JP2020044640A - 回転切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転切削工具を長寿命化する。
【解決手段】台金は、金属で構成され、軸方向に延在する。チップは、台金の上記軸方向の先端部に取り付けられ、逃げ面、すくい面およびこれらの間に形成された切刃を有する。チップは、単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドから形成されている。上記多結晶ダイヤモンドは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である。台金の上記先端部およびチップに連続したフルートが設けられている。切刃は、チップの上記軸方向の先端に位置している。すくい面は、チップのフルートに形成されている。逃げ面およびすくい面の各々に、上記単結晶ダイヤモンドまたは上記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層110gが設けられている。
【選択図】図4

Description

本発明は、回転切削工具に関する。
ダイヤモンドを含むチップを有する切削工具を開示した先行文献として、特開2005−88178号公報(特許文献1)、特開2006−281386号公報(特許文献2)、および、特開2012−66324号公報(特許文献3)がある。
特開2005−88178号公報 特開2006−281386号公報 特開2012−66324号公報
アルミニウム合金または銅合金などの非鉄金属の切削加工において切削抵抗が大きい場合、切削熱が高くなり、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗が発生し、回転切削工具の寿命が短くなる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、長寿命化された回転切削工具を提供することを目的とする。
本発明に基づく回転切削工具は、台金とチップとを備える。台金は、金属で構成され、軸方向に延在する。チップは、台金の上記軸方向の先端部に取り付けられ、逃げ面、すくい面およびこれらの間に形成された切刃を有する。チップは、単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドから形成されている。上記多結晶ダイヤモンドは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である。台金の上記先端部およびチップに連続したフルートが設けられている。切刃は、チップの上記軸方向の先端に位置している。すくい面は、チップのフルートに形成されている。逃げ面およびすくい面の各々に、上記単結晶ダイヤモンドまたは上記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている。
本発明によれば、回転切削工具を長寿命化することができる。
本発明の一実施形態に係る回転切削工具の正面図である。 図1の回転切削工具を矢印II方向から見た側面図である。 図1中のIII部を拡大して示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る回転切削工具が備えるチップの逃げ面およびすくい面の各々の厚さ方向の組成分布を模式的に示す図である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る回転切削工具は、台金とチップとを備える。台金は、金属で構成され、軸方向に延在する。チップは、台金の上記軸方向の先端部に取り付けられ、逃げ面、すくい面およびこれらの間に形成された切刃を有する。チップは、単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドから形成されている。上記多結晶ダイヤモンドは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である。台金の上記先端部およびチップに連続したフルートが設けられている。すくい面は、チップのフルートに形成されている。切刃は、チップの上記軸方向の先端に位置している。逃げ面およびすくい面の各々に、上記単結晶ダイヤモンドまたは上記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている。
本発明の一態様に係る回転切削工具においては、硬く、かつ、熱伝導率が高い、単結晶ダイヤモンドまたは実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドから、チップが形成されているため、切削熱を効率よく放熱し、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠け若しくは摩耗が生じることを抑制することができる。また、逃げ面およびすくい面の各々に、上記単結晶ダイヤモンドまたは上記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられているため、逃げ面およびすくい面の各々に潤滑性を付与することができる。逃げ面に潤滑性を付与することにより、逃げ面に切り屑が溶着することを抑制するとともに切削抵抗を低減することができる。すくい面に潤滑性を付与することにより、切り屑の排出性を向上できる。これらの結果、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗の発生を抑制して、回転切削工具を長寿命化することができる。
好ましくは、逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおいて、ダイヤモンドのピーク強度をId、グラファイトのピーク強度をIgとすると、ダイヤモンドのピーク強度Idに対するグラファイトのピーク強度Igの割合を示すピーク強度比(Ig/Id)が、0.01以上1.0以下である。逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が、0.01未満である場合、グラファイト層によって逃げ面およびすくい面の各々に付与できる潤滑性が不十分となり、1.0を超える場合、グラファイト層が厚くなりすぎて逃げ面およびすくい面の各々が摩耗しやすくなる。
(一実施形態)
以下、本発明の一実施形態に係る回転切削工具について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の一実施形態に係る回転切削工具の正面図である。図2は、図1の回転切削工具を矢印II方向から見た側面図である。図3は、図1中のIII部を拡大して示す側面図である。
図1〜図3に示すように、本発明の一実施形態に係る回転切削工具1は、ドリルである。回転切削工具1は、台金10とチップ100とを備える。台金10は、軸方向に延在している。台金10は、略円柱状の外形を有している。
台金10は、大径部11、小径部13、大径部11と小径部13との間に位置するテーパ部12を有している。台金10の上記軸方向の先端面10aに、チップ100が取り付けられている。具体的には、小径部13の上記軸方向の先端に、チップ100がろう付けされている。台金10の小径部13の上記軸方向の先端部およびチップ100に、連続したフルート14が設けられている。台金10は、超硬合金などの金属で構成されている。
図2および図3に示すように、チップ100は、逃げ面112、すくい面111およびこれらの間に形成された切刃110を有する。切刃110は、チップ100の上記軸方向の先端に位置している。すくい面111は、チップ100のフルート14に形成されている。すくい面111は、切刃110に対してチップ100の回転方向の前方に位置している。
チップ100は、マージン113をさらに有する。マージン113は、チップ100の回転方向における切刃110の後方に設けられている。マージン113は、被削物の加工部位と接触する部分である。逃げ面112は、マージン113の後端からチップ100の回転方向の後方に延在する。逃げ面112は、被削物の加工部位と接触しない部分である。
チップ100は、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である、多結晶ダイヤモンドで構成されている。好ましくは、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドは、最大粒径が300nm以下、かつ、平均粒径が50nm以下である。なお、チップ100は、単結晶ダイヤモンドで構成されていてもよい。
ダイヤモンド粒子の平均粒径を測定するには、多結晶ダイヤモンドの表面または任意の断面を鏡面研磨し、真空焼結炉を用いて、圧力が3.0×10-3Pa以上6.3×10-3Pa以下、温度が1000℃以上1200℃以下、かつ、保持時間が30分以上60分以下である、条件にて熱食刻を行なう。走査型電子顕微鏡により、熱食刻された研磨面を2μm×2μmの範囲で、任意の10ヶ所の反射電子像を写真撮影する。写真撮影された画像から、個々のダイヤモンド粒子を抽出し、抽出したダイヤモンド粒子を2値化処理して各ダイヤモンド粒子の面積を算出する。そして、各ダイヤモンド粒子と同じ面積を持つ円を想定し、この円の直径をダイヤモンド粒子の粒径とする。各ダイヤモンド粒子径の算術平均値を平均粒径とする。ダイヤモンド粒子の最大粒径は、上記の方法により抽出されたダイヤモンド粒子のうちの最も粒径が大きいダイヤモンド粒子の粒径とする。
好ましくは、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドにおけるダイヤモンド以外の不純物成分の含有率が1質量%以下である。より好ましくは、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドにおける不純物成分の含有率は、0.5質量%以下である。不純物成分は、Co、Fe、Ni、Ti、W、Ta、CrおよびVなどの、多結晶ダイヤモンドのバインダとして機能する元素の少なくとも1種を含んでいてもよい。また、不純物成分は、上記のバインダとして機能する元素および炭素以外の、たとえば、希土類元素、アルカリ土類金属、窒素、酸素、ホウ素および水素などの元素のうちの少なくともいずれか1種を含んでいてもよい。なお、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドにおける不純物成分の含有率は、0質量%であってもよい。
不純物成分の含有率を測定するには、以下のように行なう。エネルギ分散型X線分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectrometry)または波長分散型X線分析(WDS:Wavelength Dispersive x-ray Spectroscopy)により、多結晶ダイヤモンドの特性X線を測定し、横軸にエネルギ値、縦軸に強度を示したスペクトルを得る。次に、スペクトル分析を行ない、C原子の質量%を求め、100−(C原子の質量%)を計算することにより、不純物成分の含有率を算出する。C原子の質量%は、解析ソフトウェアによって以下のように求められる。三次式近似を用いてスペクトルのバックグラウンド除去を行ない、プロファイルフィティングを行なうことにより、各エネルギのピーク強度が求められる。次に、各ピークの積分値が求められ、C原子のピーク強度の割合が算出され、ピーク強度の積分値からC原子の質量%が導出される。
チップ100における逃げ面112およびすくい面111の各々は、レーザ加工によって形成されている。レーザ加工された際に、逃げ面112およびすくい面111の各々には、多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている。なお、チップ100が単結晶ダイヤモンドで構成されている場合には、レーザ加工された際に、逃げ面112およびすくい面111の各々には、単結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている。マージン113は、表面を研磨加工されており、グラファイト層が除去されている。
図4は、本発明の一実施形態に係る回転切削工具が備えるチップの逃げ面およびすくい面の各々の厚さ方向の組成分布を模式的に示す図である。図4に示すように、チップ100における逃げ面112およびすくい面111の各々において、表層にグラファイト層110gが設けられている。グラファイト層110gにおいては、表層から離れるにしたがって、グラファイト成分が減少している。グラファイト層110gの下側に、ダイヤモンドで構成されているダイヤモンド部110dが位置している。
逃げ面112およびすくい面111の各々のラマンスペクトルにおいて、ダイヤモンドのピーク強度をId、グラファイトのピーク強度をIgとすると、ダイヤモンドのピーク強度Idに対するグラファイトのピーク強度Igの割合を示すピーク強度比(Ig/Id)が、0.01以上1.0以下である。
ピーク強度比(Ig/Id)を測定するには、以下のように行なう。各試料について、波長532nmのレーザを励起光として、室温でラマン分光分析を行なう。0.25cm-1以下の波数分解能を持つ分光器を用いてスペクトル解析を行なって得られたフォノンピークに、ローレンツ関数とガウス関数との複合関数を最小二乗法でフィッティングし、ピーク強度を求める。具体的には、1333cm-1付近のダイヤモンドピークおよび1590cm-1付近のグラファイトピークのピーク強度を測定し、そのピーク強度比(Ig/Id)を求めた。逃げ面およびすくい面の各々において、任意の5箇所についてピーク強度比(Ig/Id)を測定し、その平均値を逃げ面およびすくい面の各々のピーク強度比(Ig/Id)とする。
(実験例)
ここで、本発明の一実施形態に係る回転切削工具による効果を検証した実験例について説明する。
本実験例においては、試料番号1〜16の回転切削工具を用いて孔加工を行ない、相対工具寿命(%)、溶着の程度、切り屑の排出状況、および、切刃の状況の4つの評価項目に基づいて検証した。
試料1〜7の回転切削工具のチップは、単結晶ダイヤモンドで構成されている。試料8および9の回転切削工具のチップは、バインダを10体積%含む多結晶ダイヤモンドで構成されている。試料10〜16の回転切削工具のチップは、不純物成分の含有率が0.5質量%以下の実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドで構成されている。
試料番号1〜16の回転切削工具のチップの諸条件および評価結果は、下記の表1に示す通りである。
Figure 2020044640
孔加工の加工条件は、下記の通りである。
被削物は、下孔が設けられていない単結晶シリコンとした。工具径は、直径で3mmとした。切削速度は、90m/minとした。工具送り速度は、25mm/revとした。加工深さは、10.5mmとした。給油条件は、ポンプ圧を1.5MPaとして強制潤滑した。クーラントとして、10%に希釈した水溶性エマルジョンを用いた。
工具の寿命判定基準として、切刃にチッピングが発生して加工精度が悪化した場合は、チッピングが発生した時点で寿命に達したと判定する。加工精度は、加工孔の真円度および加工孔の表面粗さから判定した。切刃にチッピングが発生する前に、加工孔の孔径が工具径より10μm小さくなった場合は、その時点で寿命に達したと判定する。工具が寿命に達するまで、繰り返し孔加工を行なった。溶着の程度、切り屑の排出状況、および、切刃の状況の各々は、孔加工を30回行なった時点、または、孔加工を30回行なう前に工具が寿命に達した場合は、工具が寿命に達した時点での評価結果である。
相対工具寿命(%)について、単結晶ダイヤモンドから形成されている試料1〜7の回転切削工具のチップにおいては、試料3の回転切削工具のチップに対する相対工具寿命(%)であり、多結晶ダイヤモンドから形成されている試料8〜16の回転切削工具のチップにおいては、試料12の回転切削工具のチップに対する相対工具寿命(%)である。
本実験例では、逃げ面およびすくい面の各々のグラファイト層をレーザ加工にて同様に形成しており、逃げ面およびすくい面のピーク強度比(Ig/Id)は互いに略同一であるため、表1においては、逃げ面およびすくい面の各々のピーク強度比(Ig/Id)を共通の欄で記載している。
まず、試料4,8,13の評価結果について説明する。
表1に示すように、試料12に対する、試料8の相対工具寿命は25%であり、試料13の相対工具寿命は820%であった。なお、試料8の工具寿命は、試料4の工具寿命より短かった。
上記の試料4,8,13の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
ダイヤモンド焼結体のような、バインダを含む多結晶ダイヤモンドで構成されたチップは、バインダを含むため、硬さが低下するとともに、熱伝導率が低下する。また、バインダを含む多結晶ダイヤモンドで構成されたチップにおいては、バインダが摩耗してダイヤモンド粒子が脱落することにより、切刃に欠けが発生することがある。
一方、単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドの各々は、バインダを含んでいないため、切刃の欠けが発生しにくい。単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドの各々は、バインダを含む多結晶ダイヤモンドより硬いため、単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドのいずれか一方で構成されたチップは、摩耗しにくい。
また、単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドの各々は、バインダを含む多結晶ダイヤモンドと比較して、熱伝導率が高いため、加工部位で発生した切削熱を効率よく放熱することができる。単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドのいずれか一方で構成されたチップは、切削熱を効率よく放熱することにより、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠け若しくは摩耗が生じることを抑制することができる。
上記のように、単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドのいずれか一方で構成されたチップは、バインダを含む多結晶ダイヤモンドで構成されたチップに比較して、工具寿命を長くすることができる。
次に、試料1〜3の評価結果について説明する。
表1に示すように、逃げ面にグラファイト層が設けられている試料1,3においては、逃げ面に切り屑の溶着は認められず、切刃は正常摩耗していた。一方、逃げ面にグラファイト層が設けられていない試料2においては、逃げ面の大きな部分に切り屑の溶着が認められ、切刃にチッピングが発生していた。
すくい面にグラファイト層が設けられている試料1,2においては、切り屑の排出状況が良好であった。一方、すくい面にグラファイト層が設けられていない試料3においては、フルートに切り屑の詰まりが認められた。
相対工具寿命は、逃げ面にグラファイト層が設けられている試料3、すくい面にグラファイト層が設けられている試料2、逃げ面およびすくい面の両方にグラファイト層が設けられている試料1、の順に長くなっていた。
上記の試料1〜3の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
逃げ面に、単結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている場合、逃げ面に潤滑性を付与して、逃げ面に切り屑が溶着することを抑制するとともに切削抵抗を低減することができる。これにより、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗の発生を抑制して、回転切削工具を長寿命化することができる。すくい面に、単結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている場合、すくい面に潤滑性を付与して切り屑の排出性を向上できるため、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗が生じることを抑制することができる。
次に、試料10〜12の評価結果について説明する。
表1に示すように、逃げ面にグラファイト層が設けられている試料10,12においては、逃げ面に切り屑の溶着は認められず、切刃は正常摩耗していた。一方、逃げ面にグラファイト層が設けられていない試料11においては、逃げ面の大きな部分に切り屑の溶着が認められ、切刃にチッピングが発生していた。
すくい面にグラファイト層が設けられている試料10,11においては、切り屑の排出状況が良好であった。一方、すくい面にグラファイト層が設けられていない試料12においては、フルートに切り屑の詰まりが認められた。
相対工具寿命は、逃げ面にグラファイト層が設けられている試料12、すくい面にグラファイト層が設けられている試料11、逃げ面およびすくい面の各々にグラファイト層が設けられている試料10、の順に長くなっていた。
上記の試料10〜12の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
逃げ面に、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている場合、逃げ面に潤滑性を付与して、逃げ面に切り屑が溶着することを抑制するとともに切削抵抗を低減することができる。これにより、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗の発生を抑制して、回転切削工具を長寿命化することができる。すくい面に、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている場合、すくい面に潤滑性を付与して切り屑の排出性を向上できるため、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗が生じることを抑制することができる。
次に、試料8,9の評価結果について説明する。
表1に示すように、試料8,9の各々において、逃げ面およびすくい面の各々の大きな部分に切り屑の溶着が認められ、切刃にチッピングが発生していた。
相対工具寿命は、逃げ面およびすくい面の各々にグラファイト層が設けられている試料8の方が、逃げ面およびすくい面の両方にグラファイト層が設けられていない試料9より長くなっていた。
上記の試料8,9の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
逃げ面およびすくい面の各々に、バインダを10体積%含む多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている場合、グラファイト層中にバインダの成分であるコバルトが含まれる。コバルトが溶着発生の起点となって溶着が大きく成長するため、グラファイト層によって逃げ面およびすくい面の各々に潤滑性を付与することができなくなる。
上記の試料4〜7,13〜16の評価結果について説明する。
表1に示すように、逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が0.01以上1.0以下である試料4,5,6,13,14,15においては、逃げ面に切り屑の溶着はほとんど認められず、切刃は正常摩耗しており、切り屑の排出状況は概ね良好であった。逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が0.01である試料4,13においては、逃げ面の僅かな部分に切り屑の溶着が認められたが、切刃は正常摩耗しており、切り屑の排出状況はやや良好であった。逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が1.0を超える試料7,16においては、逃げ面に切り屑の溶着は認められず、切り屑の排出状況は良好であったが、逃げ面摩耗が大きくなって切刃稜にまで達していた。
上記の試料4〜7,13〜16の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が、0.01未満である場合、グラファイト層によって逃げ面およびすくい面の各々に付与できる潤滑性が不十分となり、1.0を超える場合、グラファイト層が厚くなりすぎて逃げ面およびすくい面の各々が摩耗しやすくなる。逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が0.01以上1.0以下であることにより、適度な厚さのグラファイト層を設け、逃げ面およびすくい面の各々に十分な潤滑性を付与しつつ大きな逃げ面摩耗が発生することを抑制できる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 回転切削工具、10 台金、10a 先端面、11 大径部、12 テーパ部、13 小径部、14 フルート、100 チップ、110 切刃、110d ダイヤモンド部、110g グラファイト層、111 面、112 逃げ面、113 マージン。

Claims (2)

  1. 金属で構成され、軸方向に延在する台金と、
    前記台金の前記軸方向の先端部に取り付けられ、逃げ面、すくい面およびこれらの間に形成された切刃を有するチップとを備え、
    前記チップは、単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドから形成されており、
    前記多結晶ダイヤモンドは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下であり、
    前記台金の前記先端部および前記チップに連続したフルートが設けられており、
    前記切刃は、前記チップの前記軸方向の先端に位置しており、
    前記すくい面は、前記チップの前記フルートに形成されており、
    前記逃げ面および前記すくい面の各々に、前記単結晶ダイヤモンドまたは前記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている、回転切削工具。
  2. 前記逃げ面および前記すくい面の各々のラマンスペクトルにおいて、ダイヤモンドのピーク強度をId、グラファイトのピーク強度をIgとすると、ダイヤモンドのピーク強度Idに対するグラファイトのピーク強度Igの割合を示すピーク強度比(Ig/Id)が、0.01以上1.0以下である、請求項1に記載の回転切削工具。
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