JP2020011650A - 路面状態の判定装置、方法及びプログラム - Google Patents

路面状態の判定装置、方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】車両が走行する路面の状態を正確に判定する。【解決手段】判定装置は、第1タイヤの回転速度と第3タイヤの回転速度との第1比較値と、第2タイヤの回転速度と第4タイヤの回転速度との第2比較値とを順次算出する。第1及び第2タイヤは、第3及び第4タイヤよりも大きな駆動力が加えられる。判定装置は、ホイールトルクを順次取得し、ホイールトルクと第1比較値との第1関係、及びホイールトルクと第2比較値との第2関係を特定する。判定装置は、ある時刻のホイールトルクを第1関係に適用し、前記時刻の第1比較値の第1予測値を算出するとともに、前記時刻のホイールトルクを第2関係に適用し、前記時刻の第2比較値の第2予測値を算出する。判定装置は、前記時刻の第1比較値と第1予測値との第1ずれ量、及び前記時刻の第2比較値と第2予測値との第2ずれ量を算出し、両ずれ量の差に応じて、路面の状態を判定する。【選択図】図3

Description

本発明は、車両が走行する路面の状態を判定する判定装置、方法及びプログラムに関する。
車両を快適に走行させるためには、タイヤの空気圧が調整されていることが重要である。空気圧が適正値を下回ると、乗り心地や燃費が悪くなるという問題が生じ得るからである。従来より、タイヤの減圧を自動的に検出するシステム(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)が研究されている。タイヤが減圧しているという情報は、例えば、運転者への警報に用いることができる。
タイヤの減圧を検出する方式には、タイヤに圧力センサを取り付ける等して、タイヤの空気圧を直接的に計測する方式の他、他の指標値を用いてタイヤの減圧を間接的に評価する方式がある。このような方式では動荷重半径(Dynamic Loaded Radius;DLR)方式等が知られている。DLR方式は、減圧タイヤは走行時につぶれることで動荷重半径が小さくなり、より高速に回転するようになるという現象を利用するものであり、タイヤの回転速度からタイヤの減圧を推定する(特許文献1等)。
特許文献1は、DLR方式の検出装置を開示しており、DLR方式において減圧を評価するための減圧指標値として、DEL1〜DEL3と呼ばれる3つの指標値について言及している。特許文献1では、DEL1〜DEL3は、以下のように定義されている。ただし、V1〜V4は、それぞれ左前輪、右前輪、左後輪、右後輪タイヤの回転速度である。
DEL1=[(V1+V4)/2-(V2+V3)/2]/[(V1+V2+V3+V4)/4]×100(%)
DEL2=[(V1+V2)/2-(V3+V4)/2]/[(V1+V2+V3+V4)/4]×100(%)
DEL3=[(V1+V3)/2-(V2+V4)/2]/[(V1+V2+V3+V4)/4]×100(%)
タイヤが減圧すると、回転速度が増加するため、DEL1〜DEL3のような減圧指標値も変化する。従って、検出目標となる減圧量だけ減圧したときの減圧指標値を閾値として設定しておくことで、減圧の検出が可能になる。
ところで、特許文献2で指摘されているように、上記のような減圧指標値を決定するタイヤの回転速度は、タイヤの減圧のみならず、路面の状態の影響も受ける。例えば、舗装された一般的な路面(以下、通常路面とよぶ)と、砂利道、石畳、積雪した路面等の悪路とでは、タイヤのスリップのし易さが異なり、これに起因してタイヤの回転速度が変動する。
特許第4809199号 特開2002−87030号公報
したがって、タイヤの減圧検出の精度を向上させるためには、路面の状態を正確に判断し、これに応じた制御を行うことが重要である。なお、路面の状態に応じた制御は、タイヤの減圧を検出する場面だけではなく、例えばブレーキシステムの制御を行う場面等にも適用することができる。
本発明は、車両が走行する路面の状態を正確に判定することが可能な判定装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係る判定装置は、車両が走行する路面の状態を判定する判定装置であって、回転速度取得部と、比較値算出部と、トルク取得部と、関係特定部と、予測部と、判定部とを備える。前記回転速度取得部は、前記車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤの回転速度を順次取得する。前記比較値算出部は、前記第1タイヤの回転速度と前記第3タイヤの回転速度とを比較する第1比較値と、前記第2タイヤの回転速度と前記第4タイヤの回転速度とを比較する第2比較値とを順次算出する。前記トルク取得部は、ホイールトルクを順次取得する。前記関係特定部は、順次取得される前記ホイールトルク及び前記第1比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第1比較値との第1関係を特定するとともに、順次取得される前記ホイールトルク及び前記第2比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第2比較値との第2関係を特定する。前記予測部は、ある時刻の前記ホイールトルクを前記第1関係に適用し、前記時刻の前記第1比較値を予測する第1予測値を算出するとともに、前記時刻の前記ホイールトルクを前記第2関係に適用し、前記時刻の前記第2比較値を予測する第2予測値を算出する。前記判定部は、前記時刻の前記第1比較値と前記第1予測値との第1ずれ量を算出するとともに、前記時刻の前記第2比較値と前記第2予測値との第2ずれ量を算出し、前記第1ずれ量と前記第2ずれ量との差に応じて、前記路面の状態を判定する。前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前輪タイヤ及び後輪タイヤの一方であり、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤは、他方であり、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである。
本発明の第2観点に係る判定装置は、第1観点に係る判定装置であって、前記判定部は、前記差を表す指標値を算出し、前記指標値が所定の閾値を超える場合に、前記路面の状態を悪路であると判定する。
本発明の第3観点に係る判定装置は、第2観点に係る判定装置であって、前記関係特定部は、前記所定の閾値を超える前記指標値の算出に用いられた前記回転速度のデータをリジェクトする。
本発明の第4観点に係る判定装置は、第3観点に係る判定装置であって、減圧検出部をさらに備える。前記減圧検出部は、前記リジェクトされたデータを除く前記回転速度のデータに基づいて、前記タイヤの減圧を判定するための減圧指標値を算出し、前記減圧指標値に基づいて、前記タイヤの減圧を検出する。
本発明の第5観点に係る判定装置は、第4観点に係る判定装置であって、警報生成部をさらに備える。前記警報生成部は、前記タイヤの減圧状態が検出された場合に、減圧警報を発生させる。
本発明の第6観点に係る判定装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係る判定装置であって、前記車両に加わる横方向加速度を順次取得する横方向加速度取得部をさらに備える。前記関係特定部は、順次取得される前記横方向加速度にさらに基づいて、前記第1関係として、前記ホイールトルクと前記第1比較値と前記横方向加速度との関係を特定するとともに、前記第2関係として、前記ホイールトルクと前記第2比較値と前記横方向加速度との関係を特定する。
本発明の第7観点に係る判定装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る判定装置であって、前記第1比較値は、前記第1タイヤの回転速度と前記第3タイヤの回転速度との比であり、前記第2比較値は、前記第2タイヤの回転速度と前記第4タイヤの回転速度との比である。
本発明の第8観点に係る判定方法は、車両が走行する路面の状態を判定する判定方法であって、以下のことを含む。
・前記車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤの回転速度を順次取得すること
・前記第1タイヤの回転速度と前記第3タイヤの回転速度とを比較する第1比較値と、前記第2タイヤの回転速度と前記第4タイヤの回転速度とを比較する第2比較値とを順次算出すること
・ホイールトルクを順次取得すること
・順次取得される前記ホイールトルク及び前記第1比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第1比較値との第1関係を特定するとともに、順次取得される前記ホイールトルク及び前記第2比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第2比較値との第2関係を特定すること
・ある時刻の前記ホイールトルクを前記第1関係に適用し、前記時刻の前記第1比較値を予測する第1予測値を算出するとともに、前記時刻の前記ホイールトルクを前記第2関係に適用し、前記時刻の前記第2比較値を予測する第2予測値を算出すること
・前記時刻の前記第1比較値と前記第1予測値との第1ずれ量を算出するとともに、前記時刻の前記第2比較値と前記第2予測値との第2ずれ量を算出すること
・前記第1ずれ量と前記第2ずれ量との差に応じて、前記路面の状態を判定すること
なお、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前輪タイヤ及び後輪タイヤの一方であり、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤは、他方であり、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである。
本発明の第9観点に係る判定プログラムは、車両が走行する路面の状態を判定する判定プログラムであって、以下のことをコンピュータに実行させる。
・前記車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤの回転速度を順次取得すること
・前記第1タイヤの回転速度と前記第3タイヤの回転速度とを比較する第1比較値と、前記第2タイヤの回転速度と前記第4タイヤの回転速度とを比較する第2比較値とを順次算出すること
・ホイールトルクを順次取得すること
・順次取得される前記ホイールトルク及び前記第1比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第1比較値との第1関係を特定するとともに、順次取得される前記ホイールトルク及び前記第2比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第2比較値との第2関係を特定すること
・ある時刻の前記ホイールトルクを前記第1関係に適用し、前記時刻の前記第1比較値を予測する第1予測値を算出するとともに、前記時刻の前記ホイールトルクを前記第2関係に適用し、前記時刻の前記第2比較値を予測する第2予測値を算出すること
・前記時刻の前記第1比較値と前記第1予測値との第1ずれ量を算出するとともに、前記時刻の前記第2比較値と前記第2予測値との第2ずれ量を算出すること
・前記第1ずれ量と前記第2ずれ量との差に応じて、前記路面の状態を判定すること
なお、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前輪タイヤ及び後輪タイヤの一方であり、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤは、他方であり、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである。
タイヤの回転速度は、タイヤの減圧のみならず、タイヤのスリップの影響も受ける。また、スリップは、ホイールトルクが大きいほど増加するが、スリップのし易さは、通常、前輪タイヤと後輪タイヤとで異なる。より具体的には、駆動輪タイヤはスリップし易いが、従動輪タイヤは余りスリップせず、四輪駆動車の場合には、より大きな駆動力が与えられるタイヤがよりスリップし易くなる。以下、より大きな駆動力が与えられるタイヤ(駆動輪タイヤを含む)を、主タイヤと呼ぶ。
以上より、ホイールトルクの増加に伴って、主に主タイヤのスリップが増加し、前輪タイヤの回転速度と後輪タイヤの回転速度とのバランスが徐々に変化するため、両者の比較値とホイールトルクとの間には一定の関係が成立し得る。しかしながら、例えば、悪路の走行時等、路面の状態によっては、この関係が崩れる。このとき、この関係は、左右の主タイヤにそれぞれ基づく2つの比較値間で非対称な崩れ方をする傾向にある。通常路面でない場合には、左右の主タイヤでのスリップのし易さにバラつきが生じることが多いためである。
本発明の第1観点によれば、左右の主タイヤにそれぞれ基づく比較値について、比較値とホイールトルクとの関係が特定され、この関係からある時刻の比較値の予測値が算出され、さらにある時刻の比較値とその予測値とのずれ量が算出される。そして、左右の主タイヤにそれぞれ由来するずれ量どうしを比較し、その差に応じて路面の状態が判定される。これにより、車両が走行する路面の状態を正確に判定することができる。
本発明の一実施形態に係る判定装置が車両に搭載された様子を示す模式図。 判定装置の電気的構成を示すブロック図。 路面状態の判定処理を含む、減圧検出処理の流れを示すフローチャート。 第1比較値とホイールトルクのグラフ。 第2比較値とホイールトルクのグラフ。 左旋回時の横方向加速度による荷重移動を説明する図。 右旋回時の横方向加速度による荷重移動を説明する図。 悪路走行時の第1比較値とホイールトルクのグラフ。 悪路走行時の第2比較値とホイールトルクのグラフ。 減圧検出ルーチンの流れを示すフローチャート。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る判定装置、方法及びプログラムについて説明する。
<1.判定装置の構成>
図1は、本実施形態に係る判定装置2が車両1に搭載された様子を示す模式図である。車両1は、四輪車両であり、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL及び右後輪RRを備えている。車輪FL,FR,RL,RRには、各々、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRが装着されている。本実施形態に係る車両1は、フロントエンジン・フロントドライブ車(FF車)であり、前輪タイヤTFL,TFRが駆動輪タイヤであり、後輪タイヤTRL,TRRが従動輪タイヤである。よって、タイヤTFL,TFRには、タイヤTRL,TRRよりも大きな駆動力が加えられる。判定装置2は、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの回転速度のデータに基づいて、路面状態の判定を行う。また、判定装置2は、路面状態に応じて、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの回転速度のデータの選別を行い、選別されたデータに基づいて、スリップの影響がキャンセルされた前輪タイヤTFL,TFRの補正回転速度を算出する。前輪タイヤTFL,TFRの補正回転速度は、例えば後述するDLR方式のタイヤの減圧検出処理に用いられ、減圧検出の精度を向上させることができる。
車両1のタイヤTFL,TFR,TRL,TRR(より正確には、車輪FL,FR,RL,RR)には、各々、車輪速センサ6が取り付けられており、車輪速センサ6は、自身の取り付けられた車輪の車輪速情報(すなわち、タイヤの回転速度情報)を検出する。車輪速センサ6としては、走行中の車輪FL,FR,RL,RRの車輪速を検出できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、電磁ピックアップの出力信号から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできるし、ダイナモのように回転を利用して発電を行い、このときの電圧から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできる。車輪速センサ6の取り付け位置も、特に限定されず、車輪速の検出が可能である限り、センサの種類に応じて、適宜、選択することができる。車輪速センサ6は、判定装置2に通信線5を介して接続されている。各車輪速センサ6で検出された車輪速情報は、リアルタイムに判定装置2に送信される。
車両1の一方の駆動輪である左前輪(FL)には、ホイールトルクセンサ(以下、WTセンサ)7が取り付けられている。WTセンサ7は、車両1のホイールトルクを検出する。WTセンサ7は、判定装置2に通信線5を介して接続されている。WTセンサ7で検出されたホイールトルクの情報は、リアルタイムに判定装置2に送信される。
WTセンサ7としては、車両1の駆動輪のホイールトルクを検出できる限り、その構造も取り付け位置も特に限定されない。ホイールトルクセンサとしては、様々な種類のものが市販されており、その構成については周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、WTセンサ7によらず、ホイールトルクを検出することも可能であり、例えば、エンジンの制御装置から得られるエンジントルクからホイールトルクを推定することもできる。
また、車両1には、車両1に加わる横方向加速度を検出する横方向加速度センサ4が取り付けられている。横方向加速度とは、車両1の旋回時に、旋回外側に向かって車両1に作用する遠心加速度である。横方向加速度センサ4の取り付け位置は特に限定されず、適宜選択することができる。横方向加速度センサ4は、判定装置2に通信線5を介して接続されている。横方向加速度センサ4で検出された横方向加速度の情報は、車輪速情報及びホイールトルクの情報と同様、リアルタイムに判定装置2に送信される。
図2は、判定装置2の電気的構成を示すブロック図である。図2に示されるとおり、判定装置2は、ハードウェアとしては車両1に搭載されている制御ユニットであり、I/Oインターフェース11、CPU12、ROM13、RAM14、及び不揮発性で書き換え可能な記憶装置15を備えている。I/Oインターフェース11は、車輪速センサ6、WTセンサ7、横方向加速度センサ4及び表示器3等の外部装置との通信を行うための通信装置である。ROM13には、車両1の各部の動作を制御するためのプログラム8が格納されている。CPU12は、ROM13からプログラム8を読み出して実行することにより、仮想的に回転速度取得部21、比較値算出部22、トルク取得部23、関係特定部24、予測部25、判定部26、横方向加速度取得部27、減圧検出部28及び警報生成部29として動作する。各部21〜29の動作の詳細は、後述する。記憶装置15は、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成される。なお、プログラム8の格納場所は、ROM13ではなく、記憶装置15であってもよい。RAM14及び記憶装置15は、CPU12の演算に適宜使用される。
表示器3は、減圧が起きている旨をユーザに伝えることができる限り、例えば、液晶表示素子、液晶モニター、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等、任意の態様で実現することができる。例えば、表示器3は、四輪タイヤTFL,TFR,TRL,TRRにそれぞれ対応する4つのランプを、タイヤの実際の配列に併せて配置したものとすることができる。表示器3の取り付け位置は、適宜選択することができるが、例えば、インストルメントパネル上等、ドライバーに分かりやすい位置に設けることが好ましい。制御ユニット(判定装置2)がカーナビゲーションシステムに接続される場合には、カーナビゲーション用のモニターを表示器3として使用することも可能である。表示器3としてモニターが使用される場合、警報はモニター上に表示されるアイコンや文字情報とすることができる。
<2.減圧検出処理>
以下、図3を参照しつつ、車両1が走行する路面の状態を判定する判定処理を含む、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの減圧を検出するための減圧検出処理について説明する。減圧検出処理は、車両1の電気系統に電源が投入されている間、所定のタイミングで(例えば、10分に1回等)繰り返し実行される。
ステップS1では、回転速度取得部21が、V1〜V4を取得する。ここで、V1〜V4は、それぞれタイヤTFL,TFR,TRL,TRRの回転速度である。回転速度取得部21は、所定のサンプリング周期ΔTにおける車輪速センサ6からの出力信号を受信し、これを回転速度V1〜V4に換算する。
ステップS2では、トルク取得部23が、車両1のホイールトルクWTを取得する。トルク取得部23は、WTセンサ7からの出力信号を受信し、これをホイールトルクWTに換算する。
ステップS3では、横方向加速度取得部27が、車両1に加わる横方向加速度γを取得する。横方向加速度取得部27は、横方向加速度センサ4からの出力信号を受信し、これをγに換算する。ステップS1、並びにその直後のステップS2〜S4で取得される回転速度V1〜V4、ホイールトルクWT、横方向加速度γ、第1比較値R1及び第2比較値R2のデータは、同時刻又は概ね同時刻に取得されたデータセットとして扱われ、RAM14又は記憶装置15に保存される。ステップS1〜S4と同様の、後述するステップS7〜S10で取得されるV1〜V4,WT,γ,R1,R2のデータについても同様である。なお、図3に示すとおり、ステップS1〜S4及びステップS7〜S10は、繰り返し実行されるため、以上のデータセットは、順次取得される。
続くステップS4では、比較値算出部22が、前輪タイヤTFL,TFRの回転速度と後輪タイヤTRL,TRRの回転速度とを比較する第1比較値R1及び第2比較値R2をそれぞれ算出する。比較値R1,R2とは、前輪の車輪速が大きいほど小さくなり且つ後輪の車輪速が大きいほど大きくなる値、あるいは、前輪の車輪速が大きいほど大きくなり且つ後輪の車輪速が大きいほど小さくなる値である。
比較値R1,R2は上記特徴を有する限り、様々な方法で定義することができるが、本実施形態では、R1,R2は、以下の式に従って算出される。すなわち、第1比較値R1は、一方の駆動輪タイヤである左前輪タイヤTFLの回転速度V1と、該駆動輪タイヤTFLと同じく車両1の左側に装着された従動輪タイヤである左後輪タイヤTRLの回転速度V3とを比較する比較値であり、前者に対する後者の比の形式で表される。第2比較値R2は、他方の駆動輪タイヤである右前輪タイヤTFRの回転速度V2と、該駆動輪タイヤTFRと同じく車両1の右側に装着された従動輪タイヤである右後輪タイヤTRRの回転速度V4とを比較する比較値であり、前者に対する後者の比の形式で表される。
R1=V3/V1
R2=V4/V2
以上のように定義される第1比較値R1は、2つの前輪タイヤTFL,TFR及び2つの後輪タイヤTRL,TRRのうち、一方の前輪タイヤの回転速度と一方の後輪タイヤの回転速度とを比較する比較値である。また、以上のように定義される第2比較値R2は、2つの前輪タイヤTFL,TFR及び2つの後輪タイヤTRL,TRRのうち、他方の前輪タイヤの回転速度と他方の後輪タイヤの回転速度とを比較する比較値である。
次のステップS5では、関係特定部24が、V1〜V4,WT,γ,R1,R2のデータセットが、N1点以上RAM14又は記憶装置15に保存されたかを判定する。N1は、3以上の整数であり、適宜設定することができる。保存されたデータセット数がN1点以上と判定(YES)されれば、処理は次のステップS6に進む。保存されたデータセットがN1点未満(NO)と判定されれば、処理はステップS1に戻る。その後、N1点以上の有効なデータセットがRAM14又は記憶装置15に蓄積されるまで、ステップS1〜S5が繰り返される。ひとたびデータセットがN1点を超えた後は、ステップS6に進む。
続くステップS6では、関係特定部24が、RAM14又は記憶装置15に保存されているWT,γ,R1の多数のデータセットに基づいて、第1比較値R1とホイールトルクWTとの関係を表す回帰式L1を特定する。また、関係特定部24は、RAM14又は記憶装置15に保存されているWT,γ,R2の多数のデータセットに基づいて、第2比較値R2とホイールトルクWTとの関係を表す回帰式L2を特定する。回帰式L1,L2は、本実施形態では、以下のとおり定義される。
L1:R1=x0WT+x1WTγ+x2γ+x3
L2:R2=y0WT+y1WTγ+y2γ+y3
以上の回帰式L1,L2について説明する。まず、ホイールトルクWTが一定値以下の場合には、タイヤにはスリップが生じない又はほとんど生じないと考えられる。しかし、ホイールトルクWTが大きくなるにつれ、駆動輪タイヤのスリップが増加する。一方で、従動輪タイヤには、あまりスリップは生じない。よって、ホイールトルクWTが増加すると、車輪速センサ6によって検出される駆動輪タイヤの回転速度が増加し、これと従動輪タイヤの回転速度との差が大きくなる。従って、ホイールトルクWTと、駆動輪タイヤの回転速度と従動輪タイヤの回転速度との比較値R1,R2との間には、図4A及び図4Bに示すような線形関係が成立する。よって、ホイールトルクWTと第1比較値R1との関係、及び、ホイールトルクWTと第2比較値R2との関係は、それぞれ以下の直線M1,M2の回帰式で表すことができる。
M1:R1=a1×WT+b1
M2:R2=a2×WT+b2
また、本発明者らの検討によると、車両1が旋回している場合、タイヤに生じるスリップのし易さが変化する。より具体的には、図5A及び図5Bに示すように、車両1が旋回すると、車両1に横方向加速度γが加わる。その結果、車両1の左右で荷重移動が起こり、旋回の内側のタイヤに加わる荷重が減少し、外側のタイヤに加わる荷重が増加する。その結果、内側の駆動輪タイヤではスリップが増加し、外側の駆動輪タイヤではスリップが減少する。例えば、図5Aに示すように、車両1が左方向へ旋回(左旋回)すると、荷重が車両1の左側から右側へと移動し、旋回内側の左輪タイヤに加わる荷重が減少する一方で、旋回外側の右輪タイヤに加わる荷重が増加する。その結果、タイヤTFLのスリップは増加し、タイヤTFRのスリップは減少する。反対に、図5Bに示すように、車両1が右方向へ旋回すると、荷重が車両1の右側から左側に移動し、旋回内側の右輪タイヤに加わる荷重が減少する一方で、旋回外側の左輪タイヤに加わる荷重は増加する。その結果、タイヤTFRのスリップは増加し、タイヤTFLのスリップは減少する。このため、ホイールトルクWTとR1,R2との線形関係は、車両1の直進時と旋回時とで変化する。
よって、ホイールトルクWTと比較値R1,R2との関係を表す線形モデルは、ホイールトルクWTに対する比較値R1,R2の傾き及び切片が、横方向加速度γに依存するものとしてモデル化することができる。このモデルを表すWTとγとR1,R2との関係式が、上述した回帰式L1,L2である。なお、横方向加速度γを考慮するため、厳密には比較値R1,R2とホイールトルクWTとの間に線形性はないと言い得る。よって、ここでいう線形モデルとは、近似的な線形モデルである。
ステップS6では、回帰式L1,L2を特定すべく、パラメータx0〜x3,y0〜y3が算出される。本実施形態では、パラメータx0〜x3,y0〜y3は、カルマンフィルタを用いて逐次的に算出される。しかしながら、パラメータの算出方法は、これに限られず、最小二乗法を用いることもでき、演算の効率化のために、逐次(再帰的)最小二乗法を用いることもできる。
続くステップS7〜S10では、それぞれ回転速度取得部21、トルク取得部23、横方向加速度取得部27及び比較値算出部22が、ステップS1〜S4と同様に、V1〜V4,WT,γ,R1,R2を取得する。
続くステップS11では、予測部25が、直近のある時刻tでのWT,γを、その少し前の時刻(t−1)での回帰式L1に適用し、時刻tでの第1比較値R1を予測する第1予測値S1を算出する。同様に、予測部25は、直近のある時刻tでのWT,γを、その少し前の時刻(t−1)での回帰式L2に適用し、時刻tでの第2比較値R2を予測する第2予測値S2を算出する。時刻tでのWT,γとは、最新のステップS8,S9で取得されたWT,γであり、時刻(t−1)での回帰式L1,L2とは、最新のステップS6又は後述する最新のS16で特定された回帰式L1,L2である。
ここで、図6A及び図6Bを参照されたい。図6A及び図6Bは、それぞれ比較値R1,R2のグラフであり、横軸がホイールトルクWTである。同図に示すように、車両1が通常路面を走行した時の多数のデータセットに基づいて、回帰式L1,L2を特定することができる。ここで、車両1が通常路面から悪路へと移行すると、路面上の不規則な凹凸によってタイヤが路面から浮き易くなり、各輪のタイヤの設置面積にバラツキが生じる。このような状態では、比較値R1,R2がそれぞれ回帰式L1,L2からずれるが、このときのずれ方が、比較値R1,R2間で非対称になる傾向にある。例えば、図6A及び図6Bのように、車両1の右側の駆動輪タイヤに基づく比較値R2のみが、回帰直線から外れたデータセットが取得され得る。従って、回帰式L1,L2に基づいて比較値R1,R2を予測し、こうして得られた予測値S1,S2の、それぞれ比較値R1,R2の実測値(回転速度V1〜V4の実測値に基づく比較値R1,R2)からのずれ量を算出し、両ずれ量の差に注目することで、路面の状態の判定が可能となる(図6参照)。
以上より、続くステップS12では、判定部26が、第1比較値R1と第1予測値S1とのずれ量Q1を算出する。また、判定部26は、第2比較値R2と第2予測値S2とのずれ量Q2を算出する。第1ずれ量Q1及び第2ずれ量Q2は、以下の式に従ってそれぞれ算出される。
Q1=(V3/V1−S1)
Q2=(V4/V2−S2)
続くステップS13では、判定部26が、指標値Pを算出する。指標値Pは、第1ずれ量Q1と第2ずれ量Q2との差を表し、これに基づいて路面の状態を判定するための指標値である。言い換えると、PはホイールトルクWTに対する比較値R1,R2のバラツキ具合が異なっているか否かを判定する指標値である。Pは以下の式に従って算出される。
P=|Q1−Q2|
ステップS14では、判定部26がPと閾値Thに基づいて、路面の状態を判定する。閾値Thは、実車実験或いはシミュレーション等により、予め定められる値であり、車両1のROM13又は記憶装置15に格納されている。P≧Thの場合、路面の状態は悪路であると判定され、処理はステップS15に進む。PがP<Thの場合は、路面の状態は通常路面であると判定され、処理はステップS16に進む。
ステップS15では、関係特定部24は、最新の回転速度V1〜V4、比較値R1,R2、ホイールトルクWT及び横方向加速度γのデータセット、すなわち、悪路と判定されたときの指標値Pの算出に用いられたデータセットをリジェクトし、RAM14又は記憶装置15から削除する。悪路走行時に取得されたV1〜V4すなわちR1,R2は、各タイヤの接地面積のバラツキの影響を受けて変化する。このため、悪路走行時に取得されたデータセットに基づいて減圧の検出を行うと、検出の精度が低下することがある。従って、悪路と判定された場合のデータセットをリジェクトすることで、続いて実行される減圧検出の精度を向上させることができる。また、本実施形態では、後述するとおり、ステップS15でリジェクトされたデータセットは、繰り返し実行される路面状態の判定処理の中で、線形関係の特定に用いられない。従って、路面状態の判定の精度も向上する。
一方、ステップS16及びこれに続くステップS17では、DLR方式に基づくタイヤTFL,TFR,TRL,TRRの減圧検出が行われる。上でも述べたが、DLR方式の減圧検出では、減圧タイヤは走行時につぶれることで動荷重半径(DLR)が小さくなり、より高速に回転するようになる現象を利用している。そして、減圧を評価するための減圧指標値として、所定のタイヤ同士の回転速度V1〜V4を比較する3つの指標値DEL1〜DEL3が用いられる。指標値DEL1〜DEL3は、本実実施形態では、以下の式に従って算出される。
DEL1={(V1+V4)/(V2+V3)−1}×100(%)
DEL2={(V1+V2)/(V3+V4)−1}×100(%)
DEL3={(V1+V3)/(V2+V4)−1}×100(%)
上記の指標値のうち、DEL1は対角に位置するタイヤ同士の回転速度V1〜V4を比較し、DEL2は前後のタイヤ同士の回転速度V1〜V4を比較し、DEL3は左右のタイヤ同士の回転速度V1〜V4を比較する指標値である。また、DEL1は、回転速度V1,V4が大きい程大きくなり且つ回転速度V2,V3が大きい程小さくなる、或いは、回転速度V2,V3が大きい程大きくなり且つ回転速度V1,V4が大きい程小さくなる。DEL2は、回転速度V1,V2が大きい程大きくなり且つ回転速度V3,V4が大きい程小さくなる、或いは、回転速度V3,V4が大きい程大きくなり且つ回転速度V1,V2が大きい程小さくなる。DEL3は、回転速度V1,V3が大きい程大きくなり且つ回転速度V2,V4が大きい程小さくなる、或いは、回転速度V2,V4が大きい程大きくなり且つ回転速度V1,V3が大きい程小さくなる。
ステップS16では、関係特定部24が、RAM14又は記憶装置15に保存されているV1〜V4,WT,γ,R1,R2の多数のデータセットに基づいて、回帰式L1,L2を特定する。ここでの特定の方法は、ステップS6と同様である。なお、ここで使用されるデータセットには、前回回帰式L1,L2を特定してから取得されたデータセットであって、リジェクトされなかった新たなデータセットが含まれており、ステップS16では、これに基づいて回帰式L1,L2が更新される。
続くステップS17は、図7に示されるステップS21〜S24のとおりに進行する。ステップS21では、減圧検出部28が、直前のステップS16で特定された回帰式L1,L2に基づいて、ホイールトルクWTに応じて変化するスリップの影響がキャンセルされたV1,V2の補正回転速度V1′,V2′をそれぞれ算出する。より具体的には、回帰式L1,L2の切片(x2γ+x3)及び(y2γ+y3)は、それぞれWTが0(N・m)の場合の比較値R1,R2である。そして、WT(N・m)が0の場合、スリップは殆ど生じない。すなわち、(x2γ+x3)及び(y2γ+y3)は、それぞれスリップの影響がキャンセルされたR1,R2を表す。従って、前輪タイヤTFL,TFRの補正回転速度V1′,V2′は、それぞれ以下の式に従って算出される。このとき、下式に代入されるV3,V4,γは、最新のステップS7,S9で取得されたV3,V4,γである。
V1′=V3/(x2γ+x3
V2′=V4/(y2γ+y3
また、ホイールトルクWTが0(N・m)である場合に限らず、タイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度に小さいホイールトルク値を基準ホイールトルクWTRとして定め、基準ホイールトルクWTRにおける比較値R1,R2から補正回転速度V1′,V2′を求めることもできる。この場合、補正回転速度V1′,V2′は、以下の式で表される。
V1′=V3/{x0WTR+x1WTRγ+x2γ+x3
V2′=V4/{y0WTR+y1WTRγ+y2γ+y3
続くステップS22では、減圧検出部28が、最新のV1′,V2,V3′,V4に基づいてDEL1〜DEL3をそれぞれ算出する。
続くステップS23では、減圧検出部28が、予め定められた減圧閾値とDEL1〜DEL3とを比較することにより、減圧を検出する。より具体的には、DEL1〜DEL3のそれぞれが閾値以上増加したか、閾値以上減少したか、或いは変化量が閾値以下であるかを判定し、これらの結果の組み合わせに応じて、いずれのパターン(一輪減圧、二輪減圧、三輪減圧)でタイヤが減圧しているかを判定する。減圧閾値は、実車実験或いはシミュレーション等により、予め定められ、ROM13又は記憶装置15に格納されている値である。いずれのパターンの減圧も検出されなかった場合には、ステップS17を終了し、ステップS7に戻る。一方、いずれかのパターンで減圧が検出された場合には、ステップS24に進む。
ステップS24では、警報生成部29が、表示器3を介して減圧警報を出力する。このとき、表示器3は、どのタイヤが減圧しているかを区別して警報することもできるし、いずれかのタイヤが減圧していることのみを示すように警報することもできる。また、減圧警報は、音声出力の態様で実行することもできる。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<3−1>
上記実施形態に係る路面の状態を判定する機能は、後輪駆動車にも適用することができるし、前後輪へのトルク配分が一定である場合、四輪駆動車にも適用することもできる。車両1が四輪駆動車である場合は、駆動力がより多く配分される車輪のタイヤと、そうでない車輪のタイヤとで回転速度を比較する比較値を算出し、それ以外は、上記実施形態と同様に処理すればよい。さらに、同機能は、四輪車両に限られず、三輪車両または六輪車両などにも適宜、適用することができる。
<3−2>
比較値R1,R2は、上述した条件を満たす限り、様々に定義することができる。例えば、上記実施形態に係る比較値R1,R2は、それぞれV3とV1の、V4とV2の比であったが、例えば以下のように定義することもできる。
R1=V32/V12
R2=V42/V22
或いは、以下のように定義することもできる。
R1=V1/V3
R2=V2/V4
或いは、以下のように定義することもできる。
R1=V1/V4
R2=V2/V3
或いは、以下のように定義することもできる。
R1=V4/V1
R2=V3/V2
<3−3>
ステップS1,S2,S3が実行される順序は、上述の順序に限られない。例えば、ステップS1、ステップS2及びステップS3を同時に並行して実行することも可能である。ステップS7〜S9についても同様である。また、同様に、ステップS10とステップS11とを同時に並行して実行することも可能であるし、ステップS11の後にステップS10を実行してもよい。さらに、ステップS4はステップS5の後に実行することも可能である。
<3−4>
上記実施形態では、路面状態の判定の結果は、タイヤの減圧検出処理に利用された。しかしながら、路面状態の判定の結果は、タイヤの減圧検出処理に限らず、例えば車両のブレーキのアンチロック制御等の各種制御においても採用され得る。
<3−5>
ステップS16及びS21を省略し、回転速度V1,V2を補正せずに、DEL1〜DEL3を算出し、減圧検出を行ってもよい。
<3−6>
ホイールトルクWTと比較値R1,R2との関係を表す線形モデルは、上記実施形態に示したものに限られない。例えば、以下の回帰式L1′,L2′によってもモデル化することができるし、上述した回帰式M1,M2によってもモデル化することができる。
L1′:R1=x0WT+x1WTγ+x3
L2′:R2=y0WT+y1WTγ+y3
<3−7>
車両1の横方向加速度γのデータの取得方法は、上記実施形態で説明されたものに限定されない。例えば、車両1にヨーレートセンサが搭載されている場合、横方向加速度γは、ヨーレートセンサの出力値から取得することもできる。
1 車両
2 判定装置
3 表示器
4 横方向加速度センサ
6 車輪速センサ
7 WTセンサ
21 回転速度取得部
22 比較値算出部
23 トルク取得部
24 関係特定部
25 予測部
26 判定部
27 横方向加速度取得部
28 減圧検出部
29 警報生成部
FL 左前輪
FR 右前輪
RL 左後輪
RR 右後輪
V1〜V4 回転速度(車輪速)
WT ホイールトルク
Q1 第1ずれ量
Q2 第2ずれ量
R1 第1比較値
R2 第2比較値
S1 第1予測値
S2 第2予測値
P 指標値
DEL1〜3 減圧指標値

Claims (9)

  1. 車両が走行する路面の状態を判定する判定装置であって、
    前記車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤの回転速度を順次取得する回転速度取得部と、
    前記第1タイヤの回転速度と前記第3タイヤの回転速度とを比較する第1比較値と、前記第2タイヤの回転速度と前記第4タイヤの回転速度とを比較する第2比較値とを順次算出する比較値算出部と、
    ホイールトルクを順次取得するトルク取得部と、
    順次取得される前記ホイールトルク及び前記第1比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第1比較値との第1関係を特定するとともに、順次取得される前記ホイールトルク及び前記第2比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第2比較値との第2関係を特定する関係特定部と、
    ある時刻の前記ホイールトルクを前記第1関係に適用し、前記時刻の前記第1比較値を予測する第1予測値を算出するとともに、前記時刻の前記ホイールトルクを前記第2関係に適用し、前記時刻の前記第2比較値を予測する第2予測値を算出する予測部と、
    前記時刻の前記第1比較値と前記第1予測値との第1ずれ量を算出するとともに、前記時刻の前記第2比較値と前記第2予測値との第2ずれ量を算出し、前記第1ずれ量と前記第2ずれ量との差に応じて、前記路面の状態を判定する判定部と
    を備え、
    前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前輪タイヤ及び後輪タイヤの一方であり、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤは、他方であり、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである、
    判定装置。
  2. 前記判定部は、前記差を表す指標値を算出し、前記指標値が所定の閾値を超える場合に、前記路面の状態を悪路であると判定する、
    請求項1に記載の判定装置。
  3. 前記関係特定部は、前記所定の閾値を超える前記指標値の算出に用いられた前記回転速度のデータをリジェクトする、
    請求項2に記載の判定装置。
  4. 前記リジェクトされたデータを除く前記回転速度のデータに基づいて、前記タイヤの減圧を判定するための減圧指標値を算出し、前記減圧指標値に基づいて、前記タイヤの減圧を検出する減圧検出部
    をさらに備える、
    請求項3に記載の判定装置。
  5. 前記タイヤの減圧状態が検出された場合に、減圧警報を発生させる警報生成部
    をさらに備える、
    請求項4に記載の判定装置。
  6. 前記車両に加わる横方向加速度を順次取得する横方向加速度取得部
    をさらに備え、
    前記関係特定部は、順次取得される前記横方向加速度にさらに基づいて、前記第1関係として、前記ホイールトルクと前記第1比較値と前記横方向加速度との関係を特定するとともに、前記第2関係として、前記ホイールトルクと前記第2比較値と前記横方向加速度との関係を特定する、
    請求項1〜5のいずれかに記載の判定装置。
  7. 前記第1比較値は、前記第1タイヤの回転速度と前記第3タイヤの回転速度との比であり、前記第2比較値は、前記第2タイヤの回転速度と前記第4タイヤの回転速度との比である、
    請求項1〜6のいずれかに記載の判定装置。
  8. 車両が走行する路面の状態を判定する判定方法であって、
    前記車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤの回転速度を順次取得することと、
    前記第1タイヤの回転速度と前記第3タイヤの回転速度とを比較する第1比較値と、前記第2タイヤの回転速度と前記第4タイヤの回転速度とを比較する第2比較値とを順次算出することと、
    ホイールトルクを順次取得することと、
    順次取得される前記ホイールトルク及び前記第1比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第1比較値との第1関係を特定するとともに、順次取得される前記ホイールトルク及び前記第2比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第2比較値との第2関係を特定することと、
    ある時刻の前記ホイールトルクを前記第1関係に適用し、前記時刻の前記第1比較値を予測する第1予測値を算出するとともに、前記時刻の前記ホイールトルクを前記第2関係に適用し、前記時刻の前記第2比較値を予測する第2予測値を算出することと、
    前記時刻の前記第1比較値と前記第1予測値との第1ずれ量を算出するとともに、前記時刻の前記第2比較値と前記第2予測値との第2ずれ量を算出することと、
    前記第1ずれ量と前記第2ずれ量との差に応じて、前記路面の状態を判定することと
    を含み、
    前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前輪タイヤ及び後輪タイヤの一方であり、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤは、他方であり、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである、
    判定方法。
  9. 車両が走行する路面の状態を判定する判定プログラムであって、
    前記車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤの回転速度を順次取得することと、
    前記第1タイヤの回転速度と前記第3タイヤの回転速度とを比較する第1比較値と、前記第2タイヤの回転速度と前記第4タイヤの回転速度とを比較する第2比較値とを順次算出することと、
    ホイールトルクを順次取得することと、
    順次取得される前記ホイールトルク及び前記第1比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第1比較値との第1関係を特定するとともに、順次取得される前記ホイールトルク及び前記第2比較値に基づいて、前記ホイールトルクと前記第2比較値との第2関係を特定することと、
    ある時刻の前記ホイールトルクを前記第1関係に適用し、前記時刻の前記第1比較値を予測する第1予測値を算出するとともに、前記時刻の前記ホイールトルクを前記第2関係に適用し、前記時刻の前記第2比較値を予測する第2予測値を算出することと、
    前記時刻の前記第1比較値と前記第1予測値との第1ずれ量を算出するとともに、前記時刻の前記第2比較値と前記第2予測値との第2ずれ量を算出することと、
    前記第1ずれ量と前記第2ずれ量との差に応じて、前記路面の状態を判定することと
    をコンピュータに実行させ、
    前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前輪タイヤ及び後輪タイヤの一方であり、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤは、他方であり、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤは、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである、
    判定プログラム。
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