JP4622492B2 - 熱交換器及びその製造方法 - Google Patents

熱交換器及びその製造方法 Download PDF

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本発明は冷却システム、放熱システムや加熱システム等用の熱交換器に関するもので、特に情報機器などコンパクト性を要求されるシステムで使用される液体と気体の熱交換器及びその製造方法に関するものである。
従来、この種の熱交換器としては、管とフィンとから構成されたものが一般的であるが、近年はそのコンパクト化を図るために、管径及び管ピッチを小さくし、管を高密度化する傾向にある。その極端な形態としては、管外径が0.5mm程度の非常に細い管のみから熱交換部が構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
図8は、特許文献1に記載された従来の熱交換器の正面図である。
図8に示すように、従来の熱交換器は、所定間隔を置いて対向配置される入口タンク31と出口タンク32と、入口タンク31と出口タンク32の間に断面円環の複数の管33が配置され、管33の外部を外部流体が流通されるコア部34が構成されている。
そして、管33を正方形の碁盤目状に配置するとともに、管33の外径を0.2mm以上0.8mm以下とし、隣接する管33のピッチを管外径で除した値を0.5以上3.5以下とすることで、使用動力に対する熱交換量を大幅に向上できるとしている。
特開2001−116481号公報
上記従来の熱交換器を構成する具体的な要素や製造方法については示されていないが、一般的には、多数の細い管33と、特定の面に多数の細かい円孔を予め空けた入口タンク31と出口タンク32を用意し、入口タンク31及び出口タンク32の円孔に管33の両端を挿入し、溶接等によって管33の挿入部を入口タンク31及び出口タンク32に接着する方法が考えられる。しかしながら、長くて細い管33は非常に高価であるばかりでなく、入口タンク31や出口タンク32に管33の挿入用の微細な円孔を所定の微細なピッチで設けることと、非常に多くの管33を入口タンク31や出口タンク32に挿入し接着する工程が非常に困難であり、熱交換性能が高くても、非常に高価でかつ洩れに対する信頼性が低いものになるという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、非常に優れた熱交換性能を保持しながら、非常に製造が容易な構造で、安価で、かつ信頼性の高い熱交換器を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の熱交換器は、基板と前記基板の表面に略垂直に設けられた複数の多穴管とからブロックが構成され、前記多穴管は管内に複数の円形状の流路を持ち、前記基板の背面には前記流路が前記背面まで貫通することで構成される貫通穴が複数設けられ、前記多穴管の先端の前記流路が隣接する前記ブロックの背面の前記貫通穴と接続するように前記ブロックが複数積層されるとともに、内部に空間を持つヘッダーを積層された前記ブロックの両外側に設け、両端の前記基板が前記ヘッダーの一部を構成し、前記空間内の前記多穴管の突出長さは、流入管から離れるにしたがって大きくしたものである。
かかる構成により、ブロックを積層することで微細な流路を多数備えた熱交換器を容易に構成することができるので、長くて細い管を使用する必要はなく、同時に管を並べる必要もない。
また本発明は、前記多穴管は断面形状を偏平状とし、管内の前記流路は長辺方向に配列されるとともに、前記多穴管は前記多穴管相互で長辺方向が平行となるように間隔を空けて前記基板上に配列されるものである。
かかる構成により、多穴管を薄くすることができるので、多穴管相互の間の管外流路を大きく取ることができる。
また本発明は、前記背面に前記多穴管の先端の断面形状とほぼ同じ形状の凹みを設け、前記凹みに隣接する前記ブロックの前記多穴管の先端を挿入したものである。
かかる構成により、多穴管の挿入しろを設けることで多穴管相互の接続を確実にできるとともに、多穴管先端の挿入長さを規定することができる。
また本発明は、内部に空間を持つヘッダーを積層された前記ブロックの両外側に設け、両端の前記基板が前記ヘッダーの一部を構成するものである。
かかる構成により、ブロックを利用してヘッダーを構成できるので、ヘッダーに多穴管挿入用の長穴を設けたり、多穴管をヘッダーに挿入し接着したりする必要がない。
また本発明は、前記基板の平面方向を重力方向に配置したものである。
かかる構成により、基板上での埃の堆積や結露水の滞留を防ぐことができる。
また本発明は、前記空間内の前記多穴管の突出長さを不均一にしたものである。
かかる構成により、管内を流れる流体の流量比率を調整することができる。
また本発明は、前記ブロックを射出成形またはプレス成形により成形した熱交換器の製造方法である。
かかる製造方法により、ブロックを同一形状で大量に速く加工できる。
また本発明は、前記多穴管の先端と隣接する前記ブロックの前記背面を溶着または拡散接合により接合した熱交換器の製造方法である。
かかる製造方法により、ロウ材や接着剤等の異種材料を使用しないので、不純物の析出等を防ぐことができる。
本発明の熱交換器は、長くて細い管を使用する必要はなく、同時に管を並べる必要もないので、熱交換器を非常に安価でかつ簡単な工程で製造できる。
また本発明の熱交換器は、多穴管を薄くすることで多穴管相互の間の管外流路を大きく取ることができるので、管外を流れる流体の流動抵抗を抑えることができる。
また本発明の熱交換器は、多穴管の挿入しろを設けることで多穴管相互の接続を確実にできるので、洩れに対する信頼性を確保することができるとともに、多穴管先端の挿入長さを規定することができるので、熱交換器の反りや歪みを抑えることができる。
また本発明の熱交換器は、ヘッダーに多穴管挿入用の長穴を設けたり、多穴管をヘッダーに挿入し接着したりする必要がないので、少ない工程で製造できるとともに、ヘッダーでの洩れに対する信頼性を確保することができる。
また本発明の熱交換器は、基板上での埃の堆積や結露水の滞留を抑えることができるので、管外を流れる流体の流動抵抗の経時的な増大を抑えることができる。
また本発明の熱交換器は、管内を流れる流体の流量比率を調整することができるので、管外を流れる流体の速度分布や温度分布に応じて熱交換量の分布を最適化することができる。
また本発明の熱交換器の製造方法は、ブロックを同一形状で大量に速く加工できるので、品質が安定し、加工費を抑えることができる。
また本発明の熱交換器の製造方法は、ロウ材や接着剤等の異種材料を使用しないので、不純物の析出等を防ぐことができ、安全性を高めることができる。
請求項1に記載の発明は、基板と前記基板の表面に略垂直に設けられた複数の多穴管とからブロックが構成され、前記多穴管は管内に複数の円形状の流路を持ち、前記基板の背面には前記流路が前記背面まで貫通することで構成される貫通穴が複数設けられ、前記多穴管の先端の前記流路が隣接する前記ブロックの背面の前記貫通穴と接続するように前記ブロックが複数積層されるとともに、内部に空間を持つヘッダーを積層された前記ブロックの両外側に設け、両端の前記基板が前記ヘッダーの一部を構成し、前記空間内の前記多穴管の突出長さは、流入管から離れるにしたがって大きくした熱交換器であり、ブロックを積層することで微細な流路を多数備えた熱交換器を容易に構成することができるので、長くて細い管を使用する必要はなく、同時に管を並べる必要もないないので、熱交換器を非常に安価でかつ簡単な工程で製造できる。
また、ヘッダーに多穴管挿入用の長穴を設けたり、多穴管をヘッダーに挿入し接着したりする必要がないので、少ない工程で製造できるとともに、ヘッダーでの洩れに対する信頼性を確保することができる。
また、管内を流れる流体の流量比率を調整することができるので、管外を流れる流体の速度分布や温度分布に応じて熱交換量の分布を最適化することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の熱交換器において、前記多穴管は断面形状を偏平状とし、管内の前記流路は長辺方向に配列されるとともに、前記多穴管は前記多穴管相互で長辺方向が平行となるように間隔を空けて前記基板上に配列されるものであり、多穴管を薄くすることができるので多穴管相互の間の管外流路を大きく取ることができ、管外を流れる流体の流動抵抗を抑えることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明の熱交換器において、前記背面に前記多穴管の先端の断面形状とほぼ同じ形状の凹みを設け、前記凹みに隣接する前記ブロックの前記多穴管の先端を挿入したものであり、多穴管の挿入しろを設けることで多穴管相互の接続を確実にできるので、洩れに対する信頼性を確保することができるとともに、多穴管先端の挿入長さを規定することができるので、熱交換器の反りや歪みを抑えることができる。
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の発明の熱交換器において、基板の平面方向を重力方向に配置したものであり、基板上での埃の堆積や結露水の滞留を抑えることができるので、管外を流れる流体の流動抵抗の経時的な増大を抑えることができる。
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の発明の熱交換器の製造方法において、前記ブロックを射出成形またはプレス成形により成形したものであり、ブロックを同一形状で大量に速く加工できるので、品質が安定し、加工費が安くなる。
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の発明の熱交換器の製造方法において、前記多穴管の先端と隣接する前記ブロックの前記背面を溶着または拡散接合により接合したものであり、ロウ材や接着剤等の異種材料を使用しないので、不純物の析出等を防ぐことができ、安全性を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の熱交換器の正面図、図2は、同実施の形態の熱交換器の上面図、図3は図1のA−A線断面図、図4は図2のB−B線断面図を示すものである。また図5は同実施の形態の熱交換器のブロックの正面図、図6は同実施の形態の熱交換器のブロックの側面図、図7は図4の部分拡大図である。
図1から図7において、熱交換器は、熱交換部1と熱交換部1の両端のヘッダー2aと2bから構成される。熱交換部1は、基板5の平面方向が重力方向となるように複数のブロック3を水平方向に積層して構成されている。ブロック3は、基板5と基板5の表面に略垂直に設けられた複数の多穴管6とから構成され、多穴管6は管内に複数の流路4を持ち、基板5の背面5’には流路4が背面5’まで貫通することで構成される貫通穴4’が複数設けられている。また、多穴管6は断面形状を偏平状とし、管内の流路4は長辺方向に配列されるとともに、多穴管6は相互で長辺方向が平行となるように間隔を空けて基板5上に配列されている。また基板5の背面5’には、多穴管6の断面形状とほぼ同じ偏平状の凹み7が設けられている。そして、図7に示すように、凹み7に隣接するブロック3の多穴管6の先端6’を挿入することで、基板5の背面5’の貫通穴4’と隣接するブロック3の多穴管6の流路4とが連通するように積層されている。ヘッダー2aは内部に空間8aと流入管9を備えるとともに、隣接するブロック3aの基板5aがヘッダー2aの一部を構成し、またブロック3aの多穴管6aは流入管9から離れるにしたがって空間8aへの突出長さが大きくなっている。ヘッダー2bは内部に空間8bと流出管10を備えるとともに、隣接するブロック3bの基板5bがヘッダー2bの一部を構成する。
以上のように構成された熱交換器では、多穴管6の流路4を流れる流体Aと多穴管6の外部を流れる流体Bとが多穴管6を介して熱交換する。流体Aの具体例としては水や冷媒、流体Bの具体例としては空気やガスなどが考えられる。また流体Aは、流入管9からヘッダー2aの空間8aに流入し、空間8aに接続されている複数の多穴管6の流路4を分岐して流れる。多穴管6の流路4を流れた流体Aはヘッダー2bの空間8bで合流した後、流出管10から流出する。この際、この熱交換器では多穴管6を備えたブロック3を積層することで流路4が碁盤目状に配列された熱交換部1を構成するので、非常に細い流路4を非常に高密度に配列することができ、流体Aや流体Bが接する多穴管6の伝熱面積を非常に大きくすることができるので、非常に高能力でコンパクトな熱交換器を実現することができる。
以上のように、本実施の形態においては、基板5と基板5の表面に略垂直に設けられた複数の多穴管6とからブロック3が構成され、多穴管6は管内に複数の流路4を持ち、基板5の背面5’には流路4が背面5’まで貫通することで構成される貫通穴4’が複数設けられ、多穴管6の先端6’の流路4が隣接するブロック3の背面5’の貫通穴4’と接続するようにブロック3が複数積層された熱交換器であり、ブロック3を積層することで微細な流路4を多数備えた熱交換器を容易に構成することができるので、長くて細い管を使用する必要はなく、同時に管を並べる必要もないないので、熱交換器を非常に安価でかつ簡単な工程で製造できる。
また多穴管6は断面形状を偏平状とし、管内の流路4は長辺方向に配列されるとともに、多穴管6は多穴管6相互で長辺方向が平行となるように間隔を空けて基板5上に配列されるものであり、多穴管6を薄くすることができるので多穴管6相互の間の管外流路を大きく取ることができ、管外を流れる流体の流動抵抗を抑えることができる。
また背面5’に多穴管6の先端6’の断面形状とほぼ同じ形状の凹み7を設け、凹み7に隣接するブロック3の多穴管6の先端6’を挿入したものであり、多穴管6の挿入代を設けることで多穴管6相互の接続を確実にできるので、洩れに対する信頼性を確保することができるとともに、多穴管6の先端6’の挿入長さを規定することができるので、熱交換器の反りや歪みを抑えることができる。
また内部に空間8a、8bを持つヘッダー2a、2bを積層されたブロック3の両外側に設け、両端の基板5がヘッダー2a、2bの一部を構成するものであり、ヘッダー2a、2bに多穴管6挿入用の長穴を設けたり、多穴管6をヘッダー2a、2bに挿入し接着したりする必要がないので、少ない工程で製造できるとともに、ヘッダー2a、2bでの洩れに対する信頼性を確保することができる。
また基板5の平面方向を重力方向に配置したものであり、基板5上での埃の堆積や結露水の滞留を抑えることができるので、管外を流れる流体の流動抵抗の経時的な増大を抑えることができる。
またヘッダー2aの空間8a内の前記多穴管6の突出長さを不均一にしたものであり、管内を流れる流体の流量比率を調整することができるので、管外を流れる流体の速度分布や温度分布に応じて熱交換量の分布を最適化することができる。
またブロック3を射出成形またはプレス成形により成形したものであり、ブロック3を同一形状で大量に速く加工できるので、品質が安定し、加工費が安くなる。
さらには多穴管6の先端6’と隣接するブロック3の背面5’を溶着または拡散接合により接合したものであり、ロウ材や接着剤等の異種材料を使用しないので、不純物の析出等を防ぐことができ、安全性を高めることができる。
なお本実施の形態1の熱交換器では流路4を円形状としたが、流路4は楕円形状や矩形形状としても良い。
以上のように、本発明にかかる熱交換器は、非常に優れた熱交換性能を、非常に製造が容易な構造で、かつ安価に実現でき、冷凍冷蔵機器や空調機器用の熱交換器や、廃熱回収機器等の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における熱交換器の正面図 同実施の形態の熱交換器の上面図 図1のA−A線断面図 図2のB−B線断面図 同実施の形態の熱交換器のブロックの正面図 同実施の形態の熱交換器のブロックの側面図 図4の部分拡大図 従来の熱交換器の正面図
符号の説明
2a、2b ヘッダー
3、3a、3b ブロック
4 流路
4’ 貫通穴
5 基板
5’ 背面
6 多穴管
6’ 先端
7 凹み

Claims (6)

  1. 基板と前記基板の表面に略垂直に設けられた複数の多穴管とからブロックが構成され、前記多穴管は管内に複数の円形状の流路を持ち、前記基板の背面には前記流路が前記背面まで貫通することで構成される貫通穴が複数設けられ、前記多穴管の先端の前記流路が隣接する前記ブロックの背面の前記貫通穴と接続するように前記ブロックが複数積層されるとともに、内部に空間を持つヘッダーを積層された前記ブロックの両外側に設け、両端の前記基板が前記ヘッダーの一部を構成し、前記空間内の前記多穴管の突出長さは、流入管から離れるにしたがって大きくした熱交換器。
  2. 前記多穴管は断面形状を偏平状とし、管内の前記流路は長辺方向に配列されるとともに、前記多穴管は前記多穴管相互で長辺方向が平行となるように間隔を空けて前記基板上に配列される請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記背面に前記多穴管の先端の断面形状とほぼ同じ形状の凹みを設け、前記凹みに隣接する前記ブロックの前記多穴管の先端を挿入した請求項1または2に記載の熱交換器。
  4. 前記基板の平面方向を重力方向に配置した請求項1からのいずれか一項に記載の熱交換器。
  5. 前記ブロックを射出成形またはプレス成形により成形した請求項1からのいずれか一項に記載の熱交換器の製造方法。
  6. 前記多穴管の先端と隣接する前記ブロックの前記背面を溶着または拡散接合により接合した請求項1からのいずれか一項に記載の熱交換器の製造方法。
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