JP2020012562A - マイクロチャンネル熱交換器および冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
Description
マイクロチャンネル熱交換器によれば、細径のマイクロチャンネルを有することにより、従来の熱交換器と比べて単位体積あたりの伝熱面積を大きく確保することができる。そのため、マイクロチャンネル熱交換器を含む機器の実用化により、機器のさらなる小型化や高性能化が期待されている。
そうした異物により絞り等が詰まるのを防ぐため、特許文献2では、配管の内側に設置されたスラッジフィルタにより異物を捕集する。また、特許文献3では、配管の外側に設置した磁石により異物を吸着する。
そこで、本発明は、流路の閉塞を防止できるマイクロチャンネル熱交換器、およびそれを備えた冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
第1マイクロチャンネル群および第2マイクロチャンネル群を含み、第1マイクロチャンネル群を流れる流体の向きと、第2マイクロチャンネル群を流れる流体の向きとは、対向するか、あるいは直交することが好ましい。
したがって、本発明によれば、上流ヘッダの内部において異物が凝集するとしても、凝集した塊状のものも含めて異物を磁石に留めることができるため、異物がマイクロチャンネルに向かうのを避けることができる。そうすると、少なくともマイクロチャンネルの開口において異物の凝集を抑えることができるので、径が小さいため詰まり易いとしてもマイクロチャンネルの閉塞を防ぐことができる。
しかも、流速が小さい上流ヘッダの内部で、凝集した状態の異物を磁石に保持することができるので、異物を効率よく捕集してマイクロチャンネルの閉塞のリスクを下げることができる。
〔マイクロチャンネル熱交換器の構成〕
まず、図1および図2を参照して、各実施形態に共通するマイクロチャンネル熱交換器1の構成を説明する。
マイクロチャンネル熱交換器1は、図1に示すように、流路としての複数のマイクロチャンネル100を有する熱交換器本体10と、複数のマイクロチャンネル100に連通し、熱交換器本体10に組み付けられる上流ヘッダ20および下流ヘッダ30とを備えている。
複数のマイクロチャンネル100は、第1マイクロチャンネル群101と、第2マイクロチャンネル群102とを含む。
空気調和機である冷凍サイクル装置8が冷房運転される場合、マイクロチャンネル熱交換器1は、第1熱交換器82により外気(熱源)と熱交換されることで凝縮した冷媒と、第2熱交換器84により室内空気(熱負荷)と熱交換されることで蒸発した冷媒とを熱交換させる。かかる熱交換により、冷媒に過冷却を与えることができる。
第1冷媒は、例えば図3の第1熱交換器82から流出した冷媒であり、第1マイクロチャンネル群101に対応する。第2冷媒は、例えば図3の第2熱交換器84から流出した冷媒であり、第2マイクロチャンネル群102に対応する。
上流ヘッダ20は、第1マイクロチャンネル群101に連通する第1上流ヘッダ21と、第2マイクロチャンネル群102に連通する第2上流ヘッダ22とに区分されている。第1上流ヘッダ21および第2上流ヘッダ22のそれぞれの内部には、マイクロチャンネル100の上流側の開口が臨んでいる。このとき、第1マイクロチャンネル群101のそれぞれのマイクロチャンネル100の上流側の開口は第1上流ヘッダ21に、第2マイクロチャンネル群102のそれぞれのマイクロチャンネル100の上流側の開口は第2上流ヘッダ22に接続されている。
図示された上流ヘッダ20の例によれば、上流ヘッダ20は、熱交換器本体10の上面に連続した上壁20Aと、熱交換器本体10の下面に連続した下壁20Bと、上壁20Aおよび下壁20Bの間に第1、第2上流ヘッダ21,22を形成する側壁20Cとを有している。下流ヘッダ30も同様に構成されている。
本実施形態に限らず、上流ヘッダ20および下流ヘッダ30は、一定の幅に形成されていてもよい。
第1冷媒は、図1に白抜きの矢印で示すように、冷媒配管が接続される導入部201から上流ヘッダ20の第1上流ヘッダ21に導入されて、第1マイクロチャンネル群101をなす個々のマイクロチャンネル100へと分配される。それらのマイクロチャンネル100を流れた第1冷媒は、下流ヘッダ30の第1下流ヘッダ31で合流し、排出部301から冷媒回路80へと流出する。
第2冷媒は、図1に黒い矢印で示すように、冷媒配管が接続される導入部202から上流ヘッダ20の第2上流ヘッダ22に導入されて、第2マイクロチャンネル群102をなす個々のマイクロチャンネル100へと分配される。それらのマイクロチャンネル100を流れた第2冷媒は、下流ヘッダ30の第2下流ヘッダ32で合流し、排出部302から冷媒回路80へと流出する。
マイクロチャンネル100は、例えばステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、およびアルミニウム合金等の金属材料から形成された熱交換器本体10の基材に、エッチング等の微細加工により任意の断面形状に形成されている。
マイクロチャンネル100の流路の大きさは、一例として直径1mm未満である。マイクロチャンネル100の長さや数は、熱交換器本体10に必要な熱交換の能力に応じて適宜に定められる。
マイクロチャンネル100の流路の大きさは、マイクロチャンネル100を流れる液相の表面張力の影響が現れる直径数mm以下に設定されていてもよい。マイクロチャンネル100の流路の大きさは、一般的にマイクロチャンネルの範疇に含まれる適宜な大きさに設定することができる。
熱交換器本体10は、金属板11が積層されることで全体として直方体状に形成されている。積層された金属板11は拡散接合等の方法により一体化される。
なお、拡散接合により熱交換器本体10にヘッダ20,30を組み付けることができる。
マイクロチャンネル100は、図2(b)に示すように、矩形状の横断面を呈する溝11Bが形成された金属板11と、隣接する金属板11との間に形成されていてもよい。
図2(a)および(b)に示す例では、ある段のマイクロチャンネル100の直下に、下段のマイクロチャンネル100が位置するように、マイクロチャンネル100が配列されている。これに限らず、ある段のマイクロチャンネル100と下段のマイクロチャンネル100とがx方向にシフトするように(千鳥状に)配列されていてもよい。
第2マイクロチャンネル群102は、残りの段のマイクロチャンネル100からなる。
図1、図2(a)および(b)に、第1冷媒が流れる第1マイクロチャンネル群101の開口を白色で示し、第2冷媒が流れる第2マイクロチャンネル群102の開口を黒色で示している。第1マイクロチャンネル群101と第2マイクロチャンネル群102とを隔てる隔壁(金属の基材)を介して、第1冷媒と第2冷媒との間で熱交換が行われる。
効率よく熱交換するため、図1、図2(a)および(b)に示すように第1マイクロチャンネル群101と第2マイクロチャンネル群102とが積層方向yにおいて交互に配置されていると好ましい。
但し、第1マイクロチャンネル群101と第2マイクロチャンネル群102とが必ずしも交互に配置されている必要はない。また、第1マイクロチャンネル群101と第2マイクロチャンネル群102とが必ずしも段毎に区分されている必要もない。
上述したように、マイクロチャンネル熱交換器1は、上流ヘッダ20に設けられた磁石41を有する。
図4(b)には、第1冷媒に対応した第1上流ヘッダ21を示している。図示を省略する第2上流ヘッダ22も同様に構成されている。
図4(b)に、磁石41に関する磁束φを模式的に示している。磁束φは、銅合金やアルミニウム合金等により構成されている典型的には非磁性の上流ヘッダ20を板厚方向に貫通する。
なお、磁束φが貫通する限りにおいて、上流ヘッダ20が磁性体であっても許容される。
冷媒に混入した異物9は、典型的には鉄粉であり、鉄粉は強磁性体である。鉄粉は、磁力により磁石41に吸着され、磁化される。
冷媒回路80の冷媒配管を流れる過程で、あるいは、流速の小さい上流ヘッダ20の内部において、微細な鉄粉が銅粉や塵埃等と一体化すると、銅粉や塵埃も鉄粉と共に、磁石41に吸着される。
磁石41に吸着された異物9における磁性体が磁化されると、その異物9に、磁性体を含む他の異物9が吸着される。
上流ヘッダ20の内部では冷媒の流速が小さいため、冷媒の流れにさほど影響を受けることなく、吸着された異物9を磁力によりその場に継続して留めることができる。
磁石41の大きさや磁束密度等は、冷媒流速やヘッダ20の大きさ等を考慮して適宜に定めることができる。
なお、上流ヘッダ20と同様に、磁石41も、マイクロチャンネル100に向けて広がる形状にすると良い。
本実施形態の磁石41は、板状であって、図4(b)に示すように、上流ヘッダ20の下壁20B(底部)に設けられている。磁石41は、第1上流ヘッダ21および第2上流ヘッダ22のいずれの領域にも設けられている。
磁石41は、下壁20Bの上面側、下面側のいずれに設けられていてもよく、下壁20Bに埋め込まれていてもよい。磁石41は、必ずしも下壁20Bに設けられる必要はない。側壁20Cの下端部に磁石41が設けられていてもよい。
下壁20Bと磁石41との間に隙間があいている場合も、磁石41に異物9が吸着される限りにおいて許容される。この場合も、磁石41が上流ヘッダ20に設けられていることに該当する。
このように異物9が磁石41に向けて沈降するように、上流ヘッダ20における鉛直方向の下方に磁石41が配置されていると、重力により異物9が磁石41に近づくので、磁石41の近傍に及ぶ強い磁力により異物9をより確実に磁石41に吸着することができる。
磁石41に向けた異物9の移動に重力が寄与する場合、磁力のみにより異物9を磁石41に吸引する場合と比べて磁石41に要求される磁力が小さい。そのため、磁石41として、磁力の強い高価な磁石を採用しなくても、安価で入手性の良い磁石、例えばフェライト磁石を採用することができる。
なお、下壁20Bの一部に磁石41を設けることも許容される。例えば、冷媒配管5から第1上流ヘッダ21に冷媒が導入される導入部201に近い領域のみ、あるいは、熱交換器本体10に近い領域のみに磁石41を設けるようにしてもよい。
そして、磁石42による異物9の捕集により冷媒回路80への異物9の流出を抑えることができる点でも、異物9によるマイクロチャンネル100の閉塞のリスクを下げることができる。
次に、図5を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
以下、第1実施形態と相違する事項を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付している。
この第1壁体241は、導入部201に対向した板状の案内部241Aと、案内部241Aの下側に連続し、熱交換器本体10に向けて下壁20Bに沿って延びた板状の接近部241Bとを有している。
鉛直方向に延びた案内部241Aに対して、接近部241Bはマイクロチャンネル100側に向けて屈曲している。案内部241Aおよび接近部241Bは全体として、図5(b)に示すように、L字状の断面を呈する。
吸着流路25の終端25Aは熱交換器本体10から離れている。
吸着流路25は上流ヘッダ20の形状と同様にマイクロチャンネル100に近づくにつれて広がっているので、吸着流路25の奥に向かうにつれて冷媒の流速が遅くなる。そのため、吸着流路25の特に奥側で、冷媒の流れに妨げられることなく冷媒中の異物9を磁石41に確実に吸着することができる。
導入部202を通じて第2上流ヘッダ22に導入された冷媒は、第2壁体242の案内部により下方へ案内され吸着流路25に流入する。この吸着流路25を磁石41に接近した状態で冷媒が流れる過程で、冷媒中の異物9が磁力により磁石41に吸着される。その後、第2壁体242と熱交換器本体10との間に冷媒が流入し、第2マイクロチャンネル群102へと流入する。
ここで、案内部241Aの上端Tが上壁20Aに突き当てられていると、導入された冷媒の全量が吸着流路25に流入するので好ましい。但し、上端Tと上壁20Aとの間に隙間があいていることも許容される。
つまり、第2実施形態によれば、吸着流路25を形成する壁体24をヘッダ20に備えていることにより、マイクロチャンネル熱交換器2を設置する姿勢の自由度が向上する。
例えば、図6に示す上流ヘッダ27は、上壁20Aに設けられる導入部203と、壁体28とを備えている。冷媒配管5から導入部203を通じて冷媒が下壁20Bに向けて導入される。この上流ヘッダ27の側壁20Cに磁石41が設けられている。
壁体28は、導入部203の軸線の延長方向に沿って延在し、導入部203側とマイクロチャンネル100側とを隔てている。
導入部203から導入された冷媒が、壁体28と磁石41との間の吸着流路29を流れる過程で、冷媒中の異物9が磁石41に吸着される。
マイクロチャンネル熱交換器3においては、第1冷媒が第1マイクロチャンネル群101を流れる向き(破線の矢印)と、第2冷媒が第2マイクロチャンネル群102を流れる向き(実線の矢印)とが対向する。破線の矢印と実線の矢印は、互いに平行で逆向きである。
こうした対向流式では、マイクロチャンネル100の一端側に、第1冷媒の上流ヘッダ21および第2冷媒の下流ヘッダ32が配置され、マイクロチャンネル100の他端側に、第1冷媒の下流ヘッダ31および第2冷媒の上流ヘッダ22が配置される。
他端側に位置する上流ヘッダ22および下流ヘッダ31についても同様である。これら上流ヘッダ22および下流ヘッダ31は他のヘッダ構造体52をなしている。
第1冷媒および第2冷媒のそれぞれの上流ヘッダ21,22が互いに離間していた方が、各上流ヘッダ21,22の内部に、壁体24や磁石41等の造作物を容易に設置できる。離間していれば、造作物の位置が干渉せず、造作物の設置により占有される分を考慮しても各ヘッダ21,22の内部に要求される所定の流路断面積および容積を確保し易いためである。
したがって、対向流式のマイクロチャンネル熱交換器3によれば、壁体24や磁石41を設置すること、また、壁体24や磁石41のサイズや形状等に関して自由度が向上する。
具体的には、上流ヘッダ21,22のそれぞれに、異物9の捕集に適した形態の壁体24を設置しつつ、ヘッダ構造体51の全体およびヘッダ構造体52のサイズが大型化するのを抑えることができる。
マイクロチャンネル熱交換器4においては、第1冷媒が第1マイクロチャンネル群101を流れる向き(破線の矢印)と、第2冷媒が第2マイクロチャンネル群102を流れる向き(実線の矢印)とが直交する。
マイクロチャンネル熱交換器4は、第1冷媒用の上流ヘッダ61および下流ヘッダ71と、第2冷媒用の上流ヘッダ62および下流ヘッダ72とを備えている。
直交流式においても、上流ヘッダ61と上流ヘッダ62とが互いに離間しているため、上述した対向流式と同様に、壁体24や磁石41を設置すること、そして壁体24や磁石41のサイズや形状等に関して自由度が向上する。
5 冷媒配管
8 冷凍サイクル装置
9 異物
10 熱交換器本体
11 金属板
11A,11B 溝
20,27 上流ヘッダ
20A 上壁
20B 下壁(底部)
20C 側壁
21 第1上流ヘッダ
22 第2上流ヘッダ
24,28 壁体
25,29 吸着流路
25A 終端
30 下流ヘッダ
31 第1下流ヘッダ
32 第2下流ヘッダ
41 磁石
42 磁石
51,52 ヘッダ構造体
61 第1上流ヘッダ
62 第2上流ヘッダ
71 第1下流ヘッダ
72 第2下流ヘッダ
80 冷媒回路
81 圧縮機
82 第1熱交換器
83 減圧部
84 第2熱交換器
100 マイクロチャンネル
101 第1マイクロチャンネル群
102 第2マイクロチャンネル群
201,202 導入部
203 導入部
241 第1壁体
241A 案内部
241B 接近部
242 第2壁体
301,302 排出部
T 上端
φ 磁束
Claims (7)
- 複数のマイクロチャンネルを有する熱交換器本体と、
前記複数のマイクロチャンネルに連通し、流体が導入される上流ヘッダと、
前記上流ヘッダに設けられる磁石と、を備える、
ことを特徴とするマイクロチャンネル熱交換器。 - 前記磁石は、前記上流ヘッダの底部に設けられる、
請求項1に記載のマイクロチャンネル熱交換器。 - 前記上流ヘッダは、
前記流体が導入される導入部と、
前記上流ヘッダの内側で前記導入部側と前記マイクロチャンネル側とを隔てる壁体と、を有し、
前記壁体と前記磁石との間には、前記流体が流れる流路が形成されている、
請求項1または2に記載のマイクロチャンネル熱交換器。 - 前記上流ヘッダの内部は、前記マイクロチャンネルに近づくにつれて広がっている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロチャンネル熱交換器。 - 前記複数のマイクロチャンネルから前記流体が流出する下流ヘッダをさらに備え、
前記下流ヘッダにも磁石が設けられている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロチャンネル熱交換器。 - 前記複数のマイクロチャンネルは、
第1マイクロチャンネル群および第2マイクロチャンネル群を含み、
前記第1マイクロチャンネル群を流れる前記流体の向きと、
前記第2マイクロチャンネル群を流れる前記流体の向きとは、対向するか、あるいは直交する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロチャンネル熱交換器。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロチャンネル熱交換器と、
前記流体である冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記冷媒と熱源とを熱交換させる第1熱交換器と、
前記冷媒の圧力を減少させる減圧部と、
前記冷媒と熱負荷とを熱交換させる第2熱交換器と、を含む冷媒回路を備え、
前記マイクロチャンネル熱交換器は、
第1マイクロチャンネル群および第2マイクロチャンネル群を含み、
前記第1マイクロチャンネル群を流れる第1冷媒と、前記第2マイクロチャンネル群を流れる第2冷媒とを熱交換させる、
ことを特徴とする冷凍サイクル装置。
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