JP3957656B2 - タイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。さらに詳しくは、タイヤの空気圧の低下を正確に判定することができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両に装着された4輪タイヤの回転(車輪速)情報からタイヤの減圧を検出するタイヤ空気圧低下検出装置(DWS)がある。この装置は、タイヤが減圧すると正常内圧のタイヤより外径(タイヤの動荷重半径)が減少するため、他の正常なタイヤに比べると回転角速度が増加するという原理を用いている。たとえばタイヤの回転角速度の相対的な差から内圧低下を検出する方法では、判定値として、
DEL={(F1+F4)/2−(F2+F3)/2}/{(F1+F2+F3+F4)/4}×100(%)
を用いている(特許文献1)。ここで、F1〜F4は、それぞれ前左タイヤ、前右タイヤ、後左タイヤおよび後右タイヤの回転角速度である。
【0003】
この判定値DELを計算し、さらにコーナリング補正など必要な補正や不要なデータのリジェクトを施し、予め設定したしきい値をこえたときにタイヤの減圧が発生していると判定している。
【0004】
しかし、登り坂やトーイング走行など大きな駆動輪のトルクが作用する走行条件では、駆動タイヤにスリップが生じやすいため、空気圧が正常であるにもかかわらず、誤った警報を発することがある。かかる誤報を防止するために、エンジンの制御ユニットからのトルク情報を用いて駆動輪のトルクを求め、この駆動輪のトルクが所定の値以上であったり、所定の値以下である場合には、そのときのデータをタイヤの減圧判定に使用しないという方法(以下、従来の方法という)がある(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−305011号公報
【特許文献2】
米国特許第6,002,327号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車両が速度を一定に保つために必要な駆動輪のトルクは、車両速度によって異なる。したがって、車両速度が非常に高い欧州では、高速走行時においてもタイヤの減圧判定を有効にするためには、駆動輪のトルクの上限を大きく設定しなければならない。
【0007】
この駆動輪のトルクの上限を大きく設定すると、車両速度が低く、かつ急な登り坂を登るような、駆動輪のトルクが大きくなるような走行状態でも、前記駆動輪のトルクの上限値を上回らないことが多くあるため、そのような走行状態において誤報を発生する惧れがある。
【0008】
本発明は、叙上の事情に鑑み、タイヤの空気圧の低下を正確に判定することができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のタイヤ空気圧低下検出方法は、4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転速度情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤの車輪回転速度情報を検出する工程と、該車輪回転速度情報を記憶する工程と、該車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を行なう工程と、車両が一定速度で走行するために必要な駆動輪のトルクを標準駆動トルクとし、予め求められた該標準駆動トルクと車両速度の関係を記憶する工程と、前記駆動輪のトルクの正負を判別する工程と、前記駆動輪のトルクが正の場合、該駆動輪のトルクと標準駆動トルクとを比較する工程と、該駆動輪のトルクが標準駆動トルクより所定の正のしきい値以上大きい場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する工程と、前記駆動輪のトルクが負の場合、該駆動輪のトルクと負のしきい値とを比較する工程と、該駆動輪のトルクが負のしきい値以下である場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する工程と、前記駆動輪のトルクが標準駆動トルクに前記所定の正のしきい値を加算したトルク値と前記負のしきい値とのあいだの場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を開始する工程を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明のタイヤ空気圧低下検出装置は、4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転速度情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤの車輪回転速度情報を検出する回転速度検出手段と、該車輪回転速度情報を記憶する第1記憶手段と、該車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を行なう減圧判定手段と、車両が一定速度で走行するために必要な駆動輪のトルクを標準駆動トルクとし、予め求められた該標準駆動トルクと車両速度の関係を記憶する第2記憶手段と、前記駆動輪のトルクの正負を判別する正負判別手段と、前記駆動輪のトルクが正の場合、該駆動輪のトルクと標準駆動トルクとを比較する第1比較手段と、該駆動輪のトルクが標準駆動トルクより所定の正のしきい値以上大きい場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する第1判定禁止手段と、前記駆動輪のトルクが負の場合、該駆動輪のトルクと負のしきい値とを比較する第2比較手段と、該駆動輪のトルクが負のしきい値以下である場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する第2判定禁止手段と、前記駆動輪のトルクが標準駆動トルクに前記所定の正のしきい値を加算したトルク値と前記負のしきい値とのあいだの場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を開始する判定開始手段を備えてなることを特徴とする。
【0011】
本発明のタイヤ減圧判定のプログラムは、4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転速度情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、前記車輪回転速度情報を記憶する第1記憶手段、該車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を行なう減圧判定手段、車両が一定速度で走行するために必要な駆動輪のトルクを標準駆動トルクとし、予め求められた該標準駆動トルクと車両速度の関係を記憶する第2記憶手段、前記駆動輪のトルクの正負を判別する正負判別手段、前記駆動輪のトルクが正の場合、該駆動輪のトルクと標準駆動トルクとを比較する第1比較手段、該駆動輪のトルクが標準駆動トルクより所定の正のしきい値以上大きい場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する第1判定禁止手段、前記駆動輪のトルクが負の場合、該駆動輪のトルクと負のしきい値とを比較する第2比較手段、該駆動輪のトルクが負のしきい値以下である場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する第2判定禁止手段、前記駆動輪のトルクが標準駆動トルクに前記所定の正のしきい値を加算したトルク値と前記負のしきい値とのあいだの場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を開始する判定開始手段として機能させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明のタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを説明する。
【0013】
図1に示されるように、本発明の一実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置は、4輪車両に備えられた4つのタイヤFL、FR、RLおよびRRの空気圧が低下しているか否かを検出するもので、タイヤにそれぞれ関連して設けられた通常の回転速度検出手段1を備えている。
【0014】
前記回転速度検出手段1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させてパルスの数から車輪回転速度情報である回転角速度を測定する車輪速センサまたはダイナモのように回転を利用して発電を行ない、この電圧から回転角速度を測定するものを含む角速度センサなどを用いることができる。前記回転速度検出手段1の出力はABSなどのコンピュータである制御ユニット2に与えられる。制御ユニット2には、空気圧が低下したタイヤを知らせるための液晶表示素子、プラズマ表示素子またはCRTなどで構成された表示器3、ドライバーによって操作する初期化スイッチ4および警報器5が接続されている。
【0015】
制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェイス2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、該CPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行なう際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータなどが読み出されるRAM2dとから構成されている。
【0016】
前記回転速度検出手段1では、タイヤの回転数に対応したパルス信号(以下、車輪速パルスという)が出力される。またCPU2bでは、回転速度検出手段1から出力された車輪速パルスに基づき、所定のサンプリング周期ΔT(sec)、たとえばΔT=1秒ごとに各タイヤの回転角速度Fiが算出される。この回転角速度Fiに対して初期補正計算処理が施されたのち、この補正された回転角速度F1iに基づいて、空気圧低下判定用の判定値Dがつぎの式(1)により算出される。
DEL={(F11+F14)/2−(F12+F13)/2}/{(F11+F12+F13+F14)/4}×100(%) ・・・(1)
【0017】
ついで、算出された判定値Dに基づいて、空気圧が低下しているか否かが判別される。そして、空気圧が低下していると判断される場合には、ドライバーに警報が発せられる。
【0018】
一般に、駆動トルク(駆動輪のトルク)が、図3に示されるように、標準駆動トルクより所定の値Tth1以上上回ったときには、急な登り坂を走行しているか、または牽引走行しているなど通常とは異なる走行をしているものと考えられる。このような走行中のデータから得られる回転角速度は、タイヤの空気圧の判定(減圧判定)の精度をわるくする可能性があるため、空気圧の判定には使用しないことにする。
【0019】
また、駆動輪のトルクが、図3に示されるように負のしきい値Tth2以下になる場合、エンジンブレーキなどでタイヤに大きなスリップが生じている可能性がある。このような走行中のデータから得られる回転角速度もタイヤの空気圧の判定の精度をわるくするため、空気圧の判定には使用しないことにする。
【0020】
ただし、駆動輪のトルクがゼロ(車両が空気抵抗により緩やかな減速状態)近辺のデータは、トルクの影響をほとんど受けておらず、データの精度も高いことから、空気圧の判定に使用することにする。
【0021】
なお、本実施の形態における標準駆動トルクとは、平坦路走行、無負荷状態および無風状態において、予め測定して求められる、車両が速度を一定に保つために必要な駆動輪のトルクである。
【0022】
通常、前記標準駆動トルクは、空気抵抗によるものが大きく、また、空気抵抗は車両速度の2乗に比例する。したがって、以下に示すように、標準駆動トルクは車両速度の2次式の形で表すことができる。
標準駆動トルク=A×V2+B
【0023】
ここで、Vは車両速度であり、AおよびBは車種ごとに走行試験により求められる係数である。
【0024】
前記駆動輪のトルクの正負の状態および標準駆動トルクとの関係を考慮する本実施の形態では、回転速度検出手段1と、回転角速度を記憶する記憶手段と、該回転角速度に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を行なう減圧判定手段と、標準駆動トルクと車両速度との関係を記憶する記憶手段と、前記駆動輪のトルクの正負を判別する正負判別手段と、前記駆動輪のトルクが正の場合、該駆動輪のトルクと標準駆動トルクとを比較する第1比較手段と、該駆動輪のトルクが標準駆動トルクより所定の正のしきい値以上大きい場合、前記回転角速度に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する第1判定禁止手段と、前記駆動輪のトルクが負の場合、該駆動輪のトルクと負のしきい値とを比較する第2比較手段と、該駆動輪のトルクが負のしきい値以下である場合、前記回転角速度に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する第2判定禁止手段と、前記駆動輪のトルクが標準駆動トルクに前記所定の正のしきい値を加算したトルク値と前記負のしきい値とのあいだの場合、前記回転角速度に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を開始する判定開始手段を備えている。
【0025】
そして、本実施の形態におけるタイヤ減圧判定のプログラムは、制御ユニット2を、第1記憶手段、減圧判定手段、第2記憶手段、正負判別手段、第1比較手段、第1判定禁止手段、第2比較手段、第2判定禁止手段、判定開始手段として機能させる。
【0026】
以下、図4に基づいて本実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置の動作の手順(1)〜(9)について説明する。
【0027】
(1)車両の4輪タイヤFL、FR、RLおよびRRの車輪速度(V1n、V2n、V3n、V4n)を算出する(ステップS1)。
たとえば、ABSセンサなどのセンサから得られた車両の各車輪タイヤFL、FR、RL、RRのある時点の車輪速データに基づいて、それぞれのタイヤの回転角速度Fiを算出する。ついで算出された回転角速度Fiから初期差異の影響を排除すべく、回転角速度Fiに対してつぎの式(2)〜(5)に示されるように初期補正を施したのち、車輪速度V1n、V2n、V3n、V4n(=r×F1i)を算出する。なお、rは直線走行時における有効ころがり半径に相当する定数である。
F11=F1 ・・・(2)
F12=K1×F2 ・・・(3)
F13=K3×F3 ・・・(4)
F14=K2×K3×F4 ・・・(5)
【0028】
ここで、初期補正係数K1は、前左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K2は、後左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K3は、前左タイヤと後左右タイヤとのあいだの初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。
【0029】
(2)ついで悪路のリジェクト処理を行なう(ステップS2)。
悪路とは、スプリットμ路または砂利道などの状態をいうが、とくに車両が片側だけ滑りやすい道路を走行したときに、正常内圧であっても判定値がしきい値をこえてしまい、警報が発生してしまうことがある。このスプリットμ路とは、左右のタイヤの路面で摩擦係数μが違う路面のことであり、たとえば右側がアスフャルトの路面であり、左側がグラスの路面の場合である。したがって、車輪速度から求められる車両の左右おのおののスリップ率の差の変化量が大きいときは悪路と判断し、このような状態のデータをリジェクトする。
【0030】
(3)ついで前後方向加速度(前後G)のリジェクト処理を行なう(ステップS3)。
前後Gが大きいときにはタイヤが空転し、回転角速度Fiが変動するため、このような状態のデータをリジェクトする。たとえば各タイヤの前後方向加速度FRAiは、サンプリング周期ΔT(sec)の前のサンプリング時点において算出された各タイヤの車輪速度をBV1iとすると、つぎの式(6)により算出される。
FRAi=(V1i―BV1i)/(ΔT×9.8) ・・・(6)
【0031】
そして、つぎの式(7)に該当する場合には、回転角速度Fiをリジェクトする。
MAX{│FRAi│}>Ath(たとえばAth=0.1g:g=9.8(m/sec2)) ・・・(7)
【0032】
(4)ついで低速のリジェクト処理を行なう(ステップS4)。
車両の低速時には、路面の凸凹などの影響が無視できず、回転角速度Fiが変動するため、このような状態のデータをリジェクトする。たとえば車両速度Vがつぎの式(8)に該当する場合には、回転角速度Fiをリジェクトする。
V<Vth(たとえばVth=10(km/h)) ・・・(8)
【0033】
(5)ついで旋回走行のリジェクト処理を行なう(ステップS5)。
旋回走行時の旋回半径Rが小さいときにはタイヤが横滑りし、回転角速度Fiが変動するため、このような状態のデータをリジェクトする。たとえば旋回半径Rがつぎの式(9)に該当する場合には、回転角速度Fiをリジェクトする。
R<Rth(たとえばRth=30(m)) ・・・(9)
【0034】
(6)ついでトルクのリジェクト処理を行なう(ステップS6)。
(i)まず予め走行試験により標準駆動トルクと車両速度の関係を求めておく。また、走行中の駆動輪のトルクは、エンジンの制御装置から得られるエンジンのトルクおよび回転数などから導き出すことができる。たとえば駆動輪1輪あたりの駆動輪のトルクTはつぎの式(10)で表される。
(ii)前記関係から、駆動輪のトルクの正負を判別する。そして、駆動輪のトルクが正の場合、該駆動輪のトルクと標準駆動トルクとを比較する。
(iii)駆動輪のトルクが標準駆動トルクより所定の正のしきい値、たとえば30N・m以上大きい場合、回転角速度に基づくタイヤの空気圧低下の判定を禁止する。
(iv)ついで駆動輪のトルクが負の場合、該駆動輪のトルクと負のしきい値、たとえば−20N・mとを比較する。
(v)駆動輪のトルクが負のしきい値以下である場合、回転角速度に基づくタイヤの空気圧低下の判定を禁止する。
(vi)つぎに駆動輪のトルクが、標準駆動トルクに前記所定の正のしきい値を加算したトルク値と前記負のしきい値とのあいだの場合、回転角速度に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を開始する。
【0035】
(7)減圧判定に先立ち、すでに変動要因の影響を含む回転角速度Fiがリジェクトされているか否かを判別する(ステップS7)。リジェクトがない場合には、ステップS8へ進み、リジェクトがある場合は、このデータは空気圧判定には使用されない。
【0036】
(8)ついで判定値Dの計算および補正を行なう(ステップS8)。
判定値Dは前記式(1)により算出することができる。この判定値Dは、すでに悪路、前後G,車両速度および旋回走行による影響が排除された回転角速度を初期補正して求められるとともに、トルクの判定が行なわれているので、補正された判定値と言える。
【0037】
(9)ついで本実施の形態では、判定値Dのばらつきを最小限にするために、判定値Dの積算による警報判定を行なうようにしている(ステップS11)。
(i)まず判定値Dの積算を行なう(ステップS9)。すなわち判定値Diに1回前のサンプリング時で求められた積算値SDiを加算して、新たな積算値SDi(SDi+Di)を求める。
(ii)ついで判定値Dのカウンタのカウント値(個数)が予め定められた所定値、たとえば60以上であるか否かを判別する(ステップS10)。判定値Dの個数が所定値、たとえば60以上であると判断される場合には、前記警報判定を実施し、判定値Dの個数が所定値未満であると判断される場合には、前記警報判定は行なわない。
【0038】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0039】
【実施例】
車両として、正常空気圧(2.2×105Pa)のタイヤが装着されたFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車(排気量:1900cc)を用意した。前記タイヤのタイヤサイズは195/50R16である。また、車両の走行条件として、約1時間30分間登坂のワインディング路(15%勾配)を走行させる条件を採用した。
【0040】
そして、前記実施の形態にかかわるタイヤ減圧判定のプログラムを格納した検出装置を搭載させたうえで、4輪タイヤが正規圧のときの走行試験と前左タイヤのみ40%減圧させたときの走行試験を行なった(実施例)。また、前記検出装置を従来の方法の検出装置に交換して、前記実施例と同じ走行試験も行なった(比較例)。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1より、本実施例では、比較例と比較して、誤報が発生することなく、タイヤの減圧を正確に検出することができることがわかる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、低速時の急な登坂路や、トーイング走行時における誤報をなくすことができる。また、駆動輪のトルクがゼロ近辺の精度の高いデータを空気圧判定に有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置を示すブロック図である。
【図2】図1のタイヤ空気圧低下検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】駆動トルクと車両速度の関係を示す図である。
【図4】本実施の形態のフローチャートの一例である。
【符号の説明】
1 回転速度検出手段
2 制御ユニット
3 表示器
4 初期化スイッチ
5 警報器
Claims (3)
- 4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転速度情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤの車輪回転速度情報を検出する工程と、該車輪回転速度情報を記憶する工程と、該車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を行なう工程と、車両が一定速度で走行するために必要な駆動輪のトルクを標準駆動トルクとし、予め求められた該標準駆動トルクと車両速度の関係を記憶する工程と、前記駆動輪のトルクの正負を判別する工程と、前記駆動輪のトルクが正の場合、該駆動輪のトルクと標準駆動トルクとを比較する工程と、該駆動輪のトルクが標準駆動トルクより所定の正のしきい値以上大きい場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する工程と、前記駆動輪のトルクが負の場合、該駆動輪のトルクと負のしきい値とを比較する工程と、該駆動輪のトルクが負のしきい値以下である場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する工程と、前記駆動輪のトルクが標準駆動トルクに前記所定の正のしきい値を加算したトルク値と前記負のしきい値とのあいだの場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を開始する工程を含むタイヤ空気圧低下検出方法。
- 4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転速度情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤの車輪回転速度情報を検出する回転速度検出手段と、該車輪回転速度情報を記憶する第1記憶手段と、該車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を行なう減圧判定手段と、車両が一定速度で走行するために必要な駆動輪のトルクを標準駆動トルクとし、予め求められた該標準駆動トルクと車両速度の関係を記憶する第2記憶手段と、前記駆動輪のトルクの正負を判別する正負判別手段と、前記駆動輪のトルクが正の場合、該駆動輪のトルクと標準駆動トルクとを比較する第1比較手段と、該駆動輪のトルクが標準駆動トルクより所定の正のしきい値以上大きい場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する第1判定禁止手段と、前記駆動輪のトルクが負の場合、該駆動輪のトルクと負のしきい値とを比較する第2比較手段と、該駆動輪のトルクが負のしきい値以下である場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する第2判定禁止手段と、前記駆動輪のトルクが標準駆動トルクに前記所定の正のしきい値を加算したトルク値と前記負のしきい値とのあいだの場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を開始する判定開始手段を備えてなるタイヤ空気圧低下検出装置。
- 4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転速度情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、前記車輪回転速度情報を記憶する第1記憶手段、該車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を行なう減圧判定手段、車両が一定速度で走行するために必要な駆動輪のトルクを標準駆動トルクとし、予め求められた該標準駆動トルクと車両速度の関係を記憶する第2記憶手段、前記駆動輪のトルクの正負を判別する正負判別手段、前記駆動輪のトルクが正の場合、該駆動輪のトルクと標準駆動トルクとを比較する第1比較手段、該駆動輪のトルクが標準駆動トルクより所定の正のしきい値以上大きい場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する第1判定禁止手段、前記駆動輪のトルクが負の場合、該駆動輪のトルクと負のしきい値とを比較する第2比較手段、該駆動輪のトルクが負のしきい値以下である場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を禁止する第2判定禁止手段、前記駆動輪のトルクが標準駆動トルクに前記所定の正のしきい値を加算したトルク値と前記負のしきい値とのあいだの場合、前記車輪回転速度情報に基づいてタイヤの空気圧低下の判定を開始する判定開始手段として機能させるためのタイヤ減圧判定のプログラム。
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