JP2020011313A - 回転切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転切削工具の加工精度を向上する。【解決手段】台金10は、超硬合金で構成され、軸方向に延在する。チップ110は、台金10に取り付けられ、外周切刃115を含む。チップ110は、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である、多結晶ダイヤモンドで構成されている。外周切刃115において、上記軸方向に直交する方向におけるチップ110の最も外側に位置する部分は、台金10に対して0.5μm以上10μm以下突出している。チップには、台金10の回転方向における外周切刃115の後方にマージン116が設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、回転切削工具に関する。
ダイヤモンドを含むチップを有する切削工具を開示した先行文献として、国際公開第2008/088034号(特許文献1)、特開2006−88242号公報(特許文献2)、特開2016−117111号公報(特許文献3)、特開2017−87373号公報(特許文献4)、および、特開2018−1354号公報(特許文献5)がある。
国際公開第2008/088034号 特開2006−88242号公報 特開2016−117111号公報 特開2017−87373号公報 特開2018−1354号公報
金属バインダを不純物として含む多結晶ダイヤモンド、または、単結晶ダイヤモンドで構成されたチップにおいては、切刃の欠け若しくは摩耗、または、加工部位での発熱の影響により、加工精度が低下することがある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、加工精度を向上できる回転切削工具を提供することを目的とする。
本発明に基づく回転切削工具は、台金とチップとを備える。台金は、超硬合金で構成され、軸方向に延在する。チップは、台金に取り付けられ、外周切刃を含む。チップは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である、多結晶ダイヤモンドで構成されている。外周切刃において、上記軸方向に直交する方向におけるチップの最も外側に位置する部分は、台金に対して0.5μm以上10μm以下突出している。チップには、台金の回転方向における外周切刃の後方にマージンが設けられている。
本発明によれば、回転切削工具の加工精度を向上することができる。
本発明の一実施形態に係る回転切削工具の斜視図である。 図1の回転切削工具を矢印II方向から見たの正面図である。 図1の回転切削工具を矢印III方向から見た平面図である。 図1の回転切削工具を矢印IV方向から見た底面図である。 図1の回転切削工具を矢印V方向から見た側面図である。 図1中のVI部を拡大して示す斜視図である。 図3中のVII部を拡大して示す平面図である。 図5中のVIII部を拡大して示す側面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係る回転切削工具は、台金とチップとを備える。台金は、超硬合金で構成され、軸方向に延在する。チップは、台金に取り付けられ、外周切刃を含む。チップは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である、多結晶ダイヤモンドで構成されている。外周切刃において、上記軸方向に直交する方向におけるチップの最も外側に位置する部分は、台金に対して0.5μm以上10μm以下突出している。チップには、台金の回転方向における外周切刃の後方にマージンが設けられている。
本発明の一態様に係る回転切削工具においては、結晶の等方性を有し、硬く、かつ、熱伝導率が高い、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドでチップが構成されているため、切刃の欠け若しくは摩耗が生じること、または、加工部位での発熱を抑制することができる。チップの台金からの突出量が10μm以下であるため、加工時のビビリの発生を抑制するとともに、加工精度を向上することができる。また、チップの台金からの突出量が0.5μm以上であるため、バニシング作用による発熱を抑え、加工精度を向上することができる。
マージンの上記回転方向の幅が、0.03mm未満である場合、バニシング作用が得られず、0.6mmを超える場合、バニシング作用が強くなって発熱しやすくなるため、加工精度が悪化する。したがって、マージンの上記回転方向の幅は、0.03mm以上0.6mm以下であることが好ましい。これにより、バニシング作用を効果的にして、加工精度を向上することができる。
好ましくは、マージンの表面粗さRaは、0.2μm以下である。これにより、マージンと加工部位との摩擦抵抗を小さくし、加工部位での発熱を抑制して加工精度を向上することができる。
好ましくは、チップには、上記回転方向におけるマージンの後端から上記回転方向の後方に延在する逃げ面が設けられている。これにより、切削抵抗を低減し、加工部位での発熱を抑制して加工精度を向上することができる。
好ましくは、チップには、外周切刃に対して上記回転方向の前方にすくい面が設けられている。すくい面とマージンとの境界部の稜線の丸みは、0.1μm以上10μm以下である。これにより、外周切刃を鋭利にし、加工精度を向上することができる。
(一実施形態)
以下、本発明の一実施形態に係る回転切削工具について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の一実施形態に係る回転切削工具の斜視図である。図2は、図1の回転切削工具を矢印II方向から見たの正面図である。図3は、図1の回転切削工具を矢印III方向から見た平面図である。図4は、図1の回転切削工具を矢印IV方向から見た底面図である。図5は、図1の回転切削工具を矢印V方向から見た側面図である。図6は、図1中のVI部を拡大して示す斜視図である。図7は、図3中のVII部を拡大して示す平面図である。図8は、図5中のVIII部を拡大して示す側面図である。
図1〜図8に示すように、本発明の一実施形態に係る回転切削工具1は、リーマである。回転切削工具1は、台金10とチップ110とを備える。台金10は、軸方向に延在している。台金10は、略円柱状の外形を有している。
台金10の先端側には、台金10の軸方向に延びる溝11が設けられている。溝11は、互いに直交する第1壁面11aおよび第2壁面11bを含んでいる。溝11の第1壁面11aは、溝11の第2壁面11bに対して、台金10の回転方向の前方側に位置している。
図1に示すように、台金10の先端面10aに、センター穴14が設けられている。台金10の後端側に、台金10の後端面から台金10の軸方向の先端側に延びる油供給孔12が設けられている。油供給孔12は、台金10の溝11の第1壁面11aの先端側の位置に設けられた開口13と繋がっている。台金10の溝11の第2壁面11bの先端側には、凹部11cが形成されている。台金10の先端側の外周部に、台金10の回転方向に互いに間隔をあけて拡径した3つのガイドパッド部15が設けられている。台金10は、超硬合金で構成されている。
台金10の軸方向における先端部に、チップ110が取り付けられている。チップ110は、略直方体状の外形を有している。本実施形態においては、チップ110は、台座120を介して台金10に取り付けられている。チップ110がロウ付けにより台座120に固定されることにより、チップユニット100が構成されている。台座120は、超硬合金で構成されている。
チップユニット100は、溝11の第2壁面11bの凹部11c内に配置される。台座120が、ロウ付けまたはボルト締結により台金10に固定されることにより、チップユニット100が台金10に取り付けられる。なお、台座120は必ずしも設けられなくてもよく、チップ110が台金10に直接取り付けられていてもよい。台金10に取り付けられたチップ110の後述するすくい面111は、台金10の溝11の第2壁面11bと略面一に位置している。
本実施形態においては、1つのチップ110が台金10に取り付けられているが、複数のチップ110が台金10の回転方向に互いに間隔をあけて台金10に取り付けられていてもよい。この場合、複数のチップ110は、同一の円周軌道上に位置するように設けられる。
図5〜図8に示すように、チップ110は、外周切刃115、外周切刃115に連なる前切刃117、および、前切刃117に連なる前切刃113を含む。前切刃117は、外周切刃115および前切刃113の各々に対して斜めに接している。なお、前切刃117は必ずしも設けられていなくてもよく、外周切刃115と前切刃113とが互いに直交するように接していてもよい。
チップ110には、外周切刃115に対して台金10の回転方向の前方にすくい面111が設けられている。すくい面111は、外周切刃115、前切刃117および前切刃113の各々と接している。
図7に示すように、前切刃113および前切刃117の各々は、台金10の先端面10aから突出している。なお、前切刃113および前切刃117の各々は,先端面10aから突出していなくてもよい。
図8に示すように、チップ110には、台金10の回転方向における外周切刃115の後方にマージン116が設けられている。マージン116は、外周切刃115に沿って延在している。マージン116は、台金10の外周側に凸状の曲面形状を有している。マージン116の台金10の回転方向の幅Wは、0.03mm以上0.6mm以下である。マージン116の表面粗さRaは、0.2μm以下である。
マージン116は、JIS B 0173の2050により定義され、マージン116の幅Wは、JIS B 0173の2072で定義される。マージン116の表面粗さRaは、たとえば、三鷹光器製の非接触式全周三次元測定装置により測定可能である。
チップ110には、台金10の回転方向におけるマージン116の後端から台金10の回転方向の後方に延在する逃げ面112が設けられている。マージン116は、被削物の加工部位と接触する部分である。逃げ面112は、被削物の加工部位と接触しない部分である。
図5および図6に示すように、チップ110には、台金10の回転方向における前切刃113の後端から台金10の回転方向の後方に延在する逃げ面114が設けられている。チップ110には、台金10の回転方向における前切刃117の後端から台金10の回転方向の後方に延在する逃げ面118が設けられている。逃げ面114および逃げ面118の各々は、被削物の加工部位と接触しない部分である。
外周切刃115、前切刃117および前切刃113の各々と、すくい面111とのなす角である刃物角が、70°以上である場合、外周切刃115、前切刃117および前切刃113の各々の強度を大きくすることができるため好ましい。
本実施形態においては、図7に示すように、外周切刃115は、台金10の先端側に行くにしたがって、台金10の軸から離れるように傾斜しているバックテーパが設けられている。図7に示す寸法Aおよび寸法Bを用いると、バックテーパの大きさは、B/Aで表される。寸法Aは、台金10の軸方向における外周切刃115の長さ成分の寸法である。寸法Bは、台金10の軸方向に直交する方向における外周切刃115の長さ成分の寸法である。バックテーパの大きさは、0.01/100以上、0.3/100以下である。これにより、加工後に回転切削工具を引き抜く際に、加工面を傷づけることを防止できる。ただし、外周切刃115が、台金10の軸方向と平行に延在していてもよい。
外周切刃115と前切刃117との接点である切刃角部119は、外周切刃115および前切刃117の各々において、台金10の軸方向に直交する方向におけるチップ110の最も外側に位置する部分である。切刃角部119は、台金10に対して0.5μm以上10μm以下突出している。すなわち、台金10の軸方向に直交する方向における台金10の外周面と切刃角部119との間隔Dが、0.5μm以上10μm以下である。
台金10の先端部のガイドパッド部15以外の部分の外周面の回転半径はたとえば4.9mmであり、ガイドパッド部15の外周面の回転半径はたとえば5.0mmであり、切刃角部119の回転半径はたとえば5.0025mmである。
すくい面111とマージン116との境界部の稜線の丸みは、0.1μm以上10μm以下である。すなわち、外周切刃115の稜線の丸みが、0.1μm以上10μm以下である。外周切刃115の稜線の丸みを測定するには、三鷹光器製の非接触式全周三次元測定装置にてマージン116からすくい面111にかけて外周切刃115の輪郭を測定し、外周切刃115の丸みと近似する円を想定し、その円の半径を外周切刃115の丸みの半径とする。
チップ110は、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である、多結晶ダイヤモンドで構成されている。好ましくは、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドは、最大粒径が300nm以下、かつ、平均粒径が50nm以下である。
ダイヤモンド粒子の平均粒径を測定するには、多結晶ダイヤモンドの表面または任意の断面を鏡面研磨し、真空焼結炉を用いて、圧力が3.0×10-3Pa以上6.3×10-3以下、温度が1000℃以上1200℃以下、かつ、保持時間が30分以上60分以下である、条件にて熱食刻を行なう。走査型電子顕微鏡により、熱食刻された研磨面を2μm×2μmの範囲で、任意の3ヶ所の反射電子像を写真撮影する。写真撮影された画像から、個々のダイヤモンド粒子を抽出し、抽出したダイヤモンド粒子を2値化処理して各ダイヤモンド粒子の面積を算出する。そして、各ダイヤモンド粒子と同じ面積を持つ円を想定し、この円の直径をダイヤモンド粒子の粒径とする。各ダイヤモンド粒子径の算術平均値を平均粒径とする。ダイヤモンド粒子の最大粒径は、上記の方法により抽出されたダイヤモンド粒子のうちの最も粒径が大きいダイヤモンド粒子の粒径とする。
好ましくは、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドにおけるダイヤモンド以外の不純物成分の含有率が1質量%以下である。より好ましくは、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドにおける不純物成分の含有率は、0.5質量%以下である。不純物成分は、Co、Fe、Ni、Ti、W、Ta、CrおよびVなどの、多結晶ダイヤモンドのバインダとして機能する元素の少なくとも1種を含んでいてもよい。また、不純物成分は、上記のバインダとして機能する元素および炭素以外の、たとえば、希土類元素、アルカリ土類金属、窒素、酸素、ホウ素および水素などの元素のうちの少なくともいずれか1種を含んでいてもよい。なお、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドにおける不純物成分の含有率は、0質量%であってもよい。
不純物成分の含有率を測定するには、以下のように行なう。エネルギ分散型X線分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectrometry)または波長分散型X線分析(WDS:Wavelength Dispersive x-ray Spectroscopy)により、多結晶ダイヤモンドの特性X線を測定し、横軸にエネルギ値、縦軸に強度を示したスペクトルを得る。次に、スペクトル分析を行ない、C原子の質量%を求め、100−(C原子の質量%)を計算することにより、不純物成分の含有率を算出する。C原子の質量%は、解析ソフトウェアによって以下のように求められる。三次式近似を用いてスペクトルのバックグラウンド除去を行ない、プロファイルフィティングを行なうことにより、各エネルギのピーク強度が求められる。次に、各ピークの積分値が求められ、C原子のピーク強度の割合が算出され、ピーク強度の積分値からC原子の質量%が導出される。
(実験例)
ここで、本発明の一実施形態に係る回転切削工具による効果を検証した実験例について説明する。
本実験例においては、試料番号1〜31の回転切削工具を用いて孔加工を行ない、加工孔の真円度(μm)、加工孔のバリの高さ(μm)、および、切刃の寿命(指数換算)の3つの評価項目に基づいて検証した。
なお、加工孔の真円度は、真円度測定機を使い、JIS B0621(1984)で規定されているMZC最小領域中心法により測定した数値である。加工孔のバリの高さは、回転切削工具が被削物を貫通した際に加工孔の縁に発生したバリの高さを、Zygo社製の光学式表面性状測定機を用いて測定した数値である。切刃の寿命は、切刃に欠け若しくは摩耗が発生するまでの加工時間を指数換算して求めた数値である。
なお、加工孔の真円度の許容範囲は、5μm未満である。加工孔の真円度は、3μm未満であることが好ましい。加工孔のバリの高さの許容範囲は、30μm未満である。加工孔のバリの高さは、20μm未満であることが好ましい。
試料1〜4,7〜31の回転切削工具のチップは、不純物成分の含有率が0.5質量%以下の実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドで構成されている。試料5の回転切削工具のチップは、単結晶ダイヤモンドで構成されている。試料6の回転切削工具のチップは、バインダを10体積%含む多結晶ダイヤモンドで構成されている。
試料番号1〜21の回転切削工具のチップの諸条件および評価結果は、下記の表1に示す通りである。
Figure 2020011313
試料番号22〜31の回転切削工具のチップの諸条件および評価結果は、下記の表2に示す通りである。
Figure 2020011313
まず、試料1,5,6の評価結果について説明する。
表1に示すように、試料5は、短時間でチップの外周切刃に欠けが発生し、寿命が試料1に比較して短かった。試料6は、加工孔のバリの高さが70μmで許容範囲外であるとともに、チップの外周切刃に欠けが発生し、寿命が試料1に比較して短かった。一方、試料1は、外周切刃に欠け若しくは摩耗が発生しておらず、さらに加工を継続可能な状態であった。
上記の試料1,5,6の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
単結晶ダイヤモンドは、結晶方位が存在するため、結晶の異方性を有する。そのため、単結晶ダイヤモンドで構成されたチップは、切刃の欠け若しくは偏摩耗が発生しやすい。
ダイヤモンド焼結体のような、バインダを含む多結晶ダイヤモンドで構成されたチップは、バインダを含むため、硬さが低下するとともに、熱伝導率が低下する。また、バインダを含む多結晶ダイヤモンドで構成されたチップにおいては、バインダが摩耗してダイヤモンド粒子が脱落することにより、切刃に欠けが発生することがある。
一方、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンドとは異なり、結晶の等方性を有するため、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドで構成されたチップは、切刃が様々な方向から切削抵抗を受ける回転切削加工において、欠けにくく、偏摩耗しにくい。実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドは、バインダを含んでいないため、バインダが摩耗してダイヤモンド粒子が脱落することによる切刃の欠けが発生しにくい。実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドは、バインダを含む多結晶ダイヤモンドより硬いため、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドで構成されたチップは、摩耗しにくい。実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドは、バインダを含む多結晶ダイヤモンドと比較して、熱伝導率が高いため、加工部位で発生した熱を効率よく放熱することができる。
加工部位での発熱量が大きい場合、スプリングバックと呼ばれる加工孔の熱収縮によって生じる弾性変形により加工精度の低下が起きる。実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドで構成されたチップは、加工部位で発生した熱を効率よく放熱することにより、スプリングバックが起きることを抑制することができる。また、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドで構成されたチップは、切刃に欠け若しくは摩耗が発生しにくいため、高い加工精度を長時間維持することができる。
上記のように、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドで構成されたチップを備えることにより、回転切削工具の加工精度を向上することができる。特に、被削物がハイシリコンアルミである場合、または、孔の強断続加工をする場合に、切刃が欠けにくいため、加工精度を向上することができる。
次に、試料1〜4の評価結果について説明する。
表1に示すように、ダイヤモンド粒子の平均粒径が100nm以下である試料1〜3においては、加工孔の真円度および加工孔のバリの高さの評価結果は良好であった。一方、ダイヤモンド粒子の平均粒径が100nmより大きい試料4においては、加工孔のバリの高さが許容範囲外であり、加工精度が試料1〜3と比較して低かった。
上記の試料1〜4の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
ダイヤモンド粒子の平均粒径を100nm以下にすることにより、チップの切刃を鋭利にすることができる。切刃を鋭利にすることにより、切削抵抗を下げてバリの発生を抑制できるとともに、加工孔の加工精度を向上することができる。
より詳細には、回転切削工具においては、切刃がこれから切削しようとしている部分、すなわち、切屑になる部分に負の塑性域ができる。加工孔の出口側端面に切刃が近づくと、その部分で塑性変形が起こり、バリが発生する。バリの発生を抑制するためには、負の塑性域を小さくする必要がある。そこで、切刃を鋭利にして切削抵抗を下げることにより、負の塑性域を小さくしてバリの発生を抑制することができる。
次に、試料7〜11の評価結果について説明する。
表1に示すように、外周切刃の台金からの突出量が0.5μm以上10μm以下である試料7〜10においては、加工孔の真円度の評価結果は良好であった。一方、外周切刃の台金からの突出量が10μmより大きい試料11においては、加工孔の真円度が許容範囲外であるとともに、チップのビビリが発生し、寿命が試料1に比較して短く、加工精度が試料7〜10と比較して低かった。
上記の試料7〜11の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
外周切刃の台金からの突出量を10μm以下にすることにより、加工時のビビリの発生を抑制するとともに、加工精度を向上することができる。また、外周切刃の台金からの突出量を0.5μm以上にすることにより、熱伝導率のよいダイヤモンドによるバニシング作用が得られるため、発熱を抑えてスプリングバックを発生しにくくし、加工精度を向上することができる。具体的には、回転切削工具が加工中に振動していない場合は、外周切刃の台金からの突出量が0であるときに比較して、台金が被削物と接触することを抑制して切削抵抗を小さくすることができるため、加工部位の発熱を抑制することができる。これにより、加工精度を向上することができる。一方、回転切削工具が加工中に振動している場合は、台金が被削物と接触することによってビビリの発生を抑制するガイド効果を得ることができる。これにより、加工孔の真直性を改善することができる。
次に、試料12〜21の評価結果について説明する。
表1に示すように、マージンの幅が0.03mm未満または0.6mmより大きい試料12,16においては、マージンの幅が0.03mm以上0.6mm以下である試料13〜15に比較して、加工孔の真円度が悪く、加工精度が低かった。マージンの幅が0.03mm未満または0.6mmより大きい試料17,21においては、マージンの幅が0.03mm以上0.6mm以下である試料18〜20に比較して、加工孔の真円度が悪く、加工精度が低かった。
上記の試料12〜21の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
マージンの幅が0.03mm未満である場合、マージンによるバニシング作用が弱くなる。マージンの幅が0.6mmより大きい場合、加工部位での発熱量が大きくなり、スプリングバックが発生しやすくなる。マージンの幅が0.03mm以上0.6mm以下であることにより、適度なバニシング作用によってスプリングバックの発生を抑制しつつ加工精度を向上することができる。
次に、試料22〜27の評価結果について説明する。
表2に示すように、マージンの表面粗さRaが0.2μmより大きい試料24においては、マージンの表面粗さRaが0.2μm以下である試料22,23に比較して、加工孔の真円度が悪く、加工精度が低かった。マージンの表面粗さRaが0.2μmより大きい試料27においては、マージンの表面粗さRaが0.2μm以下である試料25,26に比較して、加工孔の真円度が悪く、加工精度が低かった。なお、試料12〜16と、試料17〜21とを比較した場合にも、マージンの表面粗さRaが0.2μmより大きい試料12〜16は、試料17〜21より、加工孔の真円度が悪く、加工精度が低かった。
上記の試料22〜27の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
マージンの表面粗さRaが0.2μmより大きい場合、マージンと加工部位との摩擦抵抗が大きいため、加工部位での発熱量が大きくなり、スプリングバックによる加工精度の低下が起きる。マージンの表面粗さRaが0.2μm以下であることにより、マージンと加工部位との摩擦抵抗を小さくし、加工部位での発熱を抑制して加工精度を向上することができる。なお、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドでチップを構成することにより、マージンの表面粗さRaを0.2μm以下にすることが可能となる。
次に、試料28〜31の評価結果について説明する。
表2に示すように、すくい面とマージンとの境界部の稜線の丸みが10μmより大きい試料31においては、すくい面とマージンとの境界部の稜線の丸みが0.1μm以上10μm以下である試料28〜30に比較して、加工孔の真円度が悪く、加工精度が低かった。なお、試料12〜16と、試料17〜21とを比較した場合にも、すくい面とマージンとの境界部の稜線の丸みが10μmより大きい試料12〜16は、試料17〜21より、加工孔の真円度が悪く、加工精度が低かった。試料22〜24と、試料25〜27とを比較した場合にも、すくい面とマージンとの境界部の稜線の丸みが10μmより大きい試料22〜24は、試料25〜27より、加工孔の真円度が悪く、加工精度が低かった。
上記の試料28〜31の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
すくい面とマージンとの境界部の稜線の丸みが10μmより大きい場合、外周切刃に負荷される切削抵抗が大きくなるため、加工部位での発熱量が大きくなり、スプリングバックによる加工精度の低下が起きる。すくい面とマージンとの境界部の稜線の丸みが10μm以下であることにより、外周切刃を鋭利にし、切削抵抗を小さくすることができるため、加工部位の発熱を抑制することができる。これにより、加工精度を向上することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 回転切削工具、10 台金、10a 先端面、11 溝、11a 第1壁面、11b 第2壁面、11c 凹部、12 油供給孔、13 開口、14 センター穴、15 ガイドパッド部、100 チップユニット、110 チップ、111 すくい面、112,114,118 逃げ面、113,117 前切刃、115 外周切刃、116 マージン、119 切刃角部、120 台座。

Claims (5)

  1. 超硬合金で構成され、軸方向に延在する台金と、
    前記台金に取り付けられ、外周切刃を含むチップとを備え、
    前記チップは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である、多結晶ダイヤモンドで構成されており、
    前記外周切刃において、前記軸方向に直交する方向における前記チップの最も外側に位置する部分は、前記台金に対して0.5μm以上10μm以下突出しており、
    前記チップには、前記台金の回転方向における前記外周切刃の後方にマージンが設けられている、回転切削工具。
  2. 前記マージンの前記回転方向の幅は、0.03mm以上0.6mm以下である、請求項1に記載の回転切削工具。
  3. 前記マージンの表面粗さRaは、0.2μm以下である、請求項1または請求項2に記載の回転切削工具。
  4. 前記チップには、前記回転方向における前記マージンの後端から前記回転方向の後方に延在する逃げ面が設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転切削工具。
  5. 前記チップには、前記外周切刃に対して前記回転方向の前方にすくい面が設けられており、
    前記すくい面と前記マージンとの境界部の稜線の丸みは、0.1μm以上10μm以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転切削工具。
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