位置する場合であっても、ジャッキアップに起因した既存躯体の損傷、例えばキャピタルの下面のひび割れを抑制することができる。
連結部材を強く締め付けると、補強部材が僅かに湾曲し、躯体の側面に作用する圧縮応力が躯体の中央部において小さくなる。それ故、前記補強工程にて、前記躯体の相対する一対の側面に、弾性体を介して前記補強部材を押し当てることが好ましい。かかる方法によれば、補強部材が僅かに湾曲した状態でも、弾性体の撓みに伴う反力により圧縮応力を適度に作用させて、既存躯体の下面の損傷を抑制することができる。
湾曲した補強部材と躯体の側面との間に生じる隙間は、躯体の端部で相対的に小さく、躯体の中央部で相対的に大きくなる。それ故、前記補強工程にて、前記躯体の相対する一対の側面に、前記弾性体とシム配列体とを介して前記補強部材を押し当てることが好ましい。前記シム配列体は、前記弾性体に面して設けられた複数のシムを水平方向に配列させて構成されており、前記躯体の中央部に配置される前記シムの厚みが、前記躯体の端部に配置される前記シムの厚みよりも大きい。かかる方法によれば、シム配列体によって隙間の差を低減し、躯体の側面に作用する圧縮応力の均一化を図ることができる。
湾曲した補強部材と躯体の側面との間に介在する弾性体の撓みは、躯体の端部で相対的に大きく、躯体の中央部で相対的に小さくなる傾向にあり、その躯体の側面に作用する圧縮応力についても同様の傾向になる。したがって、前記弾性体が、複数の弾性板材を水平方向に配列させて構成されており、前記躯体の中央部に配置される前記弾性板材の弾性率が、前記躯体の端部に配置される前記弾性板材の弾性率よりも大きいものでもよい。かかる方法によれば、躯体の中央部に配置された弾性板材の撓みに伴う反力を大きくし、躯体の側面に作用する圧縮応力の均一化を図ることができる。
湾曲した補強部材と躯体の側面との間に生じる隙間は、躯体の端部で相対的に小さく、躯体の中央部で相対的に大きくなる。したがって、前記弾性体が、複数の弾性板材を水平方向に配列させて構成されており、前記躯体の中央部に配置される前記弾性板材の厚みが、前記躯体の端部に配置される前記弾性板材の厚みよりも大きいものでもよい。かかる方法によれば、その隙間の差を弾性体(を構成する複数の弾性板材)によって低減し、躯体の側面に作用する圧縮応力の均一化を図ることができる。
既設の免震装置に接するキャピタルの周辺を示す(a)横断面図と(b)正面図 補強装置を装着したキャピタルの周辺を示す(a)横断面図と(b)正面図 キャピタルの周囲に補強装置を装着した状態を概略的に示す斜視図 キャピタルの周辺にジャッキ装置を設置した状態を示す(a)横断面図と(b)正面図 補強装置の要部を拡大して示す平面図 補強部材、弾性体及びシム配列体を示す平面図 既設の免震装置に接するキャピタルの周辺を示す正面図 既設の免震装置に接するキャピタルの周辺を示す正面図
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、既設の免震装置1に接するキャピタル3の周辺を示す横断面図であり、図1(b)のA−A断面に相当する。図1(b)は、そのキャピタル3の周辺を示す正面図である。図示は省略しているが、キャピタル3の上方には、図7と同様に柱が設けられている。図1に示すように、免震装置1は、下部構造物20と上部構造物30との間隙、より具体的には、下部構造物20の躯体である基礎2と、上部構造物30の躯体であるキャピタル3との間隙に設置されている。
免震装置1は、積層ゴム型の免震装置である。免震装置1は、柱状または筒状をなす胴体11と、胴体11の下端に形成された下側フランジ12と、胴体11の上端に形成された上側フランジ13とを備える。胴体11は、ゴムなどの弾性体と鋼板などの剛性体とを交互に積層して構成されている。但し、免震装置1の構造は、これに限定されるものではない。
免震装置の交換工事では、下部構造物20と上部構造物30との間隙から既設の免震装置1を取り出すとともに、それに代わる新たな免震装置を間隙内に設置することになる。免震装置1を間隙から取り出すためには、この免震装置1の周辺にジャッキ装置7を設置し、そのジャッキ装置7を作動させて上部構造物30をジャッキアップする必要がある。本実施形態では、免震装置1の側方(図1における左右両側)において、基礎2とキャピタル3との間隙に複数のジャッキ装置7が設置される例を示す。
図1に示す状態のまま上部構造物30をジャッキアップすると、既存のキャピタル3の下面にひび割れを生じる恐れがあり(図8参照)、ひび割れの発生が顕著な場合は、内部の鉄筋が降伏するなどの支障を来たす。加えて、キャピタル3の端部(例えば、破線枠Xで囲んだ部分)に角欠けや割れなどの損傷を生じる恐れがある。これは、ジャッキ装置7の受圧面がキャピタル3の端部近傍に位置しており、上部構造物30をジャッキアップした際に、キャピタル3の側面を膨出変形させる向きの応力(ポアソン効果。水平方向に沿った引張応力と見做せる)が作用するためである。また、ジャッキ装置7の受圧面をキャピタル3の端部から適度に離していても、スライド具4を介してジャッキ装置7が滑動したときに受圧面が端部近傍に位置することがある。
そこで、本実施形態では、そのようなジャッキアップに起因したキャピタル3(既存躯体の一例)の損傷を抑制できるよう、以下に説明する方法により上部構造物30をジャッキアップし、そのうえで既設の免震装置1を間隙から取り出す。本実施形態のジャッキアップ方法は、図2,3に示すようにキャピタル3の周囲に補強装置6を装着し、キャピタル3の相対する一対の側面3S,3Sに圧縮応力を作用させる補強工程と、下部構造物20と上部構造物30との間隙に設置したジャッキ装置7(図4参照)を作動させて上部構造物30をジャッキアップするジャッキアップ工程とを備える。
図2は、補強装置6を装着したキャピタル3の周辺を示す(a)横断面図と(b)正面図であり、それぞれ図1(a)及び(b)に対応している。図3は、そのキャピタル3の周辺を左手前側(図2(a)の矢印P方向)から見た斜視図である。キャピタル3は、図2において免震装置1の左右に位置する一対の側面3S,3Sと、同じく免震装置1の前後に位置する一対の側面3T,3Tとを備えた四角柱状に形成されている。ジャッキ装置7の受圧面は、一対の側面3S,3Sに沿って設定される(図1,4参照)。キャピタル3の周囲に増し打ちコンクリートは打設されておらず、補強装置6は既存のキャピタル3に装着されている。
補強装置6は、相対して配置される一対の補強部材61,61と、その一対の補強部材61,61の端部同士を連結する一対の連結部材62,62とを備え、図2(a)のように全体として矩形状をなす枠体を構成している。補強工程では、キャピタル3の相対する一対の側面3S,3Sに沿って一対の補強部材61,61を配置するとともに、その一対の補強部材61,61を互いに接近させるように連結部材62,62を締め付けることで、キャピタル3の相対する一対の側面3S,3Sに補強部材61,61を押し当てる。この補強工程は、ジャッキアップ工程の前に行われる。
図4は、補強後のキャピタル3の周辺にジャッキ装置7を設置した状態を示す(a)横断面図と(b)正面図であり、それぞれ図2(a)及び(b)に対応している。ジャッキ装置7は、基礎2とキャピタル3との間隙に設置され、その受圧面は、補強部材61,61が押し当てられる一対の側面3S,3Sに沿って設定されている。また、図4(a)の如き平面視において、側面3Sでは中央部にジャッキ装置7の受圧面が設定されているのに対し、側面3Tではそうではない。本実施形態では、ジャッキ装置7とキャピタル3との間にスペーサ71を介在させている。ジャッキ装置7を設置する作業は、補強工程の前に行っても構わない。
下部構造物20及び上部構造物30の少なくとも一方とジャッキ装置7との間には、平板状のスライド具を配置することが好ましい。これにより、ジャッキアップの最中に地震などで小さな揺れが発生したときでもジャッキ装置7による支持状態を維持して、安全性を高めることができる。本実施形態では、下部構造物20(の基礎2)とジャッキ装置7との間にスライド具4を配置している。スライド具4は、例えば、一方を樹脂、他方をステンレスで形成された滑り板により構成することができる。
既述のように、ジャッキアップ工程では、ジャッキ装置7を作動させて上部構造物30をジャッキアップする。そして、本実施形態では、上部構造物30をジャッキアップした状態にして、免震装置1を間隙から取り出す。既設の免震装置1を取り出した後、それに代わる新たな免震装置を間隙内に設置することで、免震装置の交換が行われる。免震装置の交換を終えたら、ジャッキ装置7によるジャッキアップを解除し、新設した免震装置で荷重(軸力)を受けてからジャッキ装置7を撤去する。また、キャピタル3に対する補強装置6の装着を解除し、補強装置6を撤去する。
このように、本実施形態では、ジャッキアップを行う前に、補強装置6によって一対の側面3S,3Sに圧縮応力を作用させる。この圧縮応力は、補強部材61,61を押し当てることによって付与される予圧縮(プレストレス)であり、キャピタル3に作用する水平方向に沿った引張応力を低減し、延いてはキャピタル3の下面のひび割れの発生を抑制する。その結果、ジャッキアップを行う際に、ジャッキ装置7の受圧面がキャピタル3の端部近傍に位置する場合であっても、ジャッキアップに起因したキャピタル3の損傷を抑制できる。
図2〜4のように、本実施形態では、下部構造物20の躯体である基礎2に対して、増し打ちコンクリート5を打設することにより補強している。但し、ジャッキアップに起因した基礎2(既存躯体の一例)の損傷を抑制することを目的として、基礎2の周囲に同様の補強装置を装着し、その基礎2の相対する一対の側面に圧縮応力を作用させてもよい。即ち、上部構造物30の躯体に代えてまたは加えて、下部構造物20の躯体においても、補強装置により予圧縮を付与して補強することが可能である。
補強装置6の構成について詳しく説明する。補強部材61は、水平方向に延在した柱状または棒状に形成されている。補強部材61は、鉄材などの金属材により形成される。補強部材61は、側面3Sの長さよりも大きい長さを有し、その両端部を側面3Sから突出させている。一対の連結部材62は、キャピタル3の相対する一対の側面3T,3Tに沿って配置され、側面3Sから突出した補強部材61の端部に接続されている。本実施形態では、補強部材61が内部に空洞を有しており、その空洞にモルタルなどのグラウトを注入する。連結部材62の締め付けは、グラウトが固まった後に行われる。
キャピタル3に作用する引張応力を効果的に低減するうえでは、補強装置6をキャピタル3の下部側面に装着し、補強部材61をキャピタル3の下面に近付けることが好ましい。かかる観点から、本実施形態では、補強部材61の下面を、キャピタル3の下面と面一に、即ちキャピタル3の下面と同一平面上に配置している。補強装置6を用いて基礎2を補強する場合は、同様に、補強装置6を基礎2の上部側面に装着し、補強部材61を基礎2の上面に近付けることが好ましい。よって、その場合は、補強部材61の上面を、基礎2の上面と面一に配置することが好適である。
図5に拡大して示すように、本実施形態では、連結部材62が、PC鋼棒62bと、その端部に螺合されたナット62n(締結部材の一例)とを有している。このナット62nを操作して連結部材62,62を締め付けることにより、互いに接近する一対の補強部材61,61でキャピタル3を挟み込み、予圧縮を付与することができる。PC鋼棒62bの代わりに、PC鋼線(PC鋼より線を含む)を使用してもよい。連結部材62を強く締め付けると、それに伴って補強部材61は僅かに湾曲する。図5では、湾曲した補強部材61を破線によって模式的に描いている。
連結部材62の締め付けによって補強部材61が湾曲すると、キャピタル3の中央部では側面3S,3Sに作用する圧縮応力が小さくなる。そこで、本実施形態では、補強工程にて、キャピタル3の相対する一対の側面3S,3Sに、弾性体63を介して補強部材61を押し当てるようにしている。かかる方法によれば、補強部材61が僅かに湾曲した状態でも、弾性体63の撓みに伴う反力により圧縮応力を適度に作用させて、キャピタル3の損傷を抑制できる。
弾性体63は、例えばゴムで形成される。弾性体63は、キャピタル3の側面に対向する補強部材61の側面に貼り付けられている。このような弾性体63を介して補強部材61を側面3Sに押し当てる場合は、弾性体63のクリープ変形による影響を考慮し、連結部材62を強く締め付けて補強部材61を側面3Sに押し当てた後で、所定の期間(例えば一週間ほど)放置しておき、その期間の経過後に再び連結部材62を強く締め付けたうえで、ジャッキアップを行うようにしてもよい。
図6は、補強部材61と、それに貼り付けられる弾性体63、及び、後述するシム配列体65を示す。本実施形態では、弾性体63が、複数のゴムパッド64(弾性板材に相当)を水平方向(図5,6における上下方向)に配列させて構成されている。これにより、既製のゴムパッドを利用できるのでコスト低減に寄与するとともに、後述のような弾性率や厚みを異ならせた形態を採用するうえで都合が良い。但し、これに限られず、弾性体63が、長手方向に連続して延びた一枚のゴムパッドで構成されていてもよい。
湾曲した補強部材61とキャピタル3の側面3Sとの間に生じる隙間は、キャピタル3の端部で相対的に小さく、キャピタル3の中央部で相対的に大きくなる。そこで、本実施形態では、補強工程にて、一対の側面3S,3Sに、弾性体63とシム配列体65とを介して補強部材61を押し当てるようにしている。シム配列体65は、弾性体63に面して設けられた複数のシム66を水平方向に配列させて構成されている。シム66は、薄板状のスペーサであり、ステンレスなどの金属材により形成されている。取り扱いを簡単にするうえで、弾性体63及びシム配列体65は補強部材61に予め接着しておくことが好ましい。
シム配列体65を構成するシム66に関して、キャピタル3の中央部に配置されるシム66の厚みは、キャピタル3の端部に配置されるシム66の厚みよりも大きい。かかる方法によれば、シム配列体65によって隙間の差を低減し、キャピタル3の側面3Sに作用する圧縮応力の均一化を図って、キャピタル3の損傷を適切に抑制できる。本実施形態では、シム配列体65を補強部材61と弾性体63との間に配置しているため、シム配列体65ではなく弾性体63が側面3Sに接触する。これにより、側面3Sの微小な凹凸を弾性体63の撓みで吸収し、補強部材61を均一に押し当てることができる。
湾曲した補強部材61とキャピタル3の側面3Sとの間に生じる隙間は、キャピタル3の中央部から端部に向かって次第に小さくなる。したがって、例えば、キャピタル3の中央部で0.8mm程度の隙間が生じる場合に、中央部に配置されるシム66d,66eの厚みを0.8mm、端部に配置されるシム66b,66gの厚みを0.4mm、それらの間に配置されるシム66c,66fの厚みを0.6mmとすることが考えられる。このような微小単位で厚みを異ならせたシム66は容易に入手できるため、ゴムパッド64の厚みで調整する場合に比べて、より簡便で且つ高精度に隙間を補うことができる。
本実施形態では、複数のゴムパッド64が一様に形成されており、物性やサイズ(特に厚み)が互いに同じである例を示す。但し、これに限られるものではなく、例えば、後述する第1の変形例のように弾性率(ヤング率)を異ならせたり、後述する第2の変形例のように厚みを異ならせたりしてもよい。これらの変形例は、特に制約なく組み合わせて採用することが可能である。
第1の変形例として、キャピタル3の中央部に配置されるゴムパッド64の弾性率が、キャピタル3の端部に配置されるゴムパッド64の弾性率よりも大きい態様が考えられる。湾曲した補強部材61とキャピタル3の側面3Sとの間に介在する弾性体63の撓みは、キャピタル3の端部で相対的に大きく、キャピタル3の中央部で相対的に小さくなる傾向にあり、そのキャピタル3の側面3Sに作用する圧縮応力についても同様の傾向になるところ、この変形例によれば、キャピタル3の中央部に配置されたゴムパッド64の撓みに伴う反力を大きくして、側面3Sに作用する圧縮応力の均一化を図ることができる。
例えば、ゴムパッド64が2mmまで撓むものであって、キャピタル3の中央部で0.8mm程度の隙間が生じる場合、そのキャピタル3の中央部に配置されるゴムパッド64(例えば、ゴムパッド64a〜64hにおけるゴムパッド64d,64e)は1.2mmしか撓まないことになり、他のゴムパッド64の撓みに比べて小さくなる。そこで、中央部のゴムパッド64d,64eには、少ない撓みでも十分な反力が得られるよう、弾性率の高いゴムパッドを採用し、圧縮応力を適度に作用させるようにする。
第2の変形例として、キャピタル3の中央部に配置されるゴムパッド64の厚みが、キャピタル3の端部に配置されるゴムパッド64の厚みよりも大きい態様が考えられる。湾曲した補強部材61とキャピタル3の側面3Sとの間に生じる隙間は、キャピタル3の端部で相対的に小さく、キャピタル3の中央部で相対的に大きくなるところ、この変形例によれば、その隙間の差を弾性体63(を構成する複数のゴムパッド64)によって低減し、キャピタル3の側面3Sに作用する圧縮応力の均一化を図ることができる。
前述の実施形態では、既設の免震装置1が接する下部構造物20の躯体が基礎2である例を示したが、これに限られず、床などの他の躯体であってもよい。また、既設の免震装置1が接する上部構造物30の躯体がキャピタル3である例を示したが、これに限られず、柱などの他の躯体であってもよい。
前述の実施形態では、免震装置の交換工事において、免震装置を間隙から取り出す箇所で上部構造物をジャッキアップする例を示したが、これに限定されない。したがって、例えば、既設の免震装置を取り出すための隙間を確保するべく、周辺にある免震装置を取り出す必要のない間隙に対し、その上部構造物をジャッキアップする場合に、本発明を適用することも可能である。よって、本発明に係るジャッキアップ方法は、免震装置の交換部分に限らず、非交換部分でも適用できるものである。
本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
1 免震装置
2 基礎(躯体の一例)
3 キャピタル(躯体の一例)
3S キャピタルの側面
6 補強装置
7 ジャッキ装置
20 下部構造物
30 上部構造物
61 補強部材
62 連結部材
63 弾性体
64 ゴムパッド(弾性板材)
65 シム配列体
66 シム

Claims (5)

  1. 免震装置が設置された下部構造物と上部構造物との間隙に対し、前記下部構造物または前記上部構造物の躯体の周囲に補強装置を装着し、前記躯体の相対する一対の側面に圧縮応力を作用させる補強工程と、
    前記下部構造物と前記上部構造物との間隙に設置したジャッキ装置を作動させて前記上部構造物をジャッキアップするジャッキアップ工程と、を備え、
    前記補強装置が、相対して配置される一対の補強部材と、一対の前記補強部材の端部同士を連結する一対の連結部材とを備え、全体として矩形状をなす枠体を構成するものであり、
    前記補強工程では、前記躯体の相対する一対の側面に沿って一対の前記補強部材を配置するとともに、その一対の前記補強部材を互いに接近させるように前記連結部材を締め付けることで、前記躯体の相対する一対の側面に前記補強部材を押し当てることを特徴とする、上部構造物のジャッキアップ方法。
  2. 前記補強工程にて、前記躯体の相対する一対の側面に、弾性体を介して前記補強部材を押し当てる請求項1に記載の上部構造物のジャッキアップ方法。
  3. 前記補強工程にて、前記躯体の相対する一対の側面に、前記弾性体とシム配列体とを介して前記補強部材を押し当て、
    前記シム配列体は、前記弾性体に面して設けられた複数のシムを水平方向に配列させて構成されており、前記躯体の中央部に配置される前記シムの厚みが、前記躯体の端部に配置される前記シムの厚みよりも大きい請求項2に記載の上部構造物のジャッキアップ方法。
  4. 前記弾性体が、複数の弾性板材を水平方向に配列させて構成されており、
    前記躯体の中央部に配置される前記弾性板材の弾性率が、前記躯体の端部に配置される前記弾性板材の弾性率よりも大きい請求項2または3に記載の上部構造物のジャッキアップ方法。
  5. 前記弾性体が、複数の弾性板材を水平方向に配列させて構成されており、
    前記躯体の中央部に配置される前記弾性板材の厚みが、前記躯体の端部に配置される前記弾性板材の厚みよりも大きい請求項2〜4いずれか1項に記載の上部構造物のジャッキアップ方法。
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