JP2020013795A - 鉛蓄電池に使用される中蓋の製造方法 - Google Patents

鉛蓄電池に使用される中蓋の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電槽内から飛沫した電解液が排気空間に入り込むことを抑制することができる、鉛蓄電池に使用される中蓋の製造方法の提供。【解決手段】中蓋を成形する射出成形金型は、固定型310と、固定型との間に中蓋を成形するキャビティを有する可動型320と、電槽内と排気空間を連通させる筒部材を中蓋に成形するコア330を有し、コアは、固定型に設けられた第1コア315と、可動型に設けられた第2コア325に分割されており、第1コアと第2コアは、電槽内から排気空間に対する電解液の飛沫を抑制し、筒部材の延在方向から見たときに重なっていない2つの遮蔽体84B、84Dの先端同士を結ぶ直線L1で分かれており、中蓋を射出成形する際に、第1コアと第2コアにより、筒部材の周壁に対して2つの遮蔽体を一体に成形する、中蓋の製造方法。【選択図】図15

Description

本発明は、振動による液滴の漏れを抑制する技術に関する。
自動車用などに用いられる鉛蓄電池は、電池の内圧が上昇するのを抑制するため、電槽内で発生したガスを排気する構造となっている。例えば、下記特許文献1では、電槽を封口する中蓋と上蓋との間に排気筒部と排気室を設け、電槽内で発生したガスを、排気筒部、排気室を経由して外部に排気する構造になっている。また、下記特許文献1では、排気室の底面に、還流孔に向かって傾斜する勾配が付けられており、排気室内の液滴は、還流孔を通じて電槽に戻るようになっている。
特許第5521390号公報
本発明は、電槽内から飛沫した電解液が排気空間に入り込むことを抑制するため、電槽と排気空間を連通する中蓋の筒部材に遮蔽体を設けること、遮蔽体を筒部材と一体的に成形することで、コスト低減を図ることを課題とする。
本明細書により開示される鉛蓄電池に使用される中蓋の製造方法は、前記中蓋を成形する射出成形金型は、固定型と、前記固定型との間に前記中蓋を成形するキャビティを有する可動型と、電槽内と排気空間を連通させる筒部材を前記中蓋に成形するコアを有し、前記コアは、前記固定型に設けられた第1コアと、前記可動型に設けられた第2コアに分割されており、前記第1コアと前記第2コアは、電槽内から排気空間に対する電解液の飛沫を抑制し、前記筒部材の延在方向から見たときに重なっていない2つの遮蔽体の先端同士を結ぶ直線で分かれており、前記中蓋を射出成形する際に、前記第1コアと前記第2コアにより、前記筒部材の周壁に対して前記2つの遮蔽体を一体に成形する。尚、上述した鉛蓄電池は、電槽内が外部と連通している、いわゆる液式鉛蓄電池であり、密閉式鉛蓄電池(制御弁式鉛蓄電池)とは異なる。
本明細書により開示される中蓋の製造方法は、筒部材に設けた遮蔽体により、電槽内から飛沫した電解液が排気空間に入り込むことを抑制することが出来る。また、遮蔽体を筒部材と一体的に成形することが可能となり、遮蔽体を別部材で成形する場合に比べて、コストを低減することが出来る。
本発明の実施形態1に係る鉛蓄電池の斜視図 電槽の平面図 鉛蓄電池の垂直断面図(図1中のA−A線断面図) 中蓋の平面図 中蓋の底面図 上蓋の平面図 上蓋の底面図 図4の一部を拡大した図(ガスの排気通路を示す) 図7の一部を拡大した図(ガスの排気通路を示す) 排気筒部の構造を示す断面図(図8中のB−B線断面図) 排気通路の構造を示す断面図 図8の一部を拡大した図(電解液の還流経路を示す) 排気筒部を拡大した平面図 中蓋を成形する射出成形金型の断面図 図14の一部を拡大した図 本発明の実施形態2に係る下側筒部の断面図 中蓋を成形する射出成形金型の一部(下側筒部の周辺)を拡大した断面図 遮蔽体の他の形態を示す図 比較例における排気筒部の構造を示す断面図
(本実施形態の概要)
初めに、本実施形態の鉛蓄電池の概要について説明する。本鉛蓄電池は、発電要素と、電解液と、前記発電要素と前記電解液を収容する電槽と、前記電槽を封口し、且つ、外部と連通する排気空間及び前記電槽内と前記排気空間とを連通させる筒部材が形成された蓋部材と、を備え、前記排気空間の底面は、空間内の液体を前記電槽内に還流させるように傾斜しており、前記筒部材は、前記筒部材の延在方向に間隔をあけて配置された複数の遮蔽体を有し、前記複数の遮蔽体の間を通って前記電槽内と前記排気空間とを連通させる。
排気空間は、空間内の液体を傾斜した底面に沿って電槽内に還流させることができる。そのため、従来から、鉛蓄電池が横転や倒立しない限り、排気空間内に電解液が滞留することはない。したがって、たとえ排気空間に電槽内から電解液が入り込んだとしても、入り込んだ電解液は電槽内に還流するため、鉛蓄電池が横転や倒立しない限り、排気空間に電槽内から電解液が入り込むことを一般的には深刻な問題と捉えなかった。そのような理由から、従来の還流構造を有する鉛蓄電池では、筒部材に上述した複数の遮蔽体を設けることは不要と考えられていた。実際の製品でも、筒部材に上述した複数の遮蔽体は設けられていない。
また、上述したように一般的には深刻な問題と捉えない以上、従来の還流構造を有する鉛蓄電池では、鉛蓄電池に振動が継続的に加わり、排気空間の出口から電解液が漏れだす現象が起きることがあっても、業界全体としては注目されることはなかった。一方、本発明者らは、排気空間の液滴は電槽内に戻る構成であるにも関わらず、鉛蓄電池に振動が継続的に加わると、排気空間の出口から電解液が漏れだす現象が起きる原因を特定しようと試みた。電解液の漏れの原因としては、例えば排気空間の還流させる傾斜に問題があるなど種々考えられ、特定作業は困難をきわめた。発明者らは、排気空間の電解液の動きを鋭く観察することで、鉛蓄電池に振動が継続的に加わると、電解液の液滴が排気空間の天井面を伝って移動する現象が起きるという知見を初めて得た。発明者らは、この知見により、鉛蓄電池に振動が継続的に加わり、電解液の液滴が天井面を伝って移動を続けることで、排気空間の出口に到達して外部に漏れ出してしまうことを初めて突き止めた。
さらに、発明者らは、天井面を伝う液滴の発生箇所を特定していく中で、鉛蓄電池に振動が継続的に加わると、電槽内から排気されるガスに含まれる水蒸気の結露による液滴よりも、電槽内から飛沫した電解液の液滴の方が、排気空間の天井面を伝う液滴の大半を占めることを知見した。以上から、発明者らは電槽内から飛沫した液滴が排気空間に入り込み、排気空間の天井面を伝うことを問題として捉え、本発明を着想するに至った。
本発明では、排気空間と連通する筒部材に複数の遮蔽体を設け、複数の遮蔽体を筒部材の延在方向に間隔をあけて配置させ、複数の遮蔽体の間を通って電槽内と排気空間とを連通させることで、電槽内からガスを排気させる経路は確保しつつ、電槽内から飛沫した電解液が排気空間に入り込みにくい経路を実現することができる。以上説明した理由から、このような複数の遮蔽体の配置と、底面が液滴を電槽に還流させるために傾斜した勾配を有する排気室とを組み合わせることで、振動時の液漏れの問題を著しく改善することができ、実用上の耐液漏れ信頼性が極めて高い、これまでに無かった鉛蓄電池を作製することができる。
具体的には、仮に、複数の遮蔽体が筒部材の延在方向(高さ方向)の同じ高さの位置に配置されている場合(図19に示す比較例参照)、複数の遮蔽体の間を、電槽内からガスを排気可能な一定幅S1以上にあける必要がある。一方、本実施形態のように、複数の遮蔽体が筒部材の延在方向(高さ方向)に間隔をあけて異なる高さ位置に配置されている場合、複数の遮蔽体の延在方向の間を使って上記一定幅S1を確保してガスを排気することが可能となる。したがって、複数の遮蔽体が同じ高さの位置に配置されている場合に比べて、図10に示すように、延在方向から見た複数の遮蔽体の間隔S2を上記一定幅S1よりも狭くする、もしくは、無くすことができる。以上により、電槽内からガスを排気させる経路は確保しつつ、電槽内から飛沫した電解液が排気空間に入り込みにくい経路を実現できる。これにより、排気空間の天井面を伝う電解液を減らすことができ、振動による液滴の漏れを抑制することができる。
本鉛蓄電池の実施態様として、以下の構成が好ましい。
前記蓋部材は、前記排気空間内の液体を前記電槽内へ還流させる還流部と、前記還流部とは別に前記排気空間と前記電槽内とを連通させる排気部と、を有し、前記排気部が、前記複数の遮蔽体を有する前記筒部材である。この構成では、電槽内と排気空間とを連通させる部分が、還流部と排気部との2か所存在する。発明者らは、仮に、上述のように配置された複数の遮蔽体が設けられていない場合、鉛蓄電池に振動が継続的に加わると、以下の現象が起きていることを知見した。鉛蓄電池に振動が継続的に加わると、初期では還流部と排気部のいずれからも排気空間に電解液が入り込んでいる。この排気空間に入り込んだ電解液は還流部から電槽内に戻ろうとするため、還流部には次第に電解液が溜まる。そして、還流部から電槽内に電解液が戻る際に、気液置換されて、電槽内から排気部を介して排気空間に空気が入り込む。このとき、空気と一緒に排気部から排気空間に電解液が入り込んでいることを知見した。したがって、還流部よりも排気部に上述のように配置された複数の遮蔽体を設けることで、電槽内から飛沫した電解液が排気空間に入り込むのを顕著に防ぐことができ、振動による液滴の漏れをより一層抑制することができる。
前記蓋部材は、前記電槽を覆う中蓋と、前記中蓋の上部に重ねて接合される上蓋と、を有し、前記筒部材は、前記中蓋に形成されており、前記筒部材内に配置された前記複数の遮蔽体は、前記延在方向から見たときに重なっていない。この構成では、延在方向への型抜きによって、中蓋の成形と同時に、遮蔽体を筒部材と一体的に成形することが可能となる。したがって、筒部材内に遮蔽体を容易に設けることができる。また、遮蔽体を筒部材と別部材で成形する場合に比べて、コストを低減することができる。
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図15によって説明する。
1.鉛蓄電池10の構造
鉛蓄電池10は、液式鉛蓄電池であり、図1から図3に示すように電槽20と、発電要素である極板群30と、電解液Wと、端子部40P、40Nと、蓋部材50とを備える。尚、以下の説明において、電槽20が設置面に対して傾きなく水平に置かれた時の、電槽20の横幅方向(端子部40P、40Nの並び方向)をX方向とし、電槽20の高さ方向(上下方向)をY方向とし、奥行方向をZ方向とする。
電槽20は合成樹脂製である。電槽20は4枚の外壁21と底壁22と備え、上面が開放した箱型をなす。電槽20は、図2に示すように、複数枚(本例では5枚)の隔壁23を有している。隔壁23はX方向に概ね等間隔で形成されており、電槽内部を、複数のセル室25に仕切っている。セル室25は、電槽20の横幅方向(図2のX方向)に6室設けられており、各セル室25には、希硫酸からなる電解液Wと共に極板群30が収容されている。
極板群30は、図3に示すように、正極板30Pと、負極板30Nと、両極板30P、30Nを仕切るセパレータ30Cとから構成されている。各極板30P、30Nは、格子体に活物質が充填されて構成されており、上部には耳部31P、31Nが設けられている。耳部31P、31Nは、ストラップ32を介して、同じ極性の極板30P、30Nをセル室25内にて連結するために設けられている。尚、正極板30Pの活物質の主成分は二酸化鉛、負極板30Nの活物質の主成分は鉛である。
ストラップ32は例えばX方向に長い板状であり、セル室25ごとに正極用と負極用の2組が設けられている。そして、隣接するセル室25の正負のストラップ32同士を、ストラップ32上に形成された接続部33を介して電気的に接続することにより、各セル室25の極板群30を直列に接続する構造となっている。
蓋部材50は、中蓋60と上蓋100とを備える。図4は、上蓋100をはずした状態で中蓋60を上方から見た平面図、図5は、中蓋60を下方から見た底面図である。中蓋60は合成樹脂製であって、蓋本体61とフランジ部67とを備える。
中蓋60の蓋本体61は、電槽20の上面を封口可能な大きさである。蓋本体61は、下面に、複数のリブ91と複数の蓋隔壁93を有している。各リブ91は、蓋本体61の下面から下向きに突出している。各リブ91は、電槽20を構成する4枚の外壁21に対応して設けられている。各蓋隔壁93は、リブ91と同様に、蓋本体61の下面から下向きに突出している。各蓋隔壁93は、電槽20の各隔壁23に対応して設けられている。
中蓋60の各リブ91は電槽20の各外壁21の上端面に重なり、各蓋隔壁93は電槽20の各隔壁23の上端面に重なって位置する。このようにリブ91や蓋隔壁23を電槽20側の各壁21、23に重ねることで電槽20及び各セル室25を気密する構造になっている。尚、各リブ91と外壁21、蓋隔壁93と隔壁23は、気密性が保持されるように、熱溶着により接合されている。また、フランジ部67は、蓋本体61の外周縁に形成されている。フランジ部67は、蓋本体61の裏面から下向きに延びており、電槽20の外壁21の上部を囲む。
また、図1、図4に示すように、中蓋60の蓋本体61は、低面部62と、高面部64と、台状部65を有しており、高低差を付けた形状となっている。低面部62は、蓋部材50の後部側と前部側に設けられている。前部側のX方向の両角部に設けられた各低面部62上には正極側と負極側の端子部40P、40Nが配置されている。
正極側の端子部40Pと、負極側の端子部40Nの構造は、同一であるため、以下、負極側の端子部40Nを例にとって構造を説明する。図3に示すように、負極側の端子部40Nは、ブッシング41と、極柱45とを含む。ブッシング41は鉛合金等の金属製であり中空の円筒状をなす。ブッシング41は、図3に示すように、中蓋60に対して一体形成された筒型の装着部63を貫通しており、上半分が低面部62の上面から突出している。ブッシング41のうち、低面部62の上面から露出する上半部は端子接続部であり、ハーネス端子などの接続端子(図略)が組み付けされる。
尚、中蓋60はブッシング41をインサートした金型に樹脂を流して一体成形することから、装着部63はブッシング41と一体化され、ブッシング41の下部外周を隙間なく覆う。すなわち、ブッシング41のうち、中蓋60の上面から突出する上半部を除くそれ以外の部分が、中蓋60の装着部63に埋め込まれる構造となっている。
極柱45は鉛合金等の金属製であり、円柱形状をしている。極柱45は、ブッシング41の内側に位置している。極柱45はブッシング41に比べて長く、極柱45の上部はブッシング41の内側に位置し、下部はブッシング41の下面から下向きに突出している。極柱45の上端部は、ブッシング41に対して溶接により接合され、極柱45の基端部47は極板群30のストラップ32に接合されている。
中蓋60の高面部64は、蓋本体61の前部中央に形成されている。高面部64は、X方向の両角部に形成された低面部62の間に位置している。高面部64の上面は、端子部40P、40Nの上面より高い。このようにすることで、仮に、金属部材などが電池上部に置かれたとしても、端子部40P、40Nに同時に接触し難くして、導通するのを防止することができる。
台状部65は、蓋本体61の後部側に形成されている。台状部65は、電槽20に設けられた6つのセル室25を横断するようにX方向に延設されている。台状部65の上面は、低面部62よりも高く、高面部64より低い。
また、図4に示すように、中蓋60の台状部65の上面壁65Aは、X方向に6つの注液孔75を有している。これら6つの注液孔75は、台状部65の上面壁65Aを上下に貫通しており、6つのセル室25にそれぞれ連通している。そのため、各注液孔75から電槽20の各セル室25に電解液Wを注液することが出来る。
また、台状部65は、上面壁65Aから上向きに突出した下側隔壁71〜73を有している。下側隔壁71〜73は、各注液孔75に対応して設けられており、各注液孔75を囲む、四角形状の枠型をしている。各下側隔壁72はX方向に延びる同一直線上に設けられている。
上蓋100は中蓋60と同様、合成樹脂製である。図6は、上蓋100を上方から見た平面図、図7は、上蓋100を下方から見た底面図である。上蓋100は蓋本体110とフランジ部105とを備える。蓋本体110は、中蓋60の台状部65に倣った長方形であり、中蓋60の台状部65に対して重ねて取り付けられる。フランジ部105は、蓋本体110の外周縁に形成されている。フランジ部105は蓋本体110の外周縁から下向きに延びており、台状部65の外周を囲む。
また、図7に示すように、蓋本体110は、上側隔壁121〜123を有している。上側隔壁121〜123は蓋本体110の下面から下向きに突出しており、注液孔75ごとに設けられている。上側隔壁121〜123は、下側隔壁71〜73と同様に四角形状の枠型をしている。各上側隔壁122はX方向に延びる同一直線上に設けられている。
各上側隔壁121〜123は、各下側隔壁71〜73に対応しており、各上側隔壁121〜123は各下側隔壁71〜73の上側に重なって配置される。これら上側隔壁121〜123と下側隔壁71〜73は、各注液孔75を囲む隔壁を構成する。上側隔壁121〜123と下側隔壁71〜73は、端面同士を熱溶着により接合している。
また、鉛蓄電池10の蓋部材50は、中蓋60と上蓋100の間に、排気筒部T、排気通路R、共通通路U、一括排気部Qを有している。以下において、図面と対応させながら説明する。尚、排気通路Rが本発明の「排気空間」の一例である。排気筒部Tが本発明の「排気部」及び「筒部材」の一例である。また、「上下方向(図10のY方向)」が本発明の「延在方向」に対応する。
(排気筒部Tの説明)
排気筒部Tは、中蓋60と上蓋100との間において、電槽20のセル室25ごとに設けられている。排気筒部Tは、上下方向に延在する筒型であり、内部がガスの通り道である。排気筒部Tは、電槽20のセル室25と排気通路Rの双方に連通しており、電槽20の各セル室25にて発生したガスを各排気通路Rに通す機能を果たす。
具体的に説明すると、図4に示すように、中蓋60の台状部65には、X方向に6組の下側筒部T1が設けられている。各下側筒部T1は、上下方向に延在し、内部が空洞の角筒型であり、図8に示すように、4つの下側周壁83A〜83Dから構成されている。4つの下側周壁83A〜83Dは、台状部65の上面壁65Aから上下方向に突出している。4つの下側周壁83A〜83Dは上面壁65Aを上下に貫通しており、4つの下側周壁83A〜83Dの内側は空洞である。また、4つの下側周壁83A〜83Dのうち3枚の下側周壁83A〜83Cは上端面の高さが揃っており、下側周壁83Dは上端面の高さが低くなっている。
一方、上蓋100の蓋本体110は、図7に示すように、X方向に6組の上側筒部T2を有している。上側筒部T2は、上下方向に延在し、内部が空洞の角筒型をしており、図9に示すように、4つの周壁123A〜123Dから構成されている。4つの上側周壁123A〜123Dは、蓋本体110の下面から下向きに突出している。また、上側周壁123A〜123Dのうち、排気通路Rとの境界となる上側周壁123Dには、切り欠き部124が形成されている。また、4つの上側周壁123A〜123Dは、下端面の高さが揃っている。
本例では、排気筒部Tは、下側筒部T1と上側筒部T2から分割構成されており、各上側筒部T2と各下側筒部T1は、図10に示すように上下に重なって一つの排気筒部Tを構成する。各排気筒部Tは、電槽20のセル室25に連通し、切り欠き部144を通じて各排気通路Rと連通する。そのため、電槽20の各セル室25にて発生したガスは、排気筒部Tの内側を通った後、切り欠き部144を通じて排気通路Rに流通することが出来る。尚、各下側筒部T1と各上側筒部T2は、排気筒部Tの気密性が確保されるように、端面同士を熱溶着により接合している。
(排気通路Rの説明)
排気通路Rは、中蓋60と上蓋100との間において、電槽20のセル室25ごとに設けられている。各排気通路Rは、共通通路Uに連通しており、排気筒部Tから流出するガスを、共通通路Uに流通させる機能を果たす。
以下、排気通路Rの構成について具体的に説明する。中蓋60の台状部65は、図8に示すように、電槽20のセル室25ごとに、複数の下側通路壁85A〜85Iを有している。複数の下側通路壁85A〜85Iは、台状部65の上面壁65Aから上向きに突出している。これら下側通路壁85A〜85Iの上端面は高さが揃っている。
下側通路壁85Aは、下側筒部T1の下側周壁83Aを図中の左方向に延長した壁であり、下側周壁83Aと連続して形成されている。また、下側通路壁85Bは、下側筒部T2の下側周壁83Cを図中の左方向に延長した壁であり、下側周壁83Cと連続して形成されている。
図8に示すように、下側通路壁85A〜85Iは、向きの異なる壁の集合体である。下側通路壁85A〜85Hは、他の下側通路壁85A〜85Hと連結されており、上方から見たときに、壁全体(下側通路壁85A〜85Iの集合体)が屈曲した形状となっている。このようにすることで、排気通路Rの経路が、非直線な迷路形状となる。尚、下側通路壁85IはX方向に水平に延びており、下側隔壁72とZ方向に向かい合う関係になっている。
一方、上蓋100の蓋本体110は、図9に示すように、電槽20のセル室25ごとに、複数の上側通路壁125A〜125Iを有している。複数の上側通路壁125A〜125Iは、蓋本体110の下面から下向きに突出している。これら上側通路壁125A〜125Iの下端面は高さが揃っている。
上側通路壁125Aは、上側筒部T2の上側周壁123Aを図中の左方向に延長した壁であり、上側周壁123Aと連続して形成されている。また、上側通路壁125Bは、上側筒部T2の上側周壁123Cを図中の左方向に延長した壁であり、上側周壁123Cと連続して形成されている。
図9に示すように、上側通路壁125A〜125Iも、向きの異なる壁の集合体である。上側通路壁125A〜125Hは、下側通路壁85A〜85Iと同様に、他の上側通路壁125A〜125Hと連結されており、上方から見たときに、壁全体(下側通路壁125A〜125Iの集合体)が屈曲した形状となっている。このようにすることで、排気通路Rの経路が、非直線な迷路形状となる。また、上側通路壁125IはX方向に水平に延びており、上側隔壁122とZ方向に向かい合う関係になっている。
各上側通路壁125A〜125Iは、各下側通路壁85A〜85Iと対応しており、対応する下側通路壁85A〜85Iの上側に重なる。下側通路壁85と上側通路壁125は、図11に示すように、1つの通路壁RWを構成する。排気通路Rは、対向する一対の通路壁RWを側壁として、その間に、設けられている。すなわち、本例では、排気通路Rの側壁となる通路壁RWを、上側通路壁125と下側通路壁85から分割構成している。尚、下側通路壁85と上側通路壁125は、排気通路Rの気密性が確保されるように、端面同士を熱溶着により接合している。
そして、排気通路Rの経路は、図9に示す通りであり、排気筒部Tの上側周壁123Dの切り欠き部124を入口として、上側通路壁125Aと上側通路壁125Bの間を左方向に進み、その後、左側の上側通路壁125Cの正面で、図9の下方に90°向きを変える。そして、上側通路壁125Aと上側通路壁125Cの隙間を通過した後、更に90°向きを変え、上側通路壁125Aと上側通路壁125Dの間、上側周壁123Aと上側通路壁125Dの間を右方向に進む。その後、右側の上側通路壁125Cの正面で、今後は、図9の後方に向きを変える。
そして、上側周壁123C、上側通路壁125Bに沿って進んだ後、上側通路壁125Gと上側通路壁125Eの間、上側通路壁125Eと上側通路壁125Iの間を順に通過し、最終的には、上側通路壁125Iと上側通路壁125Hとの間に設けられた隙間127を通じて、共通通路Uに至る。なお、ここでは、上蓋100側について説明を行ったが、下蓋60側の排気経路Rも上記と同じ経路である。また、X方向中央を基準とした左右の排気通路Rの経路は、Z方向を軸として線対称(左右対称)になっている。
尚、本例では、図8、図9に示すように、下側周壁83Aと下側通路壁85Dや、上側周壁123Aと上側通路壁125Dの間に、排気通路Rが形成されており、下側筒部T1を構成する下側周壁83A〜83Cや、上側筒部T2を構成する上側周壁123A〜123Cが下側通路壁や上側通路壁の一部として機能している。
(共通通路U、一括排気部Qの説明)
共通通路Uは、図8、図9に示すように、下側隔壁72と下側通路壁85Iとの間、及び上側隔壁122と上側通路壁125Iの間に形成されている。すなわち、共通通路Uは、上側隔壁122と下側隔壁72、上側通路壁125Iと下側通路壁85Iを、2つの側壁とし、その間に設けられた通路である。共通通路Uは、各排気通路Rを横断するようにX方向に延びている。共通通路Uの通路幅は、その全長に亘って一定である。そして、共通通路Uの終端にあたるX方向の両端部には、一括排気部Qが設けられている。
一括排気部Qは中蓋60と上蓋100との間に設けられており、共通通路Uから流入するガスを外部に一括排気する機能を果たす。一括排気部Qは、左右一対設けられており、使用環境に応じて、いずれか一方のみを開放し、他方を図示しない栓により封止する。本例では、排気通路R1〜R3を通るガスは、共通通路Uを通過した後、Z方向前方から見て右側(図4では右側、図7では左側)の一括排気部Qを通じて外部に排気される。なお、図8では、Z方向前方から見て左側の一括排気部Qが封止されずに開放されていると仮定して矢印を図示している。
具体的に説明すると、中蓋60の台状部65の上面には、下側筒部Q1が形成されている。下側筒部Q1は、台状部65の上面壁65Aから上向きに突出している。一方、上蓋100の蓋本体110には、上側筒部Q2が形成されている。上側筒部Q2は、蓋本体110の下面から下向きに突出している。上側筒部Q2には、図9に示すように、多孔質フィルタ205が収納されている。多孔質フィルタ205は、その下面が上側筒部Q2の先端面よりも上方に位置している。多孔質フィルタ205は、水蒸気の放出を抑制し、外部スパークが侵入するのを抑制する。一括排気部Qは、中蓋60側の下側筒部Q1と上蓋100側の上側筒部Q2から分割構成されており、下側筒部Q1の上側に上側筒部Q2が重なる構成になっている。尚、下側筒部Q1と上側筒部Q2は、気密性が確保されるように、端面同士を熱溶着により接合されている。
そして、共通通路Uを構成する下側隔壁72、下側通路壁85Iは連結壁88を介して、中蓋60の下側筒部Q1に連結され、また、共通通路Uを構成する上側隔壁122、上側通路壁125Iは連結壁128を介して、上蓋100の上側筒部Q2連結されている。そして、下側筒部Q1は下側隔壁72、下側通路壁85Iとの連結部に開口を有している。そのため、共通通路Uは一括排気部Qと連通し、各排気通路R1〜R3を流れるガスは、共通通路Uを通じて、一括排気部Qに流入する構成になっている。
また、上蓋100には、円筒型の排気ダクト200が設けられている。排気ダクト200の一方端は一括排気部Qの上側筒部Q2に連結(連通)し、他方端は上蓋100のフランジ部105を貫通し、外部に開口している。従って、共通通路Uから一括排気部Qに送られたガスを、排気ダクト200を通じて外部に排気することが出来る。
すなわち、本鉛蓄電池10では、電槽20の各セル室25で発生したガスは、まず、各排気筒部Tから各排気通路Rへ流れる。その後、ガスは共通通路Uを通って一括排気部Qに流れ込み、最終的には、排気ダクト200から外部に排気される。
また、図8に示すように、中蓋60の台状部65の上面壁65Aには、電槽20の各セル室25に対応して還流孔82(本発明の「還流部」に相当)が形成されている。各還流孔82は、下側通路壁85A、下側周壁83D、下側通路壁85B、下側通路壁85Cに囲まれた領域内に位置している。すなわち、排気通路R内に位置している。還流孔82は、排気筒部Tと同様に、台状部65の上面壁65Aを上下に貫通しており、電槽20のセル室25に連通している。尚、図8に示すように、還流孔82は、排気通路Rの入口部分に配置されており、排気通路Rのうち共通通路Uから見て最も遠い位置にある。
そして、排気通路Rの底面である台状部65の上面壁65Aには、還流孔82に近い程、低くなるように傾斜(勾配)が付けられている(図3、図10参照)。このようにすることで、図10に示すように、ガスに含まれる水蒸気による水滴などの液滴Vを、還流孔82を通じて各セル室25に還流することが出来る。すなわち、セル室25で発生したガスに含まれる水蒸気は、ガスが排気通路Rを通過する際に、排気通路R内にて結露する。結露した液滴Vは、図12にて破線矢印で示すように、還流孔82に向かって流れてゆく。そのため、ガスに含まれる水蒸気等の液滴Vを各セル室25に還流することが出来る。
2.液滴Vの漏れ抑制
排気通路Rは、通路内の液滴Vを傾斜した底面(本例では、中蓋60の上面壁65Aの上面)に沿って電槽20のセル室25に還流させることができる。そのため、鉛蓄電池10が横転や倒立しない限り、排気通路R内に液滴Vが滞留することはない。しかしながら、排気通路Rの液滴Vはセル室25に戻る構成であるにも関わらず、鉛蓄電池10に振動が継続的に加わると、排気ダクト200の出口から液滴Vが漏れだすことがある。
液滴Vの漏れの原因を特定する作業を進める中、発明者らは、排気通路Rの液滴Vの動きを鋭く観察することで、鉛蓄電池10に振動が継続的に加わると、図10に示すように、液滴Vが排気通路Rの天井面(本例では、上蓋100の蓋本体110の下面)を伝って移動する現象が起きるという知見を初めて得た。発明者らは、この知見により、鉛蓄電池10に振動が継続的に加わり、液滴Vが天井面を伝って移動を続けることで、排気ダクト200の出口に到達して外部に漏れ出してしまうことを初めて突き止めた。
さらに、発明者らは、天井面を伝う液滴Vの発生箇所を特定していく中で、鉛蓄電池10に振動が継続的に加わると、電槽20内から排気されるガスに含まれる水蒸気による液滴Vよりも、電槽20内から飛沫した電解液Wの液滴Vの方が、排気通路Rの天井面を伝う液滴Vの大半を占めることを知見した。そこで、電槽20内からガスを排気させる経路は確保しつつ、電槽20のセル室25から飛沫した電解液Wが排気通路Rに入り込みにくい経路を実現することにより、液滴Vの漏れを抑えるようにした。
具体的に説明すると、中蓋60の各下側筒部T1は、筒内部に、複数の遮蔽体84B、84Dを有している。図10に示すように、遮蔽体84B、84Dは、対向する一対の下側周壁83B、83Dの内面に1つずつ合計2個設けられている。遮蔽体84B、84Dは、下側周壁83B、83Dの内面に固定されており、下側周壁83B、83Dと一体的に設けられている。
遮蔽体84Bは、下側周壁83Bの内面から筒中心に向かって内向き(図10では左向き)に突出しており、下側筒部T1の内部空間の一部を遮る。また、遮蔽体84Dは、下側周壁83Dの内面から筒中心に向かって内向き(図10では右向き)に突出しており、下側筒部T1の内部空間の一部を遮る。遮蔽体84B、84Dの断面形状は、概ね台形であり、上面側がテーパ面、下面側が水平面、端面側は垂直面となっている。
2つの遮蔽体84B、84Dは、図10に示すように、上下方向に間隔をあけて配置されており、この例では、遮蔽体84Dが上側に、遮蔽体84Bが下側に位置している。
2つの遮蔽体84B、84Dは、図13に示すように、各下側周壁83B、83Dの全幅に亘って設けられており、両端部を下側周壁83A、83Cの壁面にそれぞれ連結している。また、2つの遮蔽体84B、84Dは、排気筒部Tに直交する方向、具体的にはX方向(図13の左右方向)の異なる位置に形成されている。2つの遮蔽体84B、84Dは、上下方向(Y方向)から見た時に重なる範囲がなく、2つの遮蔽体84B、84Dの間には、図13に示すように、上下方向から見て微小な隙間CL(図10では幅S2)が設けられている。そして、排気筒部Tの内部は、これら2つの遮蔽体84B、84Dの間を通って迂回するような曲がった通路によって、電槽20内と排気空間Rとを連通させている。
仮に、図19に示す比較例のように、2つの遮蔽体184B、184Dが排気筒部の上下方向(Y方向)の同じ高さの位置に配置されている場合、2つの遮蔽体184B、184Dの間を電槽内からガスを排気可能な一定幅S1以上にあける必要がある。一方、本実施形態の図10に示すように、2つの遮蔽体84B、84Dが排気筒部Tの上下方向に間隔をあけて異なる高さ位置に配置されている場合、2つの遮蔽体84B、84Dの上下方向の間を使って上記一定幅S1を確保してガスを排気することが可能となる。したがって、上記構造(図19に示す比較例)に比べて、図10に示すように、上下方向から見た2つの遮蔽体84B、84Dの間隔(X方向の間隔)S2を一定幅S1よりも狭くする、もしくは、なくすことができる。
以上により、電槽20内からガスを排気させる経路は確保しつつ、セル室25から飛沫した電解液Wの液滴Vが排気通路Rに入り込みにくい経路を実現でき、排気筒部Tの出口に到達し難くなる。そのため、セル室25から飛沫した電解液Wの液滴Vが、排気筒部Tの内部を通って排気通路Rに入り込むのを抑制することが出来る。これにより、排気通路Rの天井面を伝う液滴Vを減らすことができ、振動による液滴Vの漏れを抑制することができる。実際に、ガスの排気に必要なS1の幅を確保して、図19の構造の遮蔽体184B、184Dを設け、底面が還流孔に向かって傾斜するような勾配を有する排気室を備える鉛蓄電池を作製したが、振動に対して十分な耐液漏れ性能は得られなかった。
また、本例では、電槽20内と排気通路Rとを連通させる部分が、還流孔82と排気筒部Tとの2か所存在する。発明者らは、仮に、遮蔽体84B、84Dが設けられていない場合、鉛蓄電池10に振動が継続的に加わると、以下の現象が起きていることを知見した。鉛蓄電池10に振動が継続的に加わると、初期では還流孔82と排気筒部Tのいずれからも排気通路Rに電解液Wが入り込んでいる。この排気通路Rに入り込んだ電解液Wは還流孔82から電槽20内に戻ろうとするため、還流孔82には次第に電解液Wが溜まる。そして、還流孔82から電槽20内に電解液Wが戻る際に、気液置換されて、電槽20内から排気筒部Tを介して排気通路Rに空気が入り込む。このとき、空気と一緒に排気筒部Tから排気通路Rに電解液Wが入り込んでいることを知見した。したがって、還流孔82よりも排気筒部Tに遮蔽体84B、84Dを設けることで、電槽20内から飛沫した電解液Wが排気通路Rに入り込むのを顕著に防ぐことができ、振動による液滴Vの漏れをより一層抑制することができる。
3.射出成形金型の構造
図14は中蓋を射出成形する射出成形金型の断面図であり、図15はその一部を拡大した図である。図14に示すように、射出成形金型300は下型310と上型320とからなる。本例では、下型310を固定金型、上型320を可動金型としており、図外の型締め装置を稼働させることにより、両型310、320を型締め、及び型閉じすることが出来る。そして、下型310の上面と上型320の下面の間には、中蓋60の形状と同じ形状のキャビティ(空洞部)350が設けられており、図外の射出機からキャビティ350内に溶融樹脂を充填し、それを冷却固化することで、中蓋60を成形することが出来る。
また、図15に示すように、金型300はコア330(成形用の突部)を有している。コア330は下側筒部T1の内面、すなわち下側周壁83A〜83Dの内周壁や遮蔽体84B、84Dを成形する。コア330は、下型310に設けられた下部コア315と、上型320に設けられた上部コア325とに分かれている。両コア315、325は、上下に向き合うように位置している。
図15に示すように、下部コア315と上部コア325は、2つの遮蔽体84B、84Dの先端同士を結ぶ直線L1、より具体的には遮蔽体84Dの下端P1と遮蔽体84Bの上端P2を結ぶ直線L1で上下に分かれている。別の言い方をすると、型を閉じた時に、下部コア315と上部コア325が直線L1で重なる構造になっている。
先に説明したように、遮蔽体84B、84Dは、X方向で位置がずれていて、重なる範囲がない。そのため、上下2つのコア315、325を、直線L1を境界として上下に分離した構造にすることで、上下方向の型抜きにより、中蓋60の成形と同時に、2つの遮蔽体84B、84Dを下側周壁83B、83Dと一体的に成形できる。したがって、下側筒部T1内に遮蔽体84B、84Dを容易に設けることができる。また、遮蔽体84B、84Dを、下側筒壁T1の下側周壁83B、83Dと別部材で成形する場合に比べて、コストを低減することができる。
尚、遮蔽体84B、84Dの一体成形は、中蓋60の下側排気筒部T1が上下方向に開口する形状であるからこそ行える成形であり、例えば、同じ筒状であっても、液栓のように天井面が封止された筒状部材では、得ることが出来ない特異的な効果である。
4.効果説明
排気筒部Tに遮蔽体84B、84Dを設けることで、電槽20内からガスを排気させる経路は確保しつつ、セル室25から飛沫した電解液Wの液滴Vが排気通路Rに入り込みにくい経路を実現でき、セル室25から飛沫した電解液Wの液滴Vが排気筒部Tの出口に到達し難くなる。そのため、セル室25から飛沫した電解液Wの液滴Vが、排気通路Rに入り込むのを抑制することが出来る。これにより、排気通路Rの天井面を伝う液滴Vを減らすことができることで、振動による液滴Vの漏れを抑制することができる。
また、本構成では、下側周壁83B、83Dの内面壁に遮蔽体84B、84Dを固定している。遮蔽体84B、84Dの固定構造は、例えば、排気筒部Tの中心部に固定軸(図略)を設けてそこに固定する構造も適用出来るが、そうした構造の場合、部品点数が増え、排気筒部Tが大型化する。鉛蓄電池10は、排気筒部Tの内側にそのような固定軸を設ける必要がないので、部品点数が少なくて済み、かつ排気筒部Tを小型化、すなわち筒を細く(小さく)することが出来る。そして、排気筒部Tが小さくなれば、排気経路Rの全長が長くなり、共通通路Uや一括排気部Qが遠くなるので、液滴Vが漏れにくくなる。
また、本構成では、電槽20のセル室25ごとに排気通路Rを設けている。このようにすれば、各セル室25から発生するガスを、各排気通路Rを介して外部に排気できる。また、排気通路R内の液滴Vを、還流孔82を通じて各セル室25に戻すことが出来る。すなわち、排気通路R内で結露した液滴Vは、全て元のセル室25に戻るので、各セル室25間で電解液Wの液量が不均一になることを抑制することが出来る。
<実施形態2>
実施形態2を図16、図17によって説明する。
実施形態2では、中蓋60の下側筒部T1を構成する下側周壁183B、183Dの内周壁をテーパ面とした点が実施形態1に対して相違している。具体的に説明すると、図16に示すように、下側周壁183Bの内面壁には、遮蔽体84Bが一体的に設けられ、また、下側周壁183Dの内周壁には、遮蔽体84Dが一体的に設けられている。
図16に示すように、下側周壁183Bの内周壁は、遮蔽体84Bを境にした上側(P3の上側)に、筒上端に向かって上部開口F1を広くする第1テーパTa1が付けられており、また、遮蔽体84Bを境にした下側(P4の下側)に、筒下端に向かって下部開口F2を広くする第2テーパTa2が付けられている。
同様に、下側周壁183Dの内周壁は、遮蔽体84Dを境にした上側(P5の上側)に、筒上端に向かって、上部開口F1を広くする第1テーパTa1が付けられており、また、遮蔽体84Dを境にした下側(P6の下側)に、筒下端に向かって、下部開口F2を広くする第2テーパTa2が付けられている。
下側周壁183B、183Dの内周壁に対して第1テーパTa1、第2テーパTa2を付けることで、図17に示す下型410の下部コア415や、上型420の上部コア425から成形品(中蓋60の下側筒部T1)が離型し易くなる。また、下側筒部T1の上部側(遮蔽体84B、84Dを境にした上側)は、上方に広がる円錐形状となるので、液滴Vが落ち易くなり、セル室25への還流性が高まる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1、2では、遮蔽体の一例として、断面が台形状の遮蔽体84B、84Dを例示したが、遮蔽体284B、284Dは、例えば、図18に示すように、板状の部材であってもよい。また、必ずしも、排気筒部Tに一体的に形成されている必要はなく、排気筒部Tとは別体の構成としてもよい。また、上記実施形態1、2では、2つの遮蔽体84B、84Dを、排気筒部Tに直交する方向(X方向)で位置をずらし、上下方向(Y方向)から見た時に重なる範囲がない構成とした。遮蔽体284B、284Dは、図18に示すように、排気筒部Tの内部空間の一部を遮っていればよく、上下方向(Y方向)から見た時に、部分的に重なる範囲を有していてもよい。また、遮蔽体284B、284Dの個数は、複数であればよく、3つ以上であってもよい。
(2)上記実施形態1、2では、排気筒部Tを角筒状としたが、円筒状であってもよい。排気筒部Tが円筒状の場合、遮蔽体は円弧状とし、周方向に位置をずらして配置するとよい。例えば遮蔽体が3個の場合、3つの遮蔽体を上下方向で位置をずらしながら、周方向で120°角度をずらして配置するとよい。
(3)上記実施形態1、2では、遮蔽体84B、84Dを、下側周壁83B、83Dの内周壁に固定した例を示した。遮蔽体の固定方法は、実施形態で例示した方法以外でもよい。例えば、下側筒部T1の中心部に上下方向の固定軸を設けて、その固定軸に固定するようにしてもよい。
(4)上記実施形態1、2では、排気筒部Tを、中蓋60側の下側筒部T1と上蓋100側の上側筒部T2とから分割構成した例を示した。排気筒部Tは、上下分割構造の他に、一体筒構造であってもよい。例えば、下側筒部T1を上側筒部T2の長さ分だけ延長した筒とし、下側筒部T1だけで排気筒部Tを構成するようにしてもよい。尚、排気筒部Tを下側筒部T1だけで構成する場合、下側筒部T1の上端部を、上蓋100の蓋本体110の下面に溶着することで、気密性を保つようにするとよい。
(5)上記実施形態1、2では、排気通路Rの側壁となる通路壁RWを、中蓋60側の下側通路壁85と上蓋100側の上側通路壁125とから分割構成した例を示した。通路壁RWは上下分割構造の他に1枚壁構造であってもよい。例えば、上側通路壁125を下側通路壁85の長さ分だけ延長した壁とし、上蓋100側の上側通路壁125だけで通路壁RWを構成するようにしてもよい。尚、通路壁RWを上側通路壁125だけで構成する場合、上側通路壁125の下端部を、中蓋60の台状部65の上面壁65Aに溶着することで、気密性を保つようにするとよい。また、同様、排気通路Uの側壁や、一括排気部Qについても、上下分割構造ではなく、例えば、上蓋100側だけの1枚壁構造にしてもよい。
(6)上記実施形態では、各セル室25にて発生したガスを、各排気通路R、共通排気路Uを介して一括排気部Qへ送り、排気ダクト200から一括排気する構成を例示した。すなわち、排気通路Rを、共通通路U、一括排気部Q、排気ダクト200を介して外部に連通させる構造にした。排気通路Rは、通路出口が排気口として外部に直接連通する構造であってもよい。すなわち、各セル室25にて発生したガスを、各排気通路Rに設けた排気口から個別に排気するようにしてもよい。
(7)上記実施形態1、2では、電槽20に複数のセル室25を設けた構成を例示したが、電槽20は、セル室25を有さない構成でもよい。
(8)上記実施形態1、2では、本発明の「排気空間」の一例に、排気通路Rを例示した。排気空間は、外部と連通してガスを排気可能な空間であればよく、例えば、中蓋60と上蓋100の間に、外部に連通する排気室をセル室ごとに設けて、これを排気空間としてもよい。
(9)上記実施形態1、2では、本発明の「筒部材」の一例に、排気筒部Tを例示した。筒部材は、排気通路(排気空間)Rと電槽20のセル室25を連通する構成であればよく、例えば、中蓋60の台状部65の上面壁65Aに対して、排気通路Rとセル室25に連通する連通筒(図略)を設けるようにしてもよい。この場合、連通筒の内部に遮蔽体(図略)を設ける構成にすればよい。
(10)上記実施形態1、2では、蓋部材50を中蓋60と上蓋100とから分割構成した例を示した。蓋部材50は外部に連通する排気空間と、電槽のセル室に連通する筒部材を含む構成であればよく、中蓋60と上蓋100を一体化した一体構造の蓋でもよい。
(11)上記実施形態1、2では、排気筒部Tに遮蔽体84B、84Dを設けた構成を例示したが、さらに、還流孔82にも遮蔽体を設けてもよい。また、排気筒部Tには遮蔽体を設けずに、液滴Vを電槽20に還流させる還流部のみに遮蔽体84を設けてもよい。すなわち、筒状に形成した還流部(筒部材の一例)の内部に、遮蔽体84を設けてもよい。
10...鉛蓄電池
20...電槽
25...セル室
30...電極群(本発明の「発電要素」の一例)
50...蓋部材
60...中蓋
65...台状部
82...還流孔(本発明の「還流部」の一例)
83B、83D...下側周壁
84B、84D...遮蔽体
85...下側通路壁
100...上蓋
125...上側通路壁
T...排気筒部(本発明の「排気部、筒部材」の一例)
R...排気通路(本発明の「排気空間」の一例)
Q...一括排気部
V...液滴
W...電解液

Claims (1)

  1. 鉛蓄電池に使用される中蓋の製造方法であって、
    前記中蓋を成形する射出成形金型は、固定型と、前記固定型との間に前記中蓋を成形するキャビティを有する可動型と、電槽内と排気空間を連通させる筒部材を前記中蓋に成形するコアを有し、
    前記コアは、前記固定型に設けられた第1コアと、前記可動型に設けられた第2コアに分割されており、
    前記第1コアと前記第2コアは、電槽内から排気空間に対する電解液の飛沫を抑制し、前記筒部材の延在方向から見たときに重なっていない2つの遮蔽体の先端同士を結ぶ直線で分かれており、
    前記中蓋を射出成形する際に、前記第1コアと前記第2コアにより、前記筒部材の周壁に対して前記2つの遮蔽体を一体に成形する、中蓋の製造方法。
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